glass (1)中国は2000年ごろから急速に建築市場が拡大しそれに伴い設備がたくさん導入されました。イギリスのピルキントンフロートも最新の技術で納入がなされていきます。結果私の知るところだけでも160社、200釜(ライン)以上が稼働しています。加工会社は3500社はゆうに超えると言われています。上海近郊でも100台以上の強化ガラスラインは稼働している感覚です。日本はフロート3社8ライン(?) 加工会社はたぶん30社(?)くらいですので中国とは比較になりません。

中国でのフラットガラスメインプレーヤー (内は日本での呼び方)は以下の会社です。生産量データは古いので増減がある可能性がありますので参考としてください。
ー広告ー
B-GLASS 型板調高透過デザインガラス
B-PLUS  新たなガラスの提案
CAMSA  ガラスコンサルティング&エンジニアリング


■福耀玻璃 (ふーやお)
fuyaoガラス生産の単独としては世界最大級 民営
1987年設立 本部:福州 工場:福州,本渓,重慶,通遼,海南,アメリカ 日本にも営業所があります。
資本金 25億元  売り上げ202億元(2018年) 建築用も作ってはいますが基本的には自動車用のガラスを得意としている非常に強力なメーカーです。建築用で日本に入ってくることはほぼないと言えますが、カラーガラスを買って日本に入れたことがありますが製品はとても良く品質的にも世界的に通用するメーカーと言えます。自動車用は品質要求が厳しく中国国内でも10社に満たない会社しか品質を満足させられませんから、工場視察の際に自動車用を作れると言われたら問題ないと思っていいかと思います。

■南玻集団(なんぼう CSG)
nanbo建築用ガラスメーカーとしては中国最大 国営
1984年設立 本部:深圳 工場:深圳,東莞,呉江,天津, 江油,成都,河南、日本にも営業所があります。
生産量 3600トン/日 建築用が主力です。高透過ガラスも作っていますが中国市場に潤沢に出回っているかというとそうでもないように思えますがこれは後に出てくる金晶に比べ流通網がしっかりしていなことが要因かと思います。中国製での日本シェアは30%(想定)くらいだと思いますが、これからこの会社がトップになる可能性が高いでしょう。製品は悪くないと思いますが大手の悪い面が各所に見られるところが問題です。トリプルLOW-Eでは中国で最も高品質な製品を作ることができこの品種ではトップかと思います。事例:新丸ビル、東京ミッドタウン

■信義玻璃(しんぎ)
xinyi南玻から自動車用を買い上げて巨大化した工場 民営
1987年設立 本部:香港 東莞,無湖,営口,天津,江門 日本にも営業所があります。資本金 25億元  202億元(2018年) 生産量 2600トン/日 自動車用と建築用が半々(儲かっているのは自動車用だけだとか)加工部門で強化、合わせ、ペアのJISを取得済み。高透過ガラスも作っていますが市場ではほとんど見かけません。中国製建築での日本シェアは10%(想定)。大きな会社ですが民営のためかアットホームな雰囲気を持った会社です。マレーシアに新工場を作り稼働が開始しています。内部からの情報ではなかなか調子がいいようです。こういった流れは東南アジアでもっと進むかもしれませんし東南アジアは日系の力が強いエリアですから今後苦戦が予想されます。各社が厚板を作らなくなっている中、高品質の厚板を供給できる少ない会社と言えます。事例:虎ノ門ヒルズ、スカイツリータウン

■耀皮玻璃集団(やおぴー、えすわいぴー)
yaopi1983年創業の中国老舗ブランド 旧名称は上海耀华皮尔金屯(しゃんはいやおふぁぴるきんとん) 略称SYP 中国で最初にできたピルキン,トンフロート工場 国営
本部:上海、工場:常熟、天津、広州、
上海市内に工場がありましたが万博時に移転したため上海には加工工場しか残っていなく名称も上海が抜け各工場の地名が付くホールディングスになっています。天津工場は日本板硝子の工場を買収し稼働中。中国製建築での日本シェアは40%(想定)主に日本向けはYKK-APによるところが大きいのですが、あまり対応が良くなかったこともあり多くの会社はこの会社からは購入しなくなってしまいました。品質的にも移転時期からはかなり安定してきています。フロート設備は最新で素晴らしいものを導入しています。事例:紀尾井町スクエア 東京スカイツリー

■中国玻璃 藍星 
ranxing2004年創業 12ライン5000トン/日 ローカルの雄 国営
本部:北京、工場:北京(1L/400t)江苏宿迁(3L/1500t)山东威海(4L/1650t)陕西咸阳(2L/850t)
内蒙古乌海(2L/600t)
日本ではマイナーですが中国国内では存在感があります。高透過ガラスも作っています。個別での採用はあるかもしれませんが今後もなかなか入ってこないような気がします。

■金晶玻璃 (じんじん)
jinjing1904年からガラスの製造を始めた中国では希少な会社 山東省淄博 2003年にPPGとの合弁でフロートラインを稼働させました。PPGは日本に圧力をかけている間、中国ではこの工場を立ち上げていたことになります(米民主党恐るべし、この頃からのつながりで親中党と言われる由縁なのか)。早くから高透過ガラス専用ラインを稼働させていて高透過部門では中国でシェア80%(肌感覚)と圧倒的です。最近では日本へも素板を輸出していて中国製の高透過の多くがこの会社のものです。ただ米PPG、仏サンゴバンの高透過ガラスに比べると黄色いのは否めません。フロートガラスとしての品質は悪くありません。加工部門で強化、合わせ、ペphoto (12)アのJISを取得済みですがあまり納入はされていないように思えますし単純にJISを取得すればいいかというと日本の市場はそんなには甘くありません。



■台湾硝子集団 (たいわんがらす)
taibo名前の通り台湾資本の工場。台湾ではシェア90%と圧倒的。民営 大陸では1994年創業
大陸での本部:江蘇省昆山 工場:昆山、青島、日本で中国製品が採用された初期には昆山からの製品が多く採用されていましたが、最近はほとんど採用されていません。ただ鏡の品質は良く多くが日本に納入されています。台湾の本部からは一定の量合わせガラスなども日本に納入されていることは確認できていますがエージェント次第かと思います。

他にも中国の工場を回っているといろいろと目にしますが日本に持ってくることができるメーカーはこの7社と言っていいでしょう。(旭硝子は日系なので外します)以前サンゴバンが南京にフロート工場を稼働させていましたが現在は停止しています。スパッタは動いているとかいないとか。

福耀のところに書いたのを見てオヤ?と思われた方もいらっしゃるかと思います。このシリーズ①で書いたように世界最大は日系でAGCだったはずです。でもここでは福耀が最大??。ちょっと違っているんじゃない?AGCの売り上げは連結で1兆5千億円ですから202億元(3000億円)と相当差があるのでは??
実はAGCは全体の売り上げの内、フロートガラスは約30%しかなくその他は別な素材の売り上げなのです。単純に計算するとガラスだけだと4500億円となりますから福耀の3000億円とさして差がなくなります。また福耀の比率まではわかりませんが福耀は自動車がほとんどですので仮に自動車用ガラスだけを取れば恐らくAGCよりも多い計算になってくるのです。

フローglassトガラス炉のラインがある場所をプロットしてみました。抜けていたり閉鎖していたり間違っているところもあるかもしれませんがご容赦ください。それから中国には世界標準の俗に呼ばれるピルキントンフロートというものではなく設備をパクったチャイナフロートと呼ばれるラインがあります。それでも一応平らな建築ガラスは作ることができるのでこの中では区別せず表記しています。もちろん上に出した7社はしっかりしたラインで稼働させていますのでご安心ください。


glass (3)この地図からわかることは、中国の発展に伴って消費地に近いところに工場が作られていることが見て取れます。次に湾岸に多くあることもわかります。これは材料となる砂を運ぶのに陸運ではなく海運を使うため海や大きな運河があるところに作られるためです。日本も同様、AGCは茨城県鹿嶋市、日本板硝子は京都府舞鶴、千葉県市原市 セントラル硝子は三重県四日市市と山口県宇部市と全て湾岸にあります。左の写真のように船で持ってきた材料を工場の重機で荷降ろしするわけです。こういった設備まで導入して初めて工場が稼働するわけですので、かなり大きな投資がどうしても必要になりますし、港湾を占拠するわけですので、政治や利権とも密接な関係がどうしても必要となってしまう産業なのです。



glass (1)各社のところに生産量がトンで表記しています。トン表記ですのでわかりにくいので補足説明しますが、一般的に使用される住宅で使用されるペアガラスは5㎜+空気層6㎜+5㎜ですのでガラスは1㎡10㎜分使用します。10㎜のガラスは25㎏/㎡ですので南玻の3600トンであれば3,600,000㎏÷25㎏=144,000㎡分が作られている訳です。1軒の大きさはまちまちですが大きな家で100㎡使ったとすると1440件分が1日で作られている計算になります。これでも少しわかりにくいでしょうから、超高層ビルで計算してみると都庁が仮に全面ガラスだとしましょう。都庁はざっくり250mX80mX2面+250mX30mX2面=41500㎡の外装があります。あのレベルであれば10㎜+空気層12㎜+10㎜程度でしょうから20㎜分のガラスが1㎡辺りで使用されることになります。41500㎡X20㎜X2.5(ガラスの比重)≒2000トン使用されている計算になりますので1日3600トン作る工場であれば毎日2棟分の都庁が作れる量のガラスが作られているのです。目を日本に向けてみましょう。日本の3社が生産する量は3400トン/日(2018年年計から計算)ですから南玻1社よりも少ない計算になります。もちろんこれが全て同じ目的で同じ厚みで作られているわけではないので単純な比較とはなりませんし製造量はあくまでスペックですので100%製品として出荷されるわけではないですが、すごい量の生産がなされていることはわかると思います。

月曜日に続く