私は幼い頃からずっとテレビっ子である。
そんな私にとって、ビデオレコーダーは世紀の大発明である。

大学生で独り暮らしを始めた頃から今に至るまで、ちょっとでも気になったテレビ番組は片っ端から録画していた。
今までに録画した番組数は千は下らないだろう。
万までは行ってないと思うが、

そしてそのうちのたぶん8割以上は見ないまま無くなっている。
録画するスピードより、見るスピードの方が遅いからである。
余裕がある時にじっくり見ようと思うのだけど、
社会人になると平日は仕事のストレスで見る余裕は全くなく、
土日も出かけたりしたら見ないし、我ながらアホである。
まぁ、退職したらいくらでも見る時間はあるわ、とか思ったら大間違い。
そうこうしているうちにビデオデッキが壊れる。消耗品なので必ず壊れる。
暇はあっても物理的に見えなくなるのである。

VHSテープの時代はデッキを買い換えてもテープを再生出来たが、
そのうちVHSの時代は終焉し、貯まったテープ100本位が無駄になった。

ハードディスクに録画するようになっても、10年もすればレコーダーの寿命が来て
HDDが壊れ、録画はパーになる。
そういうことを既に2回経験して、録画数百時間分を見ないまま失っています。

ここまで経験してさすがに悟った。
録画は直後に見ない限り、一生見れない。ということを。
未だにめぼしい番組(だいぶ減ったが)は録画しているが、見たいものは最長でも1ヶ月以内に見るようにしている。
そうじゃないものは消える前提で万一見れたら儲けものと思うことにした。
テレビドラマは最近はネット動画の見逃し配信に頼ることにした。
一週間の期限があるが、むしろ習慣になっていいかも知れない。
だいたい2話見たら、見るの辞めるかどうかの判断がつく。
今見てるのは下町ロケットだけです。

というわけで、名作映画やサッカー、ラグビーのワールドカップの名勝負、アメフトのスーパーボウル、海外ドラマ等々、今まで見れずに消えて行った番組は数知れず。

デジカメ、スマホの普及で今は写真も全てデジタルであるが、あれも遠くない将来にディスクが壊れて消えることは明らかである。
子供の成長や旅行の記録も早晩全て消える。
ハードディスクのデーターはそういうものである。
それを防ぐにはネット上に保管するか、USBやDVDに入れるか、となるが
そこまでする元気も無ければそんな価値のある写真でも無い。

だいたい人間の寿命もたかだか数十年なんだから、しかもろくでもない人生なのだから記録が残ったってしょうがないのだ。
と最近思うようになった。

しがない人生は何の記録も残さず、人知れず終わるのが正しい。