■atgames -- Arcade Ultimate Portable - 80 Games
http://www.atgames.net/front/bin/ptdetail.phtml?Part=GP1025MD&Category=100719
■新たな携帯型メガドライブが米Amazonに登場 | インサイド (その他、全般のニュース) ※2012年11月掲載
http://www.inside-games.jp/article/2012/11/05/61130.html
SEGA GENESIS ULTIMATE PORTABLE GAME PLAYER (輸入版:北米) Amazon.co.jp: SEGA GENESIS ULTIMATE PORTABLE GAME PLAYER (輸入版:北米)
発売日:2012年11月下旬 価格:59.99ドル
あの「ロックマン メガワールド」の海外版が移植される!? とロックマンファンの間でも話題になった、
At Games社発売の携帯型メガドライブ「Ultimate Portable Game Player」
オリジナル版の発売から約18年を経ての初移植! これはロックマンマニアなら買うしかないのか!?
というわけで、今回は誰もが気になる(?)この携帯型メガドライブをレビューしてみたいと思います。

※今回の記事には“今後のロックマングッズ展開への警鐘を鳴らす”という意味合いも兼ねて、
後述の機材を使用して撮影した画面写真をあえて掲載しており、また、本商品への批判も含まれています。
携帯型メガドライブを実際に購入・プレイし、その内容を細かく検証した上でレビューしていますが、
個体差や生産時期により、製品仕様や色合い等が多少異なる場合がありますので予めご了承下さい。

※今回の記事中における「オリジナル版」は日本版「ロックマン メガワールド」を指しています。
「携帯型メガドライブ版」は本商品に収録されている「Mega Man: The Wily Wars」を指しています。

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『メガドライブ』とは?
1988年10月29日に株式会社セガ・エンタープライゼスから発売された家庭用ゲームマシン。
約25年を経た現在もその人気は根強く、海外では2013年現在も互換機が発売され続けています。
※詳しくはセガ公式サイト セガハード大百科『メガドライブ』を参照のこと
http://sega.jp/fb/segahard/md/

『ロックマン メガワールド』とは?
ロックマンシリーズ唯一のメガドライブ専用ソフト。1994年10月21日発売、当時価格は8,500円(税別)。
ファミコンで発売された「ロックマン1~3」の内容をリメイクし、更に本作オリジナルのステージ&ボスを追加。
ゲームバランスの変化に賛否両論ありますが、描き直されたグラフィックやアレンジBGMの評価は高く、
中古市場で高値で取引されている他、近年一部の楽曲がサントラに収録&アレンジされたりしています。

『Mega Man: The Wily Wars』とは?
1995年に海外で発表された「ロックマン メガワールド」の海外版。公式には欧州版が発売されましたが、
北米版はゲーム配信サービス「セガチャンネル」版が存在したものの、カートリッジ版は発売中止に(※)。
つまり、今回の携帯型メガドライブ収録版が初の北米版「ロックマン メガワールド」という事になります。

※海外Webメディア「GameSpot.com」掲載記事『The History of Mega Man』より
http://www.gamespot.com/features/6076983/p-27.html


メガドライブと「ロックマン メガワールド」の歴史について簡単におさらいしたところで、
早速「Ultimate Portable Game Player」(以下「携帯型メガドライブ」)について紹介して行きます。

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こちらはパッケージ開封直後の状態。中には取扱説明書と充電用のUSBケーブルが同梱されています。
PSPよりも一回り小さいものの、ボタン数はメガドライブ2ファイティングパッド6B等と同じ6ボタンタイプ。

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液晶画面には「ソニック&ナックルズ」の絵柄の液晶保護シールが貼られていますが、
このままでは画面が見えないので剥がしましょう。端にテープを貼り付ければ簡単に剥がせます。
(個体によっては「ソニック&ナックルズ」シールが液晶画面に直貼りされている物があるらしい?)

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本体右下の電源を入れて起動。社名ロゴの後にメインメニュー(ゲーム選択画面)が表示されます。
80タイトル選べる中、「Mega Man: The Wily Wars」は3ページ目=26番目に収録されています。
※収録タイトルや本体仕様について、詳しくは公式サイト配信の取扱説明書(PDF)を参照のこと

本体の液晶画面でも遊べますが、この携帯型メガドライブはTV出力にも対応しており、
別売のAVケーブルを用意すれば、映像/音声をTVの大画面に出力してプレイする事ができます。
AVケーブルを挿し、一度メインメニューに戻れば映像/音声が自動的に出力されるのも便利。
海外ハードなのでちゃんと出力できるか心配でしたが、日本のTVにも問題なく出力する事ができました。


いよいよ、ここからは携帯型メガドライブ収録の「Mega Man: The Wily Wars」を紹介。
なお、映像出力&画面写真の撮影にはこちらの機器を使用しています。
[フジパーツ] AVケーブル 3ピン-1(4極)ミニプラグ FVC-129 Amazon.co.jp: [フジパーツ] AVケーブル 3ピン-1(4極)ミニプラグ FVC-129
販売元:株式会社 富士パーツ商会 価格:850円(税込) ※1.5m版
Ultimate Portable Game PlayerのTV出力機能に対応しているケーブルの一例
I-O DATA USB接続ビデオキャプチャー GV-USB2 Amazon.co.jp: I-O DATA USB接続ビデオキャプチャー GV-USB2
発売日:2010年9月7日 価格:5,565円(税込)

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海外版なのでタイトルロゴやテキストが全て英語になっていますが、
ゲームバランス、ボスのアルゴリズムなど、それ以外の部分についてはオリジナル版とほぼ同一。

方向ボタンの仕様上、メタルブレードの斜め撃ちを思うように飛ばせない…という欠点はありますが、
キーレスポンス(ボタンを押した時の反応)は良く、ボタン配置もオプションモードで変更可能。
海外版にありがちな「決定しようとしてキャンセルする」という操作ミスもなく、違和感なく操作できました。

しかし… オリジナル版と携帯型メガドライブ収録版には“決定的な違い”があり…


・グラフィックが汚い(ドットが歪んでいる)
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オリジナル版「ロックマン メガワールド」をプレイした事がある方なら一目瞭然かと思いますが、
携帯型メガドライブはドットを当倍で表示できないのか、ドットが歪んでおり、とにかくグラフィックが汚い。
TVに出力して何とか見られるレベルで、液晶画面では画面サイズに縮小されるので更に汚くなります。

また、液晶画面は発色は綺麗なのですがフラッシュ表現に弱く、「2」のボス選択時に斜め線が混入します。
色味や明るさの調整もできないので、なるべく良い環境でプレイしたいならTV出力が必須かも知れません。

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「3」のステージセレクト画面や、ロックマンの左右の立ち絵を見比べて頂ければよく分かると思います。
同じドット絵を左右反転して使っている筈なのに、ドットの大きさが違うのは一体どういう事なのか…

オリジナル版を遊んだ事がないと、上の画像を見て(良い意味で)「おおっ!」と思うかも知れませんが、
今回紹介している画面写真は全て携帯型メガドライブ版のもので、ドットが歪んで表示されています。
オリジナル版のグラフィックはこれよりもずっと綺麗なので、是非オリジナル版に触れてみてほしいですね。

・BGMの音が低い(音痴)
グラフィックが汚いだけでもかなりのマイナス評価ですが、
携帯型メガドライブ収録版のBGMは、オリジナル版に比べて何故か音が低くなっています。
音が低いだけならまだ許せるのですが、所々で音が外れたり割れており… 分かりやすく言うならば音痴。

「メガワールド」と言えばアレンジBGMのカッコ良さが高く評価されているのに、
BGMの良さを完全に殺してしまっているのは大きなマイナスポイント。
特に「1」のボス戦が不協和音と化しており、クリア時の曲を聴くと不安にさせられます。

・セーブができない
グラフィックとBGMが劣化している、と聞いただけでもかなり購入意欲を削がれてしまうと思いますが、
その上を行く一番の問題点が、セーブができないという「メガワールド」にとっての致命的な欠陥。

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携帯型メガドライブはその仕様上、セーブ(バックアップ)機能に対応しておらず、
電源を切ったり、メインメニュー(収録タイトルの選択画面)に戻るとセーブデータが消えてしまいます。
セーブ&ロード画面は存在するので、一見ゲームデータをセーブ&ロードできる様にも思うのですが…
“バックアップ電池の切れたソフトみたいな状況”と言えば分かりやすいでしょうか?

オリジナル版では「1~3」いずれかをクリアするとクリアデータがオートセーブされるのですが、
タイトル画面に戻る際のソフトリセットも電源OFFと同じ扱いなので、やはりセーブデータが消えてしまいます。
「1~3」全てのタイトルをクリアしたセーブデータを作らないとメガワールドナンバーズが出現しないので、
携帯型メガドライブ収録版では永遠にワイリータワーに進めない(!!)という事になります。
(サウンドテストでステージBGMは聴けるので、内部データとしては収録されている筈なのですが…)

「1~3」のエンディングを見るにはノーセーブで、最初から最後までぶっ通しでプレイしなければならず、
誤って方向ボタンの真上にあるメニューボタンを押してしまえば、それまでのプレイが水の泡。
やっとの思いで「1~3」をクリアしても、クリアデータは残らないし、ワイリータワーには絶対に進めない…
「本当にテストプレイしたの!?」と疑わざるを得ない代物です。

※本体にSDカードスロットがあるので、SDカードがあればセーブができそう…にも思えるのですが、
SDカードスロットはダウンロードソフトの読取専用で、残念ながらセーブに使う事はできませんでした。
(しかし一体どこでダウンロードソフトを購入できるのか…? 解らないナゾだ?)


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携帯型メガドライブ 総合レビュー(5段階評価)
大きさ・重量:☆☆☆☆☆ 薄くて軽く、持ち運びに便利
ボタン配置:☆☆☆☆★ メニューボタンとスタートボタンの位置にやや難あり
キーレスポンス:☆☆☆☆★ 方向ボタンの仕様上、斜め入力が上手くできない。6ボタンの反応は良好
バッテリー仕様:☆☆☆☆★ USB充電式。一度充電すれば長時間連続でプレイできる
収録タイトル:☆☆☆★★ 80と数が多く、名作やレアソフトも収録されているが、無名のソフトが多数
グラフィック:☆☆★★★ 発色は良いがドットが歪んでおり、グラフィックが汚い。TV出力は必須
音楽:☆★★★★ 総じて音が低く、BGMが不協和音と化している
備考:TV出力対応(AVケーブル別売)、セーブができない
総評:☆☆★★★

海外製の変わったゲーム機、怪しいゲーム機を集めている人なら満足できるかも知れませんが、
熱心なメガドライバーや、「ロックマン メガワールド」の完全移植を期待していた人には期待外れの代物。
キーレスポンスや大きさなど、携帯ゲーム機としてはなかなかの出来なのですが、
逆に言えば褒められる所と言ったらそれくらい。いくら海外メーカー製とは言っても酷い代物です。

それだけでなく、それ以上に残念だと思うのは… これが無許可で発売された海賊版ハードではなく、
セガ、カプコン両社の許諾を得て販売された、れっきとしたライセンス品(オフィシャルグッズ)であるという事。

本商品の開発は全てAt Games社によるもので、セガとカプコンは許可を出しただけ…とも考えられますが、
グラフィックやBGMの劣化が酷い、セーブができないといった明らかな欠陥があるにも関わらず、
セガ、カプコン両社がそれを見過ごしてしまった、あるいはOKを出してしまったというチェック体制の甘さは、
“両社の信頼にも関わる重大な問題である”と指摘せざるを得ません。


今までに数多く発売されてきたメガマン(ロックマン)シリーズの移植版の中でも、
今回の「Mega Man: The Wily Wars」はシリーズ史上最悪の移植版ではないか、と個人的には思います。
…単なる出来だけの話だけでなく、北米ファンが待ち続けた18年分の期待を裏切った、という意味でも。
メガマン(ロックマン)が25周年を迎える年にこれを出してしまった、という意味でも最悪です。


ファンにとって、この けっかんだらけの いしょくばんは

まさにじごくじゃ!


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―しかし、北米では一度発売中止になり、移植版の発売も絶望的だと考えられてきた、
「Mega Man: The Wily Wars」を復活させたという意味では、本商品は大いに評価できると思います。
今回の移植については残念でしたが、今後日本でも移植される可能性があるのではないでしょうか?

願わくば、今回の汚名を返上するためにも、ファンの期待に応える為にも…
Wii/Wii Uバーチャルコンソールなど、現行のゲーム機を対象とした配信タイトルとして、
「ロックマン メガワールド」「Mega Man: The Wily Wars」の完全移植を実現してほしいです。

また、2013年現在もメガドライブ互換機を作る、という心意気は素晴らしいと思うので(あるいみで)、
At Games社には今回の反省を踏まえて、より良い携帯型メガドライブを作って行ってほしいですね。


25周年を迎えた今だからこそ、今後のロックマングッズ展開をより良いものにして行く為にも―
ロックマンと僕達は、この携帯型メガドライブから色々な事を学ぶべきではないかと思うのです。