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先月、兵庫県尼崎市のWEB買取専門店チャンズマーケットによる代行出品という形で発見された、
昨年7月に亡くなられたアニメ・特撮研究家の故・伊藤秀明氏の生前のコレクションアイテムだったとされる、
『MEGA MAN 2』(海外版『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』)雑誌用版権イラストセル画を落札しました。

これには入札するべきか… 落札できたとして、その事実を公表すべきか迷うところではありましたが、
これ程までに素晴らしい版権イラストが描かれながら、世間にその事実が全く知られていなかった、
その原画が再び所在不明になってしまうのは、ロックマンにとって非常に大きな損失だ
と感じたため、
一連の調査に区切りを付けるという意味も含めて、思い切って落札し、その事実を公表する事にしました。

これらのセル画を大切にされてきた故人を偲ぶとともに、
今回は夏休み特別編として、この『ロックマン2』セル画について詳しく紹介したいと思います。

記事制作協力(スペシャルサンクス)
・ WEB買取専門店「チャンズマーケット」オークション代行出品担当スタッフ様
・ シリルさん ※一連のセル画の落札者の一人

※記事中の画像はいずれもセル画から直接スキャンしたものではなく、カメラで撮影したものになります。
更にWeb用に画像を一部加工・画質を落としたものを使用していますので、閲覧の際は予めご了承下さい。
(海外誌の現物は入手困難な為、スキャン画像を掲載しているファンサイトを情報元として紹介しています)

2014年8月14日(木)追記:
後の調査で判明したセル画の使用先情報を追記しました。

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故・伊藤秀明(いとうひであき)氏とは?
「サンダーバード」「宇宙戦艦ヤマト」等のアニメ・特撮研究家として知られる編集者兼イラストレーター。
自身が設立に参加した銀英社刊行のアニメ誌「ファンロード」の連載では“ケッダーマン”として親しまれた。
近年の代表作は2009年8月下旬発売の食玩『エヴァンゲリヲンスナック』パッケージイラスト、
2010年松本零士監修 「宇宙戦艦ヤマト」 大クロニクル編集、2013年「サンダーバードぴあ」出演など。
2013年7月21日(日)未明、急性心不全のため逝去。享年55歳。

今年6~7月、兵庫県尼崎市のWEB買取専門店チャンズマーケットによる代行出品という形で、
ロックマン(メガマン)を含む多数のアニメ・ゲームの版権イラストセル画を所有されていた事が公表された。
※セル画発見までの経緯および、一連の調査内容は「ロックマンレアグッズ」カテゴリーにまとめています

松本零士監修 「宇宙戦艦ヤマト」 大クロニクル Amazon.co.jp: 松本零士監修 「宇宙戦艦ヤマト」 大クロニクル
発売日:2010年12月2日(木) 価格:3,800円+税
出版社:グライドメディア
サンダーバードぴあ (ぴあMOOK) Amazon.co.jp: サンダーバードぴあ (ぴあMOOK)
発売日:2013年7月10日(水) 価格:1,429円+税
出版社:ぴあ株式会社


イラストの大きさについて
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※セル画の保護のため、店舗担当者様の配慮でOPP袋で包装されています

D-Arts ロックマンとの比較写真および裏面の写真。まずこのセル画で特筆すべきはその大きさで、
店舗側の計測によると、そのサイズは何と約37.7cm×50.3cm(背景の画用紙を含む最大値にて計測)。
これはほぼB3サイズの大きさで、非常に大きなセル&画用紙に描かれたイラストである事が分かります。

この一枚の中に「ロックマン2」のキャラクター達が沢山描かれており、その迫力は正に圧巻の一言。
セルの端と画用紙、画用紙の裏面を留めているテープの変色を見ると相当の年数を経ている事が伺えます。
(一連のセル画の使用先雑誌から推測すると、おそらくは1990年~1993年頃に描かれたもの?)

D-Arts ロックマン Amazon.co.jp: D-Arts ロックマン
発売日:2012年12月22日(土) 価格:3,500円+税


イラストの解説および考察
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拡大写真その1~その2。出品時の写真では細かなディティールを確認し辛かったですが、
描かれているキャラクター達の姿をよく見ると、ゲームの公式イラストとは微妙にデザインが異なっています。
鉄仮面を着けたヒートマンや子犬の様なフレンダー、ゴブリンを小さくした様な姿のプチゴブリン等に要注目。

ワイリーマシン2号はネジの一本まで緻密に描かれており、ワイリー基地の質感も不気味でとてもリアル。
しかし熾烈な戦いを予感させる一方で、ロックマンは口元に笑みを浮かべ、敵側もコミカルに描かれており、
まるで子供達がジャングルジムで遊んでいる様な「楽しさ」を感じさせるイラストになっています。

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拡大写真その3~その4。前回記事でも触れていますが、セル画に描かれている8大ボスの姿は、
北米のゲーム雑誌「Nintendo Power」の付録だったという「Mega Man 2」ポスターイラストでの姿とほぼ同じ。
特にガッツタンクは分かり易く、上唇がクチバシの様に尖っており、ヘルメット頂点が青く塗装されています。
(よく見ると先程触れたDr.ワイリーの顔も丸々としており、ポスターイラスト等とそっくりです)

■Five Things – 7.1.13 | Timid Futures
http://www.timidfutures.com/2013/07/five-things-7-1-13/

体色が黒っぽく、胴体や腕にV字ではなく矢印模様の描かれているクイックマンや、
腕の先がクラッシュボム先端のトゲでなく銃口になっているクラッシュマンにも注目したいところ。
テリーがロックマンに向けて舌を出している=テリーに口がある(!)事にも驚きです。

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拡大写真その5~その6。アイテム2号に乗っているロックマンの脛(すね)の部分に凹みがあり、
ヘルメットの太陽エネルギー取り入れ口が黄色く、更に頬の部分が角張っているというデザインは、
欧州版『MEGA MAN 2』のパッケージイラストに描かれたメガマンの特徴と一致します。

■Mega Man 2 - Capcom Database
http://capcom.wikia.com/wiki/Mega_Man_2
http://img1.wikia.nocookie.net/__cb20080826175227/capcomdatabase/images/7/77/MM2Europe2.png

「ワイリー基地真下の崖に滝がある」という風にアレンジする事によって、
バブルマンやアンコウ達がいても不思議でないシチュエーションを作り上げている事に脱帽です。


イラストの使用先および作者について
一緒に出品されたもう一点のセル画が欧州の販促誌「CLUB Nintendo」で使われていた事を考えると、
このセル画ももしかすると欧州の販促誌向けに描かれたものだったのかも知れません。

ですがロックマンが欧州版デザインである事に対し、8大ボスやガッツタンクなどは北米版のデザイン。
日本のロックマンファンに全く知られていない(もし日本向けならマニア間に何らかの情報が残っている筈)、
後の画集に収録されていない、その圧倒的な画力などの理由から、少なくとも海外向けの、
版権元とは別の外部イラストレーターが手がけた作品である可能性が高いと思われるのですが…

一連のセル画の元の所有者であるとされる伊藤氏が既に亡くなられている事もあり、
どの国の・何の媒体用に・誰によって描かれたものなのか特定するのは非常に困難だと思われます。
(少なくとも、今回の調査でこのセル画が何に使われたのかを特定する事はできませんでした)

…しかし、使用先不明・作者不明というベールに包まれながらも、このセル画は
日本のロックマンのイメージを踏襲しながら、北米・欧州のデザインを見事に取り入れており、
各キャラの細かなディティール、緻密に描かれた背景、エアブラシをも駆使した美麗な色彩などを考えても、
各国のデザインを研究し、非常に高度なテクニックの下に描かれているという事が分かります。

一連のセル画が実際に使われていた事実を考えても、これがファンアートの類だとは考え難いです。
非常に優れた腕を持つプロのイラストレーター、或いはアニメーターの作ではないでしょうか。
(氏が生前多方面で活躍されていた事実を考えると、もしかすると伊藤氏直筆の品なのかも…!?

2014年8月14日(木)追記:
■Mega Man 2 Poster Aus Club Nintendo Zeitschrift | eBay:
http://www.ebay.com/itm/Mega-Man-2-Poster-aus-Club-Nintendo-Zeitschrift-/171382292454

後の追加調査で使用先が判明! 何年何月号かは不明ですが、こちらのオークションの情報より、
欧州の販促誌「CLUB Nintendo」の付録ポスター用に描かれたものであった事が分かりました。


あとがき
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今でこそ、雑誌などでゲームの版権イラストやコミカライズ(漫画版)が描かれる時は、
作者が原作のイラスト等をよく研究し、キャラクターイメージの統一を図る事が当たり前になっていますが、
ファミコン全盛期の頃はまだそうした認識は一般的ではなく、ドット絵から想像を膨らませて描く事により、
ゲームとは全くかけ離れたイラストになってしまうという事例が多くありました。

勿論、ロックマンシリーズにも海外版や雑誌等で、そういう事例が多数あったのですが(苦笑)、
当時これ程までに素晴らしい版権イラストが描かれていた、そしてその原画が現存していたと分かったのは、
ロックマンシリーズにとって幸せな事であり、ロックマン史に残る大発見ではないかと僕は思います。

しかし… 惜しむらくは、これらのセル画の元の所有者であるとされる伊藤氏が既に亡くなられており、
これ程素晴らしい作品でありながら、今まで誰も知らなかった、全く評価されていなかったという事。
また、オークションである以上仕方ない事なのですが、元は一ヶ所にあったものが四方に分散してしまった、
そしてその一つが僕の手元にある今は、正当な評価の場に出してやる事もできない…というのが現状です。

故人の遺産を手放す事に決めたご家族(或いは関係者の方)の意思を第一に尊重すべきであり、
店舗側での取り決めや、個々のセル画の落札者様の個人情報もあり、実現は難しいかも知れませんが…
願わくば、これらの作品が“公式の版権イラスト”として、版権元から、世界中のファンから正しく評価され、
ロックマンシリーズの公式イラスト集に収録したり、イベント会場に展示する方向に動いてほしい。

ロックマンファンである事は勿論、氏の生前の活動に、氏が残したコレクションにとても感動・感服した、
多くの人に愛された「ケッダーマン・コレクション」の落札者の一人として、僕はその様に考えています。

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