2017年11月23日

宇宙時代のファシリティマネジャー その2

宇宙時代のファシリティマネジャーに必要な知識は幅広いが、今以上に必要な分野がありそうだ。

宇宙は広大だ。

ロマンチックな地球の姿を見下ろしながら、今後のファシリティ戦略を練っている姿を夢見ていてはいけない。多分、あなたが最も不得意な分野が待ち受けているからだ。

それは、宇宙を統べる「法」だ。

地球から見て宇宙はどこから始まるのか?

対流圏、成層圏、中間圏、熱圏と学術的にはいろいろあるが、実はまだ決まっていない。

おおむね地上から100Km以上、という曖昧な暗黙の了解が共有されているだけで、文章として合意されたものがない。条約や協定にもなっていない。正確には、「国際宇宙公法」や「国連宇宙5条約」など、既存の枠組みには定義されていない。

飛行機は航空法に則るが、ロケットやスペースシャトルは何を拠りどころとするのか?

再利用型ロケットの1段目は、リモートで地球に着陸するが、航空法には「飛行機」の定義が書かれていないため、航空法を適用してよいのかどうかを判断できない。

飛行機は航空法に従って登録する必要があるが、ロケットや人工衛星は「登録国」がそれぞれの国内法に従って事業主体から登録申請を受付け、国が国連に登録する。登録することで、「宇宙物体」として軌道と周波数帯が割り当てられる。

軌道確保は他の宇宙物体との衝突回避に必須であるし、周波数帯が割り当てられないと、通信ができない。

実は、ロケットもスペースシャトルも人工衛星や宇宙船も、十羽一からげで「宇宙物体」として扱われるし、他国の放送衛星のトランスポンダーの1つをリースしているだけでも、登録国の国内法の手続きが認める限りにおいて宇宙物体として登録できる。

さらに、1つの放送衛星で、2つの軌道と周波数帯を登録することもできてしまう。実際に、他国の衛星の軌道を一定期間変えてもらって、自国の衛星として別の名前で登録することができてしまうし、既にそうした事例も発生している。

登録国とは事業主体の国籍国ではなく、「打ち上げを行なう」国となるが、このルールには色々な問題がある。

登録国には第三者に被害が発生した場合に、全面的な賠償責任があり、しかも無過失責任だ。第三者の被害とは、ロケットや人工衛星の一部が落下してきて、運悪く周辺を通過していた飛行機にぶつかったりすることも想定されている。そこで、国は民間の事業主体に保険をかけることを義務付け、求償権を設定する。

また、ロケットを打ち上げる企業と衛星を所有する企業の間では、クロスウェーバー条項付きの契約が交わされるが、これは相互免責条項といって互いに賠償請求権を放棄する旨が書かれているので、それぞれ保険に入って自己防衛する必要がある。

そもそも宇宙には「領有権」というものがないので、宇宙そのものは誰のものでもない。例えば月の地下に眠る資源は誰のものなのか、どこでどういう手続きをすれば所有できるのかは誰も答えを持っていない。最近、一定の条件下で資源の所有権を認める法律がアメリカで成立したとのことだが、だからといって国際的に認められているかは別の次元のことだ。

宇宙開発は長らく、国威発揚や覇権争いを行なう国家事業として推進されてきたため、民間事業者の商業利用を想定していないことが多く、法体系や国際的なルールが未整備なのだ。

また、軍事利用など、国家安全保障が関わることについては、政治的なリスクも高い。

そこで、あなたのミッションだ。

宇宙時代はこれから花開く分野だが、いろいろな事柄が未整備でリスクが高い。単にファシリティを作って管理するだけではなく、ファシリティに影響する事業リスクがどこにどれだけあり得るかを把握し、リスクマネジメントの一翼を担わなければならない。

これを面白いと感じることができなければ、ファシリティマネジャーとして活躍できる場所が限られてしまう気がする。


2017年11月19日

宇宙時代のファシリティマネジャー

宇宙って不思議だ。

どうやって生まれたのかまではわかっているけれど、生まれる前とか、今後どうなるのかは誰もわかっていない。

でも、夜空に輝く星たちや銀河は現実に、目の前に横たわっている。

そして、僕は会社のファシリティを任されているファシリティマネジャーだ。だから来るべき宇宙の時代に備えて、宇宙時代の僕の仕事を想像して、僕が何をすべきか考えてみよう。

僕の仕事は、Japan Space Industry Co,.LTD が所有し、運用するファシリティを最適化することだ。

人類は既に月をベースに太陽系内を飛び回り、火星をテラフォーミングしながら、溢れかえった地球の人口を植民する新天地探しをしている。だが、火星の人口はまだ100名に満たず、多くは科学者とエンジニアで、テラフォーミングは始まったばかりだ。

当初、テラフォーミングは100年ぐらいで終わると予想されていたが、火星規模で環境を変えることはいくつもの変数をコントロールする大変な事業だと気づくのに10年もかかってしまった。今の予想では、少なくともあと120年はかかるという見通しが支配的で、民間企業がリスクを負って進出する機運は下火となり、この分野に限ると政府の出資が50%を超える半官半民になってしまった。

宇宙時代の黎明期には、宇宙ビジネスには様々な可能性が想定され、チャレンジ精神旺盛な起業家達が我先を競って参入していった。だが、観光や資源開発を除くと、思ったように需要が盛り上がらないばかりか、先行投資期間の長さにしびれを切らした投資家が資金を引き揚げる動きが活発化した結果、各国政府による救済が必要な事態となった。

今、宇宙ビジネスの中心は、木星や小惑星帯と地球を往復する資源運搬と、火星と月にあるホテルに滞在するショートステイの観光旅行だ。それだけでも地球上にはいくつもの宇宙港が空港に隣接して建設されているし、地球の重力から脱出する際の衝撃や無重力状態へのスムーズな適応をサポートするトレーニング施設、宇宙滞在時に細る筋力などを回復させるリハビリセンターなど、大量に宇宙に人を送り込むにはそれ相応のファシリティが必要で、宇宙で必要とされるファシリティを上回るスピードで地上にファシリティが拡張されている。

いつかは地上を上回る規模のファシリティが宇宙でも建設される時代が来るだろうが、それには月や火星で必要なものが宇宙で調達できることが条件となる。つまり、自給自足だ。

宇宙には資源が溢れているが、小惑星が鉄やニッケルで作られているとはいえ、精錬しないと鉄としては使えない。無重力や低重力空間では純度が高い鉄ができるが、純度が高い鉄の特性が通常の鉄とはかなり違っていることが知られていて、実用レベルで使えるかの検証はこれからだ。また、同じ鉄でも棒鋼と高張力鋼板などの薄板とでは製造設備や工程が違うと思うが、3Dプリンターがあれば製造できる部分もあるだろう。ともあれ、素材や部材の種類を極力限定するなど、設計手法そのものを変えていく必要がある。

こうしたことから、ファシリティマネジャーには、地球上と宇宙にあるファシリティの両方を見比べながら、最適な資源配分を立案し、経営陣に提案していかなければならない。

つまり、宇宙のファシリティには「調達戦略」「ロジスティック戦略」が、地上のファシリティには施設拡張後の「撤退戦略」や「出口戦略」が必要とされる。

また、技術的な問題の予見性が著しく低いのでリスク管理が重要になることは間違いない。

今回は、マクロな視点で宇宙時代のファシリティを取り巻く環境を概観したが、次回は、ファシリティマネジャーがどのような知識を持っていなければならないかを少し書いてみたい。


2017年05月07日

いずれ来る将来と未来について_1

最近音沙汰がなかった友人から、突然電話があったのは、2月のこと。

携帯電話がなり、着信元を見て友人の名前を呼ぶが、反応がない。どうしたのかと思うとすぐに「八川さん、ごめんなさい。年賀状を無駄にしてしまって。」と繰り返す彼。

僕はそんなことのために電話をしてくれたんだとなんだか申し訳ない気がして、ありがとうと言いながらも、「ごめんなさい」を繰り返す彼に近況を聞くのも憚られて、じゃあまたと言って電話を切ってしまった。

新しい住所を聞きそびれたのに気が付くのに30分くらいかかり、自分の間抜けさ加減に呆れながら電話をするが、相手は出ない。嫌な予感がして何度か電話をするが、なかなか出ない。メールを出して返信で住所を教えてもらおうと思ってメールを送るが返事がこない。

月曜・火曜と日が過ぎるが、電話もメールも届かないので、何か知らないかと共通の友人に連絡をとっても誰も近況を知らない。昼間仕事の手を休めたついでに携帯電話を見るが、何が起こっているのか分からず、いらいらする自分に気がつく。

ようやく土曜日にメールが届き、近況が分かった。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)で昨年2016年11月に埼玉の専用施設で療養をしており、体が動かないので家族が来た時にしか電話もメールもできないとのこと。

見舞いをと思い、場所を尋ねるが「気持ちだけで良いから」との返信に、返す言葉がない。せめて近況をと、メールで自分もパーキンソン病にかかり、進行は遅いが、徐々に体が動かなくなっていることを伝えた処、「自分だけが辛い目に会っていると思っていた」との返信が届いた。

あれから連絡を取ってはいないが、手も足も動かず、いずれ呼吸が出来なくなって死を待つばかりの姿を見せたくないのだろう。自分を彼に重ね合わせながらも、人間はいつかは死ぬのだからと自分に言い聞かせながら、心の準備ができていない自分が怖くてメールが出せないでいる。

いずれ来るメールが彼の死を知らせるものであることを知りながらも…。


2008年10月13日

ワールドカップ2054のための習作0014

キーパーが大きく蹴りこんだ。

バックスピンがかかって伸び上ると、左のサイドラインに切れ込みながら落ちていく。センターラインを15メートルくらい駆け上がった僕はアウトサイドでトラップした右足からツンッと左足に持ち替えた瞬間に強く蹴り出し、スピードに乗った。トップスピードでゴール前に差し込んでいく動きにディフェンスがつられると、左右にフォワードとミッドフィルダーが開いていく。

しばし、ゴールに向かって一人旅。

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2008年09月26日

体内年齢って何だ?

体重計が壊れていたので、買い直すことにした。

大井町のヤマダ電機で品定めをするが、体重計も多機能化していることに驚いた。

体組成計といって、脂肪・筋肉・骨など体を構成する成分を測れるらしい。

体に電気を通して、電気抵抗の具合でわかるのだそうだ。

試しに測ってみたところ、体内年齢25歳…???という表示が出た。

実年齢は50歳なのに、25歳とは…。

筋肉量が多く、体脂肪率が低くて、体重あたりの基礎代謝量が高いほど、若いということらしいが、25歳という数字はとっても嬉しい。これも日頃テニスなどで鍛えたおかげか?

でも、ひょっとして、どんな人にもこうした「嬉しい」数値が出てきたりして…。

けど、ここまでわかる(メーカーは推測と言っているが…)のなら、そのうち、脳みその量とか性ホルモンの量とかも測れるかも知れない。まじで。

そんな時代が来たら、健康診断の風景も一変するような気がする…。

「おい、今日の健康診断どうだった?」

「脳みそが500mmgも増えてたよ。脳増量剤のおかげかな?」

「ちっくしょう。俺も使えばよかった。来月昇進試験なのにどうしよう!」

なぁ〜んてね。


2008年09月14日

金の獅子舞2

先週都内をぶらぶらしていたら、とある会社のロビーに獅子舞が展示されていたのを発見した。

http://livedoor.blogimg.jp/captain_ken/imgs/9/5/9543de85.JPG>

曰く。町内会のものなのだが、長年使ううちに痛んできたので、修繕の上、保管スペースを兼ねて展示スペースを提供しているとのこと。

CSRの観点から素直に評価したいところだが、少しひっかかる部分もある。つまり、金を出していることはわかったけど、汗を書いている???ところをきちんと書かないと変に勘繰られてしまうのでは…ということだ。

お正月や祭りにつかうものだから、社員がボランティアで参加していて、一緒に汗も書いている写真の1つや2つあっても良いのだが、奥ゆかしいのか、そんな展示は何もない。何もないから判断しようがないのだが、普通に考えて、業務時間外や祝日・盆休み・正月休みを潰して、住んでもいない地域の町内会のお祭りに参加する社員がいるとも思えないし、少し意地悪な見方かな…と思わないでもない。

でも、そうすると何をもって企業市民として地域に参加するのかという命題に応えることができなくなってしまうという理屈もある。う〜ん、難しいなぁ。というのが本音である。


2008年09月13日

久しぶりのブログ書き1

久しぶりにブログを書く気になった。

もう何も投稿しなくなって2年も経ってしまったが、ようやく最近何か書こうかな…という気が湧いてきた。

思えば、2年前はショートショートを書き出したことで、ショートショートを書くことが目的となってしまい、ネタがない=書くことがないという感じになってしまい、もともと日記的に書こうというところからかなり離れてしまっていた。

何でも過ぎたるは及ばざるがごとし…というが、とりあえずは、何となく、目的も目標もなく、徒然に書いていこうと思う。その中でまた、書きたくなればショーとショートを書き出しても良いし、書いたものの中から短編を書いていきたいと思うことがあるかも知れない。

それも含めて、風任せ・運任せで、ふらふらとのんびりやっていこうと思っている。


2006年11月03日

怠け者の家来(ショートショート)3

昔、昔、ある処で、一人の怠け者に王様から家来が届けられました。

『おまえの怠け癖は、一方ならぬものがある。何にでも秀でいるのは、素晴らしいことだ。家来一人を遣わそう。』

家来が来てからというもの、怠け者は本当に何もしなくなりました。一方、家来は言い含められていたので懸命に主人に尽くしましたが、何もすることがなくて、そのうち段々と怠け者になっていきました。二人の怠け者は、朝から晩まで寝てばかり。夜から朝まで飲んだくれていました。

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2006年10月15日

くったくのない殺人者(ショートショート)3

最近少し疲れているのは、結婚したせいかも知れない。夜毎二人で燃え上がるせいで、明け方まで眠むれない。それでも生活に張りができたおかげで、仕事にも身が入るようになって、ちょっと頑張り過ぎかも…。


もう一人じゃないんだから…と張り切るのは、自分で言うのも何だけど、彼女に対する責任感ってやつ。幸い、去年の大仕事のおかげで名前も売れたし、ようやく仕事を選べるようになってきた。



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2006年10月07日

神無月の頃(ショートショート)2

神無月の頃は日本中の神が出雲に集まるので、出雲の地は神で溢れている。さながら、千と千尋の神隠しに出てくる湯屋のようだ。


中には、来て欲しくない神もいる。貧乏神にたたり神、死に神達だ。そんな神達もこの月ばかりは仕事返上で、飲めや謡えやの大騒ぎ。こういうのに限って酒乱が多いのだが…。



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