2016年03月07日

【児童性虐待記録物】 キャンペーンについて




2015年の児ポ法関連回顧 ①

【児童性虐待記録物】 キャンペーン




これは昨年ではなく2014年3月頃に展開された運動だが、
以前から規制反対派と一度議論したいと思っていた話題であるので、
ここに入れておく事にした。

なんで議論したいと思ってるかと言うと、
こんなことをやって一体何の意味があるのか、
考えていることやその神経がサッパリ理解できないからである。



キャンペーン · 児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください。

児童ポルノから児童性待記録物へ11939名の署名を集めよう
   - Togetterまとめ


「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください。」
  署名が5000人を突破した件。「マンガ論争」も賛同してます。
     | マンガ論争Plus :


国民の基本的人権と安全を考える有志のブログ
 【拡散希望】【署名】児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と
   呼んでください。+α




このあたりを読んでみた限りでは、要するに

児童ポルノ法で救うべきは性的虐待を受けている児童である筈だが、
「児童ポルノ」 という言葉だと家族写真やマンガ・アニメなど創作物までも
含んでしまうという誤解や懸念を与えてしまう。
その一方で、実際に性虐待を受けている児童が
救済されていないという現実があり、許されない事である。

真に守るべきは虐待されている児童であるという事を明確にすべく、
「児童性虐待記録物」 と言い換よう!





という事を言いたいらしい。

これは本質的に児童の人権を半恒久的に制限せよという主張であり、
児童の人権を出しにしてロリエロマンガやアニメを
守ろうという本音がミエミエの企てでもある。


まずわからないのは、発起人である廣田恵介氏や賛同者たちが、
被害児童に同意があった事例、たとえば援交ハメ撮りや
SNS上の自撮りエロ写メの製造を幇助する行為などに対して、
それらも 「児童性虐待記録物」 に含まれるべきだと
考えているのかどうか?ということだ。

これらは現行法で違法として運用されている。
言葉の定義は人それぞれとはいえ、
これらの事例を 「虐待」 と呼ぶのは一般的とは言えないだろう。

普通に言うならこれらは 「性的搾取」 にカテゴライズされるべきであり、
そのことが名称にも主張にも一切触れられていないという事は、
彼らがその点に関して意図的に触れ無いようにしているか、
もしくは違法対象から除外しようとしている、と解釈するしかない。

仮に除外の意図はなく、また言葉の定義にこだわるとするならば、
それは 「児童性虐待ならびに性搾取記録物」 と
呼称されなければならないだろう。

 (もっとも、性的搾取と言う言葉の定義は虐待に比べても
   かなりの拡大解釈が可能であるから、集団的人権が認められれば
    そこにマンガやアニメなどの創作物が含まれる可能性は大きくなる)


この事は、彼らがイメージする 「児童の人権」 の範囲が
一般に比べて狭いという事実を裏書きしている。

虐待とまでは言えない程度の性的搾取は言うに及ばず、
架空表現が実在の人権を傷つける、と言う主張は
珍しくもないし新しくもない筈だが、なぜか彼らは
児ポ法や表現の自由、サブカルチャーに造詣が深いにもかかわらず、
まったくそのあたりに想像を及ばせようとしないのだ。

ひょっとしたらあえて見ないふりをしているのかもしれないが、
「ヒドイ虐待さえ禁止しとけばそれ以上の人権保護はしなくてもOK」
みたいな人権感覚の持ち主が、まあそれ自体の是非はともかく、
ことさらに人権意識の高さを偽装して政治運動を行うなど、
規制反対派が批判してきた推進派の偽善っぷりと
何ら変わるところは無い。


そもそも、このような言い換えは、言葉のイメージと実態に
乖離があるという社会の同意がはじめに来ないと意味を為さない。

今回の件で言えば、児ポ法の違法対象を虐待記録のみに
限定すべきと言う社会の同意が無いと、
言い換えだけやったって実態はついてこない。

彼らが最初にすべきことは、机上のみの姑息な言い換えではなく
そのような社会の同意を得るための政治・啓蒙活動であるべきだ。
   (まあ、実現はほぼ不可能だろうけど)

児童ポルノと言う言葉は、欧米で一般的な child pornography の
直訳だろうからとりたてて特異なわけでもなんでもないし、
社会全般に嫌悪感や忌避感を与えている
「児童を性の対象にするような表現」 のいかがわしさを
簡潔かつ適切に表現する言葉として優れているから
広く定着しているのであって、
そんなところに 「児童性虐待記録物」 などという
堅苦しく言いにくい名称を持ってきたところで、
いろいろある児童ポルノ表現の中の一部のカテゴリを指す
専門用語、法律用語として認知されるのが関の山だろう。

そこいらの一般人にとって、児ポ法の保護法益がどうだとか、
一元的内在制約説がどうだとか、そんな細かいことはドーでもいいのである。

「児童ポルノは児童ポルノで良いじゃん。
 そこまでしてロリエロマンガに執着したいんだ ww」


と一笑に付されるならまだいい方で、こんな主張は
たいていは全く一般人の目に触れないか、

「何のためにこんなことやってるの、この人たち」

と気味悪がられて終了、である。


流石に規制反対派もそこまでバカじゃないので、
「一方でヒドイ性虐待映像が放置されている」
という主張をエクスキューズとして持ってきている。

だから、そっちの方を重視するかわりにロリエロマンガを
規制するな、と言いたいのだろうが、そんなバーターが
成立すると考えれるのもおかしな話だ。

どっちともそれぞれちゃんとやればいいじゃないか。
警察がやるべき仕事を放置してどうでもいい摘発に
血道をあげている、という憶測の根拠も不明だが、

「警察も人的限界があるので規制対象を増やしたら
 本当に救済すべき児童の人権を護るヒマが無くなる」

などと言いだしたら、刑罰規定のある新しい法律は今後一切
何も作れなくなってしまう。

法律は、時代時代の要請に応じて、必要なだけ新しく作ればいいのだ。
その中で、重要度の高い犯罪から優先順位が決められて
リソースが割り当てられる、警察行政は今までもそうやってきたのだろうし、
これからもそれでいいのである。


「着衣児童への射精画像が児ポ認定されなかった」
ってのも眉唾だな。それって本当にあったことなの?

この署名運動が始まった2014年4月12日時点での
児童ポルノの定義はこうだ。

一  児童を相手方とする又は児童による性交
    又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が
    他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって
     性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって
    性欲を興奮させ又は刺激するもの


これって、よく問題になる
三号には該当しないかも知れないけれど、
明らかに一号には抵触するんじゃないのか?


判例を見てみたいと思って検索したら、あっさり見つかった。

3号ポルノは絵面で判断する話。 - 奥村徹弁護士の見解
      (web 魚拓)


やっぱり、例によって規制反対派による
事実の修正が行われていた。



書いてある事を要約すると、こうだ。


地裁判決  「6歳の女の子は、別の写真で
        パンツ脱がされてっから、
         頭部への射精写真も三号ポルノね」

弁護人 「それっておかしくね?射精写真だけ見れば、
       パンツ脱がされてるかどうかわかんないじゃん」


高裁判決 「確かに」

弁護人 「じゃ、法令適用の誤りって事で」

高裁判決 「三号じゃないけど、一号じゃないとは言ってない。
        どっちにしても強制わいせつ罪だから、
         処断刑や判決に影響ないから」



という事で、この写真が児童ポルノにあたるかどうかは
判決に影響ないので争点にならなかった、というだけの話のようだ・

奥村弁護士による判決の誤謬への指摘はなるほど、
と思わせるところはあるが、なんにしても、

「児童への性虐待が放置されている!」

と言ったプロパガンダになど、とても利用できるシロモノじゃない。



インターポール (ICPO) も児童ポルノって呼び方を
 やめろって言ってるんだ! っていう
話に至ってはもう大爆笑もんである。


うぐいすリボンによるICPO主張和訳

ポルノグラフィーとは、性的快楽を目的として一般大衆に(ほぼ)合法的に
 広まっている、合意の下での性的な行為を行う成人に対して
  使用する用語である。

児童虐待画像を「児童ポルノ」、「幼児ポルノ」などと呼ぶことにより、
 別の種類のポルノグラフィーのように、それらの虐待画像が何らかの
  許容されうる合法的なものだと思わせてしまうのだ。



っておいおいおいおい、
何時から日本で 「児童ポルノ」 と言う言葉に
合法であるというイメージが付随するようになったんだよ?


それが本当なら、なんで規制反対派は
ロリエロマンガやアニメが「児童ポルノ」と呼ばれることを
極端に忌み嫌ってたんだ?


っつーか、それならロリエロ創作物こそを、
児童ポルノと呼ばせるよう運動すべきだろ?





更に突っ込んでおくと、「現実に起こってる虐待を
もっとちゃんとやれ」 と言う主張は、
警察や児童相談所の権限強化の推進を意味する。
すなわち、それら国家権力が個人のプライバシーに
深く立ち入る事態を招く結果となる。

発起人の廣田恵介氏はどうか知らないが、
これに賛同した13232名もの署名者の中には、
「児ポ法で冤罪が多発する!」 と言っていた人間が
少なからず含まれていた筈だ。


そのあたりに関しては以前このブログで徹底的に批判したので、
興味のある方はご覧になっていただきたい。

児童虐待 - 規制反対派の欺瞞



とまあ、いろいろ言ってきたわけだが、
賛同者の中には東浩紀氏など知的著名人もいるわけで、
彼ら全てが私の批判してるような事に全く気付かなかった、
というのもちょっと考えにくい。

ひょっとしたら、私が気づいていないような高尚な論理が
主張の裏に隠れているかもしれないので、
児ポ法の話題にモチベーションが下がっている現在でも、
規制反対派とこの問題で議論してみたい、と思っている次第である。







captain_nemo_1982 at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)児童ポルノ法関連 

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