2016年04月03日

「児童ポルノ所持で初の摘発事例」 について




2015年の児ポ法関連回顧 ③

児童ポルノ所持で初の摘発事例

               






児童ポルノ「単純所持」容疑で初の摘発 沖縄:朝日新聞デジタル
      (web 魚拓)

子どものわいせつ画像をスマートフォンに保存していたとして、
沖縄県警は1日、那覇市の無職の男(21)を
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)の疑いで
那覇地検に書類送致し、発表した。
県警によると、7月15日に18歳未満の児童ポルノの
単純所持が処罰対象となってから全国初の摘発。
男は「子どもの裸に興味があった。画像はネットで手に入れた」
と容疑を認めているという。

 県警少年課によると、男は8月2日午後3時半ごろ、
那覇市内のプールで、児童ポルノ画像10点が
保存されているスマホを所持していた疑いがある。
プールで子どもの写真を撮っていた男を
不審に思った客が110番通報。警察官がスマホを
調べたところ、裸の女児の画像が見つかった。



この件に関する規制反対派の見解は、だいたい

 「ついに恐れていたことが起きた!
   規制反対派ががんばったおかげで、
    今回はこの程度で済んだが、
   これからも監視の目を緩めないでいこう!」


あたりに集約されると思われる。



児ポ単純所持、初の逮捕者は職質→単純所持単独で
 3号ポルノの意味【第59回山田太郎ボイス】

      (web 魚拓)

児童ポルノ「単純所持」ついに摘発でネット大騒ぎ
  「間違ってダウンロードした場合もヤバイ」と不安の声 : J-CASTニュース

      (web 魚拓)

国民の基本的人権と安全を考える有志のブログ
  【Twitter】【まとめ】児童ポルノ「単純所持」を初摘発
    スマホに保存の容疑で書類送検

      (web 魚拓)


ちなみに、「単純所持で逮捕」 とされることが多いけど、
逮捕はされていない。また、罪状は単純所持ではなく
性欲目的所持。ここは訂正が必要かと思う。


さて、一部には危機感を煽る向きもあるようだが、
全体的に見て規制反対派の反応は薄い。
日下部氏 (元・水無月氏) のブログのコメント欄でも、
この件に触れている人はほとんどいない。

一般的に見れば、児童ポルノを肌身離さず
携帯しているような男が、プールで子どもを
盗撮していたのだから、警察が職質して
携帯の中身を見たという行為に対して、
安易な逮捕だのなんだのと危機感を煽る主張は
かなり無理がある、と言わざるを得ない。

しかも、男の携帯には盗撮画像が残っており、
被写体の児童が見つからなかったので
迷惑防止条例では逮捕できなかったというから、
もし性欲目的所持が罰則化されていなかったら
無罪放免、野放しになっていた可能性が高い。
市民感情からすれば、これは看過できる事態では
ないだろう。


まあこっちの方は割とどうでもいいんだが、
私が問題にしたいのは、児ポ法が改正されて以降、
規制反対派が煽っていたような危機的状況が
一向に訪れていないという事実に対して、
彼らがあたかも自分たちの手柄であるといわんばかりに
成果を主張していることだ。






これがインチキ予言者の手口と全く同じであることは、
以前このエントリでも批判したが、

【結論】 マンガやアニメが規制されても表現の自由は損なわれない


それがインチキではないといいたいのなら、

● 警察がムチャな摘発をやると推測するに足る
     合理的な根拠
● それを規制反対派が阻止できたと因果づけるに足る
     合理的な根拠


以上2点が呈示される必要がある。

普通に考えれば、アンチ規制反対派が主張してきたとおり、
「単純所持が規制されたって大したことにはならない」
という予測が正しかった、と考えて何の矛盾もない。

地震や噴火などの大災害の予言が外れたとして、
インチキ予言者が 「私が神に祈ったからだ」 と言っても
真に受けるのはコアな狂信者だけだ。
「最初から当たるわけない」 という見解が
圧倒的に正しい、とされるのが社会常識と言うものだ。

果たして規制反対派は、自分たちはインチキ予言者と
同じではない、と立証できるだけの根拠を提示できるのか?


結論から言うと、呈示されている根拠は
非常に薄弱なものと断言せざるを得ず、
単なる規制反対派の希望的観測の域をでていない。

てんたま氏のツイートにあるリンクは
奥村弁護士へのインタビュー記事だが、

児童ポルノ「所持」が警察にバレても「現行犯逮捕」はされない
  ーーなぜなのか? - 弁護士ドットコム

      (web 魚拓)

「捜査権の濫用を防ぐために、
『自己の性的好奇心を満たす目的』 と、
『自己の意思に基づいて所持するに至った』
という2つの要件が付けられています。

こうした要件は、客観的・外形的証拠により
立証することが必要となります。
そのため、警察庁では『原則として
現行犯逮捕はしない』という通達を出しています」


と書いてあり、色文字の部分の要件がついたことに対し、
てんたま氏は 「これが規制反対派の成果だ」 とでも
言いたいのだろうが、これはちょっと解釈がおかしい。

まず、 『自己の性的好奇心を満たす目的』 だが、
単純所持ではなく、性欲目的に限って所持を罰するという
今回の改正内容については、規制反対派は
どっちみち危険性は同じであると批判していた。
それが、今さらなんで規制反対運動の成果になるのか?

普通に考えれば、児童ポルノなんてものを
所持する理由は、性欲、性的好奇心以外にありえない。
あるとすれば公的、学術的な資料保存、家族写真などだろうが、
この場合は所持者の方が性欲目的でないことを
立証しなければならないという、立証責任転換の
可能性が高い事は以前から指摘されていた。

であるなら、自己目的要件が捜査権濫用を
防止する手立てにはなりえない。

警察がその気になれば、その辺の一般人を手当たり次第
職質して、携帯の中に児童ポルノを見つけたら、

 「お前なんでこんなもん持ってんだよ?
   性欲目的以外ありえないだろ?説明してみろ!」


と言っときゃ済む話だからだ。


もう一つの  『自己の意思に基づいて所持するに至った』
はもっとヘンで、もともと刑事罰がある法律ってものは、
過失規定がない限り、故意犯以外は罰することが出来ないと
最初から決まっている。(刑法38条)

規制反対派が過失規定を外させた、という話は
聞いたことが無いから、これもやっぱり成果の根拠としては弱い。

てんたま氏はこんなツイートもしているが、





そんな、「大事な事だから2回言いました」 なんて、
 2ch の誤爆二重投稿の言い訳みたいな事
  いわれてもな・・・・・・



「どうせ警察は法律なんて知らないんだから、
 物を知っている俺たちが教えてやるんだ」
みたいな独善極まりない選民意識には、
いつだって辟易させられると言わざるを得ない。


警察庁が 『原則として現行犯逮捕はしない』 という通達を
出したことに対して、これも規制反対運動の成果だと
看做す向きもあるが、これもちょっと無理がある。
というのは、児ポ法違反で問題になる被害児童の
年齢類推や3号該当性などを、職質の段階で
断定することはかなり難しいと思われるからだ。

今回の一件では現行犯逮捕はされなかったが、
スマホは取り上げられて一か月じっくり調べられたらしい。
その結果書類送検となったようだが、場合によっては
通常逮捕されていたかもしれない。
だとしたら、話は大して変わらない、ということになる。



さて、ここからは前回予告していた動機責任論の話になる。

動機責任論とは、政治の場において為政者、施策者の
動機を重視する考え方で、逆に結果を重視する場合は
結果責任論という考え方が対置される。

動機責任を持ち出して政治家などを批判する者は、
往々にしてその政治家がどういう結果を出したかに対する
評価をおろそかにするか、不当に低く見積もろうとする。

たとえば、アグネスの慈善活動に対して、偽善だ金儲けだ売名だと
動機を批判するヘイター達が、彼女の功績に対する
評価から一切背を向けているというのも同じ考え方だ。

動機責任論は、動機さえ正しければ、結果はどうなってもよい、
などという退廃を招きやすい。また、正しいかどうかは
批判者の感情論に基づく憶測にて判断されることも多い。
さらに、その手の動機批判は批判者自身にも容易に降りかかる。

アグネスの動機を批判して正義面してるヘイターに対しても、
「どうせ児童ポルノを見たいからだろ?」
みたいに動機を憶測して批判すれば、
彼らの主張を一切無効に出来てしまうのである。

このように動機責任論は、とても理知的・功利的な
考え方とは言えず、平たく言えばバカの言い分である。

実は、児童ポルノ規制反対運動も、この動機責任論を
柱にすることが非常に多かった。
結果責任に対しては、施行後十数年経過したにも関わらず
特に何の問題も起こしていない児ポ法の非を問うことが出来ず、
「規制すればこうなる」 みたいな未来予測で批判する以外の
手を打つことが出来なかった。

しかし、彼らの中にはバカも多いが賢い人間もいる。
今回の改正で、一定の結果を残した規制推進派に対し、
自分たちも何らかの結果を出したと承認される必要を感じたのだろう。
でなければ、自分たちの行為が全くの無意味になってしまうからだ。

しかし、その功績自慢がインチキ予言者の手口と
大して変わらないとあってはもうどうしようもない。

自己目的所持違反に関しては、今回の那覇の一件以降も
何件か摘発報道がされているが、
規制反対派の反応は一様に鈍い。
togetter で検索しても、数年前の 「単純所持の問題点」
みたいなまとめが空しくリストアップされるだけ。

規制反対派は、今後必ず来るであろう
創作物規制への動きに対して、運動方針を
もう一度見直さなければ、今回と同じ失態を
繰り返すことになるだろう。



captain_nemo_1982 at 16:30│Comments(1)TrackBack(0)児童ポルノ法関連 

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この記事へのコメント

1. Posted by 名無しさん   2016年09月11日 01:19
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

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