さて。2009年もいよいよ終わりまでカウントダウン。
そろそこ、今年のベスト10を書きたいと思います。
なお、今年も「こす読め」のランキングに誘っていただいたので、上位5作品に関してはそちらへの投票もかねているということでお願いします。
次々点 尾田栄一郎「ワンピース」
まあ、ここで僕がいまさら評価するまでもなく、みなさんが評価してくださるだろうから、ということで。でも間違いなく今一番面白いマンガのひとつ!

次点 羅川真里茂「しゃにむにGO!」
完結記念。とにかく最後まで熱くて、楽しませていただきました。感謝!!

第10位
ダニー・ボーイ
島田虎之介「ダニー・ボーイ」

とてもシマトラらしい、そしてシマトラにしては珍しく(?)読みやすい佳作。
作を重ねる毎に読みやすくなるのは、多分すごく研究してマンガを作ってるからなんだろうなあ。
ただ、その読みやすさとか、あと読む側の慣れからか、今までのシマトラ作品ほどのインパクトがなかったってのも事実。
でもそもそもインパクトを求めて描いてる作家さんでもないだろうし、そのあたりはわかっててやってる気がする。
これからも孤高の作風をつきつめていくんだろうなあ。

第9位
アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)
花沢健吾「アイアムアヒーロー」

1巻ラスト数ページの衝撃のでかさと、2巻全体の演出面でのすばらしさは特筆に価する。
この作家さんって前作、前々作ともに、どうにもこうにも「やりたいことが定まらない」というか、当初と作品の方向がブレていく感じがあって。
いつも、それが不満だったのだけど。
本作に関しては、その定まらなさ、ブレ加減が、そのまま作品の世界観に直結しているっていう、すごく気持ち悪い開き直り方をしている。
まあ、また近々ちゃんと記事にすると思うけど、現段階(つまり完結していない段階)を評価すべきマンガだと思う。
逆に言えば、完結してしまうと、評価が下がる気もする。ドラゴンヘッドの二の舞というか。。。まあ、どうなることやら!

第8位
乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)
森薫「乙嫁語り」

変なマンガであることは間違いない。ニッチなマンガであることも間違いない。
でもそれを技術と演出で誰もが楽しめるエンターティメントに仕上げているところがこの作家さんの凄みだし、強み。
作風としては「萌えの押し売り」だと思うのだけど、その売り口上が上手いんだよな。また、そうやって買った萌えも、悪くないから始末が悪い。
変な作家さんです。つくづく。

第7位
シスタージェネレーター沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)
沙村弘明「シスタージェネレーター」

天才の本気の余技。
本気の余技っていう矛盾した言葉が、多分ぴったりくる。
強烈な完成度と、それゆえに浮かび上がる沙村弘明という作家の破綻したナニかにただひたすら、ひれ伏すしかない傑作。
個人的には時代劇の反動としか思えない、西部劇と、「おひっこし」テイストの「青春じゃんじゃかじゃかじゃか」がすこぶる面白かった。

第6位
フロム・ヘル 上
アラン・ムーア エディ・キャンベル「フロムヘル」

これがマンガなのかどうなのかという一点で、ここにランクインすることに抵抗があるのだけど。(っていうか、確実に『マンガ』ではないからなぁ)
凄い作品であることは間違いない。先日レビューしたとこなので、追記することは特にない。ただひたすら凄いと連呼させていただく。
多分これは十年、二十年と読み続けられるべき傑作。

第5位
テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」

なんでこんなマンガが出てきたんだろうっていう意味では2009年最大のミステリー。
風呂+ローマのマンガ。
これまでもいろいろと変で突飛なマンガは読んできたけど、「突飛であること」それ自体がおもしろいのではなくて、「突飛な設定」で終わるのではなく、それがマンガとしてちゃんと面白いってのは珍しい。
風呂マンガがエンタメとして成立することを示してくれたという意味で、歴史的な一作になる・・・かもしれない。

第4位
モテキ 2 (イブニングKC)
久保ミツロウ「モテキ」

あー。これはおもしろい。
おもしろいとしか言いようがない。
おもしろい、以外に言葉を付け足すなら、「好き」ってことで。
なんでしょう。この感覚。
とにかく、いちいちこのマンガは自分の琴線をくすぐってくれる。ちょっと違うんだろうけど、たとえるなら一時期のげんしけん。
それに近い。
物語の筋としては「突然あらわれたモテ期にどう対処するか」みたいなものがあって、実際その設定って秀逸なんだけど。でも個人的にはもはやモテ期がどうとかってのはあんまり関係ないな。
ただ単純に「社会人の青春もの」として好き。
あと、いつかちゃんがかわいい。(結局それ)


第3位
へうげもの 9服 (モーニングKC)
山田芳裕「へうげもの」

ワンピースもそうだったんだけど、一度ピークを迎えたマンガがさらにでっかい山場を迎えると、その地力の強さに心底感服してしまう。
個人的にはこのマンガって3巻がピークで、あとは「安定しておもしろいマンガ」だったのだけど、ここにきて一気におもしろさが加速。ハンパねえ。
とにかくこの9巻はすごかった。鳥肌立ちまくった。
利休という漢の凄みと、それと正面から向き合わざるを得なかった織部。
その二人の対話シーンは今年のベストシーンかと。
マンガ読んで胸がえぐられたのはひさびさ。
「このマンガがすごい」で心底不満だったのは、これの評価の低さ。
絶対昨年よりも今年の方がおもしろかったのに。

第2位
ひまわりっ~健一レジェンド 12 (モーニングKC)
東村アキコ「ひまわりっ〜健一レジェンド」

海月姫とか、テンパリストがやたら受けてた東村先生だけど。
いやいやいや。今年一番凄かったのは絶対「ひまわりっ」ですよ。もうほんとこの巻読んだときは、衝撃走った。
だって、完全にパラノイアマンガになってんだもの。
ひとつのマンガの中で「シリアスマンガ」と「ギャグマンガ」が完全に食い合いをしてる。
相乗効果なんかない。ただひたすら、盛り上がろうとするシリアスパートと、それを邪魔するギャグパートの血みどろの足の引っ張り合い。
ガチで、ギャグがストーリーの邪魔をして、ストーリーがギャグの邪魔をする。
その結果、ギャグパートが自らの存在意義について自己言及をはじめるところで腹筋が崩壊した。
完全に悪ノリだし、完全にその場しのぎ。ある意味で幽遊白書の後半のような匂いすらする。
でも、ここには確実に今のノリのノっている東村アキコにしか描けない最狂のマンガがある。
狂った才人の前では、完成度なんか、犬のくそ!
物語と人格の崩壊。それを同時代に読める奇跡を評価したい。
マンガ読みなら絶対まとめて「今」よむべき。

追記 アマゾン見たら、評価がだだ下がりでびっくりした。え、こんなに面白いことになってるマンガ、そうは読めませんよ???なんで??

第1位
WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)
アラン・ムーア デイブ・ギボンズ「ウォッチメン」

新しい世界を開いていただいた、ということで。
緻密な狂気とでも言うべき作風は、今まで「完成度」と「狂気」は対立項だと思い込んでいたぼくの横っ面をひっぱたいてくれた。
思考と哲学の果て、自分だけは正常であろうとあがいていても、人は狂える!
で、そんな自分勝手な正常の集合体として20世紀の世界は狂ってきたんだろうってことに気づかされた。
至高の一冊。




とにかく、今年は全体的にすばらしいマンガが多くて。
とても充実したマンガライフをすごさせていただきました。
個人的には、すばらしい新人さんがたくさん!というよりはある程度キャリアのある方々がものすごく誠実にすばらしい仕事をしてくれた一年だったように思います。
数の関係でここにはあげられなかったけど、小林まこと氏の仕事なんか、その典型だったなあと

これは結局ゼロ年代ってのは大きな動きがなかったなぁという悲観的なまとめでもあるし。
10年単位くらいじゃ世代交代はできないくらいに今のマンガ文化は成熟してきたっていうことでもあるわけです。
2010年以降、どんなすばらしい作品が生まれるのかに胸を躍らせつつ。
みなさまよいお年を・・・・

追記

「こす読め」関係者の方へ
アメコミがマンガなのかどうかが自分では判定できなかったので、とりあえず入れてしまいました。
違うと判断された場合は「WATCHMEN」と「フロムヘル」は抜いていただいて、随時繰り上げで投票していただけるとうれしいです。
めんどうなランキングですみません。。。