生き抜くための恋愛相談

もっと若い頃に読んでおきたかったと思うと同時に、遅ればせながらだけども今読んでよかったなと。

男性にとって女性は永遠の謎である・・・・みたいな警句、名言、アフォリズムの類は枚挙にいとまがない。
まあ、そういう警句の類が莫大な量で残されているのは、昔からずっと誰もがその永遠の謎に困惑し、振り回されてきたってことの証左なわけで。
まあ、生きてきた実感としてもそういうもんだろうなあとしか言いようはない。
世の中には男性と女性、それにその間の人々がいて。
それらはいつまでたっても他者であり、完全にわかりあえることなんてない。

ただ、内面はわからなくても、お互いをとりまく現状というか環境への理解を共有することはできる。
お互いがどういう立場にいるのか。
お互いの要求はなんなのか。
そして周囲はそれをどう見ているのか。
そういった情報を把握し、論理的に整理していくことで見えてくるものはある。

でも多くの場合、人はそういった情報を整理するという作業はすっぽかしているのではないか。

この恋愛相談本は、一応恋愛を相談している本なのだけども、その実「情報を整理する」という手段がいかに人間関係を、ひいては生き方を楽にしてくれるかということを明示してくれる。
で、その手腕を本書では「立ち位置を明確にする」という言葉で表現する。
相談者が今現在、何に悩んでいるのか、これからどうしたいのか、どうすることがその相談者にとっての幸せにつながるのか。
そのことをまず、とことん整理する。
ときにその整理は、目の前の相談をどんどん置き去りにしていくこともある。
でも、そうやって置き去りにすることでむしろその相談者の悩みを客観的に眺めさせる。
この、誠実で明確なメソッドに惚れ惚れした。

さてさて。
本書では情報を整理することで明らかになるのは、男と女の本質的な違い・・・ではなくて、社会的な立ち位置の違いであることがわりとあって。
これは、男である自分としてはなかなかに考えさせられる部分だった。

よく、女性と男性の思考法の違いを「脳のつくりの違い」みたいなところに帰着させる本はわりとある。
有名なところだと「話を聞かない男、地図が読めない女」とか。
で、勿論そこで述べられていることも一定の信憑性はあるのだろうと思う。

でも、男と女の違いを「脳の違い」だけで片付けてしまうと、男と女の間に対話は生まれない。
「脳の違い」みたいなところに甘えてしまってお互いの立ち位置の違いを考えることを放棄するというのは21世紀の社会を生きる人間としてはわりと乱暴だろう。
でも、男は往々にしてこの乱暴な論法に甘えることが多いように思う。

うまく言えないけども、例えば女性専用車両に対して、憤慨している男性とかは一度本書を読んでみるといいのではなかろうか。