ちはやふる-上の句-

青春映画!!
よくできているという噂はかねがね聞いていたのだけども、見てみたらやっぱりよくできていて。
特に上の句は視点をちはやではなく、太一に設定したことで、一本の映画としてすごくよくまとまっていると感じた。
千早という天才に片思いをし、新という天才をライバル視しなければならない凡才の複雑な気持ちをキラキラしたタッチで描いていて、高校時代なんかとっくの昔のおっさんでもちょっと身悶えしてしまった。
で、それを軸にした瑞沢高校競技かるた部のメンバーたちの可愛らしいこと、可愛らしいこと。
いや、アイドル映画なんだから勿論、可愛いのは当たり前で。
特に広瀬すずに関しては、すごいんだけども。
そういうビジュアル的なものとは別に、なんというかよくできたチームものの青春映画には必須の「キラキラ感」?
例えば「がんばっていきまっしょい」とか「青春デンデケデケデケ」とか、あの辺りの青春映画にある、この時、この場所のチーム!!!という感じ。
そして、それはいつか終わるということをみんながわかっている感じ。
そういうのをわりと堪能できた。

そりゃあ、マンガ原作だから、なんというか独特の「軽さ」はあるし、ちょっと演出がコミカル過ぎておっさんには飲み込みづらいっていうところもある。
でも、まあ、そもそもこの映画のターゲットではないのだから、そういうのにいちいちツッコミをいれるのも野暮ってもんだろう。
原作を読んだことがあるものとしては、むしろあの長い原作をよくここまでうまく映画にまとめたな!!という感じで。
ストーリーの再構築のうまさに舌を巻いた。

というわけで、上の句はかなり楽しませていただいて、さあ、次は下の句だ!!と勇んで見てみたのだけども。
これが、実は上の句ほどの「うまさ」はなくて。
むしろ、ちょっとストーリーは停滞気味というか、ダラダラしているようには感じた。
全体的に妙に感傷的な部分が多く、またそれをセリフで表しちゃってたりするので、どうも安っぽい感じはした。
おそらく、上の句にあった、「青春感」を支えていたのは、カルタ部メンバーの「カルタ、楽しい!!!」「仲間がいるって楽しい!」っていう気持ちがなんというか、素直に表現されているカルタシーンだったのだろう。
まあ、原作もそうだから仕方ないのだけども、下の句は「なぜカルタをするのか」みたいな青臭くも鬱陶しい感情にまで踏み込んでおり。
そのせいで、上の句のような爽快さは薄まってしまったように感じた。

ただ、まあたとえ下の句の映画としての出来が、上の句よりも低かったとしても、実はそんなことはどうでもよくて。
それでもなんでも下の句はサイコー。

これはつまり、松岡茉優サイコーってことです。
タマフルで宇多丸さんも激押ししていたけども、まあ松岡茉優が全部持っていく。
ツンデレ・・・とも違う。
とにかくツン。ひたすらツン。
それも京都弁のツン。
そして、あの冷たい眼差し。
人を小馬鹿にしたうすら笑い。
ダサいTシャツ。
全てが、素晴らしい。
一気に、自分の中の罵倒されたい女ランキングを駆け上がり、見事第一位を獲得しましたよ。

「団体戦なんてお遊びやったって 全員に言わせたる」って台詞の時のキレ。
そして、試合が終わった後の、再戦を望む千早に対してのすがるような、それでいてちゃんと距離を置いた「いつや?」の一言。
もう、これを聴けただけで、この映画を見た甲斐はあった。

上の句のほうが映画としては面白かったのだけども、記憶に残るのは下の句の松岡茉優。
そういう感じでした。

「勝手にふるえてろ」も見ないとなぁ。