1日外出録ハンチョウ(1) (ヤングマガジンコミックス)

全然新しくない画風の、ちょっと新しいマンガ。(新しいといっても、もう話題になってから結構経ちましたね・・・・)
もともとスピンオフっていうのにはあまり食指が動かないタイプの人間だ。
特にマンガのスピンオフはなかなか手が伸びない。
というのも、やっぱり作者が変わると絵が変わるからで。
それがいくら公式だと言われても違う絵で同じ世界だと主張されることには違和感がある。

ところが、本作をはじめとする「カイジ関連」のスピンオフに関しては、この絵の違和感を軽々と突破してしまっている。
確か、初期の方に出ていたものはまだ、従来のスピンオフの感じから抜け出していなかったように思うのだけども、話題になった中間管理職トネガワなんかは、完全に福本伸行の絵柄だ。
だから、何の違和感もなく楽しむことができた。
で、本作に至っては、なんというか、その間のとりかたとか、言葉の使い方までほぼほぼ福本伸行で、ここまでコピーできていれば、もう福本伸行が描いたと考えても差支えない。(←言い過ぎ)

まあ、それはこの作者の力量に加えて、そもそも福本作品におけるメソッドみたいなものが完成し尽くしているからなのだろう。
そもそも、カイジ的な語り口というのはこれまでも散々パロディにされてきたわけで。
それが、公式に悪ふざけを始めたのだから、そりゃあ好事家にはたまらんですわ。

で、その絵柄と語り口でこのマンガが描くのは、B級グルメ解説とか、おっさんの休日の過ごし方のすすめみたいなやつで。
例えばグルメなら、中華料理屋で何を頼むべきか・・・とか。
ネギトロ丼に何をかけるとうまいか・・・みたいなことを真剣に描きだす。
で、まあグルメマンガスキーの自分としてはそれだけでとても幸福なのだけども。
それ以上に本作で楽しいのはおっさん達がキャッキャキャッキャと休日を謳歌する姿が眺められることで。
ここでは、限られた休日をいかに楽しく過ごすか・・・・・・・いや、「いかに」なんて表現では足りないな・・・限られた休日を「最大限」楽しむためにどうするべきかということに関して真剣に思考し、周到に容易し、そしてはっちゃけるおっさんの姿が見られる。
はっちゃけるおっさん達のキラキラした瞳の美しさよ!!

読み始めた時こそは、一日しか外出できない地下強制労働施設のおっさんの、たった一日の余暇の過ごし方という、特殊な設定を眺めるマンガだと思っているのだけど、気が付けば、こちらも、このおっさんに余暇の過ごし方のレクチャーを受けているような気がしてくる。
そして、なんとなくダラダラと休日を過ごしてしまうことの多い自分に喝を入れてくれる。

そもそも、一日しか外出できない地下強制労働施設なんて言うけども、自分の今の労働環境だって決して恵まれたものじゃないわけで。
限りある人生、限りある休日・・・・そこにもっと、真剣に向き合う必要があるのではないか。
そんなことを思う、平日の早朝。