2010年11月29日

今年もありがとうございました。昨夜完走しました。

このあとは、すこし時間をかけて
みなさんのお歌を鑑賞させていただこうとおもいます。



(23:30)
歌のタネ100粒入りの福ぶくろ やっとおぼえた手ごたえを手に(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~160)


100:福(鮎美) (Basso Continuo)
福福と野良猫眠るこの町を去らむと思ふ二十六の夏 


(01:29)
丁寧にいきるイコールえらばれたことばでものをかんがえること(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~161)


099:イコール(龍庵) (ぶらつくらずべりい)
イコールで結んだときに消えてゆく多少の差異の行方を思う  


(01:27)
ひたひたとあとずさりする腕だめしするよりしたいことがあるから(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~163)



098:腕(柴田匡志) (スタートライン)
タンクトップに逞しき腕見せつけて収集車ゆく早朝の街を




098:腕(青野ことり) (こ と り ご と )
二の腕は母の勲章 たんぽぽの綿毛を吹いた春はあざやか 



098:腕(牛 隆佑) (消燈グレゴリー)
両腕の力をもっとぎゅっとする僕があなたになれぬ代わりに 



098:腕(ひぐらしひなつ) (エデンの廃園)
風知草ひかる庭から抜け出してあなたの腕におさまりにゆく  



(01:26)
どの人の魔法もとけて取り換えの利かないものにもどる雪夜だ(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~160)


097:換(南葦太) (「謙虚」という字を書けぬほど)
根を羽に実をうたに換え蒲公英は海鳥として海図を渡る 


097:換(sh) (はばたきは、音を立てる。)
冬が来る。なくしたものと引き換えに手に入れたものをなくしてしまう 


097:換(村上きわみ) (北緯43度)
変換の果てに見つけたまぼろしの沼地を今日の場所とさだめて 



(01:24)
ぎりぎりのところで交差せぬように流れをたもつ水の超然(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~163)



096:交差(こすぎ) (たんかんぽんかんみかん)
角に立つ菜種色した喫茶店交差点にも春を振り撒く



096:交差(今泉洋子) (sironeko)
哀しみと喜びがゆるく交差するうつつにて観る紅葉浄土



096:交差(ひぐらしひなつ) (エデンの廃園)
今日われに抱かれる人が交差点越えて陽射しのただなかを来る  


(01:23)
漆黒の獣がうまれ草原の闇夜の闇を吸い込んでいる(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~162)


095:黒(村上きわみ) (北緯43度)
記憶とは漆黒の土みずみずとふくらむ種子を深くとどめて 


(01:19)
十六夜が照らす霜月無意識の底に華やぐ安閑がある(斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~164)



094:底(片秀) (うつしよはゆめ よるのゆめこそまこと)
水底に沈めたはずのあの人が優しい顔でキッチンにいる 


(01:17)

2010年11月24日

ことごとくくまなく全部全力で愛されている犬がいる家 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~165)






093:全部(砂乃) (通過列車)
ポケットの中身は全部見せあって僕らはおやつをはんぶんこする



093:全部(飯田和馬) (短歌手控え~題詠blog用)
おかしいな。全部わたしたはずなのに軽くならない胸のポケット



093:全部(わだたかし) (ファミレス短歌)
本当のことなら全部わかってる だからたくさん嘘がききたい 



093:全部(じゃこ) (むしことば)
百題のお題全部で君宛の歌を詠んだら重いやろうか







(00:16)
帰れなくなるかもしれぬ猛烈な吹雪をじっとみていたい午後 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~165)





092:烈(梅田啓子) (今日のうた)
綿綿とながれゆくのか母からの烈しきものは我に娘に



092:烈(牛 隆佑) (消燈グレゴリー)
このままでいたい体と猛烈に走りだしたいこの心とを



092:烈(高松紗都子) (羽うさぎの日記帳)
片恋のかたく結んだ唇に烈しい風が吹きつけて 冬




092:烈(竹中 えん) (Milk Thistle)
烈しさを増すさびしさをたずさえて大津の海の夕映えを見ゆ




092:烈(ひぐらしひなつ) (エデンの廃園)
烈しさを見送り秋の机には白紙のままの手紙がのこる








(00:14)
いつか行く旅をいろどる特別な月が今夜はこの空にいる (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~167)






091:旅(龍庵) (ぶらつくらずべりい)
とんびでも寝ぐらに帰る夜の闇必ず旅は終わるから旅




091:旅(村上きわみ) (北緯43度)
はぐれながら眠ろう夢の枝先に無口な旅行鳩を招いて




091:旅(ひぐらしひなつ) (エデンの廃園)
逸脱を夢見て朝のひだまりに旅行鞄を置く十二月





(00:13)
目覚めたら嘘を正すね取り乱すほどの恐怖は夢だけでいい (斉藤そよ)








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みなさんのお歌の中から。(1~167)






090:恐怖(久野はすみ) (ぺんぺん100%)
消滅の恐怖しずかにしのびよる地下階段をふたりくだれば 





090:恐怖(青山みのり) (わざとじゃないもん!)
セーターの編みあがるのは恐怖なりこころに羽が生えてきそうで 






(00:11)
水槽に鯉を放てばぽこぽこと儚くもない泡が生まれる (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~163)




089:泡(梅田啓子) (今日のうた)
あまたある泡のひとつが弾ければすこし動きてまたもしづもる


089:泡(龍庵) (ぶらつくらずべりい)
きっとまだ他の男がいるだろう泡立草の広がる野原



089:泡(久哲) (久哲の適当緑化計画。)
手だけ来て冬の岸辺で未明から手紙の束を泡にしている 



089:泡(青山みのり) (わざとじゃないもん!)
積み上げても日暮れとなれば水の泡 ねじ花ひそと咲き昇りたり 






(00:10)
「雨の日の注意事項」にマニキュアでミタヨジルシをつけてもう行く (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~167)




088:マニキュア(子帆) (ことばのくに)
マニキュアで「さ」を塗りつぶす幼子のママよりパパに抱かれる夕べ 



088:マニキュア(富田林薫) (カツオくんは永遠の小学生。)
あてどない未来あなたに褒められる人差し指にマニュキアを塗る






(00:09)
麗らかに在れますように筆名でTODOリストを書き直してる (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~162)



087:麗(黒崎聡美) (ゆびおり短歌)
さくら咲く もう会うこともないだろう綺麗な文字を書く人だった 


087:麗(伊倉ほたる) (ほたるノオト)
最後まで綺麗な言葉で伝えたいクリームチーズに林檎をのせて



087:麗(久野はすみ) (ぺんぺん100%)
ひととおり唄いおわれば麗らかな、野辺の果てまでひなぎくの咲く 


087:麗(青山みのり) (わざとじゃないもん!)
麗らかな春の符号をふりまいて次の街へとゆらぐそよ風 






(00:08)
霜月の薄ごおり張る水たまりひとつひとつを愛でるあなたと (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~166)



086:水たまり(秋月あまね) (halcyon days)
夏の日の歩道をふさぐ水たまり みなそれぞれに水紋をもつ 


086:水たまり(竹中 えん) (Milk Thistle)
水たまりをぱしゃぱしゃふめばもう二度と手に入らない未来をおもう




(00:07)

2010年11月14日

風雪にたわむ音色だ 浜ごとの風のかたちの訛りやさしく  (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~126)




085:訛(西中眞二郎) (しなやかに、したたかに、無責任に)
故郷近き町に入ればバスに乗る人の訛りの疎ましくもあり  



085:訛(理阿弥) (車止めピロー)
連結器のかこち言まで訛り帯び石勝線はトマムを過ぎる


(22:53)
ひさかたの千歳の空にのびやかにのびるヒコーキ雲をあなたと  (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~125)




084:千(翔子)  (花こみち)
千代紙を見たら折りだすだまし舟教えし人は帰らぬ海へ  



084:千(ちょろ玉) (ちょろ玉のコトダマラソン)
幸せに羽ばたける気がしてきます ふたりで千羽鶴を折れたら 





(22:52)
鳴る神の音にまぎれて流れだす孤独の序曲を捉えられたら (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~125)





083:孤独(tafots) (1年で1000首をつくる)
孤独には(笑)《カッコワライ》がつきまとう ひとりではないひとなどいない 




083:孤独(村上きわみ) (北緯43度)
あたためた牛乳の膜もてあそぶ匙よ孤独は佳きものですよ 




(22:49)
ひっそりと弾き語られる未知の地の校歌のなかにそびえたつ山 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~129)





082:弾(牛 隆佑) (消燈グレゴリー)
約束は弾けて消えることがある僕の見ているすぐ目の前で





082 : 弾(内田かおり) (深い海から)
雲間から光の束が弾み来る湖面に揺れる金色の空 



082:弾(なゆら) (リッスン・トゥ・ハー)
長靴の春子よ弾みだすリズムなにはともあれ傘は大切 



082:弾(村上きわみ) (北緯43度)
(よく水を弾くこころだ)立ち漕ぎの背中とっくに見えなくなって 




(22:47)
移住者のシェフが受け入れられる日の地産地消のカレーパーティ (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~129)






081:シェフ(夏実麦太朗) (麦太朗の題詠短歌)
いつからかシェフと呼ばれているひとの変わらぬ味のクリームコロッケ






(22:46)
愛犬の愛くるしさをたたえあう よりありていな夜のことばで (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~128)







080:夜(髭彦) (雪の朝ぼくは突然歌いたくなった)
―<曽祖父半谷清寿(はんがい・せいじゆ)が植え初めし染井吉野の名所となるみちのくの故郷を思ひて>
 夜(よ)の森の花の下にて春死なむそのふるさとの望月のころ  



080:夜(梅田啓子) (今日のうた)
夏の夜の月下美人のはなびらは死人(しびと)のやうな冷たさをもつ 




080:夜(村上きわみ) (北緯43度)
息荒くわたしをなじる夜嵐と思えば愉し 神無月尽 




080:夜(今泉洋子) (sironeko)
いつはりの笑顔仕舞ふごと秋の夜にぱきんと畳む携帯電話 






(22:45)
パペットの第三世代 あなたには中の人などいない(いらない) (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~130)






079:第 (新井蜜) (暗黒星雲)
落第となじられたこと思ひ出しレシピに赤い栞を入れる 


079:第(南野耕平) (ボクといっしょに走りま専科)
この先はあなた次第という君の背中を照らす秋の三日月 


079:第(村上きわみ) (北緯43度)
大鍋に浮かんだ灰汁を引きながら店主が語る出奔の次第 




(22:43)
とけかけたチョコをはさんで指と指あわせてすっと盗んだ指紋 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~128)





078:指紋(まといなみ) (月のひかりの降る庭で)
神様の指紋があざやかに見えて十一月のなんでもない日 


078:指紋(南葦太) (「謙虚」という字を書けぬほど)
君の手がつけた指紋は消せぬままリンダリンダを風呂場で歌う 


078:指紋(南野耕平) (ボクといっしょに走りま専科)
気付かずに人の指紋を消してきた僕の指紋も消されるだろう 







(22:42)
雪原のテントとシュラフ(一対の名のないなにかあたたかなもの) (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~132)






077:対(夏実麦太朗) (麦太朗の題詠短歌)
集合の多対多対応語るとき数学教師はややも華やぐ 



077:対(梅田啓子) (今日のうた)
無意識の顔をさらして皿あらふ対面式のキッチンなれば



077:対(空音) (100の秘密)
恋すれば7対3の割合で私の方がいっぱい好きだ






(22:40)

2010年11月04日

山野草スーパーセール 盗掘の花かもしれぬ花に手をだす (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~121)





076:スーパー(市川周) (ミルミルを飲みながら)
砂を吐くしじみ深夜のスーパーで(ラップを押して伸びるかいわれ)





(00:03)

2010年10月31日

微調整してる休日 はつゆきのあとのぬくみにゆれる陽炎 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~123)




075:微(牛 隆佑) (消燈グレゴリー)
僕がいる微かなしるし左手をつかんでくれる君がいること



075:微(市川周) (ミルミルを飲みながら)
(家に着くまでが遠足)微生物に分解されるまでがうつせみ



075:微(田中彼方) (簡単短歌「題詠だ」)
しあわせを望遠鏡でさがす君と、顕微鏡でさがす僕です。



(12:16)
あとがきはやけにあかるく恋文か遺書かあなたに宛てられた画布 (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~122)



074:あとがき(松木秀) (わたしよきみの風景であれ)
春二月第二歌集のあとがきを屈託ありて書きなずむ夜



074:あとがき(西中眞二郎) (しなやかに、したたかに、無責任に)
あとがきを書くのもひとつの楽しみとクラス会誌の編引き受ける



074:あとがき(音波) (短歌のなぎさ)
長い長いあとがきみたいな人生で あなたに謝辞を捧げて暮らす 





(12:15)
弁解をしてもいいのにがんばってひとりかけひきしてる 雪待ち (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~125)



073:弁(夏実麦太朗) (麦太朗の題詠短歌)
弁当を食べる時間がきましたと老芸人は和やかに言う 




(12:13)
かしましいコップがみっつカルピスに初雪水がたまるのを待つ (斉藤そよ)







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みなさんのお歌の中から。(1~123)



072:コップ(夏実麦太朗) (麦太朗の題詠短歌)
かなしみのガラスコップを磨いたらあすの朝日のあたるところへ




072:コップ(邑井りるる) (山茶花街道)
さみどりのコップの中にゆれていた氷 あなたは笑ってたっけ



072:コップ(なゆら) (リッスン・トゥ・ハー)
「泣いちゃダメ」春子は白いハンカチでコップの涙を丁寧に拭く



072:コップ(田中彼方) (簡単短歌「題詠だ」)
ファの音がなかなか出ない。子どもらと、コップの水を足して減らして。








(12:11)