2009年08月
2009年08月30日 21:20
残暑が厳しいです
そんな中、先月あたりから行われていたパン屋に隣接したビルの解体工事が終わった
風通しが良くなって涼しくなるのでは、なんて思っていたのだが
今まで隣のビルで隠れていた壁が露になったのを見て愕然とした
まるで廃墟である
前々からレトロな外観ではあったが、これはレトロとかそういうものをはるかに超越していると思う
しかし、確かに涼しげではある
なんかこうゾワゾワしてくるものがあって満更でもない
そんなこんなの僕です。
さて、予期せぬ出来事とは誰しも経験はあると思う
昨日の話になるのであるが、その予期せぬ出来事が立て続けにおきたのだった
朝からパン屋で働いていると夕方になってふらりと大学時代の部活の後輩Tが現れた
その日はパン屋の業務が終わってその後輩Tと動物園に行く予定になっており、パン屋で落ち合うことになっていたのだ
一時間以上早い登場だったがその日、一緒に働いていた人物も同じ部活の後輩という事で彼とも顔見知りだったのである
僕のパン屋のバイトは大半がその部活に所属している、もしくは所属していた人物、なのだ
そんなこともあってか、ふらりと部活の関係者が現れては
あれ、まだ働いてたの?
なんていうこともしばしばであり、ついでを言うとパン屋の向かいにある映画館のバイトもその部活の部員で占められており
昔は僕も映画館で働いていたのだ
10メートルもない距離で掛け持ちバイトをしていたのである
つまりは部活の延長上に中洲のとある位置が結ばれている、ということになり
部活の支部といっても過言ではないのである
部員やOBがふらりと寄っては上階に設けてある喫茶コーナーでくつろいだりすることがあるのだ
僕はとうの昔に引退したのだが、そんな部活の人間と縁が切れずにいるのはこういう環境下にあるということも手伝っているのであろう
というか、動物園って先週も行かなかったか?なんて思う人がいるかもしれないが、人間そういった時期が誰にでもあると思う
どうか、目をつぶってもらいたい
後輩Tが現れてしばらく経つと元パン屋バイトの後輩Sがふらりと現れた
彼もまた部活に所属していた人間であり、今年の春先に就職とともにパン屋を卒業したのである
それから小一時間が経った頃、またふらりと後輩Mが現れた
後輩Mの説明は後輩Tに同じである
共にアポ無しである上に、Mなど長崎に在住しているはずなのだ
そして二人と後輩Tは同期であり懇意なのだ
それから遅番2人が現れて(うち1人が部活の人間)パン屋はちょとした同窓会になってしまった
約束したわけでもないないのにぞろぞろと知人が集まる光景は微笑ましく
僕は業務が終わると営業中のパン屋の中で記念写真を撮っていたのであった
パン屋はあんな外観なのでいつもにまして暇だったのだ、それくらいは可能である
懐かしい面々との再会の後、僕は後輩Tと動物園へと向かうためバスに乗り込んだ
バス一本で行けるという利便性も僕を動物園へ引きつける要因の一つである
すると、途中のバス停で野暮ったい男が乗り込んで来たと思ったらまたもや部活の後輩Hだった(後輩Tと名字の頭文字が被るので下の名前で記す)
動物園行きのバスに乗り込んできたのは偶然にも先週一緒に動物園に行った後輩Hだったのだ
3つも年下なので後輩Tの後輩でもある
これから動物園に行くと言うと
また、今週も行くんですか、とどこか寂しげな表情で微笑みかけてからバスの中だというのに淀川長治の本に目をおとしていた
酔わないんだろうか、すごいなあ
なんて思っているうちに動物に着いたのであった
動物園を堪能したあとに次なるイベントのために中洲にとんぼ返りとなった二人はとぼとぼと歩いて途中のコンビニでおでんなんて買って食べたのだった
その日、中洲ではnakasu jazz nightという、街全体がジャズに染まるという粋なイベントがあったのである
ジャズはそんなに聴かないが、良い音は聴いておきたい、僕らはそんなミーハー魂丸出しで点在するステージを回っていたのだった
メインステージには僕でも名前を知っている日野皓正が立っていた
とんでもない数の人が押し寄せていたのだが、彼の姿と輝くトランペットがちらちらと観客の隙間から見る事ができた
それで、演奏が終わって人が流れ出したのだが、目の前を通り過ぎる1人の人物が僕の方を見ており、目が合った瞬間に、あ、っと思い
そして彼は立ち止まった
なんと小、中学校のときの同級生だったのだ
実に5、6年ぶりくらいに会ったのだが、こんな人ごみでよくもまあ分かったものだ
そのため、久しぶりにも関わらず僕の第一声は
よく分かったね
だった、他に気の利いたことは言えなかったものだろうか
それにしてもまさに邂逅である
その同級生とはその場ですぐに別れたのであるが、その日一番の思いがけない出来事は動物園でのことであった
動物園に入ると後輩Tはパシャパシャと携帯電話で写真を撮っていた
こんなに写真を撮るような人間だったのか、なんて意外な一面に少しばかり驚きながら僕は見慣れた動物達を眺めていた
それはマレーグマの檻に来たときのことであった
その檻は2、3年前までシロクマが入っていたのだが、最近になってそこにマレーグマが引っ越して来たのである
シロクマが入っていただけあって、檻の下が随分深くなっていて、それでもって広い
深さは5メートルくらいはあると思う、それでマチとサニーという名前のマレーグマ2匹を見下ろす形になるのである
なぜ名前なんて覚えているのか、それはその日、最も長い時間観察したのがマレーグマだったからである
もともとマレーグマは好きな動物であった、後輩Tが携帯電話でその姿を撮ろうとしたときのことである
あ、という後輩の声とともに携帯が彼の手から放れカラカラとマレーグマのいる底へと落ちていったのだ
僕は、ついつい大きな声で、うそやろ!っと叫んでしまい、観客の注目を浴びてしまい
マレーグマは、何か落ちてきた、何これ、何これ
といった具合で彼の携帯電話に駆け寄ってカリカリと扱いだした
木登りが得意なマレーグマは爪が非常に鋭いのである
上から聞いていても本当にカリカリと聞こえるくらいであった
器用に持ち上げて、時には口にくわえてみたりして、マレーグマの好奇心旺盛な性格が伺えたが
まだ買って半年だという携帯電話を乱暴に扱われて気が気でない様子の後輩を横目に見ながら
ラ、ライオンの檻じゃなくて良かったじゃないか
彼に掛ける言葉はそんな言葉しか見当たらなかった
飼育員の人に報告すると、一度マレーグマを檻と繋がっている厩舎に入れてみて回収を試みてくれるとのことで
僕らはその様子をじっと見ていたが、なかなかうまく厩舎に入ってくれず結局閉館まで待つ事になったのである
閉館近くになって事務所に行くと、飼育員の人がビニール袋に入った携帯電話を持ってきてくれた
だが、それは遠目から見てもまともな状態ではなかった
とりあえず消毒を、ということでアルコールで拭き取ったが、操作ボタンのパネルが剥がされているし、側面にはがっしりと歯形が付いていた
さすがは熊
なんて思いながらもやはり後輩が気の毒であったが僕の口からは
く、熊に携帯を壊されたなんて、なんかかっこいいじゃないか
そんな言葉しか出てこなかったのである
後輩Tは今日、ドコモショップに行って
熊に壊されました、と説明したところ、相手にしてもらえなかったそうである
思いがけない出来事は時に突飛すぎて信憑性に欠くことがあるものである
携帯で写真なんて撮らなければこんなこんなことにはならなかったのに
後輩Tは動物園でずっと言っていた
邂逅と悔恨が入り交じる、そんな夜であった
↑マレーグマに壊された携帯
そんな中、先月あたりから行われていたパン屋に隣接したビルの解体工事が終わった
風通しが良くなって涼しくなるのでは、なんて思っていたのだが
今まで隣のビルで隠れていた壁が露になったのを見て愕然とした
まるで廃墟である
前々からレトロな外観ではあったが、これはレトロとかそういうものをはるかに超越していると思う
しかし、確かに涼しげではある
なんかこうゾワゾワしてくるものがあって満更でもない
そんなこんなの僕です。
さて、予期せぬ出来事とは誰しも経験はあると思う
昨日の話になるのであるが、その予期せぬ出来事が立て続けにおきたのだった
朝からパン屋で働いていると夕方になってふらりと大学時代の部活の後輩Tが現れた
その日はパン屋の業務が終わってその後輩Tと動物園に行く予定になっており、パン屋で落ち合うことになっていたのだ
一時間以上早い登場だったがその日、一緒に働いていた人物も同じ部活の後輩という事で彼とも顔見知りだったのである
僕のパン屋のバイトは大半がその部活に所属している、もしくは所属していた人物、なのだ
そんなこともあってか、ふらりと部活の関係者が現れては
あれ、まだ働いてたの?
なんていうこともしばしばであり、ついでを言うとパン屋の向かいにある映画館のバイトもその部活の部員で占められており
昔は僕も映画館で働いていたのだ
10メートルもない距離で掛け持ちバイトをしていたのである
つまりは部活の延長上に中洲のとある位置が結ばれている、ということになり
部活の支部といっても過言ではないのである
部員やOBがふらりと寄っては上階に設けてある喫茶コーナーでくつろいだりすることがあるのだ
僕はとうの昔に引退したのだが、そんな部活の人間と縁が切れずにいるのはこういう環境下にあるということも手伝っているのであろう
というか、動物園って先週も行かなかったか?なんて思う人がいるかもしれないが、人間そういった時期が誰にでもあると思う
どうか、目をつぶってもらいたい
後輩Tが現れてしばらく経つと元パン屋バイトの後輩Sがふらりと現れた
彼もまた部活に所属していた人間であり、今年の春先に就職とともにパン屋を卒業したのである
それから小一時間が経った頃、またふらりと後輩Mが現れた
後輩Mの説明は後輩Tに同じである
共にアポ無しである上に、Mなど長崎に在住しているはずなのだ
そして二人と後輩Tは同期であり懇意なのだ
それから遅番2人が現れて(うち1人が部活の人間)パン屋はちょとした同窓会になってしまった
約束したわけでもないないのにぞろぞろと知人が集まる光景は微笑ましく
僕は業務が終わると営業中のパン屋の中で記念写真を撮っていたのであった
パン屋はあんな外観なのでいつもにまして暇だったのだ、それくらいは可能である
懐かしい面々との再会の後、僕は後輩Tと動物園へと向かうためバスに乗り込んだ
バス一本で行けるという利便性も僕を動物園へ引きつける要因の一つである
すると、途中のバス停で野暮ったい男が乗り込んで来たと思ったらまたもや部活の後輩Hだった(後輩Tと名字の頭文字が被るので下の名前で記す)
動物園行きのバスに乗り込んできたのは偶然にも先週一緒に動物園に行った後輩Hだったのだ
3つも年下なので後輩Tの後輩でもある
これから動物園に行くと言うと
また、今週も行くんですか、とどこか寂しげな表情で微笑みかけてからバスの中だというのに淀川長治の本に目をおとしていた
酔わないんだろうか、すごいなあ
なんて思っているうちに動物に着いたのであった
動物園を堪能したあとに次なるイベントのために中洲にとんぼ返りとなった二人はとぼとぼと歩いて途中のコンビニでおでんなんて買って食べたのだった
その日、中洲ではnakasu jazz nightという、街全体がジャズに染まるという粋なイベントがあったのである
ジャズはそんなに聴かないが、良い音は聴いておきたい、僕らはそんなミーハー魂丸出しで点在するステージを回っていたのだった
メインステージには僕でも名前を知っている日野皓正が立っていた
とんでもない数の人が押し寄せていたのだが、彼の姿と輝くトランペットがちらちらと観客の隙間から見る事ができた
それで、演奏が終わって人が流れ出したのだが、目の前を通り過ぎる1人の人物が僕の方を見ており、目が合った瞬間に、あ、っと思い
そして彼は立ち止まった
なんと小、中学校のときの同級生だったのだ
実に5、6年ぶりくらいに会ったのだが、こんな人ごみでよくもまあ分かったものだ
そのため、久しぶりにも関わらず僕の第一声は
よく分かったね
だった、他に気の利いたことは言えなかったものだろうか
それにしてもまさに邂逅である
その同級生とはその場ですぐに別れたのであるが、その日一番の思いがけない出来事は動物園でのことであった
動物園に入ると後輩Tはパシャパシャと携帯電話で写真を撮っていた
こんなに写真を撮るような人間だったのか、なんて意外な一面に少しばかり驚きながら僕は見慣れた動物達を眺めていた
それはマレーグマの檻に来たときのことであった
その檻は2、3年前までシロクマが入っていたのだが、最近になってそこにマレーグマが引っ越して来たのである
シロクマが入っていただけあって、檻の下が随分深くなっていて、それでもって広い
深さは5メートルくらいはあると思う、それでマチとサニーという名前のマレーグマ2匹を見下ろす形になるのである
なぜ名前なんて覚えているのか、それはその日、最も長い時間観察したのがマレーグマだったからである
もともとマレーグマは好きな動物であった、後輩Tが携帯電話でその姿を撮ろうとしたときのことである
あ、という後輩の声とともに携帯が彼の手から放れカラカラとマレーグマのいる底へと落ちていったのだ
僕は、ついつい大きな声で、うそやろ!っと叫んでしまい、観客の注目を浴びてしまい
マレーグマは、何か落ちてきた、何これ、何これ
といった具合で彼の携帯電話に駆け寄ってカリカリと扱いだした
木登りが得意なマレーグマは爪が非常に鋭いのである
上から聞いていても本当にカリカリと聞こえるくらいであった
器用に持ち上げて、時には口にくわえてみたりして、マレーグマの好奇心旺盛な性格が伺えたが
まだ買って半年だという携帯電話を乱暴に扱われて気が気でない様子の後輩を横目に見ながら
ラ、ライオンの檻じゃなくて良かったじゃないか
彼に掛ける言葉はそんな言葉しか見当たらなかった
飼育員の人に報告すると、一度マレーグマを檻と繋がっている厩舎に入れてみて回収を試みてくれるとのことで
僕らはその様子をじっと見ていたが、なかなかうまく厩舎に入ってくれず結局閉館まで待つ事になったのである
閉館近くになって事務所に行くと、飼育員の人がビニール袋に入った携帯電話を持ってきてくれた
だが、それは遠目から見てもまともな状態ではなかった
とりあえず消毒を、ということでアルコールで拭き取ったが、操作ボタンのパネルが剥がされているし、側面にはがっしりと歯形が付いていた
さすがは熊
なんて思いながらもやはり後輩が気の毒であったが僕の口からは
く、熊に携帯を壊されたなんて、なんかかっこいいじゃないか
そんな言葉しか出てこなかったのである
後輩Tは今日、ドコモショップに行って
熊に壊されました、と説明したところ、相手にしてもらえなかったそうである
思いがけない出来事は時に突飛すぎて信憑性に欠くことがあるものである
携帯で写真なんて撮らなければこんなこんなことにはならなかったのに
後輩Tは動物園でずっと言っていた
邂逅と悔恨が入り交じる、そんな夜であった
↑マレーグマに壊された携帯
2009年08月25日 00:08
八月も終盤に差し掛かると、とんでもなく寂しい気持ちになってしまうのは小学生のときのトラウマなのであろうか
夏休みももう終わり
そんな鬱屈した気分を打破すべく、動物園へと足を運んだ
トラもウマもいる動物園へと向かったのである
二度と訪れない24の夏というやつに一つ土産でもくれてやろうと、日が沈みかけた時刻に動物園へと向かったのである
福岡市動物園では毎年八月の土曜日には「夜の動物園」といって18時から21時の間、開園するという催しがあるのである
そこで嫌がる後輩(男子)の首根っこを掴んで無理矢理に同行させたのであった
予想していた通り男二人で来ているのは僕ら以外、1組もいなかった
しかし、そんな悲しい、というより怪しい僕らを夜の闇が包んでくれたのは有り難いかぎりで、おそらく手を繋いでいても気付かれなかったと思う(もちろんそんなことは断じてしない)
何を隠そう僕は小学生の頃、動物奇想天外を欠かさず観ていたほどに動物好きなのである
それで思わず年間パスポートを買ってしまいました
夜だけあってトラが走り回ってました
最近、オカピが気になります
そんなこんなの僕です。
さて、一週間程前に幼なじみと飲んだ
幼なじみというくらいなので随分と長い付き合いであって、かれこれ20年の付き合いがある
タッチの南ちゃんのような可愛らしい女の子ならいいのだが、残念ながら男である
幼稚園から一緒で、小学5年生にあがる時に僕が引っ越し、なぜだか高校は一緒になったが、高校2年の時には幼なじみのほうが東京に引っ越したりと
変にすれ違ったりしているのにいまだに縁が切れずにいることを、非常に嬉しく思う
まさかお酒を飲むことになるとは、なんて言いながらもつ鍋をつつきつつ昔話に花を咲かせていたのであるが
いかんせん、僕も幼なじみも大人しいほうの子供ではなかった
今では考えられない程にアウトドアな少年であって
近所の川(といっても二級河川の大きなやつ)で獲ってきたサワガニを持って帰るのが面倒だといって自動販売機のお釣りのところにしこたま詰め込んだり
挙げ句の果てにはなぜだかその川にあったボートに乗って遊んでいたら、つないでいた綱が外れて、結構な距離を流されたり
まあ、いろいろと思い出はある
そんな思い出話のなかで出てきたのが「石のおいちゃん」
という人物の話で「石のおいちゃん」というくらいなので石がかなり重要な意味をなす
というより、彼自身、石なのではないか、というくらいに石のおいちゃんなのだ
いや、シュールレアリズムみたいになってきたので、ちゃんと語ろうと思う
「石のおいちゃん」とは今になって思うと、はおそらく鉱物マニアであって、幼なじみと僕が住んでいた社宅の一室に住んでいたのである
家族が住むためにあてがわれている社宅だったはずだが、石のおいちゃんは独り住まいで、ひょろっとしたセンター分けの30代後半くらいのおじさんだっと思う
ひょんなことから僕らはその人の家にちょくちょく行くようになったのだ
子供心にもその鉱物のコレクションの多さには驚いたもので
博物館、ってくらいに部屋という部屋が石に囲まれていて、棚や引き出しにはあらゆる鉱物が飾られ、収納されている
鉱物といってもピンとこないかもしれないが、水晶やいわゆる宝石の原石である
ルビーやサファイア、エメラルドやらオパール、翡翠だの数多くの種類の鉱物が部屋中、というより家全体を占領しているのだ
これは何、と気になった石について聞くと、おいちゃんは事細かに説明をしてくれて産地の違う同じ種類の石まで持ってきて比較してくれたりしていた
時には別れたかみさんに原石を磨いて指輪にして贈った、なんて粋なことも言っていたがまだ小さかった僕にはいまいちよく理解できなかった
時々いらなくなった鉱物などをくれたりして、それは今も僕の部屋の隅っこに仕舞われている
しかし、今考えると知らないおじさんの家に出入りするのは、感心できることではないのかもしれない
そんなことを話していると、やはり二人とも記憶にあったある出来事が浮かび上がってきたのだ
それは、おいちゃんがタバコを買いに行って僕らがちょっとの間留守番をすることになったときである
何となしに床に落ちていた雑誌を捲ると、そこには何故だか裸でブランコを立ち漕ぎしている女の子の写真が載っていたのである
女の子、なんて小学生の僕が認識したくらいなので、中学生くらいの女の子だったと思う
おそらくそれは、かわいい言い方をさせていただくと「エッチな本」であって他のページを捲ってみてもやはり年端もいかない女の子が載っていたのだった
そういえば、といってお酒も回ったせいか僕は突如記憶が蘇り
もとはというとそのおいちゃんの存在が子供達の間で知られるようになったのは僕のクラスメートの妹が回覧板を届けに行ったときに部屋に招かれた、ということだったのだ
そうなると途端に、なんだかあのおじさんってとっても怪しい人だったんじゃないか
なんていう話になってしまった
たしかに、よくよく考えると怪しいおじさんだったようにも感じる
しかし、それでもやはり僕らが目を輝かせて見つめた色とりどりの鉱物達は、子供心からしても非常に美しいものであり
それは今も僕の記憶に残って輝いているし、現に少しの鉱物だが未だに僕の手元にある
もう、それでいいんじゃないか、それだけで十分なのではないか
と、幼少の思い出をきれいなことのまま閉じ込めておこうとする僕はなんだか都合のいい大人になってしまったものである
とりあえず、「石のおいちゃん」とは鉱物オタクで、たぶんロリコン野郎だったのである
夏休みももう終わり
そんな鬱屈した気分を打破すべく、動物園へと足を運んだ
トラもウマもいる動物園へと向かったのである
二度と訪れない24の夏というやつに一つ土産でもくれてやろうと、日が沈みかけた時刻に動物園へと向かったのである
福岡市動物園では毎年八月の土曜日には「夜の動物園」といって18時から21時の間、開園するという催しがあるのである
そこで嫌がる後輩(男子)の首根っこを掴んで無理矢理に同行させたのであった
予想していた通り男二人で来ているのは僕ら以外、1組もいなかった
しかし、そんな悲しい、というより怪しい僕らを夜の闇が包んでくれたのは有り難いかぎりで、おそらく手を繋いでいても気付かれなかったと思う(もちろんそんなことは断じてしない)
何を隠そう僕は小学生の頃、動物奇想天外を欠かさず観ていたほどに動物好きなのである
それで思わず年間パスポートを買ってしまいました
夜だけあってトラが走り回ってました
最近、オカピが気になります
そんなこんなの僕です。
さて、一週間程前に幼なじみと飲んだ
幼なじみというくらいなので随分と長い付き合いであって、かれこれ20年の付き合いがある
タッチの南ちゃんのような可愛らしい女の子ならいいのだが、残念ながら男である
幼稚園から一緒で、小学5年生にあがる時に僕が引っ越し、なぜだか高校は一緒になったが、高校2年の時には幼なじみのほうが東京に引っ越したりと
変にすれ違ったりしているのにいまだに縁が切れずにいることを、非常に嬉しく思う
まさかお酒を飲むことになるとは、なんて言いながらもつ鍋をつつきつつ昔話に花を咲かせていたのであるが
いかんせん、僕も幼なじみも大人しいほうの子供ではなかった
今では考えられない程にアウトドアな少年であって
近所の川(といっても二級河川の大きなやつ)で獲ってきたサワガニを持って帰るのが面倒だといって自動販売機のお釣りのところにしこたま詰め込んだり
挙げ句の果てにはなぜだかその川にあったボートに乗って遊んでいたら、つないでいた綱が外れて、結構な距離を流されたり
まあ、いろいろと思い出はある
そんな思い出話のなかで出てきたのが「石のおいちゃん」
という人物の話で「石のおいちゃん」というくらいなので石がかなり重要な意味をなす
というより、彼自身、石なのではないか、というくらいに石のおいちゃんなのだ
いや、シュールレアリズムみたいになってきたので、ちゃんと語ろうと思う
「石のおいちゃん」とは今になって思うと、はおそらく鉱物マニアであって、幼なじみと僕が住んでいた社宅の一室に住んでいたのである
家族が住むためにあてがわれている社宅だったはずだが、石のおいちゃんは独り住まいで、ひょろっとしたセンター分けの30代後半くらいのおじさんだっと思う
ひょんなことから僕らはその人の家にちょくちょく行くようになったのだ
子供心にもその鉱物のコレクションの多さには驚いたもので
博物館、ってくらいに部屋という部屋が石に囲まれていて、棚や引き出しにはあらゆる鉱物が飾られ、収納されている
鉱物といってもピンとこないかもしれないが、水晶やいわゆる宝石の原石である
ルビーやサファイア、エメラルドやらオパール、翡翠だの数多くの種類の鉱物が部屋中、というより家全体を占領しているのだ
これは何、と気になった石について聞くと、おいちゃんは事細かに説明をしてくれて産地の違う同じ種類の石まで持ってきて比較してくれたりしていた
時には別れたかみさんに原石を磨いて指輪にして贈った、なんて粋なことも言っていたがまだ小さかった僕にはいまいちよく理解できなかった
時々いらなくなった鉱物などをくれたりして、それは今も僕の部屋の隅っこに仕舞われている
しかし、今考えると知らないおじさんの家に出入りするのは、感心できることではないのかもしれない
そんなことを話していると、やはり二人とも記憶にあったある出来事が浮かび上がってきたのだ
それは、おいちゃんがタバコを買いに行って僕らがちょっとの間留守番をすることになったときである
何となしに床に落ちていた雑誌を捲ると、そこには何故だか裸でブランコを立ち漕ぎしている女の子の写真が載っていたのである
女の子、なんて小学生の僕が認識したくらいなので、中学生くらいの女の子だったと思う
おそらくそれは、かわいい言い方をさせていただくと「エッチな本」であって他のページを捲ってみてもやはり年端もいかない女の子が載っていたのだった
そういえば、といってお酒も回ったせいか僕は突如記憶が蘇り
もとはというとそのおいちゃんの存在が子供達の間で知られるようになったのは僕のクラスメートの妹が回覧板を届けに行ったときに部屋に招かれた、ということだったのだ
そうなると途端に、なんだかあのおじさんってとっても怪しい人だったんじゃないか
なんていう話になってしまった
たしかに、よくよく考えると怪しいおじさんだったようにも感じる
しかし、それでもやはり僕らが目を輝かせて見つめた色とりどりの鉱物達は、子供心からしても非常に美しいものであり
それは今も僕の記憶に残って輝いているし、現に少しの鉱物だが未だに僕の手元にある
もう、それでいいんじゃないか、それだけで十分なのではないか
と、幼少の思い出をきれいなことのまま閉じ込めておこうとする僕はなんだか都合のいい大人になってしまったものである
とりあえず、「石のおいちゃん」とは鉱物オタクで、たぶんロリコン野郎だったのである
2009年08月16日 22:29
暑い暑いなんて思っていたが、気付けば8月も中頃である
そりゃ、夏も乗りに乗っているわけである
暑いのが苦手な僕としては目も当てられない事態なのだが
そんな伏し目がちな僕にはかかとに魚の目らしきできものができました
放っておいてもいいんだろうが、気持ち悪いし、気になるしで、早速薬局に行って「イボコロリ」という薬を買ってみたのである
誰しも名前は聞いた事のある、実に安直なネーミングの薬であるが
使ってみて驚いた、とんでもなく効くのである
僕は病院嫌いだし、薬に対してもそこまで信用はしていないのだが、こんなに薬が効くとは知らなかった
もう、ほんとにコロリである、いや、ポロリと言ったほうがしっくりくるのであるが
何かあるとイボコロリを使ってみるとよいと思う
そんなこんなの僕です。
さて、お盆ということもあって、甥っ子と姪っ子が遊びに来た
二人とも誕生日が近いのでともに甥っ子がもうすぐ4才、姪っ子が2才といったところで
会う度に大きくなっているので驚かされる、といっても2ヶ月に1回は会っているはずなのだが、それでも毎回大きくなっている
甥っ子は会うや否や、聞いてもないのにあと5回寝たら4才になる
と言っていた
じゃあ、昼寝したらどうなるの
と、聞くと(僕は甥っ子に対して子供扱いをしないスタンスをとっている)昼寝はカウントにいれないらしい
少し賢くなっていたので、やはり驚いた
この間まで、ハル(飼っている犬)が4才だという事を知って、それまでハル、と呼び捨てしていたのに年上だと分かった途端、急にハルちゃん、と、ちゃん付けしだし
でも、しゅんくん(甥っ子の名前)もうすぐ4才になるから、そしたら同じになるよ
と言ってきたので
いや、そしたら、ハルは5才になるよ、と教えると
ええー、と言いながらこの世の終わりのような顔をして落ち込んでいた
どうやら、年が追いつくと思っていたいたらしい
どういう頭の仕組みをしているのだろうかと思うが、常識にとらわれていないところが話していて面白いところである
大抵、甥っ子が家に来ると僕が面倒をみることになっていて、僕はビデオを観せてその場をしのいでいるのだが、そのせいで甥っ子はジブリ作品が好きになったのである
僕の家にはここ数年で買い集めた大量のVHSがあって、その中にジブリ作品が数本あるのである
甥っ子のお気に入りは魔女の宅急便で、そのへんは僕と似たところがあるのだろうか、なんて思いながら
今回は「パンダコパンダ」という正確にはジブリ作品ではないのだが、宮崎駿監督の作品を観せたのである
僕も子供の頃にちらっと観て印象深かったので、ついつい買ってしまったが、3歳児と24歳の成人男性が一緒に観て楽しめるとは、なかなか凄い事だと思う
しかし、ミミちゃんという主人公がやたらと「すてき、すてき」と言いながらパンツ丸出しで逆立ちするのは考えものである
それからユーチューブを駆使して、暇つぶしをして
仮面ライダーが好きだというので、ユーチューブにあった仮面ライダーアマゾンの動画を流してやると
とんでもなく怯えていた
たしかに、噛み付くわ、引っ掻くわ、しかも黄色やら緑やらの液体がドバドバ出るのである
今では考えられない、とんでもなく暴力的描写なのである
しかも、敵は虫や獣を元にした非常にグロテスクなものなのである
僕は仮面ライダーなどの特撮ものは好きではなかったが、アマゾンは好きであったので久しぶりに観たくなって、それでセレクトしたのであった
あの、アマゾンのビビットの利いたカラーリングや、媚びない感じのフォルムが好きだったのだ
それから甥っ子とお風呂に入ったのだが、甥っ子の寝間着はシンケンジャー(今やっている特撮もの)であった
話題作りに、それ何、と聞いてみると、甥っ子は
え、これ、キャラもの
と答えていた
いや、キャラものなのは分かっているから、そのキャラが何かって聞いているのだ
というか、キャラもの、なんていう言葉を知っている事が驚きだった
きっと、お母さん(兄嫁)なんかに「またキャラものー」なんて言われているんだろう、目に浮かぶ
夜も更けると甥っ子はお喋りモード全開になったのか、時折理解不能なことを際限なく話しだしたので
僕も僕でなかなか面白くなってきたと、話を促していた
それで興味深かったのは
しゅんくん、大きくなったら、お外に出て、歌を歌うの
なんて言い出したのだ
お、流し、みたいで粋じゃないか
なんて言うと
ううん、あのね、それで「オシカケ歌謡ショー」をするの
なんて言い出してきた
オシカケってあの「押し掛け女房」とかの、と聞くと、よくわからないようで
オシカケはオシカケたい
と、あしらわれてしまった
どこで覚えて来たんだ、しかも、歌謡ショーときた
どういうことか分からなかったが、とにかく押し掛け歌謡ショーをするらしい
とりあえず、あまり人に迷惑をかけることはしちゃいけないよ、と言っておいたが
分かったのか分からないのか、うん、とだけ言っていた
兎にも角にも子供の成長は著しいものがある、これからが楽しみだ
ちなみに、甥っ子は僕の事を「友達」と認識しているそうである
http://www.youtube.com/watch?v=t3M8AmmRBHI
アマゾンの動画である
そりゃ、夏も乗りに乗っているわけである
暑いのが苦手な僕としては目も当てられない事態なのだが
そんな伏し目がちな僕にはかかとに魚の目らしきできものができました
放っておいてもいいんだろうが、気持ち悪いし、気になるしで、早速薬局に行って「イボコロリ」という薬を買ってみたのである
誰しも名前は聞いた事のある、実に安直なネーミングの薬であるが
使ってみて驚いた、とんでもなく効くのである
僕は病院嫌いだし、薬に対してもそこまで信用はしていないのだが、こんなに薬が効くとは知らなかった
もう、ほんとにコロリである、いや、ポロリと言ったほうがしっくりくるのであるが
何かあるとイボコロリを使ってみるとよいと思う
そんなこんなの僕です。
さて、お盆ということもあって、甥っ子と姪っ子が遊びに来た
二人とも誕生日が近いのでともに甥っ子がもうすぐ4才、姪っ子が2才といったところで
会う度に大きくなっているので驚かされる、といっても2ヶ月に1回は会っているはずなのだが、それでも毎回大きくなっている
甥っ子は会うや否や、聞いてもないのにあと5回寝たら4才になる
と言っていた
じゃあ、昼寝したらどうなるの
と、聞くと(僕は甥っ子に対して子供扱いをしないスタンスをとっている)昼寝はカウントにいれないらしい
少し賢くなっていたので、やはり驚いた
この間まで、ハル(飼っている犬)が4才だという事を知って、それまでハル、と呼び捨てしていたのに年上だと分かった途端、急にハルちゃん、と、ちゃん付けしだし
でも、しゅんくん(甥っ子の名前)もうすぐ4才になるから、そしたら同じになるよ
と言ってきたので
いや、そしたら、ハルは5才になるよ、と教えると
ええー、と言いながらこの世の終わりのような顔をして落ち込んでいた
どうやら、年が追いつくと思っていたいたらしい
どういう頭の仕組みをしているのだろうかと思うが、常識にとらわれていないところが話していて面白いところである
大抵、甥っ子が家に来ると僕が面倒をみることになっていて、僕はビデオを観せてその場をしのいでいるのだが、そのせいで甥っ子はジブリ作品が好きになったのである
僕の家にはここ数年で買い集めた大量のVHSがあって、その中にジブリ作品が数本あるのである
甥っ子のお気に入りは魔女の宅急便で、そのへんは僕と似たところがあるのだろうか、なんて思いながら
今回は「パンダコパンダ」という正確にはジブリ作品ではないのだが、宮崎駿監督の作品を観せたのである
僕も子供の頃にちらっと観て印象深かったので、ついつい買ってしまったが、3歳児と24歳の成人男性が一緒に観て楽しめるとは、なかなか凄い事だと思う
しかし、ミミちゃんという主人公がやたらと「すてき、すてき」と言いながらパンツ丸出しで逆立ちするのは考えものである
それからユーチューブを駆使して、暇つぶしをして
仮面ライダーが好きだというので、ユーチューブにあった仮面ライダーアマゾンの動画を流してやると
とんでもなく怯えていた
たしかに、噛み付くわ、引っ掻くわ、しかも黄色やら緑やらの液体がドバドバ出るのである
今では考えられない、とんでもなく暴力的描写なのである
しかも、敵は虫や獣を元にした非常にグロテスクなものなのである
僕は仮面ライダーなどの特撮ものは好きではなかったが、アマゾンは好きであったので久しぶりに観たくなって、それでセレクトしたのであった
あの、アマゾンのビビットの利いたカラーリングや、媚びない感じのフォルムが好きだったのだ
それから甥っ子とお風呂に入ったのだが、甥っ子の寝間着はシンケンジャー(今やっている特撮もの)であった
話題作りに、それ何、と聞いてみると、甥っ子は
え、これ、キャラもの
と答えていた
いや、キャラものなのは分かっているから、そのキャラが何かって聞いているのだ
というか、キャラもの、なんていう言葉を知っている事が驚きだった
きっと、お母さん(兄嫁)なんかに「またキャラものー」なんて言われているんだろう、目に浮かぶ
夜も更けると甥っ子はお喋りモード全開になったのか、時折理解不能なことを際限なく話しだしたので
僕も僕でなかなか面白くなってきたと、話を促していた
それで興味深かったのは
しゅんくん、大きくなったら、お外に出て、歌を歌うの
なんて言い出したのだ
お、流し、みたいで粋じゃないか
なんて言うと
ううん、あのね、それで「オシカケ歌謡ショー」をするの
なんて言い出してきた
オシカケってあの「押し掛け女房」とかの、と聞くと、よくわからないようで
オシカケはオシカケたい
と、あしらわれてしまった
どこで覚えて来たんだ、しかも、歌謡ショーときた
どういうことか分からなかったが、とにかく押し掛け歌謡ショーをするらしい
とりあえず、あまり人に迷惑をかけることはしちゃいけないよ、と言っておいたが
分かったのか分からないのか、うん、とだけ言っていた
兎にも角にも子供の成長は著しいものがある、これからが楽しみだ
ちなみに、甥っ子は僕の事を「友達」と認識しているそうである
http://www.youtube.com/watch?v=t3M8AmmRBHI
アマゾンの動画である
2009年08月08日 22:58
梅雨が明けたよ、という虫たちの話し声が南風に乗って耳に入ってきた
なんてわけのわからない事を口走ってしまうほどに
とんでもなく夏である
参った、夏である
しかし、ここは男らしく夏というやつと面と向かって付き合ってやろうと
最近は夜な夜ながしゃがしゃ冷房のきいた部屋でエヴァンゲリオンを観ております
逃げちゃだめだ、とシンジくんが言っていますが、どうもだめです
そんなこんなの僕です。
今まで僕はエヴァンゲリオンというものを避けて生きていたのであるが、とうとう出会ってしまい
あっという間にはまってしまった
もともと、どうも僕は見た目からか「ガンダムが好きそう」だとか「エヴァンゲリオン好きでしょう」とか「ヲタクでしょ」とか言われたい放題に言われている節がある
決してそんなことはないのだが、そう見られてしまうのだ
しかし、それはきっと、背が高い人が「バスケットボールはお好きですか」とか、恰幅がよければ「柔道でもしてるの」なんて言われるものと同じなのだろうが
どうも受け止め難い何かがあって
その被先入観に対する抵抗として、僕は今までエヴァンゲリオンを避けていたのである
いや、それはもはや被先入観に対する復讐といっても過言ではないのかもしれない
まあ、そんな気持ちの悪い話は置いといて、やはり厄年の僕はどうもツいていないようである
先月の話になるのであるが、先月、僕は何と4回もパンクに見舞われた
僕は人の20倍くらいはパンクにあっていると自負しているとんでもないパンク野郎であるので、大抵のパンクでは動じないのだが、さすがに立て続けに起こると狼狽えてしまう
その上、まんべんなくパンクをしていっているのが、もやは奇跡的としか言いようがない悲劇である
まず、月のはじめに自転車の前輪がパンクしたのである、それから1週間後くらいに後輪がパンクした
すごい
後輪のパンクに関しては虫ゴムが悪くなっていたことが原因であり、虫ゴム(虫ゴムとは空気を入れるところの栓の内側についている筒状のゴムのこと)に関するパンクはじわじわ空気が抜けるので、何となく予測は可能なのである
それからまた1週間後、その日は日曜日であった、そしてなかなか重めのパンクであった
バイト先のパン屋へとカブ号で向かっているといつも停めている駐輪所のすぐ近くで後輪がパンクをしたのである
バイクのパンクは自転車のパンクとは比べようが無い程に精神的ダメージを受けてしまうもので
思わず、品のない言葉を叫んでしまう程に、ノーフーチャーな若者になり下がってしまう、それはそれはショッキングな出来事なのである
しかし、それでも持ち前の明るさと前向きさ、向上心の強さから、パン屋では何事もなかったように気丈に振る舞っていたのである
健気である
そんな僕の心を根こそぎへし折るような出来事が起こることは、チャカチャカとレジを打っている時点では思いもしなかったのである
なんとかなるだろう、と楽観的に考えていた僕はパン屋を15時に出るとそそくさ駐輪場に向かったのである
バイクを押しているうちに何とかなるだろうし、ひょっとしてガソリンスタンドで直してもらえるかもしれない
それに朝のうちから友人に頼んでバイト先のパン屋から最寄りのバイク屋を調べてもらうようにしていたのだ
バイトが終わったら連絡するのでそれまでに調べておいてくれと、バイトの終わる時間も告げていたのであった
とりあえず、その友人に電話をしてみたが、繋がらなかった
かなりしつこくコールを鳴らしたが繋がらなかったのである
仕方ながないので炎天下の7月の青空のもと、僕はえっちらおっちらとバイクを押していたのである
経験したことがない人にはピンとこないかもしれないが、パンクしたバイクを押す事はかなりの重労働であり、少し動いただけで汗が噴き出すほどである
それでも僕は休む事無く進んで、目についたガソリンスタンドに行っては
すみません、バイクのパンク修理ってできますか、あ、だめですか、この辺でパンク修理できるようなところありますか
これを3回程繰り返したのである
その間に友人と連絡がついたが、インターネットを駆使しても分からなかったそうである
ちなみに何故電話に出なかったのかと聞いてみると、寝ていたそうである
薄情である
しかし、それが友情である
そして、僕は地下鉄の駅一つ分の距離を押していき、やっとのことバイク屋さんを見つけたのである
だが、7月といえば博多の町は山笠ムード一色であり、その日は山見せとかいうイベントであってとてつもなく人がごった返していた
それでも僕は人波をかき分けてバイク屋さんにたどり着いたのである
日曜なので閉まっているのかと思ったが、シャッターは開いていたので安堵した
どうも店の前を山(みこし)が走るようで見物客が大勢いたが僕は構わず店の中へと踏み入れ、主人らしき人物にパンク修理をお願いした
しかし、主人の言葉を聞いて絶句した
今日は山見せやけんねー
と言って断られたのである
さすがは博多、山笠があるけん博多たい、なんて言葉がある程である
福岡に生まれて24年、これほどまでに山笠というものが権威を持っているとは知らなかった
僕は一駅分押してきたのだと伝えると、さすがに気の毒に思ったのか
じゃあ、空気くらい入れてあげるよ、とピヤーっと空気を入れてくれた
これでしばらくは走るのではないかと思ったが、パンクの被害は大きいらしく一瞬でタイヤはしぼんでしまい、僕の心は根こそぎ折れてしまった
回復不可能な精神的打撃である
それからはその場をあとにして、結局バイク屋が見つからずにもとの駐輪場に置いて翌日修理しにいく事にしたのである
駐輪場に着いて、ああ、だったらさっきのバイク屋に置いときゃよかった、なんて気付いた馬鹿な僕であった
それからまた1週間後
今度は自転車の前輪がまたパンクしていた
しかし、前輪はこの間パンク修理をしたばかりだし、最近、空気圧が低くなる傾向があったので僕は虫ゴム悪くなっているのではないかという考えにいたった
何事においても経験値というものは役に立つ
自転車屋まで押していって虫ゴムを交換してもらおうと思ったのだが
ひょっとしてチューブに穴が空いているのが原因で虫ゴムなんて関係ないのでは
虫ゴムを交換したあとに、やっぱりチューブに穴が空いているのが原因であって
お客さーん、素人なんだから下手に判断されちゃ困るよー
なんてことになるのではないかと、失敗を恐れる小市民の僕はとりあえず自分で虫ゴムを交換してみようと考えたのである
僕は人より20倍近くはパンクにあっているだろうと自負しているが、自分でパンク修理をしたことは一度も無い
ひとまず、近くに100円ショップがあった事を思い出したのでそこまで自転車を押していき、そこで「パンク修理セット」と
空気入れらしき、ガスライター用の補充ガスに似た形の「瞬間パンク修理器」なるものを購入したのである
それで店の前で僕は虫ゴムの交換をして、その「瞬間パンク修理器」なるもので空気を入れる事にしたのである
空気の挿入部と「瞬間パンク修理器」がきちんとドッキングしていなかったが、まあいいだろうと挿入部に押し込むと
なんと白い泡がぶわーっと飛び出してきたのである
なんじゃこりゃ、と慌てふためいた僕
自転車の周りは泡だらけである
整髪料のムースのようなものが飛び出してきたのである、その泡は非常にベタベタしていて接着能力があるようであった
そこでやっと分かったのあるが「瞬間パンク修理器」というものは瞬間的に空気を入れておいてその場をやり過ごす、というものではなく
本当に瞬間のうちにパンク修理をしてしまう、とんでもない優れものだったのである
つまりは接着剤を含んだ泡と空気を一緒にチューブ内に送り込み、パンクの原因である穴を塞ぐというものらしい
へえ、と感心しながらも今の僕には必要に無い機能にがっかりしながら、残り少ない泡の入った空気を、今度はしっかりジョイントさせて送り込んだのである
そのせいで随分と空気圧が低くなったものの、なんとか乗って家まで帰ったのである
とりあえず、空気を入れ足さねばならないなと倉庫から空気入れを持ち出してきたが、どうも初めて虫ゴムを交換したわけであるので上手くできているかが疑問であった
気になるのでもう一度確認してみようと、僕は自転車の前輪あたりにしゃがみこんで空気挿入部の栓を外したのである
その途端、僕の肩に物凄い勢いで白い泡が吹き出してきた
泡といっても、もう、消化器みたいな具合である
思わず仰け反ってしまい、そのまま尻餅をついたが泡の勢いは衰えず、家の外壁に向かってプシューッとエヴァンゲリオンよろしくとばかりの勢いで飛び出していた
そりゃそうである、空気が出れば泡だって出てくるはずである、ちょっと考えればわかる話であった
肩は泡だらけであり、二の腕まで泡が垂れてきていた
しかし、なぜだか僕は外壁が泡だらけになっていく、そんな光景を見つめながら
熱くなった地面を手のひらで感じて
ああ、夏が来たのだなと感じたのである
泡の壁の上には青空と入道雲があって
そのとき僕は南風に乗ってきた虫たちの、梅雨が明けたよ、という話し声を耳にしたのであった
最後の虫のくだりは嘘である
ちょっときれいにまとめてみたかっただけである
なんてわけのわからない事を口走ってしまうほどに
とんでもなく夏である
参った、夏である
しかし、ここは男らしく夏というやつと面と向かって付き合ってやろうと
最近は夜な夜ながしゃがしゃ冷房のきいた部屋でエヴァンゲリオンを観ております
逃げちゃだめだ、とシンジくんが言っていますが、どうもだめです
そんなこんなの僕です。
今まで僕はエヴァンゲリオンというものを避けて生きていたのであるが、とうとう出会ってしまい
あっという間にはまってしまった
もともと、どうも僕は見た目からか「ガンダムが好きそう」だとか「エヴァンゲリオン好きでしょう」とか「ヲタクでしょ」とか言われたい放題に言われている節がある
決してそんなことはないのだが、そう見られてしまうのだ
しかし、それはきっと、背が高い人が「バスケットボールはお好きですか」とか、恰幅がよければ「柔道でもしてるの」なんて言われるものと同じなのだろうが
どうも受け止め難い何かがあって
その被先入観に対する抵抗として、僕は今までエヴァンゲリオンを避けていたのである
いや、それはもはや被先入観に対する復讐といっても過言ではないのかもしれない
まあ、そんな気持ちの悪い話は置いといて、やはり厄年の僕はどうもツいていないようである
先月の話になるのであるが、先月、僕は何と4回もパンクに見舞われた
僕は人の20倍くらいはパンクにあっていると自負しているとんでもないパンク野郎であるので、大抵のパンクでは動じないのだが、さすがに立て続けに起こると狼狽えてしまう
その上、まんべんなくパンクをしていっているのが、もやは奇跡的としか言いようがない悲劇である
まず、月のはじめに自転車の前輪がパンクしたのである、それから1週間後くらいに後輪がパンクした
すごい
後輪のパンクに関しては虫ゴムが悪くなっていたことが原因であり、虫ゴム(虫ゴムとは空気を入れるところの栓の内側についている筒状のゴムのこと)に関するパンクはじわじわ空気が抜けるので、何となく予測は可能なのである
それからまた1週間後、その日は日曜日であった、そしてなかなか重めのパンクであった
バイト先のパン屋へとカブ号で向かっているといつも停めている駐輪所のすぐ近くで後輪がパンクをしたのである
バイクのパンクは自転車のパンクとは比べようが無い程に精神的ダメージを受けてしまうもので
思わず、品のない言葉を叫んでしまう程に、ノーフーチャーな若者になり下がってしまう、それはそれはショッキングな出来事なのである
しかし、それでも持ち前の明るさと前向きさ、向上心の強さから、パン屋では何事もなかったように気丈に振る舞っていたのである
健気である
そんな僕の心を根こそぎへし折るような出来事が起こることは、チャカチャカとレジを打っている時点では思いもしなかったのである
なんとかなるだろう、と楽観的に考えていた僕はパン屋を15時に出るとそそくさ駐輪場に向かったのである
バイクを押しているうちに何とかなるだろうし、ひょっとしてガソリンスタンドで直してもらえるかもしれない
それに朝のうちから友人に頼んでバイト先のパン屋から最寄りのバイク屋を調べてもらうようにしていたのだ
バイトが終わったら連絡するのでそれまでに調べておいてくれと、バイトの終わる時間も告げていたのであった
とりあえず、その友人に電話をしてみたが、繋がらなかった
かなりしつこくコールを鳴らしたが繋がらなかったのである
仕方ながないので炎天下の7月の青空のもと、僕はえっちらおっちらとバイクを押していたのである
経験したことがない人にはピンとこないかもしれないが、パンクしたバイクを押す事はかなりの重労働であり、少し動いただけで汗が噴き出すほどである
それでも僕は休む事無く進んで、目についたガソリンスタンドに行っては
すみません、バイクのパンク修理ってできますか、あ、だめですか、この辺でパンク修理できるようなところありますか
これを3回程繰り返したのである
その間に友人と連絡がついたが、インターネットを駆使しても分からなかったそうである
ちなみに何故電話に出なかったのかと聞いてみると、寝ていたそうである
薄情である
しかし、それが友情である
そして、僕は地下鉄の駅一つ分の距離を押していき、やっとのことバイク屋さんを見つけたのである
だが、7月といえば博多の町は山笠ムード一色であり、その日は山見せとかいうイベントであってとてつもなく人がごった返していた
それでも僕は人波をかき分けてバイク屋さんにたどり着いたのである
日曜なので閉まっているのかと思ったが、シャッターは開いていたので安堵した
どうも店の前を山(みこし)が走るようで見物客が大勢いたが僕は構わず店の中へと踏み入れ、主人らしき人物にパンク修理をお願いした
しかし、主人の言葉を聞いて絶句した
今日は山見せやけんねー
と言って断られたのである
さすがは博多、山笠があるけん博多たい、なんて言葉がある程である
福岡に生まれて24年、これほどまでに山笠というものが権威を持っているとは知らなかった
僕は一駅分押してきたのだと伝えると、さすがに気の毒に思ったのか
じゃあ、空気くらい入れてあげるよ、とピヤーっと空気を入れてくれた
これでしばらくは走るのではないかと思ったが、パンクの被害は大きいらしく一瞬でタイヤはしぼんでしまい、僕の心は根こそぎ折れてしまった
回復不可能な精神的打撃である
それからはその場をあとにして、結局バイク屋が見つからずにもとの駐輪場に置いて翌日修理しにいく事にしたのである
駐輪場に着いて、ああ、だったらさっきのバイク屋に置いときゃよかった、なんて気付いた馬鹿な僕であった
それからまた1週間後
今度は自転車の前輪がまたパンクしていた
しかし、前輪はこの間パンク修理をしたばかりだし、最近、空気圧が低くなる傾向があったので僕は虫ゴム悪くなっているのではないかという考えにいたった
何事においても経験値というものは役に立つ
自転車屋まで押していって虫ゴムを交換してもらおうと思ったのだが
ひょっとしてチューブに穴が空いているのが原因で虫ゴムなんて関係ないのでは
虫ゴムを交換したあとに、やっぱりチューブに穴が空いているのが原因であって
お客さーん、素人なんだから下手に判断されちゃ困るよー
なんてことになるのではないかと、失敗を恐れる小市民の僕はとりあえず自分で虫ゴムを交換してみようと考えたのである
僕は人より20倍近くはパンクにあっているだろうと自負しているが、自分でパンク修理をしたことは一度も無い
ひとまず、近くに100円ショップがあった事を思い出したのでそこまで自転車を押していき、そこで「パンク修理セット」と
空気入れらしき、ガスライター用の補充ガスに似た形の「瞬間パンク修理器」なるものを購入したのである
それで店の前で僕は虫ゴムの交換をして、その「瞬間パンク修理器」なるもので空気を入れる事にしたのである
空気の挿入部と「瞬間パンク修理器」がきちんとドッキングしていなかったが、まあいいだろうと挿入部に押し込むと
なんと白い泡がぶわーっと飛び出してきたのである
なんじゃこりゃ、と慌てふためいた僕
自転車の周りは泡だらけである
整髪料のムースのようなものが飛び出してきたのである、その泡は非常にベタベタしていて接着能力があるようであった
そこでやっと分かったのあるが「瞬間パンク修理器」というものは瞬間的に空気を入れておいてその場をやり過ごす、というものではなく
本当に瞬間のうちにパンク修理をしてしまう、とんでもない優れものだったのである
つまりは接着剤を含んだ泡と空気を一緒にチューブ内に送り込み、パンクの原因である穴を塞ぐというものらしい
へえ、と感心しながらも今の僕には必要に無い機能にがっかりしながら、残り少ない泡の入った空気を、今度はしっかりジョイントさせて送り込んだのである
そのせいで随分と空気圧が低くなったものの、なんとか乗って家まで帰ったのである
とりあえず、空気を入れ足さねばならないなと倉庫から空気入れを持ち出してきたが、どうも初めて虫ゴムを交換したわけであるので上手くできているかが疑問であった
気になるのでもう一度確認してみようと、僕は自転車の前輪あたりにしゃがみこんで空気挿入部の栓を外したのである
その途端、僕の肩に物凄い勢いで白い泡が吹き出してきた
泡といっても、もう、消化器みたいな具合である
思わず仰け反ってしまい、そのまま尻餅をついたが泡の勢いは衰えず、家の外壁に向かってプシューッとエヴァンゲリオンよろしくとばかりの勢いで飛び出していた
そりゃそうである、空気が出れば泡だって出てくるはずである、ちょっと考えればわかる話であった
肩は泡だらけであり、二の腕まで泡が垂れてきていた
しかし、なぜだか僕は外壁が泡だらけになっていく、そんな光景を見つめながら
熱くなった地面を手のひらで感じて
ああ、夏が来たのだなと感じたのである
泡の壁の上には青空と入道雲があって
そのとき僕は南風に乗ってきた虫たちの、梅雨が明けたよ、という話し声を耳にしたのであった
最後の虫のくだりは嘘である
ちょっときれいにまとめてみたかっただけである