覚醒都市

日常雑記、文芸評論もどき、写真、旅行記、小説など。

ハウステンボス

長崎県佐世保市にあるハウステンボス。
入場料たっかいんであんまり行ったことないんですけどね、
誰でも綺麗な写真が撮れるスポットです(笑)
日陰がないので暑い時期の日中は地獄。

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撮影:2010年8月

読むことの喜びに満ちた世界へようこそ!(都甲幸治「21世紀の世界文学30冊を読む」)


21世紀の世界文学30冊を読む
21世紀の世界文学30冊を読む
著者:都甲 幸治
販売元:新潮社
(2012-05-31)
販売元:Amazon.co.jp
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今年の5月末に新潮社から刊行された都甲幸治さんの本書は「自分なりの解釈を求める」という部分に重きを置いた、新しい文学を求める、都甲さんの探究の軌跡である。
世界文学ということだが、本書に挙げられている作品はアメリカに非常に深い関わりをもつものが多い。
しかし、その内訳を見てみると英語で書かれてはいても、著者はアメリカ人ばかりではない。なんとアジア出身で英語が母語でない作家もいるのだ。
そして、英語で書かれていてもアメリカ的ではない小説もある。

これはアメリカ文学なのか?それともアジア文学?分類は困難を極め、文学は多様化している。
しかしこれは日本国内だけを見ても理解できるのではないだろうか。
日本語的で無い日本文学を書く作家は多くいるし、形式として前衛的な文体(いわば新しい文体)を用いる作家も多くいる。
(例を挙げるなら、前者は村上春樹、後者は舞城王太郎、円城塔などだと私は思う)
日本語で書かれた小説だけを見てもこうなのだから世界文学に同じような現象が起こることも頷ける。 

原書と翻訳書の肌触りは絶対に違うと思う。けれど都甲さんは本書で原書を読め!と言いたいわけではないと思うのだ。



私は長い間、翻訳小説を敬遠していた。
物心着く前には読んでいたものも、読まなくなってしまった。
(幼少期の愛読書はミヒャエル・エンデの「モモ」。今も大好き!)
きっかけは間違いなくハ●ーポッターシリーズ。
カタカナが苦手な私は、この超人気シリーズの登場人物の多さに誰が誰だかわからなくなるという事態に陥り、翻訳物を読む勇気を失ってしまった。(結局このシリーズは第1巻を半分まで読んだ所で挫折)
翻訳小説はカタカナが多くて、頭に入って来ない、私には向いていない、という先入観ができてしまったのだ。

最近になって少しずつ読んでみようという気になったのだが、
海外文学を楽しむにはそれが書かれた土地の、その時代のバックボーンを知っておかなければならない。
逆に言うとこれさえわかっていれば楽しめる。
日本とは全く違う文化、歴史、宗教を持つ世界との出会い。
とてつもなく新鮮に感じた。
割と最近読んだものの中で特によかったのはアゴタ・クリストフの「悪童日記」三部作。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
著者:アゴタ クリストフ
販売元:早川書房
(2001-05)
販売元:Amazon.co.jp
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この小説の舞台となるのは、第二次世界大戦末期~戦後の中部ヨーロッパ(ハンガリーの田舎町)である。
クリストフも複雑な経歴を持つ女性作家でハンガリー出身だが、オーストリアに亡命、スイスに定住した。
母語はハンガリー語だが、フランス語で執筆をしている。



しかし、全く違うように見える国に生きる人間であったとしても、自分と同じようなことを考えたり、同じようなことに苦悩したり、もしかすると地球の裏側にいる誰かが、一番自分のことをわかってくれる可能性もある。

既に日本で翻訳され評価され確固たる地位を築いてきた文学もたくさんある。
これを読め!というような海外文学紹介本も数多くある。
しかしそこにはある一定の解釈がなされ既に答えが出されてしまっている。
「原書を読み自分なりに解釈してみる」というのは極端な例であり、それができるのが一番なのかもしれないが、
そうでなくても、新しい文学の中に、まだ誰も見つけていない世界を探して、自分の答えを見つけてほしい、自分の世界を広げていってほしい、というのが都甲さんからの読者へのメッセージではないだろうか。

視線を目の前だけに、日本だけに留めないで、もっと世界にも目を向けることでたくさんの可能性に気づくことができる。
そしてもう一度海外文学のよさを知ってほしい、という都甲さんの文学への愛を感じる本であった。

堕天使。


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桐島、部活やめるってよ(小説すばる新人賞)

集英社主催の新人文学賞「小説すばる新人賞」。
これの2009年の受賞作が現在実写映画公開中の朝井リョウ・著「桐島、部活やめるってよ」。

桐島、部活やめるってよ
桐島、部活やめるってよ
著者:朝井 リョウ
販売元:集英社
(2010-02-05)
販売元:Amazon.co.jp
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タイトルからずっと気になってたんですがやっと読めました。

タイトル通り「桐島、部活やめるんだってさ!」という話なんだけど、なんと最後まで桐島出てこない。
桐島はバレー部のキャプテン。
直接桐島と関わりのない人も含まれる5人の高校生の視点で語られるリアルな青春群像劇。

朝井さんはこれを書いた時19歳だったそうだが、桐島は全然出てこないのに、周りに及ぼす小さな変化を描いていてうまい。

作中では一貫してクラス内のスクールカーストをリアルに描写してある。
例えば、制服の着こなし一つをとっても上の階層の人は一々おしゃれに着こなす、だの、髪型にしても茶髪にしてみたりパーマにしてみたり。
逆に下の階層だと着崩さず、垢抜けず、といった感じ。
あるある(笑)
大体A・B・C・Dくらいのグループに分かれるよね。

女子だと、Aグループが一番派手で、男子とも仲が良くて一番発言力があって。
でもそこではぶられたりするとBグループに一時的に混ざったりするの、で、ほとぼりがさめたり、または他の人が次ははぶられたりして入れ替わりで戻っていったり。
ほんとくだらないんだけどさ。
でも、高校生にとっては学校の中の世界が全てなんだよね。

最近スクールカーストを描いた小説って結構見るような気がします。
有名な所だと、芥川賞を受賞した綿矢りささんの「蹴りたい背中」もそう。
本谷有希子さんもよく描いてる、主にくだらねー!って方向で(笑)
綿矢さんは、在学中にそんなの書いて大丈夫なの?wって心配にもなったりした覚えがあります。


作中での第二の柱になるのが、一所懸命になにかに取り組むこと、なのかな。
ダサくても、クラスでは下層グループでも、映画への想いは熱く、一心に映画を作る映画部の前田くん。

彼と対照的に描かれているのが、カッコよくて、クラスでも人気者で最上権力者の菊池くん。
野球部で、部内でも一番の実力がありながら、部活はさぼりがちで、本気でやろうとはしない。
付き合っている彼女のことをかわいいけど、薄っぺらい奴、と思いながらも自分も一緒なんだと自覚する。
そして映画、という熱くなれるものを持っている前田くんに密かに嫉妬の念を抱く。

うーん、あるある(笑)
そういう「学生生活ならでは」がいっぱい詰まった一冊です。

ただ、文章が少し軽いかな、と思う。チャットモンチーだとかaikoだとかラッドウィンプス、だとか固有名詞を上げている点においてもリアリティをだそうという効果を狙っているのだと思うが、いささか軽薄になってしまっていると思う。

同じ小説すばる新人賞受賞作に
三崎亜記・著「となり町戦争」(2004年受賞)
となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫)
著者:三崎 亜記
販売元:集英社
(2006-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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水森サトリ・著「でかい月だな」(2006年受賞)
でかい月だな (集英社文庫)でかい月だな (集英社文庫)
著者:水森 サトリ
販売元:集英社
(2010-01-20)
販売元:Amazon.co.jp
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があるが、似た系統の作品だと思う。
なんというか、サラっとしすぎているというか、作中人物の感情の変化が見えづらいように思う。

話題作ということで評価は少し辛めかもしれないけれど★★★☆☆。
その後も結構な頻度で新作を書かれているし、今年は直木賞候補に初ノミネート!というわけで他の著作も読んでみたいと思う。
(2011年受賞の橋本長道・著「サラの柔らかな香車」気になる!)
Profile.
Master: Sa.

写真はFuji Finepix F100fdにて撮影(5年目)。
アップが面倒になってきたので写真更新停滞中。
カメラを買いたいこの頃。
編集ソフトはPhotoScapeを使用。
(ないとは思いますが写真や文章の無断転載はご遠慮願います。)
Gallery.
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