葦の髄から循環器の世界をのぞく

訪問ありがとうございます。 このブログは医療関係者を対象としています。 老境に入った内科開業医が、昔専門とした循環器科への熱い思い断ちがたく一人でお勉強した日記です。 内容は循環器科に限定しています。 他に「井蛙内科開業医/診療録」「ふくろう医者の診察室」のブログもあります。

スタチンのノセボ効果が明らかに/Lancet

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43975

スタチン治療の有害事象について、いわゆる「ノセボ効果」が認められることが明らかにされた。
英国の研究グループが、ASCOT-脂質低下療法(LLA)試験の二重盲検試験期と非盲検延長試験期の有害事象について解析した結果、盲検下ではみられなかったが非盲検下において、すなわち患者も医師もスタチン療法が実施されていると認識している場合にのみ、筋肉関連有害事象が過剰に報告されたという。
これまで、無作為化二重盲検比較試験ではスタチン療法と有害事象との関連は示唆されていなかったが、観察研究では盲検試験に比べてさまざまな有害事象の増加が報告されていた。
(Lancet誌オンライン版 2017.5.2)


二重盲検試験期と非盲検延長試験期で、有害事象の発現を比較

研究グループは、ASCOT-降圧療法(BPLA)試験の対象者(40~79歳で、3つ以上の心血管危険因子を有し、心筋梗塞の既往歴がなく、狭心症未治療の高血圧患者)で、空腹時総コレステロール値6.5mmol/L以下、スタチンまたはフィブラート未使用者をASCOT-LLA試験に登録し、アトルバスタチン(10mg/日)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた(二重盲検試験期)。
アトルバスタチンの有効性が確認されたためASCOT-LLA試験は早期中止となり、その後はASCOT-BPLA試験が終了するまでアトルバスタチン(10mg/日)を非無作為化非盲検下で投与する延長試験を行った(非盲検延長試験期)。


有害事象はMedDRAを用いて分類し、事前に特定された注目すべき有害事象とされる筋肉関連、勃起障害、睡眠障害および認知障害の4つの有害事象について、全報告を評価者盲検下で判定するとともに、それ以外の有害事象を器官別大分類(SOC)にて解析した。有害事象発現率は、1年当たりの割合(%)として表示した。


非盲検延長試験期で筋肉関連有害事象の発現が増加

二重盲検試験期は1998年2月~2002年12月で、解析対象は1万180例(アトルバスタチン群5,101例、プラセボ群5,079例)、追跡期間中央値は3.3年(IQR:2.7~3.7)、非盲検延長試験期は2002年12月~2005年6月で、解析対象は9,899例(アトルバスタチン使用者6,409例:65%、未使用者3,490例:35%)、追跡期間中央値は2.3年であった。


二重盲検試験期では、アトルバスタチン群とプラセボ群とで筋肉関連有害事象と、勃起障害の発現率は同程度であったが、睡眠障害はアトルバスタチン群が有意に低かった。
認知障害は発現例が少なく検出力不足であった。
同試験期で、有意差が認められたのは、腎および尿路障害で、アトルバスタチン群で有意に高頻度であった。


一方、非盲検延長試験期では、スタチン使用者においてスタチン未使用者より筋肉関連有害事象の発現率が有意に増大した。
同様に、筋骨格系および結合組織障害、また血液およびリンパ系障害もスタチン使用者で多く、それ以外は両者で有意差は確認されなかった。


著者は、「今回の結果は、患者と医師の両方に対して、スタチンに関連するほとんどの有害事象は薬剤を服用したことによるものではないことを保証するものであり、スタチンの副作用を誇張する主張が公衆衛生に及ぼす有害な影響に対処する一助にすべきである」と述べている。


英文抄録

Adverse events associated with unblinded, but not with blinded, statin therapy in the Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Lipid-Lowering Arm (ASCOT-LLA): a randomised double-blind placebo-controlled trial and its non-randomised non-blind extension phase.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28476288&keiro=journal




<自遊時間>

数年前のMT紙掲載の某CCBの広告に、CKD合併高血圧に対する降圧治療についての某教授のコメントが出ていた。

「尿蛋白の減少は、緊張度の極めて高い抵抗血管にかかる大きな圧負荷を減少させることにつながると思います」

未だにこのメカニズムが自分には理解出来ません。




<きょうの一曲>

Franz Liszt - Etude nr. 3, La Campanella - Alice Sara Ott

https://www.youtube.com/watch?annotation_id=annotation_668020331&feature=iv&src_vid=LBkKbpKHRas&v=-lmFh_jVX0A


ピアニスト・アリス=紗良・オットさん グリーグを語る

https://www.youtube.com/watch?v=Yqs4jEKYvCs



<きょうの一枚の絵>
10754_xl

鈴木信太郎 「花」

http://www.oida-art.com/buy/detail/10754.html



 

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SGLT2阻害薬、実臨床で心不全・死亡減少 国際観察研究CVD-REAL試験

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0525508630/

欧米6カ国30万人超の2型糖尿病患者を対象とした国際観察研究CVD-REAL*1試験で、SGLT2阻害薬が他の血糖低下薬に比べて心不全による入院および総死亡のリスク減少に関連することが示されたと、米国の研究グループがCirculation(2017年5月18日オンライン版)で報告した。
国際大規模研究によるSGLT2阻害薬治療の初のリアルワールドデータとなる。


欧米6カ国から30万人超を登録

2型糖尿病患者は心不全リスクが高く、心不全合併例の5年生存率は25%未満と予後不良である。
血糖コントロールだけでは心不全の予防は難しいとされるが、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジンは、動脈硬化性CVD既往を有する2型糖尿病患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)
の3.1年の追跡期間で、心不全による入院およびCVD死、総死亡の減少効果を示した。

 
CVD-REAL試験では、これらの有益性が実臨床のより広範で低リスクの患者群に応用可能かどうか、またSGLT2阻害薬のクラス効果であるかどうかを確認するため、欧米6カ国でSGLT2阻害薬またはその他の血糖降下薬を新規導入した18歳以上の2型糖尿病患者を対象に、処方から250日前後の心不全および死亡リスクを比較した。

 
2012年11月~13年7月に処方箋が交付された患者のデータが、米国では民間医療保険(Truven Health MarketScan Claims and Encounters)のデータベース、ノルウェイ、スウェーデンおよびデンマークでは全国登録、ドイツおよび英国ではプライマリケアと病院記録からそれぞれ収集された。
SGLT2阻害薬導入の傾向スコアを用いて交絡因子を調整、SGLT2阻害薬群とその他血糖降下薬群を1:1でマッチングした。
心不全による入院(北欧3カ国は外来診療を含む)、総死亡およびこれらの複合ハザード比(HR)を国別に推定し、メタ解析を行った。なお、死亡データはドイツでは入手できなかった。


心不全による入院リスク39%、総死亡リスク51%減少

傾向スコアマッチングコホートは30万9,056例(各群15万4,528例)、平均年齢57歳、女性が44%、CVD既往が13%。使用されたSGLT2阻害薬については、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンのクラス全体の曝露時間のそれぞれ53%、42% 、5%を占めた。
19万164人・年の追跡期間中、心不全は961例(発症率0.51/100人・年)。米国、ドイツ、ノルウェイ、デンマーク、スウェーデンおよび英国の患者21万5,622例中、総死亡が1,334例(死亡率0.87/100人・年)、心不全または総死亡が1,983例(発生率1.38/100人・年)に認められた。

 
SGLT2阻害薬群では、他の血糖降下薬群に比べて心不全が39%(HR 0.61、95%CI 0.51~0.73、P<0.001)、総死亡が51%(同0.49、0.41~0.57、P<0.001)および心不全/総死亡の複合イベントが46%(同0.54、0.48~0.60、P<0.001)減少した。
これらの結果は、国別でも有意差はなかった。


低リスク含む患者に応用できるクラス効果

発表者は、SGLT2阻害薬の実臨床経験は比較的限られており、長期追跡研究が必要とした上で、「今回の大規模研究では、87%がCVD既往のない患者群で、他の血糖低下薬に比べてSGLT2阻害薬は心不全および総死亡リスク減少に有意に関連していた。RCTで確認されたエンパグリフロジンの有益性は、リアルワールドのより広範囲の2型糖尿病患者に応用できるクラス効果であることが示唆された」と結論付けている。

 
SGLT2阻害薬は、グルコースを腎臓経由で排出する2型糖尿病治療薬で、心不全および総死亡リスク減少との関連は短期間で認められた。
彼らは「このような有益性は
血糖以外の機序によるものだろう。心不全を含むCVDは2型糖尿病患者の最大の死因であり、最近の心血管アウトカム試験の結果は、HbA1cに焦点を絞るのではなく、死亡率減少効果が証明された治療法が優先されるより包括的な治療を考慮するときが来たことを示唆する」と述べている。


私的コメント

国立循環器研究センターは、心不全と糖尿病の関係を把握するため、608名の2型糖尿病患者の予後を調査しました。

その結果は、全患者の15%が心不全で入院したというものでした。

心不全が多いと言われている欧米でも、糖尿病のない人の場合、心不全発生率が約0.7%ですから、いかに糖尿病患者が心不全を合併しやすいかがわかります。

その原因の多くが糖尿病性腎症に求めることが出来るということです。

ということは、短期間にSGLT2阻害薬の効果がみられることからも利尿効果に有効性の理由を求めることになるのでしょうか。
ALLHATの延長線上の話となれば身も蓋もないことになりますが、BNPとの相関、糖尿病性腎症の有無や重症度、利尿剤使用の有無とSGLT2阻害薬との関連は検討が進んでいるのでしょうか。
この心不全や死亡率減少がHbA1c の低下を介するものではないとすれば 糖尿病専門医もそれほど「お祭り騒ぎ」は出来ないことになります。




<きょうの一曲>

Suwanai Akiko Plays Bach : Sonata for Solo Violin No.2 "Andante"

https://www.youtube.com/watch?v=43OKIwjhj20




<きょうの一枚の絵>

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石川滋彦、山湖夏 志賀高原木戸池

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/o179757370

 



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週末のPCIは死亡リスクが高い

http://www.carenet.com/news/general/hdn/43993

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を週末に受ける場合、死亡リスクが高くなる可能性が新たな研究で示唆された。
週末に入院してPCIを受けた患者は、平日に入院した患者に比べて死亡リスクが2倍であるという。

今回の新たな研究は、米国で2004~2013年に実施された130万件弱のPCIの情報を対象とした。
その結果、2004年には週末の入院は約12%であったが、2013年には21.5%になったことが分かった。
週末に入院した患者の死亡率は約2%であったのに対し、平日に入院した患者の死亡率は約1%であった。
また、週末に入院した患者は入院期間が長く(約4日対3日)、医療費も高かった(約2万4,000ドル対2万ドル)。


この研究は米ニューオーリンズで5月10~13日に開催された米国心血管造影検査インターベンション学会(SCAI)学術集会で5月11日に発表された。
このような『週末効果』と呼ばれる現象については、見解が分かれている。


今回の研究は米国の実態を大いに反映しており、PCI施行患者の約5人に1人をカバーしている。
そのため、この結果は統計的に重要なものである(信頼性が高い)。
PCI患者では平日の入院との差は縮まってきているものの、週末の入院が入院中の死亡率の高さおよび入院期間の長さに関連していることが明確に示された。
週末の医療へのアクセスを改善することによりPCIを受ける患者のアウトカムを向上できる可能性がある。

私的コメント;
どの病院でも待機的手術、特に大手術は「週初め」に予定されます。
この記事では「週末に入院してPCIを受けた患者」と書かれているので、恐らく緊急PCIと思われます。
米国の診療体制の実態がよく分かりませんが、週末とその他の場合の
PCI術者の熟練度の差はないのでしょうか。
PCIの手技の差が主体で、術後のフォローアップや心臓外科医を含めたバックアップの差は余り関与していないような気がします。
翻って、日本国内で同じ研究をした場合にどのような結果となるのでしょうか。
いずれにしろ、患者は術者を選べません。


 


<番外編>

Na/K比なども測定、高血圧リスク因子を解明 東北メディカル・バンク機構が今年度開始へ

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0524508638/

・東北大学東北メディカル・メガバンク機構は、2013年度から行っている約10万人規模の宮城県でのコホート調査で、尿中Na/K比、活動量、睡眠状態のAdd-on研究をオムロンヘルスケアと共同で開始すると、発表した。
今年度(2017年度)から同コホート調査は詳細二次調査を開始する予定で、家庭血圧や体組成などに加え、約5,000人については対象者が自身で3項目を家庭用機器で計測し報告する。
遺伝子解析も対象になっており、個々人の高血圧発症リスクを遺伝的因子も含めて解明することを目指す。


・Na/K比は、塩分と野菜・果物の摂取バランスを反映しており、高値は高血圧の原因の1つとなるが、塩分非感受性の高血圧の存在も知られている。
塩分摂取量の計測は24時間蓄尿で測定する方法が標準だが、汎用性がないのが難点だった。
今回提供されるナトカリ計は、一般の人でも自身で簡単に測定できるように近年開発されたもの。

  


<きょうの一曲>

Bill Evans-On Green Dolphin Street

https://www.youtube.com/watch?v=8wwxaJ80nCg


Keith Jarrett Trio - On Green Dolphin Street

https://www.youtube.com/watch?v=bCSQbxzJyoU


John Coltrane - On Green Dolphin Street (LIVE, 1960)

https://www.youtube.com/watch?v=ePScRElDHOY


Stan Getz Quartet - Green Dolphin St. Pt. 1 - U. Jazz 1989

https://www.youtube.com/watch?v=ZP_qNlclVlo


Sonny Rollins - On green dolphin street

https://www.youtube.com/watch?v=mY_cMevB2vY


Miles Davis Sextet - On Green Dolphin Street

https://www.youtube.com/watch?v=4lmOiZHO6uM


On Green Dolphin Street - Grant Green w/ Sonny Clark

https://www.youtube.com/watch?v=IgYNRz8y6R8





<きょうの一枚の絵> 

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熊谷守一  百日草

http://www.oida-art.com/buy/detail/8954.html



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2学会つなぐPA診療指針、MINDSも高評価 日本内分泌学会

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0524508562/

(MT 2017.5.24)
原発性アルドステロン症(PA)の診断と治療ガイドライン(GL)において、日本内分泌学会と日本高血圧学会で必ずしも基準が統一されているわけではなく、さらに内分泌専門医間や施設間でも異なる。
そのため、診療内容の不均一性を是正する必要があった。
そこで日本内分泌学会は、これまでのエビデンスに基づいて重要なクリニカル・クエスチョン(CQ)に対する合意形成を示した「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」(以下、コンセンサス・ステートメント)を昨年(2016年)発刊した。
コンセンサス・ステートメント作成委員会委員長の成瀬光栄氏(国立病院機構京都医療センター臨床研究センター特別研究員)は、第90回日本内分泌学会(2017.4.20~22)で、その内容を解説するとともに、重要なGLに求められるMindsからも評価を受けたことを明らかにした。
 

PAは高血圧という点で広く診療

PAは本来、内分泌疾患であるが、成瀬氏は「高血圧が主要な臨床症状であることから、日常診療で広く遭遇する疾患である」とし、高血圧診療に携わる非専門医、市中病院やクリニックの実地医家にもパブリックコメントを募ったことから、標準的なコンセンサスが得られたと振り返った。

 
また、コンセンサス・ステートメントの評価については、判定が厳格なMindsに依頼したところ、今年3月に「対象と目的、利害関係者の参加、提示の明確さ、編集の独立性の領域の記載で評価が高かった」とする通知を受けたことを、同氏は明らかにした。


スクリーニングの対象はPA高頻度の患者群

■スクリーニング、機能確認検査

コンセンサス・ステートメントでは、CQとそれに対するステートメントおよび推奨グレードを付記した「PA診療アルゴリズム」が提示された。


手順は次の通り。

PAのスクリーニング対象は、全ての高血圧患者(推奨グレードC1)である。
しかし、費用効果の観点から確実にスクリーニングすべき患者群として、低カリウム合併症や若年などの「PAの頻度が高い高血圧群」を挙げた(推奨グレードB)。


「随時条件での採血」や「アルドステロン・レニン比(ARR)200以上、血漿アルドステロン濃度(PAC)120pg/mL以上」(各推奨グレードC1)を念頭に置いた上で、提唱されている4種類の機能確認検査のうち、少なくとも1種類での陽性の確認を推奨している(推奨グレードB)。
この点については、日本高血圧学会、米国内分泌学会とも一致しており、成瀬氏は「全ての機能確認検査を機械的に行う必要はない」と断った。


手術は原則、片側性病変例に

■病型、局在診断法、AVS、治療の選択

アルドステロン産生腫瘍(APA)の有無と局在の診断法として、まずthin sliceでのsingle -detector row CT(SDCT)が推奨される(推奨グレードC1)。
副腎静脈サンプリング(AVS)の実施が予測される場合は造影multi-detector row (MDCT、推奨グレードC1)。
ただし、慢性腎臓病(CKD)ステージG3b以降については、日本腎臓学会からコメントがあり「造影剤腎症の発症リスクを考慮し、検査前の生食の点滴静注が推奨される(推奨グレードA)」。

 
副腎摘出術については、適応や患者の希望がある場合は、AVSを原則、実施する(推奨グレードA)。
一方、35歳以下などの一定の要件を満たす明らかな片側性病変例では、CTでの腫瘍側が病変側である可能性が極めて高いことから、十分に同意説明した上で、AVSの省略も考慮する(推奨グレードC1)。

 
副腎摘出術の対象は、片側性病変例であり(推奨グレードB)、両側性病変例や手術の希望がない患者では、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬を第一選択とする薬物療法となる(推奨グレードC1)。


AVSによるPAの局在判定は厳しい基準で

成瀬氏は、コンセンサス・ステートメント作成時に、特に議論されたCQ15とCQ 17に言及した。

CQ15「AVS施行時に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)負荷は推奨されるか?」については、Selectivity Index(副腎静脈と下大静脈とのコルチゾル濃度の比)が増し、AVSの成功率は向上することから「推奨グレードC1」となった。

 
その一方で、ACTH負荷が局在診断能を向上させるか否かは明らかでない(推奨グレードC1)。
日本ではACTH負荷が一般的に行われているが、負荷前には片側性病変であったのが負荷後は両側性病変と判断され、負荷前後のどちらの局在診断が正しいのか迷うケースもある。

 
しかし、
①ACTH負荷前後の局在診断のいずれが正しいかの確実なエビデンスがない
②MR拮抗薬と副腎摘出術で長期予後の明らかな差を示すエビデンスがない③両側性PAで副腎手術をすることよりも、片側性PAをMR拮抗薬で治療する方が患者負担が少ない
―などの観点から、同氏らはACTH負荷後の局在判断に沿って治療方針を決定しているという。

 
CQ17「AVSによるPAの局在判定に推奨される指標は?」については、世界各国や各施設でさまざまな基準が使用されており、コンセンサス・ステートメントでは、その中でも比較的厳しい基準である「ACTH負荷後laterarization ratio(LR)4以上、contralateral ratio(CR)1以下」をカットオフ値として、副腎摘出術適応を決定することを推奨した(推奨グレードC1)。
この点について、同氏は「緩やかな基準」により片側性と診断、副腎手術を施行された例の長期予後が明らかでない現状では、「厳しい基準」を採用し、それに満たない場合にはAVSの結果に加えて、低カリウム血症、副腎CT、年齢などを考慮して総合判断することを推奨している。




<番外編>

米国の若年成人で脳卒中が増加  1995~2012年National Inpatient Sample入院データを解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0420507009/

1995~2012年のNational Inpatient Sample(NIS)の入院データを解析し、この期間に米国の若年成人では急性期脳梗塞による入院が増加するとともに、脳卒中の危険因子の保有率が上昇した


脳卒中危険因子の解析では、2003~04年から2011~12年に急性期脳梗塞で入院した全ての年齢群の男女において、古典的危険因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満)の保有率が上昇していた。

特に、18~34歳の男性では同期間に高血圧の有病率が34.0%から41.3%に上昇し、脂質異常症の有病率は14.6%から29.1%に上昇した。

 



<自遊時間> 

民進党に特大ブーメラン再び!

http://diamond.jp/articles/-/129323?page=5

医学部新設ということを言い出したのも、やはり民主党政権である。
日本医師会が大きな支持基盤である自民党にとって、医学部新設はご法度。
その「タブー」を破っ(てくれ)たのが、民主党政権であり、安倍政権はその遺産を「流用」していると言えるのだ。



 

<きょうの一曲>

Paganini: Violin Concerto No.1 / Suwanai P.Schneider RAI (2001 Movie Live)

https://www.youtube.com/watch?v=jSfmaz7BbLQ



<きょうの一枚の絵>

macaroni26art-img571x478-1490693548goi0i824566

石川滋彦、青木湖

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/j427243802    



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高血圧合併例の利尿薬をSGLT2阻害薬に変更

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201705/551358.html

利尿薬を併用していた高血圧合併2型糖尿病患者に対し、利尿薬を中止しSGLT2阻害薬を開始したところ、3カ月の追跡で血圧は変動せず血糖コントロールは有意に改善したという。
川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学の研究グループが、第60回日本糖尿病学会年次学術集会(2017.5.18~20、名古屋)で報告した。


2型糖尿病は高血圧の合併頻度が高く、治療抵抗性で複数の降圧薬が必要となるケースも多い。
降圧薬としてレニンアンジオテンシン(RA)系抑制薬が第1選択、カルシウム拮抗薬または利尿薬が第二選択とされているが、利尿薬は血糖や尿酸の上昇、血清カリウム低下といった代謝面での好ましくない作用があり、糖尿病患者へは積極的に投与しづらかった。
SGLT2阻害薬は血糖コントロールだけでなく血圧や代謝系の改善作用が知られており、利尿薬に置き換えて投与できる可能性がある。


そこで彼らは、外来を受診し降圧目的でサイアザイド系利尿薬を投与している高血圧合併2型糖尿病患者31例を対象に、利尿薬をSGLT2阻害薬に変更して3カ月間追跡し、血圧、体組成、血糖などへの影響を検討した。

私的コメント
糖尿病患者への
サイアザイド系利尿薬の投与は、本来回避するのが原則ではないのでしょうか。 
少なくともファーストチョイスではないと思います。 


対象患者の患者背景は平均年齢68.9歳、罹病期間16.2年、体重74.5kg、BMI 27.7、HbA1c 7.1%、空腹時血糖141.2mg/dL、血圧131.2/74.5mmHg、推算糸球体濾過量(eGFR)67.9mL/min/1.73m2などで、降圧薬としてはサイアザイド系利尿薬以外に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が30例(96.8%)、カルシウム拮抗薬が22例(71.0%)で併用されていた。


サイアザイド系利尿薬の内訳と平均投与量は、ヒドロクロロチアジド21例(7.7mg)、インダパミド7例(0.9mg)、トリクロルメチアジド3例(1.3mg)だった。
ヒドロクロロチアジドは、ARBの合剤として投与されていた。
SGLT2阻害薬はイプラグリフロジン(50mg/日)を用いた。


血圧はベースラインの131.2/74.5mmHgから3カ月後は132.1/75.8mmHgであり、有意な変化は見られなかった。
一方、HbA1cは7.1%から6.7%へ、空腹時血糖は141.2mg/dLから118.9mg/dLへ、インスリンも8.1μU/dLから6.4μU/dLへと有意に低下したほか、尿酸も6.0mg/dLから5.0mg/dLへ有意に低下した。


私的コメント
インスリンの低下をどのように解釈すればよいのでしょうか。 

血清カリウムは4.2mEq/Lから4.3mEq/Lへ有意上昇した。

私的コメント
31症例という少ない症例数の中、0.1mEq/Lというわずかな上昇で「有意」となるのでしょうか。


eGFRは有意な変化はなく、尿中アルブミン、尿中NAGなどは有意に低下した。

私的コメント

「尿中アルブミン、尿中NAGの有意な低下」は興味深いところです。
また、
InBody770で測定した体脂肪率は32.8%から32.1%へ、内臓脂肪面積は121.1cm2から115.5cm2へ、それぞれ有意に低下した。


本検討は後ろ向きの追跡であり、同じ期間に降圧目的でサイアザイド系利尿薬を投与しており、SGLT2阻害薬に変更しなかった症例が28例あった。
その中で3カ月間、全ての処方に変更がなかった19例を対照群(非切替群)として、切替群(上述の31例)との間で血圧や血糖コントロール指標の3カ月間の変化量を比較した。


切替群と非切替群でベースラインの患者背景は、HbA1cが非切替群で低かった(切替群:7.1%、非切替群:6.6%、以下同様)が、それ以外に有意差はなかった。
ベースラインから3カ月間の変化量について、血圧、血清カリウム、BIM、体重では群間差はなかったが、HbA1c(-0.3%、-0.1%)と尿酸(-1.0mg/dL、0.2mg/dL)は有意な群間差を認めた。


これらの結果から、「サイアザイド系利尿薬と同等の降圧効果を有し、かつ尿酸などに良い効果が期待できるSGLT2阻害薬は、高血圧を合併する2型糖尿病患者の治療薬として有用と考えられる」と結論した。


私的コメント
サイアザイド系利尿薬とSGLT2阻害薬では薬価の差が大きく窓口負担が増えます。
しかし、長期予後も改善するのなら経済的な問題は相殺されます。



<きょうの一曲>

Schubert - Impromptu Op.90 N.4 (Rubinstein)

https://www.youtube.com/watch?v=KdnETWq7rcY


Zimerman plays Schubert Impromptu Op. 90 No. 4

https://www.youtube.com/watch?v=lZm3JbzFzrQ




<きょうの一枚の絵> 


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石川 滋彦 「夏の妙高山」

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「仮説」を超えた「LDL仮説」:EAS合意声明

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000391.html

欧州動脈硬化学会(EAS)が、発表した新たな合意声明において、コレステロールに関する懐疑を払いのけることを目指し、LDLコレステロールはアテローム硬化性心血管疾患の原因となることを報告している

「LDLコレステロールの絶対値と心血管疾患リスクの間には、濃度依存的な対数線形関係が存在する。これは他の心血管疾患リスク因子とは独立した関連であり、また多方面からのエビデンス間で一貫していた」と、EAS合意委員会の共同議長は、2017年欧州動脈硬化学会年次大会のLate-Breakingセッションにおいて述べた。


同時にEuropean Heart Journal誌に掲載されたこの合意声明は、200万人超の参加者と2,000万人年超に関するフォローアップを含む、200を超える前向き疫学研究、遺伝学的研究、メンデル無作為群間比較試験、無作為化臨床試験に基づくものである。

LDLコレステロールは長年の間、改善可能な主要CVリスク因子であるとされてきたものの、一部ではLDLコレステロールが単なるバイオマーカーではないかと疑問視されているため、エビデンス全体の評価が必要であった。

「『なぜこの問題に関して合意委員会が必要なのか、われわれはHDLコレステロールとLDLコレステロールについて、既に十分理解しているのではないのだろうか?』と、あなたは尋ねるかもしれない。
その答えは、否、理解していない、である。
そして世界中の規制機関さえもが、LDLコレステロールを心血管リスクの代替(サロゲート)マーカーやバイオマーカーと呼び続けている。

委員会のあるメンバーは、「ガイドライン作成や、非専門的で大衆的なメディアにおいて、科学的根拠からの乖離がみられる」ようであることから、専門家による文書が必要である、と述べた。


エビデンスを1つに集約することによって、保険者、メディアや他の専門家団体との議論において、全員がLDLコレステロールの役割について同じ見地に立っていることを保証するために、この声明が使用されるようになることを望まれる。

また、このEAS合意声明の独特な点は、個人のベースラインのCVリスク、LDLコレステロール値、脂質低下療法の実施期間に基づき、血漿LDLコレステロール値低下によって得られる潜在的臨床ベネフィットを示す表を備えていることである。


この声明における重要な示唆の1つは、CVリスクが高い場合には晩期よりは早期にLDLコレステロールを低下させることが推奨されている点であり、とくに家族性高コレステロール血症においてはそうである。

LDLコレステロール高値は、家族性高コレステロール血症患者においてたびたび、アテローム硬化性心血管疾患を加速させる原因とされる唯一のリスク因子になっている。
注目すべきことに研究者らは、冠動脈疾患および死亡に対する累積LDLコレステロール負荷の閾値を特定している。
たとえば、ホモ接合体家族性高コレステロール血症を有し血漿LDLコレステロール値が10mmol/L超(400mg/dL超)である子供は10~15歳の間にこの閾値に達するのに比べ、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症を有しLDLコレステロール値がより低い場合は35歳時に、また家族性高コレステロール血症を有さない場合はおおむね60年でこの閾値に達する。


世界で最も一般的な遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症患者が、より長く健康的な人生を送ることを可能にしてきたLDL低下療法のベネフィットは驚嘆に値する。

委員会はまた、主にスタチンに関する30を超える無作為化試験からのエビデンスは、LDLコレステロール値を低下させることによってCVイベントリスクが低下すること、そしてそのベネフィットはLDLコレステロール値の絶対減少量に比例することを一貫して示している、と報告している。


また、ezetimibe(商品名:Zetia、Merck)や、より新しいプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬を含む、主にLDLコレステロールを低下させる作用を持つすべての治療法は、LDL受容体経路を経由しLDL受容体をアップレギュレーションさせることにより、LDLコレステロールのクリアランスを増加させる。


今われわれには、スタチン、ezetimibe、PCSK9阻害薬という3種類の異なるコレステロール低下療法がある。
これらすべてがLDLコレステロールを低下させるが、その作用は共通の経路を介するものである。
よってそのことはまた、これが因果関係であるという事実を支持するものである。


英文記事

'LDL Hypothesis' More Than Just 'Hypothesis' in EAS Document

http://www.medscape.com/viewarticle/879063




<きょうの一曲>

Tony Bennett - It Had To Be You

https://www.youtube.com/watch?v=RcOSyiPQnsE&list=PLhyGPBpqYv4Hxtt2w-lki7HSuLjk0FhTe




<きょうの一枚の絵> 

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佐藤計 油彩10号「オンフルール」ヨーロッパ港町  

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プラスグレルの脳梗塞再発予防を検証 PRASTRO-Ⅰ、Ⅱ試験

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0331506809/

虚血性脳血管障害患者を対象に抗血小板薬のプラスグレル3.75mg/日またはクロピドグレル75mg/日を96週間投与し、脳心血管系イベント抑制効果を比較検討した第Ⅲ相試験であるPRASTRO-Ⅰ試験と、高齢/低体重例を対象としたPRASTRO-Ⅱ試験の結果が第42回日本脳卒中学会(STROKE2017.3.16~19)で報告された。
PRASTRO-Ⅰ試験においてプラスグレルはクロピドグレルに対する非劣性を証明できなかったものの、PRASTRO-Ⅰ、Ⅱ試験ともにクロピドグレルと同程度の有効性および安全性が示された。
また、両試験においてプラスグレルの高い血小板凝集抑制作用が認められた。

プラスグレルのクロピドグレルに対する非劣性を検証

クロピドグレルの効果はCYP2C19遺伝子多型などの影響を受け、血小板凝集能の抑制が不十分と考えられるpoor metabolizerは日本人の約15~20%に存在すると指摘されている。
一方、プラスグレルは遺伝子多型の影響が少ないこと、血小板凝集抑制効果が高いことから、脳梗塞後の虚血イベント抑制効果が期待されている。
こうした背景を受け、虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症、奇異性脳塞栓症、無症候性脳梗塞を除く)への有効性と安全性について、プラスグレルのクロピドグレルに対する非劣性を検証する目的で実施されたのが、国内多施設共同第Ⅲ相試験PRASTRO-Ⅰ試験だ。

 
同試験では、脳梗塞の最終発作から1~26週間、75歳未満および体重50kg超の患者を対象に、96~104週間の投与終了翌日までの脳心血管系イベント(脳梗塞、心筋梗塞またはその他の血管死の複合)の発現率を主要評価項目、出血性イベントの発現率を安全性評価項目として検証された。

 
2011年9月~15年6月までに3,754例(62.1±8.53歳、女性21.3%)が登録、解析対象症例数はプラスグレル群1,885例、クロピドグレル群1,862例であった。
両群の背景に有意な差は認められず、CYP2C19遺伝子型のpoor metabolizerの頻度はプラスグレル群300例(17.2%)、クロピドグレル群300例(17.5%)と同程度であった。
また、最終発作から4週以内の登録症例の割合もプラスグレル群316例(16.8%)、クロピドグレル群322例(17.3%)と同程度であった。


有効性は同等だが非劣性限界を超える

有効性評価項目である脳心血管系イベントの発現は、プラスグレル群73例(3.9%)、クロピドグレル群69例(3.7%)と同程度であったが〔ハザード比(HR) 1.04、95%CI 0.75~1.44〕、非劣性限界(1.35)を超えたため統計学的には非劣性を証明しえなかった。


一方、大血管のアテローム硬化+小血管の閉塞患者の計2,274例における脳心血管系イベントの発現については、プラスグレル群1,136例中40例(3.5%)、クロピドグレル群1,139例中49例(4.3%)と、プラスグレル群でやや少なかったが有意差は認められなかった(HR 0.81、95%CI 0.53~1.22)。

 
安全性評価項目である生命を脅かす出血および大出血の発現は、プラスグレル群20例(1.1%)、クロピドグレル群27例(1.5%)と、プラスグレル群でやや少なかったが有意差は認められなかった(HR 0.72、95%CI 0.41~1.29)。


非劣性に至らなかった原因について、75歳以上の症例を除外したため、実臨床と比較して脳梗塞再発率が低かったことや、脳梗塞の病型が「病因が明らかでないもの」におけるイベント発現率の群間差が見られたこと、クロピドグレル投与既往の有無でイベント発現率の群間差が見られたことを挙げた。

 
また、P2Y12 reaction unit(PRU)値と脳心血管系イベントの関連についても考察、プラスグレル群ではクロピドグレル群に比べて試験期間中のPRU値が一貫して低値であり、PRU値のカットオフ値を超える症例ではイベント発現率が高かった。


高齢/低体重患者における安全性を検証-PRASTRO-Ⅱ

プラスグレル第Ⅲ相試験実施に際しては、クロピドグレル75mg/日を対照薬とするPRASTRO-Ⅰ試験とは別に、高齢/低体重の患者のみを対象に、クロピドグレル50mg/日を対照薬としてプラスグレルの長期投与時の安全性を検討するPRASTRO-Ⅱ試験が実施された。
対象は、同意取得時の年齢が75歳以上、体重50kg以下のいずれかまたは両方を満たし、脳梗塞の最終発作後4週間以上経過した虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症、奇異性脳塞栓症、無症候性脳梗塞を除外)である。
なお、体重40kg未満の患者は除外されている。

 
プラスグレル3.75mg群216例、プラスグレル2.5mg群215例、クロピドグレル50mg群223例の3群に分け、出血性イベントの発症を比較検討された。 

 
出血性イベント(生命を脅かす出血、大出血、臨床的に重要な出血の複合)発現数は、プラスグレル3.75mg群9例(4.2%)、プラスグレル2.5mg群4例(1.9%)、クロピドグレル50mg群8例(3.6%)であった。


また、脳心血管系イベントの発現は、プラスグレル3.75mg群では0例(0%)、プラスグレル2.5mg群では7例(3.3%)、クロピドグレル50mg群では8例(3.6%)であった。


これらの結果に加え、プラスグレル群のPRU値はいずれの投与量においてもクロピドグレル50mg群に比べて低値を示した。

 

<きょうの一曲>

PERAHIA PLAYS MOZART: PIANO CONCERTO # 21 in C ~ 2nd. mov. / Chamber Orchestra Europe

https://www.youtube.com/watch?v=Z9AYb_ND8Rg 




<きょうの一枚の絵>

10022_xl

野間仁根   魚

http://www.oida-art.com/buy/detail/10022.html 




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"Extreme risk"群を新設、LDL-C目標値を提示

米国臨床内分泌学会が脂質異常症管理・心血管疾患予防GL 2017を策定

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0517508503/

米国臨床内分泌学会(AACE)と米国内分泌学会(ACE)は、脂質異常症管理と心血管疾患予防に関する臨床ガイドライン(GL)2017を策定した。
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが最も高い群を新たに"extreme risk"群と定義してLDLコレステロール(LDL-C)の目標値を55mg/dL未満とするなど、患者のベネフィット増大を目指した強力な治療・介入を推奨した。
AACEの第26回年次学術臨床会議 2017.5.3~7、米オースチン)


hs-CRPやCACスコアも層別化に有用

AAEC/ACEは、ASCVDリスクを基本的にリスク因子の数および10年以内のASCVD発症リスク(Framinghamリスク評価ツール、Reynoldsリスクスコアなどで算出)を基準として層別化し、LDL-C、non-HDL-C、アポリポ蛋白B(Apo B)の治療目標値を提示しているが、同GLでは4つのリスク分類(low risk、moderate risk、high risk、very high risk)に新たに"extreme risk"を加え、より厳格な脂質目標を設定した。

 
今回GLではextreme risk群を
①LDL-C 70mg/dL未満達成後の進行性ASCVD患者
②ASCVDと診断されている糖尿病、ステージ3/4の慢性腎臓病(CKD)、または家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の患者
③若年で心血管疾患早期発症歴を有する患者
―とした。
同群に対する具体的治療目標として同GLでは、LDL-C 55mg/dL未満、 non-HDL-C 80mg/dL未満、アポリポ蛋白B(ApoB)70mg/dL未満を推奨している。

また、同GLでは、ASCVDリスクの層別化と治療強化の必要性判定に際しては、冠動脈カルシウム(CAC)スコアが有用と報告されており(推奨度B)、頸動脈内膜中膜厚(CIMT)も検討に値する(B)と指摘。
標準的評価法でボーダーラインにあるケースなどでは高感度CRP(hs-CRP)によるリスク層別化を推奨している(B)。


エゼチミブやPCSK9阻害薬の併用も

治療薬の第一選択はスタチンだが、スタチン療法でLDL-Cの目標値を達成できない患者では、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬であるエゼチミブ、あるいはPCSK9 阻害薬の追加も検討対象となる。

 
エゼチミブは特にスタチン不耐例でのLDL-CおよびApo Bの低下を目的とした単剤での使用が考えられる(B)。
また、不耐例でなくてもLDL-Cの低下とASCVDリスクの低減をさらに促す目的で、エゼチミブをスタチンと併用することも可能である(A)。

 
PCSK9阻害薬については、FH患者のLDL-C低下を目的としたスタチンとの併用が検討されるべきである(A)。
加えて、最大耐用量のスタチンでもLDL-Cまたはnon-HDL-Cの目標を達成できない心血管疾患患者ではPCSK9阻害薬を検討すべきである。ただし、スタチン不耐例を除きPCSK9阻害薬の単独投与はすべきではない(A)としている。


HRTによる脂質異常症治療は非推奨

同GLは女性患者ではASCVDリスクを評価し、生活習慣への介入で十分な効果が得られなければ薬物療法を実施するよう勧めている(C)。加えて、閉経後女性に対する脂質異常症治療を目的としたホルモン補充療法(HRT)は推奨されない(A)としている。

 
成人後の心血管疾患を長期的に予防するため、同GLでは小児・青年に対してもできる限り早期から脂質異常症の診断・管理を行うよう勧めている。
脂質異常症と診断され、生活習慣改善による効果が見られない場合には、患者が10歳以上であることを前提に薬物療法の検討を推奨しており、
①LDL-C 190mg/dL以上
②同160mg/dL以上で強力な介入後も2つ以上の心疾患リスク因子が存在する
③55歳以下でのASCVD発症の家族歴がある
④過体重・肥満あるいは他のインスリン抵抗症候群の要素が認められる場合に特に推奨される
―としている(D)。

 
「LDL-Cを53mg/dLまで低下させることが高リスク群において心血管有害アウトカムの低減につながることがIMPROVE-IT試験で初めて示された。今回、同試験に組み込まれなかった高リスク症例も検討対象に含めることで幅広い知見を得ることができた。これにより、GLで新たなリスク分類を提示し、革新的な治療や介入を推奨することができた」と
同GL策定委員会の委員長(AACE会長)がコメントしている。



<きょうの一曲>

DANIEL BARENBOIM: Mozart piano concerto # 20 in D minor ~ English Chamber Orchestra

https://www.youtube.com/watch?v=3ZREV7Zx9PE


<きょうの一枚の絵> 


11549_xl2

野間仁根  魚 カサゴ

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米で警告、カナグリフロジンの下肢切断リスク CANVAS、CANVAS-Rの最終結果に基づく判断

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0518508563/
(MT2017.5.18) 

 米食品医薬品局(FDA)は5月18日付けの安全性情報で、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢(足・脚)切断リスクに関する警告を発出した。同薬を用いた大規模臨床試験CANVASおよびCANVAS-Rの最終結果に基づくもので、同薬により下肢切断リスクが高まると判断。添付文書に枠組み警告を含む注意喚起を追加するよう指示している。


ADA2017での結果発表に先立ち、FDAが下肢切断のデータを公表

CANVASおよびCANVAS-Rは、心血管疾患の既往を有するか心血管疾患高リスクの2型糖尿病患者を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験。CANVASはカナグリフロジンの心血管系への、CANVAS-Rは同薬の腎機能への影響を解明することを目的として実施された。
日本の専門家は両試験を通じて、同薬による心血管疾患の初発予防効果や腎機能低下者での同薬の有用性が解明されることに期待を示している。

解析対象はCANVASがプラセボ群1,441例、カナグリフロジン群が2,886例(100mg群および300mg群の合計)、CANVAS-Rがそれぞれ2,903例、2,904例で、平均追跡期間はCANVASが5.7年、CANVAS-Rが2.1年。結果は今年の米国糖尿病学会(ADA 2017、6月9~13日)で発表される予定だが、FDAがそれに先立って下肢切断に関するデータを公表した。

 
FDAによると、両試験で示されたカナグリフロジン使用に関連した下肢切断リスクはプラセボ群の約2倍であった。

 
具体的には、CANVASでは下肢切断を来した症例数(全例に占める割合)はプラセボ群22例(1.5%)、カナグリフロジン群95例(3.3%)。
1,000人・年当たりの切断発生率はプラセボ群2.8、カナグリフロジン群5.9で、ハザード2.12(95%CI 1.34~3.38)、Number Needed to Harm 323であった。

 
CANVAS-Rでは、下肢切断を来した症例数(全例に占める割合)はプラセボ群25例(0.9%)、カナグリフロジン群45例(1.5%)。1,000人・年当たりの切断発生率はプラセボ群4.2、カナグリフロジン群7.5で、ハザード1.80(95%CI 1.10~2.93)、Number Needed to Harm 270であった。


下肢の疼痛や潰瘍に要注意

両試験のカナグリフロジン全群で下肢切断を来した全140例の内訳は、つま先・中足部が99例、脚・膝が41例。
下肢切断に先行して多く見られた症状は下肢感染、壊疽、糖尿病足潰瘍、虚血などで、下肢切断リスクが高かったのは、下肢切断の既往、末梢血管疾患、神経障害などを有する患者であった。

 
FDAでは両試験の結果を踏まえ、医療関係者はカナグリフロジンの処方を開始する前に、患者の下肢切断の既往、末梢血管疾患、神経障害、足潰瘍などの有無を確認するよう勧告。
投薬中も下肢感染の徴候、新たな疼痛の出現や圧痛、下肢潰瘍などの観察を続け、それらを認めた場合には投薬を中止すべきだとしている。


日本でもリスクか?

CANVASおよびCANVAS-Rで示されたカナグリフロジンの下肢切断リスクは、日本人にも当てはまるだろうか。

 
日本の糖尿病足病変の管理は優れていると言われる。
日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン2016』は、日本の糖尿病患者における足潰瘍の有病率は0.7%で、欧米人より低頻度だとしている。開催中の第60回日本糖尿病学会(5月18~20日)では、糖尿病患者における足潰瘍の発生率は欧米の約10分の1とする疫学研究が演題登録されている。
アジア人の下肢切断リスクは、白人の約3分の1とする研究もある。

 
このような背景を踏まえ、今回の安全性情報をどう考えるのか、専門家の見解が待たれる。



「SGLT2阻害薬で下肢切断リスク増」警告 欧州で添付文書への追記を勧告

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0214506432/

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品安全性監視・リスク評価委員会(PRAC)は2月10日、現在進行中のカナグリフロジンを用いた2件の臨床試験(CANVAS、CANVAS-R)の中間解析データに基づき、「2型糖尿病患者に対するSGLT2阻害薬の使用で下肢切断リスクが上昇する可能性がある」とする警告を発出した。
カナグリフロジン以外のSGLT2阻害薬についても「これまでにリスク上昇を示す報告はないが、データが限定的である」として、全てのSGLT2阻害薬について同リスク上昇の可能性があるとの警告を添付文書に追記するよう勧告している。


メカニズムは不明、米国でもカナグリフロジンで安全性情報

CANVAS試験は、カナグリフロジンの心血管安全性を検証する目的で現在進行中のランダム化比較試験(RCT)。心血管リスクが高い糖尿病患者約4,000例に対し、同薬を100mg投与する群、200mg投与する群、プラセボを投与する群にランダムに割り付けた。
同試験は現在も進行中だが、中間解析の結果、プラセボ群に比べて実薬群における下肢切断リスクの上昇が認められたとしている。

 
一方、同じく心血管リスクが高い糖尿病患者を対象に、カナグリフロジンによる腎機能への影響を検討する目的で現在進行中のCANVAS-R試験においても、有意ではないが下肢切断リスクのわずかな上昇が認められたとしている。

 
PRACは「糖尿病患者、特にコントロール不良であったり、心血管疾患が併存したりする患者では、もともと感染や潰瘍のリスクが高い。また、カナグリフロジンによる切断リスク上昇のメカニズムは現時点では不明」と説明。
また、ダパグリフロジンやエンパグリフロジンなど他のSGLT2阻害薬を用いた臨床試験では下肢切断リスクの上昇は認められていないが、データが限定的であり、他のSGLT2阻害薬でも同様にリスクが上昇する可能性はあるとの見解を示している。

 
以上を踏まえ、PRACは全てのSGLT2阻害薬について、添付文書に下肢切断リスクの情報とフットケアの重要性について追記することを勧告。
医師はカナグリフロジンを使用している患者の下肢において、感染や潰瘍などの重大な合併症が見られた場合には、同薬の使用を中止することを考慮するよう求めている。
ただし、「カナグリフロジン使用例における下肢切断の発生頻度は1,000例当たり1~10例と低く、同薬の副作用としてはまれである」としている。

 
なお、昨年(2016年)5月には米国でも米食品医薬品局(FDA)がカナグリフロジンによる下肢切断リスクに関する安全性情報を発出しているが、同薬以外のSGLT2阻害薬については警告の対象に含められていない。




<きょうの一曲>

PERAHIA PLAYS MOZART: PIANO CONCERTO # 21 in C ~ 2nd. mov. / Chamber Orchestra Europe

https://www.youtube.com/watch?v=Z9AYb_ND8Rg 




<きょうの一枚の絵> 


417

蒼色の鈴 6号F

http://tamuranoriko.yukigesho.com/wako200911.html


「美のある暮らしに、勇気を持ってトライして」

https://www.wendy-net.com/nw/person/188.html


 


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高齢女性ではスタチンで糖尿病リスクが最大50%増加

http://www.carenet.com/medscape/diabetes_endocrinology/000381.html

スタチン療法によって、高齢女性における糖尿病の新規発症リスクが33%増加すること、そして投与量が多いほどリスクも高くなることが、観察研究である Australian Longitudinal Study on Women's Healthにより示されている。


スタチンには心血管イベントリスクの減少などの有益な効果があることは明らかだが、本研究で観察された用量依存的な影響は、高齢女性にはスタチンを高用量で投与しないほうが賢明である可能性を示唆している。
 
総合診療医と高齢女性患者は、このリスクを認識していなくてはならない。
スタチンを服用している高齢女性においては、糖尿病の早期発見および管理につなげるため、高血糖がみられないかどうかを慎重かつ定期的にモニタリングすべきである。

そして、スタチンを完全に中止することが可能な高齢女性も一部にはいるかもしれない。
 

女性たちのスタチン服用期間は平均6.5年

この新しい解析には、ベースライン時に76~82歳であったオーストラリア人女性8,372例が組み入れられ、10年間追跡された。
この研究はDrugs and Aging誌3月号に掲載された。
 

これまでのスタチンに関する試験では、参加者の大多数が男性であり、女性、とりわけ高齢女性は標本として不十分であった。

高齢女性は一般に臨床試験の参加者とされてこなかった集団であると考えられ、この研究では高齢女性コホートに焦点があてられた。

また、過去の研究からもスタチンの使用と糖尿病の発症との関連が示されており、スタチンのベネフィットは糖尿病リスクに勝ると言われることが多いものの、それはそもそものスタチンの適応による。
たとえば、心血管疾患の1次予防におけるスタチンの使用に関しては、いまだに見解の一致をみていない。


この解析の主要評価項目である糖尿病の新規発症は、インスリン、インスリンアナログ製剤、またはほかの血糖降下薬の新規処方に基づき確認された。

この研究に参加した70代後半~80代の女性のうち約50%(49%)がスタチンを服用しており、5%は新たに糖尿病の診断を受けたことがわかった。

スタチン服用歴の平均年数は6.5年であった。


10年に及ぶ追跡期間中に別のスタチンを異なる投与量で服用することもできたはずであるが、参加者のうち最大の割合を占める大部分の人々がatorvastatinを服用しており、simvastatinがそれに続いた。

そしてスタチンの投与量に変更があった場合には、経時的により高い用量となる傾向があった。
 

糖尿病リスクは17~51%

糖尿病の新規発症リスクは、スタチンの投与量が最も低い症例における17%から、投与量が最も高い症例における51%までの範囲であった。

コホート全体の調整ハザード比(HR)は1.33%であり、このリスクを換言すると、スタチン療法5年間ごとのNNH(Number Needed to Harm:有害必要数)は131例ということになる。


最も気掛かりな点は、スタチンの投与量が増加するに伴い糖尿病のリスクも増加するという、“用量による影響”がみられたこと、そして10年間にわたる試験期間中に、ほとんどの女性においてスタチンの投与量が、より高い用量へと移行したことである。

したがって、高齢女性の健康上のアウトカムおよびQOLを確実に最適なものとするためには、継続的なリスク評価が“不可欠”である。
 

高齢女性に対するスタチンの処方を控える

この結果は、“高齢女性に高用量スタチンを投与すべきではない”ことを示唆している。

実際に、この患者集団の中にはスタチンを完全に止めたほうが賢明ではないかとも思われる症例がある。
この試験に参加したスタチン使用者の約3分の1は、死亡または追跡終了前の6ヵ月間においてはスタチンを処方されなかった。


この試験に参加した女性たちは追跡終了時点で86~92歳だったはずだが、この年齢の女性においては、1次予防か2次予防かという最初の処方理由によっては、スタチンの処方を中止できないかどうかを真剣に検討することが求められるのではないかと、発表者は結論づけている。


英文抄録

Statins Increase Diabetes Risk by up to 50% in Older Women

http://www.medscape.com/viewarticle/877626




<きょうの一曲>

Barenboim and the Berliner Philharmoniker - Mozart Piano Concertos 20-27

https://www.youtube.com/watch?v=6G2yJ-HSAxQ


<きょうの一枚の絵>

 12840_xl
熊谷守一 あやめ

http://www.oida-art.com/buy/detail/12840.html 




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PA診断・治療の一体化を開発中  より低侵襲な治療法目指す

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0516508459/

(MT2017.5.16)

CTガイド下ラジオ波(RF)焼灼術を施行した原発性アルドステロン症(PA)患者の8割超で、3カ月後にアルドステロン分泌の正常化が認められた医師主導多施設検証的治験成績を受けて、東北大学大学院放射線診断学分野・高瀬圭教授は、解剖学的に施行困難な症例などへの適応拡大に向け、既に新たな開発を進めている。
(第90回日本内分泌学会 2017.4.20~22)


医師主導多施設検証的治験終了、薬事申請へ

片側の副腎でアルドステロンが過剰に分泌される患者では、腹腔鏡下手術が施行されるが、さらに低侵襲な治療法によるPAの根治を目指し、RF焼灼術の検証的治験が実施された。
RF焼灼術とは、CTガイド下で治療対象となる副腎腺腫に焼灼用針を穿刺し、経皮的にRFで焼灼するというもの。
同大学、横浜労災病院、慶應義塾大学病院、金沢大学病院、浜松医科大学病院で登録されたPA患者のうち、解析対象は37例(男性20例)となった。

 
主要評価項目であるアルドステロン分泌の正常化は32例(成功率86.5%)に認められた。
主な有害事象は、施行時の体位による無気肺、焼灼時の疼痛、嘔吐であった。
術中に焼灼中止となった有害事象は疼痛や血圧上昇であり、麻酔科医による静脈麻酔管理が有効であると考えられた。

 
同治療成績に基づいた薬事申請が予定されているが、CTで見えない微小腺腫例や背部からの穿刺が困難な左副腎病変例があった他、術中のCTでは焼灼の止め時を判断するのに限界があり、完全焼灼の判定は施行5日後とタイムラグが生じるなどの課題点を高瀬氏は挙げた。


焼灼用軟性RFニードルカテーテルを開発

そのような課題に対し、高瀬氏らは既に新たな医療機器や手技の開発を進めている。
例えばCTでも確認できないアルドステロン産生微小腺腫を同定する超選択的副腎静脈サンプリング(seg-AVS)を挙げた。
これは特殊なマイクロカテーテルを用いて副腎の静脈支から血液サンプリングを行い、微小腺腫からのアルドステロン過剰分泌を同定する手技である。
RF焼灼術にseg-AVSとアルドステロン迅速アッセイを組み合わせることで、微小腺腫や左副腎病変の局在診断と治療を同時に行えるだけでなく、その場で焼灼の止め時も確認できる可能性があるという。
(記事中の写真参照) 


さらに同氏らは、日本ライフライン社との協同で焼灼能を担保した柔軟性に富むRFニードルカテーテルと左副腎静脈内へのガイディングカテーテルを開発。
ブタを用いて生体試験を行ったところ、副腎の焼灼が確認された。

(記事中の図参照) 


同氏は「産学連携を推進し、診断と治療を一体化させた低侵襲治療の実現を目指していきたい」と展望した。



<きょうの一曲>

Bach: French Suite No 4 - Murray Perahia

https://www.youtube.com/watch?v=oyGvhrCI5Nw



<きょうの一枚の絵>


12000_xl

土屋礼一  「晴日」

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潜因性脳梗塞、心房細動の検出で的確な治療

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0508508407/

脳梗塞は重篤な後遺症が生じることがあり、生命の危機にも関わるため、脳梗塞を発症した後は、適切な治療により再発を予防する必要がある。
脳梗塞の中には原因不明の脳梗塞「潜因性脳梗塞」が一定の割合で存在する。

杏林大学脳卒中医学講座の平野照之教授は潜因性脳梗塞の再発予防について「潜因性脳梗塞患者では植え込み型心電図で24時間365日モニタして心房細動を検出し、的確な治療を行う必要がある」と述べている。
 

統一された診断基準なく、診断能力にも差

脳梗塞の多くは、頸部や脳の主幹動脈、細小動脈の動脈硬化性病変、心臓などで生じた血栓による塞栓症が考えられるが、このいずれにも分類できない脳梗塞が一定の割合で存在する。
このように「一般的な検査を全て行って原因の特定に至らなかった脳梗塞」が潜因性脳梗塞(Cryptogenic Stroke)と呼ばれている。

 
欧米の報告によると、脳梗塞のうちアテローム性血栓性脳梗塞が25%、ラクナ梗塞が25%、心原性脳梗塞が20%、動脈解離・血管炎などの原因が特定できたものが5%で、残りの25%が潜因性脳梗塞とされている。

 
そもそも潜因性脳梗塞には統一された診断基準がなく、各施設の診断能力にも差があるため、脳梗塞に占める潜因性脳梗塞の割合には16~39%とばらつきが見られる。

 
現在最もよく使用されている脳梗塞分類法は1993年に定義されたTOAST分類である。
TOAST分類では脳梗塞を
①大血管アテローム性動脈硬化(50%以上の主要脳動脈の狭窄/閉塞)
②心原性塞栓症(塞栓源心疾患による血栓症)
③小血管閉塞(1.5cm未満の梗塞病変=ラクナ梗塞)
④その他の確定した病因による脳梗塞
⑤その他の病因が確定しない脳梗塞(複数の原因、検査が陰性/不完全な場合)
―と定義している。
この分類法では⑤が潜因性脳梗塞となるが、検査の能力などにより、この分類法でも施設によって潜因性脳梗塞と分類されるものが異なる。

 
潜因性脳梗塞の問題点は、診断基準が統一されていないため、臨床試験の評価が困難であること。
また、実臨床では最適な治療法が決定できないことが挙げられる。


心房細動の検出が鍵

脳梗塞の治療の二本柱として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病などのリスクの管理と抗血栓療法があるが、抗血栓療法のうち抗血小板療法または抗凝固療法のどちらを行うかが問題となる。

 
静脈系の血栓や心原性脳塞栓症の場合は抗凝固療法が、非心原性脳梗塞では抗血小板療法が推奨される。
日本脳卒中学会が策定した脳卒中治療ガイドラインでは、潜因性脳梗塞は非心原性脳梗塞とされ、抗血小板療法が推奨されている。
その根拠となったWARSS試験では、非心原性脳梗塞に対するワルファリンとアスピリンの効果を見たところ、効果は両者とも同等だったが、出血はワルファリンの方が多かったため、安全面から非心原性脳梗塞にはアスピリンを選択することが推奨されている。

しかし潜因性脳梗塞でも心塞栓性機序が推定される場合は抗凝固療法が推奨され、また心房細動が並存すれば悩まず抗凝固療法が推奨される。
潜因性脳梗塞の再発予防に推奨される治療法は心房細動の有無によって異なるため、的確な治療を行うには心房細動の検出が鍵となる。

 
心房細動は、来院時の心電図検査または、ホルター心電図では24時間、巻き付け型心電図では7日間、植え込み型心電図記録計では24時間365日モニタして検出でき、モニタする時間が長いほど検出率が高くなる。
また、CRYSTAL-AF試験では、潜因性脳梗塞患者に植え込み型心電図記録計を植え込んだ場合は、植え込まなかった場合と比べて心房細動の検出頻度が7倍であることが示された。


低侵襲で心電図のモニタが可能

昨年(2016年)、潜因性脳梗塞に保険適用が拡大された植え込み型心電図記録計は、従来型と比べて87%小さく(45×7×4mm3)、手術せずに胸部皮下に低侵襲に挿入し、最長3年間心電図がモニタできる。
毎日心電図記録がデータセンタに送信、自動解析されて、心房細動が見つかった場合はメールが主治医に送信される。

 
同脳卒中センターをろれつ不良で受診した、心不全(心エコーで左室駆出率29%)を合併した脳梗塞患者(68歳男性)は、脳MRI拡散強調画像で表層に近い部分にくさび形の病巣が認められたが、頸動脈エコーで狭窄/閉塞は認められず、ホルター心電図で心房細動の所見は認められなかった。
同症例は心原性脳塞栓症と暫定診断し、循環器内科で植え込み型心電図記録計を植え込み後に退院。
退院3日後に心房細動が見つかったため、治療を直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)に変更した。


適応となりうる患者を診断

このように植え込み型心電図記録計は、潜因性脳梗塞において心房細動を検出するのに有用である。
しかし、全例に行っていると医療経済的に破綻を来してしまうため、日本脳卒中学会は植え込み型心電図記録計の適応となりうる潜因性脳梗塞患者の診断のために最低限行う検査が、昨年作成された手引きで示された。(記事中の図を参照)


また、手引きでは、どの施設でも行える検査を行うことで、非脳梗塞、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、大動脈原性脳塞栓症・奇異性脳塞栓症などを除いた潜因性脳梗塞患者を診断し、植え込み型心電図記録計による検査の適応となる患者を診断する手順も示している。(記事中の図を参照)

ただし、診断基準から外れても担当医が植え込み型心電図記録計による検査が必要と判断した場合はそれが尊重されるとしている。


この手引きに従って検査を行い、植え込み型心電図記録計が適応となる潜因性脳梗塞を診断して、潜因性脳梗塞に潜む心房細動を見つけ出し、的確な治療を行えば、脳梗塞の再発を防ぐことができる。
植え込み型心電図記録計は的確な治療を行うために大変有用な機器といえる。

 
植え込み型心電図記録計は2016年9月に市販が開始されて以来、全例登録を行っており、潜因性脳梗塞患者に用いることの安全性、有効性、医療経済性について検証が行われる予定だ。
さらに脳梗塞診療における同機器の特性を検討するため、国際的な前向き非ランダム化多施設共同観察研究も計画されている。



<きょうの一曲>

Christina Aguilera & Tony Bennett - Steppin Out With My Baby [Emmy Awards] High Definiton

https://www.youtube.com/watch?v=C_nLq5npQTs




<きょうの一枚の絵>

12959_xl

野間仁根   魚 メバル


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AHA、心不全バイオマーカーに期待 

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0509508440/

(MT 2017.5.9)

ナトリウム利尿ペプチドが心不全(HF)評価マーカーとして注目されるようになった2000年以降、HFの新規バイオマーカーに関する研究は数多く実施され、リスク評価、診断、治療、予後予測への応用が期待されている。
そこで米国心臓協会(AHA)は米国心臓病学会財団(ACCF)/AHA心不全管理ガイドライン2013(GL2013)策定以降のHFバイオマーカー研究の動向を踏まえ、現時点で利用可能なバイオマーカーの有用性に関するガイダンスをScientific Statementとしてまとめ(Circulation  2017年4月26日オンライン版 ) 


駆出率維持のHF診断では拡張不全マーカーに注目

同ステートメントではGL2013に基づく推奨事項(Recommendation:以下R)に加え、エビデンスは不十分であるもののガイダンスとしての提供が望ましい事項をSuggestion/Consideration(以下S/C)として提示した。

 
一般住民を対象としたHFの新規発症予測では、標準的リスク因子に加え、ナトリウム利尿ペプチド〔B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP(NT-proBNP)〕または心筋障害マーカーであるトロポニン(TnI、TnT)を測定すれば付加情報が得られる〔S/C〕としている。
また、さらなるリスクの層別化には心血管ストレスマーカーである可溶性ST2(sST2)、growth differenciation factor 15(GDF-15)、心筋線維化マーカーであるガレクチン3(Gal-3)などの新規マーカーおよび腎機能マーカーが有用と考えられる〔S/C〕。

 
HFの新規発症予測に有用な腎機能マーカーとして、血清クレアチニン、シスタチンCの他、尿アルブミン/クレアチニン比、尿アルブミンなどが報告されているが、いずれが新規発症予測指標として最適であるかは今後の検討課題である。

 
急性非代償性HFの診断ではBNPおよび NT-proBNPの測定が臨床的判断のサポートに有用である〔R〕。
とりわけ呼吸困難を伴う患者の診断で有用であるが、測定値が併存症の存在によって大きく上下する可能性もある点には注意が必要である。

 
駆出率が保たれている心不全(HFpEF)の診断バイオマーカーの研究も続けられており、HFpEF患者の多くが拡張不全を伴っていることから現在、insulin growth factor-binding protein(IGFBP)-7が注目されている。
コラーゲン恒常性、マイクロRNA、マルチバイオマーカーパネルの研究も進められているが現時点では決定的でなく、新規バイオマーカーの探索が急務である。
HF患者のスクリーニング、診断、リスクの層別化を目的とした遺伝子タイピングまたはメタボローム解析のルーチンな使用は十分には確立されていない〔S/C〕。

 
次に予後については、急性非代償性HF患者では、BNPまたはNT-proBNPに加えてトロポニン(cTn)を最初から測定しておくことが予後あるいは疾患重症度の評価に役立つ〔R〕。
さらに、心筋障害マーカーや線維化マーカーの測定はリスクの層別化にも有用である〔R〕。

 
また、HFによる入院患者では、退院前のBNP またはNT-proBNPの測定値が退院後の予後評価に有用でありうる〔S/C〕。


BNPガイド下のHF管理まであと一歩

HF患者の外来での管理については、BNP(またはNT-proBNP)ガイド下治療の臨床でのベネフィットは確立しておらず広く助言できる段階ではない〔R〕としている。
薬物療法での用量調節手段としてバイオマーカーの連続測定を支持するデータは存在するものの、高度な疾患管理プログラムを有するHF専門施設以外での有用性が明らかではないことを理由に挙げている。

 
HF患者の入院・死亡低減を目的としたBNP(またはNT-proBNP)連続測定の有用性も確立していない〔R〕。

 
RAA系とネプリライシンを同時に阻害した場合のNT-proBNPの反応はポジティブな臨床アウトカムと関連している。
しかし、前向きランダム化試験のデータが得られるまではアンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬合剤による治療をガイドするためのサロゲートマーカーとしてNT-proBNPを用いるべきではない〔R〕。

 
入院中の管理についても、急性非代償性HF患者に対するBNP(またはNT-proBNP)ガイド下治療の有用性は確立されていない〔R〕。ただし、治療後のBNPまたはNT-proBNPの測定値は入院中の急性非代償性HF患者の予後予測に有用かもしれない〔S/C〕。

 
AHAは
「HFを引き起こす多様な経路や病理学的プロセスを探る手がかりの1つは、血中のバイオマーカーにある。現在、臨床的に利用可能なバイオマーカーの種類は多く、それらの血中濃度のモニタリングは、HFの診断や重症度判定に役立つだけでなく、予後予測や治療戦略の改善につながる大きな可能性を秘めている」
と今後のバイオマーカー研究の進展に期待を寄せている。




<きょうの一曲>

Schubert: Impromptu in G flat Op. 90 No. 3

https://www.youtube.com/watch?v=w_z9oSn-eIM


Lipatti plays Schubert- Impromptu in G-flat major, Opus 90 n° 3

https://www.youtube.com/watch?v=bFTDGJ-NJ6E


Kempff plays Schubert Impromptu op.90 (D 899) no.3

https://www.youtube.com/watch?v=gn3FhAk8EPE


SCHUBERT - Impromptu n°3 (Horowitz)

https://www.youtube.com/watch?v=FxhbAGwEYGQ




<きょうの一枚の絵> 

img_15
極微の宇宙に生きるものたちⅡ」(2002年)

https://blogs.yahoo.co.jp/abcd5963ne/7295594.html


20081112213401

(本物のミジンコ)

http://henrymiura.hatenablog.com/entry/20081112/1226493806

「堀さんは、シンプルだけれどミジンコという原始の生物は、その姿に、何億年も命をつないできた完璧な生命装置を発見して、それを絵にした」
 
 


 

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4つの高齢者の生活習慣病管理GLの作成進む 日本老年医学会

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0511508474/

日本老年医学会は高齢者の健康・福祉に関する幅広い分野で活動を行っている。
同学会理事長で大阪大学大学院老年・総合内科学教授の楽木宏実氏は5月8日に開かれたプレスセミナーで、同学会がこの1年に行ってきた対外的活動について紹介し、現在4つの高齢者の生活習慣病管理ガイドライン(GL)を作成中であることを発表した。


3つを今年中に発表

楽木氏は、同学会が関連学会と共同で現在4つの高齢者の生活習慣病管理GL(糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満)を作成中で、うち3つが今年(2017年)中に発表される予定だと報告した。

 
最初に糖尿病GLが今年5月に開催される第60回日本糖尿病学会で発表される予定だという。
日本老年医学会と日本糖尿病学会の合同委員会は昨年5月に「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」を発表し、患者のADL、認知機能、薬物療法などにより、きめ細かく管理目標値を策定した。
同氏は「その根拠となったエビデンスがGLで示されることになるだろう」と説明した。

 
次に高血圧GLは、パブリックコメントの募集を終了し、日本老年医学会雑誌の7月号に掲載する方向で調整中であり、雑誌掲載前の6~7月には公式サイトでも公開される予定だという。

 
脂質異常症GLはパグリックコメント募集の直前の段階にあり、今夏には発表される見通し。
肥満GLは、現在原稿を作成中だという。

 
いずれのGLも、臨床的疑問の中から重要なものを選択し、クリニカル・クエスチョン(CQ)形式を採用しており、具体的な疑問に答える形になっているという。

 
同学会はこれら4つのGL全てがそろった時点で、一般向けのGLも作成する方針だという。
同氏は「GLを使用するのは医療従事者だが、それを基に患者が注意すべき事柄について理解できるものを作成したいと考えている」と説明した。

私的コメント
糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満のいずれも治療(主として薬物介入)にあたって罹病期間や臓器障害の評価が比較的軽視されているように思います。
それぞれの疾患については、「いつ発病したか」ということと「合併症が起こっている臓器とその程度」が優先されるべきであり、(たとえば75歳以上といった)「高齢者」を一律に管理するGLであってはならないと考えます。
そういった意味でも発表される内容がどういったものなのか、今から楽しみでもあります。


<番外編>

冠動脈カルシウムが認知症に関連

http://www.carenet.com/news/general/carenet/43917

ベースライン時の冠動脈カルシウム(CAC)スコアが高いと、血管性危険因子、アポリポ蛋白E(APOE)-ε4、脳卒中発症に関係なく認知症リスクが有意に高かったことを、滋賀医科大学の藤吉 朗氏らが報告した。
この結果は、血管損傷が認知症発症に関与するという仮説と一致する。


英文抄録

Coronary Artery Calcium and Risk of Dementia in MESA (Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis).

http://pmc.carenet.com/?pmid=28465455





<きょうの一曲>

Tony Bennett, Amy Winehouse - Body and Soul (from Duets II: The Great Performances)

https://www.youtube.com/watch?v=_OFMkCeP6ok




<きょうの一枚の絵> 


堀文子「トスカーナの花野」

https://matome.naver.jp/odai/2142080930231563701

「先生、会場に集まってるみんなに何か一言お願いします」

「まず私からではありません、、、

 、、、、あなたたちから一言お言いなさい。そういうものです」とピシッ。

http://atelieraoyama.blog21.fc2.com/blog-entry-647.html


 

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米国3学会・心不全管理GLを改訂 2013年以降の新所見盛り込む

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0511508456/

(MT 2017.5.11)
米国心臓協会(AHA)、米国心臓病学会(ACC)、米国心不全学会(HFSA)は米国心臓病学会財団(ACCF)/AHA心不全管理ガイドライン(GL)2013を改訂した。今回の改訂では、バイオマーカーの活用法、ステージCの左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)の治療、HFの合併症に関して2013年以降の新知見を盛り込んだ他、合併症の章に高血圧のセクションを新設し、心血管リスクが高い群に対する血圧管理目標設定の重要性を強調した。

同GLの全文はCirculation(2017年4月28日オンライン版) およびJ Am Coll of Cardiol(2017年4月29日オンライン版)、J Card Fail(2017年4月28日オンライン版)で同時公開


HFでナトリウム利尿ペプチド測定を追加・変更

今回の改訂では、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP(NT-proBNP)のバイオマーカーとしての使用について勧告内容の追加・変更を行っている。

 
HF発症リスクが高い群に対しては、これらのナトリウム利尿ペプチドを用いた検診とチーム医療による必要に応じた早期介入が左室機能障害やHF新規発症の予防に有用(Ⅱa)としている。  
また、急性非代償性HFの予後予測を目的としたナトリウム利尿ペプチド、心筋トロポニンの測定については入院時に行うのがよい(Ⅰ)と強調。
さらに複数の観察研究データを踏まえ「退院後の予後には退院前のナトリウム利尿ペプチド測定が有用(Ⅱb)」との推奨を追加している。


HFrEFではRA系の阻害を強く推奨

HFrEFの治療については「慢性HFrEF患者の疾病・死亡率低下を目的に、β遮断薬(一部の患者ではアルドステロン拮抗薬)との併用で、ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)またはアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)によりレニン・アンジオテンシン(RA)系を阻害することが勧められる(Ⅰ)」との記述を新たに加え、その重要性を強調している。
加えて、最近の臨床試験データから、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅱ~Ⅲ度の症候性の慢性HFrEFでACE阻害薬あるいはARBに忍容性がある患者において、疾病・死亡率をさらに低減させることを目的としたARNIへの切り替えが勧められる(Ⅰ)としている。

 
ただし、ARNIをACE阻害薬と同時に服用してはならず、ACE阻害薬とARNIの投与間隔は36時間以上を確保すべきであり(Ⅲ:Harm)、血管浮腫の既往を有する患者にARNIを投与してはならない(Ⅲ:Harm)としている。

 
また、イバブラジンに関する推奨項目が追加され「NYHAⅡ~Ⅲ度の症候性慢性HFrEF(LVEF≦35%)で、最大耐用量のβ遮断薬を含むGLに基づく医療を受けており安静時心拍数が70/分以上で洞調律の患者に対しては、イバブラジンがHFによる入院回数の低減に有益でありうる(Ⅱa)」としている。

 
駆出率が維持された心不全(HFpEF)の治療については、一部の患者では入院回数の減少を目的としたアルドステロン受容体拮抗薬の使用が考慮対象となると考えられる(Ⅱb)との記述を加えたほか、「硝酸薬およびホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬を活動性増進やQOL向上の目的でルーチンに使用しても効果がない(Ⅲ:No Benefit)」とした。


心血管リスク群で降圧目標を設定

HF患者の合併症については、高血圧のセクションを新設した他、貧血、睡眠時呼吸障害に関する記述を追加している。
高血圧については3つの推奨がなされている。
まず、HF発症率の低下を目的とした高血圧治療の重要性を強調。「リスク上昇群(AHA/ACCのHF分類でステージAに該当)で高血圧が認められる場合の至適血圧は130/80mmHg未満とすべき(Ⅰ)」としている。

 
これは、糖尿病患者を除く9,300例以上を対象としたランダム化比較試験(RCT)(N Engl J Med 2015; 373: 2103-2116)の結果を踏まえた推奨であり、「心血管リスク上昇群(75歳超、血管疾患、慢性腎臓病、またはフラミンガムリスクスコア>15%)では収縮期血圧120mmHg未満を目標とする血圧コントロールがHF発症の有意な低減と関連していたことが示されており、同RCTと実臨床の違いを考慮して血圧目標を130/80mmHg未満とした」と説明。
「心血管疾患リスク上昇群における収縮期血圧の有意な低下を目標とするのは、HF予防の新たな戦略である」と強調している。

「高血圧が認められるHFrEF患者に対しては、収縮期血圧130mmHg未満を目標値としてガイドラインに沿った管理・治療(GDMT)を行うべきである(Ⅰ)」としており、高血圧が認められるHFrEF患者を対象に降圧目標値と至適な降圧薬を評価した臨床試験はまだないが、降圧による心血管有害事象の減少は明らかとしている。

 
循環血液量増加を治療した後に高血圧の持続が認められるHFpEF患者では、収縮期血圧130mmHg未満を目標値としてGDMTを行うべきである(Ⅰ)としている。
 

HFrEF 患者のCSAではASVを不支持

貧血については、HFに伴う貧血に対するダルべポエチンアルファの有効性を2,200例以上で検討した大規模RCTであるRED-HF試験(N Engl J Med 2013; 368: 1210-1219)など複数の臨床試験結果を踏まえ、罹患・死亡率の改善を目的として貧血を伴うHF患者に罹患・死亡率の改善を目的とした赤血球造血刺激因子製剤の投与を行うべきでない(Ⅲ No Benefit)としている。

 
睡眠時呼吸障害については、まず閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の鑑別の重要性を踏まえ「NYHA II~IV度のHFで睡眠呼吸障害または日中の過度の眠気が疑われたら、正式な睡眠評価が妥当(Ⅱa)」としている。

 
治療では、2種の非侵襲的陽圧治療に言及し「心血管疾患とOSAの併発例で睡眠の質および日中の眠気を改善するには、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が妥当である可能性がある(Ⅱb)」とする一方、「NYHA II~IV度のHFrEFでCSAが認められる患者に対する順応性自動制御換気(ASV)は害を引き起こす(Ⅲ:Harm)」とされた。

 
ASVに関するこの勧告の根拠として、今回の改訂では「CSAが認められるHFrEF 患者を対象にASVの有用性を検討したRCTの結果、GDMTに加えASVを行った群ではGDMTのみを行った群と比べ、死亡率(全死亡および心血管死)が高いとのデータが得られた(N Engl J Med 2015; 373: 1095-1105)」と説明。
加えて「別の1件の臨床試験でも同様のリスクが示され、さらに、CSAを伴うHF患者を対象とした1件の臨床試験が倫理的懸念から中止に追い込まれた」とし、「エビデンスの重要性はHFrEF 患者のCSAに対するASVの使用を支持するものではない」と説明している。


<番外編>

米国の高血圧治療

http://www.carenet.com/series/airmail/cg001406_028.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017050603 




<きょうの一曲>

"The Swingle Singers" - H. Purcell - Dido's Lament (Aria from "Dido and Aeneas")

https://www.youtube.com/watch?v=3FSPJ5f9CWI





<きょうの一枚の絵> 


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モディリアーニ「おさげ髪の少女」 



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原因不明の胸痛患者は心血管リスクが高い  胸痛の原因が他の臓器系と診断された患者との追跡比較

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201705/551132.html

英国では毎年、成人の1~2%が初回の胸痛を訴えてプライマリケアを受診する。
英国の研究グループは、初診時に原因が特定できなかった患者を長期追跡して心血管イベントの有無を調べるコホート研究を行い、
原因不明群のリスクは、狭心症と診断された集団よりは低かったが、冠疾患以外の原因による胸痛と診断された患者よりは有意に高かったと報告した。
(BMJ誌電子版 2017.4.3日)


胸痛のある患者は、心筋梗塞や狭心症、冠疾患以外(消化器や呼吸器、筋骨格系の疾患、もしくは不安症など)による痛みなどと診断されるが、初期にはすぐに診断が付かない患者も多い。
そこで著者らは、胸痛の原因が不明だった患者の長期的な心血管リスクを、冠疾患以外による痛みと診断された患者と比較するコホート研究を計画した。


心血管疫学研究用のCALIBER(cardiovascular disease research using linked bespoke studies and electronic health records)プログラムを用いて、プライマリケアデータベース(CPRD)や急性冠症候群登録(MINAP)、死亡統計などのデータをリンクさせ、2002年から2009年までに、初めて胸痛を感じてプライマリケアまたはセカンダリケア施設を受診した、心血管疾患歴の無い、18歳以上の患者を選出した。


初診時の診断によって、冠疾患や狭心症だった患者、冠疾患以外による胸痛患者、原因が特定できなかった患者に分類した。
著者らは、初診時にはすぐに診断が付かなくても、その後6カ月間は積極的な診断的評価(冠動脈血管造影、心エコー、心筋灌流スキャンニングなど)が行われる可能性がある期間とし、初診から6カ月後も原因が特定できなかった患者と冠疾患以外による胸痛と診断された患者を、その後5年間追跡して転帰を比較することとした。


主要評価項目は、追跡期間中の心筋梗塞とあらゆる心血管イベントとした。
心血管イベントには、心筋梗塞、狭心症、心不全、心室不整脈、心停止、脳卒中、TIA、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、心臓突然死、PTCI、バイパス手術を含めた。
結果を補正するための共変数として、初診受診時の年齢、性別、BMI、喫煙習慣、貧困地区の居住、糖尿病歴、高血圧歴、脂質降下薬の処方歴などの情報を収集した。


条件を満たしたのは17万2180人(平均年齢49.0歳)で、初診時には12万4688人(72.4%)の患者が原因不明とされていた。
3万9232人(22.8%)は冠疾患以外による胸痛と診断され、8260人(4.8%)は狭心症と診断されていた。
原因不明患者と冠疾患以外と診断された患者16万3920人は、中央値で3.3年間追跡した。初診から6カ月時点では、15万1317人(92.3%)を捕捉できたが、5.5年の追跡を完了した患者は4万10人(24.4%)のみだった。


初回心血管イベントまでの期間の中央値は、原因不明群が135日(四分位範囲は22~664日)、冠疾患以外の胸痛患者では665日(248~664日)だった。
心血管イベントの発生率は、原因不明群では1年間に1万人当たり292人だったのに対し、冠疾患以外の胸痛患者では1年間に1万人当たり107人だった。
心筋梗塞の発症率も、原因不明群は1年間に1万人当たり46人だったのに対し、冠疾患以外の胸痛患者では1年間に1万人当たり17人だった。なお、最初に狭心症と診断された患者の心筋梗塞は、1年間に1万人当たり244人だった。


6カ月を過ぎても診断がついていなかった10万9628人の患者のうち 5126人(4.7%)が、その後心血管イベントを経験していた。一方、当初の診断が冠疾患以外による痛みだった3万6097人では、心血管イベントは1073人(3.0%)に発生していた。
この集団をリファレンスとすると、原因不明だった患者の心血管イベントの調整ハザード比は1.36で、初診後0.5~1年の期間は1.95、1~3年では1.35、3~5年は1.2だった。
(いずれも有意差なし)
一方、狭心症と診断されていた患者では、冠疾患以外による胸痛群をリファレンスとして求めた心血管イベントのハザード比は2.56(2.04-3.21)になった。


なお、初診から6カ月間に、脂質降下薬、降圧薬、または糖尿病治療薬の投与を受けていた患者は、冠疾患以外による痛みだった集団では18.3%と、原因不明群では26.3%だった。


これらの結果から著者らは、初回の胸痛で受診した患者の多くは初診時に診断がつかず、その後6カ月間に精査を受けても診断が明らかになる患者は一部であるにも関わらず、それらの患者は少なくとも5年間、心血管イベントリスクが高かった。
そのため胸痛患者に対する評価の質を高め、心血管リスクを低減する努力が必要だと結論している。


英文抄録

Prognosis of undiagnosed chest pain: linked electronic health record cohort study

http://www.bmj.com/content/357/bmj.j1194




<きょうの一曲> 
In a Sentimental Mood

Sonny Rollins with the Modern Jazz Quartet - In a Sentimental Mood

https://www.youtube.com/watch?v=Xm-9qQu8yKA


In A Sentimental Mood - Dexter Gordon

https://www.youtube.com/watch?v=_egoBp1-EJ4


Hank Jones - In A Sentimental Mood

https://www.youtube.com/watch?v=3Sbp2KmBFpc


In a sentimental mood - Bill Evans

https://www.youtube.com/watch?v=ydVtfA3kujM


In a Sentimental Mood - Tony Bennett

https://www.youtube.com/watch?v=Zzd99aFK9FI




<きょうの一枚の絵>

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堀文子 「楽しい仲間」1956年
http://www.art-annual.jp/news-exhibition/exhibition/41570/

(ピカソの作品「ゲルニカ」のオマージュ?)


 

 

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ピカソ 「ゲルニカ

http://atsumaro.doorblog.jp/archives/51776296.html 



 

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iFRガイド vs.FFRガイドPCI、日本人含む2千例超で評価/NEJM

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43726

冠動脈血行再建術時の冠動脈の心筋酸素供給能の指標として、瞬時血流予備量比(instantaneous wave-free ratio:iFR)は冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)に比べ、主要有害心イベントの発現が非劣性で、処置関連の有害な徴候や症状が少なく、所要時間は短いことがDEFINE-FLAIR試験で示された。
(NEJM誌オンライン版 2017.3.18)

iFRは、冠動脈狭窄の重症度を血管拡張薬(アデノシンなど)の投与なしに評価できるため、FFRに代わる指標となる可能性が示唆されている。


MACEの非劣性を評価する国際的な無作為化試験

本研究は、日本を含む19ヵ国49施設が参加する進行中の二重盲検無作為化非劣性試験であり、患者登録は2014年1月~2015年12月に行われた。

冠動脈疾患患者2,492例が、iFRガイド下血行再建術を行う群(1,242例)またはFFRガイド下血行再建術を行う群(1,250例)に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、1年時の主要有害心イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、予定外の血行再建術の複合エンドポイント)のリスクであった。非劣性マージンはリスク差3.4%とした。


MACE:6.8 vs.7.0%、処置関連症状:3.1 vs.30.8%

ベースラインの全体の平均年齢は65歳、男性が76%を占め、80%は安定冠動脈疾患であった。

1年時のMACE発生率は、iFR群が6.8%(78/1,148例)、FFR群は7.0%(83/1,182例)であり、ハザード比(HR)は0.95。
リスク差は-0.2%であり、事前に規定された非劣性マージンを満たした。

MACEの個々のイベント、心血管死、非心血管死は、両群間に有意な差を認めなかった。

処置関連の有害症状や臨床徴候の発生率は、iFR群が3.1%(39例)と、FFR群の30.8%(385例)に比べ有意に低かった。
iFR群は胸痛が19例、呼吸困難が13例に、FFR群はそれぞれ90例、250例に認められた。
また、重篤な有害事象は、iFR群は1例のみであったが、FFR群は8例(気管支攣縮、心室性不整脈)にみられた。

処置の所要時間中央値は、それぞれ40.5分、45.0分であり、iFR群が有意に短かった。

この研究の主な結果は、iFR-SWEDEHEART試験とほぼ同様であった。



DEFINE-FLAIR試験:iFR vs.FFR、即席麺が老舗の味に肩を並べたのか?

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43835?utm_source=m36&utm_medium=email&utm_campaign=2017050200

【FFRとiFR】

iFR(instantaneous wave-free ratio)は、ずっとFFRの背中を追いかけてきた。

 
FFR(fractional flow reserve)は、冠動脈病変の生理的・機能的評価のゴールドスタンダードである。
最大充血を誘発することで末梢血管抵抗を最小値かつ一定にし、狭窄前後の圧力比を血流量比に落とし込むことを可能とする。
しかし、最大充血を誘導する薬剤の副作用(アデノシンでは狭心症誘発・血圧低下・房室ブロック・気管支攣縮など、塩酸パパベリンではQT延長・VT/Vfなど)、短い半減期(とくにアデノシン)、手技時間延長などの欠点がある。
最大充血を誘発しないことでFFRのアキレス腱を排除したiFRは、ADVISE study
でFFRとの高い相関性(診断精度95%)を示し、VERIFY studyで「FFR:0.6.0.9の範囲では相関性が低い」と否定されると、ADVISE II studyでは相関性の低いiFR:0.86.0.93の区間にFFRを併用(iFR+FFRハイブリッド法)して生き残りを目指した。


iFRには当初より批判的な意見も多い。
iFRは血管抵抗が最小かつ一定になる(これにも議論が多いが)拡張末期の特定時相(wave free period)において、本研究にも助成しているVolcano社独自のアルゴリズム(未公開)で圧較差として算出されるが、その方法論の客観性・安定性に疑問符が投げかけられている。
またFFR派・iFR派双方のグループがデータを出し合い第三者機関で解析したRESOLVE study
では、iFRの診断精度は80%で、アデノシン非投与時の全時相の平均圧較差と同程度であった。
さらにiFRのカットオフ値:0.90に明確な根拠はなく、これを基にiFR+FFRハイブリッド法の精度を検証した
VERIFY 2 studyでは約10%に誤分類が生じていた。


【DEFINE-FLAIR試験について】

これだけの逆風の中、単なる数値の比較ではなく臨床的意義でFFRと初めて対峙したのがDEFINE-FLAIRである。
虚血の判断に迷う40~70%狭窄の新規病変を対象とし、急性冠症候群症例では非責任病変について検討した。
同じジャーナルに掲載された
iFR-SWEDEHEARTもほぼ同一のプロトコールで行われ、患者背景こそ異なるものの両試験は判で押したように同じ結論(MACEでは非劣性、手技時間や手技に伴う不快感・有害事象はiFRが優れる)であった。


果たして、20%程度の診断精度不良は臨床現場ではかき消されてしまうということなのだろうか?

同じくDES時代で、FFRのマイルストーンであるFAME試験(多枝病変、陽性率63%)FAME II試験(陽性率76%)と比較すると、軽症病変で6割が一枝のみでの検討だったDEFINE-FLAIR試験の平均FFR:0.83は明らかに高く、両群とも虚血陽性率が低かった(FFR群:34.6%、iFR群:28.6%)。
iFR群でより陽性率が低かったのはカットオフ値(0.89)を引き下げたためかもしれないが、いずれにしろFAME/FAME IIとは明らかに対象の重症度が異なっている。
軽症例でPCIと薬物療法との差がつきにくいことは多くの臨床試験で指摘
されており、したがって、DEFINE-FLAIR試験ではiFRの精度の低さがカモフラージュされた可能性が否定できない。


【冠動脈病変の生理的・機能的検査に求められるもの】

FAME試験(2年次)において「治療不要」のDefer群で自然発症心筋梗塞:0.2%、血行再建率:3.2%(明らかな病変進行:1.9%)という数字に驚かされたことがある。
しかし生理的・機能的検査はその瞬間を捉え虚血の有無や血行再建の適応を判定する手法であって、その後の病変の運命を予言できるとは限らない。
一方、FAME II試験
で示されたように、「治療すべき」と判定された場合、薬物療法だけでは予後もQOLも不良となる。

 
冠動脈の生理的・機能的検査は血行再建のappropriatenessに直結する。
血管造影では判定できない有意病変を拾いだす一方で、不要なPCIを回避して無益な合併症やコストを削減するのが使命となる。
本試験のように似て非なるモダリティーの優劣を比較するには、「是」とした症例・病変と「否」とした症例・病変の行く末を別々に検討する必要がある。
診断精度・カットオフ値の議論は脇に置くとしても、本試験のように「是」と「否」をひとまとめにするのはいかにも乱暴であり、結論をミスリードする可能性がある。

 
面倒な手続きを省いたインスタントなこの新しい手法が、老舗であるFFRと肩を並べたと声高に叫ぶのは、本試験の結果だけではいささか早計であろう。
いうなれば、バイアスのかかったアンテナショップで好評を得た程度の感じである。
今後、FAME/FAME IIのような重症群のそろうリアルワールドで、より丁寧な比較検討が必要と思われる。





<番外編>

他人だけど ─ 胆嚢と心臓

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/murakawa/201701/549477.html?ref=RL2

・指の先を針でチクっと刺すと、「そこが痛い」。皮膚の痛みは「体性痛」。一方、「茫漠としてリアリティー薄いけど痛い」のは
「内臓痛」。

・関連痛は<内臓からの痛覚>が<皮膚からの情報>と混線して生じる。
・放散痛と関連痛はしばしば混同される。
「原因不明の胸痛」は胆石症の否定のため「とりあえず腹部エコー」が勧められる。





<きょうの一曲>

The Modern Jazz Quartet - Blues In A Minor

https://www.youtube.com/watch?v=G6mqoRM8sVA



<きょうの一枚の絵>

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三岸節子 南仏風景

http://www.moribe-garo.jp/item/yo021/ 



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1次予防のスタチン対象、ガイドラインによる差を比較/JAMA

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43875

スタチンによる動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の1次予防が推奨される患者は、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン2013年版よりも、米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)の2016年版勧告を順守するほうが少なくなることが、米国の研究グループの検討で示された。
ACC/AHAガイドラインで対象だが、USPSTF勧告では対象外となる集団の約半数は、比較的若年で高度の心血管疾患(CVD)リスクが長期に及ぶ者であることもわかった。
1次予防におけるスタチンの使用は、ガイドラインによって大きな差があることが知られている。
USPSTFによる2016年の新勧告は、1つ以上のCVDリスク因子を有し、10年間CVDリスク≧10%の患者へのスタチンの使用を重視している。

(JAMA誌2017.4.18)



年齢40~75歳の3,416例で2つの適格基準を比較

研究グループは、米国の成人におけるASCVDの1次予防でのスタチン治療の適格基準に関して、USPSTFの2016年勧告とACC/AHAの2013年ガイドラインの比較を行った。


2009~14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)から、年齢40~75歳、総コレステロール(TC)値、LDL-C値、HDL-C値、収縮期血圧値のデータが入手可能で、トリグリセライド値≦400mg/dL、CVD(症候性の冠動脈疾患または虚血性脳卒中)の既往歴のない3,416例のデータを収集し、解析を行った。


USPSTF勧告で15.8%、ACC/AHAガイドラインで24.3%増加

対象の年齢中央値は53歳(IQR:46~61)、53%が女性であった。21.5%(747例)が脂質低下薬の投与を受けていた。


USPSTF勧告を完全に当てはめると、スタチン治療を受ける集団が15.8%増加した。
これに対し、ACC/AHAガイドラインを完全に適用すると、スタチン治療の対象者は24.3%増加した。


8.9%が、ACC/AHAガイドラインではスタチン治療が推奨されるが、USPSTF勧告では推奨されなかった。
このうち55%が年齢40~59歳であった。
この集団は、CVDの10年リスクの平均値は7.0%と相対的に低かったが、30年リスクの平均値は34.6%と高く、28%が糖尿病であった。


英文抄録

Comparison of Recommended Eligibility for Primary Prevention Statin Therapy Based on the US Preventive Services Task Force Recommendations vs the ACC/AHA Guidelines.

Neha J Pagidipati et al.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28418481&keiro=journal


<自遊時間>
「増収のために不要な検査」は事実か

https://community.m3.com/v2/app/messages/2700162?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170504&dcf_doctor=true&mc.l=220848952




<きょうの一曲>

Bach Piano Concerto BWV 1055 A major David Fray

https://www.youtube.com/watch?v=FRyLYtBLIOE

 
 


<きょうの一枚の絵> 

Unknown

東山魁夷 「濤声]昭和50年(1975) 障壁画・12面

http://blog.goo.ne.jp/supika09/e/8539f259fef14fd1e9ab373fb47d0665



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米国のレジストリ研究からMitraClipの課題とアウトカムが明らかに


http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000382.html

米国におけるMitraClip(Abbott Vascular)経カテーテル的僧帽弁(MV)システムの1年時臨床アウトカムは、臨床試験で達成された結果を反映するものであることがレジストリデータにより示唆された

特定の臨床的因子と僧帽弁閉鎖不全(MR)の低減の度合いが、死亡や心不全といった長期的有害アウトカムのリスク予測に役立つ可能性があるが、根強い死亡リスクや1年時の心不全による入院という高リスク患者のサブセットが存在することがACC2017で発表された。

 

MitraClipシステムは2013年10月に米国において承認され、現在では250を超える施設で使用されている。
Abbott Vascularは昨年、外科手術が必要となる不適切なデバイスの使用が報告によって表面化した後に、本デバイスを操作・留置する際の適正な手技実施を強化するための自主的な対策を取った。

本研究では、2015年9月までに施術を受けた2,952例をSociety of Thoracic Surgeons/ACC Transcatheter Valve Therapy (TVT)レジストリから特定し、臨床アウトカムを得るため1,867例(63%)について入手可能なメディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)の診療報酬請求データと組み合わせた。

大部分(93%)の患者はグレード3あるいは4の僧帽弁閉鎖不全(MR)を有しており、85.9%は変性性MRのみ、8.6%は機能性MRのみを有していた。
機能性MRは米国では適応として承認されていないが、欧州ではMitraClipが使用される患者のおよそ3分の2を占める、最も一般的な適応である。

外科手術および死亡を回避し、術後MRのグレードが2以下であることで定義された急性期手技成功率は、92.8%であった。
院内死亡率は2.7%であった。

1年時累積死亡率は、機能性MR群において変性性MR群と比べ有意に高く、重度の三尖弁閉鎖不全を有する群においてより軽度の三尖弁閉鎖不全を有する群と比べ高かった。

術後MRのグレードがより高いことも死亡率に強く関連し、死亡率は、残存MRのグレードが2の場合は29.2%、1あるいは0の場合は21.7%であったのに対し、3あるいは4の場合は48.9%に達した。
心不全による入院についても同様の結果が認められた。

本データに関するディスカッションの際、セッションの共同座長は、三尖弁閉鎖不全に関する結果はとくに衝撃的であると述べ、重度三尖弁閉鎖不全を有するMR患者におけるMitraClip治療の意味するところとは何か、と質問した。

発表者は、「三尖弁閉鎖不全患者の割合は16%であったことから、それは興味深い質問である。これは非常に高い値であり、また診療においてMitraClipを実施する患者を見る際に重度三尖弁閉鎖不全がある場合は、当然のごとく、外科医は『あなた方が患者を救えるとは思えない』と言うだろう」と回答した。


「われわれは概して容積の状態、どのように代償されているか、そして三尖弁閉鎖不全に関連する右心不全に本当に罹患しているかどうかを見る傾向にあるが、私はこれが重要な病変であると考えており、未治療の罹患率が実際に患者の予後に影響することをデータは示している」と同氏は付け加えた。

三尖弁閉鎖不全はより進行した疾患の指標に過ぎないのか、あるいは三尖弁閉鎖不全の治療が予後を変えうるものなのかについてはわからない。これは依然として難しい問題である」と述べた。

一方で、技術的には実現可能である。
クリップの留置により三尖弁閉鎖不全を低減させることが可能であり、今後は標準治療となっていく可能性がある。


MRに加えて三尖弁閉鎖不全を有する患者をどう治療するか。
変性性MR患者は、本当にほかの選択肢が存在せず、重症MRが高度に症候性である場合にクリップ留置可能な施設に紹介されてくる。

そのような例ではMitraClip自体は非常に低リスクであるため、三尖弁閉鎖不全の存在にかかわらず実施し、患者には三尖弁閉鎖不全が負の予後的因子であることを必ず知らせる。


多変量モデルにおいて、重度三尖弁閉鎖不全の存在は、加齢(5年ごと)、透析の使用、中等度あるいは重度の肺疾患、駆出率低下、残存MRの存在と同様に、1年時死亡の有意な予測因子であった。


ある

パネリストは、「われわれは長期データを必要としており、これは1年のみのデータではあるが、本データは患者に指針を示す際の見込みという意味で本当に役立つ、全体として非常に有益なものである」と述べた。

本データはまた、われわれ術者に影響を与えうる、実に重要なものである。
なぜなら、本解析においてこの治療が実際に良好なアウトカムをもたらすことが示されたことで、現実的に僧帽弁閉鎖不全のグレードを1+に低下させることの重要性について考えるからである。
これは複雑である。
良好な結果を得られた患者はそのような結果が得られるようなほかの解剖学的特徴を有しているものの、同時に、グレードが2+では十分ではないことを示唆する過去のデータと比較して印象的である。


TVTレジストリの患者は概して高齢で、変性性僧帽弁閉鎖不全の有病率が高かったにもかかわらず、本研究の1年時死亡率および心不全による入院率は、臨床試験における結果と同等であった。


本治療の安全性と長期アウトカムに感銘を受けた。
それらの結果は、高リスク群でのMitraClipの臨床試験における結果をかなりの程度で再現しており、本治療を多くの施設で多くの術者に対し一般化できることを示唆している。

一方、これらは非常に重症の患者であり、一部の患者ではクリップの埋め込みに成功し、別の患者では不成功に終わったとしても、いずれにせよその後の死亡率は非常に高いということである。


英文記事

MitraClip Issues, Outcomes Come to Fore in US Registry Experience

http://www.medscape.com/viewarticle/877629






<きょうの一曲>
Swing, Sing & Think: David Fray – Bach’s Keyboard Concertos (HD 1080p)

https://www.youtube.com/watch?v=xV_L7kh08cE 



<きょうの一枚の絵>

nichido_20110602_nakagawa

中川一政 「薔薇」 油彩 10P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/06/post-180.html



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糖尿病は高齢患者でも心血管疾患死リスクに影響を及ぼすのか?―日本の8コホート研究を対象に解析

http://www.carenet.com/news/general/hdnj/43848

糖尿病は中年期と同様に高齢期(70~80歳代)の患者でも心血管疾患(CVD)死や全死亡の独立したリスク因子であることが、循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究(EPOCH-JAPAN)の解析で分かった。
高齢期の患者では中年期の患者よりもCVDによる超過死亡の絶対リスクが増加したことから、高齢患者においても死亡リスク低減を目指した包括的な糖尿病の管理が重要であることが明らかになった。
(Journal of Epidemiology 3月号)

私的コメント; 

糖尿病への大血管障害進展への治療介入は発症早期に行って初めて奏功することは最早常識となっています。

その理由の一つとしてAGEsの関与が考えられています。
つまり罹病期間が重要となるのですが、

罹病期間も配慮せずに
「高齢患者においても死亡リスク低減を目指した包括的な糖尿病の管理が重要である」という結論は、余りにも短絡的と言うべきではないでしょうか。


糖尿病はCVD死や全死亡のリスク因子とされるが、糖尿病がこれらの死亡リスクに及ぼす影響は加齢によって変化するのか否かは明らかにされていない。
慶應義塾大学衛生学公衆衛生学の岡村智教氏と九州大学大学院衛生・公衆衛生学の二宮利治氏らの共同研究グループは、糖尿病によるこうした影響を年齢別に評価するため、日本で行われた複数のコホート研究を対象にプール解析を行った。


研究グループは、健康診断データを収集し、追跡期間が10年以上、参加者が1,000人以上の条件を満たした8つのコホート研究(端野・壮瞥町研究や久山町研究、NIPPON DATA 80など)に参加した3万8,854人を対象に解析を行った。
40~90歳で心血管疾患の既往がないことを対象者の登録基準とした。
ベースライン時に参加者の4.8%(1,867人)が1998年の世界保健機関(WHO)による診断基準で糖尿病と診断された。


その結果、平均10.3年の追跡期間中に4,542人が死亡し、このうちCVD死は1,376人であった。
多変量調整後の解析で、糖尿病を持たない人に比べて、糖尿病患者ではCVD死亡のハザード比は1.62(95%信頼区間1.35~1.94)、冠動脈疾患(CHD)死では2.13(同1.47~3.09)、脳卒中死では1.40(1.05~1.85)であり、全死亡のハザード比も1.39(同1.25~1.55)と糖尿病患者ではCVD死および全死亡リスクが有意に増加することが分かった。


また、参加者を年齢群(40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80~90歳)に分けて糖尿病がCVD死リスクに及ぼす影響を比較したところ、CVD死の相対リスクは全ての年齢群で同程度であったが(ハザード比1.38~2.06)、糖尿病による超過CVD死の絶対リスクは60歳代以下の患者群に比べて70~80歳代の患者群で増加していた。
研究グループは、この結果は高齢期の糖尿病患者では中年期の患者に比べてCVDによる死亡リスクが増加することを意味するとしている。


私的コメント; 
「高齢期の糖尿病患者では中年期の患者に比べてCVDによる死亡リスクが増加する」のは罹病期間が長いことから考えると当然の結果です。
この論文を読んで、高齢期の糖尿病患者への積極的治療介入により低血糖発作を起こす高齢者が増えないことを祈るばかりです。
「高齢期の糖尿病患者」ではなく「高齢期発症の糖尿病患者」で解析いただきたいものです。
「糖尿病患者は
CVD死リスクが高い」は真実です。
しかし、「
糖尿病患者を治療すればCVD死リスクが低下する」というはっきりした根拠がない限り、結論は慎重であるべきではないでしょうか。


英文抄録

Age-specific impact of diabetes mellitus on the risk of cardiovascular mortality: An overview from the evidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in the Japan Research Group (EPOCH-JAPAN).

Y.Hirakawa et al.

Journal of epidemiology. 2017 Mar;27(3);123-129. pii: S0917-5040(16)30155-1.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28142033





<番外編>

魚油サプリ、心疾患一次予防に推奨せず

http://yaplog.jp/hurst/archive/345



<自遊時間>

ある医療関係に掲載された「青春を語る」コーナーより•••


「診断治療に理屈•理論が通じる分野で、『がん』がないというのが循環器内科を選んだ理由だった」(神戸大学•平田健一教授)



<きょうの一曲> 

J.S.Bach Piano Concerto in D Minor Polina Osetinskaya Anton Gakkel

https://www.youtube.com/watch?v=osg_WmeLxQk



<きょうの一枚の絵> 

170119-001

梅原龍三郎 「牡丹 マジョリカ壺」1975年 油彩15号F型

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2017/02/post-359.html



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AF罹病のリスクスコアを開発 AHA 2016、3件の国内コホートをメタ解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1122505718/ 

(MT 2016.11.22)

心房細動(AF)は心不全や脳梗塞のリスク因子として知られるが、その予防に不可欠となるAF罹病を予測するリスクスコアの開発が課題となっている。
The J-RISK AF Research Group 〔日本医療研究開発機構(AMED)研究事業〕では、日本における地域住民を対象とした3件のコホート研究のデータをメタ解析し、AF罹病に関わるリスクスコアを開発してきた。
今回、その解析結果がAHA 2016(2016.11.12~16,ニューオリンズ)で報告された。


約2万例のデータを基にリスクスコアを算定

農村部と都市部を含む一般地域住民を対象とした3件の国内コホート研究〔吹田研究(5,796例)、CIRCS(Circulatory Risk in Communities Study)研究(1万1,906例)、久山町研究(2,118例)〕の計1万9,820例のデータを解析。
Cox 比例ハザードモデルを用いて、各コホートにおける既知のリスク因子を調整したAF罹病リスクのハザード比を推定した。
その上で、分散の逆数で重み付けする逆分散法を用いたランダム効果モデルによるメタ解析を行い、AF罹病リスクスコアを算定した。
さらに、同リスクスコアを住民健診データに基づく茨城県健康研究(Ibaraki Prefectural Health Study;IPHS,6万6,326例)に当てはめ、妥当性を検討した。

10年間のAF罹病リスクはスコアに比例して上昇

3件のコホートで28万832人・年を追跡した結果、551(1,000人年当たり1.96)件のAF罹病が観察された。
多変量調整比例ハザードを算出したところ、年齢(50歳以上)、性(男性)、過体重(肥満含む)、収縮期高血圧、冠動脈疾患(CHD)、飲酒(禁酒および過剰飲酒)がAF罹病と関連していた。

 
ベースライン時のAF罹病リスクスコアを算出したところ、年齢層別では、40歳代が0点、50歳代が3点、60歳代が6点、70歳代が9点。
それ以外の因子別では、男性が3点、禁酒が2点、1日当たりのアルコール摂取量(2合以上3合未満)が2点、同3合以上が3点、収縮期高血圧が2点、過体重以上が2点、CHDが3点となった。

 
予測される10年間のAF罹病リスクは、観察されたリスクと同様であり、3件のコホートで観察された10年間のAF罹病予測確率は、リスクスコア0点で0.3%、5~6点で1.7%、15~16点で8.5%となった。

 
一方、38万1,258人・年を追跡したIPHS研究では、636(1,000人年当たり1.67)件のAF罹病が観察された。
10年間のAF罹病の確率は、リスクスコア0点で0.1%、5~6点で0.7%、15~16点で5.7%と予測された。
同コホートにおけるAF罹病リスクは3件のコホートに比べて総じて低いものの、リスクスコアは観察されたAF罹病リスクと強い相関が認められた。

 
これらの結果から、発表者は「健診などで簡単に分かる古典的なリスク因子を用いて、日本人における10年間のAF罹病リスクを予測するリスクスコアを開発した」と総括した。



<きょうの一曲>

Jacques Loussier Solo: Play Vivaldi from "The Four Seasons" (1997)


https://www.youtube.com/watch?v=lFpHEDHgtME




<きょうの一枚の絵>

hakuchounomizuumi-butainoiriguchi-1

オリビエ・デヴォー 舞台の入り口-白鳥の湖 油彩 10号

http://www.suiha.co.jp/artists/contract-artists/olivier/白鳥の湖-舞台の入り口/ 





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FFR良好症例の予後予測における冠微小循環障害評価の意義についての検討

http://www.carenet.com/series/cvfl/ffr/cg001783_003.html?keiro=backnum

(執筆・監修:東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 田中信大)
冠血流予備能(Coronary Flow Reserve:CFR)微小循環抵抗指標(Index of Microcirculatory Resistance:IMR)を用い、FFRが良好であった症例の予後予測における冠微小循環障害評価の意義を検討した
韓国のグループの論文。

Lee JM, et al. Coronary Flow Reserve and Microcirculatory Resistance in Patients With Intermediate Coronary Stenosis. J Am Coll Cardiol. 2016;67:1158-1169.


CFRの概念は、1960年代にGouldにより提唱された。
心筋の酸素需要が増加すると、それに応じて冠血流を増加させることにより酸素を供給する。
この能力を自己調節能(auto regulation)と呼ぶ。
この自己調節を司るのが、抵抗血管といわれる径150μm以下の細小動脈である。
正常心では、労作など心筋酸素需要が増大すると、冠血流は安静時の
4~6倍程度増加する。
この増加の程度を冠血流予備能(CFR)と呼ぶ。
冠動脈狭窄が存在すると、冠血流の供給が阻害されるが、
安静時の血流は抵抗血管が拡張することにより保たれる
狭窄が有意となると、すでに安静時に抵抗血管がある程度拡張してしまっているため、最大限に拡張しても最大に得られる冠血流が低下する
安静時血流は90%以上の高度狭窄となるまで保たれるが、最大冠血流すなわちCFRは冠動脈狭窄が50%を越えると低下してくる。
このことから、CFRは冠動脈狭窄の機能的重症度指標と考えられている。

しかし、この自己調節能は、狭窄以外にも血行動態の変化や、心負荷の状況(弁膜症の存在など)に対しても安静時血流を一定に保つように働くため、計測時の血圧の変動などによってCFRの値が変化しうる
さらに、抵抗血管自体の機能異常、いわゆる微小循環障害により、得られる最大冠血流CFRは低下する。
これらのことが、CFRを冠動脈狭窄の重症度指標として使用する場合の判断を困難とする。

そこで心筋外冠動脈狭窄の特異的な指標としてNico Pijlsにより考案されたのが、冠血流予備量比(FFR)である。
抵抗血管を最大限に拡張した状態(最大充血 maximum hyperemia)では、冠血流と冠灌流圧の関係は直線的となる
ことから、冠動脈が正常の場合の灌流圧(大動脈圧で代用)に対する、狭窄により低下した冠動脈遠位部血圧(プレッシャーワイヤーで計測)の比により、血圧・血流がどの程度低下しているかを推測するものである。
計測が容易であり再現性が高いこと、
正常値が1.0であり、非侵襲的負荷試験による虚血所見と対応する値が0.75とクリアであることから、日常臨床で広く用いられるようになった。

ここでFFRは心筋外冠動脈狭窄に特異的な指標、すなわちCFRのように微小循環障害の影響を受けない、と当初考えられていた。
しかし
重度の微小循環障害では最大充血時の冠血流が阻害され、冠血流が低下した状態では圧較差が発生せず、心筋外冠動脈狭窄による圧較差・重症度を過小評価、すなわちFFRが高値となりうることが判明してきた。

Radi Medical社により製造されたプレッシャーワイヤーは、温度ドリフトの補正のため温度センサーを装填しており、生食投与後の熱希釈曲線を描くことによりCFR、さらに微小血管抵抗の指標であるIMRの計測が可能である。
IMRは冠動脈末梢の冠内圧と冠血流を計測することにより、その先の微小血管抵抗を計算するものである。
現時点では、冠血流の絶対量を計測することはできないため、あくまでも単位のないindexとして表現される。


まとめると、従来の考え方では、

FFRは心筋外冠動脈狭窄に特異的な指標

IMRは微小循環に特異的な指標

CFRは心筋外冠動脈狭窄と微小循環の両者を反映した指標

となる。


今回紹介する論文は、FFRが正常でCFRが低下している症例の中に、IMRが正常の症例と異常(高値)を示す症例があり、それぞれのサブセットの予後を検討したものである。
 

対象は中等度狭窄を認めFFRを計測した313例663血管。
そのうち、FFRが正常値(FFR>0.80)であった230例516血管を、さらにCFR低値(CFR≦2.0)、IMR高値(IMR≦23 U)の有無により4群に分け、その後のイベント(死亡、心筋梗塞、血行再建)を平均658日間追跡した。

CFR低値は、CFR高値例に比べ有意にイベント発生が多かった(HR:4.189、95%CI:1.117~15.715、p=0.034)。
CFR低値群のイベントは、血行再建が多くを占めた。

FFR正常例を、CFR、IMRにて群分けすると、CFR正常+IMR正常(A群)61.3%、CFR正常+IMR高値(B群)18.3%、CFR低値+IMR正常(C群)13.5%、CFR低値+IMR高値(D群)7.0%であった。
4群間に患者・病変背景、FFRに差はなかった。B群ではCFR正常にもかかわらずIMR高値であったが、原因として安静時Tmnが他群より有意に高値であった(注:Tmnとは生食を冠注した後の熱希釈曲線上のmean transit timeであり、その逆数が血流量と比例する)ことが関与していると考えられた。
C群では安静時Tmnが低値を示し、その結果CFRが低値となったと考えられた(すなわち安静時の血流がすでに速く、そのため最大充血時との比であるCFRは低下した)。

イベント発生率は各群で、9.5%、0%、7.0%、27.9%であった。
D群(CFR低値であり、かつIMR高値の症例)が、FFR高値症例の中で最もイベント発生が高率であった。
これらPhysiologyの指標を除くと、糖尿病、多枝疾患が予後予測因子であった。


今までFFRとCFRの乖離discordanceについて述べている論文は数多くあったが、CFRとIMRの乖離に言及した論文はない。
本研究ではFFRが正常であった症例の61.3%でCFR、IMRのいずれかが異常値を示し、31.7%がCFR、IMRの乖離を認めた。

B群は、抵抗血管の抵抗は高いが、その反応性CFRは保たれている群であるが、Tmn高値であり、すなわち安静時血流が低下していると考えられた。
安静時血流、最大充血時血流ともに低下しているが、CFRは保たれており、臨床的予後はA群と差はなく保たれていた。

C群は、抵抗血管の抵抗値は正常であるが、安静時血流が高くなることによりCFRが低下した。4群の中ではCFRが最も低値を示していた。安静時の血行動態指標では、心拍数が有意に高かった。
C群のイベント発生は、有意ではないがA群より高値を示した。この群のCFR低下には安静時血流高値が関与していると考えられるが、安静時血流異常には、微小循環障害による自己調節機能の異常、安静状態の変動、血圧・心拍数の調節不良などさまざまな要因の関与がありうるため、その予後も原因次第といえる。

D群は、FFR正常群の7%を占めていたが、明らかな微小循環障害を有する群であり、その後の予後不良を予測する因子であった。
イベント内容は心臓死と血行再建が他群よりも多かった。


田中先生の解説

冠微小循環障害に関しては、その病態・予後への影響などさまざまな研究がなされているが、現時点まで大きくクローズアップされてこなかったのは、その治療法が確立されていないためと思われる。
FFRが低下している症例に冠微小循環障害を合併したとしても、治療は心筋外冠動脈の治療が優先され、画一的に冠微小循環障害の観察が行われるのみである。
さらに、FFRが正常でCFRが低下していた場合、いわゆる微小循環障害のみが問題となる症例では、その予後が不良であるという報告は散見されるものの、治療的介入をしたものはない。
最近は脂質異常、糖尿病、不全心などに対する新しい治療薬がいくつも出てきているが、それらがどの程度冠微小循環に影響を及ぼしているかを知るためには、まずその障害の程度を定量評価する必要がある。
CFRやIMR単独では、有用であるという単施設の報告はみられるものの、その限界点も指摘されてきた。
今回はその両者を同時に使用することにより、病態をさらに推測することが可能となった。
新たな検査指標と、新たな治療薬が相まって、確実な治療効果を得られるようになることが期待される。
虚血性心疾患患者の予後改善に関し、冠動脈ステント治療の限界が見え隠れするようになってきた近年、新たなブレークスルーとなることを期待したい。


私的コメント;
安定プラーク同士の狭窄度をについて、心筋外冠動脈と冠微小血管に分けるて検討する意味は大きいと思われます。
しかし、安定プラークか不安定プラークかといった質的診断がおろそかにされると予後予測の判断を過(あやま)つ可能性があるかも知れません。
質的診断を同時に行うことが必要と思われますが、紹介論文では安定狭心症、不安定狭心症の区別や冠動脈狭窄病変の質的診断はされているのでしょうか。 

 
 

<自遊時間>

「専門医制度に関するひどい記事を見つけた」

https://community.m3.com/v2/app/messages/2696893




<きょうの一曲>

シューマン「トロイメライ」 聴き比べ

https://www.youtube.com/watch?v=VToutJZE9G8

 


<きょうの一枚の絵>
images

中村琢二「波勝崎」1973年

http://fukuoka-kenbi.jp/exhibition/2017/kenbi8386.html



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Denmark Aarhus University Hospitalにおける日常臨床でのFFR-CT使用に関する報告

(執筆・監修:東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 田中信大先生)

http://www.carenet.com/series/cvfl/ffr/cg001783_002.html?keiro=backnum


Norgaard BL, et al. Clinical use of coronary CTA-derived FFR for decision making in stable CAD. J Am coll Cardiol Img. 2016, Apr 7. [Epub ahead of print]
実臨床におけるFFR-CTを用いた診断戦略の有用性、侵襲的検査(以下、ICA:Invasive coronary angiography)に対するゲートキーパーとしての役割について検討したsingle center、observational all-comers study 


冠動脈CT(以下、CTA)は、その陰性的中率の高さ、および検査へのアプローチのしやすさから、とくに日本では非常に広く使用されている。
そのCTAの画像データから、スーパーコンピュータを用いて冠血流、冠内圧の情報を推測・計算する手法がFFR-CT(coronary computed tomography angiography derived fractional flow reserve)として報告されている



2014年4月からの1年間、Aarhus University Hospitalを受診し、安定冠動脈疾患が疑われた症例が対象。
外来にて、緊急を要さないCTAの依頼が出された連続1,248の症例が対象とされた。
同施設では、新規発症で検査前確率がlow~intermediateの症例において、CTAが診断モダリティの第1選択として好んで使われていた。

CTAはSiemens社製のdual-source CT scannerが使用され、心拍数60bpm以下を目標とし、経口・経静脈的β遮断薬が投与され、また全例でニトログリセリンの舌下投与が行われた。
CTAの判読結果により下記の3つのリスクカテゴリーに層別化し、その後の診断手法を決定した。


FFR-CTは、CTAの画像データをHeart Flow社(カリフォルニア)に送り解析された。主要枝ごとに計算され、FFR-CT≦0.80を有意狭窄と判断した。

結果

1,248例中75例(6%)は、心拍の不整、重度の石灰化などの理由で造影剤を注入する前に、ほかの検査アプローチあるいは治療方針(ICA、MPIあるいは薬物療法)に変更された。

CTAの対象となったのは1,173例で、非典型的胸痛が763例(65%)と多くを占め、典型的胸痛が152例(13%)、非狭心症性胸痛が176例(15%)、呼吸困難が82例(7%)であった。
検査時心拍数は58±9bpm、Agaston scoreは0~4,830(四分位数範囲:0~54)。CTAを施行した1,173例中、33例(3%)は、解析するには画像が不十分であり(造影剤量不足、motion artifact、blooming artifact)、引き続きperfusion imagingが行われた。
CTAの結果、858例はOMTが選択され、82例でICA、189例でFFR-CT、44例でMPI(myocardial perfusion imaging)が選択された。

FFR-CTが依頼された189例において、FFR-CT解析が可能であったのは185例(98%)であった。
185例中57例(31%)、740枝中72枝(10%)においてFFR-CT≦0.80を呈した。


FR-CT後のICAにおいて、37例で確認のため侵襲的FFRが計測された。
研究期間の開始から3分の2の時期までで計測されたのは35例中27例(77%)であったのに対し、後期3分の1では19例中10例(53%)であった。計測されたFFR値と、FFR-CT値の間には良好な相関を認めた。
全体では、FFR-CT値がFFRよりも軽度(0.04)低値を示す傾向を認めたが、FFR-CT ≦ 0.80が侵襲的FFR陽性を示す診断率は37例中27例(74%)、53枝中37枝(70%)であった。


FFR-CT≦0.80にてICAに送られた49例中22例(45%)に血行再建(PCI n=12、CABG n=10)が行われた。
FFR-CT≦0.75にてICAに送られた23例では、70%に血行再建(PCI n=10、CABG n=6)が行われた。
CTAからFFR-CTの計測なしで直接ICAに送られた82例では53例(65%)に血行再建(PCI n=42、CABG n=11)が行われた。

12ヵ月の追跡期間中(6~18ヵ月)、FFR-CT、ICA、MPIいずれの群においても重篤なイベントは生じなかった。
FFR-CT値が0.80以上でありICAを行わなかった123例においても重篤なイベントはみられず、経過中胸部症状により2例にICAが行われたが、いずれも血行再建の必要性は認めなかった。


結語

FFR-CTに基づいた診断戦略は妥当であり、有用な情報を与えてくれる。FFR-CT値>0.80によってICAをdeferしても、良好な短期予後が得られた。


私見

FFR-CTは、CTAと比べて追加の検査の必要性はなく、その意味でとても使いやすい検査法といえる。
一方、結果として出てきたFFR-CTの値を信じて、冠動脈造影検査や、カテーテル治療自体の適応を決定してよいのか、現時点ではまだ議論の余地がある。
しかし、非侵襲的検査と考えると、今存在しているほかのどの検査法も決して100%ではなく、それらの情報を基に主治医が総合的に判断することにより、より正しいと考えられる結果を導いていく。
その1つの検査法として考えれば、解剖学的な情報に加え、同時に機能的な情報が得られるというメリットは大きい。

では、本検査を侵襲的検査のゲートキーパーの役割として使用するのはどうか?
その意味で最も信頼されているのは負荷心筋シンチグラムと思われる。
これは6万例を超える非常に大きなデータにより、負荷心筋シンチグラム陰性であればその後の予後が良好である
、というデータが示されていることが大きい。
また運動負荷で行えば、負荷時の自覚症状や心電図の所見が加味できることも重要である。


FFR-CTは、負荷心筋シンチグラムに代わりうるか?

CTAはもとより陰性的中率が高いことが示されている。侵襲的検査に送った結果、偽陽性が多い点が問題であった。
また中等度狭窄が存在しても、虚血の有無に関しては再度負荷試験を行う必要があった。
FFR-CTは、CTAの陰性的中率は変えずに陽性的中率を高めることが可能か? 本論文において最も重要と思うのは、FFR-CTが陰性であってICAをdeferした症例の予後である。
約12ヵ月と短期間ではあるが問題となるイベントは生じていない。
観察中2例に持続する胸痛があり再度のICAが行われたが、FFR-CT 0.88(LAD)でdeferされた症例のICAは血管不整所見のみ、FFR-CT 0.78(LAD)でdeferされた症例のICAは、びまん性の軽度病変で侵襲的FFR 0.84であった。

FAME試験において、FFRガイド群、すべての病変をステント治療するAngioガイド群、そのどちらも自覚症状が消失したのは約70%である。
何らかの症状があった場合に、過剰な再検査が行われる可能性がある。FAME試験では、再造影の際PCIを考慮する場合は、(FFRガイド群では)必ずFFRの計測が義務付けられていた。
当面のイベントを減らす、ということよりもその担当医がFFRの再現性を実感し、その信頼度を高めていく、という意味でその意義は大きかったといえる。
FFR-CTにおいても、その信頼を確立するまでは、多少時間が必要と思われる。“CTAである程度のプラークを認めたが、FFR-CTは陰性”、という症例の予後に関するデータを積み上げていくことが重要である。


私的コメント;
実臨床(特に日本のリアルワールド)ではCSAの関与を常に考慮する必要があります。
CSAの関与が少ない諸外国の論文をそのまま鵜呑みにすると臨床現場で手痛いしっぺ返しを食らうことがあります。

最近経験したことです。
風邪で来院した患者が「そういえば、運転中などに、胸か胃のあたりが苦しくなって救急車を読んだり救急外来に飛び込んだことがありました」と話されました。
話を聞くと、安静時に限って起こっているようです。
胆石も腎結石も持っているということなので、自然排石の際の随伴性急性膵炎なのかなと考えながら聞いていました。
患者曰く「近くの大学病院に入院しました。『CTで冠動脈を見て気になるところがあったので冠動脈造影もやりましょう』といわれました。結果は異常なしということで、念のためニトロを貰って退院しました」。
病歴聴取で明らかに安静時狭心症を疑うべきで薬物負荷の適応です。
薬物負荷を施行せずに冠動脈造影っていうのは、このケースでは余りにももったいない話だなと聞いていました。 



 


<自遊時間>
「医師に労基法は適用されない」と言われました

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/cadetto/column/suzuki/201701/549751.html?n_cid=nbpnmo_mled




<きょうの一曲>

Caetano Veloso - Rosa (Pixinguinha)

https://www.youtube.com/watch?v=MlJRNlR0Nec 

(昨日患者として来院したブラジル出身の女性が「この歌手、ブラジルで有名です」と教えてくれた)



<きょうの一枚の絵>

696

フジ子・ヘミング 「クリスチーネ」 シルクスクリーン

http://www.motokawa.com/baikyaku/696.html
ピアニストの
フジ子・ヘミングがプロの画家でもあることに驚いた。
デュフィを彷彿とさせるタッチと色彩感覚。
こういった些細な感動の瞬間が楽しい。

 

<きょうの一曲>

Arteconcert Charles Aznavour live HD 2015 Paris

https://www.youtube.com/watch?v=1hTsZsarQ6w



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FFRの歴史、現在のポジションを築き上げた2論文:DEFER Trail、FAME Study

http://www.carenet.com/series/cvfl/ffr/cg001783_001.html?keiro=backnum

(執筆・監修:東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 田中信大 先生)

冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)は、オランダのNico Pijls氏によって考案された冠動脈狭窄重症度指標である。
従来、狭窄の評価は冠動脈造影によって行われてきたが、冠動脈造影は管腔の影絵であるため、狭窄血管全体の抵抗(重症度)を評価することは不可能である。
さらに、流体力学的には、狭窄部の最小内腔面積、狭窄長のみではなく、狭窄出口部の流れの剥離による圧損失に影響を及ぼす壁表面性状、さらには冠血流量自体が大きく寄与するため、解剖学的な情報のみから機能的重症度を知ることは困難といえる。
そのため1990年代当時
、冠血流予備能(Coronary Flow Reserve:CFR)が機能的重症度指標として重要であることが報告されていた。

しかしCFRは計測時の血行動態や、左室の容量負荷の状態、微小循環障害の存在などに影響を受けること、正常値の範囲が3.0~6.0と幅広いことなどに加え、計測手技自体が安定しないことから、臨床で広く使用されるには至らなかった。
その欠点を克服すべく提唱されたのがFFRである。
正常値が1.0と明確であり、計測時の血行動態の影響・微小循環障害の影響を受けにくく、虚血閾値が0.75であり境界域(グレーゾーン)が0.75~0.80と狭いことなど、臨床で使用しやすい指標であることが示され、欧州を中心に使用され始めた。


昨年、5年の観察結果が報告されたが、2年以降5年までの間には両群で同等のイベントが発生し、その差は有意ではなくなったものの維持された。
 

本論文の意義:
機能的に病変枝数を判断し治療を行う“機能的完全血行再建”が有用な方法であることが証明された。
5年の観察結果をみると、中等度病変を多枝に有する症例においては、病変が進行しイベントにつながるリスクを常に有するため、deferした病変・症例に対しても積極的な内科的療法(optimal medical therapy:OMT)を行うことが重要であると考えられた。


これら2論文を中心としたエビデンスにより、FFRガイドのPCIはESCのガイドラインではクラスI(エビデンスレベルA)、AHA/ACCではクラスIIaに位置付けされている。
本邦でもFAME試験の発表以降、多くの施設でFFR計測が行われるようになった。
しかし、冠循環を十分に理解し、FFR計測のピットフォールを踏まえたうえで、正しく計測し得られた値に基づいたものでなければ、その有用性を発揮することはできない。




<きょうの一曲>

Baden Powell - Valsa Sem Nome

https://www.youtube.com/watch?v=q-D9zyJXznI


きょうの午前の診察にブラジルの綺麗な妙齢の女性が受診。
思わず診察中にかかわらずこの曲をポチして聴いてもらった。
Valsa Sem Nome は「名前のない社交ダンス」のことだと言っていた。
(実は日本語ペラペラ) 



<きょうの一枚の絵>


Unknown-2
堀文子 トスカーナの花野(1990年)

https://matome.naver.jp/odai/2142080930231563701

 


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RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43651

ACE阻害薬またはARB服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。
クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。
英国の研究グループが、ACE阻害薬・ARBの服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。
(BMJ誌 2017.3.9)


末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連を検証

研究グループは1997~2014年の、英国プライマリケア医の電子診療録を含むデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)と病院エピソード統計「Hospital Episode Statistics」(HES)を基に、ACE阻害薬またはARBの服用を開始した12万2,363例を対象に、ACE・ARB開始後のクレアチニン値上昇と、心・腎臓アウトカムとの関連を調べた。


ポアソン回帰分析法を用いて、クレアチニン値30%以上の増加や10%増加ごとと、末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連についてそれぞれ検証した。
解析では、年齢、性別、歴期間、社会経済状況、生活習慣、CKD、糖尿病、心血管の併存疾患、その他の降圧薬、NSAIDsの使用で補正を行った。


クレアチニン値増加に伴い心・腎イベントリスクも段階的に増加

クレアチニン値が30%以上増加したのは、被験者の1.7%にあたる2,078例だった。
クレアチニン値の30%以上の増加は、評価項目としたすべての心・腎イベントの発症と関連が認められた。


クレアチニン値の増加30%未満での発生と比較した補正後罹患率比は、末期腎不全については3.43(95%信頼区間[CI]:2.40~4.91)、心筋梗塞は1.46(同:1.16~1.84)、心不全は1.37(1.14~1.65)、死亡は1.84(1.65~2.05)だった。


クレアチニン値の増加幅に応じた心・腎アウトカムについて調べたところ、10%未満、10~19%、20~29%、30~39%、40%以上と段階的にすべての評価アウトカムについてリスクが増加する傾向が認められた。


死亡に関する補正後罹患率比は、クレアチニン値10%未満の増加との比較で、10~19%の増加で1.15(1.09~1.22)、20~29%の増加で1.35(1.23~1.49)だった。


これらの結果は、歴期間、サブグループ、服用継続の有無などで検討した場合も一貫して認められた。






腎保護効果は、見せかけだった ~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~(解説:石上 友章 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43805

CKD診療のゴールは、腎保護と心血管保護の両立にある。
CKD合併高血圧は、降圧による心血管イベントの抑制と、腎機能の低下の抑制を、同時に満たすことで、最善・最良の医療を提供したことになる。
RA系阻害薬は、CKD合併高血圧の治療においても、ファーストラインの選択肢として位置付けられている。
RA系阻害薬には、特異的な腎保護作用があると信じられていたことから、糖尿病性腎症の発症や進展にはより好ましい選択肢であるとされてきた。
一方で、CKD合併高血圧症にRA系阻害薬を使用すると、血清クレアチニンが一過性に上昇することが知られており、本邦のガイドラインでは、以下のような一文が付け足してある。


『RA系阻害薬は全身血圧を降下させるとともに、輸出細動脈を拡張させて糸球体高血圧/糸球体過剰ろ過を是正するため、GFRが低下する場合がある。しかし、この低下は腎組織障害の進展を示すものではなく、投与を中止すればGFRが元の値に戻ることからも機能的変化である。』(JSH2014, p71)
(記事中の、「アンジオテンシンIIと、尿細管・平滑筋細胞・輸入輸出細動脈との間の量-反応関係」を参照ください)

アンジオテンシンIIは、選択的に輸出細動脈を収縮させる。
いわば、糸球体の蛇口の栓の開け閉めを制御しており、クレアチニンが上昇しGFRが低下する現象は、薬剤効果であり、軽度であれば無害であるとされてきた。
糖尿病合併高血圧では、Hyperfiltration説(Brenner, 1996)に基づいた解釈により、RA系阻害薬は糸球体高血圧を解消することから、腎保護効果を期待され、第一選択薬として排他的な地位を築いている。


しかしながら、こうした考えはエキスパート(専門家)の"期待"にとどまっているのが実情で、十分なエビデンスによる支持があるわけではなかった。


RA系阻害薬の腎保護効果について、その限界を示唆した臨床試験として、ONTARGET試験・TRANSCEND試験があげられる
本試験は、ARB臨床試験史上、最大規模のランダム化比較試験であり、エビデンスレベルはきわめて高い。
その結果は、或る意味衝撃的であった。
ONTARGET試験では、ACE阻害薬とARBとの併用で、有意に33%の腎機能障害を増加させていた。
TRANSCEND試験に至っては、腎機能正常群を対象にしたサブ解析で、実薬使用群での、腎機能障害の相対リスクが2.70~3.06であったことが判明した。
他にも、RA系阻害薬の腎保護効果に疑問を投げかける臨床試験は、複数認められる。


eGFRの変化は、アルブミン尿・タンパク尿の変化よりも、心血管イベント予測が鋭敏である
”軽微”とされていたRA系阻害薬による腎障害が、腎保護効果はおろか、心血管イベントの抑制にも効果がなかったことも証明されている。

ガイドラインは、過去の研究成果を積み上げた仮説にすぎない。
クリニカル・クェスチョンは有限とはいえ、無数にある。あらゆる選択肢の結果を保証するものではない。
専門家の推論や、学術的COIに抵触するような期待に溢れた、あいまいな推奨を断言するような記述は、どこまで許容されるのか。
この10年あまりの間、糖尿病合併高血圧や、CKD合併高血圧にRA系阻害薬がどれだけ使用されたのか。
そのアウトカムの現実を明らかにした本論文の意義は、学術的な価値だけにとどまらず、診療ガイドラインの限界を示しているともいえる。


<自遊時間>

「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か

厚労省が新検討会、塩崎厚労相「来年開始予定の新専門医制度から議論」

https://www.m3.com/news/iryoishin/523356?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170425&dcf_doctor=true&mc.l=219279756&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d

私的コメント

「専門医は、全ての医師が取得しなければならないものではないことを明確にする」・・・

えっ、逆に年齢や卒業年数に関係なく取得が要請されていたんですか~?

一定の年齢以上の勤務医はもちろんのこと、開業医(特に老医)は関係ないと思っていたのは思い込みだったんでしょうか?

対象が明記されていなくて新たに議論されている「専門医制度」がさっぱりわかりません。

総合内科専門医も、取得した後の資格更新が大変なので結局はあきらめました。、




<きょうの一曲>

Eric Alexander - Killing Me Softly With His Song

https://www.youtube.com/watch?v=pUdWiFHpmOY





<きょうの一枚の絵> 

img08

掘 文子 《夏》1967年 兵庫県立川西緑台高等学校蔵

http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/detail.html

 



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カテーテルによる三尖弁形成術の初期段階の実用性は?

http://www.carenet.com/news/general/carenet/43836

能的な三尖弁逆流(TR)は有病率が高いうえ進行することが多く、予後にも影響を与える。
AHA/ACC(American Heart Association/American College of Cardiology guidelines)のガイドラインによると、
三尖弁の修復術は、左室の開心術と同時に行う場合のみ、NYHA分類Iの適応となっている。
三尖弁の修復術は患者にとって有益であるが、患者の多くは左心の開心術の際に、三尖弁の修復術を受けていない。
一方で、経カテーテルによる治療は増えており、重症TRはこれらの患者の予後にも影響を与えている。
このような背景から、経カテーテルによるTR治療が注目されている。

 
こうした中、Percutaneous Tricuspid Valve Annuloplasty System for Symptomatic Chronic Functional Tricuspid Regurgitation(症候性の慢性機能性三尖弁逆流症に対する経皮的三尖弁輪形成術システム)における初期の実用性を評価するSCOUT試験の結果が米国から報告された。
(Journal of American College of Cardiology誌4月号)


NYHA分類 II以上の機能性TR15例を前向きに評価

本研究は、多施設共同で行われた前向きのシングルアーム試験である。

 
2015年11月~16年6月、NYHA分類II以上で、中等度以上の機能性TRを有する患者15例が登録され、手技が成功し、30日目までの段階で再手術が行われないことをプライマリエンドポイントとして評価した。
心エコーによる三尖弁径、有効逆流口面積(EROA)、左室の拍出量(LVSV)の計測と、QOLの評価(NYHA分類、ミネソタ心不全QOL質問票、6分間歩行テスト)が、ベースライン時と30日後に行われた。

 
85歳以上、ペースメーカー患者、肺動脈圧>60mmHg、LVEF<35%、心エコーでTAPSE(tricuspid annular plane systolic excursion)<3mm、三尖弁のEROA>1.2 cm
2の患者は除外された。


1ヵ月後におけるデバイス植込み成功率は80%

すべての患者(平均年齢73.2±6.9歳、87%が女性)において、デバイスの植込みが成功し、死亡、脳卒中、心タンポナーデおよび弁に対する再手術は認められなかった。
30日後における手技の成功率は80%で、3例でプレジェットが弁輪から外れていた。残りの12例では、三尖弁輪とEROAは共に有意に縮小し(三尖弁輪:12.3±3.1cm
2から11.3±2.7cm2、p=0.019、EROA:0.51±0.18cm2 vs.0.32±0.18cm2、p=0.020)、左室の拍出量は有意に増加していた(63.6±17.9mL vs.71.5±25.7mL、p=0.021)。
Intention-to-treatコホートの解析でも、NYHA分類(NYHA≧I、p=0.001)、MLHFQ(47.4±17.6から20.9±14.8、p<0.001)、6分間歩行(245.2±110.1mから298.0±107.6m、p=0.008)で有意な改善がみられた。

 
30日後における
SCOUT試験の結果により、新しい経カテーテルデバイスの安全性を確認した。
経カテーテル三尖弁形成デバイスは、三尖弁輪およびEROAを縮小させるとともに左室拍出量を増加させ、QOLを改善することが示された。


英文抄録

Early Feasibility Study of a Transcatheter Tricuspid Valve Annuloplasty: SCOUT Trial 30-Day Results.

Rebecca T Hahn, et al.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28385308





<きょうの一曲>

Glenn Gould-Yehudi Menuhin-J.S. Bach-Violin Sonata No.4 (HD)

https://www.youtube.com/watch?v=uzJsfZHssIs



<きょうの一枚の絵>

nichido_20110208_yamamura

山村博男 「エズの朝 コートダジュール」 油彩 3F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/02/post-166.html

 

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発症1年後の電子健康記録に基づく予後予測モデル 長期DAPTが望ましい心筋梗塞患者を判定

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201704/551030.html?myselect=20170421 

急性心筋梗塞から1年後の患者に長期抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を実施すべきかを判断するための予後予測モデルが開発され、検証結果が発表された。

(European Heart Journal誌 2017.4.7号)

2015年の欧州心臓病学会ガイドラインでは、虚血や出血のリスクを注意深く評価したうえで長期DAPTを検討するよう推奨している。

しかし、どのように「注意深く評価」するかについては明らかにされていない。

そこで英国の研究者らは、主要心血管イベントと出血イベントを予測するモデルを開発して検証した。

また、このモデルをPEGASUS-TIMI 54試験の結果に適用し、長期DAPTの有益性と害を推定した。


本研究は、CALIBER(ClinicAl research using LInked Bespoke and Electronic health Records)
の2000年から2010年までのデータを用いて実施した。

CALIBERは、英国の一次・二次診療データと疾患登録データ、原因別死亡データを関連付けたデータベースだ。


急性心筋梗塞の発症から1年後に生存していた患者を対象とし、心筋梗塞から1年後から追跡を開始した。

事前に定めた、人口統計学的データ(年齢、性別など)、行動(喫煙、飲酒)、心血管疾患および非心血管疾患の既往、薬剤、臨床バイオマーカー(BMI、コレステロール比など)の予後因子を考慮してモデルを開発した。


長期DAPTの潜在的ベネフィットに関する主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、虚血性または原因不明の脳卒中の複合イベントとした。また、長期DAPTの潜在的な害を評価するため、CALIBERで定めた重大出血(致死的出血、頭蓋内出血、14日以上の入院を伴う出血、輸血を要する出血の複合)などの3つの出血評価項目を評価した。


開発したモデルを、チカグレロル60mgの有効性(心血管死、脳卒中、心筋梗塞)と安全性(TIMI重大出血および致死的または頭蓋内の出血)をプラセボと比較したPEGASUS-TIMI試験に適用。予想されるリスク別に、長期DAPTにより予防される可能性のある心血管イベントと発生する可能性のある害を推定した。


CALIBERの1万2694人(平均年齢70.1歳、男性66.1%、追跡期間の中央値3.1年[範囲:0‐9.8年])を対象に予後予測モデルを開発し、別の5613人(平均年齢69歳、男性64.4%)でモデルを検証した。

心血管事象の予後モデルは、c-index(モデルの予測性能の指数。値が大きいほど性能が高い)が0.75、CALIBERで定めた重大出血の予後モデルはc-indexが0.72)だった。(いずれも有意)


CALIBERのモデル検証コホートでは、PEGASUS-TIMI試験のコホートと比べ、3年間の心血管イベント(心血管死+脳卒中+心筋梗塞)の累積リスクが高かった(16.5% 対 9.04%)。重大出血のリスクも同様だった(1.7% 対 1.26%)。


PEGASUS-TIMI試験に予後予測モデルを適用したところ、長期DAPTを実施した場合、リスクが最大の患者では、1万人年ごとに249件の心血管事象が防げる一方で、134件の重大出血が生じると推定された。

また、リスクが最小の患者では、28件の心血管事象が予防でき、9件重大出血が発生すると推定された。


有益性(心血管事象予防)と害(重大出血)の重み付けを同一とした場合、DAPT延長による正味の臨床有益性は93.5%の患者にみられると推定された。

正味の臨床有益性は、害に有益性の2倍の重み付けをした場合は63%、有益性に害の2倍の重み付けをした場合は99.1%の患者にみられると推定された。


著者らは、医師や患者が有益性と害のどちらを重視するかによって正味の臨床有益性を推定すれば、意思決定に有用な情報になりうると説明。

また、正味の臨床有益性の程度を判定するには、費用対効果を検討することも重要だと指摘した。


著者らはこのモデルの利点の1つとして、任意の疾患登録や臨床試験の患者集団ではなく、地域集団ベースのデータに基づくモデルであるため、推定されるリスクが通常診療で観察されるものに近いことを挙げている。


論文:

Pasea L., et al. Personalising the decision for prolonged dual antiplatelet therapy: development, validation and potential impact of prognostic models for cardiovascular events and bleeding in myocardial infarction survivors.
 European Heart Journal. 2017;38:1048-55.


私的コメント
結局結論がよく理解できませんでした。



<きょうの一曲>

Arteconcert Charles Aznavour live HD 2015 Paris

https://www.youtube.com/watch?v=1hTsZsarQ6w




<きょうの一枚の絵> 

20090202_2

山村博男 「エトルタ」 油彩 4F

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非弁膜症性AFへのapixaban、warfarinより費用対効果が高い:ARISTOTLE試験

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000384.html

直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)に関する最も影響力の強い臨床試験の追跡調査解析によると、心房細動(AF)患者における生涯にわたり計画された経口抗凝固薬apixaban(商品名:Eliquis、Bristol-Myers Squibb/Pfizer)を用いた治療は、warfarinに対し費用対効果が高いようである。

米国の研究グループは、米国の患者3,417例を含む1万8,000例超の非弁膜症性AF患者において、脳卒中予防のために投与されたapixabanとwarfarinを比較したARISTOTLE試験からのデータに基づき、経済分析を実施した。


本試験の主要アウトカムにおいて、apixabanは脳卒中予防、全身性塞栓症予防、全死因死亡についてwarfarinよりも有意に優れていることが明らかになった。
また、apixabanは大出血発生率の有意な低さと関連した。


研究グループは今回の解析において、外部より得られた治療およびリソース使用の費用推計を用いて両治療法を比較し、ARISTOTLE試験の全患者の生存モデルに基づき平均余命を推定した。
2006~11年の間に米国の患者を1.8年(中央値)追跡。
JAMA Cardiology誌 2017.3.29) 


全体として費用は同等

全体として、出血による入院率はapixaban群でより低い傾向があったものの、両治療群の入院リスクに有意差はなかった。

apixaban群の平均入院費用は4,757ドルであり、warfarin群では5,122ドルであった。
救急部門受診率と、不整脈アブレーション、ペースメーカー、除細動器の植え込み、心臓外科手術、PCIなどの実施率についても、統計的に同等であった。

生存率3%を割り引いた後の平均余命は、apixaban治療がwarfarin治療と比べ0.50年長い(9.83年 vs.9.33年)と研究者らは推定した。
質調整生存年(QALY)は、apixaban群において0.40大きい(7.94 vs.7.54)ことが明らかになった。

研究者らの計算によると、warfarin治療の代替としてのapixaban治療の追加費用は、獲得QALY当たり5万3,925ドルであり、現在の米国の医療における適正な値の範囲内に入っているとのこと。

本解析における「最も影響力の強い」費用決定因子は、薬剤費用であった。
INRのモニタリングを含むwarfarinの年間費用は、DOACの年間費用に比べると非常に小さいものである。
本解析において、apixabanは1日当たり9.87ドル、warfarinは1日当たり0.09ドルと判定された。


著者らは、apixabanがより低価格であると仮定した場合の獲得QALYを再検討し、apixabanの価格が現在の75%の場合はQALY当たり4万426ドル、50%の場合は2万6,927ドル、25%の場合は1万3,427ドルであると推定した。


ほかの観点

ARISTOTLE試験のapixabanに対し、「その臨床アウトカムは、米国の医療システムにおける適正な価値を提供するのに十分に向上した」と、ある専門医は関連の論説において述べた。

今回の解析は、「モニタリング、出血、脳卒中の減少によって削減できる費用がapixabanの高い購入費用と比較すると小さいため、AF患者に対しwarfarinの代替としてapixabanを使用すると医療コストを増大させるであろうことを示唆している」という。

また「相当に値引きされた状態で薬剤を購入することができる医療システムにおいて、apixabanの費用がより低い場合には、より費用対効果が良好だろうということも明らかである」とし、この結論がARISTOTLE試験に組み入れられた患者のみに当てはまることに注意が必要である、とコメントしている。

今回の研究には関与していないが、過去のapixabanの費用対効果解析の共著者は、この解析は、臨床試験に参加していないAF患者にも一般化できるように思われる、としている。


この大規模ランダム化試験の結果は、比較的再現可能なものではないかと考えられる。
なぜなら、すべての抗凝固薬のベネフィットは脳卒中の予防であり、脳卒中の発症には地理的偏りがない傾向があるからである。

非弁膜症性AF患者については、臨床試験参加者であるかないかにかかわらず、同様の脳卒中リスクおよび出血リスクと、同様のアウトカムを有すると考えられる。
この問題を治療する際の費用は各国間で大きく異なるが、患者への効果は各国間で同様である。


英文記事

Apixaban Cost-effective vs Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation: ARISTOTLE

http://www.medscape.com/viewarticle/878214



<番外編>

使い捨て医療機器、洗浄・滅菌で再利用可能に 厚労省

心臓内部に入れるカテーテルや血管を切るメスといった医療機器を再利用する仕組みを厚生労働省がつくる。
再利用時の有効性や安全性を確保する基準を新設。
これまでは一度使えば廃棄してきた機器を業者が集めて分解、洗浄、組み立て直して販売できるようになる。
機器の値段が下がると期待される。

 
厚労省の21日の医療機器・体外診断薬部会で了承された。
一般の意見を聞いた後、7月をめどに導入を予定する。
現在の案では、再利用できる機器は国内の医療機関で使用されたものに限る。
感染症患者への治療や検査に使われたものや、人の体に埋め込まれた機器の再利用は認めない。

 
機器の再製造・販売には厚労相の許可が必要になる。
年に1回程度は、医薬品の審査や安全対策を担う医薬品医療機器総合機構が、安全性などに問題がないかを確認する。

参考・引用

http://www.asahi.com/articles/ASK4P6DCTK4PUBQU018.html?iref=com_api_med_focustop





<自遊時間>

・日医が開業医の利益しか考えていないとは大間違いです。 

本当に開業医の利益を考えていれば、こんなこと(診療報酬マイナス)にはなっていません。 

・日医幹部は自身の叙勲のことしか頭にありません。 

・勤務医は自らの立場を守るためには、開業医を生かしておくべきです。 開業医はライバルが増えないように、勤務医を生かしておくべきです。

引用

https://community.m3.com/v2/app/messages/2693718?pageNo=-1




<きょうの一曲>

Alban Berg - Violin ConcertoTo the Memory of an Angel - Frank-Peter Zimmerman, GMJO, Gatti

https://www.youtube.com/watch?v=ldvZ1EVUYxA


Alban Berg - Violin Concerto To the Memory of an Angel - Shaham, Jansons, BRSO 2014

https://www.youtube.com/watch?v=wckEFGK2q1s


[Concerto] Berg, Violin Concerto [Akiko Suwanai, Pierre Boulez, Gustav Mahler Youth Orchestra

https://www.youtube.com/watch?v=wSUdZ0-7rWE



<きょうの一枚の絵>

nichido_20110602_nakagawa

中川一政 「薔薇」 油彩 10P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/06/post-180.html 






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ウラリチド、急性心不全における心血管死の減少示せず/NEJM

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43826

ナトリウム利尿ペプチドのularitideは急性心不全患者において、心筋トロポニン値に影響を及ぼすことなくBNP低下など好ましい生理的作用を示したが、短期間の治療では臨床的な複合エンドポイントや長期の心血管死亡率を減少させることはなかった。
米国の研究グループが、急性心不全患者に対するularitide早期投与の長期的な心血管リスクへの影響を検証した
TRUE-AHF試験の結果を報告した。
急性心不全に対してはこれまで、心筋壁応力(cardiac-wall stress)と潜在的な心筋傷害を軽減し、長期予後を改善するための治療として、血管拡張薬静脈投与による早期介入が提唱されていた。
(NEJM誌オンライン版2017,4.12日号掲載)


急性心不全患者約2,000例で、ウラリチド早期投与の有効性をプラセボと比較

TRUE-AHF(Ularitide Efficacy and Safety in Acute Heart Failure)試験は、2012年8月~2014年5月の期間、23ヵ国156施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。
対象は、18~85歳の急性心不全患者2,157例で、標準治療に加えularitide(15ng/kg/分、48時間持続点滴)を投与する群と、プラセボを同様に投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付け、初回臨床評価から12時間以内に試験薬の投与を開始した。


主要評価項目は、全試験期間における心血管死と、当初の48時間における臨床経過を階層的に評価した複合エンドポイント(当初48時間における死亡、静注または機械的な介入を要する心不全の持続または悪化、6・24・48時間後の総合評価)であった。


心血管死や心筋トロポニン値の変化に両群で有意差なし

試験薬の投与開始時間中央値は最初の評価から6.1時間後(四分位範囲:4.6~8.4)、追跡期間中央値は15ヵ月であった。


心血管死は、ularitide群で236例、プラセボ群で225例発生した(有意差なし)。
intention-to-treat解析において、両群間で階層的複合エンドポイントに有意差は認められなかった。


ularitide群ではプラセボ群と比較して、収縮期血圧とN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)が低下した。
一方で、対応データを有した患者(55%)において、試験薬投与中の心筋トロポニンT値の変化は両群間で差はなかった。


著者は、「試験薬の投与が最初の評価から1~3時間以内のより早期の介入であればさらに良好な結果が得られた可能性や、トロポニンT値を投与前後で測定できたのは約半数など研究の限界があり結果の解釈には注意を要するが、ularitideは心筋障害を軽減せず疾患の進行に影響を及ぼさなかった」とまとめている。


英文記事

Effect of Ularitide on Cardiovascular Mortality in Acute Heart Failure.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28402745&keiro=journal



<自遊時間>

論文、バイエル社が下書き 医師名で発表、営業に活用

https://www.m3.com/news/general/521942?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170420&dcf_doctor=true&mc.l=218315146&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d
私的コメント;
記事内容が少しわかりにくいのですが、かなりスケールの小さい話のように感じます。
内部告発した社員の今後の処遇に少し興味が湧くところです。
弁護士も少し変です。



<きょうの一曲>
Beethoven Symphony 7 in A Major - BRSO/Mariss Jansons

https://www.youtube.com/watch?v=kiII_yQt7EY


Beethoven: Symphony No. 7 - Royal Concertgebouw Orchestra & Iván Fischer

https://www.youtube.com/watch?v=-4788Tmz9Zo




<きょうの一枚の絵> 


nichido_20110628_ishigaki

石垣定哉 「鈴鹿」 油彩 8F


http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/06/post-182.html 



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内分泌性高血圧のスクリーニングを 米国内分泌学会(ENDO)が指針

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0419507007/

(MT 2017.4.19)

米国内分泌学会(ENDO)は、内分泌性高血圧のスクリーニングに関する指針をScientific StatementとしてEndocr Rev(2017年)に発表した。
執筆委員長(
ENDO元会長)は「一部の内分泌疾患では適切な検査法がなく、通常の高血圧とほとんど区別できない。今回の声明は、どのような場合に内分泌疾患を疑い、どのような検査法を用いるかについて有用な指針を提供するものだ」と述べた。


成人高血圧の15%、小児では50%が内分泌性

内分泌疾患の初発症状として高血圧が発現することも多い。
今回の声明によると、米国では成人の4人に1人が高血圧で、その約15%を内分泌性高血圧が占めるという。
この割合は小児では50%、若年成人では30%に上る。
しかし、高血圧の原因となる一部の内分泌疾患には有効なスクリーニング法がなく、診断されないまま未治療であることが多い。

 
今回の声明では、手術や薬物療法で治療が可能な内分泌性高血圧の原因として15を超える疾患を挙げ、どのような場合にスクリーニングを行い、どのような検査法を用いるかを示している。
また、各疾患の有病率、臨床症状、診断・検査指針、検査結果の解釈について詳しく解説している。


全体的に、臨床的背景を考慮したスクリーニング方法を推奨している。
例えば、複数の重篤な疾患を併発している高齢者では、内分泌性高血圧スクリーニングの優先順位は低くなるだろう。
一方、若年者ではスクリーニングが大きな意味を持ち、寿命の延長やQOL向上につながる可能性がある。


大部分の高血圧で原発性アルドステロン症を疑うべき

また今回の声明では、最も高頻度に見られる原因疾患として原発性アルドステロン症(PA)を取り上げている。
PAは副腎からのアルドステロンの過剰産生により引き起こされ、その結果として腎臓によるナトリウム再吸収が過剰になり高血圧に至る。
高血圧患者の5~10%がPAを有する可能性があり、PA患者では内分泌疾患が原因ではない高血圧の患者に比べて、死亡や脳卒中を含む心血管イベントのリスクが高くなる。

 
執筆委員長は「高血圧患者の大部分に対してPAのスクリーニングを検討すべきである。PAは容易に治療可能で、診断が付けば根治できる可能性が高い。また、PAの早期検出により心血管イベントや腎不全のリスクを低減できる」と述べている。




<きょうの一曲>

Romy Schneider - Mourir d'aimer (Charles Aznavour)

https://www.youtube.com/watch?v=4LgWn7-H1-8



<きょうの一枚の絵> 

2012_02_29_nagoya3

浮田克躬「オーヴェルニュ早春」油彩 15F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2012/02/post-205.html 



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メトホルミンの消化器症状―傾向と対策

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0417506971/

総説の背景:安全性の高い薬剤だが注意すべき副作用も

わが国では、食事療法・運動療法で十分な血糖管理ができない2型糖尿病患者に対して、どの経口血糖降下薬も等しく第一選択薬としてよく、患者の病態に応じて主治医が選択することになっている(糖尿病治療ガイド2016-2017)。

 
一方、米国糖尿病学会(ADA)・欧州糖尿病学会(EASD)の合同アルゴリズムにおいても、米国内分泌学会・米国内分泌医会の合同アルゴリズムにおいても、単独薬物療法の第一選択薬はメトホルミンである。
安全性、経済性、体重増加がないこと、心血管疾患予防効果の証明といった多くの点がこの薬剤を支持する要因とされている。

 
しかし、この薬剤にも欠点はあり、最も有名なものが乳酸アシドーシスである。
造影剤使用時には乳酸アシドーシスの予防のために、どの医療機関・調剤薬局においても休薬の指導がなされていることであろう。
一方、あまり強調されてはいないが、メトホルミンの副作用として専門医の間でよく知られているのが、下痢、嘔気、嘔吐といった消化器症状である。
このたび、メトホルミンによる消化器症状についての総説が英国の臨床糖尿病学雑誌に掲載された。
私的コメント;
エクメット配合錠HDを処方して2回服用しただけですごい下痢を起こした症例を最近経験しました。
この方はDPPⅣ阻害剤とメトホルミン250mgの併用例でした。いきなりのメトホルミン1000mgはきつかったのかも知れません。
αーGIのように少量からの斬増で副作用が回避出来るものだったらそうすべきだったかも知れません。
いずれにしろ配合錠は個々に適量を見つけてから配合錠に移行すべきだったと反省しています。

総説のポイント1:高用量メトホルミンによる下痢は10~20%の患者に生じる

この総説は、冒頭でメトホルミンによる消化器症状の有病率について記載している。
 

それによると表のように、ランダム化比較臨床試験における下痢の有病率は10~20%程度であった。
わが国で多く使用されているような1,500mg/日以下での報告は少ないが、いずれも10~20%と見ればよいと思われる。


また、実臨床の現場からの観察研究のデータとしては、20%程度とするものから60%を超えるものまで存在し、この総説の著者らは下痢の定義による相違があり、明らかにメトホルミンとは無関係な消化器症状までカウントするかどうかで数値が変わるのではないかと述べている。


総説のポイント2:メトホルミンによる消化器症状発症の機序

メトホルミンではなぜ消化器症状が生じるのであろうか。
そもそもメトホルミンの主作用の場が、従来の肝(糖新生の抑制)から、消化管へと拡大して考えられるようになっている中で、消化器症状はある意味当たり前との考え方もできる。
メトホルミンによる消化管への影響としては、大腸フローラの変化、小腸ブドウ糖代謝の変化、胆汁酸の変化、GLP-1濃度の上昇などが知られている。
これらはいずれも血糖値に対する改善効果と同様に消化器症状も惹起しうるものである。

 
最近ではOCT(organic cation transporter)1の遺伝子多型によりその小腸での機能が低下していると、メトホルミンの吸収が落ち、消化器症状を惹起しやすいのではないかとの説も提唱されている。
また、OCT1の機能を阻害するベラパミルやプロトンポンプ阻害薬の内服者ではメトホルミンの消化器症状が出やすいことが示唆されているらしい。
さらに、プロトンポンプ阻害薬に伴うのかもしれないが、H.pylori感染とメトホルミンによる消化器症状との関連も知られているらしい。

 
こうした仮説は、完全に証明されているわけではない。


総説のポイント3:いかに予防し、治療するか

この総説においてメトホルミンの消化器症状を予防するための方策として筆頭に挙げられているのが、少量で投与を始めて週単位で漸増させるという①タイトレーション法である。
500mg/日から開始して、週を追って増量することが複数の学会ガイドラインで推奨されている。

 
また、理由は不明であるが、メトホルミン単剤よりもDPP-4阻害薬との合剤で投与を開始することによって腹痛や下痢が少なくなったとの報告があり、臨床効果が不十分ながら消化器症状の故に十分なメトホルミンの増量ができない症例においては、②メトホルミンとDPP-4阻害薬との併用というのも一策となろう。

 
さらに、わが国のように速効型のメトホルミンしか使用できない場合には、③食事ごとに分割するのもよいとされている。

 
一方、わが国では使用できないが、④メトホルミン徐放剤(metformin extended release;XR)を使用するだけで下痢の頻度が減るらしく(下痢、嘔気、嘔吐のいずれも10%未満の患者にしか発症しない)、英国のNICEガイドラインでは通常のメトホルミン製剤で消化器症状が出現した際には、メトホルミンXRを試すよう勧告されている。
現在開発中のメトホルミン遅延製剤(metformin delayed release;DR)でも同じようなことが期待されている。

 
また、⑤GIMM(Gastro-Intestinal Microbiome Modulator;イヌリン、オーツ麦βグルカン、ブルーベリーアントシアニン、ブルーベリーポリフェノール)を摂取させることでメトホルミンの消化管症状が減少し、メトホルミンを増量できる患者が増えて、血糖も改善したという報告がある。
このGIMM単独でインスリン抵抗性を改善するという報告もあり、プレバイオティクスとして注目されているようである。


考察:日本の現状ではタイトレーション法、多剤併用が現実的

これほどまでに種類が増えた糖尿病治療薬の中で、SU薬と並んで最も歴史のある糖尿病治療薬メトホルミンがなお第一選択薬とされているのは驚くべきことである。
その作用機序の理解が肝臓単独から肝臓+腸管へと変遷する中で、メトホルミンの消化管副作用についても新たな理解が必要ということなのであろう。

 
残念ながら、わが国にはメトホルミンXRもメトホルミンDRも存在しない。
そんな中でこの薬剤を有効に利用するためには、タイトレーション法で少量から開始して漸増することと、多量になって消化器症状が出たら、減量しつつ、他剤を併用するということであろう。

 
また、ベラパミルやプロトンポンプ阻害薬は広く使用されている。
こうした薬剤との併用の際には他剤(他の不整脈薬やH
2受容体拮抗薬)への変更も検討の価値があろう。

 
さらに、GIMM(イヌリン、βグルカン、アントシアニン、ポリフェノール)には、プレバイオティクスとしての効果が期待されているようである。
近い将来、米ルイジアナ州立大学発のサプリメントとして利用できる日が来る可能性がある。
その日が来るまでは、まずはメトホルミンを処方する際にはイヌリンの多い菊芋摂取を推奨してみるのも一策かもしれない。

私的コメント;
やはりメトホルミンは少量からのタイトレーション法が重要であることが理解出来ました。
常日頃は心がけていたつもりですが、配合錠の罠にはまってしまいました。



<自遊時間>

AAA (abdominal aortic aneurysm)  (腹部大動脈瘤)

BBB (blood brain barrier)        (血液脳関門)

CCC (cholangiocellular carcinoma)(胆管細胞癌)


 <きょうの一曲>

シュトラウスⅡ世 美しく青きドナウ  小澤征爾 ウィーン・フィル

https://www.youtube.com/watch?v=uUXAN0Uhf38




<きょうの一枚の絵>


2012_02_29_nagoya1

中村琢二「駒ヶ根の春」油彩 8F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2012/02/post-205.html    



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低血糖なしにHbA1c 6.0%未満を達成

北里大学研究所病院 糖尿病センター センター長 山田 悟

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0412506931/

(MT2017.4.12)
【未解決の背景】強化介入群に立ち塞がる低血糖の壁

糖尿病は高血糖を主徴とし、高血糖のために全身に合併症が生じて寿命の短縮やQOLの低下を生じる疾病である。
血糖値を正常化することで合併症を予防し、寿命の短縮を軽減できるかどうかを検証する臨床試験が20世紀末から報告されるようになった。

私的コメント
この視点は何にも増して重要なことと思われますが、最近になってやっと検討され始めたことは循環器医としては驚くべきことです。


例えばDCCTでは、血糖正常化を目指した強化介入群で低血糖の増加は認められたものの、細小血管合併症の低減効果が得られた(N Engl J Med 1993; 329: 977-986)。
このことから、(低血糖がある程度増加しても)HbA1cを正常化させることでさらなる合併症の予防効果が得られるものと予測された。

私的コメント

「細小血管合併症の低減効果」を

大血管障害」にも敷衍するのは強引です。 


しかし、21世紀になってから報告されたほぼ全ての試験では、残念ながらHbA1cを正常化させようとした強化介入群で低血糖が増え、細小血管障害の発症率は低減できても、大血管障害の発症率の低減は果たせなかった。
特に低血糖頻度を強く上昇させたACCORD試験では、総死亡率の増加まで生じたために血糖への強化介入が中止に追い込まれた(N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559)。

 
こうした血糖改善に対する介入試験の歴史から、低血糖なしにHbA1cを6.0%未満にするという"質の良い血糖管理"が求められることとなった〔Int J Obes 2002; 26(Suppl 3): S9-S17〕。
しかし、古くからの薬物療法である
ンスリンやSU薬のようなインスリン分泌促進系薬では低血糖を完璧に防ぐことは不可能であり、"質の良い血糖管理"は現在まで未解決課題として残されているのである。


【解決することの意義】血糖変動も是正し合併症予防効果を高める

糖尿病は高血糖(hyperglycemia)を主徴とする疾患ではあるが、血糖の精細な調整能力の不足による血糖異常症(dysglycemia:血糖変動の大きな状態)として考えることも可能である。
そして、高血糖のみならず、血糖変動の大きさも合併症発症に関与すると考えられている(JAMA 2006; 295: 1681-1687)。

私的コメント
これは高血圧の際の「血圧変動」 と同様で理解しやすいことです。
 

また、単に平均血糖値であるHbA1cを下げることばかりを考えて、血糖変動の縮減を怠っていれば、低血糖(hypoglycemia)が生じるのは当然のことである。
そして、低血糖はそれ単独で理論的に考えても(Diabetes Care 2010; 33: 1389-1394)、臨床データを解析しても(Diabetes Care 2012; 35: 1126-1132)、それ自体が血管合併症を増加させる。
したがって、"低血糖なしにHbA1c 6.0%未満を達成する"ことは血糖変動を縮小させつつ、低血糖なしに平均血糖値を下げることであり、それらはいずれも合併症予防につながるはずである。


【解決法】糖質制限食を基本に適切な薬剤選択、FGMにも期待

(1)血糖変動を縮小させる

低血糖がない状況においては、血糖変動とは食後高血糖のことである。
食後高血糖を是正するには(脂質制限食や地中海食と比較して)、糖質制限食が最適である(PLoS One 2013: 8; e79324)。
ちなみにカロリー制限食は脂質、蛋白質の摂取も低減させ、それらによる食後高血糖の是正効果(Am J Clin Nutr 2011; 93: 984-996)を削減させるため、食後高血糖の管理には向かない。


毎食後の運動も悪くないが(Diabetes Care 2013; 36: 3262-3268)、現実的に実践できる人は少ないだろう。

 
薬物療法としては、インクレチン関連薬が向いていると思う。
αグルコシダーゼ阻害薬やグリニド薬は服薬コンプライアンスの問題がある。


(2)低血糖をなくす

低血糖は、例外を除けばインスリンかインスリン分泌促進系経口薬で生じるものである
したがって、これらの薬剤の使用を最小限にとどめることが大切である。


(3)平均血糖値を下げる

HbA1cが7.3%未満では、空腹時高血糖よりも食後高血糖の方がHbA1cへの寄与が高い(Diabetes Care 2003; 26: 881-885)。
しかし、糖質制限食やインクレチン関連薬により食後高血糖を是正した上で平均血糖値を下げるとなれば、空腹時高血糖の是正が重要になる。
肥満を解消すれば空腹時高血糖の是正も期待できるが、カロリー制限での安全で長期に有効な肥満解消はあまり期待できないと思っている。
また、肥満解消および体重維持のための運動療法はかなりの運動量(1週間に200~300分の高レベルの身体活動)が必要であり(Dia­betes Care 2017; 40 Suppl 1: S57-S63)、現実には難しい。

 
薬物療法としてはビグアナイド薬、SGLT2阻害薬が選択できよう。
持効型インスリンの1回注射やGLP-1製剤の注射療法も選択肢である。

 
上記をまとめると、食事療法として糖質制限食(食後高血糖の是正)を選択し、運動療法としては(リスクがない限り)何をやってもよく、薬物療法としてビグアナイド薬、SGLT2阻害薬、インクレチン関連薬、持効型インスリン1回注射を組み合わせることで、低血糖なしのHbA1c 6.0%達成は可能になると期待している。

 
今年、わが国から報告されるであろうJ-DOIT3(BMJ Open Diabetes Res Care 2016; 4: e000123)では、強化介入群でも低血糖頻度が極めて低かったとの情報がある。
この発表内容・成果に期待したいところである。

 
また、新しい自己血糖測定法である
flash glucose monitoring(FGM)により、患者が毎食後に高血糖の見える化ができると糖質制限食へのアドヒアランスが明確に高くなる。低血糖予防も期待できよう(Lancet 2016; 388: 2254-2263)。

とも極めて低い低血糖エピソードでの達成)が、J-DOIT3により臨床試験の世界で現実化され、FGMの普及により日常臨床の世界で現実化していくものと期待している。 

"低血糖なしのHbA1c 6.0%未満達成"(

少なくとも極めて低い低血糖エピソードでの達成)が、J-DOIT3により臨床試験の世界で現実化され、FGMの普及により日常臨床の世界で現実化していくものと期待している。



<きょうの一曲>

もう遅すぎるIl est trop tard

http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-556.html


Georges Moustaki Il est trop tard

https://www.youtube.com/watch?v=SoGyvc0-yYM


時は過ぎてゆく-[金子由香里]

http://gramali.blogspot.jp/2010/10/blog-post.html


「時は過ぎてゆく」 "Il est trop tard" 

http://lapineagile.blog.fc2.com/blog-entry-210.html





<きょうの一枚の絵>

2012_02_29_nagoya2

田崎広助「朱富士」油彩 10F

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今後発表される糖尿病薬の心血管安全性試験

注目ポイントを小田原雅人氏に聞く

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0329506810/?utm_source=mail&utm_medium=recent170330&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1


DPP-4阻害薬  クラス初の優越性証明の期待

FDAの勧告に基づく心血管系安全性試験は、いずれも多数例を対象とした二重盲検ランダム化比較試験で、一次評価項目は心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の3ポイント主要心血管イベント(MACE)が基本。
安全性(対照群に対する非劣性)の検証が主目的だが、対照群に対する優越性の検証も併せて行われている。

 
これまでに結果が発表された7試験(7薬剤)では、全て非劣性は証明されたが、優越性についてはまちまちだ。
DPP-4阻害薬については、3試験(3薬剤)とも優越性は認められていない。
しかし小田原氏は、リナグリプチンのCARMELINA試験、CAROLINA試験では、DPP-4阻害薬として初めて優越性が証明される可能性もあると期待を寄せる。


両試験とも心血管高リスクの2型糖尿病患者を対象にした大規模試験だが、CARMELINA試験は登録基準にアルブミン尿、腎機能障害などを含んでいるのが特徴。
同氏は「DPP-4阻害薬には腎保護効果が期待されており、実際リナグリプチン、サキサグリプチンには血圧や血糖と独立して微量アルブミン尿を改善することが示されている」と指摘する。
腎保護効果を介した心血管イベント抑制が大規模な対象で明らかにされるか、注目される。

 
一方、CAROLINA試験は、他の経口糖尿病薬の心血管安全性試験がプラセボを対照群としているのに対し、SU薬グリメピリドを対照群としているのが大きな注目点だ。
メタ解析によると、SU薬の心血管イベント抑制効果はチアゾリジン薬など他の糖尿病薬と同等。
同氏は「リナグリプチンの第Ⅱ/Ⅲ相試験とSU薬とのパイロット比較試験の結果を見ると、リナグリプチンはDPP-4阻害薬の中でも心血管イベント抑制効果が高い可能性があり、SU薬に対し優越性が認められるかもしれない」と述べる。


GLP-1受容体作動薬  
動脈硬化抑制効果が再現されるか

これまでに結果が発表されたGLP-1受容体作動薬の3試験では、2試験で優越性が認められた。
小田原氏は、この結果の違いを薬剤の相違というより、試験デザインの相違によると見ており、有意性が示された2試験の結果から、GLP-1受容体作動薬が動脈硬化抑制効果を有する可能性は高いと考えている。

 
GLP-1受容体作動薬の開発動向としては、徐放化の流れが挙げられる。
優越性が証明された2試験のうちの1試験は、週1回皮下注製剤semaglutideだったが、進行中のREWIND試験のデュラグルチド、EXSCEL試験のエキセナチは同じく週1回皮下注製剤である。
徐放製剤の利点は、アドヒアランスが向上すること、および消化器系の副作用症状が少ないこと。
ただし、食後高血糖の是正という点では劣る可能性がある。
動脈硬化抑制効果が再現されるかどうかが注目点だ。

 
さらに、ITCA-CVOT試験では、特殊な投与法が用いられている。
これはICTA 650という小型浸透圧ポンプを皮下に留置することで、エキセナチドを自動的・定期的に放出するシステム。
用量調整のために年2回程度の処置を要するだけで、注射からは解放される。

 
なお、DPP-4阻害薬サキサグリプチンのSAVOR-TIMI58試験では、心不全による入院リスクの有意な上昇が認められた。
このことについて、同氏は「心不全リスクはGLP-1受容体作動薬を含めたインクレチン関連薬共通の懸念」とみている。
ただし、糖尿病患者に均質に認められるリスクではなく、ある特定の高リスク患者で発生する可能性を想定しており、今後発表されるDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬の試験のサブ解析で心不全リスクが高まる条件が明らかにされることを期待している。


SGLT2阻害薬  
心血管疾患の初発予防効果や腎保護効果が解明

SGLT2阻害薬については、エンパグリフロジンのEMPA-REG OUTCOME試験で、3ポイントMACEだけでなく、全死亡や心不全による入院も有意に減少し、予想を上回る結果となった。
追随する試験でも同様の結果が期待されるが、カナグリフロジンのCANVAS試験とCANVAS-R試験の統合解析の結果がADA 2017で発表される。
前者は3ポイントMACE、後者はアルブミン尿の進展を一次評価項目としており、心血管疾患や腎保護効果が解明される。

 
小田原氏が両試験について最も注目するのは、対象者に心血管疾患の既往を有さない患者が多く含まれていることだ。
EMPA-REG OUTCOME試験は心血管疾患の既往者を対象にした試験であり、初発予防効果は今回初めて明らかにされる。
日常臨床でより診療機会の多い患者に関する知見となるだけに、重要なデータとなるだろう。

 
また、SGLT2阻害薬は腎機能が低下した患者には慎重投与することが提唱されているが、EMPA-REG OUTCOME試験などの結果からは、推算糸球体濾過量(eGFR)30~45 mL/分/1.73m
2程度に腎機能が低下した患者にも有用である可能性が示唆される。
両試験には腎機能低下者も多く含まれているため、この問題が今回発表の両試験あるいはCREDENCE試験を通じて解明されることが期待される。

 
一方、安全面ではEMPA-REG OUTCOME試験で欧州人に見られた有意ではないが増加傾向にあった脳卒中,CANVAS試験の中間解析で報告された下肢切断リスク(多くは足指切断)のデータにも留意する必要があるだろう。


インスリン製剤  
持効型インスリンの心血管安全性が証明か

ADA2017では持効型インスリンであるインスリンデグルデクのDEVOTE試験の結果も発表される。
対照群はORIGINE試験で既に心血管安全性が証明されている同じ持効型のインスリングラルギンU100だ。
プレスリリースされた速報によると、非劣性が証明されたとのことだが、詳細が注目される。




<きょうの一曲>
Mischa Maisky - Haydn - Cello Concerto No 1 in C major

https://www.youtube.com/watch?v=mooB5Q-0FIE&t=19s


<きょうの一枚の絵>

20140123-001

石垣定哉 「赤富士」 油彩3F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2014/02/post-272.html


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抗凝固療法の骨粗鬆症性骨折リスクは?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0407506895/

非弁膜症性心房細動(NVAF)の抗凝固療法にダビガトランを投与されている患者はワルファリン投与患者より骨粗鬆症性骨折リスクが低いと、中国のグループがJAMA(2017; 317: 1151-1158)に発表した。

 
同グループは、Hong Kong Hospital Authorityのデータベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施。
2010~14年に新たにNVAFと診断され、ダビガトランまたはワルファリンの処方を受けた患者を傾向スコアによりマッチさせ、2016年7月まで追跡して骨粗鬆症性骨折リスクを比較した。

 
新規診断NVAF患者5万1,496例から、ダビガトラン使用の3,268例とワルファリン使用の4,884例を傾向スコアによりマッチさせた。
女性が50%で、平均年齢は74歳だった。
追跡中に104例〔ダビガトラン群32例(1.0%)、ワルファリン群72例(1.5%)〕で骨粗鬆症性骨折が認められた。

 
ポアソン回帰分析の結果、ダビガトラン群は骨粗鬆症性骨折のリスクが有意に低く、ワルファリン群と比較した発症率比(IRR)は0.38(95%CI 0.22~0.66)だった。
このリスク低下は、転倒または骨折(あるいはその両方)の既往を有する患者で有意であった(IRR 0.12、同0.04~0.33)。




<自遊時間> 

「週刊朝日」 が大学入試の特集を組むようになって久しい。

最初は「サンデー毎日」 の独壇場だった。

売上増が期待出来るとみえて「週刊朝日」 も何週にもわたって特集を出し続けている。
週刊誌のクオリティーを落とす企画だろうが、きっと売上が伸びるんだろう。 

こんな記事を読む人間がそんなに多いのかと訝ってしまう。

斯く謂う自分も待合室用に新聞販売店を通して定期購読していることもあって、いい歳をしてついチラ見してしまう。

2017.4.21号では「東大・京大と15国公立大学医学部の合格者数と合格率」が40位まで紹介されていた。

出身の高校も大学もその中に出ていたので少しニンマリ。

これも諸兄と同様に受験の荒波を(私の場合にはなんとかして)くぐり抜けて来た性(さが)のなせる業。

しかし、この 「15国公立大学医学部」をよく読むと大いに問題があるのだ。

それはT県にあるT大学が入っているのに東医歯大やN県のN大学が欠落している。

記者は一体どうやって「15国公立大学医学部」を選んだのだろうか。

まさにマスコミの横暴だ。
ただし入試難易度と基礎研究や臨床の実績は決して比例しないことは論を待たない。
(皆さんの評価は?)

15大学に入らなかった先生方の怨嗟の声が聞こえて来そうだ。

それに勝手に国公立大学に限定したこと。
最難関と思しき私立大学医学部出身の先生方の怒りを買っている筈だ。


今日は俗っぽい話になって恐縮です。


img252 のコピー



<きょうの一曲>

Schumann - Kinderszenen Op.15, "Scenes from Childhood" | Vladimir Horowitz

https://www.youtube.com/watch?v=yibf6QNjgGU



<きょうの一枚の絵>

20130618tokyo2

小林雅英 「雨のルーアン」80P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2013/06/post-254.html





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PCSK9阻害薬追加の超低LDL値は有害?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0303506561/index.html

スタチンを含む脂質降下療法へのPCSK9阻害薬アリロクマブ追加でLDLコレステロール(LDL-C)超低値を達成した患者に全体としての有害事象の増加は見られないと、米国の研究グループがJ Am Coll Cardiol(2017; 69: 471-482)に発表した。

 
同グループは、アリロクマブの第Ⅱ相~第Ⅲ相ランダム化比較試験(ODYSSEYプログラム)で、LDL-C値が連続して2回以上25mg/dL未満または15mg/dL未満だった患者の安全性を評価した。
アリロクマブ群3,340例、対照群(プラセボまたはエゼチミブ)1,894例を含む14試験(8~104週間の二重盲検治療)のデータを解析した。
アリロクマブ群の839例(25.1%)がLDL-C値25mg/dL未満、314例(9.4%)が15mg/dL未満を達成した。
登録時の平均LDL-C値は25mg/dL未満群が100.3mg/dL、25mg/dL以上群が134.3mg/dLだった。

 
解析の結果、LDL-C値25mg/dL未満群、15mg/dL未満群、25mg/dL以上群の治療関連の全有害事象発現率はそれぞれ72.7%、71.7%、76.6%で有意差は認められなかった(対照群の同発現率77.1%)。
アリロクマブ群では神経学的・神経認知学的有害事象の発現率も3群同等であった。

 
傾向スコア解析では、LDL-C値25mg/dL未満群は25mg/dL以上群と比べ白内障の発症が多かった。
しかし、アリロクマブ群全体と対照群の白内障発症率には差はなかった。


<私的コメント>

邦題は「有害か?」となっていますが英文タイトルは「Safety of ~ 」となっておりニュアンスが異なります。

また抄録のため超低LDL値の定義が25mg/dL未満なのか15mg/dLかがはっきりしません。

目標値として低値なのか結果としての低値なのかも不明ですが、いずれにしろ驚くべき低値です。

超低値で白内障の発症が多かったものの、その他のリスク増加はなかったという結論のようですがメリット(心血管イベントの抑制)を知りたいところです。

要するに「超低値まで下げるべきか下げても(下がっても)よい」かが

後者のみの論文です。

偶発的に下がってしまったということなのでしょうか。

なんだかすっきりしない論文です。




<自遊時間>
米航空会社、乗客引きずり下ろす 映像拡散、批判集まる

https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2688969

東洋人の医師。

他人事ではありません。
クジでもなく勝手に白羽の矢。

そして客に暴行。

その理由が航空会社の社員(クルー)を乗せるため。


露骨な人種差別。

立派な刑事事件のはずだが彼は告訴しないのだろうか。

米国では大したニュースになっていないとすれば自浄作用のない国ということになる。

はたしてトランプが大統領となったことと無縁か。






<きょうの一曲>

A Tribute to Burt Bacharach Concert at The White House

https://www.youtube.com/watch?v=GE_zXkOdSLg



 

<きょうの一枚の絵>

150324-001

梅原龍三郎 「高原晩秋 1957」 岩彩 6号

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2015/03/post-307.html




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CHD再発予防の約半数は脂質管理不十分
https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0412506932/

(MT2017.4.12)
日本人の急性冠症候群(ACS)患者を対象とした脂質リスクとコントロールに関する前向き観察研究
EXPLORE-Jのベースラインデータについて、主任研究者である東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の中村正人氏が先ごろ東京都内で開かれたメディアラウンドテーブルで報告した。
冠動脈疾患(CHD)の既往患者333例のうち、「
動脈硬化性疾患予防ガイドライン」で脂質管理目標値とされるLDLコレステロール(LDL-C)値100mg/dL未満を達成していたのは52%にとどまっており、同氏は「再発予防例の約半数は管理不十分といえる」と強調した。


管理目標値を達成してもACS発症例が

EXPLORE-J研究は、入院治療を要した日本人のACS患者2,010例を対象に、実臨床下での脂質管理状況の把握と心血管イベント発症リスクの評価を主要目的としている。
また、アキレス腱厚の評価、家族性高コレステロール血症(FH)の診断と
全症例のPCSK9測定を行い、それらの経過を追跡することが特徴となっている。

同研究のベースラインデータによると、ACSの内訳としては、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)が62%と最も多く、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が16%、不安定狭心症が22%であった。米国や韓国では、NSTEMIがSTEMIを上回っている

 
ACS発症前からCHDの既往を有していた患者333例の入院時のLDL-C値は平均103.6±37.7mg/dLで、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」で脂質管理目標値とされる100mg/dL未満の達成割合は52%であった。
演者は「再発予防例の約半数が不十分な治療に終わっている。また、LDL-Cの管理目標値を達成している患者の中には、ACSを発症している例が見られる」と述べた。
なお、これらの患者の約6割はスタチン治療を受けており、LDL-C値180mg/dL以上が9.8%、FHを疑わせる250mg/dL以上も0.6%に見られた。

 
また、現時点でデータのそろっている1,391例の中に、 FHの診断基準を満たしている患者が3%いた。
診断基準を全ては満たさないが、臨床的に限りなくFHが疑われる症例も多く見られ、同氏は「ボーダーラインの患者をどのように正確に診断するかが今後の課題」と指摘した。

 
同氏はこれまでの中間解析を踏まえて「現行ガイドラインの脂質管理の目標レベルは、高リスク患者およびCHDの既往歴のある患者では最適でない可能性もあり、より積極的なLDL-C目標値の設定を検討する必要があるかもしれない」と述べた。           



<番外編>

内分泌学会は内分泌性高血圧症の検査に関する新しいガイダンスを発表

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000379.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017040701

内分泌学会 の新たな科学的声明によると、医療従事者は大半の高血圧症患者において原発性アルドステロン症(PA)の検査の実施を検討するべきである。

高血圧症患者の約15%は二次性高血圧症を有する。高血圧症の子供の半数、および40歳未満の成人のほぼ3分の1には副因がある。PAは現在、特異的に治療可能かつ治癒できる可能性のある、最も一般的な形態の高血圧症であると考えられており、高血圧症患者の少なくとも5~10%を占める。この数値は正常カリウム血性の患者の場合であっても同じである。高血圧は少なくとも他の内分泌障害14種の初期臨床症状であり得る。
内分泌学会のこの新しいガイダンスでは、どのような場合に内分泌性高血圧症の検査を検討するべきなのか、および検査結果の解釈の仕方について説明している。 

「適切な臨床検査がなければ、一部の一般的な内分泌障害をありふれた高血圧症と区別することは、ほぼできません」と内分泌学会の元会長、William F. Young Jr医師は述べた。同氏は同科学的声明を作成したタスクフォースの議長である。「高血圧の根本原因を検査することによって、命を救うことができます。この新しい情報源は、どのような場合にホルモン障害を疑うべきなのか、および同障害の検査方法についての貴重なガイダンスを医療従事者に提供するものです」




<きょうの一枚の曲> C'est ma vie Salvatore ADAMO et Isabelle BOULAY

https://www.youtube.com/watch?v=Zy132I0Oo6A


<きょうの一枚の絵> 

koyama_keizou7

小山敬三 題不詳  (トレドの橋)

https://www.art-information.ne.jp/artwiki/artists/view/koyama_keizou 





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四半世紀で成人の収縮期血圧が上昇、心血管死も増加/JAMA 
http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43297

2015年において、収縮期血圧(SBP)値が110~115mmHg以上の成人は世界で約35億人、140mmHg以上の成人は8億7,400万人に上ることを、米国の研究グループが、世界154ヵ国からの844試験を基に分析を行い明らかにした。
SBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、1990~2015年にかけて、10万人当たり約7万3,000人から約8万1,000人へと大幅に増加し、SBP高値に起因する虚血性心疾患や出血性脳卒中などの死亡率も増大したという。
(JAMA誌2017.1.10)


SBP増加とその関連死などを検証

研究グループは、1980~2015年に発表された154ヵ国からの844試験(被験者総数869万人)を基に、時空間ガウス過程回帰法にて、1990~2015年の世界195ヵ国におけるSBP値の推定分布や、SBP値と死亡・障害の関連などについて検証した。


主要アウトカムは平均SBP値、疾患別死亡、SBP値(110~115mmHg以上、140mmHg以上)に関連した健康負担で、年齢、性別、国、調査年別に調べた。


主要分析には、SBP高値と関連することが明らかな死亡原因(虚血性心疾患、虚血性、出血性脳卒中など)が含まれた。


SBP上昇による死因の筆頭は虚血性心疾患、次いで出血性脳卒中

その結果、1990~2015年にかけてSBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、10万人中7万3,119人から8万1,373人に増加した。また、140mmHg以上の人の割合は、10万人中1万7,307人から2万526人に増加した。


SBP値110~115mmHg以上における年間死亡率は、10万人中135.6人から145.2人に増加し、140mmHg以上は同97.9人から106.3人に増加した。


SBP値が110~115mmHg以上により減少した障害調整生存年数(DALY)は、1990年の1億4,800万年から2015年の2億1,100万年に、140mmHg以上では520万年から780万年に増加した。


SBP関連死亡で最も多かったのは、虚血性心疾患(490万人)で人口寄与割合は54.5%を占め、続いて出血性脳卒中(200万人)で58.3%、次いで虚血性脳卒中(150万人)で50.0%だった。


2015年のSBP値110~115mmHg以上と関連したDALYの50%超を、中国、インド、ロシア、インドネシア、米国で占めると推定された。


これらの結果を踏まえて著者は、「今回のサンプルベースの結果は、2015年において、約35億人の成人がSBP値110~115mmHg以上であり、8億7,400万人の成人が同140mmHg以上であると推定されることが示された」とまとめている。




時速30km以上で走ると車の寿命が短くなる、といっているような結果(解説:桑島 巖 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43762

・これまで、至適収縮期血圧(SBP)値は120mmHgとされてきたが、本論文はそれよりさらに低い110~115mmHgですら健康への負担になるレベルという、世界規模869万人の疫学データのメタ解析結果である。


・本論文は、1990~2015年にかけての25年の間に、SBP値が110~115mmHgの割合が10万人中7万3,119人から8万1,373人に上昇し、140mmHg以上の人の割合は、同1万7,307人から2万526人に上昇したという。


・SBP値110~115mmHg以上の年間死亡率でみると、10万人中135.6人から145.2人へ上昇、140mmHg以上では同97.9人から106.3人へと上昇したという。


・血圧と最も関連の深かった疾患は、虚血性心疾患、次いで脳出血、脳梗塞であった。

血圧と死亡あるいは有病率を、統計的一側面からのみ観測した結果である。


・血圧値のみの変遷に注目すると“血圧は血管に対する負荷である”あるいは“The lower, the better”であることを示した点では理解できるが、身体・精神活動などを含めた生活の質はSBP値110~115mmHgではむしろ低下する。

したがって、このレベルが血管にとって安全とはいえても生活を営むうえでの最適血圧とは限らず、このレベルまで一律に下げるべきということではない。

・1990年から2015年の血圧値の変化は、世界人口の高齢化に伴うものであろう。



<自遊時間>

講演会や医師会の講習会に行くと、ドクターが携帯で呼び出されて会場外に出て行く光景をよく見かける。

今までは、在宅などをやっていて患者からの電話だと思い、よく働くドクターだなと考えていた。

しかし、最近はひょっとしたら調剤薬局からの疑義照会ではないかと思うようになった。

当院は院内処方のためよくわからないが、もしそうだとすればその鬱陶しさは相当のものだろう。

患者がその薬局に処方箋を持ち込んで、問い合わせている薬剤師の前で待っているわけだから、違う意味で緊急性があるわけだから携帯が手放せないことになる。


重複投薬・相互作用防止加算

薬剤服用歴に基づき、重複投薬又は相互作用の防止の目的で、処方せんを交付した保険医に対して照会を行った場合は、所定点数に次の点数を加算する。

イ 処方に変更が行われた場合 20点

ロ 処方に変更が行われなかった場合 10点



<きょうの一曲> 

Et maintenant -. Isabelle Boulay

https://www.youtube.com/watch?v=KuHu4IXpjdQ 


ISABELLE BOULAY & GILBERT BÉCAUD - Et maintenant (Live / En public) 1999

https://www.youtube.com/watch?v=zAQjWjMoPfs



<きょうの一枚の絵> 

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小山敬三 題不詳 (浅間山)

https://www.art-information.ne.jp/artwiki/artists/view/koyama_keizou 





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アブレーション周術期の抗凝固療法  DOAC継続投与の有効性・安全性を検討

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0331506793/

(MT 2017.3.31) 
カテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)施行予定の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象に、アブレーション周術期における直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)継続投与の有効性と安全性を、ワルファリン継続と比較した国際共同ランダム化比較試験(RCT)「RE-CIRCUIT試験」の結果が明らかになった。
(ACC 2017、3.17~19、ワシントンD.C.)


ダビガトラン継続投与の有効性と安全性を検討

アブレーションは、NVAFの治療として一般的な手技であり、日本でも広く施行されている。
しかし、頻度は低いものの深刻な合併症として周術期の脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの血栓塞栓性イベントおよび心タンポナーデなどの出血性合併症の懸念が残されている。

 
近年、アブレーション周術期におけるビタミンK拮抗薬(VKA)の継続投与が合併症リスクの低減に有用であることが明らかにされている。しかし、NVAF患者に対するDOACについては、アブレーション周術期におけるDOAC継続投与に関するデータは限られており、アブレーション施行前にDOACを中断し、VKAに変更しなければならない煩わしさがあった。

 
そこで、NVAF患者に対する脳卒中の発症抑制効果と安全性が確立されたDOACであるダビガトランのアブレーション周術期における継続投与の有効性と安全性をワルファリン継続投与と比較すべく、RE-CIRCUIT試験が計画された。


日本を含む11カ国・704例、635例がアブレーション施行

同試験は、多施設前向きオープンラベル試験で、エンドポイントは盲検で判定。
対象は18歳以上で、発作性または持続性NVAFに対するアブレーション施行予定で、スクリーニングの24カ月以内に心房細動(AF)と確定診断され、ダビガトラン(150mg×2回/日)の投与が可能な患者とし、永続性AF患者は除外した。

 
対象を、
①ダビガトラン継続群(150mg×2回/日)
②ワルファリン継続群〔目標プロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)2.0~3.0〕
-の2群にランダムに割り付けた。
抗凝固療法を4~8週継続後にアブレーションを施行し、施行中および施行8週後まで抗凝固療法を継続した。


主要評価項目は、アブレーション開始から施行8週後までに生じた国際血栓止血学会(ISTH)基準による大出血。
副次評価項目は血栓塞栓性イベントおよびその他の小出血とした。


私的コメント
主要評価項目が血栓塞栓性イベント、副次評価項目(
大出血、その他の小出血)だと思っていました。

要するに、安全性>有効性のRCTのようです。

同試験には日本を含む11カ国・104施設が参加。
704例が登録、28例を除く676例(治療集団)が抗凝固薬の1回以上の投与を受け、635例にアブレーションが施行された(アブレーション施行集団)。

 
ベースライン時の両群の背景因子は同様で、平均年齢は両群ともに59歳、発作性NVAFがダビガトラン継続群67.2%、ワルファリン継続群68.9%で、平均CHA
2DS2-VAScスコアはそれぞれ2.0点、2.2点であった。


ダビガトラン継続群で大出血リスク77.2%の減少を示す

主要評価項目の大出血は、ダビガトラン継続群5例、ワルファリン継続群22例に発現し、ダビガトラン継続群で77.2%の有意なリスク減少を示した。

 
アブレーション施行後の大出血の発現の推移をKaplan-Meier曲線で見ると、
アブレーション施行1~2日後の早期に両群で乖離が認められ、この時期に大半の大出血が発現していたことが分かった。


副次評価項目の血栓塞栓性イベントについては、両群ともに脳卒中、全身性塞栓症は認められず、TIAがワルファリン継続群で1例に認められた
小出血は、ダビガトラン継続群59例(18.6%)、ワルファリン継続群54例(17.0%)と両群で同程度であった。
死亡は両群ともに認められなかった。

 
私的コメント
あたかも最初から
VKAとDOACの間で有効性には差はないと予見していたかのごとくです。


これらの成績を踏まえ研究代表者は、RE-CIRCUIT試験の結果は、アブレーション施行時にはワルファリン継続投与よりもダビガトラン継続投与が優れた抗凝固療法の戦略であることが示唆された、と結論付けた。
今回、ダビガトランの特異的中和剤
イダルシズマブを必要とする患者はいなかったものの、同薬が入手可能となったことは、アブレーション施行予定のNVAF患者に望ましい抗凝固療法の戦略として、ダビガトラン継続投与を選択するさらなる動機付けを与えるもの、との見解を示した。



<番外編>

自己拡張TAVIの有効性確認、世界初も【JCS2017】 標準より小さな23mm径で2年心血管死ゼロを報告

https://www.m3.com/clinical/news/519058

・自己拡張型大動脈弁(CoreValve)を用いた経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)は、ハイリスク重症大動脈弁狭窄症(AS)の日本人患者でも安全に実施でき、中期的な心機能改善をもたらすことが、大阪大学心臓血管外科学の鳥飼慶氏らによる臨床試験「CoreValve Japan」で明らかになった。
第81回日本循環器学会(3.17-19、金沢市)で発表した内容で、26/29 mm 径の標準弁に加え、23 mm径というより小さなサイズの弁の有効性と安全性を世界で初めて示した。


<きょうの一曲>

Bruckner: Symphony No.7 / Ozawa Saito Kinen Orchestra (2003 Live)

https://www.youtube.com/watch?v=IK4FJt3KpWU




<きょうの一枚の絵> 

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小山敬三 題不詳 (浅間山)

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造影剤腎症にデータで対抗する

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0111506149/

循環器内科の分野でもビッグデータの解析結果を応用し、合併症や予期せぬ入院を防いでいこうという動きが盛んになされている。
今回紹介する研究の内藤は、カテーテル治療の最後の難所とされる 「造影剤腎症」 を日米2カ国のビッグデータを用いて予防するための方策を探った、というものである。


Performance and Validation of the U.S. NCDR Acute Kidney Injury Prediction Model in Japan.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27056778

研究の背景1:治療法が存在しない造影剤腎症

冠動脈のカテーテル治療(PCI)は、国内で広く行われており、800以上の施設で、実に年間20万件以上のPCIが実施されている〔日本心血管インターベンション学会(CVIT)集計〕。
これは先進国の中でも有数の規模で、比肩するのは米国くらいしかないといわれている(ただし米国は人口が2.5倍で、冠動脈疾患有病率が4倍くらい)。

 
このPCIの非常にセンシティブな合併症として、時に手技終了後に腎機能障害を起こすということがある。
そのメカニズムは造影剤が腎臓に集積するためとされており〔血管性の要因(強制的な血管収縮)、あるいは活性酸素による直接毒性によるとされている〕、ここ20年その造影剤腎症の治療法を探って、N-Acetylcysteineの投与や透析の早期導入など、さまざまな努力がなされてきたが、基本的に有効な治療法は存在しない。
つまり、起こってしまった後にいくら騒いでも無駄であり、しかもいったん腎障害が起きてしまうと坂道を転げ落ちるように長期的な生命予後にも悪影響を及ぼしていくということも分かっている。


研究の背景2:造影剤腎症を予防するには?

治療法が存在しないので、造影剤腎症は起きないように予防する他はなく、その予防法に循環器内科医は心を砕いてきたが、これがなかなかうまくいっていない。
おおまかな傾向として、

年齢が高ければ危険

造影剤の量が多いと危険

もともとの腎臓の状態が悪ければ危険

もともとの心臓の状態が悪ければ危険

糖尿病が併存していれば危険


というところまでは経験論的に分かっているのであるが、現実には冠動脈以外に全く問題のない患者であれば造影剤腎症を起こすことがほとんどなく(発症率0.5%以下)、油断して忘れたころに痛い目に遭うというのがよくあるパターンである。
いろいろな報告を見てもその発症頻度は3~70%と多岐にわたっており、どうも複数のパラメータに対して注意を払うことに人間の頭は向いていないようである。


研究の背景3:統計的なモデルの作成

しかし、ビッグデータの時代を迎え、こうした領域にコンピュータの演算処理の助けを得ることができるようになった。

 

例えば上記はロジスティック重回帰式と呼ばれるものであるが、上記の式のpとされる部分が、その事象(例えば造影剤腎症)が起こる確率である。
Xが変数(例えば年齢)、βがその変数のその確率への影響の重みを表す係数なので、この係数が大きければ大きいほどその変数の腎症への寄与は大きいということになる。

 

ただ、多くの変数が存在すればするほど、その厳密な寄与度を見極めるためにたくさんのデータが必要になり、係数決定の演算にも時間がかかる。
しかし今世紀に入ってこうした一連の作業が、コンピュータの性能の向上とともに格段にやりやすくなり、いろいろな場で活用されるようになっている。
昨今話題となっている人工知能(AI)もこの手法を応用したものであり、このモデル式を入力されてくるデータとともにリアルタイムにつくり変えていくと、かなり人間の思考パターンと近くなることが知られている。


研究のポイント1:米国の腎症予測式を日本人で用いると

造影剤腎症の発症の予測モデルは海外で作成されたものが幾つか存在する。
しかし、わが国からは単施設からの報告が多く、これまで確定的な統計モデルを構築するには至っていなかった。
そこで今回、KiCS-PCIという関東一円の施設から集められたPCIのデータ(N=11,041)を活用し、米国循環器学会(ACC-NCDR)が作成した予測式の検証が行われた。

 
このデータ内での腎症の発症率は10.5%であった。
米国のデータベースでの腎症の発症率が7.3%であったことを考えると高いように見えるが、これは日米で患者層が全く違うため、単純な比較はできない(日本人の患者の方が一般的に高齢であり、造影剤の使用量も多い:一方で糖尿病などは米国人患者の方に多い)。
さて、このようにPCIの使われ方や患者層が異なる中で、予測式の一般化は可能なのだろうか?
結論から言うと、簡単な補正さえ行えば十分に米国の予測式は日本人の患者群でもその役割を果たした。


研究のポイント2:"Magic Number 7"?

重要なポイントとして今回の研究で予測のために必要なパラメータは次のようなものであった:

年齢、腎機能、脳卒中の既往の有無、心不全の既往の有無、PCI歴の有無、ACSかそうでないか、糖尿病、COPD、高血圧、心原性ショック・心肺停止の有無、貧血、心不全兆候の有無、そしてIABP使用の有無

 
合計で11の項目が存在するわけだが、この重み付けを人間の頭の中で行うことはほぼ不可能だ。
そのことは行動科学領域の研究からも明らかであり、ヒトが記憶から引っ張り出せるのはせいぜい同時に4つが精一杯で、ほとんどのケースでは 〇 か × かという二元論でしか判断できないとされている

今回検証された予測式を活用することで、わが国でも腎症の危険度が高い集団を正確に同定することができ、事前に十分な予防策を講じることができるようになると期待できる。
例えば、造影剤の使用量を抑える、またカテーテルの施行を急がずに十分に事前の輸液を行うなどといった手を打つことも可能である。
また、患者にリスクを提示する際に、各個人によって異なる腎機能障害発症の危険性を具体的な確率として提示できるようになり、カテーテルを受けるか否かの判断材料として役立つであろう。


考察:今後の医療そのものへの展望

こうした「リスクモデル」に対する国際間での精度の検証は、これまでほとんど行われてこなかったが、これからは重要になってくるものと考えられる。
国や医療システムの差を越えて一般化できる予測式は非常に重宝されるであろうし、電子カルテの普及とともに広く活用されることとなろう。
例えばカルテを書いていくことで徐々にその患者のリスクが自動的に計算されて提示されるということも、すぐそばにある「現実」である。データ収集の大規模化に伴い、今後ますますこうした動きは加速していくことになるのではないか。


造影剤腎症(CIN) 関連サイト

[PDF] 腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン 2012- 日本循環器学会

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/2012iodine_contrast.pdf


造影剤腎症の予防とその予後

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/doc/101009isaka.pdf


造影剤による急性腎障害

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/5/103_1074/_pdf


造影剤腎症(CIN)について

http://www.nmp.co.jp/member/heartpm/append/cin.html


造影剤腎症とその保護薬

http://www.pharmacol.or.jp/fpj/topic/topic_123_224.htm




私的コメント;

最近ビッグデータの研究を目的とした学部・学科の新設の動きがあります。


滋賀大で入学式 データサイエンス学部1期生も真実探求へ

http://kyoto-np.co.jp/education/article/20170405000139


横浜市大、ビッグデータ解析・活用の新学部 18年4月開設へ 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10126320Q6A131C1L82000/


広島大学が情報科学部 来春新設 解析の専門家育成 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14478160U7A320C1LC0000/ 





<自遊時間>

P1020114 のコピー

京都 龍安寺 石庭越しの桜 2017.4.9 撮影 



<きょうの一曲>

Schumann - Träumerei, "Kinderszenen" No. 7, Scenes from Childhood | Vladimir Horowitz

https://www.youtube.com/watch?v=6z82w0l6kwE



<きょうの一枚の絵>
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ファン・ゴッホ「刈り入れをする人のいる麦畑」1889.9、サン=レミ 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point4.html 



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心不全の新クラス薬、糖尿病例の血糖も改善 PARADIGM-HF試験の事後解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0324506797/?utm_source=mail&utm_medium=ranking170330&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1

心不全の新規クラス薬であるアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)sacubitril/バルサルタン(LCZ 696)が、ACE阻害薬のエナラプリルに比べて糖尿病を合併する心不全患者の血糖コントロール改善にも優れることが、PARADIGM-HF試験の事後解析から明らかになった。
米国の研究グループが第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC 2017.317~19、ワシントンD.C.)で発表した。

駆出率が低下した心不全患者を対象とした同試験の本解析では、sacubitril/バルサルタン群においてエナラプリル群と比べ心血管リスクが20%、心不全による入院リスクが21%、全死亡リスクが16%低下したが、今回の糖尿病合併例を対象とした解析では
長期のHbA1c改善も示されたという。
詳細はLancet Diabetes Endocrinol(2017年3月18日オンライン版)にも掲載


末梢でのインスリン感受性を改善

PARADIGM-HF試験では、左室駆出率(LVEF)40%以下の収縮性心不全(HFrEF)患者8,442例をsacubitril/バルサルタン(97mg/103mg 1日2回)群またはエナラプリル(10mg 1日2回)群にランダムに割り付けた。
本解析の結果では、sacubitril/バルサルタンはエナラプリルに比べて主要評価項目(心血管死と心不全による入院の複合)のリスクを有意に低下させたが、糖尿病の新規発症を抑制する効果は認められなかった。
ただ、糖尿病の新規発症は2%以下と極めて低かった。
一方で、sacubitril/バルサルタンは肥満の高血圧患者において末梢組織でのインスリン感受性を改善することが報告されている。

 
そこでSeferovic氏らは、同試験においてランダム化された8,399例のうち、スクリーニング時に糖尿病の既往歴があるか、HbA1cが6.5%以上だった3,778例(平均年齢64.1歳、男性79%、2型糖尿病98%)を対象に事後解析を実施した。


心不全の予後改善とは独立したHbA1c改善効果

スクリーニング時のHbA1cはエナラプリル群で7.48(SD 1.58)、sacubitril/バルサルタン群で7.41(同1.51)と、両群間に有意差はなかった。
追跡1年目のHbA1cはエナラプリル群で0.16ポイント(同1.40)、sacubitril/バルサルタン群では0.26ポイント(同1.25)低下した。
また、3年の追跡期間を通じたHbA1cの低下率は、エナラプリル群に比べてsacubitril/バルサルタン群で有意に優れており、両群間の差は0.14ポイントだった。

 
さらに、糖尿病合併例におけるHbA1cの変化と心血管死と心不全による入院の複合評価項目との間に有意な関連は認められず、心不全とHbA1cに対するsacubitril/バルサルタンのベネフィットは独立したものであることが示唆された。


インスリン療法の新規開始が29%減少

その他、ランダム化の時点でインスリン未使用だった糖尿病合併例を対象とした解析では、追跡期間中にインスリン療法を新規に開始した患者の割合がエナラプリル群(10%)に比べてsacubitril/バルサルタン群(7%)で有意に少なかった。
また、統計学的に有意ではなかったが、sacubitril/バルサルタン群では経口血糖降下薬の使用を新規に開始した患者が少なかった。

 
以上の結果から、研究グループ代表は「sacubitril/バルサルタンは心不全の予後改善効果に加えて糖尿病を合併するHFrEF患者の代謝を改善する効果も有する可能性があることが示唆された。sacubitril/バルサルタンによる心不全治療を受けている糖尿病患者は、インスリンや血糖降下薬の用量を調節する必要があるかもしれない」と結論付けている。

 

一方、同誌の付随論評(2017年3月18日オンライン版)では「一部の糖尿病治療薬は心不全の症状や予後を悪化させ、β遮断薬や利尿薬など一部の心不全治療薬は低血糖を悪化させる可能性がある。したがって、糖尿病の新規発症あるいは血糖コントロールの悪化を予防する心不全治療薬は歓迎すべき治療選択肢となる」との見解を示している。 



<自遊時間>

院外と院内処方、調剤報酬に6.6倍の開き かかりつけ薬剤師、医薬分業に厳しい改定予想

https://www.m3.com/news/iryoishin/515935



侃々諤々のコメントより・・・

「同一労働6.6倍賃金格差」

「かかりつけ調剤178点、院内は27点」

「医師は奴隷同然」

「調剤→袋詰め料」


解熱鎮痛剤・抗生剤を7日分処方した場合、院内調剤では27点だが、いわゆる門前薬局の調剤では105~110点、かかりつけ薬剤師・薬局での調剤は178点で、約6.6倍の開きがある・・・。


医薬分業そのものに懐疑的な意見も診療側から出され、薬局にとって厳しい改定になる様相を早くも呈している。


日本医師会常任理事の松本純一氏は、これらの資料に対し、「患者に向き合って丁寧に向き合って対応する、かかりつけ医のモチベーションを下げ、傷つけるものだ。『患者本位の医薬分業』というが、『患者本位の調剤』を目指すのではないか。医薬分業ありきで議論しなければならないのか」と問題提起した。2剤以上の内服薬を一包化した場合などに算定できる「一包化加算」も、院内処方には設定されていないなどの問題も指摘。院内処方と院外処方の調剤に係る報酬が整合性に欠ける問題は、日医副会長の松原謙二氏、全日本病院協会副会長の猪口雄二氏からも挙がった。


松本氏の発言に、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏は、「医薬分業は患者本位になるという前提を覆す議論」と指摘。医薬分業を推進してきた中で、患者本位ではない部分もあり、その問題点は当然議論すべきだが、「医薬分業が目指すべき形であることを前提に、事務局(厚労省)が毅然として対応しないと、ぶれた議論になる」


これを受けて発言したのは、日医副会長の中川俊男氏。「医薬分業は患者のためになる、という思いで仕組みを作ってきたが、決定的に抜けていたのは、分業の担い手が、営利企業であるという点だ。製薬企業も同様だが、公的な国民皆保険のプレーヤーとしての自覚があるかどうかが、(非営利の医療機関と)決定的に違う」などと述べ、昨今の調剤医療費の伸び、特に大手調剤薬局チェーンに財源が集中し、莫大な内部留保があることを問題視。「薬局の特徴ごとの機能」の資料についても、副作用のフォローアップをはじめ、より適切にできるのは院外処方より院内処方であると指摘。


参考

調剤報酬(その1)について

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158273.pdf

私的コメント;

「中医協」は、この資料の中で「医療費の適正化にも貢献することが期待される」と書いています。

そもそも医薬分業が医療費の暴騰を招いているわけですから笑止千万です。

厚労省のHPに「中医協」の議事録が出ているわけですから、厚労省に対して「中医協」が中立的立場でないことは明らかです。

「中医協」の構成員を調べるほどの時間も情熱もありませんが、医師側の意見が反映される組織ではないことだけは確かなようです。

(門前薬局は医療費アップの下手人)


外来医療(その2)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf

(この資料から何が読み取れるか・・・)




<きょうの一曲>

Olga Jegunova - W.A. Mozart: Piano Sonata No 11 in A - Major, K.331 (300i)

https://www.youtube.com/watch?v=vp_h649sZ9A



<きょうの一枚の絵> 

thumb_pt2_03

フィンセント・ファン・ゴッホ 「モンマルトル、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏」

1887年7月、パリ 油彩、カンヴァス ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html





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AF治療の「実臨床」を専門家3氏が解説

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0406506914/

(MT 2017.4.6)

心房細動(AF)患者における抗凝固療法では、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)によりワルファリンと同等以上の脳卒中抑制効果が得られることが、各薬剤のランダム化比較試験(RCT)から明らかとなっている。
しかし、RCTの母集団とは背景が大きく異なる実臨床の現場(リアルワールド)では、あらためてDOACの有効性と安全性を検証するとともに、個々の患者に応じた最適なDOACを選択することが重要になる。
(第81回日本循環器学会(2017.3.17~19) ミート・ザ・エキスパート「抗凝固療法:RCTからReal World」)


米国のデータベース研究から見るDOACの安全性

これまでのDOACのRCTはワルファリンが対照薬であり、各DOACの効果をhead-to-headで比較したRCTはいまだない。
したがって、リアルワールドでのDOAC選択の際、各DOACの有用性を比較することには困難が伴う。
米国・Mayo ClinicのPeter A. Noseworthy氏らは、全米の民間医療保険加入者やメディケア・アドバンテージのデータベースから、DOACの効果と安全性を検討した。

 
同氏らは、まず3剤のDOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)またはワルファリンの1年以上の使用歴があるAF患者を抽出し、ワルファリンとDOAC 3剤を比較したところ、各DOACのRCTの結果と大きな相違がないことを確認した。

 
その後、DOAC 3剤のデータからpropensity scoreをマッチさせたリバーロキサバンvsダビガトラン(各1万5,787例)、アピキサバンvsダビガトラン(各6,542例)、アピキサバンvsリバーロキサバン(各6,565例)の3群を設定して、各DOACの効果を比較した。
その結果、脳卒中および全身性塞栓症の抑制効果では各群間で有意差は認められなかったが、大出血の抑制ではリバーロキサバンおよびダビガトランに比べてアピキサバンが有意に優れることが示された。


DOACのRCTでは、それぞれ年齢や腎機能に応じて用量を調節しており、わが国でも必要に応じた減量基準が設けられるなど、個々の患者背景に適した用法用量が用いられている。
しかし、リアルワールドでは、この用量調節が厳密に行われていない可能性があり、これがRCTとリアルワールドの成績が乖離する理由の1つと推測される。
同氏らの検討においては、各DOACとも80歳以上の高齢者や脳卒中リスク(CHA
2DS2-VAScスコア)と出血リスク(HAS-BLEDスコア)の高い患者で、本来減量すべきでないにもかかわらず不適切に減量されている例(under-dose)が多く、減量すべきであるにもかかわらず通常用量が用いられていた患者(over-use)には、若年者の割合が高く、脳梗塞リスクおよび出血リスクの低い例の割合も高かった。

 
以上の点を踏まえ、同氏は「DOACのRCTの成績はおおむねリアルワールドでも当てはまる。
また、安全性はとりわけアピキサバンで期待できると考えられる」とし、DOAC使用の注意点として「リアルワールドでは多様な背景を有する患者が存在するが、脳卒中発症抑制のためには安易な減量投与を避けた方が好ましい」と結んだ。


日本 vs. 世界の抗凝固療法

続いて登壇した国立病院機構大阪医療センターの是恒之宏氏は、現在進行中のAF患者の国際共同観察研究であるGARFIELD-AFの概要および日本人コホートにおける中間解析結果を紹介した。

 
GARFIELD-AFの対象は、18歳以上で新規に診断され(6週間以内)、主治医により1つ以上の脳卒中リスクがあると判断された非弁膜症性AF患者。2009年~16年まで欧米やアジア諸国を含む世界の35カ国において5万7,262例が登録され、そのうち日本での登録は4,858例(9.4%)を数えて世界最多となっている。
登録年度により対象を5つのコホートに分け、抗凝固療法とその1年ごとのアウトカムについて前向きに検討した。

 
解析の結果、日本とその他の34カ国での登録例の患者背景を比較すると、平均CHA
2DS2-VAScスコアが3.0対3.2、HAS-BLEDスコアが1.2対1.4で、脳卒中と出血リスクはともに日本がやや低かった。
抗凝固療法については、登録年度が新しいコホートほどワルファリンの使用例が減る一方、DOACの使用例が増加した。特に日本ではその傾向が顕著で、その他の34カ国と比較してもDOACの使用割合が高かった。
ただし、アジア全体で見ると、抗血小板薬の使用例が多かった。日本においてDOAC導入がスムースであった理由として、「承認時期が早かったこと」「日本の心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)で推奨されていること」などが要因として考えられる。

 
登録から1年後における日本とその他の34カ国の脳卒中および全身性塞栓症は1.32%対1.43%、大出血は0.32%対0.87%,全死亡率は1.83%対4.24%で、いずれも日本での発生率が低かった。
日本での全死亡率が顕著に低い理由については「寿命が長い」「大出血が少ない」「抗凝固薬の処方が適切な割合が高い」「医療機関へのアクセスが容易」などが推察される。

 
同氏は「GARFIELD-AFにおいて、グローバルのデータが蓄積されるにつれ、DOACを含めた抗凝固療法への理解がより進むものと思われ、今後の動向に注目したい」と締めくくった。


RCTとリアルワールドのデータ乖離をどう見るのか?

日本では現在、多くのレジストリ研究が進行中である。
最後に登壇した国立病院機構京都医療センターの赤尾昌治氏は、同氏らが実施している伏見心房細動患者登録研究(Fushimi AF Registry)を例に挙げつつ、レジストリ研究がリアルワールドの理解と把握に果たす役割について考察した。

 
RCTの成績は良質なエビデンスとして評価される一方、限られた患者集団や条件下での成績であるため、リアルワールドにおいても同等の有用性が認められるかを確認することが重要である。
その方法としては、レジストリ研究、市販後調査、データベース研究などがあるが、どのようなリアルワールドを想定するかによって、さまざまな規模のものが考えられる。
例えばレジストリ研究に関しても、先述の是恒氏が取り上げたGARFIELD-AFのような世界的規模のものもあれば、地方医師会などが行っている地域主導のものもある。

 
Fushimi AF Registryは伏見医師会が行っているた地域主導のレジストリ研究の1つで、京都市伏見区のAF患者全例の登録を目指し、抗凝固療法の実態調査や予後追跡を目的としている。
Fushimi AF Registryでは、ワルファリン時代の抗凝固療法の成績が反映された2013年10月時点での解析において、抗凝固薬ありの群となしの群で脳卒中および全身性塞栓症の発症率、大出血の発現率が変わらないという、臨床家にとってはショッキングな成績が示された(Circ J 2014; 78: 2166-2172)。
さらに、DOACの処方率が大幅に高まった直近のデータでも、ワルファリン、DOAC、抗凝固薬なしの3群で脳卒中および全身性塞栓症の発症率に差は見られなかった。

 
RCTと同様の結果がFushimi AF Registryでは示されなかった要因としては、まず抗凝固薬のunder-doseが考えられる。
Fushimi AF Registryでは2015年の解析で、DOACの低用量投与患者の過半数は不適正減量であったことが明らかになった
米国の検討では、
抗凝固薬のunder-doseまたはover-useを行うと、通常用量に比べて入院や死亡などのイベント発生率が高まることが報告されており、そのような事態を回避するためにDOACの適切な処方が求められる。
また、リアルワールドにおける成績の低下には
抗凝固療法に対するアドヒアランス不良も考えられ、適切な処方のみならず患者が適切に使用しているかの確認も重要となる。


このようにレジストリ研究では、母集団によりRCTとは大きく乖離したデータが示されることも起こりうる
そのことについて、赤尾氏は「数あるレジストリ研究のどれか1つが真実というわけではなく、それぞれが"リアルワールド"の姿を示している。
臨床家は自分が置かれているリアルワールドとはどういうものか、そのレジストリ研究がリアルワールドと合致しているか、RCTとレジストリ研究の成績に乖離が生じている理由は何かをじっくり考察し、臨床に生かしていくことができるかを見極めることが重要」と結論付けた。

私的コメント;

レジストリ研究が「実臨床の現場(リアルワールド)」であって、レジストリ研究はそれとは違うと考えていました。

リアルワールドの意味がわからなくなって混乱してしまいます。



<自遊時間>

大動脈弁狭窄症の99歳に最新手術成功 滋賀医科大病院のTAVI

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170314/CK2017031402000016.html 

私的コメント;
なによりも99歳という年齢に驚きます。
 


<きょうの一曲>

André Rieu - Granada

https://www.youtube.com/watch?v=PvTOmNSmbdw



<きょうの一枚の絵> 

thumb_pt2_04

ポール・ゴーギャン 
ブルターニュの少年の水浴(愛の森の水車小屋の水浴、ポン=タヴェン) 
1886年7-8月初め 油彩、カンヴァス

公益財団法人 ひろしま美術館

http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html 

最初のポン=タヴェン(ブルターニュ)滞在で描かれた作品で、印象派の表現が色濃く残された細かい筆触により水浴する少年を描いている。

後にこの地で象徴主義の画家として表現を大きく変えていくが、本作にみられるような飾り気のない素朴な世界への憧憬は変わることはなかった。

アルルへ制作拠点を移すファン・ゴッホもこうした地方への思いを共有している。
http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html 

 
 


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