葦の髄から循環器の世界をのぞく

訪問ありがとうございます。 このブログは医療関係者を対象としています。 老境に入った内科開業医が、昔専門とした循環器科への熱い思い断ちがたく一人でお勉強した日記です。 内容は循環器科に限定しています。 他に「井蛙内科開業医/診療録」「ふくろう医者の診察室」のブログもあります。

発症1年後の電子健康記録に基づく予後予測モデル 長期DAPTが望ましい心筋梗塞患者を判定

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201704/551030.html?myselect=20170421 

急性心筋梗塞から1年後の患者に長期抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を実施すべきかを判断するための予後予測モデルが開発され、検証結果が発表された。
(European Heart Journal誌 2017.4.7号)

2015年の欧州心臓病学会ガイドラインでは、虚血や出血のリスクを注意深く評価したうえで長期DAPTを検討するよう推奨している。
しかし、どのように「注意深く評価」するかについては明らかにされていない。
そこで英国の研究者らは、主要心血管イベントと出血イベントを予測するモデルを開発して検証した。
また、このモデルをPEGASUS-TIMI 54試験の結果に適用し、長期DAPTの有益性と害を推定した。

本研究は、CALIBER(ClinicAl research using LInked Bespoke and Electronic health Records)の2000年から2010年までのデータを用いて実施した。
CALIBERは、英国の一次・二次診療データと疾患登録データ、原因別死亡データを関連付けたデータベースだ。

急性心筋梗塞の発症から1年後に生存していた患者を対象とし、心筋梗塞から1年後から追跡を開始した。
事前に定めた、人口統計学的データ(年齢、性別など)、行動(喫煙、飲酒)、心血管疾患および非心血管疾患の既往、薬剤、臨床バイオマーカー(BMI、コレステロール比など)の予後因子を考慮してモデルを開発した。

長期DAPTの潜在的ベネフィットに関する主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、虚血性または原因不明の脳卒中の複合イベントとした。また、長期DAPTの潜在的な害を評価するため、CALIBERで定めた重大出血(致死的出血、頭蓋内出血、14日以上の入院を伴う出血、輸血を要する出血の複合)などの3つの出血評価項目を評価した。

開発したモデルを、チカグレロル60mgの有効性(心血管死、脳卒中、心筋梗塞)と安全性(TIMI重大出血および致死的または頭蓋内の出血)をプラセボと比較したPEGASUS-TIMI試験に適用。予想されるリスク別に、長期DAPTにより予防される可能性のある心血管イベントと発生する可能性のある害を推定した。

CALIBERの1万2694人(平均年齢70.1歳、男性66.1%、追跡期間の中央値3.1年[範囲:0‐9.8年])を対象に予後予測モデルを開発し、別の5613人(平均年齢69歳、男性64.4%)でモデルを検証した。
心血管事象の予後モデルは、c-index(モデルの予測性能の指数。値が大きいほど性能が高い)が0.75、CALIBERで定めた重大出血の予後モデルはc-indexが0.72)だった。(いずれも有意)

CALIBERのモデル検証コホートでは、PEGASUS-TIMI試験のコホートと比べ、3年間の心血管イベント(心血管死+脳卒中+心筋梗塞)の累積リスクが高かった(16.5% 対 9.04%)。重大出血のリスクも同様だった(1.7% 対 1.26%)。

PEGASUS-TIMI試験に予後予測モデルを適用したところ、長期DAPTを実施した場合、リスクが最大の患者では、1万人年ごとに249件の心血管事象が防げる一方で、134件の重大出血が生じると推定された。
また、リスクが最小の患者では、28件の心血管事象が予防でき、9件重大出血が発生すると推定された。

有益性(心血管事象予防)と害(重大出血)の重み付けを同一とした場合、DAPT延長による正味の臨床有益性は93.5%の患者にみられると推定された。
正味の臨床有益性は、害に有益性の2倍の重み付けをした場合は63%、有益性に害の2倍の重み付けをした場合は99.1%の患者にみられると推定された。

著者らは、医師や患者が有益性と害のどちらを重視するかによって正味の臨床有益性を推定すれば、意思決定に有用な情報になりうると説明。
また、正味の臨床有益性の程度を判定するには、費用対効果を検討することも重要だと指摘した。

著者らはこのモデルの利点の1つとして、任意の疾患登録や臨床試験の患者集団ではなく、地域集団ベースのデータに基づくモデルであるため、推定されるリスクが通常診療で観察されるものに近いことを挙げている。


論文:

Pasea L., et al. Personalising the decision for prolonged dual antiplatelet therapy: development, validation and potential impact of prognostic models for cardiovascular events and bleeding in myocardial infarction survivors.
 European Heart Journal. 2017;38:1048-55.


私的コメント
結局結論がよく理解できませんでした。



<きょうの一曲>

Arteconcert Charles Aznavour live HD 2015 Paris

https://www.youtube.com/watch?v=1hTsZsarQ6w




<きょうの一枚の絵> 

20090202_2

山村博男 「エトルタ」 油彩 4F

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非弁膜症性AFへのapixaban、warfarinより費用対効果が高い:ARISTOTLE試験

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000384.html

直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)に関する最も影響力の強い臨床試験の追跡調査解析によると、心房細動(AF)患者における生涯にわたり計画された経口抗凝固薬apixaban(商品名:Eliquis、Bristol-Myers Squibb/Pfizer)を用いた治療は、warfarinに対し費用対効果が高いようである。

米国の研究グループは、米国の患者3,417例を含む1万8,000例超の非弁膜症性AF患者において、脳卒中予防のために投与されたapixabanとwarfarinを比較したARISTOTLE試験からのデータに基づき、経済分析を実施した。


本試験の主要アウトカムにおいて、apixabanは脳卒中予防、全身性塞栓症予防、全死因死亡についてwarfarinよりも有意に優れていることが明らかになった。
また、apixabanは大出血発生率の有意な低さと関連した。


研究グループは今回の解析において、外部より得られた治療およびリソース使用の費用推計を用いて両治療法を比較し、ARISTOTLE試験の全患者の生存モデルに基づき平均余命を推定した。
2006~11年の間に米国の患者を1.8年(中央値)追跡。
JAMA Cardiology誌 2017.3.29) 


全体として費用は同等

全体として、出血による入院率はapixaban群でより低い傾向があったものの、両治療群の入院リスクに有意差はなかった。

apixaban群の平均入院費用は4,757ドルであり、warfarin群では5,122ドルであった。
救急部門受診率と、不整脈アブレーション、ペースメーカー、除細動器の植え込み、心臓外科手術、PCIなどの実施率についても、統計的に同等であった。

生存率3%を割り引いた後の平均余命は、apixaban治療がwarfarin治療と比べ0.50年長い(9.83年 vs.9.33年)と研究者らは推定した。
質調整生存年(QALY)は、apixaban群において0.40大きい(7.94 vs.7.54)ことが明らかになった。

研究者らの計算によると、warfarin治療の代替としてのapixaban治療の追加費用は、獲得QALY当たり5万3,925ドルであり、現在の米国の医療における適正な値の範囲内に入っているとのこと。

本解析における「最も影響力の強い」費用決定因子は、薬剤費用であった。
INRのモニタリングを含むwarfarinの年間費用は、DOACの年間費用に比べると非常に小さいものである。
本解析において、apixabanは1日当たり9.87ドル、warfarinは1日当たり0.09ドルと判定された。


著者らは、apixabanがより低価格であると仮定した場合の獲得QALYを再検討し、apixabanの価格が現在の75%の場合はQALY当たり4万426ドル、50%の場合は2万6,927ドル、25%の場合は1万3,427ドルであると推定した。


ほかの観点

ARISTOTLE試験のapixabanに対し、「その臨床アウトカムは、米国の医療システムにおける適正な価値を提供するのに十分に向上した」と、ある専門医は関連の論説において述べた。

今回の解析は、「モニタリング、出血、脳卒中の減少によって削減できる費用がapixabanの高い購入費用と比較すると小さいため、AF患者に対しwarfarinの代替としてapixabanを使用すると医療コストを増大させるであろうことを示唆している」という。

また「相当に値引きされた状態で薬剤を購入することができる医療システムにおいて、apixabanの費用がより低い場合には、より費用対効果が良好だろうということも明らかである」とし、この結論がARISTOTLE試験に組み入れられた患者のみに当てはまることに注意が必要である、とコメントしている。

今回の研究には関与していないが、過去のapixabanの費用対効果解析の共著者は、この解析は、臨床試験に参加していないAF患者にも一般化できるように思われる、としている。


この大規模ランダム化試験の結果は、比較的再現可能なものではないかと考えられる。
なぜなら、すべての抗凝固薬のベネフィットは脳卒中の予防であり、脳卒中の発症には地理的偏りがない傾向があるからである。

非弁膜症性AF患者については、臨床試験参加者であるかないかにかかわらず、同様の脳卒中リスクおよび出血リスクと、同様のアウトカムを有すると考えられる。
この問題を治療する際の費用は各国間で大きく異なるが、患者への効果は各国間で同様である。


英文記事

Apixaban Cost-effective vs Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation: ARISTOTLE

http://www.medscape.com/viewarticle/878214



<番外編>

使い捨て医療機器、洗浄・滅菌で再利用可能に 厚労省

心臓内部に入れるカテーテルや血管を切るメスといった医療機器を再利用する仕組みを厚生労働省がつくる。
再利用時の有効性や安全性を確保する基準を新設。
これまでは一度使えば廃棄してきた機器を業者が集めて分解、洗浄、組み立て直して販売できるようになる。
機器の値段が下がると期待される。

 
厚労省の21日の医療機器・体外診断薬部会で了承された。
一般の意見を聞いた後、7月をめどに導入を予定する。
現在の案では、再利用できる機器は国内の医療機関で使用されたものに限る。
感染症患者への治療や検査に使われたものや、人の体に埋め込まれた機器の再利用は認めない。

 
機器の再製造・販売には厚労相の許可が必要になる。
年に1回程度は、医薬品の審査や安全対策を担う医薬品医療機器総合機構が、安全性などに問題がないかを確認する。

参考・引用

http://www.asahi.com/articles/ASK4P6DCTK4PUBQU018.html?iref=com_api_med_focustop





<自遊時間>

・日医が開業医の利益しか考えていないとは大間違いです。 

本当に開業医の利益を考えていれば、こんなこと(診療報酬マイナス)にはなっていません。 

・日医幹部は自身の叙勲のことしか頭にありません。 

・勤務医は自らの立場を守るためには、開業医を生かしておくべきです。 開業医はライバルが増えないように、勤務医を生かしておくべきです。

引用

https://community.m3.com/v2/app/messages/2693718?pageNo=-1




<きょうの一曲>

Alban Berg - Violin ConcertoTo the Memory of an Angel - Frank-Peter Zimmerman, GMJO, Gatti

https://www.youtube.com/watch?v=ldvZ1EVUYxA


Alban Berg - Violin Concerto To the Memory of an Angel - Shaham, Jansons, BRSO 2014

https://www.youtube.com/watch?v=wckEFGK2q1s


[Concerto] Berg, Violin Concerto [Akiko Suwanai, Pierre Boulez, Gustav Mahler Youth Orchestra

https://www.youtube.com/watch?v=wSUdZ0-7rWE



<きょうの一枚の絵>

nichido_20110602_nakagawa

中川一政 「薔薇」 油彩 10P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/06/post-180.html 






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ウラリチド、急性心不全における心血管死の減少示せず/NEJM

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43826

ナトリウム利尿ペプチドのularitideは急性心不全患者において、心筋トロポニン値に影響を及ぼすことなくBNP低下など好ましい生理的作用を示したが、短期間の治療では臨床的な複合エンドポイントや長期の心血管死亡率を減少させることはなかった。
米国の研究グループが、急性心不全患者に対するularitide早期投与の長期的な心血管リスクへの影響を検証した
TRUE-AHF試験の結果を報告した。
急性心不全に対してはこれまで、心筋壁応力(cardiac-wall stress)と潜在的な心筋傷害を軽減し、長期予後を改善するための治療として、血管拡張薬静脈投与による早期介入が提唱されていた。
(NEJM誌オンライン版2017,4.12日号掲載)


急性心不全患者約2,000例で、ウラリチド早期投与の有効性をプラセボと比較

TRUE-AHF(Ularitide Efficacy and Safety in Acute Heart Failure)試験は、2012年8月~2014年5月の期間、23ヵ国156施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。
対象は、18~85歳の急性心不全患者2,157例で、標準治療に加えularitide(15ng/kg/分、48時間持続点滴)を投与する群と、プラセボを同様に投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付け、初回臨床評価から12時間以内に試験薬の投与を開始した。


主要評価項目は、全試験期間における心血管死と、当初の48時間における臨床経過を階層的に評価した複合エンドポイント(当初48時間における死亡、静注または機械的な介入を要する心不全の持続または悪化、6・24・48時間後の総合評価)であった。


心血管死や心筋トロポニン値の変化に両群で有意差なし

試験薬の投与開始時間中央値は最初の評価から6.1時間後(四分位範囲:4.6~8.4)、追跡期間中央値は15ヵ月であった。


心血管死は、ularitide群で236例、プラセボ群で225例発生した(有意差なし)。
intention-to-treat解析において、両群間で階層的複合エンドポイントに有意差は認められなかった。


ularitide群ではプラセボ群と比較して、収縮期血圧とN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)が低下した。
一方で、対応データを有した患者(55%)において、試験薬投与中の心筋トロポニンT値の変化は両群間で差はなかった。


著者は、「試験薬の投与が最初の評価から1~3時間以内のより早期の介入であればさらに良好な結果が得られた可能性や、トロポニンT値を投与前後で測定できたのは約半数など研究の限界があり結果の解釈には注意を要するが、ularitideは心筋障害を軽減せず疾患の進行に影響を及ぼさなかった」とまとめている。


英文記事

Effect of Ularitide on Cardiovascular Mortality in Acute Heart Failure.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28402745&keiro=journal



<自遊時間>

論文、バイエル社が下書き 医師名で発表、営業に活用

https://www.m3.com/news/general/521942?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170420&dcf_doctor=true&mc.l=218315146&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d
私的コメント;
記事内容が少しわかりにくいのですが、かなりスケールの小さい話のように感じます。
内部告発した社員の今後の処遇に少し興味が湧くところです。
弁護士も少し変です。



<きょうの一曲>
Beethoven Symphony 7 in A Major - BRSO/Mariss Jansons

https://www.youtube.com/watch?v=kiII_yQt7EY


Beethoven: Symphony No. 7 - Royal Concertgebouw Orchestra & Iván Fischer

https://www.youtube.com/watch?v=-4788Tmz9Zo




<きょうの一枚の絵> 


nichido_20110628_ishigaki

石垣定哉 「鈴鹿」 油彩 8F


http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2011/06/post-182.html 



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内分泌性高血圧のスクリーニングを 米国内分泌学会(ENDO)が指針

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0419507007/

(MT 2017.4.19)

米国内分泌学会(ENDO)は、内分泌性高血圧のスクリーニングに関する指針をScientific StatementとしてEndocr Rev(2017年)に発表した。
執筆委員長(
ENDO元会長)は「一部の内分泌疾患では適切な検査法がなく、通常の高血圧とほとんど区別できない。今回の声明は、どのような場合に内分泌疾患を疑い、どのような検査法を用いるかについて有用な指針を提供するものだ」と述べた。


成人高血圧の15%、小児では50%が内分泌性

内分泌疾患の初発症状として高血圧が発現することも多い。
今回の声明によると、米国では成人の4人に1人が高血圧で、その約15%を内分泌性高血圧が占めるという。
この割合は小児では50%、若年成人では30%に上る。
しかし、高血圧の原因となる一部の内分泌疾患には有効なスクリーニング法がなく、診断されないまま未治療であることが多い。

 
今回の声明では、手術や薬物療法で治療が可能な内分泌性高血圧の原因として15を超える疾患を挙げ、どのような場合にスクリーニングを行い、どのような検査法を用いるかを示している。
また、各疾患の有病率、臨床症状、診断・検査指針、検査結果の解釈について詳しく解説している。


全体的に、臨床的背景を考慮したスクリーニング方法を推奨している。
例えば、複数の重篤な疾患を併発している高齢者では、内分泌性高血圧スクリーニングの優先順位は低くなるだろう。
一方、若年者ではスクリーニングが大きな意味を持ち、寿命の延長やQOL向上につながる可能性がある。


大部分の高血圧で原発性アルドステロン症を疑うべき

また今回の声明では、最も高頻度に見られる原因疾患として原発性アルドステロン症(PA)を取り上げている。
PAは副腎からのアルドステロンの過剰産生により引き起こされ、その結果として腎臓によるナトリウム再吸収が過剰になり高血圧に至る。
高血圧患者の5~10%がPAを有する可能性があり、PA患者では内分泌疾患が原因ではない高血圧の患者に比べて、死亡や脳卒中を含む心血管イベントのリスクが高くなる。

 
執筆委員長は「高血圧患者の大部分に対してPAのスクリーニングを検討すべきである。PAは容易に治療可能で、診断が付けば根治できる可能性が高い。また、PAの早期検出により心血管イベントや腎不全のリスクを低減できる」と述べている。




<きょうの一曲>

Romy Schneider - Mourir d'aimer (Charles Aznavour)

https://www.youtube.com/watch?v=4LgWn7-H1-8



<きょうの一枚の絵> 

2012_02_29_nagoya3

浮田克躬「オーヴェルニュ早春」油彩 15F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2012/02/post-205.html 



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メトホルミンの消化器症状―傾向と対策

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0417506971/

総説の背景:安全性の高い薬剤だが注意すべき副作用も

わが国では、食事療法・運動療法で十分な血糖管理ができない2型糖尿病患者に対して、どの経口血糖降下薬も等しく第一選択薬としてよく、患者の病態に応じて主治医が選択することになっている(糖尿病治療ガイド2016-2017)。

 
一方、米国糖尿病学会(ADA)・欧州糖尿病学会(EASD)の合同アルゴリズムにおいても、米国内分泌学会・米国内分泌医会の合同アルゴリズムにおいても、単独薬物療法の第一選択薬はメトホルミンである。
安全性、経済性、体重増加がないこと、心血管疾患予防効果の証明といった多くの点がこの薬剤を支持する要因とされている。

 
しかし、この薬剤にも欠点はあり、最も有名なものが乳酸アシドーシスである。
造影剤使用時には乳酸アシドーシスの予防のために、どの医療機関・調剤薬局においても休薬の指導がなされていることであろう。
一方、あまり強調されてはいないが、メトホルミンの副作用として専門医の間でよく知られているのが、下痢、嘔気、嘔吐といった消化器症状である。
このたび、メトホルミンによる消化器症状についての総説が英国の臨床糖尿病学雑誌に掲載された。
私的コメント;
エクメット配合錠HDを処方して2回服用しただけですごい下痢を起こした症例を最近経験しました。
この方はDPPⅣ阻害剤とメトホルミン250mgの併用例でした。いきなりのメトホルミン1000mgはきつかったのかも知れません。
αーGIのように少量からの斬増で副作用が回避出来るものだったらそうすべきだったかも知れません。
いずれにしろ配合錠は個々に適量を見つけてから配合錠に移行すべきだったと反省しています。

総説のポイント1:高用量メトホルミンによる下痢は10~20%の患者に生じる

この総説は、冒頭でメトホルミンによる消化器症状の有病率について記載している。
 

それによると表のように、ランダム化比較臨床試験における下痢の有病率は10~20%程度であった。
わが国で多く使用されているような1,500mg/日以下での報告は少ないが、いずれも10~20%と見ればよいと思われる。


また、実臨床の現場からの観察研究のデータとしては、20%程度とするものから60%を超えるものまで存在し、この総説の著者らは下痢の定義による相違があり、明らかにメトホルミンとは無関係な消化器症状までカウントするかどうかで数値が変わるのではないかと述べている。


総説のポイント2:メトホルミンによる消化器症状発症の機序

メトホルミンではなぜ消化器症状が生じるのであろうか。
そもそもメトホルミンの主作用の場が、従来の肝(糖新生の抑制)から、消化管へと拡大して考えられるようになっている中で、消化器症状はある意味当たり前との考え方もできる。
メトホルミンによる消化管への影響としては、大腸フローラの変化、小腸ブドウ糖代謝の変化、胆汁酸の変化、GLP-1濃度の上昇などが知られている。
これらはいずれも血糖値に対する改善効果と同様に消化器症状も惹起しうるものである。

 
最近ではOCT(organic cation transporter)1の遺伝子多型によりその小腸での機能が低下していると、メトホルミンの吸収が落ち、消化器症状を惹起しやすいのではないかとの説も提唱されている。
また、OCT1の機能を阻害するベラパミルやプロトンポンプ阻害薬の内服者ではメトホルミンの消化器症状が出やすいことが示唆されているらしい。
さらに、プロトンポンプ阻害薬に伴うのかもしれないが、H.pylori感染とメトホルミンによる消化器症状との関連も知られているらしい。

 
こうした仮説は、完全に証明されているわけではない。


総説のポイント3:いかに予防し、治療するか

この総説においてメトホルミンの消化器症状を予防するための方策として筆頭に挙げられているのが、少量で投与を始めて週単位で漸増させるという①タイトレーション法である。
500mg/日から開始して、週を追って増量することが複数の学会ガイドラインで推奨されている。

 
また、理由は不明であるが、メトホルミン単剤よりもDPP-4阻害薬との合剤で投与を開始することによって腹痛や下痢が少なくなったとの報告があり、臨床効果が不十分ながら消化器症状の故に十分なメトホルミンの増量ができない症例においては、②メトホルミンとDPP-4阻害薬との併用というのも一策となろう。

 
さらに、わが国のように速効型のメトホルミンしか使用できない場合には、③食事ごとに分割するのもよいとされている。

 
一方、わが国では使用できないが、④メトホルミン徐放剤(metformin extended release;XR)を使用するだけで下痢の頻度が減るらしく(下痢、嘔気、嘔吐のいずれも10%未満の患者にしか発症しない)、英国のNICEガイドラインでは通常のメトホルミン製剤で消化器症状が出現した際には、メトホルミンXRを試すよう勧告されている。
現在開発中のメトホルミン遅延製剤(metformin delayed release;DR)でも同じようなことが期待されている。

 
また、⑤GIMM(Gastro-Intestinal Microbiome Modulator;イヌリン、オーツ麦βグルカン、ブルーベリーアントシアニン、ブルーベリーポリフェノール)を摂取させることでメトホルミンの消化管症状が減少し、メトホルミンを増量できる患者が増えて、血糖も改善したという報告がある。
このGIMM単独でインスリン抵抗性を改善するという報告もあり、プレバイオティクスとして注目されているようである。


考察:日本の現状ではタイトレーション法、多剤併用が現実的

これほどまでに種類が増えた糖尿病治療薬の中で、SU薬と並んで最も歴史のある糖尿病治療薬メトホルミンがなお第一選択薬とされているのは驚くべきことである。
その作用機序の理解が肝臓単独から肝臓+腸管へと変遷する中で、メトホルミンの消化管副作用についても新たな理解が必要ということなのであろう。

 
残念ながら、わが国にはメトホルミンXRもメトホルミンDRも存在しない。
そんな中でこの薬剤を有効に利用するためには、タイトレーション法で少量から開始して漸増することと、多量になって消化器症状が出たら、減量しつつ、他剤を併用するということであろう。

 
また、ベラパミルやプロトンポンプ阻害薬は広く使用されている。
こうした薬剤との併用の際には他剤(他の不整脈薬やH
2受容体拮抗薬)への変更も検討の価値があろう。

 
さらに、GIMM(イヌリン、βグルカン、アントシアニン、ポリフェノール)には、プレバイオティクスとしての効果が期待されているようである。
近い将来、米ルイジアナ州立大学発のサプリメントとして利用できる日が来る可能性がある。
その日が来るまでは、まずはメトホルミンを処方する際にはイヌリンの多い菊芋摂取を推奨してみるのも一策かもしれない。

私的コメント;
やはりメトホルミンは少量からのタイトレーション法が重要であることが理解出来ました。
常日頃は心がけていたつもりですが、配合錠の罠にはまってしまいました。



<自遊時間>

AAA (abdominal aortic aneurysm)  (腹部大動脈瘤)

BBB (blood brain barrier)        (血液脳関門)

CCC (cholangiocellular carcinoma)(胆管細胞癌)


 <きょうの一曲>

シュトラウスⅡ世 美しく青きドナウ  小澤征爾 ウィーン・フィル

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<きょうの一枚の絵>


2012_02_29_nagoya1

中村琢二「駒ヶ根の春」油彩 8F

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低血糖なしにHbA1c 6.0%未満を達成

北里大学研究所病院 糖尿病センター センター長 山田 悟

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0412506931/

(MT2017.4.12)
【未解決の背景】強化介入群に立ち塞がる低血糖の壁

糖尿病は高血糖を主徴とし、高血糖のために全身に合併症が生じて寿命の短縮やQOLの低下を生じる疾病である。
血糖値を正常化することで合併症を予防し、寿命の短縮を軽減できるかどうかを検証する臨床試験が20世紀末から報告されるようになった。

私的コメント
この視点は何にも増して重要なことと思われますが、最近になってやっと検討され始めたことは循環器医としては驚くべきことです。


例えばDCCTでは、血糖正常化を目指した強化介入群で低血糖の増加は認められたものの、細小血管合併症の低減効果が得られた(N Engl J Med 1993; 329: 977-986)。
このことから、(低血糖がある程度増加しても)HbA1cを正常化させることでさらなる合併症の予防効果が得られるものと予測された。

私的コメント

「細小血管合併症の低減効果」を

大血管障害」にも敷衍するのは強引です。 


しかし、21世紀になってから報告されたほぼ全ての試験では、残念ながらHbA1cを正常化させようとした強化介入群で低血糖が増え、細小血管障害の発症率は低減できても、大血管障害の発症率の低減は果たせなかった。
特に低血糖頻度を強く上昇させたACCORD試験では、総死亡率の増加まで生じたために血糖への強化介入が中止に追い込まれた(N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559)。

 
こうした血糖改善に対する介入試験の歴史から、低血糖なしにHbA1cを6.0%未満にするという"質の良い血糖管理"が求められることとなった〔Int J Obes 2002; 26(Suppl 3): S9-S17〕。
しかし、古くからの薬物療法である
ンスリンやSU薬のようなインスリン分泌促進系薬では低血糖を完璧に防ぐことは不可能であり、"質の良い血糖管理"は現在まで未解決課題として残されているのである。


【解決することの意義】血糖変動も是正し合併症予防効果を高める

糖尿病は高血糖(hyperglycemia)を主徴とする疾患ではあるが、血糖の精細な調整能力の不足による血糖異常症(dysglycemia:血糖変動の大きな状態)として考えることも可能である。
そして、高血糖のみならず、血糖変動の大きさも合併症発症に関与すると考えられている(JAMA 2006; 295: 1681-1687)。

私的コメント
これは高血圧の際の「血圧変動」 と同様で理解しやすいことです。
 

また、単に平均血糖値であるHbA1cを下げることばかりを考えて、血糖変動の縮減を怠っていれば、低血糖(hypoglycemia)が生じるのは当然のことである。
そして、低血糖はそれ単独で理論的に考えても(Diabetes Care 2010; 33: 1389-1394)、臨床データを解析しても(Diabetes Care 2012; 35: 1126-1132)、それ自体が血管合併症を増加させる。
したがって、"低血糖なしにHbA1c 6.0%未満を達成する"ことは血糖変動を縮小させつつ、低血糖なしに平均血糖値を下げることであり、それらはいずれも合併症予防につながるはずである。


【解決法】糖質制限食を基本に適切な薬剤選択、FGMにも期待

(1)血糖変動を縮小させる

低血糖がない状況においては、血糖変動とは食後高血糖のことである。
食後高血糖を是正するには(脂質制限食や地中海食と比較して)、糖質制限食が最適である(PLoS One 2013: 8; e79324)。
ちなみにカロリー制限食は脂質、蛋白質の摂取も低減させ、それらによる食後高血糖の是正効果(Am J Clin Nutr 2011; 93: 984-996)を削減させるため、食後高血糖の管理には向かない。


毎食後の運動も悪くないが(Diabetes Care 2013; 36: 3262-3268)、現実的に実践できる人は少ないだろう。

 
薬物療法としては、インクレチン関連薬が向いていると思う。
αグルコシダーゼ阻害薬やグリニド薬は服薬コンプライアンスの問題がある。


(2)低血糖をなくす

低血糖は、例外を除けばインスリンかインスリン分泌促進系経口薬で生じるものである
したがって、これらの薬剤の使用を最小限にとどめることが大切である。


(3)平均血糖値を下げる

HbA1cが7.3%未満では、空腹時高血糖よりも食後高血糖の方がHbA1cへの寄与が高い(Diabetes Care 2003; 26: 881-885)。
しかし、糖質制限食やインクレチン関連薬により食後高血糖を是正した上で平均血糖値を下げるとなれば、空腹時高血糖の是正が重要になる。
肥満を解消すれば空腹時高血糖の是正も期待できるが、カロリー制限での安全で長期に有効な肥満解消はあまり期待できないと思っている。
また、肥満解消および体重維持のための運動療法はかなりの運動量(1週間に200~300分の高レベルの身体活動)が必要であり(Dia­betes Care 2017; 40 Suppl 1: S57-S63)、現実には難しい。

 
薬物療法としてはビグアナイド薬、SGLT2阻害薬が選択できよう。
持効型インスリンの1回注射やGLP-1製剤の注射療法も選択肢である。

 
上記をまとめると、食事療法として糖質制限食(食後高血糖の是正)を選択し、運動療法としては(リスクがない限り)何をやってもよく、薬物療法としてビグアナイド薬、SGLT2阻害薬、インクレチン関連薬、持効型インスリン1回注射を組み合わせることで、低血糖なしのHbA1c 6.0%達成は可能になると期待している。

 
今年、わが国から報告されるであろうJ-DOIT3(BMJ Open Diabetes Res Care 2016; 4: e000123)では、強化介入群でも低血糖頻度が極めて低かったとの情報がある。
この発表内容・成果に期待したいところである。

 
また、新しい自己血糖測定法である
flash glucose monitoring(FGM)により、患者が毎食後に高血糖の見える化ができると糖質制限食へのアドヒアランスが明確に高くなる。低血糖予防も期待できよう(Lancet 2016; 388: 2254-2263)。

とも極めて低い低血糖エピソードでの達成)が、J-DOIT3により臨床試験の世界で現実化され、FGMの普及により日常臨床の世界で現実化していくものと期待している。 

"低血糖なしのHbA1c 6.0%未満達成"(

少なくとも極めて低い低血糖エピソードでの達成)が、J-DOIT3により臨床試験の世界で現実化され、FGMの普及により日常臨床の世界で現実化していくものと期待している。



<きょうの一曲>

もう遅すぎるIl est trop tard

http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-556.html


Georges Moustaki Il est trop tard

https://www.youtube.com/watch?v=SoGyvc0-yYM


時は過ぎてゆく-[金子由香里]

http://gramali.blogspot.jp/2010/10/blog-post.html


「時は過ぎてゆく」 "Il est trop tard" 

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<きょうの一枚の絵>

2012_02_29_nagoya2

田崎広助「朱富士」油彩 10F

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今後発表される糖尿病薬の心血管安全性試験

注目ポイントを小田原雅人氏に聞く

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0329506810/?utm_source=mail&utm_medium=recent170330&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1


DPP-4阻害薬  クラス初の優越性証明の期待

FDAの勧告に基づく心血管系安全性試験は、いずれも多数例を対象とした二重盲検ランダム化比較試験で、一次評価項目は心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の3ポイント主要心血管イベント(MACE)が基本。
安全性(対照群に対する非劣性)の検証が主目的だが、対照群に対する優越性の検証も併せて行われている。

 
これまでに結果が発表された7試験(7薬剤)では、全て非劣性は証明されたが、優越性についてはまちまちだ。
DPP-4阻害薬については、3試験(3薬剤)とも優越性は認められていない。
しかし小田原氏は、リナグリプチンのCARMELINA試験、CAROLINA試験では、DPP-4阻害薬として初めて優越性が証明される可能性もあると期待を寄せる。


両試験とも心血管高リスクの2型糖尿病患者を対象にした大規模試験だが、CARMELINA試験は登録基準にアルブミン尿、腎機能障害などを含んでいるのが特徴。
同氏は「DPP-4阻害薬には腎保護効果が期待されており、実際リナグリプチン、サキサグリプチンには血圧や血糖と独立して微量アルブミン尿を改善することが示されている」と指摘する。
腎保護効果を介した心血管イベント抑制が大規模な対象で明らかにされるか、注目される。

 
一方、CAROLINA試験は、他の経口糖尿病薬の心血管安全性試験がプラセボを対照群としているのに対し、SU薬グリメピリドを対照群としているのが大きな注目点だ。
メタ解析によると、SU薬の心血管イベント抑制効果はチアゾリジン薬など他の糖尿病薬と同等。
同氏は「リナグリプチンの第Ⅱ/Ⅲ相試験とSU薬とのパイロット比較試験の結果を見ると、リナグリプチンはDPP-4阻害薬の中でも心血管イベント抑制効果が高い可能性があり、SU薬に対し優越性が認められるかもしれない」と述べる。


GLP-1受容体作動薬  
動脈硬化抑制効果が再現されるか

これまでに結果が発表されたGLP-1受容体作動薬の3試験では、2試験で優越性が認められた。
小田原氏は、この結果の違いを薬剤の相違というより、試験デザインの相違によると見ており、有意性が示された2試験の結果から、GLP-1受容体作動薬が動脈硬化抑制効果を有する可能性は高いと考えている。

 
GLP-1受容体作動薬の開発動向としては、徐放化の流れが挙げられる。
優越性が証明された2試験のうちの1試験は、週1回皮下注製剤semaglutideだったが、進行中のREWIND試験のデュラグルチド、EXSCEL試験のエキセナチは同じく週1回皮下注製剤である。
徐放製剤の利点は、アドヒアランスが向上すること、および消化器系の副作用症状が少ないこと。
ただし、食後高血糖の是正という点では劣る可能性がある。
動脈硬化抑制効果が再現されるかどうかが注目点だ。

 
さらに、ITCA-CVOT試験では、特殊な投与法が用いられている。
これはICTA 650という小型浸透圧ポンプを皮下に留置することで、エキセナチドを自動的・定期的に放出するシステム。
用量調整のために年2回程度の処置を要するだけで、注射からは解放される。

 
なお、DPP-4阻害薬サキサグリプチンのSAVOR-TIMI58試験では、心不全による入院リスクの有意な上昇が認められた。
このことについて、同氏は「心不全リスクはGLP-1受容体作動薬を含めたインクレチン関連薬共通の懸念」とみている。
ただし、糖尿病患者に均質に認められるリスクではなく、ある特定の高リスク患者で発生する可能性を想定しており、今後発表されるDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬の試験のサブ解析で心不全リスクが高まる条件が明らかにされることを期待している。


SGLT2阻害薬  
心血管疾患の初発予防効果や腎保護効果が解明

SGLT2阻害薬については、エンパグリフロジンのEMPA-REG OUTCOME試験で、3ポイントMACEだけでなく、全死亡や心不全による入院も有意に減少し、予想を上回る結果となった。
追随する試験でも同様の結果が期待されるが、カナグリフロジンのCANVAS試験とCANVAS-R試験の統合解析の結果がADA 2017で発表される。
前者は3ポイントMACE、後者はアルブミン尿の進展を一次評価項目としており、心血管疾患や腎保護効果が解明される。

 
小田原氏が両試験について最も注目するのは、対象者に心血管疾患の既往を有さない患者が多く含まれていることだ。
EMPA-REG OUTCOME試験は心血管疾患の既往者を対象にした試験であり、初発予防効果は今回初めて明らかにされる。
日常臨床でより診療機会の多い患者に関する知見となるだけに、重要なデータとなるだろう。

 
また、SGLT2阻害薬は腎機能が低下した患者には慎重投与することが提唱されているが、EMPA-REG OUTCOME試験などの結果からは、推算糸球体濾過量(eGFR)30~45 mL/分/1.73m
2程度に腎機能が低下した患者にも有用である可能性が示唆される。
両試験には腎機能低下者も多く含まれているため、この問題が今回発表の両試験あるいはCREDENCE試験を通じて解明されることが期待される。

 
一方、安全面ではEMPA-REG OUTCOME試験で欧州人に見られた有意ではないが増加傾向にあった脳卒中,CANVAS試験の中間解析で報告された下肢切断リスク(多くは足指切断)のデータにも留意する必要があるだろう。


インスリン製剤  
持効型インスリンの心血管安全性が証明か

ADA2017では持効型インスリンであるインスリンデグルデクのDEVOTE試験の結果も発表される。
対照群はORIGINE試験で既に心血管安全性が証明されている同じ持効型のインスリングラルギンU100だ。
プレスリリースされた速報によると、非劣性が証明されたとのことだが、詳細が注目される。




<きょうの一曲>
Mischa Maisky - Haydn - Cello Concerto No 1 in C major

https://www.youtube.com/watch?v=mooB5Q-0FIE&t=19s


<きょうの一枚の絵>

20140123-001

石垣定哉 「赤富士」 油彩3F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2014/02/post-272.html


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抗凝固療法の骨粗鬆症性骨折リスクは?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0407506895/

非弁膜症性心房細動(NVAF)の抗凝固療法にダビガトランを投与されている患者はワルファリン投与患者より骨粗鬆症性骨折リスクが低いと、中国のグループがJAMA(2017; 317: 1151-1158)に発表した。

 
同グループは、Hong Kong Hospital Authorityのデータベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施。
2010~14年に新たにNVAFと診断され、ダビガトランまたはワルファリンの処方を受けた患者を傾向スコアによりマッチさせ、2016年7月まで追跡して骨粗鬆症性骨折リスクを比較した。

 
新規診断NVAF患者5万1,496例から、ダビガトラン使用の3,268例とワルファリン使用の4,884例を傾向スコアによりマッチさせた。
女性が50%で、平均年齢は74歳だった。
追跡中に104例〔ダビガトラン群32例(1.0%)、ワルファリン群72例(1.5%)〕で骨粗鬆症性骨折が認められた。

 
ポアソン回帰分析の結果、ダビガトラン群は骨粗鬆症性骨折のリスクが有意に低く、ワルファリン群と比較した発症率比(IRR)は0.38(95%CI 0.22~0.66)だった。
このリスク低下は、転倒または骨折(あるいはその両方)の既往を有する患者で有意であった(IRR 0.12、同0.04~0.33)。




<自遊時間> 

「週刊朝日」 が大学入試の特集を組むようになって久しい。

最初は「サンデー毎日」 の独壇場だった。

売上増が期待出来るとみえて「週刊朝日」 も何週にもわたって特集を出し続けている。
週刊誌のクオリティーを落とす企画だろうが、きっと売上が伸びるんだろう。 

こんな記事を読む人間がそんなに多いのかと訝ってしまう。

斯く謂う自分も待合室用に新聞販売店を通して定期購読していることもあって、いい歳をしてついチラ見してしまう。

2017.4.21号では「東大・京大と15国公立大学医学部の合格者数と合格率」が40位まで紹介されていた。

出身の高校も大学もその中に出ていたので少しニンマリ。

これも諸兄と同様に受験の荒波を(私の場合にはなんとかして)くぐり抜けて来た性(さが)のなせる業。

しかし、この 「15国公立大学医学部」をよく読むと大いに問題があるのだ。

それはT県にあるT大学が入っているのに東医歯大やN県のN大学が欠落している。

記者は一体どうやって「15国公立大学医学部」を選んだのだろうか。

まさにマスコミの横暴だ。
ただし入試難易度と基礎研究や臨床の実績は決して比例しないことは論を待たない。
(皆さんの評価は?)

15大学に入らなかった先生方の怨嗟の声が聞こえて来そうだ。

それに勝手に国公立大学に限定したこと。
最難関と思しき私立大学医学部出身の先生方の怒りを買っている筈だ。


今日は俗っぽい話になって恐縮です。


img252 のコピー



<きょうの一曲>

Schumann - Kinderszenen Op.15, "Scenes from Childhood" | Vladimir Horowitz

https://www.youtube.com/watch?v=yibf6QNjgGU



<きょうの一枚の絵>

20130618tokyo2

小林雅英 「雨のルーアン」80P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2013/06/post-254.html





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PCSK9阻害薬追加の超低LDL値は有害?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0303506561/index.html

スタチンを含む脂質降下療法へのPCSK9阻害薬アリロクマブ追加でLDLコレステロール(LDL-C)超低値を達成した患者に全体としての有害事象の増加は見られないと、米国の研究グループがJ Am Coll Cardiol(2017; 69: 471-482)に発表した。

 
同グループは、アリロクマブの第Ⅱ相~第Ⅲ相ランダム化比較試験(ODYSSEYプログラム)で、LDL-C値が連続して2回以上25mg/dL未満または15mg/dL未満だった患者の安全性を評価した。
アリロクマブ群3,340例、対照群(プラセボまたはエゼチミブ)1,894例を含む14試験(8~104週間の二重盲検治療)のデータを解析した。
アリロクマブ群の839例(25.1%)がLDL-C値25mg/dL未満、314例(9.4%)が15mg/dL未満を達成した。
登録時の平均LDL-C値は25mg/dL未満群が100.3mg/dL、25mg/dL以上群が134.3mg/dLだった。

 
解析の結果、LDL-C値25mg/dL未満群、15mg/dL未満群、25mg/dL以上群の治療関連の全有害事象発現率はそれぞれ72.7%、71.7%、76.6%で有意差は認められなかった(対照群の同発現率77.1%)。
アリロクマブ群では神経学的・神経認知学的有害事象の発現率も3群同等であった。

 
傾向スコア解析では、LDL-C値25mg/dL未満群は25mg/dL以上群と比べ白内障の発症が多かった。
しかし、アリロクマブ群全体と対照群の白内障発症率には差はなかった。


<私的コメント>

邦題は「有害か?」となっていますが英文タイトルは「Safety of ~ 」となっておりニュアンスが異なります。

また抄録のため超低LDL値の定義が25mg/dL未満なのか15mg/dLかがはっきりしません。

目標値として低値なのか結果としての低値なのかも不明ですが、いずれにしろ驚くべき低値です。

超低値で白内障の発症が多かったものの、その他のリスク増加はなかったという結論のようですがメリット(心血管イベントの抑制)を知りたいところです。

要するに「超低値まで下げるべきか下げても(下がっても)よい」かが

後者のみの論文です。

偶発的に下がってしまったということなのでしょうか。

なんだかすっきりしない論文です。




<自遊時間>
米航空会社、乗客引きずり下ろす 映像拡散、批判集まる

https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2688969

東洋人の医師。

他人事ではありません。
クジでもなく勝手に白羽の矢。

そして客に暴行。

その理由が航空会社の社員(クルー)を乗せるため。


露骨な人種差別。

立派な刑事事件のはずだが彼は告訴しないのだろうか。

米国では大したニュースになっていないとすれば自浄作用のない国ということになる。

はたしてトランプが大統領となったことと無縁か。






<きょうの一曲>

A Tribute to Burt Bacharach Concert at The White House

https://www.youtube.com/watch?v=GE_zXkOdSLg



 

<きょうの一枚の絵>

150324-001

梅原龍三郎 「高原晩秋 1957」 岩彩 6号

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2015/03/post-307.html




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CHD再発予防の約半数は脂質管理不十分
https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0412506932/

(MT2017.4.12)
日本人の急性冠症候群(ACS)患者を対象とした脂質リスクとコントロールに関する前向き観察研究
EXPLORE-Jのベースラインデータについて、主任研究者である東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の中村正人氏が先ごろ東京都内で開かれたメディアラウンドテーブルで報告した。
冠動脈疾患(CHD)の既往患者333例のうち、「
動脈硬化性疾患予防ガイドライン」で脂質管理目標値とされるLDLコレステロール(LDL-C)値100mg/dL未満を達成していたのは52%にとどまっており、同氏は「再発予防例の約半数は管理不十分といえる」と強調した。


管理目標値を達成してもACS発症例が

EXPLORE-J研究は、入院治療を要した日本人のACS患者2,010例を対象に、実臨床下での脂質管理状況の把握と心血管イベント発症リスクの評価を主要目的としている。
また、アキレス腱厚の評価、家族性高コレステロール血症(FH)の診断と
全症例のPCSK9測定を行い、それらの経過を追跡することが特徴となっている。

同研究のベースラインデータによると、ACSの内訳としては、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)が62%と最も多く、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が16%、不安定狭心症が22%であった。米国や韓国では、NSTEMIがSTEMIを上回っている

 
ACS発症前からCHDの既往を有していた患者333例の入院時のLDL-C値は平均103.6±37.7mg/dLで、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」で脂質管理目標値とされる100mg/dL未満の達成割合は52%であった。
演者は「再発予防例の約半数が不十分な治療に終わっている。また、LDL-Cの管理目標値を達成している患者の中には、ACSを発症している例が見られる」と述べた。
なお、これらの患者の約6割はスタチン治療を受けており、LDL-C値180mg/dL以上が9.8%、FHを疑わせる250mg/dL以上も0.6%に見られた。

 
また、現時点でデータのそろっている1,391例の中に、 FHの診断基準を満たしている患者が3%いた。
診断基準を全ては満たさないが、臨床的に限りなくFHが疑われる症例も多く見られ、同氏は「ボーダーラインの患者をどのように正確に診断するかが今後の課題」と指摘した。

 
同氏はこれまでの中間解析を踏まえて「現行ガイドラインの脂質管理の目標レベルは、高リスク患者およびCHDの既往歴のある患者では最適でない可能性もあり、より積極的なLDL-C目標値の設定を検討する必要があるかもしれない」と述べた。           



<番外編>

内分泌学会は内分泌性高血圧症の検査に関する新しいガイダンスを発表

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000379.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017040701

内分泌学会 の新たな科学的声明によると、医療従事者は大半の高血圧症患者において原発性アルドステロン症(PA)の検査の実施を検討するべきである。

高血圧症患者の約15%は二次性高血圧症を有する。高血圧症の子供の半数、および40歳未満の成人のほぼ3分の1には副因がある。PAは現在、特異的に治療可能かつ治癒できる可能性のある、最も一般的な形態の高血圧症であると考えられており、高血圧症患者の少なくとも5~10%を占める。この数値は正常カリウム血性の患者の場合であっても同じである。高血圧は少なくとも他の内分泌障害14種の初期臨床症状であり得る。
内分泌学会のこの新しいガイダンスでは、どのような場合に内分泌性高血圧症の検査を検討するべきなのか、および検査結果の解釈の仕方について説明している。 

「適切な臨床検査がなければ、一部の一般的な内分泌障害をありふれた高血圧症と区別することは、ほぼできません」と内分泌学会の元会長、William F. Young Jr医師は述べた。同氏は同科学的声明を作成したタスクフォースの議長である。「高血圧の根本原因を検査することによって、命を救うことができます。この新しい情報源は、どのような場合にホルモン障害を疑うべきなのか、および同障害の検査方法についての貴重なガイダンスを医療従事者に提供するものです」




<きょうの一枚の曲> C'est ma vie Salvatore ADAMO et Isabelle BOULAY

https://www.youtube.com/watch?v=Zy132I0Oo6A


<きょうの一枚の絵> 

koyama_keizou7

小山敬三 題不詳  (トレドの橋)

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四半世紀で成人の収縮期血圧が上昇、心血管死も増加/JAMA 
http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43297

2015年において、収縮期血圧(SBP)値が110~115mmHg以上の成人は世界で約35億人、140mmHg以上の成人は8億7,400万人に上ることを、米国の研究グループが、世界154ヵ国からの844試験を基に分析を行い明らかにした。
SBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、1990~2015年にかけて、10万人当たり約7万3,000人から約8万1,000人へと大幅に増加し、SBP高値に起因する虚血性心疾患や出血性脳卒中などの死亡率も増大したという。
(JAMA誌2017.1.10)


SBP増加とその関連死などを検証

研究グループは、1980~2015年に発表された154ヵ国からの844試験(被験者総数869万人)を基に、時空間ガウス過程回帰法にて、1990~2015年の世界195ヵ国におけるSBP値の推定分布や、SBP値と死亡・障害の関連などについて検証した。


主要アウトカムは平均SBP値、疾患別死亡、SBP値(110~115mmHg以上、140mmHg以上)に関連した健康負担で、年齢、性別、国、調査年別に調べた。


主要分析には、SBP高値と関連することが明らかな死亡原因(虚血性心疾患、虚血性、出血性脳卒中など)が含まれた。


SBP上昇による死因の筆頭は虚血性心疾患、次いで出血性脳卒中

その結果、1990~2015年にかけてSBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、10万人中7万3,119人から8万1,373人に増加した。また、140mmHg以上の人の割合は、10万人中1万7,307人から2万526人に増加した。


SBP値110~115mmHg以上における年間死亡率は、10万人中135.6人から145.2人に増加し、140mmHg以上は同97.9人から106.3人に増加した。


SBP値が110~115mmHg以上により減少した障害調整生存年数(DALY)は、1990年の1億4,800万年から2015年の2億1,100万年に、140mmHg以上では520万年から780万年に増加した。


SBP関連死亡で最も多かったのは、虚血性心疾患(490万人)で人口寄与割合は54.5%を占め、続いて出血性脳卒中(200万人)で58.3%、次いで虚血性脳卒中(150万人)で50.0%だった。


2015年のSBP値110~115mmHg以上と関連したDALYの50%超を、中国、インド、ロシア、インドネシア、米国で占めると推定された。


これらの結果を踏まえて著者は、「今回のサンプルベースの結果は、2015年において、約35億人の成人がSBP値110~115mmHg以上であり、8億7,400万人の成人が同140mmHg以上であると推定されることが示された」とまとめている。




時速30km以上で走ると車の寿命が短くなる、といっているような結果(解説:桑島 巖 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43762

・これまで、至適収縮期血圧(SBP)値は120mmHgとされてきたが、本論文はそれよりさらに低い110~115mmHgですら健康への負担になるレベルという、世界規模869万人の疫学データのメタ解析結果である。


・本論文は、1990~2015年にかけての25年の間に、SBP値が110~115mmHgの割合が10万人中7万3,119人から8万1,373人に上昇し、140mmHg以上の人の割合は、同1万7,307人から2万526人に上昇したという。


・SBP値110~115mmHg以上の年間死亡率でみると、10万人中135.6人から145.2人へ上昇、140mmHg以上では同97.9人から106.3人へと上昇したという。


・血圧と最も関連の深かった疾患は、虚血性心疾患、次いで脳出血、脳梗塞であった。

血圧と死亡あるいは有病率を、統計的一側面からのみ観測した結果である。


・血圧値のみの変遷に注目すると“血圧は血管に対する負荷である”あるいは“The lower, the better”であることを示した点では理解できるが、身体・精神活動などを含めた生活の質はSBP値110~115mmHgではむしろ低下する。

したがって、このレベルが血管にとって安全とはいえても生活を営むうえでの最適血圧とは限らず、このレベルまで一律に下げるべきということではない。

・1990年から2015年の血圧値の変化は、世界人口の高齢化に伴うものであろう。



<自遊時間>

講演会や医師会の講習会に行くと、ドクターが携帯で呼び出されて会場外に出て行く光景をよく見かける。

今までは、在宅などをやっていて患者からの電話だと思い、よく働くドクターだなと考えていた。

しかし、最近はひょっとしたら調剤薬局からの疑義照会ではないかと思うようになった。

当院は院内処方のためよくわからないが、もしそうだとすればその鬱陶しさは相当のものだろう。

患者がその薬局に処方箋を持ち込んで、問い合わせている薬剤師の前で待っているわけだから、違う意味で緊急性があるわけだから携帯が手放せないことになる。


重複投薬・相互作用防止加算

薬剤服用歴に基づき、重複投薬又は相互作用の防止の目的で、処方せんを交付した保険医に対して照会を行った場合は、所定点数に次の点数を加算する。

イ 処方に変更が行われた場合 20点

ロ 処方に変更が行われなかった場合 10点



<きょうの一曲> 

Et maintenant -. Isabelle Boulay

https://www.youtube.com/watch?v=KuHu4IXpjdQ 


ISABELLE BOULAY & GILBERT BÉCAUD - Et maintenant (Live / En public) 1999

https://www.youtube.com/watch?v=zAQjWjMoPfs



<きょうの一枚の絵> 

koyama_keizou9

小山敬三 題不詳 (浅間山)

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アブレーション周術期の抗凝固療法  DOAC継続投与の有効性・安全性を検討

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0331506793/

(MT 2017.3.31) 
カテーテルアブレーション治療(以下、アブレーション)施行予定の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象に、アブレーション周術期における直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)継続投与の有効性と安全性を、ワルファリン継続と比較した国際共同ランダム化比較試験(RCT)「RE-CIRCUIT試験」の結果が明らかになった。
(ACC 2017、3.17~19、ワシントンD.C.)


ダビガトラン継続投与の有効性と安全性を検討

アブレーションは、NVAFの治療として一般的な手技であり、日本でも広く施行されている。
しかし、頻度は低いものの深刻な合併症として周術期の脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの血栓塞栓性イベントおよび心タンポナーデなどの出血性合併症の懸念が残されている。

 
近年、アブレーション周術期におけるビタミンK拮抗薬(VKA)の継続投与が合併症リスクの低減に有用であることが明らかにされている。しかし、NVAF患者に対するDOACについては、アブレーション周術期におけるDOAC継続投与に関するデータは限られており、アブレーション施行前にDOACを中断し、VKAに変更しなければならない煩わしさがあった。

 
そこで、NVAF患者に対する脳卒中の発症抑制効果と安全性が確立されたDOACであるダビガトランのアブレーション周術期における継続投与の有効性と安全性をワルファリン継続投与と比較すべく、RE-CIRCUIT試験が計画された。


日本を含む11カ国・704例、635例がアブレーション施行

同試験は、多施設前向きオープンラベル試験で、エンドポイントは盲検で判定。
対象は18歳以上で、発作性または持続性NVAFに対するアブレーション施行予定で、スクリーニングの24カ月以内に心房細動(AF)と確定診断され、ダビガトラン(150mg×2回/日)の投与が可能な患者とし、永続性AF患者は除外した。

 
対象を、
①ダビガトラン継続群(150mg×2回/日)
②ワルファリン継続群〔目標プロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)2.0~3.0〕
-の2群にランダムに割り付けた。
抗凝固療法を4~8週継続後にアブレーションを施行し、施行中および施行8週後まで抗凝固療法を継続した。


主要評価項目は、アブレーション開始から施行8週後までに生じた国際血栓止血学会(ISTH)基準による大出血。
副次評価項目は血栓塞栓性イベントおよびその他の小出血とした。


私的コメント
主要評価項目が血栓塞栓性イベント、副次評価項目(
大出血、その他の小出血)だと思っていました。

要するに、安全性>有効性のRCTのようです。

同試験には日本を含む11カ国・104施設が参加。
704例が登録、28例を除く676例(治療集団)が抗凝固薬の1回以上の投与を受け、635例にアブレーションが施行された(アブレーション施行集団)。

 
ベースライン時の両群の背景因子は同様で、平均年齢は両群ともに59歳、発作性NVAFがダビガトラン継続群67.2%、ワルファリン継続群68.9%で、平均CHA
2DS2-VAScスコアはそれぞれ2.0点、2.2点であった。


ダビガトラン継続群で大出血リスク77.2%の減少を示す

主要評価項目の大出血は、ダビガトラン継続群5例、ワルファリン継続群22例に発現し、ダビガトラン継続群で77.2%の有意なリスク減少を示した。

 
アブレーション施行後の大出血の発現の推移をKaplan-Meier曲線で見ると、
アブレーション施行1~2日後の早期に両群で乖離が認められ、この時期に大半の大出血が発現していたことが分かった。


副次評価項目の血栓塞栓性イベントについては、両群ともに脳卒中、全身性塞栓症は認められず、TIAがワルファリン継続群で1例に認められた
小出血は、ダビガトラン継続群59例(18.6%)、ワルファリン継続群54例(17.0%)と両群で同程度であった。
死亡は両群ともに認められなかった。

 
私的コメント
あたかも最初から
VKAとDOACの間で有効性には差はないと予見していたかのごとくです。


これらの成績を踏まえ研究代表者は、RE-CIRCUIT試験の結果は、アブレーション施行時にはワルファリン継続投与よりもダビガトラン継続投与が優れた抗凝固療法の戦略であることが示唆された、と結論付けた。
今回、ダビガトランの特異的中和剤
イダルシズマブを必要とする患者はいなかったものの、同薬が入手可能となったことは、アブレーション施行予定のNVAF患者に望ましい抗凝固療法の戦略として、ダビガトラン継続投与を選択するさらなる動機付けを与えるもの、との見解を示した。



<番外編>

自己拡張TAVIの有効性確認、世界初も【JCS2017】 標準より小さな23mm径で2年心血管死ゼロを報告

https://www.m3.com/clinical/news/519058

・自己拡張型大動脈弁(CoreValve)を用いた経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)は、ハイリスク重症大動脈弁狭窄症(AS)の日本人患者でも安全に実施でき、中期的な心機能改善をもたらすことが、大阪大学心臓血管外科学の鳥飼慶氏らによる臨床試験「CoreValve Japan」で明らかになった。
第81回日本循環器学会(3.17-19、金沢市)で発表した内容で、26/29 mm 径の標準弁に加え、23 mm径というより小さなサイズの弁の有効性と安全性を世界で初めて示した。


<きょうの一曲>

Bruckner: Symphony No.7 / Ozawa Saito Kinen Orchestra (2003 Live)

https://www.youtube.com/watch?v=IK4FJt3KpWU




<きょうの一枚の絵> 

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小山敬三 題不詳 (浅間山)

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造影剤腎症にデータで対抗する

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0111506149/

循環器内科の分野でもビッグデータの解析結果を応用し、合併症や予期せぬ入院を防いでいこうという動きが盛んになされている。
今回紹介する研究の内藤は、カテーテル治療の最後の難所とされる 「造影剤腎症」 を日米2カ国のビッグデータを用いて予防するための方策を探った、というものである。


Performance and Validation of the U.S. NCDR Acute Kidney Injury Prediction Model in Japan.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27056778

研究の背景1:治療法が存在しない造影剤腎症

冠動脈のカテーテル治療(PCI)は、国内で広く行われており、800以上の施設で、実に年間20万件以上のPCIが実施されている〔日本心血管インターベンション学会(CVIT)集計〕。
これは先進国の中でも有数の規模で、比肩するのは米国くらいしかないといわれている(ただし米国は人口が2.5倍で、冠動脈疾患有病率が4倍くらい)。

 
このPCIの非常にセンシティブな合併症として、時に手技終了後に腎機能障害を起こすということがある。
そのメカニズムは造影剤が腎臓に集積するためとされており〔血管性の要因(強制的な血管収縮)、あるいは活性酸素による直接毒性によるとされている〕、ここ20年その造影剤腎症の治療法を探って、N-Acetylcysteineの投与や透析の早期導入など、さまざまな努力がなされてきたが、基本的に有効な治療法は存在しない。
つまり、起こってしまった後にいくら騒いでも無駄であり、しかもいったん腎障害が起きてしまうと坂道を転げ落ちるように長期的な生命予後にも悪影響を及ぼしていくということも分かっている。


研究の背景2:造影剤腎症を予防するには?

治療法が存在しないので、造影剤腎症は起きないように予防する他はなく、その予防法に循環器内科医は心を砕いてきたが、これがなかなかうまくいっていない。
おおまかな傾向として、

年齢が高ければ危険

造影剤の量が多いと危険

もともとの腎臓の状態が悪ければ危険

もともとの心臓の状態が悪ければ危険

糖尿病が併存していれば危険


というところまでは経験論的に分かっているのであるが、現実には冠動脈以外に全く問題のない患者であれば造影剤腎症を起こすことがほとんどなく(発症率0.5%以下)、油断して忘れたころに痛い目に遭うというのがよくあるパターンである。
いろいろな報告を見てもその発症頻度は3~70%と多岐にわたっており、どうも複数のパラメータに対して注意を払うことに人間の頭は向いていないようである。


研究の背景3:統計的なモデルの作成

しかし、ビッグデータの時代を迎え、こうした領域にコンピュータの演算処理の助けを得ることができるようになった。

 

例えば上記はロジスティック重回帰式と呼ばれるものであるが、上記の式のpとされる部分が、その事象(例えば造影剤腎症)が起こる確率である。
Xが変数(例えば年齢)、βがその変数のその確率への影響の重みを表す係数なので、この係数が大きければ大きいほどその変数の腎症への寄与は大きいということになる。

 

ただ、多くの変数が存在すればするほど、その厳密な寄与度を見極めるためにたくさんのデータが必要になり、係数決定の演算にも時間がかかる。
しかし今世紀に入ってこうした一連の作業が、コンピュータの性能の向上とともに格段にやりやすくなり、いろいろな場で活用されるようになっている。
昨今話題となっている人工知能(AI)もこの手法を応用したものであり、このモデル式を入力されてくるデータとともにリアルタイムにつくり変えていくと、かなり人間の思考パターンと近くなることが知られている。


研究のポイント1:米国の腎症予測式を日本人で用いると

造影剤腎症の発症の予測モデルは海外で作成されたものが幾つか存在する。
しかし、わが国からは単施設からの報告が多く、これまで確定的な統計モデルを構築するには至っていなかった。
そこで今回、KiCS-PCIという関東一円の施設から集められたPCIのデータ(N=11,041)を活用し、米国循環器学会(ACC-NCDR)が作成した予測式の検証が行われた。

 
このデータ内での腎症の発症率は10.5%であった。
米国のデータベースでの腎症の発症率が7.3%であったことを考えると高いように見えるが、これは日米で患者層が全く違うため、単純な比較はできない(日本人の患者の方が一般的に高齢であり、造影剤の使用量も多い:一方で糖尿病などは米国人患者の方に多い)。
さて、このようにPCIの使われ方や患者層が異なる中で、予測式の一般化は可能なのだろうか?
結論から言うと、簡単な補正さえ行えば十分に米国の予測式は日本人の患者群でもその役割を果たした。


研究のポイント2:"Magic Number 7"?

重要なポイントとして今回の研究で予測のために必要なパラメータは次のようなものであった:

年齢、腎機能、脳卒中の既往の有無、心不全の既往の有無、PCI歴の有無、ACSかそうでないか、糖尿病、COPD、高血圧、心原性ショック・心肺停止の有無、貧血、心不全兆候の有無、そしてIABP使用の有無

 
合計で11の項目が存在するわけだが、この重み付けを人間の頭の中で行うことはほぼ不可能だ。
そのことは行動科学領域の研究からも明らかであり、ヒトが記憶から引っ張り出せるのはせいぜい同時に4つが精一杯で、ほとんどのケースでは 〇 か × かという二元論でしか判断できないとされている

今回検証された予測式を活用することで、わが国でも腎症の危険度が高い集団を正確に同定することができ、事前に十分な予防策を講じることができるようになると期待できる。
例えば、造影剤の使用量を抑える、またカテーテルの施行を急がずに十分に事前の輸液を行うなどといった手を打つことも可能である。
また、患者にリスクを提示する際に、各個人によって異なる腎機能障害発症の危険性を具体的な確率として提示できるようになり、カテーテルを受けるか否かの判断材料として役立つであろう。


考察:今後の医療そのものへの展望

こうした「リスクモデル」に対する国際間での精度の検証は、これまでほとんど行われてこなかったが、これからは重要になってくるものと考えられる。
国や医療システムの差を越えて一般化できる予測式は非常に重宝されるであろうし、電子カルテの普及とともに広く活用されることとなろう。
例えばカルテを書いていくことで徐々にその患者のリスクが自動的に計算されて提示されるということも、すぐそばにある「現実」である。データ収集の大規模化に伴い、今後ますますこうした動きは加速していくことになるのではないか。


造影剤腎症(CIN) 関連サイト

[PDF] 腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン 2012- 日本循環器学会

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/2012iodine_contrast.pdf


造影剤腎症の予防とその予後

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/doc/101009isaka.pdf


造影剤による急性腎障害

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/5/103_1074/_pdf


造影剤腎症(CIN)について

http://www.nmp.co.jp/member/heartpm/append/cin.html


造影剤腎症とその保護薬

http://www.pharmacol.or.jp/fpj/topic/topic_123_224.htm




私的コメント;

最近ビッグデータの研究を目的とした学部・学科の新設の動きがあります。


滋賀大で入学式 データサイエンス学部1期生も真実探求へ

http://kyoto-np.co.jp/education/article/20170405000139


横浜市大、ビッグデータ解析・活用の新学部 18年4月開設へ 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10126320Q6A131C1L82000/


広島大学が情報科学部 来春新設 解析の専門家育成 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14478160U7A320C1LC0000/ 





<自遊時間>

P1020114 のコピー

京都 龍安寺 石庭越しの桜 2017.4.9 撮影 



<きょうの一曲>

Schumann - Träumerei, "Kinderszenen" No. 7, Scenes from Childhood | Vladimir Horowitz

https://www.youtube.com/watch?v=6z82w0l6kwE



<きょうの一枚の絵>
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ファン・ゴッホ「刈り入れをする人のいる麦畑」1889.9、サン=レミ 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point4.html 



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心不全の新クラス薬、糖尿病例の血糖も改善 PARADIGM-HF試験の事後解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0324506797/?utm_source=mail&utm_medium=ranking170330&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1

心不全の新規クラス薬であるアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)sacubitril/バルサルタン(LCZ 696)が、ACE阻害薬のエナラプリルに比べて糖尿病を合併する心不全患者の血糖コントロール改善にも優れることが、PARADIGM-HF試験の事後解析から明らかになった。
米国の研究グループが第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC 2017.317~19、ワシントンD.C.)で発表した。

駆出率が低下した心不全患者を対象とした同試験の本解析では、sacubitril/バルサルタン群においてエナラプリル群と比べ心血管リスクが20%、心不全による入院リスクが21%、全死亡リスクが16%低下したが、今回の糖尿病合併例を対象とした解析では
長期のHbA1c改善も示されたという。
詳細はLancet Diabetes Endocrinol(2017年3月18日オンライン版)にも掲載


末梢でのインスリン感受性を改善

PARADIGM-HF試験では、左室駆出率(LVEF)40%以下の収縮性心不全(HFrEF)患者8,442例をsacubitril/バルサルタン(97mg/103mg 1日2回)群またはエナラプリル(10mg 1日2回)群にランダムに割り付けた。
本解析の結果では、sacubitril/バルサルタンはエナラプリルに比べて主要評価項目(心血管死と心不全による入院の複合)のリスクを有意に低下させたが、糖尿病の新規発症を抑制する効果は認められなかった。
ただ、糖尿病の新規発症は2%以下と極めて低かった。
一方で、sacubitril/バルサルタンは肥満の高血圧患者において末梢組織でのインスリン感受性を改善することが報告されている。

 
そこでSeferovic氏らは、同試験においてランダム化された8,399例のうち、スクリーニング時に糖尿病の既往歴があるか、HbA1cが6.5%以上だった3,778例(平均年齢64.1歳、男性79%、2型糖尿病98%)を対象に事後解析を実施した。


心不全の予後改善とは独立したHbA1c改善効果

スクリーニング時のHbA1cはエナラプリル群で7.48(SD 1.58)、sacubitril/バルサルタン群で7.41(同1.51)と、両群間に有意差はなかった。
追跡1年目のHbA1cはエナラプリル群で0.16ポイント(同1.40)、sacubitril/バルサルタン群では0.26ポイント(同1.25)低下した。
また、3年の追跡期間を通じたHbA1cの低下率は、エナラプリル群に比べてsacubitril/バルサルタン群で有意に優れており、両群間の差は0.14ポイントだった。

 
さらに、糖尿病合併例におけるHbA1cの変化と心血管死と心不全による入院の複合評価項目との間に有意な関連は認められず、心不全とHbA1cに対するsacubitril/バルサルタンのベネフィットは独立したものであることが示唆された。


インスリン療法の新規開始が29%減少

その他、ランダム化の時点でインスリン未使用だった糖尿病合併例を対象とした解析では、追跡期間中にインスリン療法を新規に開始した患者の割合がエナラプリル群(10%)に比べてsacubitril/バルサルタン群(7%)で有意に少なかった。
また、統計学的に有意ではなかったが、sacubitril/バルサルタン群では経口血糖降下薬の使用を新規に開始した患者が少なかった。

 
以上の結果から、研究グループ代表は「sacubitril/バルサルタンは心不全の予後改善効果に加えて糖尿病を合併するHFrEF患者の代謝を改善する効果も有する可能性があることが示唆された。sacubitril/バルサルタンによる心不全治療を受けている糖尿病患者は、インスリンや血糖降下薬の用量を調節する必要があるかもしれない」と結論付けている。

 

一方、同誌の付随論評(2017年3月18日オンライン版)では「一部の糖尿病治療薬は心不全の症状や予後を悪化させ、β遮断薬や利尿薬など一部の心不全治療薬は低血糖を悪化させる可能性がある。したがって、糖尿病の新規発症あるいは血糖コントロールの悪化を予防する心不全治療薬は歓迎すべき治療選択肢となる」との見解を示している。 



<自遊時間>

院外と院内処方、調剤報酬に6.6倍の開き かかりつけ薬剤師、医薬分業に厳しい改定予想

https://www.m3.com/news/iryoishin/515935



侃々諤々のコメントより・・・

「同一労働6.6倍賃金格差」

「かかりつけ調剤178点、院内は27点」

「医師は奴隷同然」

「調剤→袋詰め料」


解熱鎮痛剤・抗生剤を7日分処方した場合、院内調剤では27点だが、いわゆる門前薬局の調剤では105~110点、かかりつけ薬剤師・薬局での調剤は178点で、約6.6倍の開きがある・・・。


医薬分業そのものに懐疑的な意見も診療側から出され、薬局にとって厳しい改定になる様相を早くも呈している。


日本医師会常任理事の松本純一氏は、これらの資料に対し、「患者に向き合って丁寧に向き合って対応する、かかりつけ医のモチベーションを下げ、傷つけるものだ。『患者本位の医薬分業』というが、『患者本位の調剤』を目指すのではないか。医薬分業ありきで議論しなければならないのか」と問題提起した。2剤以上の内服薬を一包化した場合などに算定できる「一包化加算」も、院内処方には設定されていないなどの問題も指摘。院内処方と院外処方の調剤に係る報酬が整合性に欠ける問題は、日医副会長の松原謙二氏、全日本病院協会副会長の猪口雄二氏からも挙がった。


松本氏の発言に、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏は、「医薬分業は患者本位になるという前提を覆す議論」と指摘。医薬分業を推進してきた中で、患者本位ではない部分もあり、その問題点は当然議論すべきだが、「医薬分業が目指すべき形であることを前提に、事務局(厚労省)が毅然として対応しないと、ぶれた議論になる」


これを受けて発言したのは、日医副会長の中川俊男氏。「医薬分業は患者のためになる、という思いで仕組みを作ってきたが、決定的に抜けていたのは、分業の担い手が、営利企業であるという点だ。製薬企業も同様だが、公的な国民皆保険のプレーヤーとしての自覚があるかどうかが、(非営利の医療機関と)決定的に違う」などと述べ、昨今の調剤医療費の伸び、特に大手調剤薬局チェーンに財源が集中し、莫大な内部留保があることを問題視。「薬局の特徴ごとの機能」の資料についても、副作用のフォローアップをはじめ、より適切にできるのは院外処方より院内処方であると指摘。


参考

調剤報酬(その1)について

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158273.pdf

私的コメント;

「中医協」は、この資料の中で「医療費の適正化にも貢献することが期待される」と書いています。

そもそも医薬分業が医療費の暴騰を招いているわけですから笑止千万です。

厚労省のHPに「中医協」の議事録が出ているわけですから、厚労省に対して「中医協」が中立的立場でないことは明らかです。

「中医協」の構成員を調べるほどの時間も情熱もありませんが、医師側の意見が反映される組織ではないことだけは確かなようです。

(門前薬局は医療費アップの下手人)


外来医療(その2)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000158415.pdf

(この資料から何が読み取れるか・・・)




<きょうの一曲>

Olga Jegunova - W.A. Mozart: Piano Sonata No 11 in A - Major, K.331 (300i)

https://www.youtube.com/watch?v=vp_h649sZ9A



<きょうの一枚の絵> 

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「モンマルトル、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏」

1887年7月、パリ 油彩、カンヴァス ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html





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AF治療の「実臨床」を専門家3氏が解説

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0406506914/

(MT 2017.4.6)

心房細動(AF)患者における抗凝固療法では、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)によりワルファリンと同等以上の脳卒中抑制効果が得られることが、各薬剤のランダム化比較試験(RCT)から明らかとなっている。
しかし、RCTの母集団とは背景が大きく異なる実臨床の現場(リアルワールド)では、あらためてDOACの有効性と安全性を検証するとともに、個々の患者に応じた最適なDOACを選択することが重要になる。
(第81回日本循環器学会(2017.3.17~19) ミート・ザ・エキスパート「抗凝固療法:RCTからReal World」)


米国のデータベース研究から見るDOACの安全性

これまでのDOACのRCTはワルファリンが対照薬であり、各DOACの効果をhead-to-headで比較したRCTはいまだない。
したがって、リアルワールドでのDOAC選択の際、各DOACの有用性を比較することには困難が伴う。
米国・Mayo ClinicのPeter A. Noseworthy氏らは、全米の民間医療保険加入者やメディケア・アドバンテージのデータベースから、DOACの効果と安全性を検討した。

 
同氏らは、まず3剤のDOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)またはワルファリンの1年以上の使用歴があるAF患者を抽出し、ワルファリンとDOAC 3剤を比較したところ、各DOACのRCTの結果と大きな相違がないことを確認した。

 
その後、DOAC 3剤のデータからpropensity scoreをマッチさせたリバーロキサバンvsダビガトラン(各1万5,787例)、アピキサバンvsダビガトラン(各6,542例)、アピキサバンvsリバーロキサバン(各6,565例)の3群を設定して、各DOACの効果を比較した。
その結果、脳卒中および全身性塞栓症の抑制効果では各群間で有意差は認められなかったが、大出血の抑制ではリバーロキサバンおよびダビガトランに比べてアピキサバンが有意に優れることが示された。


DOACのRCTでは、それぞれ年齢や腎機能に応じて用量を調節しており、わが国でも必要に応じた減量基準が設けられるなど、個々の患者背景に適した用法用量が用いられている。
しかし、リアルワールドでは、この用量調節が厳密に行われていない可能性があり、これがRCTとリアルワールドの成績が乖離する理由の1つと推測される。
同氏らの検討においては、各DOACとも80歳以上の高齢者や脳卒中リスク(CHA
2DS2-VAScスコア)と出血リスク(HAS-BLEDスコア)の高い患者で、本来減量すべきでないにもかかわらず不適切に減量されている例(under-dose)が多く、減量すべきであるにもかかわらず通常用量が用いられていた患者(over-use)には、若年者の割合が高く、脳梗塞リスクおよび出血リスクの低い例の割合も高かった。

 
以上の点を踏まえ、同氏は「DOACのRCTの成績はおおむねリアルワールドでも当てはまる。
また、安全性はとりわけアピキサバンで期待できると考えられる」とし、DOAC使用の注意点として「リアルワールドでは多様な背景を有する患者が存在するが、脳卒中発症抑制のためには安易な減量投与を避けた方が好ましい」と結んだ。


日本 vs. 世界の抗凝固療法

続いて登壇した国立病院機構大阪医療センターの是恒之宏氏は、現在進行中のAF患者の国際共同観察研究であるGARFIELD-AFの概要および日本人コホートにおける中間解析結果を紹介した。

 
GARFIELD-AFの対象は、18歳以上で新規に診断され(6週間以内)、主治医により1つ以上の脳卒中リスクがあると判断された非弁膜症性AF患者。2009年~16年まで欧米やアジア諸国を含む世界の35カ国において5万7,262例が登録され、そのうち日本での登録は4,858例(9.4%)を数えて世界最多となっている。
登録年度により対象を5つのコホートに分け、抗凝固療法とその1年ごとのアウトカムについて前向きに検討した。

 
解析の結果、日本とその他の34カ国での登録例の患者背景を比較すると、平均CHA
2DS2-VAScスコアが3.0対3.2、HAS-BLEDスコアが1.2対1.4で、脳卒中と出血リスクはともに日本がやや低かった。
抗凝固療法については、登録年度が新しいコホートほどワルファリンの使用例が減る一方、DOACの使用例が増加した。特に日本ではその傾向が顕著で、その他の34カ国と比較してもDOACの使用割合が高かった。
ただし、アジア全体で見ると、抗血小板薬の使用例が多かった。日本においてDOAC導入がスムースであった理由として、「承認時期が早かったこと」「日本の心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)で推奨されていること」などが要因として考えられる。

 
登録から1年後における日本とその他の34カ国の脳卒中および全身性塞栓症は1.32%対1.43%、大出血は0.32%対0.87%,全死亡率は1.83%対4.24%で、いずれも日本での発生率が低かった。
日本での全死亡率が顕著に低い理由については「寿命が長い」「大出血が少ない」「抗凝固薬の処方が適切な割合が高い」「医療機関へのアクセスが容易」などが推察される。

 
同氏は「GARFIELD-AFにおいて、グローバルのデータが蓄積されるにつれ、DOACを含めた抗凝固療法への理解がより進むものと思われ、今後の動向に注目したい」と締めくくった。


RCTとリアルワールドのデータ乖離をどう見るのか?

日本では現在、多くのレジストリ研究が進行中である。
最後に登壇した国立病院機構京都医療センターの赤尾昌治氏は、同氏らが実施している伏見心房細動患者登録研究(Fushimi AF Registry)を例に挙げつつ、レジストリ研究がリアルワールドの理解と把握に果たす役割について考察した。

 
RCTの成績は良質なエビデンスとして評価される一方、限られた患者集団や条件下での成績であるため、リアルワールドにおいても同等の有用性が認められるかを確認することが重要である。
その方法としては、レジストリ研究、市販後調査、データベース研究などがあるが、どのようなリアルワールドを想定するかによって、さまざまな規模のものが考えられる。
例えばレジストリ研究に関しても、先述の是恒氏が取り上げたGARFIELD-AFのような世界的規模のものもあれば、地方医師会などが行っている地域主導のものもある。

 
Fushimi AF Registryは伏見医師会が行っているた地域主導のレジストリ研究の1つで、京都市伏見区のAF患者全例の登録を目指し、抗凝固療法の実態調査や予後追跡を目的としている。
Fushimi AF Registryでは、ワルファリン時代の抗凝固療法の成績が反映された2013年10月時点での解析において、抗凝固薬ありの群となしの群で脳卒中および全身性塞栓症の発症率、大出血の発現率が変わらないという、臨床家にとってはショッキングな成績が示された(Circ J 2014; 78: 2166-2172)。
さらに、DOACの処方率が大幅に高まった直近のデータでも、ワルファリン、DOAC、抗凝固薬なしの3群で脳卒中および全身性塞栓症の発症率に差は見られなかった。

 
RCTと同様の結果がFushimi AF Registryでは示されなかった要因としては、まず抗凝固薬のunder-doseが考えられる。
Fushimi AF Registryでは2015年の解析で、DOACの低用量投与患者の過半数は不適正減量であったことが明らかになった
米国の検討では、
抗凝固薬のunder-doseまたはover-useを行うと、通常用量に比べて入院や死亡などのイベント発生率が高まることが報告されており、そのような事態を回避するためにDOACの適切な処方が求められる。
また、リアルワールドにおける成績の低下には
抗凝固療法に対するアドヒアランス不良も考えられ、適切な処方のみならず患者が適切に使用しているかの確認も重要となる。


このようにレジストリ研究では、母集団によりRCTとは大きく乖離したデータが示されることも起こりうる
そのことについて、赤尾氏は「数あるレジストリ研究のどれか1つが真実というわけではなく、それぞれが"リアルワールド"の姿を示している。
臨床家は自分が置かれているリアルワールドとはどういうものか、そのレジストリ研究がリアルワールドと合致しているか、RCTとレジストリ研究の成績に乖離が生じている理由は何かをじっくり考察し、臨床に生かしていくことができるかを見極めることが重要」と結論付けた。

私的コメント;

レジストリ研究が「実臨床の現場(リアルワールド)」であって、レジストリ研究はそれとは違うと考えていました。

リアルワールドの意味がわからなくなって混乱してしまいます。



<自遊時間>

大動脈弁狭窄症の99歳に最新手術成功 滋賀医科大病院のTAVI

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170314/CK2017031402000016.html 

私的コメント;
なによりも99歳という年齢に驚きます。
 


<きょうの一曲>

André Rieu - Granada

https://www.youtube.com/watch?v=PvTOmNSmbdw



<きょうの一枚の絵> 

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ポール・ゴーギャン 
ブルターニュの少年の水浴(愛の森の水車小屋の水浴、ポン=タヴェン) 
1886年7-8月初め 油彩、カンヴァス

公益財団法人 ひろしま美術館

http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html 

最初のポン=タヴェン(ブルターニュ)滞在で描かれた作品で、印象派の表現が色濃く残された細かい筆触により水浴する少年を描いている。

後にこの地で象徴主義の画家として表現を大きく変えていくが、本作にみられるような飾り気のない素朴な世界への憧憬は変わることはなかった。

アルルへ制作拠点を移すファン・ゴッホもこうした地方への思いを共有している。
http://www.g-g2016.com/aichi/point2.html 

 
 


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iFRガイドPCI、FFRガイドに比べ非劣性/NEJM

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43702

安定狭心症または急性冠症候群(ACS)の患者に対し、iFR(instantaneous wave-free ratio:瞬時血流予備量比)ガイド下の血行再建術は、FFR(fractional flow reserve:冠血流予備量比)ガイド下に比べ、術後12ヵ月以内の主要有害心イベント(MACE)発生リスクは非劣性であることが示された。
スウェーデン・ルンド大学のMatthias Gotberg氏らが、2,037例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。
これまでに、小規模試験でiFRとFFRの診断精度が同等であることは明らかになっているものの、iFRとFFRガイド下での血行再建術に関する臨床アウトカムについては不明であった。
NEJM誌オンライン版2017年3月18日号掲載の報告。


12ヵ月以内のMACE発生率を比較

研究グループは、Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry(SCAAR)から、安定狭心症またはACSで、冠状動脈狭窄の生理学的ガイド下評価が適応の2,037例を対象に、非盲検多施設共同無作為化比較試験を行った。


被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはiFRガイド下で、もう一方にはFFRガイド下で、それぞれ血行再建術を実施した。


主要エンドポイントは、全死因死亡・非致死的心筋梗塞・術後12ヵ月以内の予定外の血行再建術の複合だった。

 

術中の胸部不快感はiFR群で大幅に減少

主要エンドポイントの発生は、iFR群1,012例中68例(6.7%)、FFR群の1,007例中61例(6.1%)であり、イベント発生率差の95%信頼区間の上限値が、非劣性マージンとして事前に規定した3.2ポイント以内で、iFR群の非劣性が示された。
この結果は、主なサブグループの検討でも同様に認められた。また、心筋梗塞、標的血管血行再建術、再狭窄、ステント血栓症の発生率も、両群で同等だった。


なお、術中に胸部不快感を訴えた患者の割合は、FFR群が68.3%だったのに対し、iFR群では3.0%と有意に低率だった。



臨床的価値が見いだせない(解説:野間 重孝 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43720

FFRやiFRという技術がなぜ開発されたのかを、まず考えなければならないと思う。
これらの技術は血行再建が必要な患者とそうでない患者を根拠をもって識別し、不必要なPCIが行われることを防止する、つまり根拠をもって施術中止(defer)を判断するために開発されたデバイスであると思う。
なぜなら、その逆のケース、つまり血行再建が必要なのに術者の誤った判断により施術されなかったというケースは、実際には考え難いからだ。
また、上述したようにこれらは中等度狭窄を対象として、施術の適応を決定するためのデバイスであるから、不安定狭心症や心筋梗塞のように、どのような原因にしろ、そこに虚血があることがすでにわかっている症例を対象とすることは本来あり得ない。


PCIというのは、施行するといったん決まったならば、開大に失敗したケースなどを除いてFFRやiFRは必要ないはずである。
一連の開大のためのデバイスのほかに必要なものは、IVUSを代表とする観察機器であって、血流測定(実際には圧測定だが)機器は必要とされない。
かつ、術成績はどのような合併症を有していたか、どのような病型であったかといった患者側の条件と術者の技量で決定される。
つまり、施術すると決定して施術された場合は、それがFFRによって決定されたものであっても、iFRによって決定されたものであっても、施術そのものに本質的な違いはない。論文中に、血流測定機器を利用したPCIのほうが成績がよいといった記述がみられるが、理解できない。
術者の勇み足から不必要なPCIが行われてしまったという議論ならば納得できるが、いったん施術されたものの間に差が出たとなると、正直技術的に拙劣なのではないかと疑いたくなるといったら失礼だろうか。


議論されなければならないとすると、それらのデバイスによりdeferされた症例がその後どのような経過をたどったかではないだろうか。この論文では、すべての患者をひとまとめにして追跡しており、deferされた患者を独立して観察することは行われていない。
もう一度繰り返すが、いったん施術されてしまえば、その成績に術前の血流測定機器が影響を与えるとは考えられない。
さらに繰り返しになるが、不安定狭心症や心筋梗塞患者が対象として含まれていることにも納得できない。


このような論文評であまり強い言葉を使用することは適当でないことは十分承知しているが、あまり臨床に詳しくない統計の専門家が無理やりにrandomizeしたデザインとしか思えず、臨床的価値が見いだせない。



<自遊時間>

院外と院内処方、調剤報酬に6.6倍の開き

https://community.m3.com/v2/app/messages/2682664 




<きょうの一曲>

W.A. Mozart Konzert für Klarinetten und Orchester A-Dur KV 622 & Symphonie Nr. 12 G-Dur KV 110

https://www.youtube.com/watch?v=IARUa3l5Hxg


Mozart - Clarinet Concerto [Sharon Kam]

https://www.youtube.com/watch?v=o_gm0NCabPs&t=73s


Wolfgang Amadeus Mozart: Clarinet Concerto in A major, K.622

https://www.youtube.com/watch?v=YT_63UntRJE


© Mozart - Clarinet concert in A - Martin Fröst - DRSO - Thomas Søndergaard

https://www.youtube.com/watch?v=BKy967puebk





<きょうの一枚の絵>

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ポール・ゴーギャン   「タヒチの3人」 1899年 油彩、カンヴァス スコットランド国立美術館

http://www.g-g2016.com/aichi/point5.html




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PCSK9阻害薬に最適使用ガイドライン 厚生労働省

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0404506880/

厚生労働省は3月31日、前駆蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9) 阻害薬であるエボロクマブ(商品名レパーサ)とアリロクマブ(同プラルエント)の「最適使用推進ガイドライン(GL)」を公表した。
「革新的な新規作用機序医薬品を真に必要な患者に提供することが喫緊の課題」として、GLでは投与の対象となる患者選択の基準を提示。また、それぞれの薬剤の使用について「十分な知識があり、一定の能力を有する医師が所属している」といった施設に求められる具体的な要件も示されている。

 
「副作用への適切な対応が可能」なども施設要件に

今回公表された適正使用推進GLは、いずれも厚労省が日本臨床内科医会、日本循環器学会、日本動脈硬化学会などの協力を得て策定したもの。
GLでは冒頭、策定の背景について「近年の科学技術の進歩により、抗体医薬品などの革新的な新機作用機序医薬品が承認される中で、これらの医薬品を真に必要な患者に提供することが喫緊の課題となっている」と説明。
昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる「骨太方針2016」)でも、革新的医薬品などの使用の最適化推進が盛り込まれているとしている。

 
両GLでは、それぞれの薬剤の特徴や作用機序、臨床成績のデータとともに、これらの薬剤を用いた治療を行う施設や対象となる患者の選択基準、投与に際して留意すべき事項などが示されている。

 
施設に対しては、これらの薬剤の使用に当たって「十分な知識があり、動脈硬化性疾患の包括的リスク評価を行うとともに、リスク因子としての脂質異常症、糖尿病、高血圧症、慢性腎臓病などの病態を十分に理解し、動脈硬化性疾患の発症予防・治療のための診療を担当している、一定の能力
※1を有する医師が所属する施設である」ことが求められている。

また、
①製造販売後調査が適切に実施できる
②医薬品リスク管理計画(RMP)の安全性検討事項に記載された副作用に対して自施設または近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、直ちに適切な処置が行える体制が整っている
―ことなども要件として挙げられている。


スタチンの「最大耐用量」「一定期間」にも具体的な目安

投与対象者の選択に関しては、「主として脂質管理目標値に達していない家族性高コレステロール血症(FH)患者、冠動脈疾患の既往のある患者が想定される」と記載。
これらに該当しない心血管イベントのリスクが高いと考えられるFHを除いた高コレステロール血症患者(non-FH患者)に対しては、スタチンのアドヒアランスや動脈硬化性疾患に関する他のリスクファクターの管理の状況を慎重に評価した上で使用すべきとしている。

 
また、non-FH患者の心血管イベントのリスク評価では、「①冠動脈疾患(安定狭心症に対する冠動脈形成術を含む)の既往歴②非心原性脳梗塞の既往歴③糖尿病④慢性腎臓病⑤末梢動脈疾患―のうち1つ以上を有する場合を目安とする」としている。

 
さらに「最大耐用量
※2のスタチンを一定期間(FHおよび上記①または②の患者では、担当医師が臨床上十分な観察期間と判断する期間。それ以外の患者については原則として3カ月以上)投与しても、脂質目標値に到達していない」「食事療法や運動療法、禁煙および他の動脈硬化疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症)の軽減を含めた内科的治療が十分に行われている」ことなども、エボロクマブとアリロクマブの使用の要件となる。
この他、これらの薬剤を使用する前に、スタチンに加えてエゼチミブを併用することも考慮すべきとしている。


作用や安全性が既存薬とは明らかに異なる薬剤が対象に

最適使用推進GLは、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品とは明らかに異なる新規作用機序の医薬品について策定される。
今年2月には同GLの第1弾として、ニボルマブとペムブロリズマブについてそれぞれGLが公表されている。

 
厚労省は、同GLを策定することで対象となる薬剤の有効性や安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、特にその薬剤の恩恵を受けられると期待される患者への使用を推進。
また、副作用が発現した際に対応可能な一定の要件を満たした医療機関での使用を促すとしている。




<自遊時間>
入院病床、1割減らす計画 2025年、全国で計15万床 在宅医療、促す

https://www.m3.com/news/general/516987?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170402&dcf_doctor=true&mc.l=214475085

私的コメント

増える在宅医療患者の受け皿作りが先決のはず。

この記事には主語(計画をする主体)が脱落しています。

一体どういった連中が画策しているのでしょうか。

自然減に対応した計画とも思えませんが、明らかに2025年問題に取り組んでいる姿勢(だけを)示したもののように感じられます。

これも在宅医療を促すハシゴの一つでしょうか。

「外来のみ開業医」の老医とした「在宅医療」の火の粉が降りかかって来ないように祈るのみです。


話はそれますが例の◯池問題。

国会での証人喚問で「ハシゴを登ったのはあなたですが、かけたのは誰ですか?」という質問に対して◯池がすかさず「私です」と答えたシーンは最高に傑作でした。


<参考>

以下は、ちょっと古いですが、日医雑誌(1998.1.1)の「あとがき」からです。

「医療への国民の期待に応えるためには、その根本となる医療政策の決定にあたって、医療の現場を最もよく知っている医師をはじめとする医療担当者の意見が、もっと反映される必要がある。今の政策決定に最も大きな力をもっているのは、医師でも患者でもなく、医療の現場をほとんど体験したことのない経済学者や評論家、実業家であり、また官僚であって、患者や弱者の声はほとんど届かない。このような人たちがつくった医療改革の施策の結果、生ずる矛盾や国民の不満を受け止めなければならないのは、現場の医師である。医師の代表として日医執行部の一層の奮闘を期待している」

こういったことは昔も今も変わりありません。
現在の「あとがき」にもつかえそうですが、これを書かれたのは某大学の臨床系の教授です。
「医師の代表」といわれても臨床の第一線で医療をされている方ではありません。
些か違和感を覚えます。
一つ間違えれば 「医療の現場をほとんど体験したことのない」側の「医師」、例えば有識者会議や諮問委員会のメンバーとなりうる偉い方です。



<きょうの一曲>

Joseph Haydn - Cello Concerto No. 1 (Mstislav Rostropovich)

https://www.youtube.com/watch?v=eU5KdY_04kU 


Mischa Maisky - Haydn - Cello Concerto No 1 in C major

https://www.youtube.com/watch?v=mooB5Q-0FIE


Haydn: Celloconcert in C - Marie-Elisabeth Hecker & Radio Kamer Filharmonie [HD]

https://www.youtube.com/watch?v=PulffEOx1W4



<きょうの一枚の絵> 

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ファン・ゴッホ「刈り入れをする人のいる麦畑」  
1889年9月、サン=レミ 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

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HRTが動脈硬化の進展を抑制か 死亡リスクも低下、米・後ろ向きコホート研究

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0327506804/

更年期障害の症状を改善するためにホルモン補充療法(HRT)を受けている女性では、HRTを受けていない女性に比べて死亡リスクが低く、冠動脈石灰化スコアで評価したプラーク蓄積も少ないことが米国の閉経後女性約4,000例を対象とした後ろ向きコホート研究で示された。
(ACC 2017、3月17~19日、ワシントンD.C.)


HRTによる利益と害が議論の的に

HRTによる健康への影響をめぐっては、骨粗鬆症リスクの低減や心血管マーカーの改善といった有益性に関する報告がある一方で、がんや脳卒中などのリスク上昇に関連するとした害についても指摘があり、数十年来にわたり議論が続いていた。
今回、閉経後女性を対象とした大規模コホート研究を実施。
HRTが冠動脈石灰化と死亡リスクに及ぼす影響について後ろ向きに検討された。

 
解析対象は、1998~2012年に同氏らの施設でCT検査を受け、冠動脈石灰化スコアを測定した無症候の閉経後女性患者4,286例(平均年齢62.4歳)。
41%がCT検査時にHRTを受けていた。
HRT施行率は1998年の60%から2012年には23%まで低下していた。
CT検査時の平均年齢はHRT非施行群の60歳に対してHRT施行群では64歳と有意に高齢だった。


非施行群に比べ死亡リスク30%減

平均8.4年の追跡期間中に6.3%が死亡した。
死亡率はHRT非施行群の6.8%に対してHRT施行群では5.8%と低く、年齢、冠動脈石灰化スコア、心血管危険因子(糖尿病、高血圧、高コレステロール血症など)で調整後の死亡リスクは30%低下した。
また、HRT非施行群に比べてHRT施行群では冠動脈石灰化スコアが0となる割合が高く、同スコアが399以上となる割合は低いことが示された。

 
年齢層別、冠動脈石灰化レベル別といった全サブグループにおいて、HRTは動脈硬化の進展を抑制し、死亡リスクを低下させることが示された。
ただし、「HRTによるベネフィットが期待できない患者群、あるいは害が予想される患者群を同定するための前向き研究やランダム化比較試験を実施する必要がある」との見解を示している。



<自遊時間>

国際医療福祉大学、医学部一期生140人迎え、入学式

https://community.m3.com/v2/app/messages/2684556

170402yhP2

定員140名にはびっくらこいた。

さて、日本医師会長と並んで同推薦の武見氏も主賓として列席。
後列右端に自見氏もみえる。
少なくともこの写真を見る限り、日本医師会は新設医大増設そしてそれに伴う医師数増員に賛成だったという形になっている。

日本医師会は医学部定員増員や医学部新設に対して憂慮する立場をとって来た。

何という厚顔無恥ぶり、そして医師会会員の心を逆撫でする軽率な行動なんだろう。
(「私人として出席」という言い訳は、写真でもわかるように「肩書き」が書かれている限り通じない)


 

全国80大学で医学部の定員は平成19年には7,625名であったが,平成28年度には9,134名となり,その増加は1,509名にもなる。

これは定員100名の医学部が15も増設されたことに相当する。

(ちなみに私の時代は全国で約40大学で医学部の定員はおおよそ4,000名ぐらいだったと記憶する)

https://www.ajmc.jp/pdf/1-2kaiken.pdf


 
 

<きょうの一曲>

もう遅すぎるIl est trop tard

http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-556.html


Georges Moustaki Il est trop tard

https://www.youtube.com/watch?v=SoGyvc0-yYM


時は過ぎてゆく-[金子由香里]

http://gramali.blogspot.jp/2010/10/blog-post.html


「時は過ぎてゆく」 "Il est trop tard" 

http://lapineagile.blog.fc2.com/blog-entry-210.html


 



<きょうの一枚の絵>

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ポール・ゴーギャン 《自画像》 1885年前半 油彩、カンヴァス キンベル美術館

http://www.g-g2016.com/aichi/point1.html



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家庭血圧による夜間血圧の初RCT 自治医大・NOCTURNE研究

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0329506822/?utm_source=mail&utm_medium=recent170330&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1

自治医科大学循環器内科学主任教授の苅尾七臣氏らは、家庭血圧計で夜間高血圧と判定された患者を対象に、ARB/CCB併用またはARB/利尿薬併用による夜間降圧と臓器障害への影響を検討するランダム化比較試験(RCT)・NOCTURNEを実施した。
同試験は、コントロール不良の夜間高血圧患者が対象で、情報通信技術(ICT)を用いて夜間家庭血圧のデータを自宅から自動転送し正確性を担保した初のRCT。
ARB/CCB併用が夜間血圧をより顕著に低下させることを明らかにし、准教授の星出聡氏が第81回日本循環器学会(3月17~19日)で発表、Circ J(2017年3月17オンライン版)に同時掲載した。

4週後、8週後、12週後の家庭夜間血圧を午前2時、3時、4時に測定

苅尾氏らは、J-HOP研究で家庭血圧計により測定した夜間血圧が、24時間血圧計(ABPM)で測定した夜間血圧と同程度以上に臓器障害と関連することを証明した。
しかし、自己記入式の家庭血圧測定器の場合、必ずしも血圧値が正確に記載されないため、今回、自動記録されるICTを利用することで家庭血圧の問題点である正確性を担保した。

 
方法は、未治療あるいは2剤までの降圧薬治療中の高血圧患者にイルベサルタン100mg/日を4週間投与して、なお夜間血圧が120/70mmHg以上であった患者を、アムロジピン5mg/日併用群(ARB/CCB群、203例)とトリクロルメチアジド1mg/日併用群(ARB/利尿薬群、208例)にランダムに割り付けた。
4週後、8週後、12週後に夜間血圧を測定(いずれも午前2時、3時、4時)してもらい、夜間血圧の変化、臓器障害の指標である尿中アルブミン/クレアチニン比(UPC)とN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NTproBNP)を比較した。


臓器障害の指標も有意な改善を確認

ベースラインの夜間血圧は、ARB/CCB群128.2/79.2mmHg、ARB/利尿薬群128.4/79.4mmHgであり、12週後の夜間血圧は4週後に比べて両群ともに有意に低下した。
しかし降圧効果については、ARB/利尿薬群に比べてARB/CCB群で有意に高かった。
起床時、就寝前の家庭血圧、坐位・立位の外来血圧も同様の結果であった。

 
UPCおよびNTproBNPについても両群とも4週後に有意に低下し、NTproBNPの変化率はARB/利尿薬群に比べてARB/CCB群で有意に低かった。

 
星出氏は「高血圧治療ガイドラインではARB/CCB併用、ARB/利尿薬併用のいずれも推奨されているが、夜間降圧効果はARB/CCB併用の方が有意に高かった」と結論した。



<自遊時間> 先週体験した印象深い患者
当院は定期検査の際には「次回採血しますからよろしくお願いしますね」 などと言って予約票を患者に手渡している。
ある患者(2型糖尿病、非弁膜症性心房細動) が来院。
診察中に採血コーナーから大きな声が聞こえて来た。
ナースに向かって「あんた初めて見る顔だね。採血怖いから前にやってもらった◯◯さんがいた時にやってもらうわ」 
ナースが可哀想なので診察室から「△△さん、今日は採血やめとこ」とナースに向かって叫んでしまった。 
患者はその後診察室に入って来た。
平然とした顔をして「きょうは採血やめときましたわ。ところで最近動悸と息切れがひどいんですわ。なんとかなりませんか?」 
話を聞きながら「BNPを測った方がいいかなとか胸部レントゲンや心電図は・・・」と心の中で思ったが 検査のオーダーについては「心のブレーキ」がかかった。
「最近むくみやすい」とも言い血圧測定でも172/97mmHg、脈拍122/分。
心不全の合併が考えられたので「アーチスト(2.5)2T、オイテンシン1C、セララ1T」を処方に追加した。
「きょうのところはお薬を少し追加しておきます。10日分だけにしてよくならなければ再来院してください」
返す刀で「先生ただでさえ薬が多いのにきょうは結構です」。
こちらは、あわてて追加処方を消して「ああそうですか・・・」。
思わず間髪入れずに「次の方どうぞ」と久しぶりに大きな声を出してしまった。

 

追記

あえて「患者さん」ではなく「患者」と書きました。

オスラー博士のいう「平静な心」 なんて無理です。



<きょうの一曲> 

Dave Brubeck - Take Five ( Original Video)

https://www.youtube.com/watch?v=PHdU5sHigYQ




<きょうの一枚の絵>  

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「タマネギの皿のある静物」 1889年1月初め、アルル 油彩、カンヴァス

クレラー=ミュラー美術館 所蔵

http://www.g-g2016.com/aichi/point4.html



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スタチンによる筋症状は、ノセボ効果で説明できるか?

http://www.carenet.com/medscape/diabetes_endocrinology/000372.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017032303

米国では、約2,500万人の成人がスタチン系薬剤を使用している
lovastatin
が約30年前に承認されて以来、心血管(CV)イベントと死亡率を低下させるため、これらの薬剤はCV疾患に罹患する患者だけでなく、罹患していない患者においても処方されてきた


以下に知っておくべきことを挙げる。

1.スタチンは心血管リスクを低下させる

Scandinavian Simvastatin Survival Studyをはじめとする多数の無作為化比較試験から、スタチン系薬剤が心筋梗塞(MI)、虚血性脳卒中、血管性死亡を減少させることが明らかとなっている。

17万例を組み入れた無作為化比較試験に関するメタアナリシスでは、プラセボもしくは標準治療と比較して、スタチン療法を受けている参加者において、LDLコレステロール(LDL-C)が1mmol/L(39mg/dL)低下するごとに、主な血管性イベント(冠動脈心疾患、虚血性脳卒中、および血行再建術)リスクが22%低下することがわかった。
また、LDL-Cが1mmol/L低下するごとに全死亡リスクも10%低下した

これらの結果は、年齢、性別、ベースラインのLDL-C、血管性疾患歴によらず同様であった。

別のメタアナリシスでは、CVリスクが低い(10%未満)患者も、スタチン療法からCVに対するベネフィットを得ることが明らかとなった
これは、LDL-Cを2~3 mmol/L(80~120 mg/dL)低下させると、数年以内のCVリスクが40~50%低下する可能性があることを示唆している。
また、CVリスクが同等の男性と女性の間で、血管性疾患と死亡率に対する効果に差がないことも判明している


2.スタチン系薬剤のベネフィットは安全性リスクを上回り、重篤な有害事象はまれ

スタチン誘発性ミオパチーは、本ウェブサイト(Medscape)やほとんどのスタチン系薬剤の添付文書の中で、正常値の上限(ULN)の10倍を超えるクレアチニンキナーゼ(CK)の上昇を伴う、原因不明の筋痛もしくは脱力感として定義されている
スタチン系薬剤に関連するミオパチーはまれであり、ミオパチーを発症する患者は0.1%未満である

その最も重度な型である横紋筋融解症の発症率はさらに低い。
横紋筋融解症は筋細胞の壊死とCKの顕著な上昇(ULNの40倍超え)を特徴とし、ミオグロビン尿に起因すると考えられる腎不全を引き起こす恐れがある

スタチン誘発性ミオパチーの機序は依然として不明である。
スタチン誘発性ミオパチーは、lovastatinを摂取した患者において1988年に初めて報告されたが、その中には相互作用が生じる薬剤であることが知られているcyclosporineを併用した腎移植患者も数名含まれていた

患者がミオパチーを呈した場合はスタチンの投与を中止し、激しい運動、他の疾患、そしてスタチン系薬剤と相互作用が生じる薬剤などといった他の原因について検討する必要がある
横紋筋融解症は、迅速な静脈内輸液、電解質異常の慎重な補正、そしてCKとクレアチニンを含めた腎機能の尺度のモニタリングをもって管理する

CKはスタチンの投与中止後数日以内に低下し始め、その後正常値まで回復するものと思われる。

スタチン系薬剤が引き起こすほかの重篤な副作用には、きわめてまれ(0.001%)な重度肝機能障害と糖尿病の新規発症がある。
また、脳血管疾患の既往がある患者においては出血性脳卒中が生じる可能性もあるが
、脳卒中の既往がない患者には見られない

毎年、スタチン系薬剤による治療を受けた患者のうち0.2%が糖尿病を新たに発症しており、発症率は用量依存的である
糖尿病を新たに発症するのは、耐糖能異常やメタボリックシンドロームの特徴を有する患者など、糖尿病の危険因子を持つ患者が大半である

糖尿病新規発症リスクの上昇は集団レベルでは明らかだが、個々の患者における糖尿病の新規発症がスタチン療法によって引き起こされているのか否かを究明することは不可能である。

この理由から、そして、1,000患者年の治療で糖尿病発症例数が2例増加しても、CVイベントの予防件数6.5件がそれを補って余りあることから、スタチン療法中に糖尿病を発症した患者はスタチンを継続すべきである。


3. CKの上昇を伴わないもしくは上昇がごく軽微である筋症状は、通常スタチン療法と薬理学的に関連しない

このような筋症状はスタチンに起因するものとされてきたが、(因果関係を評価できる)二重盲検プラセボ対照無作為化試験による裏付けはない
スタチン療法を受けた患者の10~25%は筋症状を訴えることが、いくつかの観察研究から示されている

しかし、二重盲検化した状態では大多数の患者がスタチンとプラセボを区別できないため、これらの症状が通常は薬理学的にスタチンと関連していないことが立証されている

10万例以上の米国人患者を組み入れた最大規模の観察研究、そして800人を超える世界中の医師らを対象とした調査において、スタチン療法を受けた米国人患者のうち約10%が有害事象を報告し、それを理由としてスタチン療法を中止したが、それらの症状のうち約半数は筋肉に関連していた。
スタチン使用に関連する筋症状は、「スタチン関連筋症状(statin-associated muscle symptoms:SAMS)」と呼ばれるが、この用語はスタチンが症状を引き起こしたことを意味するものではない

スタチンが引き起こしたか否かはわからないが、症状があるためにスタチンの服用を中止した患者は、「スタチン不耐性」と呼ばれる。
しかしスタチン療法の中止によって、MIやCV死を含めたCVイベントのリスクが上昇する

「スタチン不耐性」の発生率は国によって異なり、英語圏の国々において発生率が高い
メディアや一部の臨床医らは、スタチンがCKの上昇を伴わない筋肉痛などの筋症状を引き起こしていると主張しているが、スタチンの心血管転帰を検討した複数の試験においては、スタチン群とプラセボ群との間で差が見られなかった

多数あるこれらの無作為化二重盲検試験は、さまざまなタイプの患者を対象としており、大規模で期間も長期にわたるという医薬品安全性評価のゴールドスタンダードである。
これらのうち2つの試験の研究者らは筋症状を重点的に検討したが、どちらの試験においてもスタチン群とプラセボ群の間に差は示されなかった

平均追跡期間が3年および5年におよぶ二重盲検無作為化試験を対象とした2件のメタアナリシスでは、スタチン群とプラセボ群との間で筋症状にごくわずかな差(0.3%)が認められたが、統計学的には有意でなかった。
これらのメタアナリシスのうち1件では筋症状によるスタチンの中止が評価されたが、スタチン群とプラセボ群との間に差は見られなかった

耐え難いSAMSを呈する患者のみを対象とした近年の試験では、二重盲検下では、大多数の患者がスタチンとプラセボを識別できないことが示された
患者をatorvastatin 1日20 mg群、alirocumab群、またはezetimibe群へ無作為に割り付けたODYSSEY ALTERNATIVE試験においても、筋症状に起因する中止率は同程度であった

GAUSS-3試験でも同様に、筋症状によってスタチン服用に不耐容の491例の患者が評価されている。
この試験は、二重盲検クロスオーバーデザインを用いてatorvastatin 20 mgとプラセボを比較したもので(治療期間は10週間)、以下の点が明らかとなった。

27.1%はどちらの治療でも無症状、もしくはatorvastatinとプラセボの両方で耐え難い筋症状を訴えた。

42.6%はatorvastatinで症状を呈したがプラセボでは無症状であった。

26.5%はプラセボで症状を呈したがatorvastatinでは無症状であった。

この結果を額面通り解釈すると、42.6%と26.5%の差、つまり16.1%もしくは6分の1が、スタチンに起因する筋症状を経験した「スタチン不耐性」患者集団に相当しうるだろう。GAUSS-3試験に参加した患者の一部は自分自身を非盲検化していた可能性があると考えられる理由があるため、このわずかな値でさえ過大評価である可能性がある


4.筋症状の原因がスタチンであると患者が考える理由はノセボ効果かもしれない

筋症状は、スタチン系薬剤を摂取している中年期の集団においてよく見られる。

スタチンと筋症状の関連について、観察研究から得られたデータと、無作為化試験から得られたデータとの間に相違があることは、ノセボ効果に起因していると考えられる。

自分の症状は、化学物質または薬剤、もしくは有害性があると考えられる何らかの薬を摂取したためだと誤解する患者がいる理由は、ノセボ効果(「害を与える」を意味するラテン語)によって説明される
スタチン系薬剤が引き起こすとされている(CKの著しい上昇を伴わない)SAMSまたは他の有害事象がある場合、インターネット上ですぐに知ることができるスタチン使用の危険性に関する過剰な報告によって、そして医師あるいはミオパチーと横紋筋融解症に関する患者用リーフレットにより適切に伝えられた情報によって、ノセボ効果が強められる

スタチン系薬剤の副作用について詳しく知ることで、もともとあった疼きと疼痛をより強く自覚するようになる患者もいれば、新たな筋症状が生じる場合もある。
実臨床ではプラセボを比較のため再投与することは不可能であるため、同じスタチンまたは異なるスタチンを再投与した際の症状の再発は、ノセボ効果である可能性が高い

原因が何であるにせよ、これらの筋症状は患者にとっては本物であり、医師は患者にスタチン服用を継続させるため、これらの症状に慎重に取り組まなくてはならない。


5.ほとんどのSAMSはスタチン系薬剤に起因していないが、治療には取り組む必要がある

スタチン系薬剤を開始する患者においてノセボ効果を最小化するためのテクニックが、「スタチン不耐性」を予防する一助となるかもしれない。医師は、スタチンに関して否定的予測を生み出すようなコミュニケーションは避けるべきである
また、CV疾患の発症率低下というスタチンのベネフィット
を強調し、筋肉に関連する重篤な副作用が発生する危険性はきわめて低く、血液検査(CK)で容易に検知できると述べたほうがよい

筋肉の疼きと疼痛は中年期以降にはよく見られることであり、通常は他の原因によるものであることも、患者に伝えるべきであろう
10万例を超える患者を対象とした大規模コホート研究で示されたように、同量、または減量して同じスタチンを再投与しても、もしくは異なるスタチンを再投与しても、服用を継続できる場合が多い。
この研究では、有害事象のためにスタチンを中止した6,579例の患者に再投与が行われたが、90%以上は有害事象を報告した1年後でも同じスタチンまたは異なるスタチンを服用していた
。  

一部の患者においては、後に投与頻度を連日へと増加させることを目指しながら、一時的な隔日投与が必要となる可能性もある
LDL-Cをさらに低下させる必要がある場合は、最大耐量のスタチンや、ezetimibeまたは陰イオン交換樹脂などの他の薬剤を投与したり、特定の患者においてはPCSK9阻害薬を追加してもよい。

スタチン系薬剤がCVへ与えるベネフィットは膨大なデータベースに裏付けされており、ベネフィット対リスクのプロファイルも良好である。ガイドラインがスタチンを推奨している場合は、患者にスタチンの使用を継続させることがきわめて重要である。


英文記事

Does the Nocebo Effect Explain Statin Muscle Complaints?

http://www.medscape.com/viewarticle/876404



<関連記事>

ガードナー賞に遠藤氏 スタチン発見で 

医学の分野で重要な発見をした科学者をたたえるカナダ・ガードナー賞の今年の受賞者に遠藤章・東京農工大特別栄誉教授(83)が選ばれた。

遠藤氏は製薬会社三共(現・第一三共)の研究員時代に青カビの培養液中から、体内でのコレステロール合成に関係する酵素を阻害する物質「スタチン」を発見。
血中のコレステロールを劇的に低下させる効果がある高脂血症薬の開発につなげた。
財団は「心臓病の予防や治療に革命をもたらした」と評価した。

 
ガードナー賞は、iPS細胞を開発した山中伸弥京都大教授(54)や、微生物から熱帯感染症の特効薬を開発した北里大の大村智特別栄誉教授(81)ら、過去のノーベル生理学・医学賞の受賞者も数多く受賞している。

(日経新聞 2017.3.29)



<私的コメント>
気がついたら遠藤先生もいつのまにやら83歳になられました。
同じ分野の基礎研究でノーベル賞をとられた研究者
(マイケル・ブラウンヨセフ・ゴールドスタイン両博士、1985)がいるとはいえ、ノーベルの遺言の「人類のために最大たる貢献をした人々に分配される」ことにまさしく合致した研究者です。

どうして授賞されないのかがまことにもって不思議です。
ノーベル賞よりラスカー賞やガードナー賞の選考委員の方が目利き?

ノーベル賞の選考委員は明らかにこういった賞の動向を注目しているはずです。
http://blog.goo.ne.jp/mfukuda514/e/4ad1ed375442535a794557c7058588cb



<番外編>

ワルファリン服用中の消化管出血はプロトンポンプ阻害薬で予防できるか?
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0073.html?keiro=backnum 

・PPIはワルファリン服用者の上部消化管出血による入院を24%減少させた。

しかし、NSAIDsあるいは抗血小板薬服用例においてのみ顕著に減少させた。



<自遊時間>

院外薬局よ、患者を惑わすな

https://community.m3.com/v2/app/messages/2681598


私的コメント;開業以来、院内処方を頑なに守って来たことが然程間違っていなかったがわかり少し安堵しました。
厚労省は「かかりつけ医」(これもかなり胡散臭い) をほったらかして「
かかりつけ薬局」に力を入れて来ています。
要するに、風邪などの軽症の場合には
「かかりつけ薬局」の薬剤師に相談して薬局でクスリを貰いなさい、という方向性です。
風邪には抗生剤は不要」 とノーテンキなことをいう医師も最近増殖して来ています。
そういう医師に限って、白血球を調べるわけでもなく溶連菌感染などをを見逃しているのです。
数十年にわたって風邪医者をやって来た経験からの話ですが、他医で「胃腸風邪」と診断された中にかなりの割合で細菌性腸炎(カンピロバィターを主体とした食中毒)が見つかっています。
医師でもそうですから
薬剤師がそういった診断が出来るわけがありません。
何よりも薬剤師が「診断して治療(処方)する」ことが何故医師法違反に相当しないのか不思議でなりません。
 

参考

薬剤師法第23条

「薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない」



 

<きょうの一曲>

El barbero de Sevilla - Obertura

https://www.youtube.com/watch?v=T0Z7MhXyyjY



<きょうの一枚の絵>

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フィンセント・ファン・ゴッホ 《ゴーギャンの椅子》 1888.11、アルル 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/point.html


夜の部屋に置かれ、蝋燭とガス灯に照らされた青い陰をたたえた椅子を描いたもの。
緑、赤、茶の深い色調に明るい黄色がハイライトとして使われている。 




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心血管的なアルコール最適量は1日2杯まで

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000367.html

1日2杯のアルコール飲料摂取は心血管の健康に対し有害ではない、ということを再確認させるエビデンスを、新たな2つの研究が提供している。


36の試験のメタ解析の1つめの研究
では、アルコール摂取量の減少によって、血圧が用量依存的に低下することが見いだされた。

アルコールを1日2杯摂取していた集団については、アルコール摂取量を減らしても血圧に有意な効果はなかったが、それを超える量(私的コメント;1日2杯超)を摂取していた集団では、その後のより大きな血圧低下と関連した。

ベースラインのアルコール摂取が1日6杯以上で、摂取量をおよそ半量にした集団においては、収縮期血圧および拡張期血圧の最も大きな低下が認められた。

「大量飲酒者にとって、アルコール摂取量を1日2杯以下にすることが高血圧治療の第1選択となりうる」という結論だ。


2つめの研究
は、アルコール摂取と、頸動脈-大腿動脈間脈波伝播速度(PWV)で測定される血管硬化度の変化との関連を、25年以上の長期的観点からみた稀な研究である。

PWVは、心血管疾患および心血管死の信頼できる予後予測マーカーであることが明らかになっており、PWV値が高いほど血管硬化度が大きいことを示している。

Whitehall II cohort studyにおける、大部分(73%)が男性である公務員3,869例のデータを解析後、常習的大量飲酒の男性群(エタノール摂取が週に3.9オンス超、または週に約14杯以上)は、常に適度飲酒の群(エタノール摂取が週に3.9オンス以下)と比べ、ベースラインのPWV値がより高かった(b=0.26m/s、p=0.045)ことが英国の研究者らにより明らかになった。


常習的大量飲酒の女性群においても、人口統計学的因子および生活習慣因子を調整後のモデルでは、同様の影響が認められたが、この関連は、臨床的共変量を含む全調整後は有意ではなくなった。


適度なアルコール摂取は、より大量の摂取と比べ、血管硬化に対する保護的因子である高比重リポ蛋白コレステロールの高値と関連することが知られている。


過去のコレステロールに関するデータから、HDLコレステロール値の改善が目標ならば、1日2杯のアルコール摂取が常に適正量であるようだ、ということが知られてきたが、今この研究がわれわれに教えてくれることは、もし1日2杯を超えると事態が悪い方向へと向かい始めるという閾値が存在するということである。


コレステロール値改善のために飲酒を開始すべきか、と医師は患者からよく尋ねられるが、必ずしもその理由だけのための飲酒開始は推奨しないものの、一方でアルコールはほとんどすべての文化や国に広まっているものである。


1日2杯のワインやビールやカクテルをただ純粋に楽しむ人々に対して、彼らが自身に対して何も有害なことをしていないという十分なエビデンスを今回得ることができた。

アルコールによる血管硬化度への影響はなぜ女性よりも男性で顕著なのか、女性の参加者が少ないことによるものか。
男性は女性よりも早期に高血圧、高脂血症などの他の心血管リスク因子に影響を受けることが理由である可能性もある。
つまりは加齢の影響が現れているだけなのかもしれない。

Whitehall IIコホートの参加者は最初に1985年から1988年の間に組み入れられ、2009年までアルコール摂取について自己申告した。
PWVは、ベースライン時と、その後の2012年および2013年の追跡調査時に測定された。


男性は女性よりも大量飲酒者である率が高く、生涯非飲酒者および過去飲酒者の2倍以上であった。
男女ともに現喫煙者は少数であったが、男性の68%、女性の74.1%はWorld Health Organization推奨の1週間の運動量に達していなかった。
 

PWV平均値は、男性ではベースラインの8.5m/sから追跡調査時では9.1m/sに、女性では8.2m/sから8.7m/sに有意に増加した。

性別にかかわらず、すべての飲酒タイプでベースラインと比べ追跡調査時にPWV値が増加していた一方で、男性の過去飲酒者群のみにおいて、血管硬化度の進行の有意な加速が認められた。

今後の医師たちへ伝えたいことは、患者にアルコールを飲むか否かを聞くのではなく、量を尋ねるべきである。


もし大量飲酒している患者がいるなら、彼らには、より本格的なアルコール減量プログラムにおいて取り組まれるべき別の課題があるた。

メタ解析において、アルコール摂取量と血圧双方の減少は、罹患率、死亡率、医療費用に関して、健康面でかなりの相乗効果がある可能性がある。
しかし、高血圧の改善のためにアルコール摂取を減らすことを推奨しているのは、世界中の高血圧ガイドラインの約半分のみである。


英国民のうちアルコール摂取が1日2杯超である者の半数がアルコール摂取量を減らすと、収縮期血圧が140mmHg超である率が男性で4.4%、女性で1.2%低下し、その影響の大部分は中年期に現れる。
この血圧低下は、年間7,272件の入院および678件の心血管死の予防に換算される。


英文記事

Studies Suggest Cardiovascular Sweet Spot at Two Drinks per Day

http://www.medscape.com/viewarticle/876422

 
 

<自遊時間>

時間外労働の上限規制、医師は5年間の猶予  「罰則付き規制で、応招義務果たせぬ懸念」働き方改革大臣

https://www.m3.com/news/iryoishin/515760?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170329&dcf_doctor=true&mc.l=214039407&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d



<きょうの一曲>

Caballeria Ligera

https://www.youtube.com/watch?v=CZV0Eyo0ffE



<きょうの一枚の絵> 

thumb_pt5_01

ポール・ゴーギャン 《タヒチの牧歌》 1901年 油彩、カンヴァス E.G. ビュールレ・コレクション財団

http://www.g-g2016.com/aichi/point5.html 




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米・心臓弁膜症治療GLを一部改訂 経カテーテル大動脈弁置換術を一部の患者に強く推奨

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0323506762/

(MT2017.3.23)

大動脈弁置換術が必要な患者の一部では、開心術による弁置換術(外科的AVR)に比べて低侵襲な経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の選択が可能となっている。
こうした状況を踏まえ、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、心臓弁膜症治療ガイドライン(GL)2014を改訂し、TAVRを一部の大動脈弁狭窄症に対する介入選択肢の1つとしてより強く推奨した。
改訂版GLの全文はCirculation (2017年3月15日オンライン版)およびJ Am Coll Cardiol (2017年3月11日オンライン版)で発表された。


患者と医師で "意思決定の共有"

ある改訂版GL策定委員会委員は「弁膜症の治療はここ数年で大きく進展している。外科的AVRに伴うリスクが高い患者に対しては、より低侵襲のTAVRが用いられるようになりエビデンスの蓄積も進んでいる」と指摘。
改訂版GLでは外科的AVRとTAVRの選択に関わる推奨内容の一部を、以下のように最新の臨床試験結果を踏まえたものへと変更した。


外科的AVRは症候性の重度大動脈弁狭窄症患者(ステージD)および無症候性の重度大動脈弁狭窄症患者(ステージC)が適応となり、手術に伴うリスク(大合併症発現リスク)が低~中等度の患者に対し推奨される(推奨度Ⅰ)


ステージDで外科的AVRによるリスクが高い患者に対しては患者ごとのリスクや患者の意向などを踏まえつつ外科的AVRまたはTAVRを選択する(同Ⅰ:長期成績と最新のランダム化比較試験(RCT)の結果を踏まえてGL2014のⅡaから格上げ)


ステージDの患者で外科的AVRによるリスクが極めて高く、TAVR施行後の生存期間が12カ月以上と見込まれる場合にはTAVRが推奨される。(同Ⅰ)


ステージDで外科的AVRによるリスクが中等度であると判定される場合には患者ごとのリスクや患者の意向などを踏まえた上でTAVRも選択肢となる(同Ⅰ)とし、RCT(PARTNER Ⅱ試験)によりTAVRの非劣性が確認されたとしている


また、外科的AVRとTAVRを選択する際には、患者と外科医、循環器内科医を交えた"意思決定の共有"が不可欠としている。


生体弁の適応を50~70歳に拡大

人工弁の種類(機械弁/生体弁)については、機械弁を適用した場合は生涯にわたる抗凝固療法が必要となるが、同療法が禁忌の患者では、年齢にかかわらず生体弁が推奨される(推奨度Ⅰ)。
この点はGL2014から変更されていない。

 
抗凝固療法の禁忌に該当せず、大動脈弁置換術あるいは僧帽弁置換術の適応となる患者については、これまでは60歳未満に対しては機械弁が理にかなっているとしていたが、改訂版GLではその年齢を50歳未満へと引き下げた(同Ⅱa)。
これは、生体弁の改良による耐用年数の延長と抗凝固療法による出血リスクなどのバランスを考慮した結果であるとしている。

 
こうした措置の結果、50~70歳の患者では機械弁と生体弁を選択できるようになったが、選択に際しては個々の患者が抱える各種因子と患者の意向を考慮し、患者を交えて十分な議論を尽くす必要がある(同Ⅱa)。


一部患者では歯科処置前に抗菌薬を

感染性心内膜炎リスクが高いと考えられる患者に対して、歯科処置前の抗菌薬投与を推奨すべきか否かについては、抗菌薬予防投与の有効性を示すRCTが存在しないこと、高リスク群の定義に関する統一見解が存在しないことなどから、専門学会の間でも見解が分かれているのが現状である。

 
こうした中、同GL策定委員会は、感染性心内膜炎リスクが高いと見なされる患者および同症発症後の有害アウトカムリスクが高いと考えられる患者に対する抗菌薬予防投与は妥当(推奨度Ⅱa)とし、高リスク群として
①人工心臓弁を使用している患者(TAVR施行例、生体弁使用例を含む)
②人工素材を用いた心臓弁修復術を受けた患者
③感染性心内膜炎の既往を有する患者
④一部の先天性心疾患患者⑤心移植を受けた患者
―などを挙げている。

 
このような抗菌薬予防投与が感染阻止にどの程度有効かは明らかでないが、口腔内を清潔な状態に保つことは重要で、全ての弁膜症患者および人工弁装着患者は少なくとも6カ月に1回は歯科検診を受けることが重要としている。

 
GL2017策定委員会委員長は「今回の改訂は、弁膜症患者の機能低下や早期死亡を防ぐために尽力する医療提供者の一助となることを目指している」と説明。
「丁寧に身体所見を取っていけば心雑音は症状発現の何年も前から検出できる。異常が認められたら心エコー検査を実施し、その後も定期的モニタリングを行えば、弁膜症患者に対する弁置換術実施時期の最適化が可能となり、患者の長期アウトカム改善に結び付く」とコメントしている。



<きょうの一曲>

"Danza de las Horas ("La Gioconda")" de A. Ponchielli.

https://www.youtube.com/watch?v=vla1Pp1IB7E




<きょうの一枚の絵> 


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ポール・ゴーギャン《ブドウの収穫、人間の悲惨》1888.11 油彩、ジュート オードロップゴー美術館

http://www.g-g2016.com/aichi/point.html



アルル、ぶどうの収穫(人間の悲劇)

http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/gauguin_humaines.html


ゴッホとゴーギャン展 現実と想像を 二人の画家が描く

http://news.mynavi.jp/news/2016/08/19/327/

アルルでの共同生活のなかで描かれた本作は、ファン・ゴッホの《収穫》とは対照的に、人間の不幸を主題にしている。背景にはアルル以前に滞在していたフランス北部のブルターニュの女性たちを描き、頬づえをついて悲嘆に暮れる女性のポーズはペルーで見たミイラを参照している。目の前の光景ではなく、記憶や想像を頼りに描いた本作を、ファン・ゴッホは大絶賛したという。






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RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43651

ACE阻害薬またはARB服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のMorten Schmidt氏らが、ACE阻害薬・ARBの服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌2017年3月9日号掲載の報告。


末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連を検証

 研究グループは1997~2014年の、英国プライマリケア医の電子診療録を含むデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)と病院エピソード統計「Hospital Episode Statistics」(HES)を基に、ACE阻害薬またはARBの服用を開始した12万2,363例を対象に、ACE・ARB開始後のクレアチニン値上昇と、心・腎臓アウトカムとの関連を調べた。


 ポアソン回帰分析法を用いて、クレアチニン値30%以上の増加や10%増加ごとと、末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連についてそれぞれ検証した。解析では、年齢、性別、歴期間、社会経済状況、生活習慣、CKD、糖尿病、心血管の併存疾患、その他の降圧薬、NSAIDsの使用で補正を行った。


クレアチニン値増加に伴い心・腎イベントリスクも段階的に増加

 クレアチニン値が30%以上増加したのは、被験者の1.7%にあたる2,078例だった。クレアチニン値の30%以上の増加は、評価項目としたすべての心・腎イベントの発症と関連が認められた。


 クレアチニン値の増加30%未満での発生と比較した補正後罹患率比は、末期腎不全については3.43(95%信頼区間[CI]:2.40~4.91)、心筋梗塞は1.46(同:1.16~1.84)、心不全は1.37(1.14~1.65)、死亡は1.84(1.65~2.05)だった。


 クレアチニン値の増加幅に応じた心・腎アウトカムについて調べたところ、10%未満、10~19%、20~29%、30~39%、40%以上と段階的にすべての評価アウトカムについてリスクが増加する傾向が認められた(いずれも傾向のp<0.001)。


 死亡に関する補正後罹患率比は、クレアチニン値10%未満の増加との比較で、10~19%の増加で1.15(1.09~1.22)、20~29%の増加で1.35(1.23~1.49)だった。


 これらの結果は、歴期間、サブグループ、服用継続の有無などで検討した場合も一貫して認められた。


英文抄録

Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28279964&keiro=journal




<きょうの一曲>

Claudine Longet - Both Sides Now (1969)

https://www.youtube.com/watch?v=ZMp_XRcmiHw



<きょうの一枚の絵> 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《収穫》

1888年6月、アルル 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point.html 


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PCSK9阻害薬で初、心血管イベント抑制 エボロクマブのFOURIER試験

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0321506770/

新たなクラスの脂質低下薬であるPCSK9阻害薬による心血管イベントの有意な抑制を示した初の大規模臨床試験の成績が明らかになった。動脈硬化性心血管疾患〔心筋梗塞、脳卒中(出血性脳卒中を除く)、症候性末梢動脈疾患〕既往例2万7,000例超を対象としたPCSK9阻害薬エボロクマブの第Ⅲ相試験であるFOURIER試験において、至適用量のスタチンにエボロクマブを併用した群でプラセボ併用群と比べた主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院または冠動脈血行再建術の複合)および副次評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合)のリスクの有意な低下が示された。
米国の研究グループが第66回米国心臓病学会年次集会(ACC 2017、3月17~19日、ワシントンD.C.)で発表した。
詳細はN Engl J Med(
2017年3月17日オンライン版)にも掲載されている。


約60%のLDL-C低下作用、減弱せず

同試験の対象は、2013年2月~2015年6月に49カ国の1,242施設で登録された、スタチン療法下でLDLコレステロール(LDL-C)70mg/dL以上またはnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)100mg/dL以上の動脈硬化性心血管疾患既往例2万7,564例(40~85歳、平均年齢63歳、女性24.6%)。
スタチン療法に加えてエボロクマブを投与する群(隔週に1回140mgまたは毎月1回420mgを皮下投与)または同用量のプラセボを投与する群に1:1でランダムに割り付けた。
追跡期間の中央値は26カ月〔四分位範囲(IQR)22~30〕だった。

 
その結果、ベースラインのLDL-C中央値は92mg/dL(IQR 80~109)だったが、48週後にエボロクマブ群では30mg/dL(同19~46)まで低下し、プラセボ群と比べて59%(95%CI 58~60、P<0.001)の有意な低下が認められた。
両群間のLDL-Cの絶対差は56mg/dL だった。
また、同薬によるLDL-C低下作用はその後も追跡期間を通じて減弱することなく持続した。


経時的に心血管イベント抑制効果が増大

また、主要評価項目の発生率はプラセボ群の11.3%に対してエボロクマブ群では9.8%で、プラセボ群と比べてエボロクマブ群では15%の有意なリスク低下が認められた。


一方、副次評価項目の発生率はプラセボ群の7.4%に対してエボロクマブ群では5.9%で、プラセボ群と比べてエボロクマブ群では20%の有意なリスク低下が認められた。


さらに、主要評価項目のリスク低下度は、最初の1年が12%だったが、それ以降は19%と経時的に抑制効果が増大する傾向が認められた。
副次評価項目についても1年目の16%から1年以降は25%へとリスク低下度が増大し、同様の傾向が認められた。
この点について、演者は「他の試験でも示されているように、LDL-C低下によるベネフィットが動脈に反映されるには時間がかかるのではないか」と考察した。

 
この他、評価項目を個別に解析した結果、エボロクマブによる心筋梗塞および脳卒中の有意なリスク低下(それぞれ27%、21%)は認められたが、心血管死の有意なリスク低下は認められなかった。


'''より積極的なLDL-C低下の必要性を示唆'''

以上のエボロクマブによるベネフィットは、年齢や性、心血管疾患の種類、スタチン療法の強度、エボロクマブの投与レジメン、ベースラインのLDL-Cで層別化した各サブグループでも同様に認められた。
特にLDL-Cの層別化解析では、ベースラインのLDL-C最低四分位群でもLDL-Cが22mg/dLまで低下し、副次評価項目について22%の有意なリスク低下が示されたという。

 
この結果を受け、演者は「LDL-Cを現行の目標値よりもさらに低い値まで低下させることの有益性が示された」との見解を示した。


有害事象はプラセボと差なし

有害事象の発生率は、アレルギー反応、神経認知学的有害事象、糖尿病の新規発症、筋肉関連の有害事象を含めて2群間で有意差がなかった。
注射部位反応の発生率はプラセボ群と比べてエボロクマブ群の方がやや高かったが、大部分が軽度の反応だったとしている。
治療関連の有害事象による投与中止率は両群とも低かった。
エボロクマブに対する結合抗体の発現は43例(0.3%)で、中和抗体は認められなかった。

 
以上の結果を踏まえ、演者は「スタチン療法にエボロクマブを追加することにより、心血管アウトカムを安全かつ有意に改善できるという決定的なデータが得られた」と結論付けた。


高薬価を指摘する声も

一方で、この試験結果についてはエボロクマブの費用効果分析の必要性も指摘されている。
薬価の高さを指摘する声が相次いだ。
報道関係者を対象としたACC主催のプレスカンファレンスでは、
JACCの編集長らが「薬価が極めて高いことを考慮すると、どのような患者にこの薬剤を使用すべきなのか、慎重に確かめるべき」と強調。演者も「今後、費用効果の分析も必要」との見解を示した。

 
なお、同試験に関しては、一部の参加者を対象にエボロクマブによる認知機能への影響について検討したEBBINGHAUS試験の結果もACCで発表された。



<番外編>

心血管ガイドラインに治療コストを含むべきか?

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000370.html 




<きょうの一曲>

Gilbert Bécaud - Je t'appartiens - Paroles (Lyrics)

https://www.youtube.com/watch?v=odBnFkQLi9M


Françoise Hardy - Let It Be Me

https://www.youtube.com/watch?v=4luG7m86PI8


Andy Williams & Claudine Longet - Let It Be Me (1969)

https://www.youtube.com/watch?v=DIwIYJbh-MU



 <きょうの一枚の絵> 


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小山敬三 題 不詳

http://www.city.komoro.lg.jp/news-institution/2016080800087/



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心房細動への低用量NOAC、ワルファリンに勝るか?/BMJ

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43510?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017031303

心房細動の治療において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は、臨床に導入されて以降、低用量での使用が増加しているが、低用量NOACの有効性と安全性をワルファリンと比較したエビデンスは少ない。
デンマークの研究グループは、安全性の主要アウトカムである出血は、低用量ダビガトランがワルファリンに比べ有意に少ないとの研究結果を、BMJ誌2017年2月10日号で報告した。


5万5,000例以上で3つの低用量NOACを評価

研究グループは、経口抗凝固薬の使用歴のない心房細動患者において、アピキサバン(2.5mg、1日2回)、ダビガトラン(110mg、1日2回)、リバーロキサバン(15mg、1日1回)の臨床的有効性と安全性をワルファリンと比較するコホート研究を行った(Obel Family Foundationなどの助成による)。


解析には、デンマークの3つの全国的なレジストリデータを用いた。
対象は、2011年8月~2016年2月に経口抗凝固薬の初回投与が処方された非弁膜症性心房細動患者とし、標準用量のNOAC(アピキサバン5mg、ダビガトラン150mg、リバーロキサバン20mg)を処方された患者は除外した。


ベースラインの患者集団の差を調整するために、治療の逆確率重み付け法(inverse probability of treatment weighted:IPTW)を用いて、4つの治療薬の傾向スコアを算出した。
有効性の主要アウトカムは虚血性脳卒中/全身性塞栓症、安全性の主要アウトカムは出血イベントとした。


心房細動患者5万5,644例が解析の対象となった。
アピキサバン群が4,400例(7.9%)、ダビガトラン群が8,875例(15.9%)、リバーロキサバン群が3,476例(6.3%)、ワルファリン群は3万8,893例(69.9%)であった。
平均フォローアップ期間は2.3年で、アピキサバン群は1年と最短だった。


出血リスクが20%低下、有効性に差はない

ベースラインの全体の平均年齢は73.9歳で、71.0歳(ワルファリン群)~83.9歳(アピキサバン群)の幅がみられた。
腎臓病の有病率は、アピキサバン群(9.5%)、リバーロキサバン群(9.1%)が、ダビガトラン群(3.9%)、ワルファリン群(8.3%)よりも高かった。


全般に、アピキサバン群は心不全、血栓塞栓症の既往、糖尿病、血管疾患などの併存疾患が多かった。
したがって、脳卒中リスクの指標であるCHA
2DS2-VAScスコアが4.3と最も高く、次いでダビガトラン群が3.8、リバーロキサバン群が3.6で、ワルファリン群は3.0と最も低かった。


フォローアップ期間1年時の虚血性脳卒中/全身性塞栓症の重み付けイベント発生率は、アピキサバン群が4.78%と最も高く、ダビガトラン群は3.31%、リバーロキサバン群は3.53%、ワルファリン群は3.74%であった。
ワルファリン群と比較した1年時のハザード比(HR)は、アピキサバン群が1.19と高い傾向がみられ、ダビガトラン群は0.89、リバーロキサバン群は0.89であり、低い傾向が認められたが、いずれも有意な差はなかった。


出血の重み付け1年イベント発生率は、アピキサバン群が5.12%、リバーロキサバン群が5.58%、ワルファリン群が5.11%とほぼ同様であったが、ダビガトラン群は4.09%であり、最も低かった。
ワルファリン群と比較した1年時のHRは、アピキサバン群が0.96、リバーロキサバン群は1.06と有意な差はなかったが、ダビガトラン群は0.80であり、有意に低かった。
2.5年時の出血イベント発生率も、ダビガトラン群はワルファリン群に比べ有意に良好だった。


1年時の全死因死亡のリスクは、アピキサバン群の15.53%、リバーロキサバン群の15.81%に比べ、ダビガトラン群は10.50%、ワルファリン群は10.12%と低く、ワルファリン群と比較したHRはアピキサバン群が1.48、リバーロキサバン群は1.52(1.36~1.70)と有意に高く、ダビガトラン群は1.04であり、有意差はなかった。


著者は、「これらの結果は、われわれが以前に行った標準用量NOACの知見を拡張するものだが、最も異なる点は、標準用量では一致して全死因死亡がワルファリンよりも良好であったが、低用量では薬剤によって差がみられたことである」としている。


英文抄録

Effectiveness and safety of reduced dose non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28188243&keiro=journal


<自遊時間>

塩崎厚労相、新専門医制度「必要なら抜本的対応求める」

https://community.m3.com/v2/app/messages/2673330


プロフェッショナル オートノミ-

http://www.c-mei.jp/BackNum/010r.htm

・プロフェッション(profession 職業)とは、専門性をもった職業をさす。職業人は一つの集団を形成するのが常である。それは組織と呼ばれ、規約を作って、それを遵守し自らそのメンバーを教育し合い、自主的に運営されていくという意味で自律的 autonomic である。

・医師、弁護士、教員において然りである。この自律性(オートノミ-)こそが、プロフェッションと非プロフェッションとを区別する鍵であり、その意味でプロフェッショナル オートノミ-は、まさに自ら選んだ職業的責任を果たすために、自分で自分を律する、自己の決定を支配する、という積極的自由 positive freedom に他ならない。


「医師とプロッフェッショナルオートノミー」

http://www.med.or.jp/doctor/member/kiso/k6.html

 

<きょうの一枚の絵> 

xl

小山敬三 浅間山の春

http://www.oida-art.com/buy/xl/8276.html 



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米国の心臓病・脳卒中・糖尿病死の5割が食事に問題/JAMA

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43604?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017031303

ナトリウムや多価不飽和脂肪酸、ナッツ類、砂糖入り飲料、赤身肉などの不適切量摂取が、心臓病や2型糖尿病といった心血管代謝疾患による死因の約45%を占めることが、米国成人を対象に行った大規模試験の国民健康・栄養調査(NHANES)の結果、明らかにされた。米国の個人レベルでの食事因子と特異的心臓病などとの関連については、これまで十分な検討は行われていなかった。

(JAMA誌 2017.3.7)


果物、野菜、ナッツ類、全粒穀物などの摂取と心血管代謝疾患死亡の関連を分析

研究グループは、NHANES試験の参加者合計1万6,000例超を対象に、食事因子と心血管代謝疾患による死亡との関連を検証した。
調査対象とした食事因子は、果物、野菜、ナッツや種、全粒穀物、未加工の赤身肉(牛肉・羊肉など)、加工肉、砂糖入り飲料、多価不飽和脂肪酸、シーフード・オメガ3脂肪酸、ナトリウムだった。


主要評価項目は、2012年の心臓病、脳卒中、2型糖尿病による予測死亡率とした。
疾患別や年齢・性別による死亡率や、2002~12年にかけての傾向などについても分析した。


ナトリウムの多量摂取が心血管代謝疾患死因の9.5%

2012年の米国成人の心血管代謝疾患死亡者数は70万2,308例で、そのうち心臓病によるものは50万6,100例、脳卒中は12万8,294例、2型糖尿病は6万7,914例だった。


このうち45.4%にあたる31万8,656例については、食事因子摂取が最適ではなかったことと関連していると推定された。
より詳しくみてみると、男性の心血管代謝疾患による死亡の48.6%、女性の41.8%、若年層(25~34歳)の64.2%、75歳以上の35.7%が食事因子との関連が推察された。
また、人種別では、アフリカ系が53.1%、ヒスパニック系が50.0%、白人系が42.8%。さらに教育レベル別にみると、低:46.8%、中:45.7%、高:39.1%との結果が示された。


食事因子が原因と考えられる死亡数が最も多かったのは、ナトリウムの多量摂取で、2012年の死亡数は6万6,508例であり、心血管代謝疾患死の9.5%を占めていた。
次いでナッツ・種の少量摂取が5万9,374例(8.5%)、加工肉の多量摂取が5万7,766例(8.2%)、シーフード・オメガ3脂肪酸の少量摂取は5万4,626例(7.8%)、野菜の少量摂取は5万3,410例(7.6%)、フルーツの少量摂取は5万2,547例(7.5%)、砂糖入り飲料の多量摂取は5万1,694(7.4%)だった。


また2002~12年にかけて、人口補正後の年間心血管代謝疾患死亡数は26.5%減少した。
この減少の最大の要因は、多価不飽和脂肪酸少量摂取の減少(相対変化率:-20.8%)、ナッツ・種少量摂取の減少(同:-18.0%)、砂糖入り飲料の多量摂取の減少(同:-14.5%)だった。
一方で、最大の増加要因は、未加工赤身肉の摂取だった(同:14.4%)。


研究グループは、「今回の結果は、プライオリティの確認、公衆衛生プランのガイドや、食習慣の変化や健康増進の戦略策定に役立つであろう」とまとめている。


Association Between Dietary Factors and Mortality From Heart Disease, Stroke, and Type 2 Diabetes in the United States.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28267855&keiro=journal




<きょうの一曲> 

Paul Desmond & Jim Hall Quartet - Theme from Black Orpheus (Manhã de Carnaval)

https://www.youtube.com/watch?v=sgGO23V7Oug


Paul Desmond

http://home.att.ne.jp/gold/moon/sax/paul-desmond.html

http://jazztokyo.org/column/a-view-with-notes/post-8005/



<きょうの一枚の絵>  
keizo_koyama002

小山敬三  「紅浅間」4F

http://www.nichido-garo.co.jp/artist/keizo_koyama.html 


生誕110年記念”気韻生動”の画家 小山敬三展

http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/070922.html


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心房細動患者のCCrとイベントの関連、日本の実臨床では?

http://www.carenet.com/news/general/carenet/43573

心房細動(AF)患者における非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与量調節と禁忌患者の除外のために、クレアチニンクリアランス(CCr)が広く使用されているが、AF患者のCCrと有害な臨床転帰との関連をみたリアルワールドデータはほとんどない。今回、国立病院機構京都医療センターの阿部 充氏らは、日本のAF患者の大規模前向きコホートである「伏見心房細動患者登録研究」で、CCr 30mL/分未満の患者が脳卒中/全身塞栓症および大出血などのイベントと密接に関連していたことを報告した。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年1月25日号に掲載。


本研究では、伏見心房細動患者登録研究における患者3,080例を、CCr 30mL/分未満、30~49mL/分、50mL/分以上の3群に分け、追跡期間中央値(1,076日)後に臨床的特徴と有害事象を評価した。


主な結果は以下のとおり。


・事前に指定された因子の調整後、CCr 30mL/分未満の患者は50mL/分以上の患者と比べて、脳卒中/全身塞栓症(ハザード比[HR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.04~2.65、p=0.04)および大出血(HR:2.08、95%CI:1.23~3.39、p=0.008)のリスクが高かった。


・CCr 30mL/分未満の患者は、全死因死亡、心不全による入院、心筋梗塞、全死因死亡および脳卒中/全身塞栓症の複合アウトカムのリスクも高かった。


・CCr 30~49mL/分の患者では、脳卒中/全身塞栓症(HR:1.10、95%CI:0.76~1.58、p=0.6)や大出血(HR:0.98、95%CI:0.63~1.48、p=0.9)の超過リスクは認められなかった。


英文抄録

Relation of Stroke and Major Bleeding to Creatinine Clearance in Patients With Atrial Fibrillation (from the Fushimi AF Registry).

http://pmc.carenet.com/?pmid=28219663



<自遊時間>

経済産業省の元官僚が医師は、美味しいから給与を半分にしろと言ってます。

https://community.m3.com/v2/app/messages/2666668?pageNo=1&portalId=mailmag&mmp=RM170322&mc.l=212836021&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d




<きょうの一曲> 

Angel Eyes - Paul Desmond Quartet

https://www.youtube.com/watch?v=MoSl1zDkABY





<きょうの一枚の絵>  


30

中澤嘉文 『古城のほとり』 

http://www.city.komoro.lg.jp/institution/2014022504871/




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抗血栓薬で硬膜下血腫リスク増大/JAMA

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/43564

抗血栓薬服用が硬膜下血腫リスクを増大することが、デンマークの研究グループによる、硬膜下血腫患者約1万例とその適合対照40万例を対象としたケースコントロール試験で明らかになった。
なかでも、ビタミンK拮抗薬(VKA)の服用により、硬膜下血腫発症リスクは約3.7倍と大幅な増加が認められたという。
また、2000~15年にかけて抗血栓薬服用率が2倍以上に増加し、一般集団における硬膜下血腫罹患率も約1.7倍に増加したことも明らかにされた。
(JAMA誌 2017.2.28)


硬膜下血腫患者1万例と適合対照40万例を対象に試験

研究グループは、2000~15年に初発硬膜下血腫で入院し退院した20~89歳の患者1万10例(症例群)と、年齢、性別などを適合した40万380例(対照群)について、ケースコントロール試験を行い、抗血栓薬服用と硬膜下血腫発症との関連について検証した。


硬膜下血腫の発症と抗血栓薬の服用については、住民ベース地域データ(48万4,346例)とデンマーク全国データ(520万例)を基に特定した。条件付きロジスティック回帰分析を用いてオッズ比(OR)を求めた。併存疾患、教育や収入レベルの補正を行った。


関連を調べた抗血栓薬服用は、低用量アスピリン、クロピドグレル、VKA、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)と、複数の抗血栓薬の併用だった。


VKAと低用量アスピリン併用、硬膜下血腫発症リスクは約4倍に

症例群の平均年齢は69.2歳、そのうち女性は34.6%で、抗血栓薬の服用率は47.3%だった。


硬膜下血腫のリスクは抗血栓薬の服用者で高いことが認められた。
低用量アスピリンに関する補正後ORは1.24、クロピドグレルは1.87、DOACは1.73、VKAは3.69だった。


VKAと他の抗血栓薬併用者の硬膜下血腫発症リスクが最も高く、VKA+低用量アスピリン併用では、補正後ORは4.00だった。
クロピドグレルとの併用では7.93だった。


また、抗血栓薬の服用率は2000年の31.0/1,000人から、2015年は76.9/1,000人へと倍増していた。
それに伴い硬膜下血腫罹患率も、2000年の10.9/10万人年から2015年は19.0/10万人年へと増大が認められた。
なかでも増大幅が最も大きかったのは75歳超の高齢者で、2000年は55.1/10万人年であったが、2015年は99.7/10万人年だった。


英文記事

Association of Antithrombotic Drug Use With Subdural Hematoma Risk.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28245322&keiro=journal




硬膜下血腫例の約半数が抗血栓薬服用、高齢化社会では今後ますます増えることが予想される(解説:桑島 巖 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43603?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017031303

硬膜下血腫は、しばしば認知症と誤診されたり、見逃した場合には死に至ることもある重要疾患である。
本研究は、その硬膜下血腫の実に47.3%が抗血栓薬を服用していたという衝撃的な成績を示し、高齢化がいっそう進み、今後さらに急増していくことを示唆している点で重要な論文である。


この研究は、2000年から2015年にデンマークでの国民登録研究からのケースコントロール試験による成果である。
抗血栓薬の使用頻度は、2000年には一般住民1,000人当たり31人程度にすぎなかったが、5年後の2015年には76.9人に急増している。硬膜下血腫が、それと軌を一にして増加したかを明確に示している。
とくに、75歳以上での硬膜下血腫の頻度は2000年では10万人当たり年間55.1人であったのが、2015年では99.7人とほぼ倍増している。
また発症例では、ワルファリン使用率が非発症例に比べて3.69倍高く、ワルファリンと抗血栓薬との併用例はさらに高い。


本試験では、INRについての記載がなく、ワルファリンのコントロール状況との分析ができていないため、抗血栓薬併用例などで適切な用量設定ができていなかったことが一因として考えられる。
しかし、2000~15年はまだ新規抗凝固薬(NOAC、DOAC)がそれほど普及していない時期にしてこの結果である。
2015年以降、固定用量が処方される新規抗凝固薬が相次いで世の中に登場し、また冠動脈インターベンションの普及による2剤併用抗血小板療法(DAPT:dual antiplatelet therapy)の処方も増えている。
さらに、人口の高齢化率も増えたことと相まって、今後、硬膜下血腫の頻度はいっそう増加の一途をたどることが予想される。


抗血栓薬と抗凝固薬併用症例では、抗凝固薬の用量を適正に調節することや血圧を厳格にコントロールすることが予防手段となろう。


<番外編>
 


金沢宣言
004

日本循環器学会学術集会(本社特別協力)2日目は18日、金沢市の石川県立音楽堂などで開かれ、学術集会会長の山岸正和金大教授が講演した。山岸教授は、脳心血管病の予防を推進するため17日に採択した「金沢宣言」について「会員は深く受け止めて研究にまい進してほしい」と呼び掛けた。
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20170319103.htm



<きょうの一曲>

シュトラウスⅡ世 美しく青きドナウ  小澤征爾 ウィーン・フィル

https://www.youtube.com/watch?v=uUXAN0Uhf38


小澤征爾さん復活!気迫のタクトに喝采

https://www.youtube.com/watch?v=JRH5hCtBTk4&list=RDJRH5hCtBTk4#t=11


総統閣下は小澤征爾に相当お怒りの様子です

https://www.youtube.com/watch?v=MzjORlmliBc


徹子の部屋 小澤征爾 小澤征悦 160202 2016年2月2日

https://www.youtube.com/watch?v=wpkMf_uc-ok




<きょうの一枚の絵> 
k2516_02

嶋谷自然 『室生の秋』 

http://www.komorebi.co.jp/k2516.htm


 



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座高は循環器・呼吸器疾患の死亡率と逆相関~40万人のコホート研究

http://www.carenet.com/news/general/carenet/43566?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017031303

成人の身長および座高は、遺伝的・環境的要因を反映しうる。以前の研究で、身長とがんや循環器疾患の死亡率との関連は報告されているが、座高と死亡率との関連の報告は少ない。今回、欧州における40万人以上の大規模コホート研究で、身長はがん死亡率と正相関する一方、循環器疾患死亡率とは逆相関を示し、また座高は循環器疾患死亡率および呼吸器疾患死亡率と逆相関を示した。PLOS ONE誌2017年3月3日号に掲載。


 計40万9,748人の前向きコホートであるEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)スタディにおいて、成人の身長・座高と全死因および疾患別死亡率との関連が調査された。身長はほとんどの参加者で測定され、座高は約25万3,000人で測定された。多変量Cox回帰を用いて、身長または座高の最低五分位に対する最高五分位のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を男女別に計算した。


 主な結果は以下のとおり。


・平均追跡期間12.5年の間に2万9,810人が死亡した(がん 1万1,931人、循環器疾患 7,346人)。


・身長は、がん死亡率と正相関を示し(男性のHR:1.11、95%CI:1.00~1.24、女性のHR:1.17、95%CI:1.07~1.28)、循環器疾患死亡率とは逆相関を示した(男性のHR:0.63、95%CI:0.56~0.71、女性のHR:0.81、95%CI:0.70~0.93)。


・座高は、がん死亡率とは関連していなかったが、循環器疾患死亡率(男性のHR:0.64、95%CI:0.55~0.75、女性のHR:0.60、95%CI:0.49~0.74)および呼吸器疾患死亡率(男性のHR:0.45、95%CI:0.28~0.71、女性のHR:0.60、95%CI:0.40~0.89)とは逆相関していた。


英文記事

The association between adult attained height and sitting height with mortality in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC).

http://pmc.carenet.com/?pmid=28257491




<自遊時間>

早朝から診療のクリニック 来院から会計まで個室で

https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2675125

私的コメント;

体(てい)のいい、病気の「なんちゃって」トリアージ。

患者はこんな診療を果たして本当に望んでいるのだろうか?

私ならこんな診療はとても出来ない。

新聞はどうしてこういった新手(あらて)の診療形態を取り上げたのだろうか。
目新しいといえばそれまでだが、「今後こういった形態の診療所が増えることが望まれる」 といったらニュースとしての客観性がなくなってしまうということなのだろうか。
ニュースってある意味でずるい。 




<きょうの一曲>

Chuck Berry - Roll Over Beethoven

https://www.youtube.com/watch?v=zD80CostTV0

https://www.youtube.com/watch?v=kT3kCVFFLNg


The Beatles - Roll Over Beethoven (with Jimmy Nicol)

https://www.youtube.com/watch?v=0rLci6tPOtY

(チャック・ベリーは3月18日に死去。享年90歳)


 


<きょうの一枚の絵>

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嶋谷自然 『湖畔』 

http://www.komorebi.co.jp/k1541.htm



P7180091 のコピー

長野県・蓼科湖越しに見た八ヶ岳(手前が阿弥陀岳、奥が赤岳)。
(嶋谷自然画伯の『湖畔』はこの場所で描かれた?) 


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発作性AF、10年以内の持続性への移行は3分の1超:CARAF試験

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000369.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2017031303

700例を超える発作性心房細動(AF)患者のレジストリであるCanadian Registry of Atrial Fibrillation(CARAF)からの10年時結果により、持続性AFへと移行したのは患者の36%のみであったことが明らかになった
しかし、
患者の30%は、AF初回診断後の10年間に何らかの原因で死亡していた。

「CARAFに組み入れられた発作性AF患者のこの10年追跡調査は、AF患者における最大規模の長期レジストリの1つである」と、ブリティッシュコロンビア大学の研究グループが報告した。
(Heart Rhythm誌
、2017. 2. 21

 

主に1990年代の臨床診療を反映するCARAFは、発作性AFから持続性AFへの長期的な移行率を明らかにし、関連する臨床的リスク因子を特定するためにデザインされた。

その最新の結果は、「発作性AF患者は、重大な心血管疾患を有している場合であっても、長期の追跡期間中に必ず持続性AFへと移行するわけではない」ことを示している。

しかしながら、発作性AF発症後10年以内に、患者の過半数は持続性AFへと移行するか、または死亡したる。


発作性AF患者が試験へ組み入れられたのは1990年代

1990~96年の間に、手術関連ではない発作性AFを有する患者755例がCARAFに組み入れられた。

患者は14~91歳で、半数超(62%)が男性であった。無症候性AFを有していたのは14%のみであった。

研究者らは以前、患者の8.6%が1年時までに、24.3%が5年時までに持続性AFへと移行したことを報告している。

今回の解析では対象期間を10年に延長し、追跡期間の中央値は6.35年であった。また、98例(13%)が追跡不能であった。

発作性AFから持続性AFへの10年時の移行率は、より高齢の患者、あるいは僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、左心室肥大、左心房肥大を含む構造的心疾患を有する患者において、1.4~3倍高かった。


これらの観察結果は、多くの場合構造的心疾患に関連する充満圧上昇が、経時的に移行する心房の構造的・電気的リモデリングを引き起こすことが原因であるという、AFの病態生理についての現在の理解と矛盾しない。


一方で、心拍数上昇と狭心症は、持続性AFへの移行率の低さと関連した。

男性であること、うっ血性心不全、高血圧、β遮断薬あるいは抗不整脈薬の使用、脳血管疾患は、持続性AFへの移行率に有意に関連しなかった。

当時の循環器診療を反映し、4年後(中央値)に持続性AF発症前のアブレーションを受けたのは30例(3.97%)のみで、そのうち9例(30%)が3年後(中央値)に持続性AFへと移行した。

患者年齢の10歳増加は、1.7倍の出血リスク増加と、1.7倍の脳卒中リスク増加に関連した。
しかしこのコホートでは、抗凝固薬および抗血小板療法の使用率は比較的低かった。
これはおそらく、このような患者における脳卒中リスクが比較的低いことと、1990年代の処方慣習に起因するものだと考えられる。


英文記事

Paroxysmal AF Turns Persistent Within Decade in Over One-Third: CARAF

http://www.medscape.com/viewarticle/876472



<自遊時間>

元社員、ノバ社ともに無罪、「改ざんあるも、罪に当たらず」地裁判決

https://www.m3.com/news/iryoishin/512166

https://www.m3.com/news/iryoishin/512454

・学術論文を作成する行為が薬事法66条1項「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」に当たるかを検討。

・厚労省の通知における「顧客誘引性、特定性(特定の医薬品を説明)、認知性」の3要件のうち、特定性、認知性はあるとしたが、「本件では抜き刷りがノバ社によるプロモーション資材として使われるなどしたが、査読を経て掲載される学術論文それ自体に顧客誘引性があるとは言いがたい」として、一連の行為が罪に当たらないと判断した。

(私的コメント;「顧客誘引性」が一番問題です。裁判長、大丈夫でしょうか)




<きょうの一曲> You Needed Me
(向田邦子のTVドラマ「幸福」の主題歌)

Anne Murray - You Needed Me

https://www.youtube.com/watch?v=e6nfpxZ2Nz4


Anne Murray (アン・マレー) / You Needed Me (辛い別れ)

https://www.youtube.com/watch?v=kjiQyz-E72M


Johnny Pearson - You Needed Me / 辛い別れ

https://www.youtube.com/watch?v=s5vNpSVQeFg


You Needed Me/ 動画で覚えよう英語の歌

http://dogaeigo.blog118.fc2.com/blog-entry-342.html 


<きょうの一枚の絵>

sizen2-700x524

嶋谷自然 風景画

http://kobijutsu-hisada.net/item/kottohin/357.html 




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AFの脳梗塞予防療法、8割が不適切 米国9万例超の診療記録に基づく研究 

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0315506685/

心房細動(AF)の既往を有する急性期脳梗塞患者の8割が、脳梗塞の発症前にガイドラインで推奨されている適切な抗血栓療法を受けていなかった。
9万例超の診療記録に基づく後ろ向き観察研究の結果を米国の研究グループがJAMA(2017; 317: 1057-1067)に発表した。


ワルファリン/DOAC投与は8%前後

解析対象は、米国でGet With the Guidelines-Strokeプログラムに参加している1,622の病院に2012年10月~15年3月に入院した、AFの既往を有する急性期脳梗塞患者9万4,474例(平均年齢79.9歳、女性57.0%)。
主要評価項目は、米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)で評価した入院時の脳梗塞の重症度および院内死亡とした。
 

解析の結果、全体で83.6%が脳梗塞発症前に常用量の抗凝固薬を投与されていなかった。
発症前に常用量ワルファリン〔国際標準比率(INR)≧2〕を投与されていた患者(ワルファリン群)は7.6%、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を投与されていた患者(DOAC群)は8.8%に過ぎず、常用量以下のワルファリン(INR<2)を投与されていた患者(低用量ワルファリン群)が13.5%、抗血小板療法のみを受けていた患者(抗血小板療法群)が39.9%、抗血栓療法を全く受けていなかった患者(無投与群)が30.3%に及んだ。

 
また、脳梗塞発症前のCHA
2DS2-VAScスコアが2以上の高リスク群でも、83.5%が発症前に常用量の抗凝固薬を投与されていなかった。


私的コメント;

この事実(心房細動への認識の低さ)には些か驚きました。

入院前の治療歴の有無が記載されていないため、このことだけから米国の医療状況(レベル)を推測するのは早計かも知れません。

また、当然のことながら抗凝固服用例は脳梗塞を発生する確率も低く病院への入院も少ないため、かなりのバイアスがかかっています。

翻って、日本で同じような調査をした場合にはどのような結果が出るのでしょうか?


脳梗塞の重症度と院内死亡リスクにも影響

入院時のNIHSSスコアを比較すると、常用量ワルファリン群およびDOAC群に比べ、無投与群、抗血小板療法群、低用量ワルファリン群はスコアが有意に高かった(P<0.001)。

 
中等度~重度脳梗塞(NIHSSスコア≧16)の未調整発症率を比較すると、常用量ワルファリン群およびDOAC群に比べ、無投与群、抗血小板療法群、低用量ワルファリン群は発症率が有意に高かった。
 

院内死亡の未調整発生率は無投与群が最も高く、低用量ワルファリン群、抗血小板療法群、常用量ワルファリン群、DOAC群と続いた(P<0.001)。

私的コメント

AFの脳梗塞予防療法に抗血小板療法は無効という論文を最近読みました。

今回の結果で、無投与群>抗血小板療法群>低用量ワルファリン群だったということは抗血小板療法が(発症や院内死亡に対して)一定の有効性があるということになります。 


常用量以下では無投与と同等の結果に

交絡因子調整後の解析では、無投与群に比べて常用量ワルファリン群、DOAC群、抗血小板療法群は中等度~重度脳梗塞の発症オッズが低かった。
院内死亡に関しても同様で、無投与群に比べて常用量ワルファリン群、DOAC群、抗血小板療法群は調整後オッズが低かった。
ただし、低用量ワルファリン群の結果は無投与群と同等で、INRモニタリングおよび用量調節の重要性を裏付けるものと考えられる。

 
脳梗塞の危険因子として、AFは有病率が高く重要だが、治療可能だ。
ガイドラインの推奨にもかかわらず、多くの患者が脳梗塞予防のための正しい治療を受けていない。
各種の抗凝固療法の試験結果と今回の結果を考えれば、AF患者に対する不十分または不適切な抗凝固療法が、かなりの数の脳梗塞の原因になっている可能性がある。


<きょうの一曲>

Martha Argerich - Chopin: Piano Concerto No. 1 in E minor, Op. 11 (2010)

https://www.youtube.com/watch?v=MkrwU5Pd93c&t=1695s




<きょうの一枚の絵>

snow_village 

ゴーギャン 「雪のブルターニュの村」

http://promontory.cocolog-nifty.com/promontory/2010/12/post-8faa.html

(ゴーギャンの絶筆)





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米国初、失神の評価・管理GLを策定 ACC/AHA/HRS

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0315506707/

失神は臨床でしばしば遭遇する病態であるが、その原因は多岐にわたり、的確な診断と必要に応じた適切な治療が求められる。米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、米国不整脈学会(HRS)と合同で、医療現場での使用を念頭に置いた失神の評価・管理に関するガイドライン(GL)を初めて策定し、J Am Coll Cardiol(2017年3月9日オンライン版)、Circulation(2017年3月9日オンライン版)、Heart Rhythm(2017年3月9日オンライン版)で発表した。


初期評価を踏まえて検査法を選択

失神患者の初期評価に際しては、詳細な病歴聴取と身体所見が必須であり(推奨度Ⅰ)、安静時12誘導心電図が有用である(Ⅰ)。
失神の原因を探るとともに失神による短期および長期の疾病・死亡リスクを評価しておくことが推奨される(Ⅰ)。

 
初期評価時に失神の原因となる深刻な病態(不整脈、不整脈以外の心血管異常、重度貧血、消化管出血、失神に起因する大きな外傷、バイタルサインの持続的な異常など)が認められたら入院検査と治療が推奨される(Ⅰ)が、上記の深刻な病態が認められず反射性失神と考えられる場合には外来での管理が妥当である(Ⅱa)。失神の原因が明らかではない中等度リスク群では救急部で用いられる構造的観察プロトコル(structured ED observation protocol)の使用が勧められる(Ⅱa)。

 
初期評価の結果、医師が必要と判断した場合には各種検査を実施する。


初期臨床評価で失神と特定された患者に対する血液検査(測定項目を選択)は妥当である(Ⅱa)が、バイオマーカー測定に関するデータは少なく、心原性失神の疑い例に対する脳性ナトリウム利尿ペプチドおよび高感度トロポニン測定の有用性は明らかではない(Ⅱb)。また、「失神患者の評価でルーチンかつ包括的臨床検査は有用ではない(Ⅲ:No Benefit)」と明記するなど、ベネフィットがないと考えられる項目を積極的に提示していることが本GLの特色の1つとなっている。

 
心イメージングについては、器質的心疾患が疑われる失神患者では経食道的心エコー検査が有用(Ⅱa)、心原性失神が疑われる患者ではCTまたはMRIが有用な可能性がある(Ⅱb)が、初期評価で心原性が疑われた症例以外でのルーチンな心イメージングは有用ではない(Ⅲ:No Benefit)と明記されている。

 
長時間心電図は測定装置の進歩が目覚ましく、失神イベントの頻度などを考慮して検査法を選択すべき(Ⅰ)とし、不整脈が失神の原因と考えられる場合には各種の体外型モニター(Ⅱa)および植え込み型モニター装置(ICM)の使用(Ⅱa)が有用としている。

 
電気生理検査(EPS)は不整脈が原因と疑われる患者の評価に有用である(Ⅱa)が、心電図正常で心臓に器質的異常や機能障害が認められず、不整脈が疑われないケースでは推奨されない(Ⅲ:No Benefit)。

 
ティルト試験は血管迷走神経性失神(VVS)や起立性低血圧による失神が疑われるケースで有用(Ⅱa)などとしている。

患者教育でVVSに伴う不安の軽減を

 
同GLでは、失神患者の管理を、失神分類別(心原性、反射性、起立性低血圧によるもの、他)に解説している。

 
不整脈(徐脈、上室性頻拍、心房細動、心室性不整脈)と関連する失神についてはガイドラインによる治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)を推奨している(Ⅰ)。
器質的心疾患についても、虚血性/非虚血性心筋症、心臓弁膜症、肥大型心筋症に関してはGDMTを推奨し、不整脈原性右室心筋症(ARVC)および心サルコイドーシス患者の一部に対してはICDの植え込みを推奨している。

 
反射性(神経調節性)失神としてはVVS、頸動脈洞症候群などがあり、VVSは反射性失神だけでなく失神全体の中で最も多く、救急受診の主な理由の1つであることが知られている。
VVSの大半が良性で一部を除き治療を必要としないが、患者が抱く不安は大きい。
そこで、同GLでは「VVSの診断と予後に関して患者に説明することが推奨される」(Ⅰ)と強調している。
長時間の立ち姿勢や精神的ストレス、疼痛などさまざまなトリガーが存在することや良性であることを説明して患者を安心させる必要がある。

 
VVSを繰り返す場合や失神に伴う外傷が懸念されるケースでは治療が検討される。
禁忌症例を除き、塩分や水分の補給が理にかなっていると考えられる(Ⅱb)。
また、前駆症状の発現期間が長いVVS患者ではphysical counter-pressure maneuverが有用である(Ⅱa)。
一方、頻回にVVSを生じる患者に対する起立調節訓練の有用性は明らかになっていない(Ⅱb)。

 
薬物療法では高血圧や心不全、尿閉の既往がない場合にミドドリン(Ⅱa)、42歳以上の再発性VVS患者に対してβ遮断薬(Ⅱb)、塩分・水分補給が奏効しない再発性VVS患者に対してフルドロコルチゾン(Ⅱb)、再発性VVS患者に対して選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Ⅱb)が検討されうる。
患者によっては低血圧の原因となりうる薬剤の休薬や減薬を検討することも考えられる(Ⅱb)。

 
非薬物療法では、チルト試験で心抑制型が誘発される40歳以上の再発性VVS患者の一部ではdual-chamber型ペースメーカーの適用も選択肢となる(Ⅱb)。


VVS患児ではβ遮断薬はNo Benefit

神経因性の起立性低血圧による失神では、速やかな水分補給を行う(Ⅰ)が、physical counter-pressure maneuver(Ⅱa)や弾性ストッキング(Ⅱa)、一部の患者では塩分・水分補給(Ⅱb)も有用と考えられる(Ⅱa)。薬物療法ではミドドリン、ドロキシドパ、フルドロコルチゾンが有用と考えられ(いずれの薬剤もⅡb)、治療抵抗性症例に対してはpyridostigmine、オクトレオチドも検討対象とされる(Ⅱb)。

 
同GLでは、小児の失神についてもページを割いて解説。
小児の失神では、病歴聴取、身体所見、家族歴、12誘導心電図を含むVVS評価を全ての失神患児に対して実施すべき(Ⅰ)で、CHDまたは心筋症、原発性の不整脈が疑われる小児失神患者に対する検査は非侵襲的なものとすべき(Ⅰ)。
また、VVS患児の親には失神の前駆症状の見分け方を教えるとともに基本的に良性の病態であることを伝え、安心させるべき(Ⅰ)としている。
塩分補給や起立調節訓練などが奏効しない場合はミドドリンの処方を試みてよい(Ⅱa)が、VVSの小児患者に対するβ遮断薬の使用は有用ではない(Ⅲ:No Benefit)と明言している。

 
失神を訴える患者は多く、同GLを参考にして医師が診断・管理の決定を下すことで失神患者のアウトカムが改善することを期待したい。


 

<きょうの一曲>

Anton Bruckner - Symphony No.7 - Chr. Thielemann, Muenchner Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=MESO0Ck5SaQ



<きょうの一枚の絵>
thumb_pt3_01

フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年6月、アルル 油彩、カンヴァス

ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

http://www.g-g2016.com/aichi/point3.html





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スタチンで心不全入院リスクに性差  心筋梗塞患者の予後を検討

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0309506661/

(MT 2017.3.9)

心筋梗塞患者に対するスタチンの予後改善効果については性差がないとする報告(Kostis WJ, et al. J Am Coll Cardiol 2012; 59: 572-582)と、あるとする報告(Gutierrez J, et al. Arch Intern Med 2012; 172: 909-919)があり見解が分かれている。

東北大学大学院循環器内科学の及川卓也氏は、大規模な慢性心不全登録研究のデータを用いて、心筋梗塞患者の心不全予防におけるスタチンの有用性を男女別に検証した。
その結果、スタチン投与による心不全入院のリスク低下は男性でのみ認められたことから、同薬の
有効性には男女差が存在する可能性が示されたと第10回日本性差医学・医療学会(1月28~29日)で述べた。


男女とも全死亡イベントの抑制効果はあり

検討に用いたのは、東北地方にある24の基幹病院で2006年に開始した第二次東北慢性心不全登録研究(CHART-2研究)に登録され、心筋梗塞既往を有していた3,124例で、スタチン投与群1,147例(男性958例、女性189例)と非投与群1,977例(同1,601例、376例)に分けて、追跡期間中(平均6.0年)における全死亡および心不全入院のリスクを検討した。

 
追跡期間中、死亡したのは814例(男性658例、女性156例)、心不全で入院したのは500例(同390例、110例)であった。
治療介入によるバイアスを軽減するため、傾向スコアを用いた解析方法(IPTW法)による患者背景の調整後に、Cox比例ハザードモデル解析によりスタチン非投与群に対する投与群のハザード比(HR)を算出すると、全死亡は0.78(P<0.001)、心不全入院は0.76(P<0.001)といずれも有意に低かった。

 
また、男女による部分集団解析によって同様にHRを比較すると、全死亡では男性が0.78(P<0.001)、女性が0.77(P=0.067)となり、男女ともにリスク低下が認められた。
しかし、心不全入院では男性が0.70(P<0.001)であったのに対し、女性は0.98(P=0.915)となり、女性ではスタチンの投与と心不全入院のリスク減少に有意な関連が認められなかった。

 
及川氏は全死亡リスクについて「およそ20年前まではスタチンによる全死亡リスクの低減効果についても性差が認められていたが、近年は経皮的冠動脈インターベンションやスタチン以外の薬剤などによる治療の進歩により、女性でも男性と同様に同リスクの低減が望めるようになった」と解説した。
一方、心不全入院リスクについては「女性の心筋梗塞患者は男性に比べ高齢で、重症例・心不全合併例が多い傾向にあるので、スタチンを投与しても依然男女差が存在するのではないか」と考察し、さらなる改善が求められるとした。


私的コメント;

「さらなる改善」とは何に対してでしょうか。
高齢者女性の心不全に対する治療対策ということでしょうか。



<今朝の一曲>

Glenn Gould - Domenico Scarlatti Keyboard Sonata in G major, K.13

https://www.youtube.com/watch?v=1UAjEdqMH9M


 

<きょうの一枚の絵>

menuma
 
「わが町妻沼」 出口喜平 作 油彩画

http://www.saitama-np.co.jp/f_mailmag/kumagaya/photo_yakusho/0604/index.html




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新規心房細動への抗凝固薬はNOACが優勢に

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000364.html

新規に診断された心房細動の治療において、新規経口抗凝固薬(NOAC)の使用がビタミンK拮抗薬(VKA)を上回ったことを、新たな研究が示唆している。
一方で、依然として憂慮すべきほどの数の患者が適切な脳卒中予防療法を受けていない。
 

「患者の大多数がNOACを使用する方向に移行しつつあり、われわれのレジストリでは90%近くが循環器医により処方されている」という内容の研究結果が、Journal of the American College of Cardiology誌(2017.2.21)に掲載された

 

ある研究者は、「これまでのわれわれが懸念してきたことの1つは、NOACの採用が比較的遅いことであったが、GLORIA-AFのデータは、われわれが前進していることを示唆している。しかし、これら理想的な状況設定、つまり明らかに選択された施設における、特定の時期の選定された患者においての結果だ」とコメントした。


Global Registry on Long-term Oral Antithrombotic Treatment in Patients with Atrial Fibrillation(GLORIA-AF)の研究者らは、前向きレジストリの第I相の1,063例のデータと、最初のNOACであるdabigatranの承認後に開始された第II相に組み入れられた1万5,092例のデータを比較した。
本解析の対象となったその他のNOACは、rivaroxaban、apixaban、edoxabanであった。

第II相の患者のCHA2DS2-VAScスコア平均値は3.2であり、最も一般的な併存疾患は高血圧で、74.6%の患者に認められた。
組み入れは2011年11月から2014年12月の間に、44ヵ国(欧州47.1%、北米22.5%、アジア20.3%)で、概ね大学病院(33.7%)または専門クリニック(30.3%)において実施された。
機械弁留置患者、過去に60日超のVKA治療を受けた患者、可逆的な原因によるAF患者は、今回のレジストリから除外された。

NOAC登場後の期間では、患者の79.9%が経口抗凝固療法を受けており、そのうち47.6%がNOAC(31.6%がdabigatran、16.0%がその他のNOAC)を投与されていた。
残りの32.3%はVKA、11.3%はaspirin(アセチルサリチル酸)、0.8%はその他の抗血小板薬を投与されており、7.8%は抗血栓療法を受けていなかった。

対照的に、NOAC登場以前の期間では、AF患者の32.8%がVKA、41.7%がaspirin、無治療が20.2%であった。


「aspirinが依然として使用されているという、重要なメッセージが存在する。欧州ではガイドラインを順守しているためそれほどでもないが、北米、とくに米国では依然として広く使用されている。そして重要なことは、aspirinは心房細動における脳卒中予防に何の役割も果たさないということである」とのコメントが付けられている。


付随論説
において、「全体的な結果はNOACの多くの利点を考えると驚くべきものではないが、おそらくより重要で、かつ気掛かりな発見は、AF患者の20%近くが適切な脳卒中予防療法を受けていないという点である」と記載されている。


「グラスが半分も満たされている」という肯定的な捉え方をする一部の読者は、80%の患者をカバーできていることに勇気づけられるかもしれないが、この高い割合は、44.9%だったPINNACLEレジストリを含め、経口抗凝固薬の使用がむしろ50%くらいであることを示すほかの同時代のレジストリと一致していない。


論説委員らはまた、組み入れられた患者のコホートは一般集団におけるAF患者の大半を代表するものではないこと、そして、経済的に貧しいアフリカの施設で、抗凝固薬に対するコンプライアンスが87.4%、対象患者における無治療率はわずか1.5%(北米ではそれぞれ78.3%、7.5%)という報告に対して疑問を呈した。

また、第I相では67.1%が中国、8%が北米の患者であり、第I相と第II相の患者集団の間で共通する患者は非常に少なく、第I相と第II相の経口抗凝固療法に関するあらゆる比較が、時間的差異よりもむしろ地理的差異を表している可能性があることを示唆している。


不十分な治療で誤った安心感を持たされないようにする必要がある。
AFにおける脳卒中予防のための経口抗凝固薬使用についての現状を現実的に推定するには、より全体を代表するようなデータが必要である。


経口抗凝固療法の治療率を向上するには、良い抗凝固療法に焦点を当てることにより注意を払い、そしてNOAC同士の比較に使う時間を減らす必要がある。

すべてのNOACはwarfarinよりも優れており、すべてのNOACとwarfarinはaspirinよりも優れている。
また、それらすべては何もしないよりはましである。
NOACの真の利点は、より多くの、リスクがある心房細動患者へ経口抗凝固療法ができることである。


英文記事

NOACs Now Seen as Go-to Anticoagulants for New-Onset Atrial Fibrillation

http://www.medscape.com/viewarticle/875893





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痛風がなくても積極的な治療を CKD進展予防のための高尿酸血症管理 

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1206505866/?adlpo_rcc=1

高尿酸血症を治療することの意義は、痛風に対しては古くから確立されているが、近年は心血管疾患や慢性腎臓病(CKD)との関連でも注目されており、これら心腎合併症の観点から高尿酸血症をどう管理するかが問われている。
現行ガイドラインも明確な答えを用意していないこの問題に対して、帝京大学内科教授の内田俊也氏は「高尿酸血症は尿蛋白、高血圧などCKDの既知の危険因子ほど強力ではない」としながらも、「CKDの進展を防止するため、痛風が認められなくても積極的に治療すべきだ」と主張している。

「腎障害があっても8.0mg/dLまで未投薬」でよいのか

日本痛風・核酸代謝学会の『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン2012年追補版』(現在改訂中)では、血清尿酸値7.0mg/dL超を高尿酸血症の診断基準とした上で、痛風関節炎または痛風結節が認められる場合には直ちに薬物療法の適応とし、6.0mg/dL未満を目標とすべきことを推奨度Aで示している。

 
これに対し、痛風がない場合は、薬物療法導入の目安として8.0mg/dL以上を提示しているものの、推奨度はCだ。
また、腎障害、心疾患、メタボリックシンドロームなどの合併症の有無で基準を変えており、これら合併症がある場合は8.0mg/dL以上だが、ない場合の導入基準は9.0mg/dLである。

「痛風がなければ腎障害があっても8.0mg/dLまで、痛風も腎障害もなければ9.0mg/dLまで未投薬」が一応の指針となる。
しかし内田氏は、この指針は修正の必要があると考えており、後述のような私針の下に治療を実践しているという。


傾向スコア解析では尿酸低下で末期腎不全への移行を抑制

腎機能が低下すると血清尿酸値は上昇する。
これは糸球体の尿酸濾過能が低下するためと考えられるが、問題なのは、上昇した血清尿酸値が腎機能をさらに低下させるかどうかだ、と内田氏は指摘する。
ガイドラインが痛風のない場合の治療について推奨度の高い指針を示せていないのも、高尿酸血症とCKD進展の因果関係を示すエビデンスが不足しているからだ。

 
観察研究としては、血清尿酸値6.0mg/dL以上の女性では末期腎不全の発生率が高いことを示した研究(Am J Kidney Dis 2004; 44: 642-650)をはじめ、高尿酸血症が末期腎不全の発症やCKD進展の予測因子であることを示した研究は国内外に幾つか存在する。

 
一方、介入試験については、対象が100例を超えるランダム化比較試験(RCT)はスペインのグループが行った1件のみだ。
この試験ではCKD患者113例を対象に、アロプリノールによる介入を2年間行い、心血管イベントの発生は介入群で低下したものの、腎イベントには有意差が付かなかった(Clin J Am Soc Nephrol 2010; 5: 1388-1393)。
しかし、その後7年間の追跡調査では、腎イベントでも有意差が認められた(ハザード比0.32、P=0.004、Am J Kidney Dis 2015; 65: 543-549)。

 
フェブキソスタットを用いたわが国のFEATHER研究(対象400例以上)をはじめ、今後の大規模RCTの結果が待たれるが、内田氏らは"模擬RCT"ともいうべき検討を行っている。

 
これは傾向スコア解析と呼ばれる手法で、観察研究の対象者から背景の一致する集団を抽出し、集団間でイベントの発生を比較する。
観察研究の弱点である交絡因子の影響を可能な限り排除する狙いがある。
同氏らの研究では、CKD患者800例超のコホートからマッチングした症例群の6年間の観察において、期間中の平均血清尿酸値が6.0mg/dL以上だった群ではそれ未満の群に比べ、末期腎不全への移行が4.5倍高率で(ハザード比4.53、P=0.01)、絶対リスク減少は12%、治療必要数(NNT)は8.7という良好な結果が示さている。


尿酸もXOも腎機能低下を促進する可能性

高尿酸血症が腎機能を低下させるとしても、その"主犯"は尿酸ではなく、キサンチンオキシダーゼ(XO)だとする説がある。
尿酸は核酸代謝の最終産物で、XOはその律速酵素だが、XO活性が亢進すると尿酸だけでなく活性酸素種の産生も増大するからだ。
この説に立てば、尿酸は腎障害の原因ではなく、マーカーと見なされる。

 
CKD患者において、血中XO活性の高値が心血管イベントの発生を予測するという前向き研究(Nephron 2015; 131: 167-174)が存在するのに加え、高尿酸血症のモデル動物を用いた同氏らの実験において、尿酸生成抑制薬(XO阻害薬)のトピロキソスタットが酸化ストレスと腎障害を改善している。

 
しかし同時に、尿酸自体も腎障害に働いているという考え方もある。
やはり同氏らの高尿酸血症モデル動物での実験において、XO活性の亢進を介さずに生じた高尿酸血症により、輸入細動脈や弓状動脈の壁肥厚が認められたことが根拠となっている。


「高尿酸血症は、XO活性の亢進を介する系、尿酸自体による系の2系統で腎機能を低下させる」というのが同氏の仮説だ。
そして、細胞外の尿酸は善玉だが、細胞内の尿酸は悪玉として作用すると語る。細胞内の尿酸はミトコンドリアの機能不全や血管内皮機能を低下させ、高血圧や全身の動脈硬化を促進すると同時に、腎局所でさまざまな障害をもたらす可能性が推測されるという。
高尿酸血症による血管障害は腎だけでなく、冠動脈や大動脈などでも起こっている可能性もある。


血清尿酸値6mg/dL未満を目標に病型に応じた薬剤選択、飲水指導

CKD患者に対して、内田氏は次のような方針で高尿酸血症の治療を行っている。


血清尿酸値7.0mg/dL超の患者には随時尿において尿中尿酸/クレアチニン比を測定し、高尿酸血症の簡易病型分類を行う。
同比が0.5未満なら排泄低下型、以上なら産生過剰型であり、前者には尿酸排泄促進薬を、後者には尿酸生成抑制薬を選択する。
いずれも少量から開始し、血清尿酸値6.0mg/dL未満を目標とする。

 
わが国で使用できる尿酸生成抑制薬は3剤だが、アロプリノールは腎機能に応じた投与量の調整が必要で、CKD患者では新たに登場した2剤が使いやすいという。
フェブキソスタットは尿酸低下作用が強力なのが魅力だが、急激に尿酸を低下させると痛風が出現することがあるので注意が必要である。
トピロキソスタットは、尿酸低下作用は緩やかだが、臨床および基礎研究で尿アルブミン・蛋白を減少させることが示されており、CKD患者においては大きな利点となる可能性があるという。

 
一方、同氏は飲水による尿酸排泄も重要だと考えており、尿中尿酸値が50mg/dLを超える患者では、低ナトリウム血症などがなければ、1日2L以上を目安に飲水を指導している。

 
同氏は「CKDの進行を抑制するためには、尿蛋白、高血圧、貧血など強力な危険因子の管理がまず重要だが、高尿酸血症も是正可能な危険因子。しかも新薬の登場で治療が行いやすくなっている」と、積極的な管理を呼びかけている。




<関連サイト>

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン改訂

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/69349898.html


痛風患者の心血管リスク

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/69145594.html


血清尿酸高値は末期腎不全リスクに

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/68822717.html


アロプリノールと心血管イベント

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/56781652.html


痛風・核酸代謝研究の未解決問題

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/55268934.html


高尿酸血症のコントロール

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/38786217.html


高尿酸血症と循環器疾患

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/37730022.html


新規XO阻害薬のXO阻害作用

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/23349289.html





<きょうの一曲>

Video - Horowitz Plays Mozart Piano Sonata No. 13 (k333)

https://www.youtube.com/watch?v=BDmFp-IEGnI



<きょうの一枚の絵>

nanohana

「菜の花」 大野百樹 作 日本画

http://www.saitama-np.co.jp/f_mailmag/kumagaya/photo_yakusho/0604/index.html



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頭蓋内動脈狭窄 虚血性脳卒中への影響は? 脳ドック受診者の縦断研究

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0509503317/

島根大学神経内科の高吉宏幸氏らは,脳ドック受診者約2,800例を対象に,アジア人の虚血性脳血管障害に関連する頭蓋内動脈硬化性病変による長期予後を縦断的に検討した。
同病変のうち,軽度~中等度の無症候性頭蓋内動脈狭窄(ICAS)が認められた受診者では,ICASがなかった者に比べて虚血性脳血管障害の発症率が有意に高く,無症候性脳梗塞とは独立した危険因子であることを,第41回日本脳卒中学会総会(2017.4.14~16)で指摘した。


中等度狭窄例で発症が多い傾向

頭蓋内動脈硬化性病変の虚血性脳血管障害発症への関与は,欧米人に比べてアジア人で大きいとされている。
しかし高吉氏によると,頭蓋内動脈硬化性病変のうち,特に軽度~中等度のICASと長期予後との関連は十分検討されていなかったという。

 
対象は,2000~10年に脳ドックを受診した3,161例のうち脳卒中の既往や神経学的異常がない2,807例(平均年齢62歳)。
虚血性脳血管障害の年間発症率を縦断的に検討し(平均観察期間5.4年),発症の危険因子を解析した。

 
MRIにより166例(5.9%)にICASが認められた(軽度狭窄4.4%,中等度狭窄1.5%)。また,追跡中に虚血性脳血管障害を発症した32例中7例(22%)はICASを有する患者であった〔non-ICAS 25例(78%)〕。


ICAS例のうち,中等度狭窄例で虚血性脳血管障害の年間発症率が高かった(1.3%)が,軽度狭窄例(0.6%)との間に有意差はなかった。

 
そのためICASの有無で検討したところ,non-ICAS例では虚血性脳血管障害の年間発症率が0.18%であったのに対し,ICAS群では0.78%と有意に高かった。


CAS例での介入の必要性を示唆

虚血性脳血管障害の発症に関与する因子である年齢,無症候性脳梗塞,深部皮質下白質病変,ICASを共変量として多変量解析を実施したところ,グレード2以上の深部皮質下白質病変およびICASと虚血性脳血管障害に有意な関連が認められた。
また無症候性脳梗塞を共変量としても,ICASは虚血性脳血管障害の独立した危険因子であることが示された。


高吉氏は「脳ドックでICASが確認された場合,介入が必要な可能性がある」と述べた。


<私的コメント>
最初、さらっと読んで ICASのCをcarotid、すなわち頸動脈と誤解していました。
読み進むうち、Cはcranial、すなわち頭蓋内動脈硬化性病変であることに気付きました。 
ところで頸動脈病変より頭蓋内動脈硬化性病変の方が虚血性脳卒中の発生頻度は高いのでしょうか。
専門外の領域なので、(初歩的なことなのでしょうが)そのあたりの医学的常識がわかりません。 

また、「介入」は薬物的(内科的)介入なのでしょうか。



<きょうの一曲>

John Coltrane - My Favorite Things

https://www.youtube.com/watch?v=sTNlFb6Xj6M



<きょうの一枚の絵>

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ポール・ゴーギャン《肘掛け椅子のひまわり》 1901年 油彩、カンヴァス E.G. ビュールレ・コレクション財団

http://www.g-g2016.com/point.html
(ひまわりはゴッホのオマージュ。ゴッホともども椅子フェチだったようです。しかし、ついつい窓の外の光景に目がいってしまいます)




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スタチンでがん死亡リスク低下の可能性 4万例超の国内多施設コホート研究

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0228506592/
山梨大学大学院社会医学講座准教授の横道洋司氏は、脂質異常症患者4万例超を対象とした多施設コホート研究の結果、スタチン投与により、がんによる死亡、特に大腸がん死を減少させる可能性が示唆されたと第27回日本疫学会(1月25~27日)で報告した。
J Epidemiol(2017年2月11日オンライン版


脂質異常症患者4万1,930例を対象

スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)はLDLコレステロール(LDL-C)値を下げることで動脈硬化リスクを低下させるため、脂質異常症の第一選択薬となっている。
過去のメタ解析では、スタチン投与により心血管イベントが30%、全死亡は12%減少することが示されている(BMJ 2009; 338: b2376)。
この40年余りスタチンに次ぐ第二選択薬を探索する研究が行われてきたが、それらの薬剤の死亡抑制効果に関するエビデンスは少ない。

 
スタチンにはHMG-CoA阻害経路を通じた抗がん作用、特に抗大腸がん作用があるとの報告があるが、これまでその効果についての疫学データは示されていない。
そこで横道氏らは、国内の多施設コホートBioBank Japan Projectにおいて、スタチン投与の有無により全死亡率、全がんおよび大腸がん死亡率が異なるかどうかを比較することを目的として研究を行った。

 
全国66施設で脂質異常症と診断された40歳以上の患者4万1,930例を対象として2003~07年に組み入れを行い、最大12年間フォローアップした。
アウトカム(死亡と死因の測定)は診療情報、住民基本台帳、プロジェクトの生存調査により、がん死をアウトカムとする際はベースラインでがんの現病・既往歴がある者を除外した。


大腸がん死亡率低下の可能性

検討の結果、最も死亡率が高かったのは投与なし(生活習慣指導)群、次いでスタチンと他の抗脂質異常症薬投与(併用)群、スタチン単剤投与群、他の抗脂質異常症薬投与(他の薬剤)群の順であった。
また、抗脂質異常症薬の投与なしまたは単剤投与された患者については投与薬別〔投与なし、レジン(陰イオン交換樹脂)単剤投与、スタチン単剤投与、多価不飽和脂肪酸投与〕に解析したところ、レジン単剤群が最も死亡率が低かった。
これについて横道氏は「レジン投与群には比較的軽症の患者が含まれていたのではないか」と考察した。

 
全がん死亡率、大腸がん死亡率(図)についてスタチン投与の有無で比較したところ、ともに有意差はないものの、スタチン投与なし群に比べてスタチン単剤投与群(調整ハザード比:全がん0.89、大腸がん0.71)で低い傾向にあった。


スタチン投与ががんリスクを低下させるとの研究報告は複数あるが、2015年の米国の有害事象報告データでは「スタチン投与が大腸がんリスクを上昇させる」との結果が示されていた。
同氏は「今回の研究では、スタチン単独投与は、がん死亡および大腸がん死亡リスクを少なくとも上げていない。むしろ、全がんによる死亡、特に大腸がんによる死亡を予防できる可能性が示唆された」と結論付けた。


私的コメント;

最近、「非心臓手術の死亡・合併症」「脳卒中の予後」などのスタチンに関する本来の適応外での効果が報告されています。

過去には、LDL-Cが低値だとがんリスクが上昇するとの報告があります(J Am Coll Cardiol 2008; 52: 1141-1147)。

従って「LDL-Cが下がるとがんリスクも低下する」という単純なものではなく、スタチン自体の多面作用による可能性があるということですが,同じHMG-CoA阻害経路を介した機序という場合に「多面作用」という表現ではたしていいのかよくわかりません。



合併症アリの患者はどこまで降圧すべき?

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t287/201702/550091.html

私的コメント;
内容の理解を深めるには記事中の図が参考になります。

冠動脈疾患合併例  心筋虚血残存例は要注意

「下げ過ぎのリスク」としてよく引き合いに出されるのが、労作性狭心症のある高血圧患者を対象にしたINVEST試験の後付け解析だ。
到達した拡張期血圧(DBP)と心血管イベントの発生率を見ると、心筋梗塞ではDBPが60~70mmHgを下回るとイベントが増える、いわゆるJカーブが観察された。
冠動脈の血流が心筋を灌流するのは拡張期であり、DBPが低過ぎると心筋虚血を来すというのが、想定される機序だ。


久留米大学医療センター循環器内科教授の甲斐久史氏は「一般に到達血圧値で層別すると、血圧低値群には降圧薬の投与で血圧が下がった患者と、心血管合併症などにより登録時から血圧が低かった患者が混在する。後者はもともと心血管イベントのリスクが高いことから、血圧低値群でイベントが増えていても降圧薬で下げたことが原因とは言い切れない」と説明する。

私的コメント
一定以上の年齢になると、加齢とともに拡張期血圧が低下し脈圧が増大するのは常識となっています。
この血圧低下は動脈硬化(動脈壁コンプライアンスの低下) が原因のため「
拡張期血圧低下=動脈硬化の存在」ということになります。


これは「因果の逆転」と呼ばれている現象だ。
また、同じ報告にある冠血行再建術を受けた患者と受けていない患者に分けた解析を見ると、冠血行再建術を受けた患者ではリスク上昇が半分以下になっていた。


「この後付け解析のメッセージは、降圧薬投与にかかわらずDBPが60~70mmHgを下回り、かつ心筋虚血が残存している冠動脈疾患(CAD)患者は気を付けようということ。我が国では、心筋虚血があれば血行再建術を安全に受けることができる。治療により臨床的に虚血が完全に解消されていれば、Jカーブを警戒して治療を緩める必要はない」と甲斐氏。


経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者の登録研究であるCREDO-Kyotoのコホートを使って同氏が行った検討では、DBP70mmHgで層別して心筋梗塞や脳卒中の発生を比較したが、70mmHg未満群でのリスク上昇は観察されなかった。
補正前は70mmHg未満群で高率だった心血管死亡も、年齢、性、腎機能、心機能、既往症などで補正すると、有意差はなくなった。
「CAD患者でのDBP低値は、それがリスクになるのではなく、動脈硬化の進行や全身状態が悪いことを示すマーカーにすぎない」と甲斐氏は捉える。


ただし、CAD既往者は全身の動脈硬化が進行していると考えられるので、降圧はゆっくりと行い、立ちくらみやめまい、ふらつきといった過度の降圧を疑う自覚症状を見過ごさないことがポイントになる。
血圧が予想以上に下がったり、過度の降圧を疑う自覚症状を患者が訴えたら、隠れた心筋虚血や心機能障害による血圧低下も疑い、降圧薬を減らして循環器系の精査をオーダーする必要がある。


JSH2014でも心筋梗塞既往など心血管イベントリスクが高い患者では、130/80mmHg未満を目指すとしている。
SPRINTでは厳格降圧の意義が改めて強調された。
まずは、目の前の患者が130/80mmHg未満を目指せるか検討する姿勢が大切だ。


糖尿病合併例 
我が国では130/80を維持

特集前半でも紹介したように、欧米の診療ガイドラインは糖尿病合併高血圧の降圧目標を140/90mmHgに引き上げた。
その根拠になったのが、ACCORD-BP試験だ。

 
同試験は2型糖尿病患者を厳格降圧群(SBP<120mmHg)と標準降圧群(同<140mmHg)にランダムに割り付け、平均4.7年追跡した。
結果は両群の心血管イベント発生率に有意差を認めず、「糖尿病合併例では120mmHg未満を目指した厳格降圧に利益なし」と結論された。

 
一方、我が国のJSH2014では、降圧目標を130/80mmHg未満に据え置いた。
その理由は、ACCORD-BPの評価項目の中でも脳卒中は厳格降圧群でリスクが41%も低下しており、我が国ではいまだ高止まっている脳卒中の発症予防が重要と判断されたためだ。

 
埼玉医科大の片山氏は、「我が国の事情を重視した判断が、今になれば見識があったと評価されるかもしれない。降圧目標を据え置いたことによる問題は特に報告されておらず、心血管疾患、特に脳卒中のさらなる減少が期待される。一方、SPRINTで糖尿病は対象外だったが、厳格降圧の利益はCKD、心血管疾患といった合併症の有無や年齢によらず、一貫して認められた。今後、厳格降圧を支持する意見が強くなることは確実で、緩和方向にあった欧米の診療ガイドラインが次期改訂でどう変わるかが注目される」としている。


CKD合併例  
朝の家庭血圧も加味して判断

「AKI、電解質異常などの有害事象が厳格降圧群で多く、腎機能の点からは安直に『the lower, the better』を受け入れることはできない」


こう話すのは横浜市立大の田村氏だ。
我が国でCKD患者の降圧と腎イベントとの関連を調べた研究は少なく、東北大が行ったコホート研究である宮城艮陵研究を見ると、診察室血圧で110/70mmHg未満では心血管死亡や総死亡が増えていた。


「1日を通じて様々な外的・内的要因で大きく変化する血圧を、SPRINTと同様な厳格降圧を行いながら、SBPで110mmHgは切らないといった狭い範囲に管理するのは、受診時に1回しか測定しない診察室血圧だけでは無理。CKD合併高血圧では特に、家庭血圧やABPなどの診察室外血圧の情報を加味して1日中安定的な降圧を目指す、『降圧の質』を考えることが大切だ」と田村氏。


腎機能低下に伴い血圧の生理的な日内変動が失われ、夜間血圧の低下が見られないnon-dipperや、夜間血圧の方が高いriserが増えてくる。またnon-dipperやriserは、腎機能障害だけでなく心血管イベントのリスクにもなっているという。


田村氏は「non-dipperやriserの診断はABPなら確実だが、全ての患者に行うことはできない。そこで、朝の家庭血圧を患者に測定してもらい、診察室血圧より朝の家庭血圧が持続的に高ければ、夜間から早朝の血圧上昇があると考えてよい」と話す。


その場合、
(1)減塩指導の強化、
(2)少量の利尿薬の併用、
(3)就寝前の降圧薬服用、
(4)より作用持続時間が長い降圧薬への変更ないし追加
──などにより朝の家庭血圧を下げることが、dipperのリズムの回復からCKDを含めた合併症の進行抑制につながるとのことだ。


高齢者 
虚弱な高齢者への適用には限界

SPRINTで注目すべきは、後期高齢者でも厳格降圧の利益が認められたことだろう。
75歳以上の集団のサブ解析でも、主要評価項目、心不全、総死亡などで、厳格降圧群の有意なリスク低下が認められた。
さらに75歳以上でフレイル(虚弱)が認められる集団でも、厳格降圧が有利な傾向にあった。

 
これが普遍的なエビデンスと評価できるならJSH2014も再考を迫られるが、ここでもAOBPという血圧測定法の特殊性がまず議論となる。

 
大阪大の楽木氏は、「AOBPと通常の診察室血圧との差を考慮すれば、SPRINTのメッセージは、比較的元気な75歳以上の患者なら、診察室血圧で135mmHg前後を実現することは有益であるいうこと。これは、忍容性があれば140/80mmHg未満を目指すというJSH2014の推奨と、大きく異なるものではない」と話す。

 
SPRINTでは、75歳以上は心血管イベントのリスクがなくても登録できた。
年齢自体が心血管イベントのリスク因子であるためだが、結果として75歳以上は、心血管イベントの既往などがなく、医療機関での3カ月ごとのフォローに自立して通って来られるという、比較的元気な人が登録されたと考えられる。
それなら135mmHg付近までの降圧は可能というのが、楽木氏の見立てだ。

 
我が国で高齢者(70~84歳、平均76歳)の孤立性収縮期高血圧の降圧目標を検討したVALISH試験から、追跡期間の血圧平均値とイベントリスクとの関連を見た後付け解析が発表された。ここでも、SBPが130mmHg未満になるとリスクが上昇するJカーブが認められた。


「もちろん、到達血圧値による後付け解析なので因果の逆転といったバイアスを含むが、孤立性収縮期高血圧の高齢者であれば、降圧薬を増やしてまで130mmHg未満にする必要はないと考える」と楽木氏。


一方、SPRINTのフレイルに関しても、広く使われているフリードの5項目での診断ではなく、SPRINTの研究グループが定めた37項目からおよそ8項目以上該当すればフレイルと判断するというもの。
「大規模臨床試験に参加できる比較的元気な集団の中での分類であり、実臨床で車椅子でないと外来を受診できないような患者にも適用できるかは、まだ不明」(楽木氏)とのことだ。



<きょうの一曲>

Malene Mortensen - Take Five

https://www.youtube.com/watch?v=CSfnApFYSFM



<きょうの一枚の絵>

Death_of_Hyacinth 

ジャン・ブロック 『ヒュアキントスの死』

http://suesue201.blog64.fc2.com/blog-entry-279.html

http://blog.goo.ne.jp/chimaltov/e/778555e1e0cfd83634efd51a373c2633

http://blogs.yahoo.co.jp/makinomasaki2281/33172662.html


アポロンは人間の子ヒュアキントスと恋仲になり、片ときも離れなかった。

いつものように円盤投げ遊びをしていると、2人の仲を嫉妬した西風ゼフュロスが意地悪く突風を吹かせたため、アポロンの放った円盤がヒュアキントスの頭を直撃し、命を奪う。その際、白百合に似た花が血に染まって赤く変わり、ヒアシンス(=ヒュアキントス)となった。(ドイツ文学者・中野京子)

日経新聞・夕刊 2017.3.9




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アスピリンが確実に効く対象者を明らかにします J-CAPP2試験研究代表者の石川秀樹氏に聞く

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201703/550288.html

大腸癌予防薬としてのアスピリンに期待が高まっている。
国内外で行われた複数のランダム化比較試験(RCT)で予防効果が確認され、我が国では実用化に向けて投与対象者をより明確にする
J-CAPP2試験が始まった。
以下は同試験の研究代表者を務める石川秀樹氏(京都府立医科大学分子標的癌予防医学特任教授、日本がん予防学会理事長)に、試験の詳細とアスピリンが大腸癌予防薬になるまでのロードマップを聞いたインタビュー記事です。


――アスピリンの大腸癌予防効果とは、いつごろから検証されているのですか。

石川 
研究の歴史はそれほど長いものではありません。
1988年に最初の報告がオーストラリアから発表され、1991年にはアスピリンの長期服用者では大腸癌のリスクが4割も低かったというコホート研究の結果が発表されました。
これで欧米では社会的にも注目され、内視鏡的に摘除できた大腸腺腫・早期大腸癌患者を対象にしたRCTが1990年代に行われました。


代表的な4つの試験を統合したメタ解析によれば、アスピリンの投与によって新たな大腸腺腫の発生は17%、有意に抑制されたという結論になりました。
これらの研究によって欧米では、アスピリンを2~3年投与すれば大腸癌のリスクは20%程度減らせるというコンセンサスができています。


ですがこれは欧米での成績であり、そのままアジア人に適用できるかは分かりません。
そこで我々は、内視鏡で摘除できた大腸腺腫・早期大腸癌の患者311人を対象に、低用量アスピリン腸溶錠(100mg/日)を2年間投与するプラセボ対照二重盲検RCT「J-CAPP」を行いました。
全国の19施設が参加し2007年1月から患者登録を始め、介入が終了したのは2009年7月です。


J-CAPPでは、新たな大腸腺腫の発生リスクはプラセボ群に比べアスピリン群で40%、有意に減少しました。
本試験から、アジア人でもアスピリンに大腸癌予防効果を期待できることが確認されました。


ここ10年ほどでメタ解析を含め多くのエビデンスが集積し、アスピリンによる大腸癌予防効果は、ほぼ確実な知見になったといえるでしょう。


――では、新たにスタートしたJ-CAPP2では何を検証するのですか。

石川 
アスピリンを投与すれば、当然、出血や粘膜傷害のリスクが高まります。
また1錠当たり数円とはいえ、多くの人が長期間飲むとなれば膨大な費用がかかります。
そのため、癌年齢になった全ての人にアスピリンの服用を推奨するのは現実的ではありません。
副作用はきわめて少なく確実に大腸癌予防効果が期待できるという、対象者の絞り込みが必要です。


J-CAPPでは、喫煙者と非喫煙者でアスピリンの効果に差が生じました。
非喫煙者では新たな大腸腺腫発生のリスク減少が63%とより大幅になった一方、喫煙者では逆にリスクが3.45倍も高くなってしまったのです。
その後に海外で行われた臨床試験でも同様な結果が出ていることから、J-CAPPで観察された喫煙者でのリスク上昇は偶然の事象ではないと考えています。
また、飲酒との関連も認められ、飲酒頻度が週3回以上の人はアスピリンの予防効果が減弱していました

<私的コメント> 
喫煙、飲酒自体が
大腸腺腫発生のリスクファクターということなのでしょうか。
アスピリン投与により喫煙者で大腸腺腫発生リスクが「逆に」増加することは興味深いことです。
さて、大腸癌発生リスクと大腸腺腫発生リスクは同じように扱ってよいのでしょうか。
ここで思い出されるのが、昨年センセーションを巻き起こした「メトホルミンによる大腸癌発生予防」の論文(オンライン 
Lancet Oncology 2016.3.3 )です。 

大腸腺腫発生予防がいつの間にやら大腸癌発生予防とマスコミで取り扱われてしまいました。 

糖尿病治療薬に大腸がん予防効果があった? 横浜市立大、世界初の報告

http://agingstyle.com/2016/04/01001007.html


糖尿病の治療薬メトホルミンを用いた大腸腫瘍の画期的予防法を開発 ~世界初報告 大腸ポリープ切除後のがん発症予防の可能性~

http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/res/nakajima160302.pdf


このように患者背景によってアスピリンの効果が異なる「効果修飾」のメカニズムが分かれば、大腸癌予防効果がより確実な人を絞り込むことができます。
例えば薬物代謝酵素のCYP2A6は、たばこの煙の中にある癌原物質の活性化に関与しているとされています。
CYP2A6では代謝活性が低い遺伝子多型の存在が知られており、それが喫煙による効果修飾と関連している可能性もあります。


飲酒頻度が高いとアスピリンの予防効果が減弱したとお話ししましたが、これもアルコールの代謝に関与する酵素であるアルコール脱水素酵素(ADH1B)およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子多型との関連が疑われます。


現時点では、大腸癌予防効果を期待してアスピリンを飲むのなら禁煙しアルコールはほどほどにという指導しかできませんが、これらの効果修飾を手掛かりに、アスピリンによる大腸癌予防効果と関連する遺伝子を見いだしたいと考えています。


J-CAPP2では、内視鏡で摘除できた大腸腺腫・早期大腸癌の患者7000人を対象にアスピリン腸溶錠(100mg/日)を4年間投与し、新たな大腸腺腫の発生を追跡します。
内視鏡検査の間隔を調べる目的で行われたJPS試験における大腸腫瘍の発生率をヒストリカル・コントロールとして用い、7000人の中で遺伝子多型や食習慣、併用薬剤などによる層別解析から交互作用を見いだし、アスピリンによる予防効果や副作用とこれらの患者背景との関連を調べます。


――RCTでなくていいのですか。

石川 
アスピリンに大腸癌予防効果があるかどうかを検証するなら、プラセボ投与群を置いたRCTが不可欠でしょう。
ですが大腸癌予防効果については、既に証明されています。
今行うべきことは、アスピリンの効果がより高く副作用のリスクが低い集団を見いだすことです。
特性が同じ大規模な集団を同時に作らなければならないRCTでは、実施が困難です。


また、RCTでは、人間を1つの集団として捉え、例えば50%の人に有効な介入方法よりも70%の人に効果がある介入方法の方が優れると判断します。
ですが1人の患者にとっては、介入の結果は効いたか効かないか、つまりゼロか1かです。

<私的コメント> 
これは健診や検診が有効かどうかという問題でも同じです。
たまたま発見されて命拾いした患者に立てば費用対効果はどうでもいいことになります。

だから、生活習慣だけでなく遺伝子の情報も加えて、投与した人には確実に効果が出て、副作用はできるだけ起こさないようにしたい。


これは、個人の遺伝子や代謝産物、画像所見などのバイオマーカーを使って将来起こりやすい疾患を特定し、疾患の発症前に介入する「先制医療」の概念とも合致します。
大腸癌を的確に予防できるバイオマーカーを見いだし、その人にアスピリンを投与することで、先制医療を実現しようというわけです。


ただし、7000人にアスピリンを4年間投与するという大規模な試験で、ベースとなる大腸腺腫の発生率が他と大きく違っていたら、研究の質が問われることになります。
そこで、JPSでの大腸腫瘍の発生率をヒストリカル・コントロールとしました。
大腸腺腫の発生率をJ-CAPP2とJPSで直接比較するのではなく、J-CAPP2の妥当性の検証と交互作用の検出のためにJPSのデータを参照します。


――大腸癌予防薬としての実用化まで、どのようなロードマップになるのですか。

石川 
J-CAPP2の主要評価項目は、4年間の大腸腺腫・早期大腸癌の発生です。
4年後にアスピリンの投与は中止しますが、アスピリンの大腸癌予防効果には持ち越し作用があるとされているので、7年目にもう一度内視鏡検査を行います。
これで、適切なアスピリンの投与期間が検証できるはずです。


J-CAPP2は2014年度から始まった厚生労働省の「革新的がん医療実用化研究事業」に採用され、翌年の日本医療研究開発機構(AMED)の設立に伴いAMEDに移管されました。
アスピリンの輸入や臨床試験の倫理指針の改訂への対応に時間がかかり登録開始時期が遅れましたが、2018年度内の登録完了、2023年の結果発表を目指しています。


アスピリンが大腸癌予防薬として実用化されるためには、J-CAPP2の結果も加味して、大腸癌関連の治療ガイドラインや厚労省が音頭を取っているがん予防のための指針などで推奨されることが必要でしょう。
実臨床で投与できるようにするにはアスピリンの適応拡大が必要になりますが、特許も切れた安い薬剤であることから、適応拡大には学会や厚労省のイニシアチブが不可欠と考えています。


――具体的にはどのようなケースが適応になるのですか。

石川 
遺伝的素因がない場合、大腸腺腫から大腸癌に進展するには10~20年の時間がかかります。
しかも加齢とともにアスピリンによる出血のリスクは高まることから、大腸癌の予防としてアスピリンを投与するなら、癌年齢の入り口である50歳代が適当でしょう。


そこで、例えば50歳前後で内視鏡検査を行って孤発性の大腸腺腫や早期大腸癌があった場合、内視鏡摘除後にJ-CAPP2などで明らかになったリスクの程度に応じた間隔で内視鏡検査を行いながら、アスピリンを最大で10年程度投与するのが合理的だと思います。
アスピリンの投与によって新たな大腸腺腫の形成が抑制されることから、内視鏡検査の間隔を広げることができます。


遺伝的に大腸癌ハイリスクの大腸疾患として、リンチ症候群と家族性大腸腺腫症(FAP)があります。
リンチ症候群であれば、より若年からアスピリン投与を考慮すべきと考えます。
FAPではアスピリンにより消化管粘膜傷害が高率で発生したことから、私は単独での投与には否定的です。
FAPに対しては、メサラジンとの併用投与による大腸癌予防効果を検討するプラセボ対照二重盲検RCT「J-FAPP4」が、我が国で進行中です。


一方、50歳時の検査で大腸腺腫が認められなければ、大腸癌予防目的でのアスピリンは不要でしょう。


<私的コメント> 
大腸腺腫が大腸癌の素地になるという考えです。
陥凹型大腸がんもあるわけですから、こういったタイプの
大腸がんに対するアスピリンの大腸がん予防効果は検証されているのでしょうか。
今回は循環器科の領域から外れた内容の記事をとり上げてしまいました。
しかし、アスピリンとチェノピリジン系の薬剤の優劣を考えた時に、冠動脈や脳血管レベルのことだけを考えるのではなくマクロ的な視野も必要と思って取り上げました。
(最近、循環器領域の論文を読む時には「全死亡」にも注目するようにしています)
 


<きょうの一曲>

Angel Eyes - Paul Desmond Quartet

https://www.youtube.com/watch?v=MoSl1zDkABY



<きょうの一枚の絵>
ryuta_kashiwamoto006

柏本龍太 

La campanella 15P

http://www.nichido-garo.co.jp/artist/ryuta_kashiwamoto.html 




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さようなら心血管病予防薬、こんにちは癌予防薬 アスピリン、2度目のリポジショニング進行中

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201703/550394.html

解熱鎮痛薬として発売されてから100年以上の歴史を持ち、現在では抗血小板薬として心血管疾患(CVD)の予防目的に広く使われているアスピリン。
だがCVDの一次予防に関していえば、副作用となる出血のリスクに勝る利益を明示できてはいない。
一方で近年、大腸癌予防効果が注目され始めた。
アスピリンは近い将来、CVD予防薬から大腸癌予防薬に変わるかもしれない。


2016年11月、米ニューオリンズで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会で奈良県立医科大学第一内科教授の斎藤能彦氏は、日本人2型糖尿病患者に対する低用量アスピリン(81~100mg/日)のCVD一次予防効果を検証したJPAD2試験の結果を発表した。
JPAD2は2008年に発表されたJPADの延長試験で、追跡期間はJPADの4.4年と合わせ10.3年(いずれも中央値)に及んだ。


JPADでは、有意差こそ付かなかったもののアスピリン群でCVDリスクが20%減少し、65歳以上の集団に限ればリスク減少は有意だった。
この結果から斎藤氏ら研究グループは、「追跡期間を延長すればイベント数が増え、全体集団でも有意なリスク減少が観察される可能性がある」と期待した。


だがフタを開けてみると、CVDリスクの減少傾向は消失し、年齢や腎機能による層別解析で有意なリスク減少を示していた集団もなくなっていた。
しかも、消化管出血の発生率は非投与群の0.9%に比べアスピリン群で2.0%と、有意に上昇していた。
JPADでは消化管出血のリスク上昇は認められておらず、アスピリン投与期間の長期化と登録患者の加齢が原因と考えられた。

 
斎藤氏は「
CVDのリスクを減らさず出血のリスクは増やすというのでは、投与する意味がない。CVDのリスクが高い糖尿病患者であっても、一次予防を目的としたアスピリン投与は推奨されないというのがJPAD2の結論だ」と話す。


なお、JPAD2でアスピリン群のHRが1.14と上昇傾向にあった理由は、延長追跡期間は2群間で患者背景に差が生じ、アスピリン群の方でCVDリスクが若干高かったためとのことだ。


CVDリスクある高齢者でも一次予防には無効

我が国で行われ世界が注目したアスピリンによるCVD一次予防試験は、もう1つある。
2014年の同じAHA学術集会で発表された、JPPP試験だ。高血圧や脂質異常症、糖尿病といったCVDリスクを1つ以上持つ60~85歳の1万4464人を、低用量アスピリン(100mg/日)投与群または非投与群にランダム割り付け、5.02年(中央値)追跡した。


加齢もCVDのリスク因子であることから、実質的には複数のCVDリスクを持つ日本人集団を対象としたJPPPでも、アスピリン群における有意なリスク減少は観察されなかった。
このJPPPでは、70歳以上の7971人を対象にした後付け解析(
JPPP70)が行われたが、それでもアスピリンによる有意なリスク減少は見られなかった。


対象者の条件はJPADとJPPPで若干異なるものの、「CVDのリスクが中程度上昇した日本人集団に対する、一次予防としてのアスピリン投与に利益なし」という結論は一致していた。


一次予防ではCVDの発生率が低く、アスピリンによるリスク減少も10%程度なので、治療必要数は1000人以上投与してやっと1人のCVD発症を防げるというレベルになる。一方で出血のリスクは確実に1.5~2倍高まる。CVD一次予防では、アスピリンの投与で出血のリスクに勝る利益が期待できる集団はないと考えるべきだろう」と斎藤氏。


欧州のガイドラインは一次予防目的の投与を推奨せず

アスピリンのCVD一次予防を検証し結果を報告している大規模なランダム化比較試験(RCT)は、JPADとJPPPを加え世界で10件程度ある。
だが主要評価項目で有意なリスク減少を示したものは、HOTとPPPという2試験にとどまる。
2016年に欧州心臓学会、欧州糖尿病学会、欧州動脈硬化学会など関連10学会が共同で発表した「CVD予防に関する欧州ガイドライン」では、糖尿病の有無にかかわらずCVD一次予防目的でのアスピリン投与は「推奨しない」とした。


これに対して米国では、徐々に限定的になっているがCVD一次予防での推奨はまだ残っている。
2016年に
US Public Service Task Force(USPSTF)から発表された「CVD一次予防および大腸癌予防目的でのアスピリン投与に関する推奨」では、50歳代に対して、
(1)10年間のCVDリスクが10%以上、
(2)出血リスクが高くない、
(3)余命が10年以上ある、
(4)10年以上服用する意志がある
という多くの制限を付けた上で、投与開始を推奨した。


USPSTFは米国保健省に属する諮問機関で、予防的介入に関して多くの推奨を発表している。
今回の改訂は、2009年に発表したCVD一次予防目的でのアスピリンの推奨と、2007年に発表した大腸癌予防目的でのアスピリンの推奨を1つにまとめた上で、内容を更新した。


50歳代を主たる適応とし、余命の長さや長期服用する意志があるかなどの条件が加わったのは、抗血小板作用と異なり、効果発現までかなりの時間がかかる大腸癌予防を踏まえたものだ。


実は改訂に当たってUSPSTFが行ったメタ解析では、アスピリンの投与により心筋梗塞の発症は22%、有意減少していた(脳卒中や心血管死亡では有意差なし)。
心筋梗塞は血小板凝集が病態に深く関与しており、アスピリンの効果が目に見える形で表れたと考えられる。
USPSTFが「50~69歳の心血管リスクが高い人なら中程度の利益がある」としてCVD一次予防目的での推奨を継続したのは、心筋梗塞対策が国是になっている米国の事情もありそうだ。