葦の髄から循環器の世界をのぞく

訪問ありがとうございます。 このブログは医療関係者を対象としています。 老境に入った内科開業医が、昔専門とした循環器科への熱い思い断ちがたく一人でお勉強した日記です。 内容は循環器科に限定しています。 他に「井蛙内科開業医/診療録」「ふくろう医者の診察室」のブログもあります。

HbA1c低値のACS患者の予後予測には1,5-AG

HbA1c低値のACS患者の予後予測に1,5-AGが有効

HbA1c 7.0%以下の急性冠症候群(ACS)患者において、1,5アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)が心血管死亡の予後予測因子として有用であることが示された。
順天堂大学循環器内科の研究グループが、第52回日本成人病(生活習慣病)学会(1月13~14日、東京)で発表した。


HbA1cは心血管疾患の発症リスクと関連することが知られており、糖尿病の診断や管理指標に広く使用されている。
しかし、糖尿病の診断基準は満たさないものの、耐糖能異常があれば動脈硬化は進展するため、HbA1cが低値であっても心血管疾患の発症リスクは高まっていると考えられる。
一方、血糖コントロール指標の1つである1,5-AGはHbA1cよりも短期間(数日間)の血糖変動を反映し、血中1,5-AGの低値は動脈硬化や心血管疾患の発症リスクの上昇と関連すると報告されている(Watanabe M,et al. Atherosclerosis. 2011;216:477-83.)。
今回大内氏らは、HbA1cが低値の集団で1,5-AGが予後予測因子として有用かどうかを評価した。

<私的コメント>
「短期間(数日間)の血糖変動を反映」というより「食後高(過)血糖」の指標と考えていました。
 ACSには前者の捉え方の方が好都合なんでしょう。
また、
ACSもそうでしょうが急性ストレスでは血糖が上昇している状態が想定されます。 
血中カテコラミンも当然上昇しているのではないでしょうか。 


対象は2011年1月~2013年12月に順天堂大学附属病院に入院したACS患者連続388例。
このうちHbA1c 7.0%以上、腎機能障害、悪性腫瘍、胃切除、ステロイド内服患者を除外した198例で解析を行った。
1,5-AGは緊急冠動脈造影検査時に測定した。
対象患者の1,5-AG平均値である18.5μg/dLを境として、18.5μg/dL超を1,5-AG高値群、18.5μg/dL以下を1,5-AG低値群として解析を行った。


平均フォローアップ期間(46.9カ月)中に生じた心血管死亡は9例。
心血管死亡患者の1,5-AGは12.3±5.3μg/dLだった(生存患者189例は19.2±7.7μg/dL、P<0.01)。
この他、心血管死亡患者の年齢は75±12歳、BMI 22.4±2.4、HbA1c 6.2±0.6%などだった。
生存患者では年齢65±12歳、BMI 24.3±3.3、HbA1c 5.8±0.5%だった。


1,5-AG高値群と低値群をそれぞれ2016年12月まで追跡し、心血管死亡をエンドポイントとするカプランマイヤー解析を行った。その結果、心血管死亡の発生は低値群で有意に高率だった(P=0.02)。
また、総死亡をエンドポイントとしても低値群では有意に高率だった(P=0.03)。
ハザード比(HR)は、単変量解析でHR 0.88(95%CI:0.79-0.97、P<0.01)、多変量解析でHR 0.76(95%CI:0.41-0.98、P=0.03)という結果だった。


これらの結果から、「症例数が限られるため、さらなる検討が必要であるもののHbA1c 7.0%未満のACS患者において、1,5-AGが低いとイベント発生率は高まり、独立した予後予測因子になることが示唆された」と話した。


<私的コメント>
ACSといっても発症から1,5-AGの採血を行う緊急冠動脈造影検査までの所要時間が書かれていません。
発症数日後と数時間以内を同様に論じることは出来ない筈です。
数日経った症例では胸痛に伴って(カテコラミン上昇が起きその結果として) 1,5-AGが上昇しているかも知れないからです。
要するに原因なのか結果なのか、そして何より「 1,5-AGの低下からACSを予知」することは臨床上まず想定出来ません。 



<きょうの一曲>

Ginamaría, Memorias de una vieja canción.wmv



<きょうの一枚の絵>


800x981-2017111400092-1

山村博男 「ヌード」 油彩12号 





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよろしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 
 

心臓デバイス装着例へのMRI検査

心臓デバイス装着例へのMRI検査の安全性

米国では、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)を使用中の患者は、デバイスが米国食品医薬品局(FDA)の規定する基準を満たさない限り、安全上の懸念からMRI検査を受けられないことが多く、FDA基準を満たすデバイスは「MRI-conditional(条件付きでMRI可能)」と呼ばれる。
米国の研究チームは、このような条件を満たさず、FDAによりMRI禁忌とされる従来の心臓デバイス(
レガシー・デバイス)の装着例で、MRI検査を受けた患者を前向きに調査し、臨床的に問題となる有害事象は発現していないと明らかにした。
( NEJM誌 2017.12.28 )

私的コメント; 
「前向き調査」ということは、いわば「掟破り」を敢行したということなのでしょうか。 


有害事象、デバイスのパラメータの変化を検討

研究グループは、従来の心臓ペースメーカーまたはICD(レガシー・デバイス)を装着した患者におけるMRI検査の安全性を評価するプロスペクティブな非無作為化試験を行った。


対象は、心臓ペースメーカーまたはICDを装着し、プライマリケア医および専門医によってMRI検査(1.5テスラ)が必要と判定され、2003年2月~2015年1月に試験に登録された患者であった。
ペーシング・モードは、ペーシング依存の患者は非同期モードとし、それ以外の患者はデマンド・モードとした。
頻脈性不整脈の治療機能は無効に設定した。


アウトカムは有害事象およびデバイスのパラメータの変動とした。
MRI検査の直後に評価した有害事象には、ジェネレータの故障、パワーオン・リセット(バックアップ・モードへの自動的なリセット)、システムの更新やプログラミングの変更を要するペーシング閾値やセンシングの変化、バッテリーの消耗、心不整脈などが含まれた。デバイス・パラメータは、P波アンプリチュード(振幅)、右室および左室のR波アンプリチュード、心房および右室、左室のリード・インピーダンスなどであった。


1,509例が解析の対象となった。
年齢中央値は69.3歳(IQR:57.7~78.1)で、女性が36%を占めた。
心臓ペースメーカー装着が880例(58%)、ICD装着は629例(42%)であった。137例(9%)がペーシング依存だった。


8件で一過性のリセットが発生、パラメータ変化は低頻度

全体の駆出率中央値は50%(IQR:30~60)で、冠動脈疾患が33%に認められた。
冠動脈バイパス術が15%、大動脈弁置換術が4%、僧帽弁置換術が2%に施行されており、心臓再同期療法は11%に行われていた。


デバイス装着の理由は、症候性徐脈が31%、突然死の1次予防が26%、完全房室ブロックが11%、突然死の2次予防が9%、頻脈・徐脈症候群が7%であった。
ジェネレータ埋め込み後の経過期間中央値は29ヵ月(IQR:12~52)だった。


MRI検査は2,103件行われ、このうち2回が320例(15%)、3回以上は274例(13%)であった。
撮像領域は頭頸部が52%、腹部/骨盤が27%、胸部が12%、腕/脚が9%だった。


臨床的に意義のある有害事象の報告はなかった。
9件(0.4%、95%信頼区間[CI]:0.2~0.7)のMRI検査時に、患者(8例)のデバイスがバックアップ・モードにリセットされた。
このうち8件は、リセットが一過性であった。
1例では、バッテリー残量が1ヵ月未満で、心室感知抑制ペーシングにリセットされ、再プログラムはできないため、その後デバイスの交換が行われた。


MRI検査直後にみられた最も頻度の高いデバイス・パラメータの顕著な変化(ベースラインから50%以上)は、P波アンプリチュードの減少であり、1%(13/1,347件)に認められた。


長期フォローアップ(期間中央値1年、IQR:0.5~1.7)が行われた958例(63%)の1,327件(63%)のMRI検査では、ベースラインからの変化が顕著なデバイス・パラメータのうち頻度の高いものとして、P波アンプリチュードの減少(患者の4%)、心房捕捉の閾値の上昇(4%)、右心室捕捉の閾値の上昇(4%)、左心室捕捉の閾値の上昇(3%)が認められた。


観察されたリード・パラメータの変化には、臨床的な意義はなく、デバイスの交換や再プログラミングを要することはなかった。


私的コメント; 
「MRI-conditional」との比較がない限り、この研究結果の評価は限定的となってしまいます。

英文抄録

Safety of Magnetic Resonance Imaging in Patients with Cardiac Devices.

S Nazarian, et al. 

The New England journal of medicine. 2017 12 28;377(26);2555-2564. doi: 10.1056/NEJMoa1604267.

https://pmc.carenet.com/?pmid=29281579&keiro=journal




<きょうの一曲>

You're my everything - Santa Esmeralda - Lyrics


The Temptations - You're My Everything


You are my everything....


You Are My Everything

Zoot Sims - You're My Everything (1977)




<きょうの一枚の絵>

raoul_dufy_30_years_rose

ラウル・デュフィ「30年、或いはバラ色の人生」





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 

コーヒー摂取による害と益

コーヒー摂取による害と益の分水嶺は? アンブレラ・レビューに基づく解析

コーヒー摂取による不眠や心拍数の増加、血圧の上昇などといった負の報告がある中、1日3杯程度のコーヒー摂取により全死亡のリスクが17%有意に低下するなど、同程度の摂取だと害より益に働くことが、英国の研究グループから報告された。
た。
BMJ(2017; 359: j5024

しかし付随論評で「疾病予防のために医師はコーヒー摂取を勧めるべきではない」と釘が刺された。


がんリスクは18%有意に低下

コーヒーには抗酸化、抗炎症や抗線維化をはじめ1,000以上の作用があるといわれている。
コーヒーは世界で最も飲まれている飲料の1つであり、摂取規模を鑑みると健康に関する重要な要素になるともいえる。
既存の研究は、コーヒー摂取が全死亡、がん、心血管・代謝・神経・筋骨格・消化器などの疾患ならびに妊娠に及ぼす影響について、断面研究や症例対照またはコホート研究に基づくシステマチックレビューとメタ解析によって検討されたものであった。

 
今回の研究は、こうしたシステマチックレビューとメタ解析の結果をさらに解析し、精度を上げる"アンブレラ・レビュー"という手法を用いて、コーヒー摂取が健康に及ぼす影響を評価した。
対象は、PubMed、EMBASE、CINAHL、コクランデータベースから抽出した、観察研究のメタ解析201報およびランダム化比較試験(RCT)のメタ解析17報。

 
コーヒーを1日3杯摂取する群では、摂取しない群に比べて全死亡のリスクが17%有意に低下し、心血管死および心血管疾患のリスクは19%、15%といずれも有意に低下した。
また、3杯以上の摂取による健康への害はなかった一方、明らかな便益も認められなかった。

 
がんリスクについては、コーヒーを多く飲む群ではそうでない群に比べて前立腺がん、子宮体がん、肝がんなどの有意な低下が見られ、がん全体では18%有意に低下した。


摂取量が多い妊婦では出生時低体重のリスクが有意に上昇

しなしながら、コーヒー摂取による健康への便益は、喫煙習慣で補正すると有意差が消失した。
また妊婦では、コーヒー摂取が害に作用することが分かった。
コーヒーの摂取量が、少ないまたは摂取しない妊婦に比べて、多い妊婦では出生児の低体重のオッズ比(OR)が1.31(95%CI 1.03~1.67)、妊娠早期の早産は 1.22(同1.00~1.49)、妊娠中期の早産は1.12(同1.02~1.22)、流産は1.46(同1.06~1.99)と、いずれも有意に高かった。

 
さらにコーヒー摂取を1日1杯追加した女性では追加しない女性に比べて、骨折リスクの有意な上昇が見られた。


コーヒーに入れる砂糖や乳製品にもリスク

今回の結果を踏まえ、「妊婦や骨折リスクのある女性を除き、1日3~4杯程度のコーヒー摂取であれば健康に与える便益は害を上回る可能性が高いと考えられる」と結論した。
ただし、アンブレラ・レビューには観察研究に基づくシステマチックレビューとメタ解析が含まれていることに言及。
コーヒー摂取が健康に与える便益について確実な因果関係を得るには、RCTの実施が必要と付言している。

 
同誌の付随論評で「医師は疾病予防を目的としてコーヒー摂取の習慣を推奨すべきではない。今回の研究で示されたように、妊婦や骨折リスクを有する女性では摂取による害があり、摂取量の増加による健康への影響については明らかでない」と指摘している。また、コーヒーを摂取する際には精製された砂糖や脂肪分を含む乳製品が添加される食行動を挙げ、健康に悪影響をもたらす可能性があるとしている。



<きょうの一曲>

Tchaikovsky: Symphony No. 6 "Pathétique" / Petrenko · Berliner Philharmoniker



<きょうの一枚の絵> 

amica5959-img450x600-1403250256unjtuh26734 のコピー

石垣 定哉 「ニューヨーク」



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 


無症候性心筋梗塞と心不全

無症候性心筋梗塞は心不全のリスク上昇と関連 米国ARIC研究の結果から

地域住民を対象とした前向きコホートであるARIC研究によって、無症候性心筋梗塞は心不全のリスク上昇と有意に関連していることが示された。
1980年代後半から98年の間に心電図検査を4回実施し、その後13年にわたって心筋梗塞(MI)と心不全イベントの関連を検討したもの。
(J Am Coll Cardiol誌 218.1.2)


一般集団における無症候性MIの有病率は0.3%から4.8%とされ、高齢者、糖尿病、女性などのサブグループでは、それより高いことが知られている。
無症候性MIは、最大でMI全体の半数
に上るとされ、再梗塞のリスク増加や冠動脈疾患、突然死、総死亡と関連している。
本研究の目的は、無症候性MIならびに臨床的に明らかなMI(臨床性MI)と心不全の関連を、MIのない患者と比較することとした。


ARIC(Atherosclerosis Risk In Communities)研究は、地域住民を対象とした前向きコホート研究。
動脈硬化とその臨床転帰、心血管リスク因子や治療状況と人種、性別、地域などとの関係について検討している。
米国の4地域に1987~89年に在住した当時45~64歳の成人(1万5792例)をベースラインとして登録し、電話インタビューとクリニックでの診察を実施した(
来院1)。
その後、1990~92年(
来院2)、1993~95年(来院3)、1996~98年(来院4)、2011~13年(来院5)に追加検査を実施した。
追跡期間は、来院4の検査時から心不全の診断、死亡あるいは追跡期間終了時(2010年12月31日)までとした。


本研究の分析対象は、来院1~4の時点で、質の確保された心電図データを有する症例とした。
無症候性MIの定義は、来院1のときにMIはなく、来院2・3・4のいずれかで新規MIの心電図所見があり、臨床性MIの報告がない場合とした。
臨床性MIは、胸痛、入院時の心臓バイオマーカー/酵素、異常Q波を含む心電図の新規所見、冠動脈疾患の病歴などの報告から医師が判定した。
心不全イベントは、心不全(ICD-9コード428)による初回入院と定義し、退院記録、死亡証明書などの調査で確認した。

私的コメント
心不全による初回入院 」を「心不全イベント」と定義するのは客観的とはいえない(つまり主観的判断が入る余地がある)のではないでしょうか。


コックス比例ハザード分析で、MI(無症候性・臨床性)、非MIと心不全の関連を検討するにあたり、2つのモデルを使用した。
モデル1は、年齢、性別、人種で補正し、モデル2は、モデル1に加えて、BMI、喫煙状況、心拍数、収縮期血圧、降圧薬の使用、糖尿病で補正した。


対象者9243例の平均年齢は53.7ア5.7歳。女性57.2%、黒人20.4%で、臨床性MIは331例、無症候性MIは305例、非MIは8607例だった。
追跡期間の中央値は13.0年(四分位範囲:12.2-13.9年)で、心不全の発生は976例だった(臨床性MI:104例、無症候性MI:54例、非MI:818例)。
心不全の発生率は、臨床性MI群ならびに無症候性MI群の方が、非MI群よりも高かった。

私的コメント
臨床性MI群でSTEMI、無症候性MI群でNSTEMIが多いということはなかったのでしょうか。

複数因子で補正したコックス比例ハザードモデルでは、臨床性MIと無症候性MIは、非MIと比べて、心不全の発生と有意に関連していた。
臨床性MIと無症候性MIを比べると、臨床性MIの心不全リスクの方が高かった

非MI群における心不全の発生を1とした場合、臨床性MI群のハザード比(モデル1)は3.49(95%信頼区間[CI]:2.83-4.30)、無症候性MI群は1.85(95%CI:1.40-2.44)だった。
補正項目を増やしたモデル2では、臨床性MI群のハザード比は2.85(95%CI:2.31-3.51)、無症候性MI群は1.35(95%CI:1.02-1.78)だった。

私的コメント
要するに臨床性MI群のほうが、より広範な心筋ダメージを起こしたという半ば当然の結果です。 


サブグループ解析においても、臨床性MI、無症候性MI、非MIと心不全の関連は一貫しており、人種、糖尿病、高血圧、心拍数などによる交互作用は認められなかった。
ただし、年齢によるサブグループ解析では、若年集団と高齢集団を年齢中央値(53歳)で分けた場合、
若年集団における無症候性MIに関連した心不全リスクは、高齢集団より高かった
同様に、
女性は男性より、過体重者は正常体重者より、非喫煙者は現在および過去の喫煙経験者よりよりも、心不全リスクがやや高い傾向が認められた。


心不全のリスクは男性の方が女性より高い一方、HFpEFのリスクは女性の方が高いとする報告に触れ、MIの種類(臨床性と無症候性)と心不全の種類(HFpEFとHFrEF)の関連の中で、性別や人種の違いによる交互作用の有無をさらに検討する必要がある、と指摘している。


結論
無症候性MIは、既知の心不全リスク因子とは独立して、心不全のリスク上昇と関連していた。
そして、心不全リスク評価としての無症候性MIスクリーニングの費用対効果を検討し、無症候性MIを有する患者の心不全リスクに対応する予防的治療法を見いだすために、さらなる研究が必要である。


<英文抄録>

Qureshi WT, et al. Silent Myocardial Infarction and Long-Term Risk of Heart Failure: The ARIC Study. 

J Am Coll Cardiol. 2018 Jan 2;71(1):1-8.





<自遊時間>

高血圧のほとんどは薬はいらない! 50歳・男性で155は正
51bWyKJxh8L


この本の著者はスキャンダラスな本を数多く執筆しているが、経歴からもみてもわかる通り臨床医でないばかりかそもそも医師でもない。



   41pevvhwQLL   5129Z-R6wgL41lctOiZghL

(売れているかどうかわかりませんが)こんな本もあります。

まさしく「言論の自由」です。

しかし、もし読者に実害が出るとすれば話は違って来ます。




<きょうの一曲> 

Tchaikovsky: Romeo and Juliet / Dudamel · Berliner Philharmoniker





<きょうの一枚の絵> 

61

後藤純男 「山の早春」 F10




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   



心サルコイドーシスと心臓MRI

心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価、心臓MRIは有意義か?

心臓サルコイドーシスは健康状態を悪化させ、死にもつながる疾患である。
心臓に関連した症状がある患者の評価において、心臓MRIは重要な診断ツールであるが、これまでに使われてきたテストに加えてMRIを行うことが、心臓サルコイドーシスの診断に有用であるかは不明である。
本研究の目的は、心臓サルコイドーシスにおけるさまざまな検査の診断的価値を評価するとともに、心臓MRIの役割を示し、リスクが高い患者を特定することである。
(Journal of American College of Cardiology誌12月号)


サルコイドーシス患者321例の検査に心臓MRIを加え、予後をフォロー

本研究では、生検でサルコイドーシスと診断された患者321例に対し、一般的な検査に加えて心臓MRIとガドリニウム遅延造影を行い、1次エンドポイント(全死亡率、持続性心室頻拍エピソード、心不全による入院)と2次エンドポイント(非持続性心室頻拍エピソード)を同定しながらフォローアップした。


心臓MRIは心臓エコーが正常な患者でも有用

米国心臓不整脈学会(Heart Rhythm Society)のコンセンサス診断基準に基づき、29.9%が心臓サルコイドーシスと診断された。
心臓MRIは最も感度が高く、特異的な検査であった。
心臓MRIによって、心臓に関する症状があるか心電図異常を伴う、もしくはその両方を有するが心エコーが正常な44例に加え、無症状でほかの検査も正常だった15例においても心臓サルコイドーシスが確認された。
心臓に関する病歴と心電図に心エコーを加えても、最初のスクリーニングにおける感度は変わらなかった。
一方で、高い陽性的中率(83.9%)にもかかわらず、心エコーは感度が低かった(27.1%)。
フォローアップ期間中、患者の7.2%で1次エンドポイントが発生し、3.4%で2次エンドポイントが発生した。
ガドリニウム遅延造影は1次エンドポイントの独立した予測因子であった。
ガドリニウム遅延造影、年齢、ベースラインで非持続性心室頻拍を有していることが、すべてのイベントに対する独立した予測因子であった。
心臓に関連した症状があるか心電図異常がある、またはその両方を有する場合、心臓MRIは診断の正確性を高め、独立して1次エンドポイントを予測できた。


心臓MRIが心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価に最も有用

一般サルコイドーシス患者に対する検査の中で、心臓MRIが心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価に最も有用であった。
心エコーはスクリーニングテストとしての診断的価値に限界がある。
心エコーにおける異常は陽性的中率が高いが、確定診断には心臓MRIが必要なケースがあると考えられる。


英文抄録

心サルコイドーシスの診断と予後における従来のスクリーニングに対するCMRの相補的役割。

Complementary Role of CMR to Conventional Screening in the Diagnosis and Prognosis of Cardiac Sarcoidosis.

Vasileios Kouranos,et al.

JACC. Cardiovascular imaging. 2017 Dec;10(12);1437-1447. pii: S1936-878X(17)30145-6.

https://pmc.carenet.com/?pmid=28330653




<きょうの一曲>

Eric Alexander: Touching (full album)

https://www.youtube.com/watch?v=N8DvY6-JirM 



<きょうの一枚の絵>

4q5gxuyrwoepv

石垣定哉 「上高地の朝」




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)とBMIPPシンチ

“心臓の肥満"BMIPPシンチが診断の決め手

中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は”心臓の肥満"とも呼ばれる新規疾患概念である。

TGCVの診断について千葉大学病院循環器内科の宮内秀行氏は「BMIPP(123I-β-methyl-P-iodophenyl-pentadecanoic acid)を用いた心筋シンチグラフィはTGCV診断の有力なツールある。特に”症状が不安定”、"薬物治療の手応えがはっきりしない"場合は同疾患を疑い、BMIPPシンチを施行することが重要である」と言う。

BMIPP WOR 10%未満に追加検査

TGCV は心筋および冠動脈に中性脂肪が蓄積する疾患で、2008年に大阪大学大学院循環器内科学の平野賢一氏らによって日本人重症心不全症例から発見された新規疾患概念。わが国で2017年8月31日までに103例が診断されている。

 
厚生労働省難治性疾患克服研究事業のTGCV研究班が作成した診断基準では
①BMIPPシンチにおける洗い出し率(WOR)の低下または心筋における中性脂肪(TG)蓄積(2点)
②びまん性冠動脈硬化(2点)
③Jordans異常(1点)
④糖尿病(1点)
―の4項目で、4点以上を確診例、3点を疑診例と判定する。

 
同院では、過去にBMIPPシンチを施行しBMIPP WORが10%未満の症例において、冠動脈造影で多枝病変、びまん性狭窄、冠攣縮が認められる場合は、追加検査としてJordans異常の有無の確認、心筋生検を行い診断している。


また、臨床所見(重症虚血性心疾患、早発虚血性心疾患、原因不明の心機能低下、非特異的胸痛)、冠動脈造影所見、糖尿病の有無から心筋シンチの必要性を判断し、BMIPP WORが10%未満の場合は追加検査を行い、診断している。

 
同院を受診した患者のうち、過去の心筋SPECTデータを有した68例中21例でBMIPP WORが10%未満に低下しており、うち16例が確診例だった。
また、臨床所見、冠動脈造影所見、糖尿病の有無に基づきBMIPPシンチを施行した72例中24例でBMIPP WORが10%未満で、うち20例
が確診例だった。
同院では、2015年からTGCVの診断基準を用いてTGCVの探索を開始し、2017年8月までに確診例・疑診例を合わせて76例を診断している。
76例のうち冠動脈硬化例で2枝以上の血行再建を行った症例が48例、冠動脈硬化例で血行再建術非適応例が23例、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅱ度以上の心不全が47例、糖尿病が56例認められた。

"症状が不安定"な症例で疑う

以上から、
①冠動脈2枝以上の血行再建
②血管径が全体に細い
③乏血管(hypovascular)領域、無血管(avascular)領域が存在
④比較的若年(40~50歳代)発症
―に加えて、糖尿病を有する症例や原因不明の心不全症例ではTGCVを疑う必要があるという。

 
最後に、宮内氏は「初めて確定診断した症例は①原因不明の心機能低下②明らかな冠動脈病変を有しない③通常の心不全治療薬の反応が極めて悪い―などの特徴を有していた。特に"症状が不安定"、"薬物治療の手応えがはっきりしない"場合は同疾患を疑い、BMIPPシンチを施行することが重症である」と述べた。



<関連サイト>

「心臓の肥満症」


心臓の肥満”の新薬


中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)


中性脂肪蓄積心筋血管症





<きょうの一曲> 

Tania Libertad - Amar Amando





<きょうの一枚の絵> 

yoshiko211211-img600x450-1488779971zykzbn5299

石垣定哉、冨士黎明

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p546272748



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   


放射線アブレーションによる心室頻拍治療

放射線アブレーションによる心室頻拍治療 カテーテル治療が奏功しない難治性心室頻拍患者に応用

近年の心電図イメージングの進歩により、不整脈に伴う電流の異常を非侵襲的に心筋組織上にマッピングすることが可能になり、さらに非侵襲的な体幹部定位放射線治療(SBRT)を用いた正確なアブレーションもできるようになった。
米Washington大学St. Louis校のPhillip S. Cuculich氏らは、5人の難治性心室頻拍患者に放射線アブレーションを適用し、治療後の心室頻拍の頻度が大幅に減少したと報告した。
(NEJM誌 2017.12.14)


薬剤抵抗性の心室頻拍患者はカテーテルアブレーションで治療されることが多いが、構造的な心疾患がある患者では、心筋中の不整脈源の部位に焼灼エネルギーが十分に届かないことがある。
一方、SBRTは主に癌治療に用いられているが、不整脈の治療にSBRTによるアブレーションを用いた症例報告では、非侵襲的に治療できる可能性を示していた。
そこで著者らは、非侵襲的なマッピングとSBRTを組み合わせて、難治性の心室頻拍患者に電気生理学的ガイドに基づく非侵襲的アブレーションを行う治療を計画した。


対象は、構造的心疾患で、植え込み型除細動器(ICD)を使用しており、治療抵抗性の心室頻拍を有し、カテーテルアブレーションを1回以上受けたか、カテーテルアブレーション禁忌であり、抗不整脈薬を2剤以上使用していても、過去3カ月間に3回以上の心室頻拍エピソードを経験していた患者。
ただし、心臓移植の絶対適応に当てはまるほどではなく、補助人工心臓などの治療を受けている患者は対象から除いた。


対象者はまず、256個の電極を使用したベストを着用し、除細動器を操作して心室頻拍を起こして胸部CT画像を撮影し、電気生理学的マップ画像を作成した。
これにより心室頻拍の最中に最も早く活動電位が立ち上がる部位を突き止めた。次にSPECTまたは造影剤を用いたMRI画像を撮影し、心筋の瘢痕化した部位を解剖学的に同定した。
その上で、電気生理学的マップと解剖学的瘢痕部を重ね合わせ、放射線治療のターゲット部位を特定した。


その上で、患者の胸部から脚までを真空補助器具で吸着固定させて、呼吸による体動に同期して放射線を照射するためのCT画像を撮影した。
食道、肺、胃、脊髄などの周辺組織の被曝を抑えながら、ターゲット部位に25Gyの放射線を照射する治療計画を立て、コーンビーム型CTによる画像と呼吸体動画像を同期させながら、リニアアクセラレーターによる放射線照射を実施した。
治療中は麻酔や鎮静は使用しなかった。


2015年4月から11月までに、9人のハイリスクで難治性の心室頻拍患者を評価し、参加に同意が得られた5人に治療を実施した。
患者の平均年齢は66歳(範囲は60~83歳)、治療前3カ月間の心室頻拍の回数は、最も少ない患者が5回、最も多い患者が4312回だった。
全員が抗不整脈薬を2種類以上使用していた。
3人にカテーテルアブレーション歴があったが、効果は見られておらず、2人はカテーテルアブレーション禁忌の患者だった。
全員がNYHA分類のクラスIIIまたはIVの心不全症状があり、左室駆出分画の平均は23%だった。


マッピングから特定されたアブレーションの標的部位の体積は17~81mLで、平均は49mLだった。
アブレーション時間は11~18分で、平均は14分だった。
追跡期間の中央値は12カ月で、有効性はICDに記録された心室頻拍の回数に基づいて、安全性は心臓と胸部の画像診断により評価した。


治療後にはすべての患者において心室頻拍の回数が劇的に減少していた。
治療前3カ月間には5人の合計で6577回の心室頻拍が起こっていたが、アブレーション後6週間のブランキング時間(アブレーション後の炎症により不整脈が発生する可能性がある期間)には、心室頻拍は計680回発生していた。
それ以降の46人・カ月の心室頻拍エピソードは計4回に留まり、ベースラインからの相対減少は99.9%になった。


12カ月後も生存していた4人のうち3人は、不整脈治療薬が不要になっていた。
1人の患者は、治療後9カ月の時点で発生した初回の抗不整脈ペーシング後に、アミオダロンの使用を再開した。
別の1人は、治療後4週時点で心室頻拍が十分に抑制できていなかったため、侵襲的なカテーテルアブレーションを受け、それ以降は心室頻拍の発生はなかった。
除細動器によるショックの発生回数は、治療前3カ月には5人合計で55回起こっていたが、治療後は1回のみだった。


治療中または入院中に合併症は見られなかった。
治療の翌日に3人が疲労感を訴えたが、急性の心不全の増悪は無く、患者は治療後1~3日で自宅に帰った。
治療による左室駆出率の低下は見られなかった。
3カ月の時点で、1人の患者でアブレーション部位に隣接する肺に、胸部SBRTに特有の軽症の炎症性変化が見られたが、1年後には消失していた。


これらの結果から著者らは、難治性心室頻拍だった5人の患者に対する、電気生理学的ガイド下での心臓への非侵襲的な放射線アブレーションは、心室頻拍の負荷を大きく減少させていたと結論している。
なお、この研究はBarnes-Jewish Hospital財団などの支援を受けている。


英文抄録

Noninvasive Cardiac Radiation for Ablation of Ventricular Tachycardia

PS. Cuculich, et al.

N Engl J Med 2017; 377:2325-2336December 14, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1613773

http://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1613773



<自遊時間>

潰せるものなら潰してみろ! 今年の改定は薬局が強くなるチャンス

・一度、手放した調剤を院内に戻すのは、大変な手間とコストが伴う。

薬価改定が毎年実施されるようになれば、薬価差益は今以上に圧縮されるのは間違いない。

差益が手放せず院内調剤を続けてきた医療機関も、いずれは院外処方に踏み切らざるを得なくなるだろう。

(私的コメント;薬価差益で院内調剤をやっているのではない。患者への利便性、逆に言えば現在の院外調剤の不便さ解消と患者負担軽減のために院内調剤を続けているのだ。院内調剤が「集患」の手法になろうとしている。はたして院内調剤と院外調剤のどちらにjusticeがあるのだろうか)


・行政も、それは分かっているのだろう。

どんなに薬局を批判しようとも、医薬分業を逆戻りさせるようなことはしない。

私的コメント;たしかにハシゴをかけてのは国側だ。そのハシゴを登るかどうかは今でも医療機関の自由だ。そしてハシゴをはずすのはいままでも国のよくやる手法でもある)


・OTC薬などの販売に注力することで調剤報酬の減額をカバーする手はあるだろう。そのためには、処方箋がなくても立ち寄れる場になる必要がある。

私的コメント;たしかに今後の国の施策にも適っている)

 

・保険調剤中心だった薬局で、血圧測定機や体組成計を導入し、地域住民の健康チェックを行い、その結果を基に薬剤師が健康アドバイスを行うような取り組みを始めている薬局が既にある。薬膳カフェを併設したり、保険会社と提携して保険商品を販売する薬局もある。保険薬局が調剤以外の収入を得る手段は案外、多い。

私的コメント;逆にやれるものならやってみろといいたい。ただし「医師法」に抵触しないよう注意していただきたい)


・かつて薬局数の削減をほのめかす発言をした大臣がいたが、減るどころか逆に増えて、「潰せるものなら潰してみろ!」と言えるほど強くなってやろうではないか。全ての薬局が潰されることなく生き残れるよう健闘を祈る。

私的コメント;そこには患者目線が欠けている)



<きょうの一曲>

Christina Bouey - Beethoven Violin Concerto in D Major, Op. 61 With Encore



<きょうの一枚の絵>
work03

後藤純男 「雪の斜里岳」

鋭い稜線を幾重にも走らせる斜里岳の威容を描きながらも、山へと続く雪の大地からは、春の胎動が聞こえてくるようだ。




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   



Empagliflozinは「不安定な」糖尿病サブグループに有効

Empagliflozinは「不安定な」糖尿病サブグループにとくに効果的

末梢動脈疾患(PAD)も有する「不安定な」2型糖尿病患者のサブグループにおいて、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬empagliflozin(商品名:Jardiance、Boehringer Ingelheim/Eli Lilly)は、下肢切断リスクを増大させることなく心血管死亡率、心不全による入院、腎疾患の増悪を減少させた、という研究結果が報告された。


カナダの研究グループは、EMPA-REG OUTCOME試験のサブグループ解析から得られた本結果を、国際心臓協会学術集会( AHA)Late -breaking Trialセッション(2017.11.13)において発表した。
本結果は同時に、Circulation誌にresearch letterとして掲載された。

PAD患者は「極端に不安定な患者集団」である、と定義づけた。
本解析では、2型糖尿病およびPADを有する患者における「心血管死亡率の重大な減少」が明らかにされた。

さらに、PAD患者は下肢切断リスクがより高いにもかかわらず、「重要なことに切断リスク増大の徴候は認められなかった」と、指定討論者は要約の中で述べた。


これは、CANVAS試験の2型糖尿病患者において、別のSGLT2阻害薬であるcanagliflozin(商品名:Invokana、Janssen)により切断リスク増大が認められたのとは対照的である。


「CANVAS試験およびEMPA-REG試験によって、新規薬剤クラスが心血管疾患(CVD)リスク減少に関連するとわれわれは興奮状態になった。その後、(CANVAS試験における)切断リスク増大に対しEMPA-REG試験では切断リスク増大がなかったという点で、有害事象発生率にこのような違いがあったことで混乱が生じた」と、セッションの共同座長を務めたUniversity of Colorado School of Medicine(オーロラ)のRobert H Eckel氏はtheheart.org | Medscape Cardiologyに語った。


EMPA-REG試験では5人に1人がPAD患者

EMPA-REG OUTCOMES試験では、CVD歴を有する2型糖尿病患者7,020例が、3.1年間、標準治療に追加してプラセボを投与する群またはempagliflozin(10mg/日または25mg/日)を投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。

2015年に、本試験結果においてempagliflozinが心血管死の相対リスクを38%、全死因死亡リスクを32%減少させ、糖尿病薬が単なるグルコース低下作用を超えたベネフィットを提供することが初めて示された。
FDAはその翌年に、CVDを有する成人2型糖尿病患者における心血管死のリスク減少という本薬剤の新規適応を承認した。

本試験の組み入れに必要とされたCVD歴にはPADが含まれ、患者の5分の1(21%)がこのカテゴリー(肢の血管形成術歴、ステント留置術歴、バイパス手術歴、脚あるいは足部切断、重大な末梢動脈狭窄がある、足関節上腕血圧比0.9未満のいずれかで定義)に分類された。

今回の新たな解析では、研究者らはPADの状態によるempagliflozinの効果を調査することを目的とした。
研究者らは、プラセボ群、empagliflozin群の患者をPADの有無によってさらに分け、4群について比較した。

患者の平均年齢は4群間で同様(64歳)であり、約72%が男性であった。

患者の平均BMIは31kg/m2であり、平均HbA1c値は8.1%であった。
患者の約半数はeGFR値が60~90mL/分/1.73m
2であり、4分の1はeGFR値が60mL/分/1.73 m2未満であった。

予想通り、PAD患者において現在および過去の喫煙率が高かった。
またPAD患者はMI歴や脳卒中歴を有する率が低く、脂質低下薬の使用率が低かった(74% vs.82%)。

平均3.1年間の追跡期間中、empagliflozin群はプラセボ群と比較し、PADの有無にかかわらず心血管死亡、全死因死亡、心不全による入院、腎障害の新規発症あるいは腎障害進行のリスクが低かった。


PAD患者でempagliflozinによりCV死と心不全が大きく減少

1件の心血管死を予防するために、PADを有する2型糖尿病患者29例を3.1年間empagliflozinで治療する必要がある、と研究者らは報告している。

これは、EMPA-REG試験全体から得られた、1件の死亡を予防するために39例を3年間empagliflozinで治療する必要があるという値と対比させることができる。

ベースラインのPADの有無により、心血管死のアウトカムの曲線には早期から重大な乖離が認められた。
この絶対リスク減少を、2次予防でわれわれが使用する他の介入の状況に落とし込むことが重要である。


PAD患者において、empagliflozin群ではプラセボ群と比較し、心血管死について3%の絶対リスク減少がみられた。

非PAD患者においては、empagliflozin群ではプラセボ群と比較し、心血管死について2%の絶対リスク減少がみられた。

同様にPAD患者において、empagliflozin群で心不全による入院について2.2%の絶対リスク減少がみられ、これは非PAD患者におけるempagliflozin群での絶対リスク減少の2倍の値であった。


また重要なことに、これらのベネフィットは下肢切断リスクの増大を伴わずに達成された。

PAD患者における下肢切断率はempagliflozin群で5.5%、プラセボ群で6.3%であり、非PAD患者ではempagliflozin群で0.9%、プラセボ群で0.7%であった。

私的コメント
非PAD群での下肢切断はどのような症例なのでしょうか。


この結果は、empagliflozinによる切断リスクの増大を認めなかったEMPA-REG OUTCOME試験全体の結果と一致するものである。


本データは、PADを有する2型糖尿病患者におけるリスク減少アプローチとして、他の状況にも適用できる重要な意味を持つ。



英文記事

Empagliflozin Particularly Effective in 'Vulnerable' Diabetes Subgroup



<自遊時間> 気楽な稼業(?)のMR

気がつけば5年、いや10以上(または一度)も顔を出さない製薬メーカーのMRがいる。

会社名を晒せば

 ベーリンガー

 バイエル

 ロシュ

 ゼリア

 明治

 キョーリン

 コーワ

 鳥居

  など


最近気づいたのが、院内調剤の医療機関は医薬品の採用をまずしてもらわなければならない。

主流となっている院外調剤なら、処方をしてもらうだけで済む。

当院は院内調剤で、頭を下げるのも面倒くさいのだろう。


自動車販売もとっくの昔に顧客訪問から店頭へと販売スタイルが変わった。


MRは来れば来たで結構鬱陶しいが、来ないとちょっぴり寂しい。

ちょっぴり複雑な心境だ。


それにしても彼らは普段、どんな仕事をしているのだろうか。

生まれ変わったらやってみたい職業のひとつだ。

「身入り」もいいみたいだし・・・。


<きょうの一曲>

Mozart - Requiem (fantastic performance) [Arsys Bourgogne] [HD]

 <きょうの一枚の絵>

work07
後藤純男 「流氷の春」

画家が「流れ氷」と呼び、好んで描く道東羅臼の流氷。柔らかな光を受け、青く透明に輝く姿は、厳しい冬の終わりを告げる。

 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよろしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 

DOACによる心房細動患者の脳卒中予防

心房細動患者の脳卒中予防に対するDOACのメタ解析/BMJ

心房細動(AF)患者に対する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の脳卒中予防効果について、英国の研究グループがネットワークメタ解析による有効性、安全性および費用対効果の解析を行い、BMJ誌2017年11月28日号で発表した。
解析の結果、DOACはクラスとしてワルファリンよりも、AF患者の脳卒中および死亡リスクを抑制し、国際標準比(INR)2.0~3.0維持用量での大出血および頭蓋内出血に関してより安全であり、数種のDOACはコスト高にもかかわらずネットベネフィットが認められることが示された。
予想される増分純便益(incremental net benefit:INB)は、アピキサバン5mgを1日2回投与が最も高く、次いでリバーロキサバン20mgを1日1回、エドキサバン60mgを1日1回、ダビガトラン150mgを1日2回であったという。


ネットワークメタ解析で23試験を包含し有効性、安全性、費用対効果を解析

検討は、Medline、PreMedline、Embase、The Cochrane Libraryをデータソースとし、AF患者の脳卒中予防効果に対するDOAC、ビタミンK拮抗薬または抗血小板薬の使用を評価した、公表されている無作為化試験をシステマティックレビュー検索して行われた。

 
検索により、患者9万4,656例が関与した23試験が適格基準を満たし、解析に組み込まれた。このうち、INR 2.0~3.0目標達成用量についてDOACとワルファリンを比較検討していたのは13試験であった。
また、解析に包含された介入法は27種あった。

 
被験者は、平均年齢70.0歳、男性63.3%、BMI値28.0、脳卒中既往20.2%(いずれも中央値)などであった。
また、ワルファリン群の治療期間中に占めたTTR(time in therapeutic range)の割合は、中央値63.8%(範囲:45.1~83.0)であった。


大半のアウトカムでアピキサバン5mgの1日2回投与が最高位にランク

有効性と安全性に関する解析の結果、ワルファリンと比較して脳卒中または全身性塞栓症リスクを抑制したのは、アピキサバン5mgを1日2回(オッズ比[OR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.66~0.94)、ダビガトラン150mgを1日2回(0.65、0.52~0.81)、エドキサバン60mgを1日1回(0.86、0.74~1.01)、リバーロキサバン20mgを1日1回(0.88、0.74~1.03)であった。
DOAC間における比較では、ダビガトラン150mgを1日2回よりも、エドキサバン60mgを1日1回(1.33、1.02~1.75)、リバーロキサバン20mgを1日1回(1.35、1.03~1.78)が、脳卒中または全身性塞栓症リスクが高いとのエビデンスが認められた。


全死因死亡リスクは、ワルファリンと比較して、すべてのDOACで抑制効果が認められた。


大出血リスクは、ワルファリンと比較して、アピキサバン5mgを1日2回(0.71、0.61~0.81)、ダビガトラン110mgを1日2回(0.80、0.69~0.93)、エドキサバン30mgを1日1回(0.46、0.40~0.54)、エドキサバン60mgを1日1回(0.78、0.69~0.90)で低かった。
頭蓋内出血リスクは、ほとんどのDOACでワルファリンよりも大幅に低かった(ORの範囲:0.31~0.65)。
一方で消化管出血リスクがワルファリンよりも高いDOACが一部で認められた(ダビガトラン150mgを1日2回のOR:1.52[95%CI:1.20~1.91]、エドキサバン60mgを1日1回のOR:1.22[1.01~1.49]など)。


アピキサバン5mgを1日2回は、大半のアウトカムについて最高位にランクしており、ワルファリンとの比較によるINBは7,533ポンドで、費用対効果も最も認められた(その他投与群のINBは、ダビガトラン150mgを1日2回が6,365ポンド、リバーロキサバン20mgを1日1回が5,279ポンド、エドキサバン60mgを1日1回が5,212ポンド)。


著者は、「ネットワークメタ解析はDOACの直接比較の試験を不要なものとし、AF患者における脳卒中予防に関する選択肢を知らしめてくれるものである」と述べ、「作用機序が類似するDOACの中で、アピキサバンの常用量が最も有効かつ安全であり、費用対効果があると思われた」とまとめるとともに、「さらなる長期データで安全性に関する洞察を深め、DOACからベネフィットを得られない患者を特定し、各DOACの中和薬を開発することが重要である」と指摘している。


英文タイトル

心房細動における脳卒中予防のための経口抗凝固剤:体系的レビュー、ネットワークメタ分析、コスト効果分析。

Oral anticoagulants for prevention of stroke in atrial fibrillation: systematic review, network meta-analysis, and cost effectiveness analysis.

BMJ (Clinical research ed.). 2017 Dec 04;359;j5631. doi: 10.1136/bmj.j5631.




<きょうの一曲>

Christina Bouey - Beethoven Violin Concerto in D Major, Op. 61 With Encore 




<きょうの一枚の絵>

larger のコピー

GREG GANDY  Sunset over the Tenderloin



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


治療抵抗性高血圧に総腸骨動静脈吻合

治療抵抗性高血圧に総腸骨動静脈吻合が有望

治療抵抗性高血圧に対して、経カテーテル的に挿入したデバイス(カプラー)で総腸骨動静脈吻合を行う新しい治療法が有効であることを示す国際共同試験(ROX CONTROL HTN Trial)の結果が、Hypertension(2017; 70: 1099-1105)に発表された。


同試験では、降圧薬治療にもかかわらず診察室での収縮期血圧(SBP)が140mmHg以上、かつ24時間自由行動下での日中のSBP/拡張期血圧(DBP)が135/85mmHg以上の患者を登録。

私的コメント;

この条件を満たす高血圧患者はゴロゴロいます。


従来の降圧薬治療+総腸骨動静脈吻合群(動静脈吻合群)と従来の降圧薬治療単独群にランダムに割り付け、総腸骨動静脈吻合後12カ月時点の有効性と安全性を評価した。

私的コメント

「12カ月時点の有効性と安全性長期の効果」を検討したとのことです長期予後を知りたいところです。

総腸骨動静脈レベルでのAVシャント(人工的fistula)が降圧をもたらす機序が今ひとつ頭に描けません。

末梢血管抵抗が下がったとしても静脈還流量が増加することによる容量負荷によって右心不全は起こらないか心配です。

またシャントレベルより末梢の下肢の機能の低下はみられないのでしょうか。

総腸骨動静脈吻合は片側なのか両側なのか、もし片側ならば運動耐用能は左右で簡単に比較できますが。


 

12カ月後のintention-to-treat解析に含まれた動静脈吻合群は39例で、登録時と比べて診察室SBPは25.1±23.3mmHg(登録時SBP 174±18mmHg、P<0.0001)、診察室DBPは20.8±13.3mmHg(登録時DBP 100±13mmHg、P<0.0001)の有意な低下を示した。

24時間自由行動下血圧(ABP)の低下は12.6±17.4/15.3±9.7mmHg(SBP、DBPのいずれもP<0.0001)と同じく有意であった。

 

また、以前に行われた腎除神経術で効果が得られなかった9例の動静脈吻合12カ月後の診察室血圧の低下は平均30.7/24.1mmHg、24時間ABPの低下は平均12.4/14.4mmHgでいずれも有意であった。

 

動静脈吻合群の14例に同側の静脈狭窄が認められたが、いずれも静脈ステントの挿入による治療が成功した。

私的コメント;

39例中14例に同側の静脈狭窄が認められたということは、かなり高率に静脈狭窄がみられたことになります。



<関連サイト>

ROX Medical completes enrolment in device mediated blood pressure therapy study


Coupler Device Shows Promise for Hypertension Control (VIDEO)

(動画あり)



rox-coupler




<きょうの一曲>

Glenn Gould-Yehudi Menuhin-J.S. Bach-Violin Sonata No.4 (HD)



<きょうの一枚の絵>

5078_6

山口薫 「柿」




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 
 

競技スポーツ中の突然の心停止

競技スポーツ中の突然の心停止の頻度は?

競技スポーツ中における突然の心停止の発生率は、運動選手10万人年当たり0.76件であり、競技中の構造的心疾患による突然の心停止の頻度は低いことが、カナダの研究チームの調査で示された。
研究の成果は、NEJM誌2017年11月16日号に掲載された。
スポーツ活動中の突然の心停止の予防を目的とする事前スクリーニング・プログラムにより、リスクを有する運動選手の同定が可能と考えられるが、これらのプログラムの有効性に関しては議論が続いている。

 

心停止データベースを用い、後ろ向きに検討

研究グループは、カナダの特定地域でスポーツ活動中に発生した突然の心停止をすべて同定し、その原因を調査した。


Rescu Epistry心停止データベース(ネットワーク地域内で、救急医療隊員が対処したすべての心停止の記録が含まれる)を用いて、2009~14年に12~45歳の集団でスポーツ中に発生したすべての院外心停止を後ろ向きに同定した。


患者に関する複数の情報源の記録(救急車の要請の報告、剖検報告、入院データ、患者・家族との直接面談の記録など)に基づき、突然の心停止(心原性)または非心原性の原因によるイベントの判定を行った。


2009~14年の推定総フォローアップ期間は1,850万人年であった。
試験期間中に、院外心停止を起こした2,144例が解析の対象となった。
スポーツ中の突然の心停止は74件で発生し、競技スポーツ中が16件、競技以外のスポーツ中が58件であった。


事前スクリーニングで同定の可能性ありは16件中3件

競技スポーツ中の突然の心停止16件の競技別の内訳は、レース競技(マラソン、バイアスロン、トライアスロンなど)とサッカーが4件ずつ、バスケットボール、アイスホッケー、柔術が2件ずつ、野球、ラグビーが1件ずつであった。
競技以外のスポーツ中では、ジム練習(12件)、ランニング(9件)が多かった。


競技スポーツ中の突然の心停止を年齢別でみると、12~17歳が4件、18~34歳が9件、35~45歳は3件で、全体の発生率は運動選手10万人年当たり0.76件であった。
退院時の生存率は競技スポーツ中が43.8%、競技以外のスポーツ中は44.8%とほぼ同じだった。


競技スポーツ中の突然の心停止の原因は、35歳未満では原発性不整脈(6件)と構造的心疾患(肥大型心筋症、冠動脈奇形:5件)が多く、35~45歳では全例が冠動脈疾患であった。
肥大型心筋症による死亡は2件で、不整脈原性右室心筋症による死亡は認めなかった。


競技スポーツ中の突然の心停止のうち3件は、事前スクリーニングを受けていれば同定が可能であったと考えられた。


著者は、「競技スポーツ参加中の突然の心停止はまれで、原因は多岐にわたり、体系的な臨床的事前スクリーニングや、これを心電図ベースの事前スクリーニングと併用しても、患者の80%以上は同定されない可能性がある」と指摘している。



日本の心疾患スクリーニングは適切か? それとも過剰か?(解説:香坂 俊 先生)

この研究が我が国の医療政策にもたらす影響は大きい。

カナダのオンタリオ州のデータベースを用い、若年者(12~45歳)の突然死がどの程度スポーツに直接由来するかが推計された。
医学的に興味深い点も多く、
競技中の突然死がサッカーや陸上競技に多く、その原因のほとんどが肥大型閉塞性心筋症であったことなどは首肯できる。
そんな中、今回の解析で自分が注目したのは突然死の頻度そのものである。
このデータベース上では6年間で16件のスポーツに直接関連した突然死が観察されており、これを競技年数で換算すると0.76 件/100,000人年ということになるとの記載がある。
若年者の突然死全体の頻度は4.84件/100,000人年であり(スポーツに関連しない突然死を含む)、このことから存外スポーツに由来する突然死の頻度は決して高くないということがわかる(むしろなにもしていないときにイベントを起こすことのほうがはるかに多い)。


このほか、16例の詳細な内容をみていくと、2例のHOCMのうち1例が事前に診察を受けていたものの、心電図や心エコーで異常が認められず「正常」とされていた。
さらに、このほかに2例が「致死性不整脈」が原因とされており、この3~4名くらいがスクリーニングがもしも適切に行われていれば、その恩恵を得られたものと推定される。


これは極めて低い、というレベルの数値である。
我が国の診療ガイドライン上で心疾患スクリーニングの妥当性を吟味するときに引用される突然死の頻度は4~5件/100,000人年というところであるが、今回の報告により、実質的に心疾患スクリーニングで防げる突然死の件数はこれよりもはるかに低くなる可能性が提示された。


日本の心電図やエコーの点数はそれぞれ130点と880点であり(2014年診療点数)、諸外国の1/2から1/3に抑えられている。
しかし、それでも学校健診を含めた現在のスクリーニング制度の費用対効果がマッチするのかどうか、今後慎重に吟味していく必要があるだろう。




<きょうの一曲>

Carlos Kleiber conducts New Year 1992 1/2

https://www.youtube.com/watch?v=4k1RjZ-SOLU 


Carlos Kleiber conducts New Year 1992 1/2

https://www.youtube.com/watch?v=AIv2Ltf2cD4&list=RD4k1RjZ-SOLU&index=23


Carlos Kleiber conducts New Year 1992 1/2

https://www.youtube.com/watch?v=G8_DdClkhaw&list=RD4k1RjZ-SOLU&index=8


ミックスリスト - Carlos Kleiber conducts New Year 1992 1/2

https://www.youtube.com/watch?v=snPUhI8GIC4&index=16&list=RD4k1RjZ-SOLU


ミックスリスト - Carlos Kleiber conducts New Year 1992 1/2

https://www.youtube.com/watch?v=5J5ePbzlxH0&index=29&list=RD4k1RjZ-SOLU

 


<きょうの一枚の絵>

13064_xl

奥村光正「赤い果実」

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 

低用量アスピリンによる頭蓋内出血リスク増大は?

低用量アスピリンで頭蓋内出血リスク増大?

低用量アスピリンの使用は頭蓋内出血のリスク増大とは関係しないと、スペインなどのグループがNeurology(2017; 89: 2280-2287)に発表した。


アスピリンは頭蓋内出血のリスクを高める可能性が報告されている。
同グループは、英国のプライマリケアのデータベースを用いて、低用量アスピリンの新規使用と頭蓋内出血との関係を検討した。

 
登録時年齢40~84歳の低用量アスピリン新規使用群19万9,079例と、1:1で背景因子をマッチさせた対照群を最長14年、中央値で5.4年追跡。低用量アスピリンの現使用(頭蓋内出血発症前0~7日)と頭蓋内出血の補正率比(RR)を対照群と比較した。

 
追跡期間中に頭蓋内出血が1,611例(脳内出血743例、硬膜下血腫483例、くも膜下出血385例)で発生した。
解析の結果、RRは頭蓋内出血全体が0.98、硬膜下血腫が0.98、くも膜下出血が1.23でいずれも対照群と有意差はなかった。
1年以上の低用量アスピリンの使用により、くも膜下出血のリスク低下(RR 0.69、95%CI 0.50~0.94)が見られた。


私的コメント;

記事タイトル自体は、まるでリスクが増大してしまうかのような書き方です。

頭蓋内出血の発生頻度については論じられていますが、重症度については触れられていないようです。

その点が知りたいツボです。

発生頻度も発生した後の予後も同じなら低用量アスピリンの使用は大いに勧められるということになるのですが、残念ながら消化管出血という副作用はすでに確立されてしまっています。

また、「くも膜下出血のリスク低下」についてはどのように考察されるのでしょうか。

同じく、発生してしまった時の重症度も気になるところです。 



<関連サイト>

脳動脈瘤破裂の発生低減に有望な薬剤としてのアスピリン

頻回のアスピリン投与により,頭蓋内動脈瘤破裂の リスクを予防する効果が得られると考えられる。動物モデ ルにおける研究および臨床試験が今後必要である。

(私的コメント;投与頻度が検討されているが、投与量の記載がない)


脳内出血後の抗血小板薬処方とその後のイベント発生 

ICH 後の抗血小板薬処方は一般的に行われていた。 その後の虚血性脳卒中または心筋梗塞の発生率は ICH 再 発率よりも高く,本研究で測定した転帰に対する抗血小板 薬処方の影響は臨床的に有意なものではないように思われ た。ICH 後の抗血小板薬投与は禁忌とされているが,抗血 小板薬投与は ICH 再発の重要な危険因子ではなかった。





<きょうの一曲>

Karajan - The Blue Danube (Strauss) 



<きょうの一枚の絵>

485x600-2017102000019

奥村光正 「バラ」 


 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 

心血管危険因子のない潜在性動脈硬化症

心血管危険因子なくても潜在性動脈硬化症

https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0108512171/

中年男女を対象にした研究で、心血管危険因子(CVRF)がない人でも高率に潜在性動脈硬化症が認められることが明らかになった。
スペインなどのグループがJ Am Coll Cardiol(2017; 70: 2979-2991)に発表した。


同グループは、スペインで行われた前向きコホート研究(PESA研究)の参加者4,184例のうちCVRFがない1,779例(平均年齢45.0歳、女性50.3%)を対象に、潜在性動脈硬化症(頸動脈・腸骨大腿動脈・腹部大動脈のプラーク、冠動脈石灰化)の予測因子を検討した。


私的コメント
細小血管障害は考慮されていないようです。

 
CVRFフリー群の定義は現在非喫煙、無治療血圧140/90mmHg未満、空腹時血糖(FBG)値126mg/dL未満、総コレステロール(TC)値240mg/dL未満、LDLコレステロール(LDL-C)値160mg/dL未満、HDLコレステロール値40mg/dL以上。CVRFフリー群のうち血圧120/80mmHg未満、FBG値100mg/dL未満、HbA1c値5.7%未満、TC値200mg/dL未満のサブグループ(740例)をCVRF至適群と定義した。

 
潜在性動脈硬化症はCVRFフリー群の49.7%に認められた。
解析の結果、男性および年齢とともにLDL-C値は動脈硬化症の存在および程度と独立した関係を示し、10mg/dL上昇するごとのオッズ比はCVRFフリー群が1.14、CVRF至適
(指摘?)群が1.18(いずれもP<0.01)であった。
CVRFフリー群では、HbA1c値
も動脈硬化症の存在および程度と関係していた。


私的コメント

「解析の結果、男性および年齢とともにLDL-C値は動脈硬化症の存在および程度と独立した関係」という日本語がよく理解出来ません。
「年齢(加齢)や男性であること」が動脈硬化の危険因子であることは周知お事実のはずです。
この2つの因子が心血管危険因子(CVRF)に組み込まれていないのは不思議です。
 組み込まれていないならば少なくとも解析はするべきではないでしょうか。

また、CVRFフリー群とCVRF至適(指摘?)群の両群での比較検定はどうなっているのでしょうか。





<きょうの一曲>

Johann Strauss:Emperor Waltz Op. 437

https://www.youtube.com/watch?v=LAVvBF7m260 




<きょうの一枚の絵>

0420777001022an_1

後藤純男 「春映富士

http://mitsukoshi.mistore.jp/onlinestore/product/0150900000000000000000699740.html?rid=429023e4d6be42438aa6b991718c425d

 



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

 

新しいDESはXienceを超えられるか?

薬剤溶出ステント 生分解性vs.耐久性/Lancet

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/73654547.html
に対する上田 恭敬 先生の解説です。


新しいDESはXienceを超えられるか? 

http://www.carenet.com/news/clear/journal/45260

完全吸収型のポリマーで被覆されたシロリムス溶出性DES(MiStent; Micell Technologies, Durham, NC, USA)と非吸収性ポリマーで被覆されたエベロリムス溶出性DES(Xience; Abbott Vascular, Santa Clara, CA, USA)を直接比較した、non-inferiorityを示すためのall-comer無作為化比較試験であるDESSOLVE III試験の結果が報告された。


MiStentの特徴は、ポリマーが3ヵ月で完全消失するのに対して、結晶化された薬剤は9ヵ月間血管壁に残留して作用し続けることである。
1,398症例が登録され、その59%が急性冠症候群症例であった。


エンドポイントは、12ヵ月時点でのDOCE(device-oriented composite endpoint)であり、心臓死、対象病変の心筋梗塞、標的病変血行再建術の複合エンドポイントで、MiStentで5.8%、Xienceで6.5%とnon-inferiorityが示された。
複合エンドポイントに含まれる各イベント及びステント塞栓症についても、群間差を認めなかった。


6ヵ月後にOCTを施行した53症例のサブグループにおいて、新生内膜容積がXienceよりもMiStentで小さいことが示された。


以上より、12ヵ月時点での臨床成績において、Xienceに対するMiStentの非劣勢が示された。
また、OCTのサブグループ解析の結果から、より長期においてはMiStentの優位性が示されるかもと記載している。


Xience以後も多くの新しいDESが開発されてきたが、いずれもXienceに対して優位性を示すことはできず、今回のMiStentも同様の結果であった。
しかし、ポリマーを早く消失させながらも、長期間に渡って薬剤を作用させる今回の新しい技術の実用性を示したことは、今後の発展のために進歩と言えるかもしれない。
しかし、OCTによって示された結果である、Xience以上に新生内膜の増成を抑制することにどのような意味があるかは明らかでなく、留置1年以後の再狭窄の機序としてNeoatherosclerosisの重要性が指摘される中、MiStentの長期成績に優位性を期待するとすればポリマーが残存しないことの効果であり、ポリマーが残存しない他のDESとの違いは無いように思われる。
何らかのブレイクスルーが必要なのかもしれないが、科学技術の進歩に限界は無いと思うので、Xienceに対して明らかな優位性を示す新しいDESの登場を期待したい。



<関連サイト>

薬剤溶出ステント 生分解性vs.耐久性/Lancet

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/73654547.html


生体吸収性と非生体吸収性ステントとの比較

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/72025852.html


生体吸収性ステントは金属より有害事象が増加

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/72025852.html




<きょうの一曲>

Orchestra Filarmonică din Viena condusă de Gustavo Dudamel - Dunărea albastră (2017)

https://www.youtube.com/watch?v=NksNkQMjYhU 




<きょうの一枚の絵>

kanpaiart-img600x450-1484542529eefcl814861

後藤 純男 「富岳」

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w164811869 


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

高血圧合併例に家庭血圧測定を推奨

高血圧合併例に家庭血圧測定を推奨 米・糖尿病診療ガイドライン2018

https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0104512177/

米国糖尿病学会(ADA)が糖尿病診療ガイドライン2018年版(GL2018)を発表。
2型糖尿病成人患者に対する薬物療法アルゴリズムを変更し、アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する2剤併用療法を行う際の上乗せ候補薬として3剤を推奨した。
また、糖尿病治療薬を選択する際に考慮すべき薬剤の作用と患者の要因について示した。
さらに、糖尿病と高血圧の合併例に対する降圧治療の指針を新たに提示した。


心血管イベントを低減する薬剤を使用

GL2018は高血圧の合併例における降圧薬の選択では、糖尿病患者における心血管イベントの低減が証明されている薬剤クラス〔ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、サイアザイド系利尿薬、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬〕を使用すべき(推奨度A)で、アルブミン尿が認められる場合にはACE阻害薬またはARBをファーストラインとすべきとしている。
治療抵抗性を示す症例に対してはアルドステロン拮抗薬を考慮すべき(B)という。

 
高血圧を合併する糖尿病成人患者の大半では降圧目標を140/90mmHg未満とする(A)が、心血管リスクが高い患者で、過大な治療負担を強いることなく達成可能であれば、より低い降圧目標値(例えば130/80mmHg未満)も適切となりうる(C)としている。

 
加えて、GL2018では糖尿病を合併している全ての高血圧症患者に家庭血圧の測定を推奨(B)しており、白衣高血圧をはじめとする随時血圧と真の血圧との乖離の見極めや服薬行動の改善にもつながるとみている。


肥満+追加リスクで小児も検査対象

その他にもGL2018では多くの改訂が加えられ、例えば小児に対する健診では、過体重または肥満で糖尿病リスク因子〔①母親の糖尿病歴・妊娠糖尿病歴②2親等以内の2型糖尿病家族歴③特定の人種④インスリン抵抗性の徴候あるいは関連する徴候(黒色表皮腫、高血圧、脂質異常症、多囊胞性卵巣症候群、在胎不当過小)〕のいずれかに該当する18歳未満の者に対し、前糖尿病および2型糖尿病の検査の実施を考慮すべきであると強調している。

 
HbA1c検査で留意すべき点としては、赤血球寿命の短縮や異常ヘモグロビン症などで信頼できる測定結果が得られない可能性、年齢や人種、妊娠がHbA1cに影響を及ぼす可能性などについて言及し、HbA1cと血糖値との乖離が見られる場合は他の検査法を検討すべきと注意を促している。

 
今回新たに1型および2型糖尿病の全妊婦に対し、妊娠初期の後半から出産まで、子癎前症リスクの低減を目的とした低用量(60~150mg/日、通常用量81mg/日)アスピリンを処方すべき(A)との推奨も加えられた。

 
1989年以降、Standards of Careを年1回改訂されてきたが、今後は年度の途中でも必要に応じて改訂が加える予定になっている。




<きょうの一曲>

Orchestra Filarmonică din Viena condusă de Gustavo Dudamel - Dunărea albastră (2017)

https://www.youtube.com/watch?v=NksNkQMjYhU 




<きょうの一枚の絵>

nishimurakojin03

西村光人「赤富士」日本画

http://www.kazenotayori.co.jp/products/detail.php?product_id=1006 




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   

 

他のマイブログもよろしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


1次予防に低用量アスピリンは効果なし

1次予防に低用量アスピリンは効果なし 日本人2型糖尿病患者における検討結果

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201703/550383.html

動脈硬化性疾患に対する1次予防目的での低用量アスピリン治療はリスクを低下させず、逆に消化管出血が増加することが日本人2型糖尿病(DM)患者で確認された。
JPAD(Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)研究の延長研究であるJPAD2研究の結果で、詳細はCirculation誌2月14日号に掲載された。


2000年代前半、一定の条件にあてはまる2型DM患者に対する、1次予防目的での低用量アスピリン投与は複数のガイドラインで推奨されていた。
だが、そのエビデンスは健常人や高血圧患者対象の研究結果、あるいは心筋梗塞後の2次予防に関するデータだった。
2008年、心血管リスクを軽減しなかったというJPAD研究の結果が発表された(Ogawa H, et al. JAMA. 2008;300:2134-2141.)後、同様の結果(Be
lch J, et al. BMJ. 2008;337:a1840)が続き、以降ガイドラインは推奨の度合いを弱めていた。


JPAD研究は日本国内163施設が参加して行われた多施設共同オープンラベル無作為比較試験である。
対象の組み入れは2002年12月から2005年5月までに行われ、2008年4月に終了した。
JPAD2には、JPADの観察期間とJPAD終了後2015年7月までの観察が含まれる。


JPADの対象のうちJPADの観察期間中に心血管イベントを生じなかった人全員をJPAD2の対象とした。


JPAD研究の対象は30~85歳の2型DM患者。
除外基準は、虚血を疑う心電図異常、冠動脈疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾患の既往、心房細動、妊娠中、抗血小板薬または抗凝固薬を内服中、重症胃・十二指腸潰瘍の既往、重度肝機能障害、重度腎機能障害、アスピリンアレルギーである。


JPADでは当初2539人をスクリーニングした。
うち基準を満たす2536人を、アスピリン群(n=1262、81mg錠/日または腸溶錠100mg/日)と非アスピリン群(n=1277)とに1:1の割合で無作為に割り付けた。
アスピリン群と非アスピリン群で、2008年4月までの観察期間を完遂したのはそれぞれ782人と839人。
試験参加中止または経過観察不能となったのは、それぞれ480人、438人だった。

私的コメント
2002年12月から2008年4月までの約6年間(5年4か月)で4割近くがdrop outしています。

日本人は大病院好きの筈ですが、むしろ無床診療所の場合にはこのような高い数値にはならないと思われます。
予約診療のご時勢でこんなに多く通院しなくなるのは、病院の診療体制自体に何らかの問題があるのではないのでしょうか。
また病診連携での
診療所への紹介であるならば紹介先の医師にバトンタッチする方法と思います。
「久山町研究」のような情熱が感じられないのが少し残念です。 
また、「観察期間の中央値は10.3年だった」「安全性に関する解析対象はアスピリン群1262人、非アスピリン群1277人だった」 と後述されていますが、ちょっと頭の中が混乱してついていけません。「10.3年」とはJPAD2のことなのでしょうか。
 

JPAD2の主要エンドポイントは、(1)突然死、(2)冠動脈・脳血管・大動脈の疾患による死亡、(3)非致死性急性心筋梗塞(AMI)、(4)不安定狭心症、(5)新規発症の労作性狭心症、(6)非致死性脳卒中(虚血性および出血性)、(7)一過性脳虚血発作(TIA)、(8)非致死性の大動脈疾患および末梢動脈疾患(PAD)――の各項目の複合エンドポイントとした。


副次エンドポイントは心血管イベントと、冠動脈イベント(CADによる死亡、非致死性AMI、不安定狭心症、新規発症の労作性狭心症)、脳血管疾患イベント(脳血管疾患による死亡、非致死性脳卒中(虚血性および出血性)、TIA)、血管イベント(大動脈疾患による死亡、非致死性の大動脈疾患およびPAD)――の複合エンドポイントとした。


上部消化管出血、出血性脳卒中、その他の部位からの出血を認める場合を「出血あり」とした。


有効性の解析はPer-protocolで行った。
JPADの終了後に割り付け通りの治療を継続するか否かは主治医の裁量とした。
感度解析としてintention-to-treat(ITT)解析も行った。
安全性に関してはITT解析を行った。


観察期間の中央値は10.3年だった。
心血管イベントを生じた時点または2015年7月まで経過観察可能だった対象は1621人(64%)。
期間中アスピリン群で内服を中止した270人と非アスピリン群でアスピリン内服を開始した109人(両群合計379人、15%)は治療変更の時点よりper protocol解析から外れたので、有効性に関する解析対象は最終的にアスピリン群992人、非アスピリン群1168人だった(n=2160、85%)。
安全性に関する解析対象はアスピリン群1262人、非アスピリン群1277人だった。


ベースライン時、全体の平均年齢は65±10歳で、55%が男性、BMIは24±4kg/m2、DM罹病期間の中央値は7.1年だった。


Per protocol解析対象において、アスピリン群では年齢と血圧が高く、HbA1cとクレアチニン値も高かったが、eGFRに差はなかった。観察を完遂した対象と早期に観察が中断された対象で背景の差は認められなかった。


観察期間中、心血管イベントはアスピリン群で151回、非アスピリン群で166回発生した。
主要エンドポイントの発生率に両群差はなかった。
アスピリンのハザード比(HR)は1.14(95%信頼区間[95%CI]:0.91-1.42)で、Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析でも両群の差はなかった。
副次エンドポイントに関しても全て両群差はなかった。
感度解析においても結果は同様だった。


JPAD期間中と、その後のJPAD2期間中)を別に解析しても、両期間ともにアスピリンは主要エンドポイントのリスクを軽減しなかった。


年齢、性別、ベースライン時の高血圧、脂質異常症、喫煙、HbA1c、eGFRで層別化して解析しても、有効性に有意な差はなかった。


出血イベントはアスピリン群で80人(6%)、非アスピリン群で67人(5%)に生じた(P=0.2)。
出血性脳卒中に関しては両群間の統計学的有意差がなかったが、上部消化管出血はアスピリン群で多かった。
Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析でも、出血イベントのHRと出血性脳卒中
のHRに差はなかったが、上部消化管出血ではアスピリン群で有意な出血のリスク上昇を確認した。


JPAD2は無作為比較試験ではなく、無作為比較試験であるJPAD研究終了後のコホートにおける観察研究である。
しかし、JPAD研究の期間も含めて中央値10.3年という長期の観察を行い、日本人2型糖尿病患者において心血管疾患の1次予防目的でのアスピリン長期投与は推奨されないというエビデンスを示した。


この結果が他の人種にもあてはまるかは未知数であるものの、今後の研究結果が待たれる。

私的コメント;
PPIやHRAの併用の有無については検討sれているのでしょうか。
昨今 アスピリンについては大腸がんや前立腺がんなどの「
がん」の発生、進行、転移の予防効果が認められています。
アスピリンを抗血小板剤から抗がん剤へと大きく視点を変えるパラダイムシフトも起きています。
ましては、がんの発生率の高い2型糖尿病に関してはアスピリンを投与する意義は高いといえます。
循環器領域からの観点からだけでは、まさしく「葦の髄(
循環器の世界)からアスピリンを覗く」 ことにはならないでしょうか。


論文:

Saito Y, et al. Low-dose aspirin for primary prevention of cardiovascular events in patients with type 2 diabetes mellitus. 10-year follow-up of a randomized controlled trial.
Circulation. 2017;135:659-70.



<関連サイト> 

アスピリンのCV一次予防効果は?

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/68511865.html




<きょうの一曲>

ドヴォルザーク 交響曲 第8番 「イギリス」 ジョージ・セル/クリーヴランド管 Dvorak Symphony No.8

https://www.youtube.com/watch?v=WbZ-c8FfplU


ドヴォルザーク: 交響曲第8番ト長調op.88 / ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1972年

https://www.youtube.com/watch?v=WfzbCqROlkw


Karajan: Dvorak Symphony No.8 Rehearsal

https://www.youtube.com/watch?v=22mfWMioWWA


Dvořák: Symphony No.8 in G major - Karajan / Wiener Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=zfP29uN33L8


Dvorak - Symphony No. 8 in G major Op. 8

https://www.youtube.com/watch?v=r4S4wmD7rGk


Dvořák: Symphony No. 8 / Abbado · Berliner Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=oaDl9js_OR4


Dvořák: Symphony No. 8 / Jansons · Berliner Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=FGTVNN3-Nqo


Dvořák: Symphony No. 8 / Honeck · Berliner Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=SOY6fao_cfU


Dvořák: 8. Sinfonie ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Manfred Honeck

https://www.youtube.com/watch?v=QXAv-NGppFw


ドヴォルザーク:交響曲第8番「イギリス」

http://www2.biglobe.ne.jp/~endoy/ONGAKU09.html


アントニン・ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調作品88

http://we-love-classic.com/kaisetu/koukyoukyoku/k-koukyou-dvorak-sym8.html


ドヴォルザーク (1841~1904) 交響曲 第8番 ト長調 作品88

https://www.nhkso.or.jp/library/sampドヴォルザーク (1841~1904)交響曲 第8番 ト長調 作品88leclip/music_box.php?id=103&iframe=true&width=840






<きょうの一枚の絵> 

        img041 のコピー
                       
石垣定哉 画伯   「パリの犬」

   あけましておめでとうございます


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

「ORBITA」試験

安定狭心症へのPCIを葬り去るほどのエビデンス デバイス治療の臨床試験にも一石を投じる結果に

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t304/201712/554224.html

ORBITAの詳細、冠動脈1枝病変の安定狭心症に対するPCIの有効性を検証するため、シャム手技を施行する対照群を設定してPCI施行群と比較したところ、主要評価項目である手技6週後の運動耐容能の増加量に群間差は認められなかったという試験だ。


注目すべきは、対照群の患者にシャム手技が施行されたこと。
登録された患者全例にまず心臓カテーテル検査を行い、冠動脈造影とともに圧ワイヤーによって心筋虚血の程度も評価した上で、PCI群もしくはシャム手技群にランダムに割り付けた。
シャム手技群では、カテーテル室の検査台に患者を少なくとも15分静置した後、狭窄は広げずに手技を終えた。


カテーテル検査時、患者はヘッドホンで音楽を聞かされ術者の話を聞くことができず、鎮静剤により患者が完全に意識を消失した後にランダム化を行い、PCIまたはシャム手技を行った。
手技時もヘッドホンは装着されたままで、どちらの群に割り付けられたかは術後管理を行うスタッフにも知らされず、手技に関与した医師は追跡期間中に患者と接触しないなど、念の入ったブラインド化が行われた。


PCIの有効性を検証するRCTでシャム手技を行う対照群を設置したのは、ORBITAが初めてという。
安定狭心症に対するPCIの過剰適応を最初に広く知らしめ、AUC策定のきっかけとなったCOURAGE試験(2007年)でも、対照群への介入は至適薬物治療のみだった。


PCIを専門とする医師からは、「もっと長期予後を見ないと」との声が上がるが、血行動態の改善はPCIを行った方が急速かつ顕著であることは明らかなので、早期の評価はむしろPCI群に有利だったと考えられる。


ところがORBITAでは主要評価項目だけでなく、最大酸素摂取量の変化、運動負荷時の心電図変化、狭心症症状の重症度、QOLなどほとんどの副次評価項目でも、PCIの優越性は認められなかった。
有意な心筋虚血が認められた患者だったにもかかわらず、PCI群の完敗といえた。


狭心症に対するPCIの勧告をダウングレードする必要がある、と指摘する意見もある。

今後、安定狭心症に対するPCIは、施行するのであればその意義について、個々の症例でより慎重な検討が要求されるようになることは間違いない。


同時にORBITAは、もう1つの重要な問題を再認識させた。
PCIのようにプラセボ効果が顕著な治療に関する臨床試験では、錯覚による改善にだまされないよう、シャム手技と介入のブラインド化が重要であることをORBITAは強く示した。


経口薬と異なりブラインド化が難しいことから、デバイス治療の臨床試験では、単群でベースラインとの比較だったり対照群は保存的治療というデザインで行われることが一般的だ。
だがそれでは、まず確認されるべき有効性の評価が不十分になってしまう可能性があるわけだ。


実際、難治性高血圧を対象とした腎交感神経焼灼デバイスの臨床試験において、ベースラインとの比較や保存的治療群を対照群としたRCTでは焼灼群で有意な降圧を示したが、引き続いて行われたシャム手技群を対照群とするRCTでは有意な降圧を証明できなかったことは、記憶に新しい。
同デバイスはその後、改良されたカテーテルを用いてより慎重に焼灼する仕切り直しの臨床試験を実施、まだ中間解析の段階だが、やっとシャム手技群に比べた優越性を示すことができた。


安定狭心症の自覚症状改善を目的に、毎年50万件のPCIが行われている。
PCIの施行に伴い、死亡0.65%、心筋梗塞15%、腎障害13%、脳卒中0.2%、血管合併症2~6%といった有害事象が発生する。
それと比較すれば、臨床試験におけるシャム手技による合併症のリスクは相殺される。


ORBITAは、安定狭心症に対する至適薬物治療の重要性を示したにとどまらず、循環器治療デバイスの臨床試験そのものに一石を投じた試験と位置付けられそうだ。



<きょうの一曲>

時代は変わる Bob Dylan The Times They Are A Changin' 1964

https://www.youtube.com/watch?v=e7qQ6_RV4VQ

https://www.youtube.com/watch?v=afLyjnmYnz0

https://www.youtube.com/watch?v=mikV8VbZoQk

https://www.youtube.com/watch?v=_JUhUXp80SE

https://www.youtube.com/watch?v=Wa0fOE-x84k

https://www.youtube.com/watch?v=n8xJ43QtfSY

https://www.youtube.com/watch?v=bcYGHZR1_R0





<きょうの一枚の絵>


haruharudakko-img600x492-1430785790bytdwo28492

村田省蔵「湖畔新緑」

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m138119871

(長野県 青木湖)


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

心臓病にポンプ付きカテーテル

心臓病にポンプ付きカテーテル…急性心不全患者が対象、体への負担少なく

全身に血液を送り出す力が弱くなった心臓の中に、ポンプが先端部に付いた細長い管(カテーテル)を入れて心機能の回復を図る治療が大阪大学病院などで始まった。

 
重い心臓病の患者にとって、容体がさらに悪化した時の治療の選択肢が増えることになる。

 
治療で使っているのは、日本アビオメッド社(東京)のポンプカテーテル「インペラ」。
強心剤などの薬で心機能が戻らない急性心不全患者が対象となる。

 
治療では、太ももの動脈から心臓の左心室までカテーテルを入れ、先端から吸い込んだ血液をポンプで大動脈に送り出す。外科手術が不要なため、体への負担が小さく、緊急時に即応できるのも特徴だ。

 
9月に保険が使えるようになり、初めての治療が10月に阪大病院で行われた。患者は、血流の改善により全身状態が上向き、心臓の働きも回復。4日後、移植まで待つための補助人工心臓を植え込む手術を受けることができた。

 
この治療は現在、国内五つの病院で受けられる。今後増えていく予定だ。

同大心臓血管外科教授の澤芳樹さんは「インペラは言ってみれば、カテーテルの形をした人工心臓。ニーズは高い」と話している


読売新聞 2017.12.27




<関連サイト>

アビオメッドのインペラ (Abiomed Impella®) 療法、心臓発作、心臓手術後の心原性ショックでFDAの承認を取得

https://globenewswire.com/news-release/2016/04/08/827320/0/ja/アビオメッドのインペラ-Abiomed-Impella-療法-心臓発作-心臓手術後の心原性ショックでFDAの承認を取得.html
・米国マサチューセッツ州ダンヴァース発 , April 09, 2016 (GLOBE NEWSWIRE) -- 画期的な心臓サポートテクノロジーのリーダー的プロバイダーであるアビオメッド (Abiomed, Inc、NASDAQ:ABMD) は本日、インペラ2.5 (Impella 2.5™)、インペラCP (Impella CP®)、インペラ5.0 (Impella 5.0™)、インペラLD (Impella LD™) 心臓ポンプに対して、発生中の心原性ショックの治療を行う用途のために、米国食品医薬品局 (FDA) から市販前承認 (PMA) を取得したことを発表した。

この状況において、インペラ心臓ポンプは患者のヘモダイナミクスを安定させ、左心室の負担を取り除き、末端臓器に血液を潅流させ、心臓自体が回復できるようにする。
この最新の承認は、インペラ2.5がハイリスク経皮的冠動脈インターベンション (PCI)、又はプロテクテッドPCI (Protected PCI™) のために米国食品医薬品局から2015年3月に受けた適応症指定に付け加えられている。


・この承認により、心原性ショックの適応症において安全かつ有効であるとしてFDAからの承認を得た、最初かつ唯一の経皮的臨時心室サポート装置となる。詳細は以下のとおり。

インペラ2.5 (Impella 2.5)、インペラCP (Impella CP)、インペラ5.0 (Impella 5.0)、インペラLD (Impella LD) カテーテルは、自動インペラ・コントローラーコンソールと併用し、短期使用 (インペラ2.5及びインペラCPは4日以下、インペラ5.0及びインペラLDは6日以下) 目的で、急性心筋梗塞 (AMI) 又は開心術の直後 (48時間以下) に、最適な医療管理及び従来の療法 (大動脈内バルーンポンプの使用・不使用にかかわらず) に反応しない左心室機能不全のために発生している心原性ショックの治療に適応している。

・インペラ・システム療法は、心臓が回復できるようにし、残余している心筋機能の早期評価を行えるようにするために、心室の負担を軽減し、循環をサポートすることを意図している。

同製品の添付文書では、予想外の状況が起きた場合に、インペラ2.5、インペラCP、インペラ5.0、インペラLDを4~6日の予定期間を超えて留置しておくよう臨床的に決めることができる余地が残されている。


・インペラ製品では、PCI処置前又は処置中に患者のヘモダイナミクスを安定化し、同時に心臓の負担を取り除くという独自の機能を提供し、心筋を休ませることにより本来の機能が回復する機会を与える。
心臓の回復は患者の生活の質のための最善のオプションであり、数件の臨床論文で論じられているとおり、医療制度のコスト節減にも効果がある。


・心原性ショックは、心臓が突然、不可欠な臓器に十分な血液と酸素を送る能力を失う、命に危険を及ぼす病態である。
この承認については、心原性ショックは、一般的に心筋の衰弱又は傷害のために、心臓発作や急性心筋梗塞 (AMI) 又は心肺バイパス術中又はその後に発生する。
医療技術、クリティカルケアのガイドラインやインターベンション手法の進歩にもかかわらず、AMI心原性ショックや心臓切開後心原性ショック (PCCS) は死亡率が高く、米国では近年ゆっくりではあるが一貫して増加してきている。


・重篤な心臓病患者の治療オプションには限りがあり、死亡率が高く、臨床医は効果的に治療を行うために教育や新しい施策が求められて来た。
この承認により、心臓血管分野全体における新基準を打ち立てることになる。
インペラ心臓ポンプは、迅速かつ効果的な治療を必要としてハイリスク患者に経皮式でヘモダイナミック安定を提供し、心臓への負担を取り除き、末梢臓器に血液潅流を提供し、最終的には本来の心臓機能を回復する機会を持たせることができる。



FDA Approves Abiomed Impella Blood-Pump System for Cardiac Surgery
abiomed-impella-system 

https://idataresearch.com/fda-approves-abiomed-impella-blood-pump-system-for-cardiac-surgery/


FDA approves Abiomed’s Impella RP

abiomed-impella-rp-large-3x2
 

http://www.massdevice.com/fda-approves-abiomeds-impella-rp/


US firm Abiomed to open manufacturing facility in Athlone and create 250 jobs

Impella_heart_August052008
 

http://www.finfacts.ie/irishfinancenews/article_1014383.shtml



Impella 5.0 animation showing how it aids heart failure patients

https://www.youtube.com/watch?v=ictLYH21eXY

(動画)



Abiomed Impella 2.5 heart pump demo

https://www.youtube.com/watch?v=o2Mdz7Bvq5w

(動画)


The Impella Device for Heart Failure

https://www.youtube.com/watch?v=HmH709RXmNE

(動画)


Impella® Heart Pump Animation: For Physicians

https://www.youtube.com/watch?v=GhWB7T5QxMI

(動画)



補助人工心臓治療関連学会協議会 インペラ部会

http://j-pvad.jp



ポンプなるほど・用語編 第9回【インペラ】

http://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/19





<きょうの一曲> 

Charles Aznavour - Avé Maria

https://www.youtube.com/watch?v=ZYDVUUAGffs




<きょうの一枚の絵> 

img047 のコピー

片岡球子 「錦織りなすめでたき富士」リトグラフ 1992





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

CETP阻害薬、冠動脈イベントを抑制

CETP阻害薬、冠動脈イベントを抑制/NEJM

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/44624

コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬anacetrapibは、強化スタチン療法を受けているアテローム動脈硬化性血管疾患患者の主要冠動脈イベントを抑制することが、HPS3/TIMI55-REVEAL Collaborative Groupの検討で示された。
CETPは、血中のHDL粒子とアポリポ蛋白B含有アテローム促進性粒子との間で、コレステリルエステルとトリグリセライドの転送を促進する。
CETPを薬理学的に阻害すると、HDLコレステロール(HDL-C)が増加し、非HDL-C(とくにLDL-C)が低下するが、これまでに行われた3つのCETP阻害薬の無作為化試験は、いずれも約2年のフォローアップ後に無効または有害事象のため中止されている。

(NEJM誌オンライン版 2017.8.29)


3万例以上を登録、治療期間4年以上

本研究は、強化スタチン療法を受けているアテローム動脈硬化性血管疾患患者において、anacetrapib併用の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。


対象は、年齢50歳以上で、心筋梗塞、アテローム動脈硬化性脳血管疾患、末梢動脈疾患、症候性冠動脈心疾患を伴う糖尿病の既往歴を有する患者。
被験者は、無作為割り付け前の導入期間にLDL-C<77mg/dLを目標に強化アトルバスタチン療法を受け、8~12週後に、anacetrapib 100mg/日またはプラセボを追加する群に無作為に割り付けられた。


2011年8月~2013年10月に、欧州、北米、中国の431施設に3万449例(男性:2万5,534例、女性:4,915例)が登録され、anacetrapib群に1万5,225例が、プラセボ群には1万5,224例が割り付けられた。
主要評価項目は、初回主要冠動脈イベント(冠動脈死、心筋梗塞、冠動脈血行再建術の複合)であった。


ベースラインの平均年齢は67歳で、冠動脈心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患、糖尿病の既往歴はそれぞれ88%、22%、8%、37%に認められ、平均LDL-C値は61mg/dL、非HDL-C値は92mg/dL、HDL-C値は40mg/dLであった。
フォローアップ期間中央値は4.1年で、この間に2,277例(7.5%)が死亡した。


主要評価項目を達成、死亡、がん、重篤な有害事象に差はない

主要評価項目の発生率は、anacetrapib群が10.8%(1,640/1万5,225例)と、プラセボ群の11.8%(1,803/1万5,224例)に比べ有意に下した。


試験期間の中間点(約2年時)における平均HDL-C値は、anacetrapib群が85mg/dL、プラセボ群は42mg/dL(絶対差:43mg/dL[p<0.001]、相対差:104%)、LDL-C値はそれぞれ38、64mg/dL(-26mg/dL[p<0.001]、-41%)、非HDL値は79、96mg/dL(-17mg/dL[p<0.001]、-18%)であった。


副次評価項目である主要アテローム性イベント(冠動脈死、心筋梗塞、潜在性虚血性脳卒中の複合)の発生率は、anacetrapib群が9.1%、プラセボ群は9.7%、潜在性虚血性脳卒中はそれぞれ3.2、3.2%(0.99)、主要血管イベント(主要冠動脈イベント、潜在性虚血性脳卒中の複合)は13.6、14.5%であった。


心血管死の発生率は、anacetrapib群が3.4%、プラセボ群は3.7%(p=0.17)、全死因死亡はそれぞれ7.4、7.6%(p=0.46)であり、いずれも有意な差はなかった。
また、がんの発生率は、anacetrapib群が6.4%、プラセボ群は6.3%(p=0.71)と有意差はなかったが、新規糖尿病は5.3、6.0%であり、anacetrapib群で有意に低かった。
重篤な有害事象の発現は両群に差はなかった。


著者は、「anacetrapibの効果が十分に現れるには、少なくとも1年以上の治療を要する可能性が示唆された。脂質値への効果が本薬とほぼ同様のevacetrapibは、26ヵ月の治療で無効と判定されたが(ACCELERATE試験、1万2,092例)、血管イベントへの効果が発現するにはフォローアップ期間が短すぎた可能性がある」と指摘している。


英文抄録

Effects of Anacetrapib in Patients with Atherosclerotic Vascular Disease.

L Bowmanet al.

The New England journal of medicine. 2017 09 28;377(13);1217-1227. doi: 10.1056/NEJMoa1706444.

https://pmc.carenet.com/?pmid=28847206&keiro=journal



<関連サイト>

REVEALはHDLコレステロールの効果を明らかにできたのか?(解説:平山 篤志 氏)

高LDLコレステロール血症と同様に低コレステロール血症が冠動脈疾患のリスク因子であることは広く知られていた。
LDLコレステロールを低下させることによって、冠動脈イベントが低下することは、スタチンの試験だけでなく、コレステロール吸収阻害薬やPCSK9阻害薬を用いた試験で示されている。
では、HDLコレステロールを上昇させることによってイベントを低下させることが可能ではないか?


ターゲットとなったのは、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)で、その働きは高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステリルエステルを超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)に転送する働きを有している。
このCETPを阻害することにより、HDLコレステロールの上昇が認められることから、CETP阻害薬が開発され、torcetrapibの臨床試験が行われたのである。すでに2007年に報告されたようにイベントは逆に増加した結果となった。
血圧の上昇がイベントを増加させた可能性があるとして、さらにevacetrapib、dalcetrapibの臨床試験が行われたが、いずれも有効性を示すことができなかった。


CETP阻害薬の最後として期待された試験が今回発表されたanacetrapibを用いたREVEAL試験であった。
本試験では、ASCVDの3万の患者を対象に冠動脈イベントの発症を一次エンドポイントとした試験で、初めてCETP阻害薬であるanacetrapibの有意なイベント低下効果を示したのであった。


しかし、CETP阻害薬によりLDLコレステロール低下効果を認めたことからHDLコレステロールを上昇させた効果であると結論できなかった
REVEAL試験は有効性を示したが、HDLコレステロールの意義を示した結果ではなかった。
より強力なLDLコレステロール低下効果のある薬剤がある現状では、anacetrapibは薬剤として上市されることはないであろう。



LDL-コレステロール低下による心血管イベント抑制はスタチンだけではない!

http://www.carenet.com/news/clear/journal/42765


LDL-コレステロール低下によるプラークの退縮はどこまで可能か?

http://www.carenet.com/news/clear/journal/43096



<きょうの一曲>

時代 / ゆず 作詞作曲:中島みゆき

https://www.youtube.com/watch?v=b_2C6l446Ss


<きょうの一枚の絵>

img047 のコピー 2

西房浩二「Roquebrune」 




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

高齢者の血圧は死亡に向かって低下する

高齢者の血圧は死亡に向かって低下する 長生きする人は低下速度が遅い可能性

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/201712/554136.html

60歳以降に死亡した人々の死亡前20年間の血圧の変化を調べた英Exeter大学医学部のJoao Delgado氏らは、死亡の14年以上前に血圧は最高値になり、その後10年以上にわたって直線的に低下し、最後の2年にはそれ以上に大きく低下していたと報告した。詳細は、JAMA Intern Med誌電子版に2017年12月4日に掲載された。


血圧は小児期から中年期に掛けて上昇するが、高齢になると安定した値を維持するのか、それとも徐々に低下するのかについては、明らかではなかった。
高齢者の血圧低下が起こる理由には、いくつかの仮説が考えられる。
(1)加齢による自然経過、
(2)心不全などの疾患の影響、
(3)より強化した降圧薬治療、
(4)高血圧の患者が亡くなったため、見かけ上血圧の低い人が長生きしている、
など。


著者らはこれらの仮説を検証するために、英国のプライマリケアデータベースであるClinical Practice Research Datalinkを用いて、年齢60歳以上で死亡した患者の、死亡前の20年血圧の経過を調べることにした。
さらに死亡の10年前からの血圧変化のトレンドをしらべ、年齢と性別がマッチして少なくとも9年以上長生きした対照群と比較することとした。


20年間の血圧の傾向を調べるサンプルは、2010年1月1日から2014年11月14日までに死亡が確認された5万4856人から、60歳未満で亡くなった人と血圧の記録が6回未満しかなかった人を除き、4万6634人を対象とした。
それらの人々を死亡時の年齢に基づいて60~69歳、70~79歳、80~89歳、90歳以上に層別化した。


これとは別に、長生きした対照群と比較するためのグループも選び出した。2000年1月1日~2005年11月14日までに60歳以上の年齢で死亡した2万207人をケースとして選び出した。
次に年齢、性別、追跡開始時の収縮期血圧(SBP)がマッチしており、9年以上長生きした人を1対1の割合で対照群に選び出した。


血圧はルーチンの外来日常診療で、GP、看護師その他の診療所スタッフが測定したものとした。
測定値は平均で1年に2.98回、12.5年間の記録があり、急病時などの影響による歪みを減らすため、1年間の記録の中央値をその患者のその年の血圧として代表させた。
高血圧と心血管疾患の状態を把握するため、死亡前の診療記録で心不全、心房細動、脳梗塞、TIAの病歴を調べ、Charlson comorbidity index(CCI)、Rockwood frailty index(RFI)を評価した。


血圧の経過を調べる対象の4万6634人では、女性が51.7%、死亡時の平均年齢は82.4歳だった。60~69歳で死亡した集団では、女性の割合は45.5%、90歳以上で死亡した集団では64.6%だった。
高血圧患者は、60~69歳群では55.2%、90歳以上群は67.2%で、心不全患者はそれぞれ7.7%と18.6%だった。


死亡前20年間の年間平均SBPは、死亡時の年齢が高いグループほど高かった。
60~69歳は139.5mmHg(95%信頼区間137.9-141.2mmHg)、90歳以上は150.0mmHg(149.0-151.1mmHg)だった。どの年齢群でも当初はSBPが上昇しており、最大値を記録したのちに、死亡時点に向かって低下していた。
SBPのピーク値は、60~69歳群では死亡の14年前で平均は146.3mmHg(144.7-148.0mmHg)、90歳以上群では死亡の18年前で150.8mmHg(149.8-151.9mmHg)だった。


ピーク値から最後の生存年までのSBPの変化は、60~69歳群では-8.5mmHg(95%信頼区間-9.4から-7.7mmHg)、90歳以上群ででは-22.0mmHg(-22.6から-21.4mmHg)だった。
全体では、64.0%の患者でSBPはピークから10mmHg超低下していた。SBPに比べると拡張期血圧(DBP)の変化は、どの群でも少なかった。


少なくとも1年以上降圧薬を処方されていた患者の割合は85.1%だった。
ピーク時から最後の年までのSBPの変化は、降圧薬治療を受けていた患者では-20.8mmHg、治療を受けていないグループでは-11.2mmHgだった。
血圧値が最高になったのは、使用者では死亡の15年前、非使用者では14年前だった。
死亡前20年間の喫煙習慣、飲酒量、身体活動はSBPの変化にほとんど影響していなかった。


体重の減少(死亡の10年前から20年前までの間の最大体重と、死亡した年の体重の差)が20kg以上だった患者のSBPの変化は、平均すると-24.87mmHg(-24.90から-24.83)で、20kg未満だった患者の平均-15.91mmHg(-15.94から-15.87)より大きかった。


どの年代でも、死亡の10年前から3年前まではSBPが直線状に低下しており、最後の2年では、より急角度に低下していた。
高血圧、心不全、心房細動、脳梗塞、TIAの病歴がない患者でも、死亡の10年前から3年前まではSBPが直線状に低下していたが、直線の傾きはこれらの病歴(特に高血圧)がある患者の方が急だった。


ケースと長生きした対照群を比較したコホートでも、死亡前の10~3年前まではSBPとDBPの減少が見られたが、長生きした対照群の方が血圧の変化が小さかった。


これらの結果から著者らは、60歳以降に死亡した人々では、死亡前10年超にわたって、SBPとDBPの測定値が低下していた。
晩年にかけて始まる血圧の低下は、高齢者の治療に対する反応のモニタリングや、高齢者を対象とする臨床試験の設計などに影響を与える可能性があると結論している。
なお、この研究は英国National Institute for Health Researchなどの支援を受けている。


英文抄録

Blood Pressure Trajectories in the 20 Years Before Death

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2663758?redirect=true


<きょうの一曲>

Dalida - Never on Sunday (1960)

https://www.youtube.com/watch?v=ko0JC9UN5PU
 
 

<きょうの一枚の絵>

 
redhotchilipeppersq-img640x471-1511527334pf3ye125350 

川 雅吉 「東大構成」 P8 カンヴァス油彩

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/j460757354

(おそらく「構成」は「構内」の間違い)


川 雅吉の略歴

http://www.tanabegarou.com/?p=16581






読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

糖尿病薬物療法アルゴリズム ADA2018年版勧告

大きく変わった糖尿病薬物療法アルゴリズム   ADA2018年版勧告

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/1222511993/

米国糖尿病学会(ADA)は、毎年1月にStandards of Medical Care in Diabetesという勧告集を機関誌であるDiabetes Careの付録(supplementation)として発表している(2014年以前はclinical practice recommendationという名前であった)。
このたび、2018年版の勧告が発表され、2型糖尿病患者の薬物療法のアルゴリズムが大きく変更された。


勧告のポイント1(1型糖尿病):2017年版と変わらず

最初に記載されているのは1型糖尿病患者の薬物療法であり、この部分の勧告は2017年版と全く変わっていない。

・1型糖尿病患者のほとんどは追加インスリンと基礎インスリンから成るインスリン頻回注射療法か、持続皮下インスリン注入(CSII)で治療すべきである

・低血糖リスクを下げるため、1型糖尿病患者のほとんどは超速効型インスリンアナログを使用すべきである

・1型糖尿病患者には、糖質摂取、食前血糖値、予想される身体活動量の三者に対してインスリン注射量を適合するという応用カーボカウント指導の教育を考慮する

・CSIIを上手に使っていた1型糖尿病患者は65歳を超えてもCSII治療の機会が与えられるべきである

勧告のポイント2(2型糖尿病):第二選択薬を横並びにせず

 ここが今回、変更されたところである。

・メトホルミンは、禁忌でなく、忍容性がある限りにおいて、2型糖尿病薬物療法の望ましい開始治療薬である

・メトホルミンの長期使用はビタミンB(VB)12欠乏と関連するかもしれず、定期的な血中VB12測定を検討すべきである。特に、貧血や末梢神経障害のある患者ではそうすべきである

・新規に診断された2型糖尿病患者のうち、症候性であったり、HbA1c10%以上であったり、随時血糖値が300mg/dL以上の患者には、開始治療薬としてインスリン療法を考慮すべきである

・HbA1c 9%以上の新規診断2型糖尿病患者には、2剤併用での経口治療薬の開始を考慮すべきである

・動脈硬化性心血管疾患の既往のない患者で、3か月間目標HbA1cが達成できない場合、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素を加味して追加薬剤を選択する

・薬物療法の選択においては患者中心アプローチを用いるべきである。すなわち、有効性、低血糖リスク、動脈硬化性心血管疾患の既往、体重への影響、潜在的な副作用、腎臓への効果、投与法、費用、患者の嗜好を踏まえて考慮する

・動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病患者では、生活習慣管理、メトホルミンで開始し、続いて、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素に基づいた考慮の上で、主要有害心血管イベント(MACE)や心血管死への有効性を証明している薬物(現時点ではエンパグリフロジンとリラグルチド)を追加する

・動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病患者では、生活習慣管理、メトホルミンの後で、薬剤特異的な要素と患者ごとの要素に基づきつつ、MACEを減らすためにカナグリフロジンの追加を考慮してもよい

・継続した薬物レジメンの再評価や患者要素とレジメンの複雑さを考慮した調整を推奨する

・血糖目標を達成できない2型糖尿病患者に対する治療強化は遅らせるべきでなく、それにはインスリン療法の考慮も含まれる

・メトホルミンは、禁忌でなく、忍容性がある限りにおいて、他の治療薬との併用において継続されるべきである

 2017年版勧告(Diabetes Care 2017;40:S64-S74)でも「長期にわたって血糖管理が十分でなく、動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病患者では心血管死や総死亡を減少させることを示したエンパグリフロジンとリラグルチドが考慮されるべきである」との記載はあったが、2018年版では「長期にわたって血糖管理が十分でなく」といった条件がなくなった。何よりも大きく変更されたのが「一般的な薬物療法勧告の図」と「糖尿病治療薬の一覧表」である。

 2017年版までの勧告では、2012年のADA・欧州糖尿病学会(EASD)の合同アルゴリズムを踏襲し、開始薬としてメトホルミンを挙げ、第二選択薬としてさまざまな薬剤(SU薬, チアゾリジン薬, DPP-4阻害薬, SGLT2阻害薬, GLP-1受容体作動薬, 基礎インスリン)を横一線に挙げていた(図1)。


このタイプの図を目にしたことのある先生も多いであろう。それが今回は、第二選択薬を横並びにはせず、まずは患者を心血管疾患の有無で分けることを求めたのである(図2)。


その上で、心血管疾患の既往のある患者に対しては心血管疾患保護の科学的根拠のある治療薬を推奨するというスタンスを取り、そのために薬物一覧表の記載を大きく変更した。

 
2017年版までは表の1行目(項目名)は、①クラス(例;ビグアナイド)②薬剤名(例;メトホルミン)③基礎的作用機序(例;AMPキナーゼ活性化)④臨床的作用機序(例;肝糖産生低下)⑤有益性(例;豊富な使用経験、低血糖がまれ、心血管イベント抑制、比較的HbA1c低下作用が強い)⑥不利益〔例;消化器症状、VB
12欠乏、推算糸球体濾過量(eGFR)<30は禁忌、乳酸アシドーシス〕⑦費用(例;安い)―の7項目であった。

 
これに対し2018年版では、
①クラス(例;ビグアナイド)
②薬剤名(例;メトホルミン)
③基礎的作用機序(例;AMPキナーゼ活性化)
④臨床的作用機序(例;肝糖産生低下)
⑤腎機能に対する用量調整の勧告
―というほぼ従来通りの表に加えて、
①クラス
②血糖低下効果
③低血糖の発生頻度
④体重変化
⑤心血管イベント(動脈硬化症・心不全)
⑥費用
⑦経口/皮下注射
腎臓(糖尿病性腎臓病の進行・腎不全時用量調整)
⑨追記
―の9項目(⑤と⑧を分けると11項目)が並んだ薬剤特異的要素の表が新設された。



山田 悟 先生の考察:薬剤の序列付けが進むか

元来、脂質異常症の治療の中では、心血管疾患の一次(初発)予防と二次(再発)予防とを分けて考えるという概念が一般的であった。今回のADAの勧告では、糖尿病の薬物療法においても、心血管疾患の初発予防と再発予防を分けて考えるという概念が明確に示された。心血管疾患は脂質異常症だけでなく、糖尿病の合併症としても重要なものであり、こうした概念が定着していく可能性は高い。

 
また、今回動脈硬化性心血管疾患に対して有益あるいは潜在的に有益とされた薬剤の一部(カナグリフロジン、エンパグリフロジン、リラグルチド)は、糖尿病性腎臓病の進行予防に対しても有益であったと表に示されている。
そうした点も第二選択薬を横並びにできない理由になろう。

 
わが国のガイドラインでは糖尿病治療薬は経口か皮下注射かで大別され、経口薬に関しては作用機序で患者ごとに適応を考えることになっている。
しかし、臓器保護効果についての科学的根拠は考慮されていない。

 
また、実臨床の現場では、例えばインスリン分泌が低下している患者への処方として、インスリン分泌促進系薬剤を考えたとしても、同じインスリン分泌促進系薬剤の中での(SU薬かグリニド薬かDPP-4阻害薬かの)選択が求められる。作用機序だけでは患者ごとの適応を考えることは不可能といえる。
そうした意味では、わが国の実臨床の現場でも、今回のADAの勧告のような、あるいは米国臨床内分泌学会/米国内分泌医会(AACE/ACE)の勧告のような、薬剤を序列付したものの方が使い勝手が良いのではないかと感じる。

 
AACE/ACEの勧告では、単独療法の場合には、メトホルミン、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬...という序列付けが2016年の段階でなされている。
今回のADAの勧告の改訂は、これを追認したような印象である。これらはいずれも海外の指針ではあるが、今後のわが国における糖尿病治療薬の処方動向も、今回の勧告の改訂によりなんらかの影響を受けていく可能性があるように感じる。




<きょうの一曲>

ヴィヴァルディ 四季 「冬」 Vivaldi Four Seasons “Winter”

https://www.youtube.com/watch?v=h-UFLJ-a_dY




<きょうの一枚の絵>

larger

Jeremy Mann A Storm Shrouds Downtow

https://www.artsy.net/artwork/jeremy-mann-a-storm-shrouds-downtown





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

腎動脈を焼灼する高血圧治療

腎動脈を焼灼する高血圧治療  腎デナベーションの降圧効果が明らかに

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/sped/1712cvm/201712/554062.html

カテーテルで腎動脈を焼灼する新しい高血圧治療法の臨床試験で、偽手術群を対照として、有意な降圧効果が確認された。
国内では3社が臨床試験を実施中であり、実用化に向けて拍車がかかりそうだ。
特に夜間・早朝高血圧の患者、睡眠時無呼吸症候群の高血圧患者には、有望な治療選択肢になる可能性がある。


既存の薬物治療とは別の新たな治療選択肢として、注目されつつあるのが「腎デナベーション」だ。


一時は有効性が疑問視されていたが、2017年に発表された第2相臨床試験の中間報告で降圧効果が証明された。
「順調に進めば3~5年後に実用化できるかもしれない」。
自治医科大学内科学講座循環器内科部門教授の苅尾七臣氏は期待を込めてそう話す。


腎交感神経の活動を抑制

腎デナベーションとは、大腿動脈などからカテーテルを挿入して、腎動脈の血管壁内を通る腎交感神経を部分的に焼灼・遮断するインターベンション術のことだ。


腎交感神経の活動亢進が本態性高血圧と強く関連していることが知られている。
脳から腎臓への遠心性交感神経の活動が亢進すると、腎臓でレニンの分泌が促進されアンジオテンシンIIが増加し、血圧上昇に働く。


一方、腎臓から脳への求心性腎交感神経感神経を部分的に遮断することで、血圧上昇を防ごうというのがこの治療法の狙いだ。


偽手術群対照で有効性を確認

カテーテルを使った腎デナベーションが検討され始めたのは2000年代以降のこと。2009年に初めて臨床効果が論文報告されたが、これは内服薬継続者を対照とした探索的試験だった)。


<私的コメント>

記事中に「腎デナベーションの降圧効果の検討、これまでの経緯」という「表」あり。


より信頼性の高いデータを得るために、カテーテルは挿入するが焼灼は行わない「偽手術群」を対照とする「SYMPLICITY HTN-3試験」が、2011年に開始された。


同試験は大きな注目と期待を集めたが、対照群に対して有意な降圧効果を示すことができず、逆に腎デナベーションの有効性自体に疑問が持ち上がる事態となった。


後がない状況で、SYMPLICITY HTN-3試験を見直して実施されたのが「SPYRAL HTN-OFF MED試験」だ。2017年8月に発表された中間解析では、主要評価項目である「3カ月後の24時間血圧の変化」について、収縮期血圧は偽手術群の-0.5mmHgに対して腎デナベーション群-5.5mmHg、拡張期血圧は同-0.4mmHgに対して-4.8mmHgと、いずれも有意に降圧幅が大きいことを示した。


<私的コメント>

記事中に「SPYRAL HTN-OFF MED試験で偽手術群を対照として腎デナベーションの降圧効果を確認」という「図」あり。


SPYRAL HTN-OFF MED試験の国際共同治験運営委員会(世界各国の6人の医師で構成)委員を務める苅尾氏は、「最も客観的とされる偽手術群が対照の試験で、腎デナベーションの効果が証明された意義は大きい」と語る。


評価法などの再検討が奏功

SPYRAL HTN-OFF MED試験は、腎デナベーションの降圧効果を確認する目的に立ち返り、第2相臨床試験として実施された。
被験者は未治療あるいは降圧治療を中止した患者だった。


腎デナベーションの実用化に向けては、今後、第3相臨床試験の実施が必要になるが、その際にもSYMPLICITY HTN-3試験の失敗とSPYRAL HTN-OFF MED試験の成功を通じて得た知見が役立ちそうだ。


SPYRAL HTN-OFF MED試験の成功要因として苅尾氏は、「患者選択」「手技」「評価方法」の3つを挙げる。
患者選択については、血管硬化が進んだ患者を除外するために「拡張期血圧90mmHg以下」を登録基準に加えた点が重要なポイントだったという。


手技については術者の技量や焼灼方法の差によるデータのバラツキを抑えるために、円周上の4カ所を同時焼灼できる新型デバイスを投入したほか、腎交感神経が集束する部位を重点的に焼灼するプロトコールを定めた。


主要評価項目の評価方法は、SYMPLICITY HTN-3試験では診察室血圧としていたが、SPYRAL HTN-OFF MED試験では測定手技による変動が少ない24時間血圧に変更した。これらの試験デザインの改善を、第3相臨床試験でも生かす方針だ。


3社が臨床開発、焼灼法に特徴

腎デナベーションの臨床開発は、医療機器メーカーの出資により、国内外で複数行われている。SIMPLICITY HTN-3試験やSPYRAL HTN-OFF MED試験を実施したのは米メドトロニックだ。


日本では日本メドトロニックのほか、大塚ホールディングスグループのJIMRO、テルモの3社が臨床試験を実施している。
それぞれ使用するデバイスが異なり、メドトロニックとテルモはラジオ波、JIMROは超音波で焼灼する方式だ。


<私的コメント>

記事中に「日本で実施中の主な高血圧に対する腎デナベーション臨床試験」という「表」あり。


ラジオ波方式は、照射部を血管壁に押し当てて、腎動脈内より焼灼する。
ラジオ波のデバイスは操作の小回りが利くので、交感神経が集束する腎実質近くの腎動脈分枝遠位部にカテーテルを誘導して、精密に焼灼することが可能だ。


超音波方式では、照射部は血管中央に置いたまま同心円状に超音波を照射し、腎動脈の内側表面をバルーン内で循環する水で冷却しながら血管全周にわたって3~6mmの深部のみを焼灼する。
血管表面を傷付けないことに加え、術者ごとの技量差が出にくいのが大きな特徴だ。
焼灼にかかる時間もラジオ波方式に比べて短い。
ただし腎実質に近い腎動脈分枝部の焼灼は困難だという。


各社とも、心血管カテーテルのように手首の橈骨動脈から挿入できるデバイスの開発も手掛けている。
これまでの腎デナベーション治療の合併症は、大腿動脈穿刺によるものがほとんどだ。
橈骨動脈から腎動脈へのアプローチは大腿動脈からより容易で、出血による有害事象も起こりにくい。
実用化できれば日帰り手術が可能になるかもしれない。


夜間高血圧などへの効果を期待

メドトロニックはSPYRAL HTN-OFF MED試験の成功を受けて、高血圧患者全般を対象に実用化を狙う方針を固めたようだ。
一方、JIMROは、利尿薬を含む3剤以上を投与しても血圧コントロールが十分に得られない「治療抵抗性高血圧」をターゲットにしており、順調に進めば最も実用化が早いとみられる。


臨床試験の実施を通じて、腎デナベーションの降圧効果は、少なくとも5年以上持続することが分かってきた。
また、レスポンダーについての情報も得られてきている。
「交感神経の亢進との関連が強いと考えられる夜間高血圧、早朝高血圧の患者、睡眠時無呼吸症候群、肥満の高血圧患者などには特に治療効果が高いようだ」と苅尾氏。
これらの患者に対しては特に有望な治療選択肢になる可能性がある。


なお、腎デナベーションの安全性は比較的高いと考えられているが、理論的なリスクとして「起立性低血圧」や「腎動脈狭窄」を危惧する声もある。
大きな可能性を秘める治療法であるからこそ、安全性を慎重に見極める姿勢も大切だ。



<きょうの一曲>

Nat King Cole - "The Christmas Song" (1961)

https://www.youtube.com/watch?v=hwacxSnc4tI

http://初心者英会話.com/music/christmas_song/The_christmas_song.html

 

<きょうの一枚の絵>

fujinihanasaku(2B)

片岡球子 「富士」

http://mshiko.blogspot.jp/2015/04/blog-post_19.html

 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   


 

DOACのイチオシは?

DOACのイチオシはアピキサバンか ネットワークメタアナリシスによる群間比較

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201712/554064.html

心房細動患者の脳梗塞予防にはワルファリンが用いられてきたが、近年、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が次々と登場している。
それらの有効性、安全性と費用対効果を比較するために、系統的レビューとネットワークメタアナリシスを実施した英国の研究チームは、現時点での費用対効果が最も良好と考えられるのは、アピキサバン5mg1日2回投与だったと報告した。
(BMJ誌電子版 2017.11.28.)


トロンビンを阻害するダビガトランや、Xa因子を阻害するアピキサバン、ベトリキサバン、エドキサバン、リバーロキサバンなどのDOACは、ワルファリンに比べ、モニタリングが不要で、他剤との相互作用も少ないといった利点を持つが、治療コストは大きく上昇している。


臨床試験ではDOACの有効性はワルファリンに劣らず、出血リスクはワルファリンより低い傾向を示していた。
しかし、DOAC同士の直接比較はほとんど行われておらず、どの薬を心房細動患者の第一選択にすべきは明らかではない。
また、ワルファリン群にはINR2.0~3.0の治療域を維持できていない患者も含まれるため、DOACの有効性を過剰に見積もっている可能性も残されている。
そして、高いコストに見合う利益を患者にもたらすかどうかも明らかではなかった。
そこで著者らは、心房細動患者に対するDOACsとワルファリンの有効性、安全性、費用対効果を比較するための系統的レビューとネットワークメタアナリシスを行った。


Medline、PreMedline、Embase、コクランライブラリに登録された研究の中から、心房細動患者に対する脳梗塞予防を目的として、DOAC、ビタミンK拮抗薬、抗血小板薬を用いていた、フェーズ2または3の優越性試験もしくは非劣性試験を抽出した。
その中から、ダビガトラン、アピキサバン、ベトリキサバン、エドキサバン、リバーロキサバンの5つのDOACのどれかと、他の薬を比較している試験を選んだ。
非経口薬を対象とした試験、同じ薬の用量を変えて比較した試験、追跡期間が3カ月未満の試験、ワルファリンのINRが2.0以下の試験、などは除外した。


23件の試験(9万4656人を登録)が条件を満たした。
患者の年齢は63.3~81.5歳(中央値は70.0歳)、男性の割合は44.9~82.9%(63.3%)、脳梗塞歴がある患者の割合は5.0~63.8%(20.2%)、高血圧患者の割合は38.0~93.7%(73.8%)、慢性心不全患者の割合は0~100%(32%)だった。


脳卒中または全身の塞栓症のリスクをワルファリン(INRは2.0~3.0)と比べた場合、アピキサバン5mg1日2回のオッズ比は0.79(95%信頼区間0.66-0.94)、ダビガトラン150mg1日2回は0.65(0.52-0.81)、エドキサバン60mg1日1回は0.86(0.74-1.01)、リバーロキサバン20mg1日1回は0.88(0.74-1.03)だった。
逆に抗血小板薬は、脳卒中と全身の塞栓症のリスクがワルファリンより高かった。オッズ比は、用量150mg未満1日1回が1.88(1.40-2.51)、150mg以上1日1回は1.61(1.25-2.07)。


脳梗塞に限定した比較では、ワルファリンよりリスクが低かったのは、ダビガトラン150mg1日2回(オッズ比0.76、0.58-0.98)、リスクが高かったのはエドキサバン30mg1日1回(オッズ比1.44、1.21-1.71)と抗血小板薬だった。


DOAC同士で脳卒中または全身の塞栓症のリスクを比較すると、ダビガトラン150mgを1日2回に対して、エドキサバン60mg1日1回がオッズ比1.33(1.02-1.75)、リバーロキサバン20mg1日1回のオッズ比1.35(1.03-1.78)で、有意なリスク上昇が見られた。DOAC同士の脳梗塞のリスクはどの比較でも有意差を示さなかった。


総死亡リスクはワルファリンに比べ全てのDOACが低い傾向を示したが、差が有意になったのはアピキサバン5mg1日2回(オッズ比0.88、0.79-0.98)、エドキサバン30mg1日1回(オッズ比0.86、0.78-0.96)だった。
リバーロキサバン20mg1日1回はオッズ比0.83(0.69-1.00)、ダビガトラン150mg1日2回はオッズ比0.88(0.77-1.01)だった。DOACs間の比較では、総死亡リスクに有意差が見られた組み合わせはなかった。


ワルファリンと比較した大出血のオッズ比は、アピキサバン5mg1日2回が0.71(0.61-0.81)、ダビガトラン110mg1日2回では0.80(0.69-0.93)、エドキサバン30mg1日1回は0.46(0.40-0.54)、エドキサバン60mg1日1回は0.78(0.69-0.90)で、いずれも有意に低かった。


DOAC同士の比較では、アピキサバン5mg1日2回と比較した大出血のオッズ比は、タビガトラン150mg1日2回が1.33(1.09-1.62)、リバーロキサバン20mg1日1回では1.45(1.19-1.78)になった。
エドキサバン60mg1日1回と比較しても、リバーロキサバン20mg1日1回のオッズ比は1.31(1.07-1.59)と有意なリスク上昇を示した。


頭蓋内出血のリスクは、ほとんどのDOACでワルファリンより低かった。
DOAC同士の比較では、差が有意になった組み合わせはなかった。
しかし消化管出血のリスクは、一部のDOACでワルファリンより高かった。
タビガトラン150mg1日2回のオッズ比は1.52(1.20-1.91)、エドキサバン60mg1日1回では1.22(1.01-1.49)、リバーロキサバン20mg1日1回は1.47(1.20-1.81)だった。
DOAC間の比較では、アピキサバン5mg1日2回に比べ、ダビガトラン150mg1日2回のオッズ比は1.71(1.21-2.43)、エドキサバン60mg1日1回は1.38(1.00-1.92)、リバーロキサバン20mg1日1回では1.66(1.19-2.33)といずれも有意なリスク上昇を示した。


脳卒中または全身の塞栓症、心筋梗塞、総死亡を含む有効性のランキングでも、大出血と消化管出血の安全性のランキングでも、アピキサバン5mg1日2回が首位になった。
脳卒中または全身塞栓症の予防効果におけるランキングの最下位は、ワルファリンと抗血小板薬150mg以上1日1回だった。


費用に関する分析では、70歳から治療を開始した場合の生涯コストが最も安かったのはダビガトラン150mg1日2回(予想値2万3064ポンド)、次がアピキサバン5mg1日2回(2万3340ポンド)、続いてエドキサバン60mg1日1回(2万3985ポンド)だった。
QALYsが最も高いのはアピキサバン5mg1日2回(5.488)で、続いてリバーロキサバン20mg1日1回(5.451)、ダビガトラン150mg1日2回(5.416)だった。
閾値を2万ポンドにした場合、増分純便益(incremental net benefit)が最も高いのはアピキサバン5mg1日2回の7533ポンド(490-1万8228ポンド)で、95%信頼区間全体がワルファリンを上回った唯一のDOACだったため、費用対効果が最も高いと判定された。


これらの結果から著者らは、心房細動患者の脳梗塞予防でDOACは有効性でワルファリンに劣らず、出血リスクを減らすことができるが、特許が切れてジェネリック薬が登場するまでは、費用対効果が最も高いのはアピキサバンだと結論している。

英文抄録

Oral anticoagulants for prevention of stroke in atrial fibrillation: systematic review, network meta-analysis, and cost effectiveness analysis

BMJ 2017; 359 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j5058 (Published 28 November 2017)

http://www.bmj.com/content/359/bmj.j5058



Empagliflozinが効果的

Empagliflozinは「不安定な」糖尿病サブグループにとくに効果的

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000451.html

末梢動脈疾患(PAD)も有する「不安定な」2型糖尿病患者のサブグループにおいて、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬empagliflozin(商品名:Jardiance、Boehringer Ingelheim/Eli Lilly)は、下肢切断リスクを増大させることなく心血管死亡率、心不全による入院、腎疾患の増悪を減少させた、と研究者らが報告している1)


トロント大学の研究チームは、EMPA-REG OUTCOME試験のサブグループ解析から得られた結果を、2017年11月13日に2017年米国心臓協会学術集会Late-Breaking Trialセッションにおいて発表した。
同時に、Circulation誌にresearch letterとして掲載された。

PAD患者は「極端に不安定な患者集団」である。
本解析では、2型糖尿病およびPADを有する患者における「心血管死亡率の重大な減少」が明らかになった。

さらに、PAD患者は下肢切断リスクがより高いにもかかわらず、「重要なことに切断リスク増大の徴候は認められなかった」と、指定討論者の一人は要約の中で述べた。

これは、CANVAS試験の2型糖尿病患者において、別のSGLT2阻害薬であるcanagliflozinにより切断リスク増大が認められたのとは対照的である。

「CANVAS試験およびEMPA-REG試験によって、新規薬剤クラスが心血管疾患(CVD)リスク減少に関連するとわれわれは興奮状態になった。その後、(CANVAS試験における)切断リスク増大に対しEMPA-REG試験では切断リスク増大がなかったという点で、有害事象発生率にこのような違いがあったことで混乱が生じた」と、セッションの共同座長は語った。


EMPA-REG試験では5人に1人がPAD患者

EMPA-REG OUTCOMES試験では、CVD歴を有する2型糖尿病患者7,020例が、3.1年間、標準治療に追加してプラセボを投与する群またはempagliflozin(10mg/日または25mg/日)を投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。

2015年に、本試験結果においてempagliflozinが心血管死の相対リスクを38%、全死因死亡リスクを32%減少させ、糖尿病薬が単なるグルコース低下作用を超えたベネフィットを提供することが初めて示された。
FDAはその翌年に、CVDを有する成人2型糖尿病患者における心血管死のリスク減少という本薬剤の新規適応を承認した。

本試験の組み入れに必要とされたCVD歴にはPADが含まれ、患者の5分の1(21%)がこのカテゴリー(肢の血管形成術歴、ステント留置術歴、バイパス手術歴、脚あるいは足部切断、重大な末梢動脈狭窄がある、足関節上腕血圧比0.9未満のいずれかで定義)に分類された。

今回の新たな解析では、研究者らはPADの状態によるempagliflozinの効果を調査することを目的とした。
研究者らは、プラセボ群、empagliflozin群の患者をPADの有無によってさらに分け、4群について比較した。

患者の平均年齢は4群間で同様(64歳)であり、約72%が男性であった。

患者の平均BMIは31kg/m2であり、平均HbA1c値は8.1%であった。患者の約半数はeGFR値が60~90mL/分/1.73m2であり、4分の1はeGFR値が60mL/分/1.73 m2未満であった。

予想通り、PAD患者において現在および過去の喫煙率が高かった。
またPAD患者はMI歴や脳卒中歴を有する率が低く、脂質低下薬の使用率が低かった(74% vs.82%)。

平均3.1年間の追跡期間中、empagliflozin群はプラセボ群と比較し、PADの有無にかかわらず心血管死亡、全死因死亡、心不全による入院、腎障害の新規発症あるいは腎障害進行のリスクが低かった。


PAD患者でempagliflozinによりCV死と心不全が大きく減少

1件の心血管死を予防するために、PADを有する2型糖尿病患者29例を3.1年間empagliflozinで治療する必要がある。

これは、EMPA-REG試験全体から得られた、1件の死亡を予防するために39例を3年間empagliflozinで治療する必要があるという値と対比させることができる。

ベースラインのPADの有無により、心血管死のアウトカムの曲線には早期から重大な乖離が認められた。
この絶対リスク減少を、「2次予防でわれわれが使用する他の介入の状況に落とし込む」ことが重要である。

PAD患者において、empagliflozin群ではプラセボ群と比較し、心血管死について3%の絶対リスク減少がみられ(7.5% vs.4.5%)、ハザード比(HR)は0.57であった。

非PAD患者においては、empagliflozin群ではプラセボ群と比較し、心血管死について2%の絶対リスク減少がみられた(5.5% vs.3.5%、HR:0.64)。

同様にPAD患者において、empagliflozin群で心不全による入院について2.2%の絶対リスク減少がみられ、これは非PAD患者におけるempagliflozin群での絶対リスク減少の2倍の値であった。


また重要なことに、これらのベネフィットは下肢切断リスクの増大を伴わずに達成された。

PAD患者における下肢切断率はempagliflozin群で5.5%、プラセボ群で6.3%であり、非PAD患者ではempagliflozin群で0.9%、プラセボ群で0.7%であった。
この結果は、empagliflozinによる切断リスクの増大を認めなかったEMPA-REG OUTCOME試験全体の結果と一致するものである。


本データは、PADを有する2型糖尿病患者におけるリスク減少アプローチとして、他の状況にも適用できる重要な意味を持つ。


英文抄録

Empagliflozin Particularly Effective in 'Vulnerable' Diabetes Subgroup

https://www.medscape.com/viewarticle/889233




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

 

心不全患者数の増加

英・高齢化により心不全患者数が増加  

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1219511863/

英国の研究チームは、英国人400万人の診療録データベースを解析した結果、2002年から14年にかけて心不全の年齢・性調整罹患率が7%減少したが、主に高齢人口の増加により新規患者数は12%増加したとの推定結果をLancet(2017年11月21日オンライン版)で報告した。
罹患率、診断時年齢や併存症の数には社会経済的格差があることも判明し、経済的貧困者を中心に心不全予防対策に取り組む必要性を指摘している。

心不全調整罹患率の推計は希少

心不全罹患率とその経時的推移を検討した報告は、高所得国でさえ少なく、一貫性がない。
また、これまで人口に基づく調査で全体およびサブグループで心不全の粗罹患率と調整罹患率の両方を示した研究はなかった。

 
今回の研究では、英国全体とほぼ同じ性、年齢および人種構成を持つ匿名化された患者データベースであるClinical Practice Research Datalink(CPRD)および同データベースにリンクさせたHospital Episodes Statisticsから、2002年1月~14年12月に登録された16歳以上の404万5,144例の一次および二次電子診療記録を使用。
2001年以前に心不全と診断された4万5,671例、一般診療での登録が12カ月未満の7,056例を除外した399万2,417例を解析対象として、心不全罹患率を算定した。
心不全患者はベースライン(診断後2年以内)の検査値、併存症、社会経済的状態(英国の小規模地域の経済格差を示したIndex of Multiple Deprivation 2015による五分位階級)、民族および居住地域を抽出した。

 
年齢・性調整罹患率を2013年の欧州モデル人口(90歳までの5年齢階級別)に直接適用して調整罹患率を算定。
年別、年齢別および性別罹患率を英国の年央人口推計(同)に適用して粗罹患率を推定。
15歳以下の心不全患者は想定せず、全年齢の罹患率および患者数として報告した。


年間の新規患者数は12%増加

2002~14年の12年間に心不全と診断された患者は9万3,074例(女性49%)で、診断時年齢は76.7±12.6歳。
2002年から14年にかけて、英国における心不全の推定年齢・性調整罹患率は7%減少〔人口10万対358→332、調整罹患率比(IRR)0.93、95%CI 0.91~0.94〕し、男女で類似の傾向を示した。
これに対し、粗罹患率は同期間に2%上昇(人口10万対288→295)し、年間の新規患者数は、主に高齢人口の増加により12%増加したと推定された(17万727人→19万798人)。
さらに、心不全患者の絶対数は23%増加したと推定された(75万127人→92万616人)。
 

貧困層で罹患率高く、早期に発症

研究期間を通じて、心不全診断時の年齢は高くなり(76.5±12.0歳→77.0±12.9歳、調整差0.79歳、95%CI 0.37~1.20歳)、診断以前からの併存症数が増加していた(3.4±1.9個→5.4±2.5個、調整差2.0個、同1.9~2.1個)。

 
同じ年齢・性で、社会経済的に最も困窮している群では最も裕福な群に比べて1.6倍心不全を発症しやすく、診断時に3.5歳若いにもかかわらず、併存症が多かった。
全ての社会経済的階級で最も裕福な群と同等の罹患率が達成されれば、英国では心不全患者数が年間1,810例減少し、粗罹患率が約18%低下する可能性があると試算された。


4種のがんの合計患者数にほぼ匹敵

以上の結果から、研究代表は「英国では心不全の調整罹患率が緩やかに低下しているものの、心不全による疾病負荷は増大しており、年間の新規患者数は代表的な4種のがん(肺、乳房、腸、前立腺)の合計(2014年18万9,136例、Cancer Research UK)に匹敵する」と指摘。
その理由として、他の多くの国と同様に、英国では高齢人口が増加しており、特に戦後ベビーブーム世代の65~69歳が研究期間中に36%増加して心不全リスク年齢に達したことを挙げている。

 
また心不全罹患率、診断年齢および併存症で社会経済的格差が観察された点について、「心不全は予防できる可能性があり、対策に取り組む必要があることを示している。社会経済的格差をなくすには、集団・個人レベルの介入を追加する必要性が高い」と述べている。

 



<きょうの一曲>

8 Most Beautiful Beethoven Pieces



<きょうの一枚の絵>

larger

GREG GANDY Crossing Leavenworth

https://www.artsy.net/artwork/greg-gandy-crossing-leavenworth





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   



薬剤溶出ステント 生分解性vs.耐久性

薬剤溶出ステント 生分解性vs.耐久性/Lancet

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/45223

PCIを受けるあらゆる成人集団を対象とした大規模無作為化試験において、シロリムス溶出生分解性ポリマーステント(MiStent)は、エベロリムス溶出耐久性ポリマーステント(Xience)に対し、12ヵ月時点のデバイス指向の複合臨床エンドポイントに関して非劣性であることが示された。
オランダ・アムステルダム・大学医療センターの研究チームが行った第III相多施設無作為化単盲検試験「
DESSOLVE III」の結果で、Lancet誌オンライン版2017年12月1日号で発表された。
現行使用されている非晶質シロリムス溶出耐久性ポリマーステントの限界を克服するために開発されたが、その臨床的効果を耐久性ポリマーステントと比較した、あらゆる成人集団を対象とした大規模な無作為化試験は行われていなかった。


デバイス指向複合エンドポイントを比較

研究グループは、ドイツ、フランス、オランダ、ポーランドの20病院で、病変部へのPCIを受ける、血管径2.50~3.75mmの18歳以上のあらゆる患者を適格とし、被験者をMiStent留置群またはXience留置群に、1対1の割合で無作為に割り付けて追跡評価した。
無作為化は、ウェブベースの中央ランダムブロック法ソフトウェアを介して、試験地の研究者によって実行された。


主要エンドポイントは、心臓死・標的血管の心筋梗塞・臨床的に確認された標的病変の血行再建術から成るデバイス指向複合エンドポイント(DOCE)の、術後12ヵ月時点の群間比較における非劣性とした。
評価はintention to treat法にて行い、MiStent群のXience群に対する非劣性マージンを4.0%と定義した。
安全性解析は全被験者を対象に行った。


ステント塞栓症の発生率は両群で等しく低率

2015年3月20日~12月3日に1,398例(2,030病変)が無作為化を受けた。
MiStent群には703例(1,037病変)が割り付けられ、そのうち697例が留置を受けた。Xience群には695例(993病変)が割り付けられ、そのうち690例が留置を受けた。


12ヵ月時点で、主要エンドポイントは、MiStent群40例(5.8%)、Xience群45例(6.5%)で発生した。


ステント留置に関連した合併症の報告は、MiStent群12例(1.7%)、Xience群10例(1.4%)であった。
最短12ヵ月のフォローアップ中に、試験中断となった臨床的な有害事象はみられなかった。
安全性の指標であるステント塞栓症の発生率は、群間で差は認められず両群とも低率であった。


これらの結果を踏まえて著者は、「臨床において、MiStentを他のステントの代わりに用いるのは理にかなったことのようだ」とまとめている。


英文抄録

A sirolimus-eluting bioabsorbable polymer-coated stent (MiStent) versus an everolimus-eluting durable polymer stent (Xience) after percutaneous coronary 

R J de Winter et al.

Lancet (London, England). 2017 Dec 01; pii: S0140-6736(17)33103-

https://pmc.carenet.com/?pmid=29203070&keiro=journalintervention
(DESSOLVE III): a randomised, single-blind, multicentre, non-inferiority, phase 3 trial.


<きょうの一曲>

Kreisler "Liebesleid" (Love's Sorrow) ~ Cello by Yo-Yo Ma

https://www.youtube.com/watch?v=m_8Vy63TEts


<きょうの一枚の絵> 


larger のコピー

JEREMY MANN  “ Violet Rosette ”

https://www.artsy.net/artwork/jeremy-mann-violet-rosette





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


 

ACS疑い患者のイベント指標は高感度心筋トロポニンI値

ACS疑い患者のイベント指標は高感度心筋トロポニンI値5ng/L/JAMA


http://www.carenet.com/news/journal/carenet/45082

急性冠症候群(ACS)疑い患者で高感度心筋トロポニンI値が5ng/L未満の場合は、30日以内の心筋梗塞や心臓死のリスクが低いことが示された。
英国・エディンバラ大学のAndrew R. Chapman氏らが、ACS疑い患者におけるリスク層別化ツールとして、受診時の心筋トロポニンIの閾値5ng/Lの性能を評価したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。
高感度心筋トロポニンI検査はACS疑い患者の評価に広く使用されており、5ng/L未満は低リスクとみなされているが、至適閾値であるかは明らかになっていない。JAMA誌2017年11月11日号掲載の報告。


約2万2,500例のACS疑い患者についてメタ解析

研究グループは、2006年1月1日~2017年3月18日の期間で、MEDLINE、EMBASE、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを用い、心筋梗塞の一般的な定義によって診断されたACS疑い患者において、高感度心筋トロポニンI値を測定した前向き研究を検索した。


1万1,845報が特定され、このうち104報について全文を調査し、9ヵ国からの19件のコホートがシステマティックレビューに組み込まれた。
個々の患者のデータは、17件については筆頭著者から入手して他の2件のデータと統合し、計2万2,457例(平均年齢62[SD 15.5]歳、女性9,329例[41.5%])がメタ解析に組み込まれた。


主要アウトカムは、30日時点の心筋梗塞/心臓死であった。
リスク層別化は、個々の患者データを用い、サブグループおよびトロポニン値の範囲で実施された。


心筋トロポニンI値5ng/L未満は、30日時点の心筋梗塞/心臓死の陰性適中率99.5%

計2万2,457例のうち、主要アウトカムである30日時点の心筋梗塞/心臓死は2,786例(12.4%)に発生した。
受診時の心筋トロポニンI値が5ng/L未満であった患者は1万1,012例(49%)、このうち60例で登録時イベントまたは30日イベントを見逃していた(59例が登録時の心筋梗塞、1例が30日時点の心筋梗塞、心臓死の見逃しはなし)。


主要アウトカムの陰性適中率は99.5%(95%信頼区間[CI]:99.3~99.6)であった。
心臓死の陰性適中率は99.9%(95%CI:99.7~99.9)で、30日心臓死の発生はなく、1年心臓死は7例(0.1%)であった。


著者は、すべてのコホートが同じプロトコールを使用しているわけではないこと、発症後すぐに受診した患者の割合が10%と低いことなどを研究の課題として挙げたうえで、「今回のリスク層別化法の臨床的有用性や費用対効果を理解するために、さらなる研究が必要である」と述べている。



<関連サイト>

高感度トロポニンIが陰性だったら、胸痛患者を安心して帰宅させることができるのか?(解説:佐田 政隆 氏)

http://www.carenet.com/news/clear/journal/45164

1人で当直をしていて、胸痛を主訴に来院した患者に対して、帰宅させて大丈夫かどうかと悩んだことがある医師も多いと思う。
何も異常ありませんので、明日、昼間に再来院して精密検査をしましょうと言って帰したところ、急性冠症候群で、家で心肺停止になることなどは絶対に避けなければならない。
通常、心電図、胸部レントゲン、心エコーなどが施行されると思うが、非常に些細な変化で、非循環器専門医では、判断に迷うことがたびたびあるのではないだろうか。
また、心電図、通常の心エコーではまったく異常を来さない、左回旋枝の急性心筋梗塞や不安定狭心症があるのも事実である。


そういった状況で、血液検査は有用である。白血球、CPK、CPK-MB、AST、LDH、CRPなどが上昇していれば急性冠症候群が強く疑われる。
また、全血で迅速診断できる、ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)とトロポニンT検出キットも臨床で頻用されている。
しかし、このような検査は発症から数時間経過しないと上昇しないことがあり、感度、特異度とも十分とはいえない。
そういった中、近年注目されているのが、高感度トロポニンI検査である。


本論文においては、9ヵ国からの19試験のシステマティックレビューが行われ、22,457症例に関してメタ解析が行われた。
心筋トロポニンI値5ng/L未満は、30日時点の心筋梗塞/心臓死の陰性適中率が99.5%と高く、有用であるとの報告である。
しかし逆にいうと、心筋トロポニンI値5ng/L未満であった11,012例中0.5%に当たる60例が、30日以内に、心筋梗塞もしくは心臓死を経験している。


以上を踏まえると、胸痛を訴えて受診した患者で、心筋トロポニンI値が5ng/L未満であるから、急性冠症候群を否定できるので帰宅させることは決してできないと考えられる。
受診していながらも、急性冠症候群を見落とされ、命を失う患者が1人でもあってはならない。
私は、特異度は低くても、感度を100%にするようにと、学生や医局員にはいつも話している。
そのためには、丁寧な問診、各種検査を駆使することが重要である。
高感度トロポニンI検査が利用できる現在でも、急性冠症候群をあやしいと思ったら、取りあえず入院させて、心電図や血液検査の、数時間おきのフォローアップが重要である。




<きょうの一曲>

10 Most Beautiful Classical Cello Piece

https://www.youtube.com/watch?v=bUhoirFjhw0 



<きょうの一枚の絵


net

JEREMY MANN  Note in Pale Green No. 7

https://www.artsy.net/artwork/jeremy-mann-note-in-pale-green-no-7

 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

 

血圧の心血管リスクの予測能

診察室血圧と自由行動下血圧の心血管リスクの予測能は同程度 夜間血圧を加えても予測能は向上せず

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201712/554018.html

心血管リスクの予測能は、診察室血圧に自由行動下血圧を加えた場合、または日中血圧に夜間血圧を加えた場合に向上するのか。
この問いを解明するために、一般集団の大規模なデータセットを用いた検討が行われた。
その結果、自由行動下血圧、夜間血圧ともに、追加することによる予測能の向上は示されず、診察室血圧で十分な予測精度があることが示唆された。
(Eur Heart J誌 2017.11.21)


これまでの研究から、24時間自由行動下血圧の方が診察室血圧よりも心血管リスクの予測に優れていることが示唆されている。
最近の欧州心臓病学会のガイドラインでは、自由行動下血圧の使用を推奨している。
また、先行研究の中には夜間血圧が特に重要であると結論づけているものもある。


診察室血圧に対する自由行動下血圧の優位性を示唆している先行研究は全て、Cox回帰分析を行っており、自由行動下血圧のハザード比が診察室血圧よりも高いことを報告している。
しかし、このような結果から、自由行動下血圧が各個人の長期のリスク予測を向上させるという推論は一般に導き出せない。
したがって、有意なハザード比を報告するという一般的なCox回帰分析の結果だけでなく、各個人の長期のリスク予測を算出する必要がある。


本研究では、複数の一般集団コホートの大規模なデータセットを用いて、自由行動下血圧に診察室血圧を超えるだけの付加価値があるか、夜間血圧に日中血圧を超える付加価値があるか、を検討した。


解析に用いたデータは、International Database on Ambulatory blood pressure monitoring in relation to Cardiovascular Outcomesのうち、10年間のリスクを評価することができるだけの十分な追跡が行われた6つのコホート(デンマーク、日本、ベルギー、スウェーデン、ウルグアイ、ベネズエラ)の参加者7927例から得た。


主要アウトカムは、心血管死および心血管イベント(致死的および非致死的な心血管合併症)だった。
致死的および非致死的な心血管イベントは、脳血管死と非致死的脳卒中、冠動脈イベント(虚血性心疾患による死亡、突然死、非致死的心筋梗塞、または冠動脈血行再建)、心イベント(冠動脈イベント、致死的または非致死的心不全)とした。


参加者ごとに、診察室で測定した最初の2回の収縮期血圧の平均値を算出した。
また参加者ごとの自由行動下による収縮期血圧の平均値は、24時間、日中、夜間でそれぞれ別に算出した。
これらの血圧の変数を用いたCox回帰分析を行い、個人ごとの致死的および非致死的な心血管イベントの10年間の絶対リスクを予測した。
診察室血圧のみの場合と診察室血圧に自由行動下血圧を加えた場合、また日中血圧のみの場合と日中血圧に夜間血圧を加えた場合で予測したリスクを比較した。
予測したリスクの差は中央値(第1四分位数、第3四分位数)で示した。
10年間のアウトカムの判別能は、時間依存的な受信者動作特性曲線下面積(AUC)で評価した。


追跡期間中央値は、ウルグアイ・コホートの9.1年からベルギー・コホートの17.3年までの範囲だった。
診察室血圧に自由行動下血圧を加えた場合のリスクと診察室血圧のみで予測されたリスクとの間に差は見られなかった。
10年間のリスクの差の中央値(第1および第3四分位数)は、心血管死では-0.01%(-0.3%、0.1%)、心血管イベントでは-0.1%(-1.1%、0.5%)だった。


AUCによる評価では、自由行動下血圧をリスク予測に含めると、診察室血圧のみの場合よりも心血管死の予測は有意に上昇していたが、その差は小さかった。
心血管イベントでも同様の結果が示された。


日中血圧のみの場合と日中血圧に夜間血圧を加えた場合を比較したところ、10年間のリスクの差の中央値は、心血管死では0.002%(-0.1%、0.1%)、心血管イベントでは-0.01%(-0.5%、0.2%)だった。


日中血圧に夜間血圧を加えても、心血管死のAUCに有意な上昇は見られなかった。
心血管イベントにも有意な上昇は見られなかった。


先行研究では、心血管リスクの予測において自由行動下血圧や夜間血圧の優位性が示唆されていたが、Cox回帰分析によって有意なハザード比が示されたとしても、その結果は個人の長期予測が向上すると解釈されるものではないことが本研究で実証された。


結論として、一般集団では、致死的および非致死的な心血管イベントの長期リスクの推定において、自由行動下血圧と診察室血圧の予測能は同程度であることが実証された。夜間血圧も予測能を向上させないことが示された。
著者らは、健常集団では、診察室血圧による心血管リスクの予測精度は十分であると考えられると結んでいる。


英文抄録

Mortensen RN, et al. Office blood pressure or ambulatory blood pressure for the prediction of cardiovascular events. Eur Heart J. 2017:38:3296-304.



<きょうの一曲>

Piazzolla. Libertango

https://www.youtube.com/watch?v=kdhTodxH7Gw




<きょうの一枚の絵> 

larger

Cityscape - Composed Form Study No. 21

https://www.artsy.net/artwork/jeremy-mann-cityscape-composed-form-study-no-21




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   


他のマイブログもよおおりしくお願いします。

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   


ウェアラブル型心電計 REHEARSE-AF試験

ウェアラブル型心電計は無症候性AF検出に有用 REHEARSE-AF試験

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201711/553778.html

ウェアラブル型心電計(Kardia、AliveCor社)による無症候性心房細動(AF)の検出率は通常治療より約4倍であり、患者の許容度や満足度が高く、1QALY獲得当たりのICER(増分費用効果費)も安価であることが、英国のプロスペクティブランダム化試験により示された。
(Circulation誌2017.11.7)


今回の試験では、被験者をウェアラブル型心電計(iECG)群または通常のケア(RC)群にランダム化してこのデバイスの有用性、費用、患者の使い勝手を検証した。
iECG群ではWiFiが使えるiPodにKardia心電計を接続し、自由行動下の患者の心電図(ECG)を測定した。
AliveCor社の携帯デバイスは、一対の電極を用いて単極誘導心電図を提示する。
米国食品医薬品局(FDA)に承認された自動アルゴリズム(AFを診断する際の感度は98%、特異度は97%)が採用されている。


主要評価項目は、AF(P波がみられない不規則な心拍が30秒間のiECGに記録されていることと定義)と診断されるまでの期間とした。


CHADS-VAScスコアが2点以上でAFを有していない65歳以上の患者の中から、AF患者、ワルファリン服用者、永久ペースメーカー装着者、インターネットを使用できない者などを除外した。
最終的に1001人(iECG群500人、RC群501人)を採用した。72.6±5.4歳、534人が女性だった。


被験者の平均CHADS-VAScスコアは3.0点(心不全1.4%、高血圧54%、糖尿病30%、脳卒中/一過性脳虚血発作[TIA]6.5%、動脈疾患15.9%)で、患者背景に群間差はなかった。全員がベースライン時に洞調律だった。


iECG群では12カ月にわたり、週2回あるいは症状がある時に心電図(30秒間の単極誘導心電図)を測定し、研究用セキュアサーバーにデータを送信して、自動AF検出アルゴリズムに読影させるとともに、心臓生理学者や循環器医長に読影してもらった。


異常心電図については心臓病専門医が読影し、精査した上で適切な治療を手配した。
12、32および52週目に全ての患者に接触してイベント発生の有無を評価し、カルテでも確認した。


iECG群の被験者は心電図を計6万440回記録した。被験者の74%が試験を完遂した。
被験者の約5分の4は週1回以上のiECG提出率が90%以上で、週2回以上の提出率は75%以上だった。
高齢であることはコンプライアンスに影響を及ぼさなかった。
iECGを2回以上送信した割合に、年齢による差はなかった。


試験期間中にAFと診断された被験者は、iECG群では19人、RC群では5人だった。
AFを1例診断するのにかかる費用は1万780ドルだった。


iECGの76%が自動アルゴリズムにより正常と報告された。
正常iECGのうち最終的にAFと確認された例は皆無だった。
不明と報告されたiECG(21%)のうち、最終的にAFと確認されたiECGは6件のみだった。
デバイスがAFと報告したiECG(約1%)のうち、最終的にAFと確認されたのはわずか5%だった。
読影不能と報告されたiECGは2.2%だった。


脳卒中/TIA/全身性塞栓イベント症例数に群間差はなかった。


視覚的アナログ尺度およびリッカート尺度を使って調査したところ、iECG群の被験者の大半がデバイスに満足し、使い勝手が良いと感じ、活動の制限や不安を感じていなかったことが判明した。


iECG群でNOAC療法を受けたAF患者の割合(53%)を踏まえて費用対効果を推定したところ、このアプローチを採用することで正味のベネフィットが増大し、1QALY獲得当たりのICER(増分費用効果費)はわずか1万3058ドル未満だった。


ただし、今回の試験の検出力はハードアウトカムを評価できるほど高くなかった。
このため今後、十分な検出力を備えたイベント主導型ランダム化試験で評価し、AF患者の脳卒中予防法としての費用対効果を確認する必要がある、と著者は指摘している。


著者は今回の試験の限界として、インターネットやデバイスを使用できない人を除外したが、その中にリスクが高い人が含まれていた可能性がある(選択バイアスの可能性)点などを挙げている。


一方、今回の試験の優れた点として著者は、デバイスメーカーから独立して解析および報告を行い、研究者がメーカーと関係を有していなかった点を挙げている。
なお、この研究はthe Welsh Government Health Technology and Telehealth FundとAliveCor社から資金援助を受けている。


論文:

Halcox JPJ, et al. Assessment of Remote Heart Rhythm Sampling Using the AliveCor Heart Monitor to Screen for Atrial Fibrillation The REHEARSE-AF Study.
Circulation. 2017;136:1784-94.




<きょうの一曲>

Johann Pachelbel Canon Piano (George Winston)

https://www.youtube.com/watch?v=hydo5gJP22o



<きょうの一枚の絵>

larger 

GREG GANDY House in Point Reyes

https://www.artsy.net/artwork/greg-gandy-house-in-point-reyes


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

 


エンパグリフロジンでイベント減

エンパグリフロジンでイベント減、アジア人でも EMPA-REG OUTCOME試験サブグループ解析

https://medical-tribune.co.jp//news/2017/0203506353/

日本べーリンガーインゲルハイムは2月2日、同社が販売しているSGLT2阻害薬のエンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)の心血管安全性を検証するために実施されたEMPA-REG OUTCOME試験のアジア人のサブグループ解析から、プラセボ群に比べエンパグリフロジン群において主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のリスクは32%低下した他、心血管死および全死亡のリスク低下も示されたと発表した。解析結果の詳細はCirc J(2017; 81: 227-34)に掲載されている。

心血管死、全死亡はそれぞれ56%、36%低下

EMPA-REG OUTCOME試験は、米食品医薬品局(FDA)が新規糖尿病治療薬について実施を義務付けている心血管安全性の検証を目的としたランダム化比較試験(RCT)の1つ。
同試験では、42カ国590施設で登録された18歳以上の心血管疾患(CVD)の既往がある2型糖尿病患者約7,000例を、エンパグリフロジン10mg群、同25mg群、プラセボ群のいずれかにランダムに割り付けた。
主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の3ポイント複合心血管イベント、副次的評価項目は主要評価項目に不安定狭心症による入院を加えた4ポイント複合心血管イベントで、全例を対象とした解析では、3ポイント複合心血管イベントのリスクがエンパグリフロジン群ではプラセボ群と比べて14%有意に低下。
心血管死リスクは38%、全死亡リスクは32%、それぞれ有意に低下することが示された。
この成績に基づき、米国では昨年(2016年)12月、2型糖尿病患者で心血管疾患(CVD)を有する患者の心血管死リスク減少を目的としたエンパグリフロジンの使用が追加承認されている。

 
今回報告されたサブグループ解析の対象は、同試験に参加したアジア人1,517例(全体の22%)。
解析の結果、エンパグリフロジン群ではプラセボ群と比べて主要評価項目である3ポイント複合心血管イベントのリスクが32%低下することが示された。
また、エンパグリフロジン群ではプラセボ群と比べて心血管死リスクが56%低下(同0.44、0.25~0.78)、全死亡リスクが36%低下することも示された。

 
一方、アジア人における有害事象の頻度はプラセボ群26.6%、エンパグリフロジン10mg群27.1%、同25mg群28.5%で、エンパグリフロジン群におけるおもな有害事象は低血糖だった。


東アジア人限定の解析でも一致した結果に

今回のサブグループ解析について、加来氏は「2型糖尿病の有病率、特に心血管イベントリスクには人種差があると報告されているが、今回のサブグループ解析からはエンパグリフロジンによる心血管リスクの低下はアジア人にも認められ、その結果は全体集団の結果と一致していた」と説明。
また、アジア人のうち東アジア地域(日本、香港、台湾、韓国)から参加した587例の解析でも同様の結果が得られたことなどにも触れ、「日本における心血管イベントを考慮した糖尿病治療を考える上で重要な知見だと考えられる」とコメントしている。



<自遊時間> 「とんでも報道」

勤務医の皆さん、吉報です。

今朝の日経新聞一面の報道によると、来春の診療報酬改定で給料が上がるそうです。(笑) 



                                                        IMG_1913


<きょうの一曲>

The Swingle Singers - Christmas Songs

https://www.youtube.com/watch?v=gJScOQwUqW8


<きょうの一枚の絵>

larger

JEREMY MANN Cityscape - Composed Form Study No. 20

https://www.artsy.net/artwork/jeremy-mann-cityscape-composed-form-study-no-20





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


 

ACE-I / ARBと発がん

循環器医必需薬ACE-I/ARBと癌の話

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/cvdprem/blog/furukawa/201712/553865.html

レニン‐アンギオテンシン系に介入する薬には、ACE阻害薬(ACE-I)、AT1受容体ブロッカー(ARB)、ダイレクトレニン阻害薬(DRI)があり、循環器系では欠かすことができない薬です。そんな循環器医の懐刀ACE-I/ARBの癌に対する作用が最近取り上げられています。2010年に発表されたメタ解析(Lancet Oncol 2010;11:627-36)では、ARBの服用が癌の発生率をオッズ比で1.08で有意に上げると報告されています(図1)。


 これに続く2011年に発表されたメタ解析(Lancet Oncol. 2011;12:65-82)ではこの結果は追認されず、オッズ比は0.98で有意差がついていません(図2)。最近、循環器疾患と癌で話題になったことに、コレステロールが高いと冠動脈疾患になりやすいが癌発生率は下がるというものがありました。循環器病は良くなったけれども癌で亡くなった、では意味がないので両者の関係ははっきりさせたいところです。2011年以降に行われたメタ解析でも有意差がついておらず、現時点では「ARBは癌の発生率には影響しない」という意見が優勢ではないかと思われますが、結論は現在進行中の前向き研究の結果を待つ必要があるでしょう。


ところで最近、癌の発生率ではないのですが、ARBが癌の免疫療法の有効性を上げるという論文が発表されました。


Targeting the renin-angiotensin system to improve cancer treatment: Implications for immunotherapy
Matthiasn Pinter & Rakesh K. Jain
Sci. Transl. Med. 2017;9:eaan5616


 個々の研究はサンプル数がそれほど多いものではないのですが、複数の研究でACE-I/ARBが癌免疫療法の効果を上げていることが、同論文のsupplementの表2(前向き研究)と表3(後向き研究)にまとめられています。どちらも大きな表でここで取り上げきれません。無効という論文もあるので、正確に知りたい方は元論文をあたってください。ここでは前向き研究と後向き研究の例を1例ずつ表1にまとめました。


ACE-I/ARBは心不全、心筋梗塞後などでは、線維芽細胞やマクロファージなどの間質細胞に作用してリモデリングを抑制すると考えられています。ACE-I/ARBが癌免疫療法を増強するメカニズムも、間質細胞に対する作用と考えられています。癌では、癌細胞ととも間質がその進展や重症度に大きくかかわってきます。これを「間質反応」と呼びます。間質には、線維芽細胞、免疫系細胞、血管など存在し、ACE-I/ARBはこれらの細胞に作用することで癌免疫療法の有効性を増強すると考えられます。


(1)線維芽細胞に対する作用

 癌で線維芽細胞がその特性や重症度に影響します。例えば、癌でも特に重症度の高い膵臓癌は線維芽細胞の豊富な癌であり、これが癌の診断や手術を困難にしていることが知られています。膵臓癌に限らず、多かれ少なかれ癌には線維芽細胞が浸潤し、これが免疫療法薬の癌細胞へのデリバリーを妨害します。ACE-I/ARBは線維芽細胞の増殖を抑制する作用があるので、癌組織の線維化を抑制することで免疫療法の効果を上げていると考えられています。


(2)免疫性細胞に対する作用

 癌では、Tリンパ球などの免疫細胞が癌細胞を攻撃する「癌免疫」が存在します。癌細胞から樹状細胞経由でTリンパ球に信号が送られて、癌免疫を回避するようになります(これを「癌免疫逃避機構」といいます)。癌免疫逃避機構のメカニズムとして、最近良く知られているのがPD-1でしょう。活性化Tリンパ球表面に発現する分子PD-1、このリガンドであり樹状細胞に発現するPD-L1・PD-L2があり、両者の相互作用が癌細胞からがん免疫を回避するシグナルをTリンパ球に伝えます。これに介入する抗PD-1抗体オポジーボは、新たな抗癌剤として注目されています。ACE-I/ARBは、機序は明らかではありませんがPD-1/PD-L1相互作用を阻害し、また抗PD-1抗体の作用を増強します。


(3)血管新生作用

 健常な組織における血管新生では、血管新生促進因子と血管新生抑制因子のバランスがとられています。ところが、癌では血管新生促進因子が過剰となり、未熟な微小血管ができ、血管の透過性があがります。このような血管では、癌深部に血液が送れず虚血状態となり、また抗癌剤が癌細胞に十分到達できなくなります。AT1受容体はこの血管新生促進因子のシグナルに関わっており、ACE-I/ARBは血管新生促進因子と血管新生抑制因子のバランスを正常化することで、癌治療を増強する作用があります。


 このように、ACE-I/ARBの癌治療における有効性を示すデータが蓄積されてきています。ただし、これまでの結果は癌患者で他の理由からACE-I/ARBを服用していた患者の解析から得られがものです。現在、前向き臨床研究でACE-I/ARBの癌に対する作用が直接的に調べられています。ACE-I/ARBが癌治療の補助薬として使われるか否かは、この結果を待つ必要があるでしょう。
 
<きょうの一枚の絵>
larger のコピー

GREG GANDY  Long Shadows on Geary #2 
https://www.artsy.net/artwork/greg-gandy-long-shadows-on-geary-number-2 



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

生体弁より機械弁

生体弁より機械弁の長期生存利益が大きい

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201712/553856.html

大動脈弁または僧帽弁の置換術を受ける患者には、機械弁か生体弁が適用される。どちらを選択すれば生存利益が大きくなるのかを検討した米Stanford大学医学部のAndrew B. Goldstone氏らは、僧帽弁置換術では手術時に70歳までの患者、大動脈弁置換術では55歳までの患者には、機械弁を用いたほうが長期的な生存利益が大きかったと報告した。
(NEJM 2017.11.9)


生体弁と機械弁はいずれも、長所と欠点を有する。
臨床ガイドラインは、大動脈弁、僧帽弁を区別することなく、50歳未満の患者には機械弁を、70歳超の患者には生体弁を、50~70歳の患者にはどちらを選んでもよいとしているが、背景に質の高いエビデンスがあるわけではない。
近年、生体弁の適用が増加しているが、その選択を支持するエビデンスは限られていた。
そこで著者らは、手術時の患者の年齢と、弁の選択による利益とリスクを明らかにするために、後ろ向きコホート研究を実施した。


対象は、カリフォルニア州で1996年1月1日から2013年12月31日までに、初回の大動脈弁置換術または僧帽弁置換術を受けた患者。
大動脈弁置換術は単独で治療を受けた患者を対象としたが、僧帽弁置換術ではこの手術だけでなく、同時に三尖弁の修復や心房細動のアブレーション、冠動脈バイパス手術を行った患者も対象に含めることとした。
過去に心臓手術を受けたことがある患者は除外した。これらの患者を、機械弁を適用された人々と生体弁を適用された人々に分けた。


主要評価項目は死亡率とした。2次評価項目は術後30日以内の周術期死亡率、脳卒中、出血、再手術の累積発症率とした。
評価は手術時の年齢で層別化して行い、大動脈弁では45~54歳と55~64歳に、僧帽弁では40~49歳、50~69歳、70~79歳に分けた。
生体弁群と機械弁群を比較するに当たり、その他の共変数の偏りが出ないように傾向スコアを用いて重み付けした。
両群の標準化平均差が10%未満に収まった場合を理想的なバランスとし、20%未満を受け入れ可能なバランスとした。


条件を満たしたのは、大動脈弁置換術を受けた9942人(機械弁適用が6097人、生体弁適用は3845人)と、僧帽弁置換術を受けた1万5503人(それぞれ9982人と5521人)だった。
ベースラインでは生体弁手術を受けた患者の方が、年齢が高く、合併している疾患が多い傾向を示した。
多くの条件は確率の逆数による重み付けでバランスが取れたが、僧帽弁手術の心房細動治療は、生体弁手術にやや多かった。
追跡期間の中央値は、大動脈弁手術が生体弁で5.0年、機械弁が8.2年だった。
僧帽弁手術では、生体弁4.6年、機械弁7.6年だった。


1996年から2013年までの間に、大動脈弁置換術の年間実施件数は増加していたが、僧帽弁置換術の実施件数は減少、代わりに僧帽弁形成術が増加していた。
生体弁の使用は、大動脈弁置換術では11.5%から51.6%に、僧帽弁置換術では16.8%から53.7%に増加していた。


大動脈弁置換術を受けた患者の30日周術期死亡率には、生体弁群と機械弁群の間で差はなかった。


大動脈弁置換術を受けた年齢が45~54歳だった患者では、生体弁適用群の15年死亡率は30.6%、機械弁が適用された患者は26.4%で、ハザード比は1.23(95%信頼区間1.02-1.48)になった。
一方で、55~64歳で手術を受けた患者では、15年死亡率は36.1%と32.1%で、ハザード比は1.04(0.91-1.18)だった。年齢を連続変数として分析すると、機械弁適用による相対的な死亡リスク減少は53歳まで持続していた。


また、機械弁に比べ生体弁を適用された45~54歳の患者では、脳卒中の累積発症率が有意に低かった。
出血の累積発生率はどちらの年齢層でも生体弁群のほうが低かった。再手術のリスクは生体弁群で高かった。再手術時の周術期死亡率は7.1%だった。


僧帽弁置換術を受けた患者の30日周術期死亡率は、50~69歳群と70~79歳群では生体弁群と機械弁群に差はなかった。
しかし40~49歳で手術を受けた患者では生体弁群の方が死亡リスクは有意に高かった。


長期死亡リスクも生体弁群で高かった。
40~49歳で手術を受けた患者では、生体弁群の15年死亡率は44.1%、機械弁群では27.1%で、ハザード比は1.88(1.35-2.63)だった。
50~69歳の患者でも差は有意で、それぞれ50.0%と45.3%、ハザード比は1.16(1.04-1.30)だった。
一方で、70~79歳の患者の死亡率には差はなかった。
年齢を連続変数として分析すると、機械弁による相対的な死亡リスク減少は、おおよそ68歳まで持続していた。


追跡期間中の脳卒中累積発症率は、50~69歳の患者では生体弁群で有意に低かったが、それ以外の年齢群には差は見られなかった。
出血の累積発生率は、50~69歳の患者と70~79歳の患者では生体弁群で有意に低かった。
再手術の累積発症率は当初は生体弁群で有意に高く、若い患者では10年後までそうした傾向が持続していた。


これらの結果から著者らは、僧帽弁置換術では70歳まで、大動脈弁置換術では55歳までの患者には、生体弁よりも機械弁を選択した方が、長期的な生存利益が大きくなると結論している。


英文抄録

Mechanical or Biologic Prostheses for Aortic-Valve and Mitral-Valve Replacement

http://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1613792




<きょうの一曲>

Diana Krall Christmas Songs

https://www.youtube.com/watch?v=OooQnTR1ffE



<きょうの一枚の絵>

larger のコピー

GREG GANDY   Downtown L.A.

https://www.artsy.net/artwork/greg-gandy-downtown-la 



読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

 


スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

http://www.carenet.com/news/general/carenet/45150

スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。
今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの研究チームが報告した。
本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。
(Stroke誌オンライン版 2017.11.30)


本研究は、プラバスタチンの脳卒中再発予防効果を検討する多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験であるJ-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke、主任研究者:松本 昌泰氏)研究のサブスタディ(J-STARS Echo)である。
登録された864例のうち、ベースライン時に超音波検査がなかった71例を除外し、プラバスタチン(10mg/日)を投与する群(プラバスタチン群)に388例、スタチンを投与しない群(コントロール群)に405例を無作為に割り付けた。
主要アウトカムは5年間の観察期間における総頸動脈IMTの変化で、反復測定のための混合効果モデル(mixed-effects models for repeated measures)を用いて比較した。


主な結果は以下のとおり。

・ベースラインでの特性は、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコアを除いて、2群間に有意な差異はなかった。

・ベースラインIMT(平均±SD)は、プラバスタチン群では0.887±0.155mmであり、コントロール群では0.887±0.152mmであった(有意差なし)。

・プラバスタチン群での5年時のIMTの年次変化は、コントロール群と比較し有意に減少した(0.021±0.116 vs.0.040±0.118mm、p=0.010)。
4年目までは有意な差はみられなかった。


参考・引用

Long-Term Effect of Pravastatin on Carotid Intima-Media Complex Thickness: Stroke. 2017 Nov 30; pii: STROKEAHA.117.018387.

M Koga, et al.

The J-STARS Echo Study (Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke).

http://pmc.carenet.com/?pmid=29191850


<関連サイト>

脂質管理による頸動脈不安定プラークの安定化 ─スタチンと EPA の安定化の類似点・相違点─

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/advpub/0/advpub_10497/_pdf


フルバスタチン投与後に頚動脈プラークの退縮を認めた 1症例-3次元超音波検査による評価一

https://www.jstage.jst.go.jp/article/neurosonology/21/2/21_123/_pdf


Jellyfish sign を示す不安定プラークを有する内頚動脈高度狭窄に対してスタチン投与後の血管内治療が有用であった1 例

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnet/9/5/9_jnet.tn.2015-0040/_article/-char/ja/


頸動脈狭窄症の内科治療

http://j-ca.org/wp/wp-content/uploads/2016/04/5006_s5-3.pdf


スタチン療法に関する最近のエビデンス

http://j-iscp.com/pdf/shin_20121203.pdf


無症候性頸部頸動脈狭窄・閉塞

http://www.jsts.gr.jp/guideline/227_229.pdf

無症候性頸部血管狭窄の症例の脳梗塞一次予防に対し、抗血小板薬が有効とするエビデ ンスは示されていない。
無症候性頸部血管閉塞ならびに脳内血管の狭窄・閉塞症例に対 する脳梗塞一次予防には抗血栓療法の効果について検討されていない。
無症候性頸動脈狭 窄例を対象とした観察研究では、抗血小板薬の服用は多変量解析で虚血性脳血管障害や心 血管死などの発症率低下に関連していた2)。Intima-mediathicknes(sIMT)についてのメ
タアナリシスおよび報告によると、降圧薬 やスタチン(Ia)、および経口血糖降下薬の ピオグリタゾン (Ib)はその後のIMT肥厚の進行を遅らせる効果があるといわれており、 頸部・脳内血管病変の進行やそれに伴う脳梗塞予防に有効であるかもしれないが、それを 示すエビデンスがない。 
狭窄率60%以上の高度の無症候性頸動脈狭窄では、抗血小板薬や脂質異常症改善薬を含 む最良の内科的治療に加えて、頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)を行っ
たほうが脳卒中の発症率が低い (Ib)。ただしAsymptomatic Carotid Atherosclerosis
症が 3 %未満の高い治療水準が要求される(Ib)。
虚血性心疾患合併例や頸部手術後・放 射線治療後などのCEAハイリスク患者に対するCEAの有効性に関しては、十分な科学的
Study(ACAS)によると、無症候性頸動脈狭窄例に対するCEAの手術適応には周術期合併  根拠はない (Ib)。


脳血管内治療医による積極的 LDL-C 低下治療について

https://e-mr.sanofi.co.jp/-/media/EMS/Conditions/eMR/products/praluent/downloads/ALI_17_05_1170.pdf


 



<番外編>
研究資金提供を透明化へ...厚労省、製薬会社に公表義務づけ

 https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1208511881/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter




<きょうの一曲>

「風」 シューベルツ はしだのりひこ

https://www.youtube.com/watch?v=HUI7SNT7jOw

https://www.youtube.com/watch?v=ugtGClQLUdQ

(私的コメント;歌手のイルカとの区別がつきません)

https://www.youtube.com/watch?v=pkG3Rciei5Q




<きょうの一枚の絵>

01_未熟がまとう息吹

http://www.tomosha.com/collectors/4430
古河原泉「未熟がまとう息吹」油彩、キャンバス  130× 162cm

(女流画家が女性をモチーフに描き続ける)

http://www.art-obsession.co.jp/artist/artist15.html 





読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。


葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   
 


DOACで心房細動の腎有害転帰リスクが低減

DOACで心房細動の腎有害転帰リスクが低減

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1208511805/

直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)のダビガトランまたはリバーロキサバンを使用している心房細動患者は、ワルファリン使用患者に比べ腎の有害転帰リスクが低いと、米国などのグループがJ Am Coll Cardiol(2017; 70: 2621-2632)に発表した。

 
同グループは、ラボデータとリンクさせた米国の大規模管理データベースから、2010年10月1日~16年4月30日に経口抗凝固薬の使用を開始した非弁膜症性心房細動患者9,769例を抽出。
DOAC(アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン)とワルファリンが腎転帰〔推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上低下、血清クレアチニン(Cr)値2倍化、急性腎障害(AKI)、腎不全〕に及ぼす影響を比較した。

 
2年使用時点の各転帰の累積リスクはeGFRの30%以上低下が24.4%、血清Cr値2倍化が4.0%、AKIが14.8%、腎不全が1.7%だった。ワルファリンと比べDOAC 3剤は全体としてeGFRの30%以上低下(ハザード比0.77)、血清Cr値2倍化(同0.62)、AKI(同0.68)のリスク低下と関係していた。


ワルファリンと比べ、ダビガトランはeGFRの30%以上低下およびAKIのリスク低下と関係し、リバーロキサバンはeGFRの30%以上低下と血清Cr値2倍化およびAKIのリスク低下と関係していた。
一方、アピキサバンにはいずれの腎転帰とも有意な関係は認められなかった。

 


<自遊時間>
この歳になって今更マッチングを話題にするのは気恥ずかしいのですが、自分の子供が随分前に経験したことなので採り上げてみました。
例年の傾向ですが、市中病院はともかく大学病院によっては募集人数の多い場合と少ない場合があります。
このことにはいろいろの事情があるでしょう。
募集人数の少ない大学病院は、応募が少ない結果として多く募集出来ないか臨床研修に情熱がないということなのでしょうか。
興味深いのは(研修内容に魅力がないのかも知れませんが)名古屋大学のように規模の割に募集人数の少ない病院があります。
これは理由がはっきりしていて、周囲に大きな関連病院が多数あって、そちらの方が魅力があるからです。
理想は募集人数が多く、しかも自校出身者が少ない(他学出身者が多い)大学病院ではないでしょうか。

2017年度 研修プログラム別マッチング結果(2017/10/19現在)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000180821.pdf

 

大学病院(施設別)における自大学出身者の比率 2017/10/19

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000180820.pdf



<きょうの一曲>

何も持たずに  Sans bagages

http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-date-201707.html

 

<きょうの一枚の絵>
 
mann-3 のコピー

Jeremy mann  ”New York Night in Blue” Oil on Panel2012

https://matome.naver.jp/odai/2144846601511603501 

 


 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室   

SGLT2阻害薬の心保護に新機序?

SGLT2阻害薬の心保護に新機序? 心血管ストレスのバイオマーカーの変化を解析

https://medical-tribune.co.jp//news/2017/0613508953/

SGLT2阻害薬の心血管アウトカム試験では、心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のリスク低下が認められている。
しかし、SGLT2阻害薬がなぜ心血管イベントのリスクを低下させるのかは、まだ明確な結論に至っていない。
米国の研究チームは、カナグリフロジンの長期投与試験における心血管ストレスのバイオマーカーに着目した解析結果を報告。
同薬が、主に心不全のマーカーとなるN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)や、心筋細胞傷害のマーカーとなる高感度トロポニン(hs Tn)Ⅰの上昇を緩和させたことを、第77回米国糖尿病学会(ADA2017、6.9~13、サンディエゴ)で紹介した。


NT-proBNP、hs TnⅠ、可溶性ST2、ガレクチン-3を測定

SGLT2阻害薬は尿糖の排泄を促進することによって血糖値を低下させるが、血糖値の低下だけでは説明しきれない多様な影響が関与していると推測されている。

 
今回探索的なpost hoc解析が行われたのは、血糖降下薬で未治療または一定の血糖降下薬で治療したにもかかわらず血糖コントロール不良(HbA1c≧7.0%、≦10.0%)の2型糖尿病患者(55~80歳)を対象として、カナグリフロジンの104週にわたる長期の有効性および安全性をプラセボと比較した試験である。

 
同試験はランダム化二重盲検試験として実施されており、26週間のコア期間(714例)と78週間の延長期間(624例)の計104週間において、カナグリフロジン100mgまたは300mgとプラセボを比較した。
心筋梗塞の既往、不安定狭心症、冠血行再建術の既往、スクリーニング前3カ月以内の脳血管イベント、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ~Ⅳ度の症状、コントロール不良の高血圧のいずれかがある患者は除外されており、心血管疾患のリスクは比較的低い患者が対象とされていた。

 
保存血清を利用し、ベースライン、26週後、52週後、104週後のNT-proBNPやhs TnⅠの他、組織線維化のマーカーである可溶性(s)インターロイキン1受容体ファミリー(ST2)およびガレクチン-3を測定し、その推移が解析された。

 
なお、全714例中プラセボ群216例とカナグリフロジン群450例の計666例(93.3%)において、ベースラインおよび追跡中1回以上の保存血清が利用可能であった。
プラセボ群とカナグリフロジン群のベースラインの背景因子は同等であり、平均年齢はそれぞれ63.2歳、64.0歳、平均HbA1c は7.8%、7.7%、平均BMI は31.9、31.4、平均罹病期間は11.3歳、12.0歳などであった。


NT-proBNPおよび高感度トロポニンⅠの上昇を抑制

バイオマーカーを解析した結果、プラセボ群のNT-proBNPおよびhs TnⅠは2年間で上昇した一方、カナグリフロジン群ではその上昇が抑制されていた。
しかし、sST2は両群とも大きな変化は示さなかった。
ガレクチン-3に関しては、26週後および52週後にカナグリフロジン群で上昇が見られたが、104週後までは持続しなかった。


この結果について、研究代表は「カナグリフロジンは有害な心血管アウトカムに関連するNT-proBNPやhs TnⅠの低減に関連していることが高齢2型糖尿病患者で示唆された。この結果は、SGLT2阻害薬に心保護作用が期待されていることと一貫していた」とまとめた。
前述の通り、同試験は心血管リスクの比較的低い患者が対象とされており、よりリスクの高い患者のバイオマーカーを評価することで、SGLT2阻害薬の心保護作用のメカニズムに対する理解が、さらに明確になると期待されるという。





<SGLT2i関連サイト>

SGLT2とは?

http://dm-rg.net/1/001/010900/001.html


SGLT2i「理想的な利尿薬」の可能性【JSH 2016】

https://www.m3.com/clinical/news/470381


SGLT2阻害薬による糖尿病新規薬物療法

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinshumedj/63/1/63_9/_pdf


SGLT2阻害薬の降圧はループ利尿作用による 「利尿薬との併用は過度の脱水や血圧低下招くため避けるべき」

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/dmns/report/201610/548489.html


SGLT2阻害薬が第一選択薬となる可能性も

http://www.novonordiskpro.jp/content/dam/nnpro/japan/ja/DiabetesCare/OnlineDITN/MainPage/201603.pdf


新タイプの糖尿病治療薬による腎保護メカニズムを解明

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press28/press-170317-4.pdf


SGLT2阻害薬による高血糖毒性解除の可能性

https://e-mr.sanofi.co.jp/templatepage/emr-products-expert-interview-t20





<きょうの一曲>

Jacques Brel: "Quand on n'a que l'amour"
https://www.youtube.com/watch?v=1q5ePBKLrrg
 



<きょうの一枚の絵>

bce88864d2fdff79af346374443c4214-600x477 のコピー 2

古河原 泉「ここに湛えよう」 油彩・キャンバス

http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_130529kogahara.html


 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室  

糖尿病の残薬患者

糖尿病の残薬患者はこの2タイプ

http://www.carenet.com/news/general/carenet/45114

日本イーライリリー株式会社は、「世界糖尿病デー」の2017年11月14日、都内において「2型糖尿病患者の残薬に関する調査からみた患者中心の治療の重要性 ~残薬のある患者さんのタイプ別服薬課題を発表~」をテーマにプレスセミナーを開催した。


約42%の糖尿病患者がHbA1c7.0%未満に未達

セミナーでは、寺内 康夫氏(横浜市立大学 分子内分泌・糖尿病内科学教室 教授)は、寺内氏と同社が行った患者アンケート調査の概要およびアドヒアランスの治療への影響について解説を行った。


厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」によれば、現在、糖尿病の予備群はやや減少しているものの、患者数は増加し1千万人の大台にある。
糖尿病の最終治療目標は、健康な人と変わらないQOLの維持、寿命の確保であり、そのため合併症予防にHbA1c7.0%未満という目標が示され、日々の診療に生かされている。


しかし、JDDM研究(2016年度集計)によると、経口血糖降下薬で治療中の患者のうちHbA1c7.0%以上の患者は42.3%に上り、2~4剤併用の患者でもHbA1c平均値は7.0%超だという。


糖尿病の国民医療費(平成27年度)が約1兆2,400億円という中で、医療資源が有効に活用されているか、残薬の問題も指摘されている。


残薬が多い患者タイプは「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」

そこで、経口糖尿病治療薬服薬中の2型糖尿病患者について、残薬の有無に影響する因子を明らかにするため「残薬に関する調査」を実施し、その結果を分析した
本調査は20歳以上、2型糖尿病と診断され現在通院している薬物療法中の患者2,942例を対象に、インターネット、郵送、訪問留置により行われた。


治療薬の残薬状況で、「残薬あり」と回答した患者は33.1%と、3人に1人は「残薬がある」という結果だった。
その理由としては、(複数回答で)「ついうっかり忘れる」(56%)が一番多く、次に「外出の際の携帯忘れ」(39%)、「食事のタイミングが合わず服用できなかった」(24%)の順で多かった。
また、残薬ありと回答した患者の特徴では、服薬に問題がある(薬の種類や一度に飲む量が多いなど)、服薬回数の問題(1日3回以上服用)、残薬の未申告(医師などに伝えていない)が見受けられた。


さらに「病識・治療態度」「生活スタイル・性格」による因子で患者を分類すると、「症状管理志向」「生活改善取り組み志向」「楽観的志向」「治療あきらめ志向」「慎重几帳面志向」「治療回避志向」の6つのタイプが存在することが明らかになった。
この中で問題なのは、「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」の患者タイプであるという。


「楽観的志向」は、自分は軽症で服薬管理は難しくないと考えており、服薬順守の重要性を軽視しがちであるため残薬になる。また、「治療あきらめ志向」は、フルタイム就業で生活が忙しく、服薬管理は難しいと感じていて、自分の病態の現状を諦めているため残薬になると分析する。


今後こうした患者の服薬アドヒアランスを高めるため、「治療薬の[一包化]や服薬回数の調整、医療者や家族とのコミュニケーションを通じた[服薬順守の重要性の気付き]などが必要となる」と寺内氏は説明する。


アドヒアランス向上へのアプローチ

服薬アドヒアランスは血糖値だけでなく、入院・救急処置室の受診や死亡率など、さまざまなものに影響を及ぼし、その向上で血糖値の良好なコントロールができれば、心筋梗塞などの合併症リスクの低下につながることは広く知られている。


そこで、服薬アドヒアランス向上にむけて、


 1)医師と患者のコミュニケーションを改善する

 2)患者の不安への対処

 3)治療方法の決定に患者意思を反映させる

 4)自己管理の方法を指導し、継続的にサポートする


など、4つの多角的なアプローチが効果的だと提案する。


最後に寺内氏は「患者のアドヒアランスを良くするため、医師が患者の希望を聞くことが大事で、患者へのポジティブフィードバックができ、これが良い治療循環につながればと思う」と期待を語り、レクチャーを終えた。


<きょうの一曲>

Karl Richter - Chromatic Fantasia & Fugue In D Minor - BWV 903

https://www.youtube.com/watch?v=7zvyIv7uwyE





<きょうの一枚の絵>

20111014230151493 のコピー

石踊達哉 冬から春 「断雲四季草花図」 瑞龍殿襖絵各4面 2011年

http://nekoarena.blog31.fc2.com/blog-entry-1205.html 





 


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

REAL-CAD試験

REAL-CAD試験:低用量と比べ高用量スタチンでアジア人のCVイベント減少

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000446.html

新たな試験1)によると、高用量のスタチン療法はアジアの臨床診療において広く用いられてはいないものの、日本の安定冠動脈疾患(CAD)患者において有効であり、忍容性も良好であるとのことだ。

非盲検の Randomized Evaluation of Aggressive or Moderate Lipid Lowering therapy with Pitavastatin in Coronary Artery Disease(REAL-CAD)試験は、日本の733施設から1万3,000例超の患者が組み入れられ、高用量と低用量のスタチン療法を比較した最大規模の試験の1つで、かつアジアにおいてそれらを比較した初の無作為化比較試験となった。


本試験の結果、4mg/日のpitavastatin(商品名:Livalo/Livazo、Kowa Pharmaceuticals)を5年間投与した群は、1mg/日のpitavastatin投与群と比較し、主要複合評価項目(CV死、非致死的MI、非致死的虚血性脳卒中、入院を必要とする不安定狭心症)の減少率が有意に大きかった。

4mg/日群では、主要評価項目+冠動脈血行再建術の減少率と、MIまたは全死因死亡で定義される副次的評価項目の減少率が大きかった。
最も多く報告された有害事象は糖尿病の新規発症
であったが、両群間に有意差はなかった(それぞれ4.5% vs.4.3%)。

私的コメント;
糖尿病の新規発症は周知の事実のとうな表現になっています。
 

「アジアの医師たちはアウトカムの改善には中等量で十分であると考えているため、高強度スタチンを使用したがらない。しかし、REAL-CAD試験でそれが事実ではないことが明確に証明された」と、東北大学大学院医学系研究科(日本、仙台)の下川宏明氏はt語った。

同氏は、2017年米国心臓協会(AHA)学術集会において、本結果を発表した。


試験が早期終了

「現在のガイドラインは、“高用量スタチンか低用量スタチンか”に関する過去の数件の試験に基づき、CAD患者において高強度スタチン療法を要求している」と研究者らは記している。

「しかしながら、アジア人集団における高用量スタチンと低用量スタチンの比較に関する明確なエビデンスは確立されていない」と下川氏は記者会見中に述べた。

「アジアの医師たちはアウトカムの改善には中等量で十分であると考えているため、高強度スタチンを使用したがらない。しかし、REAL-CAD試験でそれが事実ではないことが明確に証明された」と、東北大学大学院医学系研究科(日本、仙台)の下川宏明氏はtheheart.org | Medscape Cardiologyに語った。


同氏はまた、「過去の試験では、高用量スタチン使用後にプラーク体積および頸動脈内膜中膜肥厚が減少することが明らかにされているが、死亡率におけるベネフィットを示す試験は存在しない」と報告した。

それでもやはり、“心血管イベントリスクが西洋人よりも低い日本人患者においても”、臨床的アウトカムが改善されるだろうという仮説が立てられていた。

2010年1月初めより、20~80歳の安定CAD患者1万4,774例(平均年齢68歳、男性83%)がREAL-CAD試験に組み入れられた。全例が、120mg/dL未満というLDL-C目標値の下、導入期間の一部として1mg/日のpitavastatinを1ヵ月以上投与された。

患者の除外および脱落を経て、研究者らは、1mg/日群(n=6,528)あるいはより高用量の4mg/日群(n=6,526)のいずれかに無作為に割り付けられた1万3,054例について調査した。

「当初event-driven試験としてデザインされたにもかかわらず」、運営委員会は本試験を2年早く終了させることを2015年10月に決定した。本試験の延長を「相当数の施設が望まなかったことがその理由である」、と下川氏は報告した。
これにより、「かなりの割合」の患者において最終追跡調査が未完了となった。


リスクは減少

それでも、主要評価項目のリスク減少は有意なものであった。高用量スタチン群の低用量スタチン群に対するハザード比(HR)は0.81(95%信頼区間[CI]:0.69~0.95、p=0.01)であった。
さらに、CVイベント発生率はそれぞれ4.3% vs.5.4%であり、5年間の治療必要数(NNT)は63であった。

主要評価項目+冠動脈血行再建術のHRは0.83(95%CI:0.73~0.93、p=0.002)であり、イベント発生率はそれぞれ7.9% vs.9.7%、NNTは41であった。

4mg/日群において有意に減少したその他の評価項目には、全冠動脈血行再建術(p=0.008)、非標的病変血行再建術(p=0.003)、全死因死亡(p=0.03)、MI(p=0.004)が含まれた。

ベースラインの平均LDL-C値は高用量群では87.7mg/dL、低用量群では88.1mg/dLであり、3年時のLDL-C値はそれぞれ76.6mg/dL vs.91.0mg/dLであった。

高用量群において低用量群よりも発生率が高かった唯一の安全性アウトカムは、筋症状であった(それぞれ1.9% vs.0.7%、p<0.001)。1mg/日群の1例、4mg/日群の2例のみが横紋筋融解症を発症した。

私的コメント;
一般臨床では筋症状の副作用が一番の問題です。 
患者が
筋症状を訴えた場合、たとえCK上昇がなくともアドヒアランスの面からもスタチンを中止することが一般的です。
今回1 ~ 2%に発生した症例はどのようなことをしたのでしょうか。(継続、減量、中止)

 

「今回の試験は、その地域における承認の範囲内での高用量スタチン投与が、ベースラインのLDL-C値にかかわらず、確定診断済みのCAD患者における好ましい治療法となるという見解を支持するものである」と下川氏は要約した。

本試験は日本で実施されたものの、結果は「当然ながら」一般化することが可能であり、米国在住者を含む、アジア人集団を治療するすべての臨床医に適用することができるだろう、と同氏は付け加えた。


「安心させる」結果だが疑問は残る

指定討論者は、本試験は「優れた試験」であるが、結果が肯定的なものである一方で、依然として未解決の疑問がいくつか残っている、と述べた。

「もしLDL-C値の減少をさらに大きくしていたら、何が起きたのだろうか」と同氏は疑問を呈した。
また、「2013年のAHA/ACCコレステロールガイドラインで推奨されているような高強度のスタチン療法ではアウトカムは改善したのだろうか、またそれによって忍容性は低下したのだろうか」と問いかけた。

さらに、「本データは他のスタチンに対しても適用できるのか、そして追跡調査が完了されなかった例では何が起きたのか。依然としてわれわれが知らないいくつかのことがある」と同氏は述べた。

同氏はまた、「アジア人集団における高用量スタチンの忍容性は、高用量スタチン使用をためらわせる大きな問題であるが、この新たな試験結果はその点について安心させるものであるに違いない」と付け加えた。


「本試験は、この戦略が安全で、忍容性が良好であり、ベネフィットがあると、われわれを非常に安心させてくれるものであることに違いない」ともべた。

AHA元会長のDan Jones氏は、本研究に感銘を受けた、と後にコメントした。

「LDL低下効果がより強力なスタチンで試験をしたいと他の人々は考えるだろうが、本結果は、アジア人患者においてより高用量のスタチン使用が可能であると大いに安心させるものである、と私は考える」と述べた。

「われわれは、薬剤への反応には民族的差異が存在することをますます学んでいる。また一般的に、これらの患者でLDL-C値を低くし過ぎることについてのためらいが存在する。私はこの点については、試験を行うべき良い対象であると考えている」。


英文記事

REAL-CAD: High-Dose vs Low-Dose Statins Decrease CV Events in Asian Patients

https://www.medscape.com/viewarticle/888630




 

<きょうの一曲>

Harry Belafonte - Jamaica Farewell (live) 1997

https://www.youtube.com/watch?v=kr2uLQlKQ7A


<きょうの一枚の絵> 

IOT000003 のコピー

石踊達哉 「リュクサンブールの林檎」1995

https://images.dnpartcom.jp/topic/ishiodori/ 


読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 

 

高血圧基準「130/80」の波紋

高血圧基準「130/80」の波紋

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/1130511745/

米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)の高血圧ガイドラインが改訂され、高血圧の基準が米国高血圧合同委員会の第7次報告(JNC-7)による基準の140/90mmHg以上から130/80mmHg以上に引き下げられた。
これにより米国の高血圧罹患率は、JNC-7基準の31.9%から45.6%に上昇し、高血圧と診断される患者は1億330万人に上ると見られている。
新ガイドラインに基づくと、8,190万人(米国人の36.2%)に降圧薬療法が、2,140万人に非薬物療法が推奨される見通しだ。
一方、降圧薬により目標値を達成できない人はJNC-7基準では39%であったのに対し、新基準では53.4%に増加すると予想されている。

 
高血圧基準改訂の背景にあるエビデンスとして、より厳格な降圧目標(SBP 120mmHg)によりリスクの低下することを示したSPRINT試験がある。
しかし、米国の高血圧の専門家の中にはSBPを120mmHgとすることに懐疑的な意見もあったことから、今回のガイドライン改訂委員会は、SPRINT試験の結果を一部受け入れ、妥協案としてSBP 130mmHgとしたとされている。

 
ガイドライン改訂委員の一人は「今回の改訂によって高血圧と診断される人が増え、降圧薬の投与が増える。しかし、降圧することにより脳卒中、心血管イベント、腎不全を予防することでより多くの命を救い、医療費を削減することになる。医療システムに予算を当てて高血圧を早期に治療・予防することが国民全員の利益になる」と述べている。

 
アジア人では高血圧とより関連の強い脳卒中や非虚血性心不全が多く、欧米よりも循環器リスクとしての血圧のインパクトが強いことから、降圧を徹底するという米国の方向性はアジア人、日本人でこそ有用だ、という意見もある。


<きょうの一曲>

Bill Evans-On Green Dolphin Street

https://www.youtube.com/watch?v=8wwxaJ80nCg


<きょうの一枚の絵>


jeremymann_12231312_large 

Jeremy Mann   'Construction #3'

https://www.artistaday.com/?p=14438




読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


高齢者のPCI、短期DAPTでのDES vs.BMS

高齢者のPCI、短期DAPTでのDES vs.BMS/Lancet

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/44997

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける高齢患者において、薬剤溶出ステント(DES)を用い抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を短期間とする戦略は、ベアメタルステント(BMS)を用いDAPTを短期間とする戦略よりも予後は良好であり、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中および虚血による標的病変血行再建の発生に関しては同程度であることが示された。
フランスの研究チームによる無作為化単盲検試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年10月31日号で発表された。
高齢患者は通常、DAPTの継続を短縮するために、DESの代わりにBMSの留置を受ける。
研究グループは、高齢患者においてDAPTを短期間とした場合の両ステント間のアウトカムを比較する検討を行った。


DAPT投与期間を事前に計画し、DES群またはBMS群に無作為化

試験は9ヵ国、44ヵ所の医療施設から患者を集めて行われた。
被験者は、75歳以上で安定狭心症、無症候性心筋虚血、急性冠症候群を有し、70%以上狭窄の冠動脈が1枝以上(左主幹部50%以上)でPCI適応とみなされる患者を適格とした。
除外基準は、冠動脈バイパス術による心筋血管再生手術の適応、DAPTに対する忍容性・獲得性・順守性がない、追加手術の必要性、1年以内に生命を脅かす非心臓疾患の併存、出血性脳卒中の既往、アスピリンまたはP2Y
12阻害薬に対するアレルギー、P2Y12阻害薬禁忌、左心筋10%未満の無症候性虚血で冠血流予備量比0.80以上であった。


DAPTの計画投与期間が記録された後(安定症状患者は1ヵ月間、不安定症状患者は6ヵ月間)、被験者は中央コンピュータシステムによって、DESまたはBMSを受ける群のいずれかに無作為に割り付けられた(試験施設および抗血小板薬で層別化も実施)。
割り付けは単盲検(患者はマスキングなど)で行われたが、アウトカムの評価者はマスキングされた。


主要アウトカムは、intention-to-treat集団における1年時点の重大有害心・脳血管イベント(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、虚血による標的病変血行再建)の両群間の比較であった。
イベント評価は、30日、180日、1年時点のそれぞれで行った。


1年時点の主要複合エンドポイントの発生、DES群が有意に低下

2014年5月21日~2016年4月16日に、患者1,200例が無作為化を受けた(DES群596例[50%]、BMS群604例[50%])。
被験者の平均年齢は81.4歳(SD 4.3)、男性が747例(62%)であった。
全体的にプロファイルは典型的な高齢者ハイリスク患者であることを示し、高血圧(各群72%、81%)、高コレステロール血症(52%、53%)、心房細動(17%、18%)などを有していた。
既往歴は、一部を除外すればほぼバランスが取れていた。
DAPT投与計画は、1ヵ月投与が全体で57%(各群55%、59%)を占め、同計画群の90%が安定狭心症または無症候性虚血の患者で、DES群とBMS群で差はなかった。
6ヵ月投与は、ベースラインで急性冠症候群が認められた患者が大半を占めた(83%)。
試験期間中のアスピリン用量中央値は100mg(IQR:75~100)、プラスグレル投与患者の半数は5mg/日量であった。
また、88%(1,057例)の患者のP2Y
12阻害薬がクロピドグレルであった。


主要複合エンドポイントの発生は、DES群68例(12%)、BMS群98例(16%)で報告された。


1年時点の出血合併症の発現頻度は両群ともにまれで、DES群26例(5%)vs.BMS群29例(5%)であった。
ステント血栓症の発現頻度も同様であった。


結果を踏まえて著者は、「出血イベントのリスクを減らすための短期BMS様DAPTレジメンとともに、血行再建術の再発リスクを減らすためのDESとの組み合わせ戦略は、PCIを受ける高齢患者の魅力的な選択肢である」と述べている。




<関連サイト>

まだBMSを使う理由があるか?(解説:上田 恭敬 氏)-769

http://www.carenet.com/news/clear/journal/45078 

本試験では、安定狭心症も急性冠症候群も含めた75歳以上のPCI施行患者を対象として、まずDAPTの期間を1~6ヵ月の間(short DAPT)で臨床的必要性に応じて決めた後に、PCIに使用するステントをDES(Synergy、Boston Scientific)またはBMS(Omega or Rebel、Boston Scientific)に無作為に割り付けた。
患者に対しては、「SENIOR stent」の表記で統一することによって、いずれに割り付けられたかわからないようにした(single-blind)。


その結果、複合主要評価項目である1年間のMACCE(全死亡、心筋梗塞、血行再建術、脳卒中)は、12%対16%とDES群で有意に低値であった。
血行再建術(Ischaemia-driven target lesion revascularisation)の差が、複合主要評価項目の差につながったと考えられ、出血性イベントも含めて、他のイベント項目に明らかな群間差を認めなかった。


DAPT期間を短縮するためにBMSを使用するという言い訳がよく聞かれるが、今回の試験の結果では、臨床的必要性に応じて短期間のDAPTを施行する高齢者においても、1年の短期成績で判断する限り、BMSを選択する必要はなく、むしろDESのほうが優れていることが示された。
「DESでは新生内膜による被覆が不良なためDAPT期間を短くするとステント血栓症のリスクが高くなる」という固定観念は、そろそろ払拭されてもよいのかもしれない。
ただし、10年以上の長期成績においてBMSとDESのいずれが優れているかはまた別の問題であり、別に議論されるべきだろう。




<きょうの一曲>

Diana Krall - Exactly Like You

https://www.youtube.com/watch?v=-x3S3Q9tq4I



<きょうの一枚の絵>

aa053_04_thumb

堀太郎 『乗鞍遠望』 油絵F6号

http://www.komorebi.co.jp/aa053.htm





 

 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 



 

心房シャントデバイス

心房シャントデバイス、駆出率保持心不全に有効

偽手技群を置いたランダム化比較試験REDUCE LAP-HF Iの結果

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201711/553771.html

左室駆出率(EF)が保たれた心不全(HFpEF)に対して、心房中隔に交通路を作って左房圧を下げるデバイス(inter-atrial shunt device:IASD)を留置したところ、対照群に比べて運動負荷時の肺動脈楔入圧(PCWP)が有意に低下したという。
REDUCE LAP-HF I試験の結果で、米国心臓協会学術集会(AHA2017、11.11~15、アナハイム)で米ノースウエスタン大学のSanjiv J Shah氏らが発表した。

私的コメント;
IASDについては本文中の写真参照。 

このデバイスは、米マサチューセッツ州の医療ベンチャーCorvia Medical社が開発した。
HFpEF患者64例を対象とする非盲検単群第1相試験が既に行われ、留置6カ月間の有効性と安全性が報告されている。
REDUCE LAP-HF Iは、対照群を設定してデバイス留置群(IASD群)とランダム割り付けし、効果を比較する第2相試験として行われた。


IASDはカテーテル操作で大腿静脈から右心房に上げ、心房中隔を穿通して留置する。
その手技には心腔内超音波カテーテル(ICE)と経食道心エコー(TEE)を用いており、本試験では対照群の患者に対して、ICEとTEEを血管内および食道内に挿入する偽手技を施行した。


有効性の主要評価項目は、留置前に対する留置1カ月後の運動負荷時PCWPの変化、安全性の主要評価項目は脳心血管腎関連イベント(MACCRE)とした。


対象は、NYHA分類III~IV度の症候性心不全で、EF 40%以上、12カ月以内の心不全入院の既往あるいは6カ月以内のBNP高値の既往、心エコー図による左室拡張機能障害の診断、運動負荷時のPCWP 25mmHg以上、PCWP右房圧差5mmHg以上などとした。


登録された94例中44例を、IASD群(22例)または対照群(22例)にランダム割り付けた。
患者背景は年齢70歳、女性50%、NYHA分類III度1例、IV度43例、BMI 35 kg/m2、89%がEF 50%以上、95%が利尿薬を使用し、64%に心不全入院の既往があった。
デバイス留置時の手技に要した時間はIASD群58.1分で、偽手技を行った対照群では12.9分だった。


主要評価項目である留置1カ月後の運動負荷時PCWPの変化は、エルゴメーター20W負荷時ではIASD群-3.2mmHg、対照群0.9mmHg(以下同順)、40W負荷時は-1.0mmHg、-1.9mmHg、60W負荷時は-2.3mmHg、-1.3mmHgであり、全体としてIASD群で有意な低下が示された(P=0.028)。


安全性については、MACCRE、死亡、新規の心房細動、脳卒中、症候性の塞栓症、静脈注射を要した心不全イベント、心穿孔、デバイス関連の血栓塞栓症、血管系の主要合併症に関して、IASD群では全て発生しなかった。
対照群ではMACCREが1例、静脈注射を要した心不全イベントが2例発生した。


Shah氏は、「デバイスによるHFpEFの治療を検証する初めてのランダム化比較試験だったが、主要評価項目は有意に改善し、安全性プロファイルも良好だった。現在、QOLや運動耐容能、臨床アウトカムを検証するより大規模な臨床試験REDUCE LAP-HF IIが進行中だ」と語った。


私的コメント
開存の程度にもよるでしょうが、卵円孔
開存(自然の心房シャント)が、こういった病態で一定の役割を果たしているのでしょうか。
 


<きょうの一曲>

Rubinstein-Chopin-Piano Concerto No.2 (HD)

https://www.youtube.com/watch?v=T_GecdMywPw&t=942s


<きょうの一枚の絵>

aa056_02_thumb

堀太郎 『太平洋』

http://www.komorebi.co.jp/aa056.htm

 

読んでいただいて有り難うございます。

一部のサイトはログインが必要になっています。 

いずれも無料で閲覧出来るサイトですので、この機会に登録いただければ診療や研究の一助になるかと思います。

また、このブログ内に書かれた項目を検索される際にはブログの「記事検索」欄を利用されるか、Googleなどの検索エンジンで

「(調べたい項目) 葦」

で検索出来ます。   



他のマイブログもよろしくお願いします。 

葦の髄から見た循環器の世界

「葦の髄」循環器メモ帖

井蛙内科開業医/診療録(4)

井蛙内科豆知識メモ帖 

ふくろう医者の診察室 


SGLT2阻害薬と従来薬

小田原雅人氏「従来薬の方が利益大きい」 大血管障害抑制作用をめぐりディベート

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0617503823/