葦の髄から循環器の世界をのぞく

訪問ありがとうございます。 このブログは医療関係者を対象としています。 老境に入った内科開業医が、昔専門とした循環器科への熱い思い断ちがたく一人でお勉強した日記です。 内容は循環器科に限定しています。 他に「井蛙内科開業医/診療録」「ふくろう医者の診察室」のブログもあります。

日本人の「全身動脈硬化疾患」の実態 大動脈腸骨動脈病変+鼠径部以下病変例で有病率特に高い

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0714509508/

末梢動脈疾患(PAD)に冠動脈疾患(CAD)や脳血管疾患(CVD)が合併していることが少なくないことはREACH registryで報告されている(JAMA 2006;295:180-189)。
このような病態は全身動脈硬化疾患(polyvascular disease)と呼ばれるが、今回、新古賀病院(福岡県)循環器科の研究グループは、わが国の
OMOTENASHI
registryデータをサブ解析し、大動脈腸骨動脈(AI)病変を有するPAD患者における全身動脈硬化疾患の有病率を検討。
AI病変と鼠径部以下病変(infrainguinal lesion)を併せ持つ患者では全身動脈硬化疾患の有病率が特に高いことを第26回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2017 KYOTO、7月6~8日)で明らかにした。


AI病変単独群、AI病変+鼠径部以下病変群に分けて比較

OMOTENASHI registryは日本の65施設が参加した多施設前向き観察研究である。
Rutherford分類2~4のPAD患者1,114例が2014年4月~2016年4月に登録された。
1,047例が血管内治療(EVT)を受けたが、そのうち698例は単独AI病変、349例はAI病変 +鼠径部以下病変を有していた。

 
両群の患者背景で有意差が認められたのは、年齢、糖尿病、血液透析、足関節上腕血圧比。
服用薬剤に関しては有意差はなかった。


冠動脈疾患や脳血管疾患の合併はAI+鼠径部以下病変群で高率

解析の結果、PADのみの患者の割合は単独AI病変群の方が多いが、PAD+CAD、PAD+CVD、PAD+CAD+CVDの患者割合は、AI+鼠径部以下病変群で有意に多いことが明らかになった。


多変量解析の結果、高血圧、脂質異常症とともにAI+鼠径部以下病変が全身動脈硬化疾患の有意な予測因子となることが判明した。

 
また、OMOTENASHI registryとREACH registryでPAD+CAD、PAD+CVD、PAD+CAD+CVDが占める割合を比べたところ、それぞれ54%と52%、18%と23%、9%と13%で、両レジストリにおける全身動脈硬化疾患の内訳がほぼ一致することも確認された。

 
結論;
AI病変と鼠径部以下病変を併せ持つPAD患者では、AI病変単独の患者に比べて全身動脈硬化疾患の有病率が高い。


私的コメント
「全身動脈硬化疾患」の定義は「末梢動脈疾患(PAD)に冠動脈疾患(CAD)や脳血管疾患(CVD)が合併している病態」のようです。
末梢動脈疾患(PAD)における鼠径部以下病変大血管障害であるため「細小血管障害」の合併をみたものではありません。
ちなみに「大血管障害」と「細小血管障害」 の成立機序は明らかに違うはずですが、まだ自分の頭の中では十分に整理されていません。
 「AI病変と鼠径部以下病変(infrainguinal lesion)の合併例」を冠動脈病変に置換えると”diffuse long”や多枝病変に例えることが出来るのでしょうか。
当然のことながら、
病変は「より重篤 」ということになります。



<番外編>

米国高血圧学会が発展的解散、AHAに吸収合併

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0714509501
・2,250万人のボランティアと支援者を持つAHAとの合併により、ASHの高血圧の啓発、予防および治療への貢献を強化できる。例えば、ASHが認定した高血圧専門医と高血圧臨床医プログラムはAHA生涯学習ポートフォリオの一部になる。また、ASHの機関誌(Journal of the American Society of Hypertension :JASH)や年次総会、医学教育機会などの会員向け事業は継続される。

・2018年初頭に、ASHの理事会や委員会はAHA Hypertension Leadership Committeeに統合される。今年のASH年次学術総会だが、AHAとの合同開催(9月14~17日、サンフランシスコ)が予定されている。


<きょうの一曲>

浜崎航  片倉真由子 “In a sentimental mood” Mayuko Katakura&Wataru Hamasaki DUO

https://www.youtube.com/watch?v=98jtSBCRXrQ


About Wataru Hamasaki english below - 浜崎航

http://www.watarujazz.com/wataru/Profile.html

(二足の草鞋を潔く履かない人  浜崎航先生、名古屋市立大医学部卒)





<きょうの一枚の絵>

1142-yabashi-rokurou

矢橋六郎 「バレリーナ」

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PCI前の低体温療法で院内死亡リスク低減 心原性ショック合併STEMI症例

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0712509457/

心原性ショックを合併したAMIに対するPCI施行前の低体温療法は、再灌流後のより良い心筋血流をもたらし、院内死亡リスクを低下させるという成績が明らかにされた。
榊原記念病院(東京都)循環器内科の鈴木誠氏が、第26回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2017 KYOTO, 2017.7.6~8)のパネルディスカッション「社会復帰を目指した心肺蘇生と救急血管治療のための低体温療法:目標体温管理とは?」で報告した。


ショック合併STEMI 37例で検討

東京都でPCIで治療されるAMIのうち、心原性ショックを合併している患者は毎年6~7%あり、その院内死亡率は非ショック合併AMIの約4%に比べて35%前後と明らかに高い。
死亡原因の7割は低拍出量症候群(LOS)または多臓器不全(MOF)であり、再灌流障害が予後に強く影響していることが推察される。

 
再灌流直後には心筋の酸素消費量が急激に増大し、それが著明な心筋壊死の誘因となる。
これに対して、低体温療法は心筋の酸素消費量を抑え、再灌流障害を防ぐ効果があるといわれている。

 
そこで、心原性ショック合併AMIに対する低体温療法併用PCIの有用性を後ろ向きに検討した。
2009年4月~13年7月にPCIを行った心原性ショックを有する初回前壁ST上昇型AMI(STEMI)連続60例のうち、重症心原性ショックを合併した37例を解析対象とした。
重症の代謝性アシドーシス(血中乳酸濃度>4mmol/L)が見られ、高用量の陽性変力薬投与と循環補助を要した症例であり、うち23例は心停止蘇生後ショックを呈していた。

 
37例中13例にはPCI施行前に低体温療法を行い、残る24例には行わなかった。
低体温療法の手法は、9例では血管内冷却法、4例では体表冷却法を採用した。

 
PCI前に低体温療法を行った群(併用群)と行わなかった群(非併用群)の患者背景を比較すると、血液ガス、バイタルサインの所見には有意差がなかった。
併用群では症状発現から入院までの時間が平均22分で、非併用群の81分に比べて有意に短かった。

私的コメント
併用群に重症例が多かったはずですから重症例ほど来院時間が短かったことになります。
この事自体も興味深いことです。
理由としては、事の重大さに気付きやすいということもあるかもあるかも知れません。
それにしても随分短時間であることに驚かされます。
もちろん受診までの所用時間とは一致しないはずですが・・・。


入院からPCIまでの時間は併用群で平均85分、非併用群で46分と併用群で時間を要していた。
責任病変が左主幹部である症例は併用群46%、非併用群25%であった。

私的コメント

単純に足し算をするとdoor to baloon(この場合のdoorは自宅として併用群で107分、非併用群で127分ということになります


低体温療法PCIは心原性ショックAMIの院内生存に対する強力な寄与因子の可能性

再灌流後の心筋微小循環障害を反映するmyocardial blush grade 0/1の割合は、併用群で有意に低く、低体温療法により心筋血流の悪化を防止できる可能性が示された。

 
院内死亡は全体で26例(70%)に見られ、併用群が6例(46%)、非併用群が20例(83%)と有意差が認められた。
さらに入院後24時間以内の死亡が併用群1例(8%)、非併用群8例(33%)と、既にこの時点で両群の予後の差が表れ始めたと推測され、30日以内の院内死亡率に関するKaplan-Meier曲線では併用群と非併用群に明らかな差が示された。

 
院内生存に寄与する因子についての多変量ロジスティック回帰分析では、PCI施行前の低体温療法が独立した規定因子になることが分かった。

 
低体温療法を完遂できた併用群12例には、同治療による明らかな有害事象は認められなかった。

 
以上から、鈴木氏は「低体温療法によってクーリングして再灌流を行うことは、特に重症の心原性ショックを伴うAMIにおいて有効と考えられた」と結論。
「今後は、チーム医療による左室アンローディングのできる循環補助の下に低体温療法併用PCIを行うことで、よりブレイクスルー的な治療ができるのではないか。今後前向き試験で検証されることが望まれる」と期待を寄せた。

私的コメント
出身大学の心臓外科のポリクリで「低体温療法」を併用した心臓手術をやっているのを見学したことを思い出しました。
結構全国から見学者が来ていたようです。
約半世紀前の話で、今になって「低体温療法」の話を聞くとは思ってもみませんでした。
それにしても、(所定の効果を得るための) 深部体温低下が得られるには相当の時間がかかるものと思われます。
救急医療にはそぐわないような気もします。
具体的にはどのようにおこなっているのでしょうか。
覚醒下か麻酔下かもしりたいところです。

 


<番外編>

血清IGF-1高値で脳梗塞リスクが低下【海外短報】

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0721509579/

血清インスリン様成長因子(IGF)-1値と脳梗塞発症との間に負の相関関係が認められると、米国とカナダのグループがStroke(2017;48:1760-1765)に発表した。

 
中略


サブグループ解析では、この効果は糖尿病患者とウエスト/ヒップ比の最高四分位群に限られ、IGF-1値が1SD上昇するごとにそれぞれ61%と41%の脳梗塞発症リスク低下と関係していた。


<自遊時間>
昨日の日曜日は医師会の休日診療所に出務。
高熱を伴った夏風邪と思われる乳幼児が数多くおしかけた。
多くは、小児科にすでにかかっている状態なのに心配になって連れて来たというケース。
乳幼児の医療費無料化(最近では中学生までも)は少し問題ではないだろうか。
勿論、一部負担金が発生するようにでもなれば、小児科学会などは猛反対するだろうし各政党も選挙の際に集票出来なくなる。

株式会社と株主との関係と同様に、日本という会社に選挙民(票田)という株主がいる。
ただ
株主や選挙民が正しいことを主張しているとは限らない。
所詮、自分の利益や得になることをもの申すエゴの集団なのだ。
会社経営者も日本の舵取り(リーダー)には、こういったことにおもねることなく大局をみて正しい方向に導いて欲しい。

それにしてもパターン化した一般外来の小児医療はつまらないし、つらい。
(小児科の開業医には怒られるだろうが毎日よく診療していられると思ってしまう)
循環器内科を選んでつくづくよかったと思う。


<きょうの一曲>

andre rieu - scotland the brave - amazing grace - adieu, mein kleiner gardeoffizier - marina

https://www.youtube.com/watch?v=MHTdDf7DU6A



<きょうの一枚の絵>


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トレシーバ、インスリングラルギンU100より主要心血管疾患リスクを低減-ノボ ノルディスク

http://www.qlifepro.com/news/20170710/tresiba-reduces-the-risk-of-major-cardiovascular-disease.html

ノボ ノルディスクファーマ株式会社は7月4日、糖尿病に関するメディア向け勉強会を開催した。
基礎インスリン製剤「トレシーバ(R)」(一般名:インスリン デグルデク)とインスリン グラルギンU100を比較した「DEVOTE試験」の結果について、東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の門脇孝教授が講演。
試験結果は、第77回米国糖尿病学会年次学術集会(ADA 2017)で発表され、「The New England Journal of Medicine」にも発表された。

 

DEVOTE試験は、トレシーバとインスリン グラルギンU100 を比較し、心血管への安全性を確認するために実施された長期、多施設、無作為割り付け、二重盲検、event-driven試験。20か国以上434施設で実施され、約2年間追跡された。
対象は、心血管疾患リスクの高い2型糖尿病患者7,637人(トレシーバ群:n=3,818、インスリン グラルギンU100群: n=3,819)。
主要評価項目は、無作為割付け時点から、主要な心血管イベント(MACE)の心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中のいずれかが最初に発現するまでの時間とした。重要な副次的評価項目は、重大な夜間低血糖を含む、重症低血糖の発現件数。


重大な低血糖の発現件数を40%低下に

同試験の結果、トレシーバは、インスリン グラルギンU100と比較して、主要評価項目についてHR0.91(95%信頼区間[CI]:0.78; 1.06, p=0.209)を示し、達成。MACEはそれぞれ、心血管死(HR=0.96, 95%CI: 0.76; 1.21, p=0.714)、非致死性心筋梗塞(HR=0.85, 95%CI: 0.68; 1.06, p=0.150)、非致死性脳卒中(HR=0.90, 95%CI: 0.65; 1.23, p=0.502)だった。

副次的評価項目の結果では、トレシーバ群は、重大な低血糖の発現件数を40%低下させ、重大な夜間低血糖の発現件数を53%低下させた。

また、事後解析の結果、試験終了時のHbA1cの群間差の推定値(ETD)は、0.01%(95%CI: -0.05; 0.07, p=0.779)で血糖コントロールは両群で同レベル。2年後の空腹時血糖値は、有意に低下した(ETD-7.2mg/dL, 95%CI: -10.3; -4.1, p<0.001)。


「患者、医師ともに『低血糖に対する恐怖心』の壁がある」(門脇氏)

門脇氏は「患者、医師ともに治療成功の前にたちはだかる『低血糖に対する恐怖心』の壁がある」と指摘。
また、重症低血糖が心血管系のリスクと関係している可能性があることから、「いかに重症低血糖のリスクを低下させながら、血糖コントロールを正常に近づけられるかが治療を進める上での大きな課題だ」と述べた。

また、「DEVOTE試験は2型糖尿病の低血糖について、インスリン デグルデクの他の臨床試験(BEGIN、SWITCH)と比較して一貫性のある結果を示したと言える」と門脇氏は解説。
「今回の試験では、心血管系リスクの高い2型糖尿病患者に対して、トレシーバが対象薬よりも重大な低血糖リスクが低いことが示された」とし、「今後の薬剤選択にも重要なデータとなりうる」と述べた。

さらに、高齢者の糖尿病治療についても言及。門脇氏は「重症低血糖が高齢者で起こると、心血管イベントを増加させる可能性が高いだけでなく、認知機能障害を引き起こすことが多くのデータからわかっている」とし、「『高齢者糖尿病ガイドライン2017』においても、糖尿病治療をする上では重症血糖を回避することが重要だとして、血糖コントロール目標を設定している」と述べた。
最後に、「糖尿病の2/3以上が65歳以上、1/3以上が75歳以上という状況において、今回のDEVOTE試験の結果は重要である」と述べ、「高齢者の糖尿病治療で、重症低血糖のリスクが低いインスリン製剤を選択することに意義があるのではないかと考える」とした。




<きょうの一曲>

Beethoven Piano Concerto No.1 In C Major Op.15 - Zubin Metha, Khatia Buniatishvili

https://www.youtube.com/watch?v=vm5kvwz06p4



 

<きょうの一枚の絵>
 164-yabashi-rokurou

矢橋六郎 珠江 水彩

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日本のACS患者、世界と異なる傾向に ST上昇型心筋梗塞の減少は見られず

http://livedoor.blogcms.jp/blog/cardiology_reed/article/edit?id=71386925

急性冠症候群(ACS)の中ではST上昇型心筋梗塞(STEMI)が減り、相対的に非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が増加しているというのが世界的な傾向であり、韓国からもこれを支持する報告が発表されている(Am J Cardiol 2014;114:1817-1822)。
東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の中村正人氏は、日本におけるACS患者の状況の推移を明らかにするため、2件の前向き登録研究のデータを比較し、第26回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2017 KYOTO、2017.7.6~8)で発表した。
世界的な傾向と異なり、
日本ではSTEMIは減っていないことが示された。


脂質異常症とスタチン使用の割合が増加

中村氏は、数年を隔てて日本で行われた多施設前向きACS登録研究であるPACIFIC(2008.5~11.5、96施設、3,600例)とEXPLORE-J(2015.4~2018.8、59施設、2,016例)のベースラインの患者背景や心血管疾患(CVD)危険因子を比較した。

 
その結果、年齢(66.7歳 vs 66.0歳)、男性の割合(77% vs 80.4%)、BMI(24.1 vs 24.2)などの患者背景に差はなかったが、CVD危険因子に関しては、脂質異常症の診断割合がPACIFICの67.2%に対し、EXPLORE-Jでは77.6%と約10%増加していた。
喫煙割合(現喫煙または喫煙歴あり)についは、PACIFICで55.2%であったのに対し、EXPLORE-Jでは65.6%と予想外に増加していた。

 
脂質異常症に関して、両研究で入手可能な登録時のLDL-C値を比較したところ、PACIFICで121.4±37.3mg/dL、EXPLORE-Jでは121.7±39.5mg/dLと差は見られなかった。
しかし、両研究におけるACS発症時の使用薬剤を比較すると、脂質低下薬はPACIFICで23.9%、EXPLORE-Jで32.0%、スタチンに限るとそれぞれ20.7%、27.2%と増加していた。
ACS発生後、安定状態になったときのLDL-C値はEXPLORE-Jでのみデータが存在するが、ベースラインの121.7±39.5mg/dLから99.3±31.7mg/dLに改善していた。


ACSのほとんどがPCIで治療

一方、ACSの病態に関しては、PACIFICでSTEMIが59.4%だったのに対し、EXPLORE-Jでは61.8%と国際的な傾向とは逆にむしろ増加していた。

介入方法については、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が順に93.5%、96.5%と増加する一方、冠動脈バイパス術(CABG)は2.4%から0.9%に、血栓溶解療法は1.5%から0%にそれぞれ低下していた。

 
以上の結果を踏まえて、中村氏は「脂質異常症の診断割合の増加は、同疾患の治療の重要性に対する認識が向上していることを示唆するものである。韓国や世界の他の諸国で観察されるSTEMIの減少は、今回の検討では観察されなかった。日本の大規模施設ではACSはほとんどがPCIで治療され、血栓溶解療法はもはや使用されていない」と結論付けた。


<きょうの一曲>

プッチーニ 《ラ・ボエーム》「さようなら」マリア・カラス

https://www.youtube.com/watch?v=W_q-ZiKQnkc



<きょうの一枚の絵> 

163-yabashi-rokurou

矢橋六郎 ベニス・サンサルーテ 水彩

http://www.nagaragawagarou.com/ibokuten20-2/mokuroku9.html 



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冠血流予備比に基づく「PCI見送り」は妥当 狭心症患者の1年後を評価

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0711509423/

(MT 2017.7.11)

冠血流予備比(FFR)は冠動脈狭窄の機能的重症度を評価する尺度であり、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応を判断する基準の1つとされているが、実臨床においてFFRでPCIを見送った日本人患者の予後はまだ明らかではない
小倉記念病院循環器内科の蔵満昭一氏は、狭心症患者の前向き多施設登録研究である
J-CONFIRM registryの1年中間解析の結果を第26回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2017 KYOTO、2017.7.6~8)で報告した。
PCI見送り群の1年追跡時の標的血管不全(TVF)発生率は3.4%だったが、その大半は標的病変血行再建(TLR)であり、心臓死や標的血管関連の心筋梗塞の発生率は極めて低かったことから、
FFRに基づくPCIの施行判断は妥当と考えられると述べた。

私的コメント
ここまで読む限り、「PCI見送り」
という言葉からもFFRが低下(重度狭窄)した症例での「PCI断念」と勘違いしてしまいそうです。しかし、技術の発達した現在のインターベンションの世界ではgive upは(ACバイパスの適応例を除けば)ほぼ皆無ということから軽症例での「見送り」ということがわかります。 


全国28施設でPCIを見送った1,304例を解析

近年、PCI施行の判断基準としてFFRによる心筋虚血評価が用いられるようになってきており、FFR0.75超あるいは0.80超の場合、冠動脈の狭窄による冠血流量の低下が軽度と判断し、PCIの施行を見送ることが多い。

 
J-CONFIRM registryは全国28施設が参加した前向き多施設登録研究で、冠動脈造影検査を受けた狭心症患者1,352例(1,522病変)を登録した。
登録期間は2013年9月~15年6月で、最長5年間の追跡を予定している。
主要評価項目は追跡2年時点における標的血管不全(TVF)である。
TVFとは、心臓死、標的血管心筋梗塞(TVMI)、臨床判断で施行される標的血管血行再建(TVR)および標的病変血行再建(TLR)と定義された。

 
FFRを測定し、PCI見送りとなった患者が1,304例(1,468病変)、FFR 0.80超にもかかわらずPCIを施行した患者は48例だった。1,304例の平均年齢は70.2±9.8歳、男性が74.3%(968例)、HbA1c中央値は6.0%(5.6~6.6%)、LDL-C中央値は98mg/dL(78.0~118.8mg/dL)。
来院時の臨床症状は64.4%(840例)が安定狭心症(SAP)で、CCS重症度分類では無症候性が39.1%(509例)、クラスIが48.2%(628例)だった。


TVFは3.4%だが大半はTLR

PCIを見送った1,468病変のFFR平均値は0.86±0.06で、冠動脈の種類別に見ると、左前下行枝(LAD)740病変では0.83±0.05、左回旋枝(LCX)330病変は0.89±0.06、右冠動脈(RCA)384病変では0.89±0.06だった。
また、173病変(11.8%)ではFFR 0.80未満だった。

 
1年間の累積TVF発生率は3.4%、TLRは3.0%だった。

多変量解析では、TVF寄与因子としてFFR 0.80未満、AHA/ACC type B2/C, PCI既往が, また保護因子としてスタチンの使用が認められた。
 

以上の結果から、蔵満氏は「1年の中間解析では、TVFの大半はTLRであり、FFRに基づくPCI施行の見送り判断は妥当と考えられる」と結論。
「ただし、フォローアップは必須であり、特に
FFR 0.80未満でPCIを見送った患者には慎重な観察が求められる」と述べた。



<番外編>

β遮断薬で洞調律HFrEF患者の死亡減少
https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0711509292/

洞調律または心房細動(AF)を合併するHFrEF患者の死亡と心拍数との関係は依然として不明である。
同グループは、HFrEF患者を対象にしたβ遮断薬とプラセボの二重盲検ランダム化比較試験11件(洞調律1万4,166例、AF 3,034例)の個別患者データを用いてメタ解析を行い、登録時とランダム化後約6カ月時点で測定した心拍数と全死亡との関係を検討した。

 
解析の結果、登録時の心拍数高値は洞調律例では全死亡リスクの上昇と関係し、心拍数が10拍/分増加するごとの補正ハザード比(aHR)は1.11(95%CI 1.07~1.15、P<0.0001)であった。
AF例ではこの関係は認められなかった(同1.03、0.97~1.08、P=0.38)。
β遮断薬の使用は洞調律、AFの双方で心拍数の12拍/分低下と関係していた。

 
洞調律例のβ遮断薬使用群は登録時の心拍数にかかわらず、プラセボ群に比べ全死亡リスクが有意に低かった(aHR 0.73、95%CI 0.67~0.79、P<0.001)。対照的に、AF例では心拍数にかかわらず、β遮断薬による全死亡リスクの低下は認められなかった(同0.96、0.81~1.12、P=0.58)。

 
低い安静時心拍数の達成は治療に関係なく洞調律例においてのみ良好な予後と関係し、心拍数の10拍/分増加ごとの全死亡HRは1.16(95%CI 1.11~1.22、P<0.0001)と有意に高かった。





<きょうの一曲>

Rainy Days And Mondays (雨の日と月曜日は) / CARPENTERS

https://www.youtube.com/watch?v=5894HighgGw


雨の日と月曜日は [日本語訳付き] カーペンターズ

https://www.youtube.com/watch?v=Q3XDXSytiWY


The Carpenters Rainy Days And Mondays Live Subtitulado

https://www.youtube.com/watch?v=2dMUQY7eAeg


Ann Burton Rainy Days And Mondays ニコニコ動画 Q

https://www.youtube.com/watch?v=XrwKalmi3lo&list=RDXrwKalmi3lo#t=13


Carol Burnett - Rainy Days and Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=nln3StWKRGY


Olivia Newton-John - Rainy Days And Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=8p1NpAFDHS0


Lauren Waterworth - Rainy Days and Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=Nwz3oKDnlc4


Donna Vivino Rainy Days And Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=-jRod60gs3Y


Rainy days and Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=-tTFdz-bNmg


Roberta Gambarini / Rainy Days And Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=ZJDuKvk86U0


Pat Metheny - Rainy Days And Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=7PqU0LvwZZs


RAINY DAY'S AND MONDAY'S BY PAUL WILLIAMS W/ LYRICS

https://www.youtube.com/watch?v=Q1ZzgtZx3yY


Sharón Clark -- Rainy Days and Mondays

https://www.youtube.com/watch?v=GszSjBOe4ls


Sarah Vaughan - "Rainy Days & Mondays (The Carpenters)" - Live In Japan

https://www.youtube.com/watch?v=V1Ua2uklQZ8



<きょうの一枚の絵>

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荻須高徳   「パリのカフェ」1931年  油彩・キャンバス
https://mmat.jp/exhibition/archives/ex141025-2 


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左心耳閉鎖デバイス、米実臨床の初期成績は良好

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/dmns/report/201610/548463.html?ref=RL2

左心耳閉鎖デバイスWATCHMANが米国で承認され、1年あまりが経過した。
シーダーズ・サイナイ医療センター(米国・ロサンゼルス)では、承認後から2016年1月までに101例にWATCHMANを留置。
その初期成績は良好で、これまでの臨床試験と同様な長期成績が米国の実臨床でも期待できると、倉敷中央病院(岡山県倉敷市)循環器内科の研究グループが第64回日本心臓病学会学術集会(2016.9.23~25、東京)で報告した。


非弁膜症性心房細動で問題となる脳塞栓の血栓源はほとんどが左心耳であることから、近年、内視鏡やカテーテルで左心耳を閉鎖する積極治療が複数開発されている。
WATCHMANもその1つで、大腿静脈から右心房に上げたカテーテルを心房中隔穿刺により左心房に到達させ、左心耳の開口部に傘状のデバイスを留置して左心耳を閉鎖する。
留置45日後の経食道心エコーでデバイス周囲の血栓や一定以上の逆流を認めなければ、経口抗凝固療法(OAC)の中止が可能だ。
米国では2015年3月に米食品医薬品局(FDA)で承認され使われ始めたが、実臨床での初期成績は明らかではなかった。


シーダーズ・サイナイ医療センターに留学していた発表者は、承認から2016年1月までに同施設でWATCHMANが留置された連続101例(実臨床群)を対象に、手技成績と臨床予後を追跡。
これを、2006~2014年に同施設で治験として留置された連続119例(治験群)の成績と比較した。


実臨床群と治験群で患者背景はほぼ同等で、患者年齢(実臨床群:77.8±8.8歳、治験群:75.8±9.3歳、以下同様)、女性比率(32.7%、37.0%)、高血圧(82.2%、88.2%)、脳梗塞既往(29.7%、35.3%)、糖尿病(15.7%、17.6%)、心不全(27.7%、16.8%)、CHA2DS2-VAScスコア(4.27点、4.19点)、OAC実施率(72.3%、85.8%)などに有意差はなかった。
一方、出血の既往(55.5%、37.0%)、出血リスクを示すHAS-BLEDスコア(3.17点、2.91点)は、実臨床群の方が有意に高かった。


デバイスの留置に要した時間、造影剤の使用量、デバイス入れ替え率などは実臨床群の方が有意に少なかった。
手技成功率はどちらの群も100%で、手技に伴う合併症の発生率は実臨床群3例(3.0%、内訳:心タンポナーデ、心膜炎、穿刺部血腫、各1例)、治験群が7例(5.9%、心タンポナーデ2例、周術期脳梗塞1例、術後心不全1例、穿刺部血腫2例、心房中隔閉鎖術1例)だった。
実臨床群の手技後の入院日数は1.12日で、手技合併症がなければほぼ留置の翌日に退院していた。


経食道心エコーを行う45日までの死亡は両群ともなく、脳梗塞(0例、1例)、大出血(5.9%、4.2%)、デバイス周囲のリーク発生率(29.4%、28.2%)、デバイス血栓(0%、1.7%)、ワルファリン中止率(100%、97.4%)などにも実臨床群と治験群で差はなかった。
実臨床群ではその後平均105日の追跡で、心臓死2例、脳梗塞1例、大出血8例を認めた。


以上の結果から久保氏は、「実臨床ではより出血リスクが高い集団が対象となっていたが、手技時間や造影剤使用量は減少し、45日時の臨床成績やエコー所見は治験群と同等だった。そこで米国の実臨床でも、これまでの臨床試験と同様な長期成績が期待できるだろう。本治療法は出血リスクが高く抗凝固療法を中止したい患者にニーズがあると考えられる。OACの代替療法として、我が国での導入が期待される」と結論した。
WATCHMANは米ボストン・サイエンティフィック社が開発しており、同社日本法人によれば日本にも導入する方針という。


<自遊時間>

2025年問題、しっかりやる 初代「医務技監」
https://www.m3.com/news/general/545967?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170717&dcf_doctor=true&mc.l=235068863


略歴からは臨床経験が全くないようです。

「木を見て森を見ず」ならぬ「森を見て木を見ず」にならぬように祈るばかりです。

木を見たことのない(臨床経験のない)医師免許保持者ってペーパードライバー(ドクター)とどこが違うのでしょうか。

開業医からのほのかな希望ですが、血の通っている人物であって欲しいものです。
(大学時代のクラス仲間による人物評価が知りたいところです)




<きょうの一曲>

Ann Burton - It Never Entered My Mind (1969)

https://www.youtube.com/watch?v=Qd0_9_vUUPs




<きょうの一枚の絵>

yabashi-seibutsu2

矢橋六郎 「静物」
http://www.nagaragawagarou.com/sakuhin/rokurou-f110.html



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非弁膜症性AFの脳卒中予防、左心耳閉鎖術の費用対効果が最も高い

ワルファリン、NOACと比較した米国の費用効果分析の結果

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201601/545328.html?ref=RL2

非弁膜症性心房細動(AF)の脳卒中予防において、左心耳閉鎖術(LAAC)、ワルファリン以外の経口抗凝固薬(NOAC)、ワルファリンの3つの治療法の費用対効果分析が行われた。
その結果、
LAACは他の2つの治療法よりも費用対効果が高かった
(J Am Coll Cardiol誌 2015.12.22)


AFの脳卒中予防では長年にわたりワルファリンが標準治療だったが、近年、LAACとNOACがワルファリンに代わる安全かつ有効な治療法として登場した。
NOAC、LAACともに虚血性脳卒中の抑制ではワルファリンとの非劣性が、出血性脳卒中と総死亡では優越性が認められている


本研究では、米国のCenters for Medicare & Medicaid Servicesの立場から、マルコフモデルを用いて、この3つの治療法の費用対効果を評価した。
NOACはダビガトラン、リバロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの4剤とした。
LAACではWatchmanデバイス(Boston Scientific社、マサチューセッツ州マールボロ)が用いられた。
期間は20年で3カ月のサイクルとした。
患者は70歳で脳卒中と出血の中等度のリスクを有すると設定した。
効果の指標は質調整生存年(QALY)とし、将来のQALYは年率3%で割引いた。
支払意思額の閾値は米国で許容される額である5万ドル/QALYとした。費用対効果は、増分費用効果比(ICER)とした。


臨床イベントの発生率、脳卒中の転帰、QOLの情報は、LAACではPROTECT AF試験(Watchman Left Atrial Appendage System for Embolic Protection in Patients with Atrial Fibrillation)の4年間のデータから、ワルファリンとNOACではメタ解析から主に抽出した。
費用に関しては、脳卒中リスクを低下させる治療、関連する急性イベントの治療、障害を伴う脳卒中後の長期ケアの費用を含め、2015年の米ドルで示し、年率3%で割引いた。


LAACは、7年目でワルファリンと比較して費用対効果が高くなり、10年までには、LAACはワルファリンよりも優位となった(より効果的で費用が低い)。
これはこれ以降も変わらなかった。


NOACは、16年目でワルファリンと比較して費用対効果が高くなった。
NOACの20年目での費用/QALYは4万602ドルであり、ICERは経時的に減少し続けたが、費用は高いままだった。


LAACとNOACの比較では、5年目には、LAACはNOACより費用が低くなり、より効果的になっていた。
LAACは、期間全体にわたってNOACよりも優位なままだった。
10年目では、LAACは、ワルファリンとNOACよりもQALYが高かった。


感度分析を行ったところ、LAACは治療費が2倍になったとしても、11年目でワルファリンと比較して費用対効果が高く、10年目でNOACと比較して費用対効果が高かった。
また、以上の費用対効果の結果は頑健で、個々のパラメータの変動にあまり影響されないことが示唆された。
さらに、LAACは、脳卒中と出血のリスクが高い患者でより費用対効果が高いことが示された。


本研究の結果から、非弁膜症性AFの脳卒中予防において、LAACが最も費用対効果の高い治療であることが明らかとなった。
NOACもワルファリンより費用対効果が高かったが、治療のアドヒアランスの問題が残る。
LAACは、患者のアドヒアランスの問題を起こしにくく、Watchmanデバイスをいったん移植すれば、経口抗凝固薬を服用せずに、生涯にわたって脳卒中が予防される可能性が高い。
この手術にはリスクもあるが、それは術者の経験によって低下することが先行研究で示されている。


著者らは、結論として、AFの脳卒中予防の方針や診療ガイドラインを作成する際には、本研究の結果を考慮に入れるべきであろうと述べている。


英文抄録

Reddy VY, et al. Time to cost-effectiveness following stroke reduction strategies in AF: warfarin versus NOACs versus LAA Closure.
J Am Coll Cardiol. 2015;66:2728-39.



私的コメント;
AFに関しては左心系の脳塞栓についてばかり注目が集まっています。
当然、脳以外の塞栓も起こるわけですが余りにも注視されていない感があります。
また右心系の塞栓(この際は肺塞栓)も起こって不思議はないのですが、意外と看過されているのではないでしょうか。




<自遊時間> 

PAFを時々起こす患者さんが来院。

「こういった時トイレが近くなるんです」

「それは発作の際に『ANP』というホルモンが心臓で作られて・・・」と言いながら診察机のパソコンで「ANP」をググってみた。

最初の画面は アンパンマン、 アンパンマン動画、 アンパンマンミュージアムだった。

ちなみにBNPはBNPパリバ、アクトスはスポーツクラブ アクトスホームページ。 




<きょうの一曲>

BWV 1087 - 14 Canons

https://www.youtube.com/watch?v=6h6AabkLvEE
 

 

<きょうの一枚の絵>

156-26-yabashi

矢橋六郎 「ベニスの船着き場」   水彩 

http://www.nagaragawagarou.com/ibokuten21/mokuroku2112-9.html 



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左心耳閉鎖デバイスがFDAで承認、日本導入も加速?

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kurofunet/kaneko/201504/541500.html?ref=RL2

2015年3月13日、ついにボストン・サイエンティフィック社の左心耳閉鎖デバイスWatchman(商品名)がFDAの承認を取得した。
数ある左心耳閉鎖デバイスの中で初のFDA承認であり、素晴らしい快挙だと言える。


注目されるWatchmanの適応は

(ボストン・サイエンティフィック社のプレスリリース)

The WATCHMAN Device is indicated to reduce the risk of thromboembolism from the left atrial appendage in patients with non-valvular atrial fibrillation who are at increased risk for stroke and systemic embolism based on CHADS2 or CHA2DS2-VASc scores, are deemed by their physicians to be suitable for warfarin; and have an appropriate rationale to seek a non-pharmacologic alternative to warfarin, taking into account the safety and effectiveness of the device compared to warfarin.


実臨床での運用がどうなるかは難しいところもあると思うが、これを読む限り、「非弁膜症性心房細動患者でCHADS2スコア/CHA2DS2-VAScスコアから脳梗塞・全身性塞栓症の高リスクと考えられ、ワルファリンが適していると考えられる症例、そしてワルファリン以外の非薬物療法を模索するべき至適根拠がある場合」にWatchmanデバイスを用いるべきで、「ワルファリンが禁忌となる患者」は適応外と考えられる。
この点はEUでの適応と大きく異なる。


経口抗凝固療法が禁忌の患者はどうするか

EUにおいてはCEマーク取得後に発表されたASAP試験を根拠に、ワルファリン禁忌の患者に対する適応も追加的に認められている。


ASAP試験では、「非弁膜症性心房細動患者でCHADS2スコア1点以上を有し抗凝固療法を考慮すべきであるが、経口抗凝固療法が禁忌である症例」へのWatchmanデバイスの効果が検証された。
150例で検証した結果、平均観察期間14カ月で脳卒中および全身性塞栓症の発生は年率2.3%であり、これはCHADS2スコアをもとに予想された年率7.3%を大きく下回った。
この試験の結果に基づいて、欧州では経口抗凝固療法が禁忌の症例に対してもWatchmanデバイスの使用が可能となっている。


一方で、今回のFDA承認に際しては、Protect AF試験[3]とPREVAIL試験というワルファリン禁忌の患者は含まない試験を根拠にWatchmanデバイス承認の可否が議論されていた。
今後、FDAにおいてもワルファリン禁忌患者へのWatchmanデバイスの適応承認を得るには、さらなるランダム化比較試験(RCT)が必要になる可能性がある。


日本での期待と懸念は

今回のFDA承認の記載からは、「ワルファリンが禁忌の患者は適応とならない」と読み取ることができる。
また、前述のASAP試験では「経口抗凝固療法が禁忌の患者」を対象としている。
つまり、現時点では、ワルファリン以外の経口抗凝固療法、いわゆる新規経口抗凝固薬(novel oral anti-coagulants;NOAC)の位置付けがあいまいだ。
Watchmanデバイス、さらに左心耳閉鎖術の治療効果や適応を考える上では、対ワルファリンだけでなく、NOACとの優劣についても整理することが重要だ。


いずれにしても、FDA承認を取得したことで、本デバイスの今後の日本への導入も加速されることが大いに期待されます。
ただし、ASAP試験によればWatchmanデバイス留置およびデバイス関連の合併症が約9%の症例に発生しており、デバイスおよび留置手技の安全性は日本導入において最も懸念される点だ。


一方で、この試験において経口抗凝固療法が禁忌となった理由の9割以上が過去の出血性イベントや出血傾向だった。
このプロフィールは、欧米人に比べて出血性合併症の頻度が高い日本人において、より多くの患者が左心耳閉鎖術の恩恵を受ける可能性があることを示唆するものでもある。






<自遊時間> 
医者は先生と呼ばれる。
卒業して医者になると同時に研修医同士でも「先生」と呼び合う。
これは国会議員になった途端に「先生」と呼び合うのにも似ている。
そして何の抵抗も蟠(わだかま)りもない。 

ウイキペディアで「先生」をちょと調べてみた。

「先生」とは、教育機関、あるいは塾において、教える者のこと。

教員の呼び方である。

その他、一部の職業に就く者も、先生と呼ばれることもある。

以下は代表例であるが、政治家は社会全般では慣習上のことであり、先生の敬称を用いるか否か絶対的な条件があるわけではない。

自営業・企業経営者、あるいは私的に結ばれた師弟関係の中で師にあたる人物を敬称することもある。

なお、中国語では名前に「○○先生」とするのは、日本語で言う所の「○○さん」に当たり、同じ漢字文化圏であるが、特別な敬称を意味するものではないので、注意が必要である(同じ意味の中国語は「老師」)。

この単語は英語に「Sensei」として取り入れられており、「恩師」「学ぶ人」「ある場所で教育を受ける」「社会的知識を持っている人」という意味で使用される。


日本語の「先生」よりも、少し高度な印象を受ける言葉とされる。

そこには不思議と医師は書かれていない。

要するに「教える者のこと」という定義なのだ。
われわれは「議員さん」に何かを教えてもらったことはない。
むしろまったくないといっていいぐらいだ。
したがって、この職種(?) は「先生」と呼ぶのには相応しくないのかも知れない。

翻って「医者(医師)」 はどうだろうか。
自身、患者に対して「治す」 ないしは「自然の治癒力の手助けをする」という考えはあるが、「教える」という概念は殆どなかった。

実際にあった話だが、糖尿病で普段は他の医療機関にかかっている患者が、風邪でひょっこり自分の診療所を受診した。
「ヘモグロビンA1c」 はどのくらいですか?」というこちらの問いかけに対して「えっ、それって何ですか」という返事が返って来た。
即座に、かかっているその医療機関の診療レベルがわかってしまう。

かくのごとく医師は教師であり、患者は生徒なのだ。
当然優秀な生徒も変な生徒もいる。 
生徒によって教え方も変わる。
まさしく医師と患者の関係と同じだ。
少し違うところはある。
医師は患者を選べないが教師はある程度生徒を選ぶことが出来る。
つまり、高校(中高一貫校では中学も)や大学では入学試験という学生の峻別があり、レベルを選べれるのだ。
一方、医療の世界はフリーアクセスのため種々の患者の対応を迫られる。

長々と書いたが、要は「患者という生徒に対する教師」という意味も「先生」には含まれているということを言いたかったのだ。 




<きょうの一曲>

Canon (Pachelbel ) パッへルベルのカノン

https://www.youtube.com/watch?v=Pppexz-KKig


Pachelbel Canon en Re Mayor-RTVE (Adrian leaper) Orquesta sinfonica Navidad 2008

https://www.youtube.com/watch?v=OFfYGoVstgc


Pachelbel Canon in D Major - the original and best version

https://www.youtube.com/watch?v=JvNQLJ1_HQ0


Wedding String Quartet - Canon in D (Best Version) (Johann Pachelbel)

https://www.youtube.com/watch?v=es_3F3TLJS0


J. Pachelbel. Canon in D Major

https://www.youtube.com/watch?v=PfxrNblTr4o


Pachelbel's Canon Croatian Baroque Ensemble

https://www.youtube.com/watch?v=6J5cjIKOqq8


Pachelbel's Canon in D: Subway Strings at TEDxYouth@Sydney

https://www.youtube.com/watch?v=NcZbvL2qIwM 


Pachelbel's Guitar Hero | Trace Bundy | TEDxBoulder

https://www.youtube.com/watch?v=QfxG8Ic6S9I


MUST WATCH! Choir Sings Pachelbel Canon Medley

https://www.youtube.com/watch?v=HFrsBMXipDk


カノン ピアノ ヨハン・パッヘルベル (全音Ver.) Kanon piano (zen-on Ver.)

https://www.youtube.com/watch?v=y9cXGIi-YB8



<きょうの一枚の絵>


173-kodera-kenkichi

小寺健吉 「常念遠望」 色紙

http://www.nagaragawagarou.com/ibokuten20-2/mokuroku9.html

 

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AACEの新脂質ガイドラインが“極大”CVDリスク区分を設定

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000394.html

2つの内分泌系学会が、循環器系学会による推奨から抜け出し、LDLコレステロールの「目標値」を復活させ“極大リスク(extreme risk)”という新区分を初めて含む、新たな脂質管理ガイドラインを発表した。
現在、同群にはLDLコレステロール55mg/dL未満が推奨されている。

米国臨床内分泌学会(AACE)および米国内分泌学会(ACE)によるこの最新ガイドラインは、4月号のEndocrine Practice誌に掲載され、5月4日に2017年AACE年次学術臨床会議のワークショップにおいて議論された。


「新たに得られているデータはすべて同じことを示している。それは、最初のLDLコレステロール値にかかわらず、LDLコレステロール値は低ければ低いほど良い、ということである」と、ガイドライン執筆者の1人であるマイアミ大学ミラー医学校(フロリダ州)臨床医学教授のPaul S Jellinger氏は述べている。

それらのエビデンスによって、AACEおよびACEは、LDLコレステロールの目標値を削除し、代わりに1次予防、2次予防の患者4群に対し異なる強度のスタチン療法を推奨するという、賛否両論ある米国心臓協会/米国心臓病学会(AHA/ACC)による2013年のガイドラインとは異なる方向性に至った、と同氏は述べた。

AHA/ACCガイドラインとは対照的に、AACE/ACEは現在、心血管イベントに対し極大リスク、超高リスク、高リスクおよび中等度リスク、低リスクである人に、それぞれ55mg/dL未満、70mg/dL未満、100mg/dL未満、130mg/dL未満というLDLコレステロール目標値を推奨している。

「目標値は、非常に有用なものである。患者と医師双方にとって強い動機となる。HbA1cには目標値があり、血圧にも目標値がある。なぜLDLコレステロールの目標値があってはいけないのだろうか? 低ければ低いほど良いという強固なエビデンスが存在するのだから」とJellinger氏は強調した。

まさに、LDLコレステロールの目標値はAACE/ACEの過去のガイドラインの重要な特徴であり、実際のところAACE/ACEはこれまでにLDLコレステロール目標値を「除外したことは1度もない」と、同氏は述べた。

しかし、ACC/AHAによるガイドラインの共同執筆者のJennifer G Robinson氏は、ACC/AHAの方式を擁護した。

「(AACE/ACEが)LDLコレステロールやその他の脂質の目標値を存続させ続けているのは残念なことだ。LDLコレステロール値は低いほうが良いのかもしれない、しかしどのような患者が、どうやって目標値に到達するかが重要なのである。LDLコレステロールの閾値を使用し、実際のベネフィットの見込みを考慮することは、コレステロール低下療法を個別化するための、より良い方法である」。


5種類のCVDリスク区分に対する目標値

AACE/ACEのガイドラインでは、患者は以下の5種類のアテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)リスク区分に分類されている。

極大リスク群の目標値:LDLコレステロール値55mg/dL未満、非HDLコレステロール値80mg/dL未満、アポリポ蛋白B(apoB)値70mg/dL未満

LDLコレステロール値70mg/dL未満を達成後の患者で、不安定狭心症を含む進行性アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)がある
糖尿病、ステージ3または4の慢性腎臓疾患(CKD)、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(HeFH)を有する患者で、確定診断済み
 の臨床的心血管疾患がある

早発性ASCVDの既往がある(男性では55歳未満、女性では65歳未満)


超高リスク群の目標値:LDLコレステロール値70mg/dL未満、非HDLコレステロール値80mg/dL未満、apoB値80mg/dL未満

急性冠症候群、冠動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患が確定診断済みであるか、あるいはそれらによる最近の入院歴があり、10年リスクが20%超である

糖尿病あるいはステージ3または4のCKDを有し、1つ以上のリスク因子がある

HeFHを有する


高リスク群の目標値:LDLコレステロール値100mg/dL未満、非HDLコレステロール値130mg/dL未満、apoB値90mg/dL未満

2つ以上のリスク因子を有し、10年リスクが10~20%である

糖尿病あるいはステージ3または4のCKDを有し、他のリスク因子がない


中等度リスク群の目標値:高リスク群と同じ

2つ以上のリスク因子を有し、10年リスクが10%未満である


低リスク群の目標値:LDLコレステロール値130mg/dL未満、非HDLコレステロール値160mg/dL未満、apoB値は目標値なし

リスク因子がない


AACE/ACEガイドラインでは、イベントに対する10年リスク値を計算するには、Framinghamリスク評価ツール、アテローム動脈硬化症多民族研究(MESA)の冠動脈石灰化による10年ASCVDリスク計算法、高感度CRP(hs-CRP)および早発性ASCVDの家族歴を含むReynoldsリスクスコア、2型糖尿病患者に対するUnited Kingdom Prospective Diabetes試験(UKPDS)リスクエンジンという、4種類の確立されたリスク計算法のいずれかを使用することが推奨されている。


FOURIER試験は「場外ホームラン」だった

AACEの会議における記者会見で、Jellinger氏と、共同執筆者のYehuda Handelsman氏は、このAACE/ACEの最新ガイドラインを作成するために使用したエビデンスの一部と、目標値ベースの方法を支持するデータであると同氏らが主張する新しいデータについて、レビューを行った。

2014年のImproved Reduction of Outcomes: Vytorin Efficacy International試験(IMPROVE-IT試験)は、超高リスク群や極大リスク群に対する極端に厳しい脂質管理によるベネフィットを明らかにした、「思いがけない発見」であったが、その試験よりも前にそのことを示唆するメタ解析がいくつか存在していた、とJellinger氏は述べた。

そのようなメタ解析には、2010年のCholesterol Treatment Trialists' Collaborationや、2014年のスタチンに関する8つの前向き無作為化試験のメタ解析が含まれ、その両方が、LDLコレステロール値を50mg/dL、もしくはそれよりもさらに低い値に低下させることのベネフィットを示している。

そして最近、Further Cardiovascular Outcomes Research With PCSK9 Inhibition in Subjects With Elevated Risk(FOURIER)試験において、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬であるevolocumab(商品名:Repatha、Amgen)をスタチンと併用した場合、LDLコレステロール値を平均30mg/dLに低下させることにより、主要心血管イベントを減少させた(しかし心血管死や全死因死亡は減少させなかった)ことが今年の3月に明らかになったばかりである。

「IMPROVE IT試験が明確にこのことを突きとめて皆に知らしめ、FOURIER試験が、われわれのガイドラインを重要な方法で完全に証明した」とJellinger氏は集まった記者らにコメントし、さらに同氏はFOURIER試験を「場外ホームラン」であると捉えているが、「満塁ホームラン」となるのは死亡率の差を示す長期データが得られたときであろう、と付け加えた。

その一方でRobinson氏は、「ezetimibe(商品名:Zetia、Merck)あるいはPCSK9モノクローナル抗体を併用することでさらにリスクが徐々に減少していくが、異なるLDLコレステロール目標値を用いたtitrationを比較した試験は存在しない」と主張した。

「LDLコレステロールの目標値は、本グループが述べているエビデンスに基づいていないだけでなく、目標値に向けたtitrationでは、個別の患者のベネフィットの可能性を考慮できなくなってしまう」と同氏は強く主張した。
 

費用に見合うか?

AACE/ACEのガイドラインには、さまざまな脂質低下戦略の費用対効果に関する議論が含まれている。

一般に、中等度リスクから高リスクの人やLDLコレステロール値が非常に高い(190mg/dL以上)人において、スタチンはASCVDイベントの1次予防と2次予防の両方について費用対効果が高いことが証明されている。

LDLコレステロール目標値を達成できない人においてスタチン療法とezetimibeを併用した場合の、米国での費用対効果はまだ評価されていないものの、カナダの試験と英国の試験では、ezetimibeはとくにジェネリック医薬品を使用することによって費用対効果が良好となる可能性があることが示唆されている。

Handelsman氏は、新たに定義された極大リスク群におけるCVイベントの年間発生率は10~14%であり、5年間では45~50%に上昇する、と指摘している。

そのため同氏は、併用療法は、極大リスク群の患者において、とくに費用対効果が高いことが証明されるのではないかと考えている、と述べた。「(患者に)どのくらいの費用がかかるかをみてほしい。患者の生命を救うには多額の費用がかかり、患者を生かし続けるにはおそらくさらに多くの費用がかかる」。

しかしながら、Robinson氏は異なった見方をしている。

「開始時に65mg/dL未満でないかぎり、大多数の患者はezetimibeを併用してもLDLコレステロール値55mg/dL未満を達成しない。1件のイベントを予防するために、100例を超える患者を5年間治療する必要があるだろう。PCKS9モノクローナル抗体を追加することでさらに多くのイベントを予防することができるかもしれないが、どのようなリスクレベルの患者においても、現行の価格でこれらの薬剤はいかなるレベルの費用対効果に見合うことは示されていない」。


英文記事

New AACE Lipid Guidelines Establish 'Extreme' CVD Risk Category

http://www.medscape.com/viewarticle/879577


AACE 2017 Guidelines

AMERICAN ASSOCIATION OF CLINICAL ENDOCRINOLOGISTS AND AMERICAN COLLEGE OF ENDOCRINOLOGY

GUIDELINES FOR MANAGEMENT OF DYSLIPIDEMIA AND PREVENTION OF CARDIOVASCULAR DISEASE

https://www.aace.com/files/lipid-guidelines.pdf



<自遊時間>「65歳を超えたら、総コレステロール値は高めがいい!」?

7月12日のNHK「あさイチ」で栄養失調=低コレステロールとして、あたかもコレステロールが低いのはよくないというのがこの番組の論調だった。

栄養状態はあくまでもアルブミンで見るべきものであってコレステロールが高くても「栄養失調」の人はいる。大いに違和感を覚えた。
何よりも、この番組を観た高脂血症の治療で通院中の患者さんから質問を浴びるのは必定。
番組で医師が得々と話しているのがまた不快感を増幅させた。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/170712/1.html


参考 

100歳まで長生きできるコレステロール革革命

https://www.amazon.co.jp/本-大櫛陽一/s?ie=UTF8&page=1&rh=n%3A465392%2Cp_27%3A大櫛陽一

(著者は、ちなみに「◯◯大学医学部教授」の肩書きですが医師ではありません)

http://www.ihma.or.jp/meeting/pdf/2008_0221.pdf 




<きょうの一曲>

オルケスタ・デ・ラ・ルス Orquesta de la Luz/El Cumbanchero(クンバンチェロ)HD

https://www.youtube.com/watch?v=CuPDslLWYho



<きょうの一枚の絵>

 yabashi-enasan2 のコピー

矢橋六郎 「恵那山  秋」

http://www.nagaragawagarou.com/sakuhin/rokurou-f111.html


 


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仮面高血圧は脳卒中リスク因子に、J-HOP研究

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550621.html

日本人集団においても、仮面高血圧は脳卒中の有意なリスク因子になっていることが明らかになった。心血管リスクがある外来通院中の患者を対象に家庭血圧の予後予測能を評価するJ-HOP研究の解析結果で、自治医科大学循環器内科学の藤原健史氏らが第81回日本循環器学会学術集会(2017.3.17~19、金沢市)で報告した。


仮面高血圧が心血管疾患のリスクになるという疫学研究は多いものの、実臨床で検討した報告は少ない。
特に多数症例を対象とした研究は、2004年に報告された海外の観察研究
SHEAFだけだった。
降圧治療中の高齢者5000例を3.2年間追跡し、仮面高血圧群の心血管リスクは血圧コントロール良好群の約2倍高いことを明らかにした。
今回の成果は、仮面高血圧の意義に関する実臨床の大規模研究としてSHEAFに続く2番目、我が国では初めての報告となる。


対象は、J-HOP研究に登録された、心血管リスク因子を1つ以上持つ一般外来通院患者4278例。
診察室血圧(OBP)として診察室で異なる2機会に3回ずつ測定した血圧の平均値、家庭血圧(HBP)として家庭血圧計で早朝3回14日間測定した血圧の平均値を求め、管理良好群(OBP 140/90mmHg未満、HBP 135/85mmHg未満)、白衣高血圧群(OBP 140/90mmHg以上、HBP 135/85mmHg未満)、仮面高血圧群(OBP 140/90mmHg未満、HBP 135/85mmHg以上)、持続高血圧群(OBP 140/90mmHg以上、HBP 135/85mmHg以上)の4群に分けた。


4群の患者比率は、管理良好群27.6%(1181例)、白衣高血圧群14.4%(614例)、仮面高血圧群19.1%(815例)、持続高血圧群39.0%(1668例)だった。
患者背景を比較すると、管理良好群に比べ仮面高血圧群、持続高血圧群で年齢が高く、仮面高血圧群で糖尿病患者の比率が高く、服用降圧薬数が多かった。


平均4.0年の観察期間に脳卒中が74件、虚血性心疾患が77件発生した。各疾患の累積発生率をKaplan-Meier法により4群で比較したところ、虚血性心疾患に関しては4群で有意差がなかったが、脳卒中の累積発生率は管理良好群に比べ持続高血圧群および仮面高血圧群で有意に高かった


管理良好群を基準としてCox比例ハザードモデル解析を行うと、脳卒中の調整後ハザード比は、白衣高血圧群で0.66(95%信頼区間:0.17-2.49、P=0.538)、仮面高血圧群で2.39(1.03-5.52、P=0.042)、持続性高血圧群で3.08(1.44-6.59、P=0.004)となり、仮面高血圧および持続高血圧が脳卒中の有意なリスク因子になることが分かった。
虚血性心疾患に関しては、白衣高血圧、仮面高血圧、持続高血圧のいずれも有意なリスク因子とはならなかった。


結論

日本人の一般外来通院中の患者集団において、家庭血圧を用いて定義した仮面高血圧は脳卒中の有意なリスク因子であり、白衣高血圧はリスク因子ではなかった
仮面高血圧を拾い上げていくために、まず家庭血圧計を使って、外来患者の家庭血圧を把握する必要がある。


[PDF] JAMP研究 (3278KB) - 自治医科大学

https://www.jichi.ac.jp/kenkyushien/strategic/file/genombank_presentation02.pdf


論文・症例報告|自治医科大学 循環器内科学部門

http://www.jichi.ac.jp/usr/card/topics/topics.html


早朝血圧から始まる 

24時間パーフェクト高血圧管理

http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2005dir/n2658dir/n2658_03.htm 




<番外編>
赤字22億円「東京女子医大」の危機的状況

http://news.livedoor.com/article/detail/13298308/

・なぜ、最近になって、首都圏の一流病院が経営難に陥ったのだろう。きっかけは2014年の消費税増税だ。病院は医薬品などを仕入れる際、病院は消費税を負担するが、患者には請求できない。このため消費税が「損税」となってしまうのだ。

・東京の医療が崩壊するのは、もはや時間の問題のようだ。東京都に本部を置く医学部は13あるが、このうち11は私立医大だ。

こんなに私大病院が多い地域は東京だけだ。東京の次に私大病院が多いのは神奈川県と大阪府だが、いずれも3つだ。東京の高度医療は、私大病院が担っていると言っても過言ではない。だが、私大病院は、経営が悪化すれば「倒産」するしかない。女子医大や日本医大は、その瀬戸際にある。




<きょうの一枚の絵>

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大渕繁樹 「天主堂暮色(長崎伊王島)」10号





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その消化管出血、本当に抗血栓薬が原因ですか?  循環器疾患としての後天性フォンウィルブランド症候群

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550623.html
循環器疾患では、ときに非生理的な速さの血流により過度のずり応力が生じる。
その結果、血液凝固因子の1つであるフォンウィルブランド因子(von Willebrand factor;VWF)の分解が亢進し、消化管出血などの出血性イベントを起こすことがあるという。
第81回日本循環器学会学術集会(2017.3.17~19、金沢)のパネルディスカッション「高リスク症例への抗血栓療法」で東北大学加齢医学研究所基礎加齢研究分野の堀内久徳氏は、「重症の大動脈弁狭窄症(AS)や肺高血圧症、肥大型心筋症、補助循環導入例などでは、このような後天性フォンウィルブランド症候群による止血異常に注意が必要だ」と指摘した。

フォンウィルブランド病が先天的なVWFの欠損または機能異常を原因とするのに対し、後天性フォンウィルブランド症候群とは遺伝子変異を原因とせずVWFが欠乏し出血傾向を呈する疾患と定義される。
循環器疾患との関連では、1958年に重症のASと消化管出血の合併が指摘され、報告者の名前からハイド症候群(Heyde's syndrome)と呼ばれた。

ハイド症候群の機序が解明されたのは最近のことだ[1]。VWFは血管内皮細胞で合成され、血中では2~80分子程度が結合した巨大な球状の蛋白として存在している。
血管の損傷などで組織のコラーゲンが露出するとその部位に接着し、血流によるずり応力で立体構造が変わる。
これを目印に血小板が凝集・活性化され、血液凝固が進行する。

VWFは会合する分子が多い高分子多量体ほど、止血に重要な働きをしている。
重症のASでは弁口部での血流速度が正常者の数倍になるため、高分子多量体VWFは強いずり応力を受け立体構造が変化し、血中の蛋白分解酵素によって切断されてしまう。
その結果、止血に深く関与している高分子多量体VWFが欠乏し、出血傾向を呈する。詳細な機序は不明だが、消化管粘膜の血管異形成(angiodysplasia)も亢進し、新生血管からしばしば大出血が生じる。
易出血性は皮膚粘膜を含め全身の臓器で問題となるものの、本症候群で消化管出血が多いのは、このためとされる。

ASに合併した後天性フォンウィルブランド症候群であれば、外科的な大動脈弁置換術(SAVR)が根治術となる。
「長くても1週間程度で高分子多量体VWFは回復するので、積極的に手術対象とすべき。経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)でも治療効果が期待できるだろう」と堀内氏。

だが、簡便な検査法が確立していないこともあり、疾患概念の普及はこれからという段階だ。
堀内氏らは電気泳動による高分子多量体VWFの定量法を開発し、健常人を基準とした指標化を進めている。
重症ASの31例を対象とした検討では、その大半(大動脈弁最大圧較差が50mmHg程度以上)で高分子多量体VWFが減少しており、後天性フォンウィルブランド症候群を発症していることが分かった。

さらに、補助人工心臓(LVAD)やPCPSなどの体外補助循環で問題となる出血も、抗凝固療法だけでなく過度のずり応力によるVWFの分解亢進が関与していることが明らかになってきた。
LVADは我が国でもdestination therapyの治験が始まっており、近い将来、虚血性心疾患を原因とする重症心不全の治療選択肢として実臨床への導入が予定されている。

そこで堀内氏らは厚労省難治性疾患政策研究事業として、循環器疾患に随伴する後天性フォンウィルブランド症候群の発生頻度など実態の把握や、診断基準、重症度分類などの作成に乗り出した[2]。

例えば消化管の大出血で緊急入院した高齢者に重症ASが見つかった場合、本症候群が鑑別診断に入っていれば、小腸も含めた消化器内視鏡検査に加えて高分子多量体VWFの定量を行うことになる。
後天性フォンウィルブランド症候群の診断が確定しSAVRやTAVIで重症ASが根治すれば、消化管出血も再発せず患者は元の生活に戻ることができる。
一方で診断に至らず原因不明の消化管出血として経過観察されれば、出血を繰り返し全身状態の急速な悪化が避けられない。

「高齢者の消化管出血では、本症候群が鑑別診断に入っているかで患者の予後が決まると言っても過言ではない。過度のずり応力によるVWFの分解亢進で生じる後天性フォンウィルブランド症候群の頻度はまれではなく、一般的な循環器疾患に随伴して生じる病態と捉えてほしい」と堀内氏は強調している。



<関連サイト>
循環器難病に随伴する後天性フォンウィルブランド症候群の診断基準・重症度分類の確立に関する研究班
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/avec/



<番外編>

エゼチミブとスタチン系薬剤との配合剤2製剤

http://yaplog.jp/hurst/archive/349




<きょうの一曲>

My Foolish Heart - Jane Monheit

https://www.youtube.com/watch?v=hTe19RV3HRo




<きょうの一枚の絵>


1-img304

吉村 清 「風の室戸」10号 





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左心耳閉鎖デバイス、深部への留置で血栓が増加

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550658.html  

心房細動患者の脳梗塞を予防する左心耳閉鎖デバイスでは、デバイス留置後の合併症にデバイス血栓(DRT)があるが、CHA2DS2-VAScスコアおよび留置位置が予測因子になる可能性が示唆された。
第81回日本循環器学会学術集会(3.17~19、金沢市)で、ドイツブランデンブルク心臓病センターの金子英弘氏らが報告した。


非弁膜症性心房細動を原因とする脳塞栓の血栓源は、ほとんどが左心耳であるため、左心耳を切除ないし閉鎖するデバイスの開発が進められている。
その中でも、日本への上陸が間近とされる左心耳閉鎖デバイスであるWATCHMANに注目が集まっている。


しかしまれではあるものの、デバイスを留置した後、デバイスの表面に血栓を生じるケースがあった。
ブランデンブルク医科大学に留学している金子氏は「臨床上、デバイスが左心耳に深く留置されている患者でDRTを認めることが多いと感じるため、今回の調査を行った」と説明した。


金子氏はWATCHMANを留置した患者78人(男性50人、72±8歳)を対象に、DRT形成のリスクについて評価した。
DRTについてはデバイスを留置してから6週間、または6カ月後に経食道心エコーを用いて評価を行った。
その結果、患者78人のうち4人の患者にDRTが認められた。
DRT形成患者と非形成患者のCHA2DS2-VAScスコアを比較したところ、DRT形成患者ではスコアが高かった。
またDRT形成患者では、デバイスの深部留置が高率に認められ、慢性腎疾患を有していることが分かった。
冠動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中、血管障害の既往については有意差を認めなかった。


金子氏は、サンプル数とイベント数が限られているため一概には言い切れないと断った上で、「CHA2DS2-VAScスコアが高値であることとデバイスが深部に留置されていることが、DRT形成の予測因子になると示唆された。
これらの条件が当てはまる患者では注意深い観察が必要になる」とまとめた。



<関連サイト>

左心耳閉鎖術用デバイス

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/68987942.html


左心耳閉鎖デバイスWatchmanの検証

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/64307865.html


AFにおける左心耳閉鎖術の費用対効果

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/51982144.html


左心耳閉鎖術の有用性

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/21433470.html


経皮的左心耳閉鎖術

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/16533738.html




<今朝の一曲>

Pachelbel - Canon - Stringspace 

https://www.youtube.com/watch?v=jJRdLZyOU4w&list=RDjJRdLZyOU4w#t=3

 

 

<きょうの一枚の絵>  img301

中島 憲 「カナディアン・ロッキーの夏」6号 



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TAVRの5年間の国内臨床成績は良好

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550629.html

重症の大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR、もしくはTAVI)の安全性と有効性を検討する国内初の多施設臨床試験PREVAIL JAPAN Trialで、良好な臨床成績が得られた。
第81回日本循環器学会学術集会(2017.317~19、金沢市)で、大阪大学医学部部長の澤芳樹氏が発表した。


重症の大動脈弁狭窄には外科的な弁置換術が第一選択となるが、基礎疾患を持つ高齢者など、外科手術がハイリスクとなる患者が3~5割程度存在する。
TAVRは低侵襲であるため、ハイリスク大動脈弁患者が適応となるが、国内における長期成績はこれまでに報告されていなかった。


今回、PREVAIL JAPAN Trial ではバルーン拡張型のTAVR(商品名SapienXTもしくはSapien3)を施行した国内の64症例を追跡調査し、5年目におけるアウトカムを報告した。
対象者は大動脈弁狭窄症で、米国胸部外科学会(STS)手術死亡予測スコアに基づく死亡リスクが8%以上の患者。
64症例のうち、37例が経大腿アプローチで、27例が経心尖アプローチだった。


5年目での全死亡率は52.7%、心血管イベントによる死亡は16.4%、脳卒中15.8%、脳心血管イベント(MACCE)58.5%だった。
この結果に対し澤氏は「海外のPARTNER研究と比較しても遜色がなく、むしろ少し好成績」と話す。


STSスコアと死亡率の相関については、STSスコアが<4の場合は20.0%、4~8では45.3%、>8では65.0%だった。
また、死亡率に影響する因子について検証したところ、
末梢血管疾患、慢性腎不全、COPDを持つ患者では有意に死亡リスクが高かった


大動脈弁狭窄症の重症度の評価指標である、大動脈弁口面積、左室と大動脈の圧較差、左室容量係数は1年目から全症例で良好となり、その後5年間安定していた。
1例のみ生体弁の劣化が生じたため、1834日目に新しい生体弁を留置する
Valve in valveを行った。


今回の発表に対し澤氏は「日本におけるTAVRの大動脈弁閉鎖不全治療への有用性を示すことができた」とまとめている。


また、その他にも自己拡張型のTAVR(商品名Evolut R)についても、大阪大学、湘南鎌倉総合病院、国立循環器病研究センター、埼玉医科大学の4施設で行われた治験の中間成績の発表があった。
成績について解説した大阪大学心臓血管外科助教の鳥飼慶氏は、2年から3年の期間の臨床成績であると説明した上で、「Sapienと同等の成績を出すことができている」と話している。



<自遊時間>
先日、日循の地方会に出席しました。
発表内容はほとんどインターベンションに関する演題で、ほとんどが症例報告(多くは1例報告)でした。
翻って、自分が卒業間もなく発表していた内容を振り返ってみました。
インターベンションなどない時代ですから、臨床での発表は統計処理をした内容が主体でした。
大学は基礎研究の発表が主体で、当然日循総会での採択を睨んだ発表で症例報告は少なかったと記憶しています。
要するに、今よりも準備が大変でした。
スライド作りもパワーポイントなどがないわけですから、手作りのスライドです。
発表直前の予演会で、間違いや改善点を指摘されたりするとMRさん(当時はプロパーさん)に無理を言って写真屋さんまで走ってもらいました。
今から思うと指導いただいた先輩諸先生の愛情と熱意を痛いほど感じます。
この歳になって感謝してもすでに先輩諸先生の多くはこの世にいません。
まさしく「孝行をしたい時分に親はなし」です。

余談ですが、最近の循環器の発表内容は余りにも欧米の研究の「後追い」になってはいないでしょうか。
諸外国で開発されたデバイスや手技。
また、それらのデータが出た後に「日本人では・・・」云々。
AHAで採択される日本からの演題を一度じっくり見てみたいものです。

 



<きょうの一曲>

Günter Wand dirigiert Bruckners Sinfonie Nr. 3 | NDR

https://www.youtube.com/watch?v=CqI6OuIOGbM


ブルックナー 交響曲第3番

http://www3.kcn.ne.jp/~mamama/01-symphony/bruckner-sym3.htm


ブルックナー 交響曲第3番 

https://blogs.yahoo.co.jp/quontz/54104002.html

https://blogs.yahoo.co.jp/quontz/54104043.html




<きょうの一枚の絵>

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大森朔衞 「城塔」SM





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僧帽弁閉鎖不全へのカテ治療、国内成績は良好 術後30日までの短期成績では重篤合併症ゼロ、手技成功87%

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550618.html
僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する低侵襲のカテーテル治療として注目されているAVJ-514(欧米での商品名MitraClip)の我が国での治験成績がまとまった。
30例を術後30日間追跡した結果、手技関連での緊急手術や死亡、脳梗塞、心筋梗塞の発症といった有害事象は1例も発生せず、手技成功率も86.7%と良好だった。
第81回日本循環器学会学術集会(3.17~19、金沢市)で、慶應義塾大学循環器内科の林田健太郎氏らが発表した。

MitraClipとは、経カテーテル的に僧帽弁の前尖と後尖の一部をクリップで留め、左心室から左心房への血液の逆流を軽減させようという治療法。
臨床開発が先行した欧州では2008年、米国でも2013年に承認され、実臨床に普及しつつある。
対象は重度のMRで、年齢や合併症などのため現在の標準治療である外科手術に耐えられない患者だ。

治験対象は症状のある中等度(3+)から重度(4+)の慢性MRで、心臓手術のリスクを表すSTSスコアが8%以上、もしくはあらかじめ施設が定めている基準で手術困難と判定された患者で、MitraClipの留置が可能と判断された場合とした。

安全性に関する主要評価項目は、30日後までの主要な有害事象(死亡、脳卒中、心筋梗塞、腎不全、デバイス留置に関連した緊急の心血管手術)の回避率とした。
また有効性に関する主要評価項目は手技の成功、すなわち退院時(不可能な場合は30日後)の心エコー図検査によりMRの重症度が2+以下であることとした。

参加施設は国立循環器病研究センター、仙台厚生病院、慶應大学病院など6施設で、登録患者(30例)の平均年齢は80.4歳、男性77%、NYHA分類3~4度が36.6%、左室駆出率50.2%、
STSスコア10.3%などだった。

30日後までに、安全性の主要評価項目を構成するイベントを発症した患者は、緊急外科手術例を含め1例もなかった。
一方、有効性の主要評価項目は30例中26例(86.7%)で条件を満たした。
条件を満たさなかった4例は退院時の重症度が3+と判定された患者だったが、いずれも術前の重症度と同等もしくは改善を認めており、術前よりも症状や重症度が悪化したケースはなかった。

術前のNYHA分類は2度63.3%(30例中19例)、3度33.3%(10例)、4度3.3%(1例)だったが、30日後には4度0例、3度1例、2度26.7%(8例)、1度70.0%(21例)と全般的に改善していた。

これらの結果から林田氏は「手術リスクが高い重度のMR症例に対する本治療法は、日本人集団を対象としても安全性および有効性の点で良好な短期成績が確認できた。今回は短期成績であり、留置後5年間まで追跡する計画だ」と話す。
MitraClipは現在厚労省に薬事承認申請中で、今年末から来年早い時期での承認が見込まれている。





<きょうの一曲> 

Elina Garanca "Habanera" Carmen

https://www.youtube.com/watch?v=jGFUKsv1epk


<きょうの一枚の絵> 


170324-001

香月泰男 「山吹」1971年 油彩4P

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2017/03/post-367.html 




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進化する血管内超音波検査、所要時間も短縮
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201707/551854.html

PCIの術前・術後評価に用いるIVUS。
その最新型が国内メーカー2社から発売された。
従来よりも高解像度で血管断層像を描出可能で、検査時間を短縮できるメリットもある。

 
今年2月、解像度を高めたIVUSの装置が、国内メーカー2社から発売された。
新型IVUSは「ビジキューブ」(テルモ)と「HDi-System」(アシスト・ジャパン)の2つ。
従来のIVUSは40MHzの超音波で観察していたが、新製品はどちらも60MHzのモードに切り替えることができ、より高解像度で血管断層像を描出できる。


超音波を用いて血管内部の断層像をリアルタイムで観察するIVUSは、1990年代から臨床使用されており、冠動脈疾患の病態の把握や、治療方針の決定に活用されている。
超音波の送受信装置を搭載したカテーテル先端を、血管の病変部を越えて挿入し、ゆっくりと引きながら映像化する。
血管の病変部(プラーク、石灰化)の範囲や血管内腔の直径などを見ることで、PCIで使用するバルーンやステントの大きさを判断。
また、ステントを留置した後の内膜新生の確認にも使用されている。
「カテーテルを中心に4~5mmほどの範囲を描出できるため、冠動脈程度の太さであれば、外弾性板まで含めた血管全体を見ることができる」と横浜市立大学附属病院循環器センター准教授の日比潔氏は話す。


冠動脈の評価においては、IVUSのほか、近赤外線を用いた検査方法である光干渉断層法(OCT)や、血管内視鏡が利用されてきた。
OCTは血管内に近赤外線を反射させて画像化する仕組みで、IVUSでは確認が難しい血管内の石灰化の厚みやプラークの性状を、10μmの細かさで観察できる。
日比氏は「IVUSと比べて約10倍の解像度があり、不安定なプラークに特徴的な、菲薄化した線維性の皮膜まで確認できる」と説明する。


日比氏によると「国内では冠動脈評価のおよそ9割で、何らかのイメージングデバイスが使用されており、そのうち8割程度がIVUSによって評価されている」という。
国内ではテルモ、ボストン・サイエンティフィック、VOLCANO、アシスト・ジャパン、Infraredxなどが販売している。


IVUSが普及している理由は、2000年代に登場したOCTよりも長期間の使用実績があるためだ。
また、血管全体を把握でき、造影剤などで血管内腔を満たす必要もなく、リアルタイムで観測可能といったOCTにはないメリットもある。


ただ、IVUSはOCTより解像度が低く、小さなプラークの破綻や血管内膜の微細な病変を見つけることはできなかった。
また、カテーテルを1秒当たり0.5~1mmのスピードで引く必要があり、検査に時間がかかるのがネックだった。
「場合によっては冠動脈を1本観察するのに2~3分程度はかかってしまう」(日比氏)。


高解像度化し、検査時間も短く

これらの弱点を補強したのが、今回発売された「ビジキューブ」と「HDi-System」の2製品だ。
亀田総合病院循環器内科部長の木村茂樹氏は「これまで発見できなかったプラークを観測できるようになったわけではないが、より高解像度で見られるようになったことで、血管内壁のフラップ状の解離や、留置したステントへの内膜新生の評価がしやすくなった」と語る。


今回発売された2つのIVUSの装置は、1つのカテーテルの周波数を40MHzと60MHzに変化させて血管断層像を描出する。
60MHzでは高解像度になった代償として観察できる範囲が狭くなったが、40MHzに切り替えれば映像化する範囲を広げることも可能になっている。
「多くの場合、留置するステントは外弾性板の平均直径よりも少し小さめのものを選ぶため、ステントの径を決めるにはできるだけ血管全体が見えた方がよく、そういう場合は適宜60MHzから40MHzに切り替えればよい」と木村氏は話す。


新製品のもう1つの特徴である検査時間の短縮に関しては、従来型よりも約5~20倍速くカテーテルを引けるようにしたことで実現している。IVUSではカテーテル先端にある超音波の送受信装置を高速回転させて画像を描出しているが、回転数が上がったことで、最新型の2機種はどちらも1秒当たり9~10mmの速度でカテーテルを引けるようになった。
「従来のIVUSよりも検査が早く終わるため、患者への負担は小さい。特に冠動脈内にカテーテルを入れている時間が短くなり、虚血になるリスクも軽減されるだろう」と日比氏は話している。


<自遊時間>

国際医療福祉大学、医学部一期生140人迎え、入学式  安倍首相がメッセージ、横倉日医会長、高久医学会会長らも出席

Unknown

https://www.m3.com/news/iryoishin/517011

(このお三方は新設医大増設に賛成とみえる。右端に日医推薦の女性参議院議員も写っている。日医は医学部新設には反対の立場だ。この写真は、ある意味で衝撃だった。また定員140名もすごい)
 

厚労大臣が医師を増やすべき発言(本当に今の内閣大丈夫?)

https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2730493?pageNo=1&portalId=mailmag&mmp=RI170630&mc.l=232201982&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d




<きょうの一曲>

Maria Callas-O Mio Babbino Caro

https://www.youtube.com/watch?v=kOZQsUHhWk0

https://www.youtube.com/watch?v=mEGiOi0wx3M



<きょうの一枚の絵>
161129-001

三岸節子「花」油彩 3F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2016/12/55.html 


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血管内視鏡で大動脈プラークを見てみたら

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201707/551794.html

日本で開発され、1990年代から冠動脈病変の評価などに用いられてきた血管内視鏡が、近年注目を集めている。
新技術の開発により、冠動脈だけでなく大動脈の観察も可能になったからだ。
脳梗塞や腎梗塞など全身の塞栓症の中には、塞栓子の発生源を特定しきれないものが多い。
しかし血管内視鏡による観察で、
大動脈を発生源とする塞栓症も少なくないことが分かってきた


虚血性心疾患に対しPCIを実施する際、術前・術後の評価では血管造影検査やIVUSを行うことが一般的だ。
しかし、一部の施設では血管に内視鏡を挿入し、肉眼的に血管内腔を観察する方法が取り入れられている。

血管内視鏡は内視鏡カテーテル、光源装置、ビデオカメラ、モニターなどで構成される。
内視鏡カテーテルを外筒(誘導用カテーテル)で覆い、カテーテルと外筒の隙間から疎血液(生理食塩水やデキストラン溶液など)を流すことで、血流を維持しながら部分的に血液を排除して視野を確保する。
冠動脈に挿入するため、カテーテルの直径は2.2Fr(約0.7mm)になっている。
過去26年間、国内で行われた冠動脈検査約2万9000例、大動脈検査約800例において、有害事象は全く報告されていないという。


NPO法人日本血管映像化研究機構理事長の児玉和久氏(大阪警察病院名誉院長)らが、1993年に血流を遮断しない血管内視鏡(血流維持型血管内視鏡)の開発に成功。
その後、改良が進められ、ここ数年は新技術が相次ぎ導入されている。
従来は光ファイバーを用いた6000画素の内視鏡が用いられていたが、3MOSカメラ(感度と動画の性能に優れたMOSセンサーを3つ備えたカメラユニット)とLED光源を採用することでハイビジョン画質での出力を可能にした血管内視鏡カテーテルが大塚ホールディングスグループのJIMROから今年5月に発売された。
また、日本血管映像化研究機構ではICカメラを搭載した5万画素の血管内視鏡も現在開発中だ。


大動脈の微細な損傷も観察可能

もう1つの大きな技術進歩は、2014年に考案されたDual Infusionという方法によって大動脈の観察が可能になったことだ。
Dual Infusionでは、血管内視鏡の外筒をさらに大きな外筒で覆い、2つの外筒から同時に疎血液を流すことにより、冠動脈よりも大量の血液が流れる大動脈の観察を可能にした。


血管内視鏡を用いると、CTやMRIだけでは分からなかった大動脈所見が数多く観察できる。


血管内視鏡では、0.1mm単位の病変でも肉眼で観察できる。
観察から得られた所見により分かってきたのは、
脳梗塞や腎梗塞などにおける塞栓子の発生部位として、大動脈も疑われるということだった。
慢性脳虚血などの患者でも、大動脈に黄色い粥腫やその破綻像、血栓の形成、さらには光を反射してキラキラと光る100μm以下のコレステロール結晶などが認められる。
破綻したプラークが血液中を浮遊している様子も確認されることがあり、こうした浮遊物質が塞栓子となっていることが示唆される。


病理学分野の基礎研究から、脳梗塞や腎梗塞などを引き起こす塞栓子が大動脈からも発生していると考えられてきたが、血管内視鏡の観察により、それが裏付けられる形になった。
大動脈で生じたコレステロール結晶をはじめとした塞栓子が、脳梗塞、網膜症、狭心症や腎梗塞などあらゆる末梢臓器の塞栓症の発症に関係しているのではないかと考られる。


また、血管内視鏡では、プラークの性状や動きのほか、血管内膜の亀裂の有無を確認できる。
血管造影やCT、IVUSなど従来の検査方法では大動脈の微細な損傷の観察が難しかったが、血管内視鏡検査で発見できれば、大動脈解離に至る前に対処することも視野に入る。


現在、大動脈の粥状硬化病変と末梢臓器疾患との関連性の解明が進められている。
エビデンスが蓄積されて予防的な薬物療法などが開発されれば、大きな福音となるだろう。




<きょうの一曲>

Anna Netrebko - O mio babbino caro

https://www.youtube.com/watch?v=JKh_m6t9ukQ
 
 

<きょうの一枚の絵>

161114-002

熊谷守一「紅葉」1959 油彩 24.3×33.4cm

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2016/11/45-3.html


 

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冠動脈狭窄が疑われる患者にはまずCT 冠動脈造影に先行して行うのが得策

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201611/549094.html

独Charite大学病院のMarc Dewey氏らは、非定型的な狭心症疑いの患者を対象にしたランダム化対照試験を行い、最初に冠動脈CT検査を行うと、カテーテルによる冠動脈造影が必要な患者を減らせる上に、入院期間も短縮できると報告した。
(BMJ誌電子版 2016.10.24)


動脈からカテーテルを挿入する冠動脈造影は、冠動脈の閉塞性性疾患を確定診断できる。
しかし、狭心症の疑い例すべてに適用すると検出される冠疾患の患者の割合(診断率)は低くなり、まれだが生命を脅かす合併症も生じ得る。
一方、CTの性能向上に伴い、静脈から造影剤を投与する冠動脈CTで、冠動脈の閉塞性疾患が診断できるようになってきた。
しかしこれまで、狭心症疑い例に対して冠動脈造影とCTの有効性を比較するランダム化対照試験は行われていなかった。
そこで著者らは、冠動脈疾患のリスクが中等度で、冠動脈造影の適応があると見なされた患者を対象にして、冠動脈造影と冠動脈CTの検査成績を比較する単独施設でのRCTを計画した。


2009年2月18日から2015年8月27日まで、非定型的な絞扼感または胸痛があり、狭心症を示す3つの基準(胸骨後不快感、労作による誘発、硝酸薬の使用または安静により30秒から10分以内に消失)のうちの1つか2つを満たすために冠疾患が疑われた患者を対象に参加者を募集した。
心電図や血液検査から明らかに心筋梗塞が疑われる患者、洞調律ではない患者、インフォームドコンセントが得られなかった患者、5秒間の息止めができない患者、30歳未満の患者、透析を受けたことがある患者は除外した。


条件を満たした参加者は、まずCT検査を受け結果が陽性の患者のみ冠動脈造影を受ける群と、最初から直接冠動脈造影を受ける患者群にランダムに割り付けた。
どちらの検査も陽性の判定は、左主冠動脈の50%以上の狭窄、他の冠動脈の70%以上の狭窄が見つかった場合とした。
冠動脈疾患の検査前確率は、Duke臨床スコアを用いて評価した。
冠動脈CT検査には、検出器320列の機種を用いた。方法論的に患者や担当医は盲検化できなかったが、成績を評価する研究者は盲検化した。追跡は最長で2016年8月16日まで実施した。


主要評価項目は、CTまたは造影に関係する最後の処置から48時間以内の、手技に関連する主要な合併症(死亡、脳卒中、心筋梗塞、入院期間を24時間以上延長させる合併症)に設定した。
ほかに、診断率、入院期間、放射線被曝量、長期的な転帰、患者受容性などについて検討した。


試験期間中に冠動脈疾患の疑いで受診した患者739人のうち、条件を満たした患者は340人で、平均年齢は60.4歳、50%が女性で、割り付け時の検査前確率は34.6%だった。
CT群の168人のうち、インフォームドコンセントが得られなかった1人と、主治医の要望で冠動脈造影を行った2人が、割り付けから離脱した。
造影群の172人のうち10人は、試験参加を撤回したため離脱した。
そのため主要評価項目の評価対象となったのは、CT群の167人と造影群の162人だった。


評価対象となった329人中、CT群の18人と造影群の25人の合計43人(13.1%)が最終的に閉塞性冠動脈疾患と診断された。
これはDuke臨床スコアの検査前確率34.6%よりも明らかに低く、疑い患者の真の陽性率は低いことを意味する。
CT群167人のうちで冠動脈造影を受けたのは24人(14%)で、造影群では162人全員が造影検査を受けていた。
従って、前もってCTを実施すれば冠動脈造影が必要な患者を14%(95%信頼区間9-20%)まで絞り込めることが示唆された。
最終的には、CT群では冠動脈疾患疑い患者の167人中149人(88.6%)が除外でき、造影群では162人中137人(84.6%)が除外できた。


実際に冠動脈造影を受けた患者に占める閉塞性冠疾患患者の割合(診断率)は、CT群では24人中18人(75%)、造影群では162人中25人(15%)だった。
また冠動脈造影を受けた患者に占める再開通治療率でも、CT群は24人中16人(67%)、造影群は162人中23人(14%)で、明らかにCT群が優位だった。


48時間以内の主要な手技関連合併症は、0.3%とまれで、両群の発生率に差はなかった。
死亡例や脳卒中はどちらの群にも発生しなかった。
手技関連のマイナーな合併症の発生率は、CT群が3.6%、冠動脈造影群は10.5%で、多く見られたのは冠動脈造影の際の穿刺部位の血腫または二次出血だった。


CTは入院期間を短縮した。造影群では中央値52.9時間だったが、CT群は中央値30.0時間だった。
ただし、ランダム割り付け時に入院が決まっていた患者では、CT群60.3時間、造影群68.0時間で有意差はなかった。
放射線曝露量の中央値はCT群が5.0mSv、造影群は6.4mSvで差はつかなかった。


長期的な転帰への影響を調べるために、中央値3.3年追跡した。
主要な心血管イベント(MACE)は、CT群の167人中7人(4.2%)と造影群162人中6人(3.7%)に発生、調整ハザード比は0.90)で有意差は見られなかった。


329人中292人から検査に対する希望の質問票調査の回答が得られた。
患者の79%が、次に検査を受けるならCTを希望すると回答した。冠動脈造影を選ぶと回答した患者は7%だった。


これらの結果から著者らは、冠動脈造影に先行してCT検査を行うと、冠動脈狭窄の診断率が改善し、入院期間を短縮でき、長期成績も劣らないと結論している。


英文抄録
Evaluation of computed tomography in patients with atypical angina or chest pain clinically referred for invasive coronary angiography: randomised controlled trial
BMJ誌のウェブサイト





<きょうの一曲>

Shirley Bassey "Goldfinger" - Live at Royal Albert Hall, 1974.

https://www.youtube.com/watch?v=EnseiOJ2jGQ





<きょうの一枚の絵>

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高橋博和 「御岳初冬」 6号 





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世界の肥満関連死、25年で3割増 世界疾病負担(GBD )2015

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0622509035/

米国の研究グループは、世界疾病負担(GBD)2015などのデータに基づき、世界195カ国・地域における1980~2015年の肥満・過体重有病率の推移ならびに1990~2015年のBMI高値(過体重・肥満)と関連する疾病負担の動向を定量的に解析した。
結論
高BMI関連死の割合は過去四半世紀で28.3%、高BMI関連障害調整生存年(DALY)の割合は35.8%それぞれ増加していたことが明らかになった。
N Engl J Med(2017年6月12日オンライン版


1980年以降73カ国で肥満有病率倍増

全世界で2015年時点における肥満は、小児が1億770万人、成人が6億370万人と推定されており、これは小児、成人の人口のそれぞれ5%、12%に相当する。

 
成人の肥満有病率は全年齢層を通じて女性で高く、年齢別に見ると女性では60~64歳、男性では50~54歳で最も高かった。
小児の肥満有病率は男女とも14歳以前は低下するが、14歳を超えると20歳まで上昇する傾向が示された。
また、肥満有病率は小児より成人で高かったものの、肥満の増加率は大半の国で小児が成人を上回っていた。

 
人口の多い20カ国で2015年の年齢標準化肥満有病率を検討したところ、成人ではエジプト、小児では米国が最も高かった。
最も低かったのは成人ではベトナム(1.6%、同1.4~2.0%)、小児ではバングラデシュ(1.2%、同0.9~1.7%)であった。
肥満患者数は成人では中国と米国が最も多く、小児では中国とインドが最も多かった。

 
性、年齢、身長、体重、人種、民族など患者を特徴付ける社会人口統計学的特性〔Socio-demographic index(SDI)で各国を5グループに層別化〕に基づく検討では、小児・成人ともに高SDI諸国の方が低SDI諸国より肥満有病率は高い傾向にあった。
また、高SDI諸国の小児の肥満有病率は男児の方が女児より高く、思春期後期を境に逆転する傾向が認められた。

 
1980~2015年に195カ国中73カ国で全人口の肥満有病率は倍増しており、それ以外のほとんどの国でも肥満有病率は持続的に上昇していた。
 

CVDが肥満関連死の原因第1位

2015年時点で、BMI高値は全死亡の7.1%に相当する400万人の死亡、全DALYの4.9%に相当する1億2,000万DALYと関連しており、高BMI関連死および高BMI関連DALYの4割はBMI 30未満の過体重群で生じていた。

 
原因疾患別では心血管疾患(CVD)が第1位で、2015年の成人肥満患者における高BMI関連死の41%、高BMI関連DALYの34%を占めていた。

 
2015年の成人における高BMI関連死の原因の第2位は糖尿病で、次いで慢性腎臓病(CKD)、がんの順。高BMI関連DALYの原因の第2位はCKDで、他に糖尿病、がん、筋骨格疾患が上位を占めていた。


経時的に見ると、世界の肥満関連死は1990年の10万人当たり41.9人から2015年には53.7人へと25年間で28.3%増加し、高BMI関連DALYはそれぞれ1,200、1,630へと35.8%増加した。
ただし、年齢標準化死亡率および年齢標準化DALYの同期間における変化には統計学的有意差は示されず、人口の増加や高齢化、医療の進歩による疾患発症率自体の低下など複数の要因が絡んでいると考えられた。

 
疾病負担の増大は肥満有病率の増加と並行しており、先進国・新興国を問わず、肥満が公衆衛生上の主要な問題であり続けていることを示している。
しかし、肥満有病率の増加率と比べて疾病負荷の増加ペースは緩やかである。
同誌の付随論評(2017年6月12日オンライン版)では「この結果はBMI高値の期間が長くなることを意味しており、特に中国、ブラジル、インドネシアなどの中所得国で小児と若年成人の肥満率が約3倍になっている点が懸念される。肥満の早期発症は2型糖尿病や高血圧、CKDの累積発症率上昇につながりかねず、中年期以降の疾病負担増大が危惧される」と早急な対策の必要性を強調している。




<番外編>

代謝的に健康な肥満でも心疾患は高リスク

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0702509098/

・BMIと4つの代謝危険因子(HDLコレステロール低値、血圧高値、トリグリセライド高値、空腹時血糖高値)により参加者を分類し、代
 謝的危険因子なしを代謝的に健康、危険因子を1つ以上有する場合を代謝的に不健康とした。

・解析の結果、代謝的に健康な肥満男性は、代謝的に健康な標準体重の男性に比べIHD発症リスクが有意に高かったが、女性では、この関
 係は有意ではなかった)。

・代謝的に健康な過体重では、男女ともIHDリスクとの関係は認められなかった。

 



<きょうの一曲>

Lady Gaga- The Sound Of Music Tribute- Live @ Oscars

https://www.youtube.com/watch?v=L81mhwzroqU



<きょうの一枚の絵> 


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高橋博和 パリ裏通り 8号



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太っていないNAFLD患者で心血管リスク高い

http://www.carenet.com/news/general/carenet/44155?utm_source=m29&utm_medium=email&utm_campaign=2017062101

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は心血管疾患(CVD)発症のリスク因子として知られている。
NAFLDの約20%は非肥満者に発症するが、過体重でないNAFLD患者とCVD発症リスクとの関連はまだ解明されていない。
今回、京都府立医科大学の研究グループが、わが国のコホート研究の事後解析で調査したところ、過体重でないNAFLD患者でCVD発症リスクが高いことが示された。
著者らは、さらなるCVDイベントを防ぐために、過体重でなくともNAFLDに注意を払うべきとしている。
(Medicine誌 2017年5月号)


本研究は、日本人1,647人の前向きコホート研究の事後解析である。
腹部超音波検査を用いてNAFLDを診断した。
過体重はBMI≧23と定義し、参加者をNAFLDおよび過体重がどうかによって4つの表現型に分類した。
これらの表現型におけるCVD発症のハザードリスクを、ベースライン時の年齢、性別、喫煙状況、運動、高血圧、高血糖、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロールについて調整後、Cox比例ハザードモデルにて算出した。
主な結果
・CVD発症率は、NAFLDでも過体重でもない人で0.6%、NAFLDだが過体重ではない人で8.8%、NAFLDではないが過体重の人で1.8%、NAFLDかつ過体重の人で3.3%であった。

・NAFLDでも過体重でもない人と比較したCVD発症の調整ハザード比は、NAFLDだが過体重ではない人で10.4、NAFLDではないが過体重の人で1.96、NAFLDかつ過体重の人で3.14であった。



Nonoverweight nonalcoholic fatty liver disease and incident cardiovascular disease: A post hoc analysis of a cohort study.

Medicine. 2017 May;96(18);e6712. doi: 10.1097/MD.0000000000006712.

Hashimoto Yoshitaka ey al.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28471965



<きょうの一曲>

ヴィヴァルディ 「四季」より「夏」 高音質 FULL

https://www.youtube.com/watch?v=K_jEDNYz0qY


ヴィヴァルディ:「四季」 夏

https://www.youtube.com/watch?v=pXnBtxAz5rw


Antonio Vivaldi - "Summer" from four seasons

https://www.youtube.com/watch?v=g65oWFMSoK0


ANNE-SOPHIE MUTTER - Vivaldi,The Four Seasons Summer Presto

https://www.youtube.com/watch?v=124NoPUBDvA


ANNE SOPHIE MUTTER, The Four Seasons: SUMMER, Antonio Vivaldi (2/4).

https://www.youtube.com/watch?v=sULqGAgYVo0




この曲の「夏」に付けられたソネット

1楽章

灼けつく太陽のこの厳しい季節には

人も家畜も活力を失い、松も燃えあがりそうだ。

かっこうが鳴き始めるとそれにつれて

山鳩とごしきひわも歌い出す。


そよ風が心地良く吹き渡る。

しかし北風が戦いを挑むように突如としておそい

羊飼いは嵐を恐れ、

自分の不運に涙を流す。


第2楽章

激しい稲妻と雷鳴、

そして狂暴なハエの群れに

羊飼いの疲れた身体は休まることがない。


第3楽章

ああ、彼の恐れていたとおりだった。

空は雷鳴をとどろかせ、稲妻が走り、

あられが降り、熟した麦の穂を痛めつける。




<きょうの一枚の絵>

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須田剋太画 横浜港風景

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SGLT2阻害薬、第一選択薬に一歩近づく  心血管イベントのリスク減少は「クラス効果」の可能性

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201706/551723_2.html

下肢切断のリスク上昇が判明、理由はまだ不明

CANVASプログラムで新たな問題として浮上したのが、下肢切断のリスク上昇だ。
両群合わせ1万142例中187例に発生し、その29%が足関節より近位の大切断だった。
1000人・年あたりの発生率はカナグリフロジン群6.3、プラセボ群3.4となり、カナグリフロジン群のリスクはプラセボ群に比べ1.97倍に上昇していた。
下肢切断のリスクとなる患者背景として、下肢切断の既往あり、末梢動脈疾患(PAD)合併、男性、糖尿病神経障害合併などが抽出された。

Matthews氏は発表の中で、CANVASプログラムでの下肢切断リスクの上昇がみられた理由はまだ不明とし、既に米欧の規制当局が発表している注意喚起を紹介、「下肢切断のリスク因子を持つ患者は注意して観察し、潰瘍や感染といった徴候が見られたら休薬も考慮すべき」と強調した。


カナグリフロジンの投与によって得られる利益とリスクについては、下肢切断のリスクは心不全入院または腎イベントを回避できる利益に匹敵する。


これもSGLT2阻害薬のクラス効果なのか、カナグリフロジンの問題なのか、臨床試験でときに観察される全くの偶然なのか、現時点ではまだ判断できない。

今後

CANVASプログラムのデータの詳細な分析が必要となる。


EMPA-REG OUTCOMEでも、試験結果の発表直後は脳卒中リスクの上昇が問題となった。
この点についてはその後の解析で、最後の服薬から90日以上経過してからのイベント発生が実薬群18例、プラセボ群3例と実薬群で極端に多いことが判明。
服薬中止後90日までのイベントを対象にして解析すると、致死的・非致死的脳卒中のHRは1.08(95%CI:0.81-1.45)となった。


さらに東アジア人を対象とした解析でも、致死的・非致死的脳卒中はHR 0.95、非致死的脳卒中はHR 0.92であり、リスクの増加傾向は認められなかった。
このような検討により、エンパグリフロジンの服用により脳卒中が増加するのではという懸念は、一応は払拭された。
CANVASプログラムでも、同様なデータの精査が必要というわけだ。


実はCANVASプログラムにおける下肢切断の増加は、中間解析の時点から指摘されていた。
そこで既に試験が終了しているEMPA-REG OUTCOMEではデータの再評価が行われたが、下肢切断の増加は観察されなかった。
ダパグリフロジンの治験として行われた第2b/3相の30の臨床試験の再評価でも、下肢切断の頻度は実薬群9195例(8059人・年)中8例(0.1%)、対照群4629例(4177人・年)中7例(0.2%)と、増加は認められなかった。


カナグリフロジンの開発元である田辺三菱製薬によれば、同薬の国内の第2/3相の試験では、下肢切断の増加は認められていないという。CANVASプログラムに登録された患者は、末梢動脈疾患(PAD)を20.8%で合併、下肢切断の既往がある患者も2.3%に上った。
かなり動脈硬化が進行した患者が対象になっており、日本の実臨床でSGLT2阻害薬が投与されている患者像とは開きがあることも事実だ。


日本で直ちに投与患者の限定といった対応を行う必要はないと考えるが、ただ下肢切断の既往やPADがある患者に投与している場合は、フットケアを含め経過観察を確実に行っておく必要はありそうだ。


また骨折も、カナグリフロジン群で増加傾向にあった。
脆弱性骨折で23%、全ての骨折で26%の増加を示し、こちらも検討課題となった。


次の画期的新薬の姿はまだ見えず

今回の学会では、心血管安全性を評価したもう1つの大規模臨床試験として、持効型インスリンのインスリンデグルデク(商品名トレシーバ)とインスリングラルギン(商品名ランタス)を比較したDEVOTE試験の結果も発表された。
こちらは、既に心血管安全性が確認されたグラルギンに対するデグルデクの非劣性を確認するという試験デザインだ。
実際に非劣性が認められるとともに、第三者による処置が必要な場合と定義した重症低血糖は、デグルデク群の方が有意に少なかった。

新薬開発の領域では、インスリンなどポリペプチド製剤の投与経路を注射から経鼻や経口に変えようという試みが、いくつか発表され注目された。
デンマークのノボノルディスク社は、持効型インスリンの経口製剤(OI338GT)の第2a相試験を発表。
8週間の投与で、空腹時血糖の変化はグラルギンと同等だった。

これ以外にも、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動セマグルチドの経口製剤(ノボノルディスク社)、グルカゴンの経鼻製剤(米・イーライリリー社)などの発表があった。
注射剤からの転換により、患者の心理的抵抗感の改善が期待される。

ただノボノルディスクによれば、経口セマグルチドの開発にリソースを集中するため、経口インスリンOI338GTの開発は現在中断しているという。
新規糖尿病治療薬の開発に当たっては、数千から1万人以上の患者を数年間追跡する大規模臨床試験まで要求される。
この膨大な費用が通常の新薬開発費に上乗せされることも、候補を絞らなければならない一因のようだ。

また、新たな作用機序を持つ経口糖尿病治療薬としては、G蛋白質共役型受容体(GPR)-119の作動薬であるDS-8500aに関して、国内第2相治験の成績を横浜市立大学分子内分泌・糖尿病内科学教授の寺内康夫氏らが発表した。

GPR-119作動薬は腸管L細胞に作用してGLP-1の分泌を促すほか、膵臓β細胞に作用してインスリン分泌を促進する。
いわば、経口投与可能なGLP-1作動薬といった特性を持つ薬物だ。
DS-8500aは第一三共が日米で開発している薬剤で、28日後の24時間加重平均血糖値はプラセボ群に比べ有意に低下し、忍容性も良好だった。

ところがDS-8500aも、今年になり同社の開発パイプラインから姿を消した。
その理由は公表されていないが、用量設定試験で何らかの問題が生じたようで、これで臨床試験に入っているGPR-119作動薬はなくなったという。
GPR-119作動薬と同様な作用機序を持つGPR-40作動薬fasiglifam(武田薬品工業)も、肝障害を理由に開発が中止されている。
SGLT2阻害薬の次を担う画期的新薬の姿は、まだ見えてこない。




<きょうの一曲>

Julie Andrews - The Sound Of Music (Rodgers & Hammerstein II) 1989 - Live in Los Angeles - USA

https://www.youtube.com/watch?v=kRkLFkvsUhA




<きょうの一枚の絵>

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奈良岡正夫  「旭日」 4号






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SGLT2阻害薬、第一選択薬に一歩近づく 心血管イベントのリスク減少は「クラス効果」の可能性

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201706/551723.html

2-17.6.8~13の5日間、米サンディエゴで第77回米国糖尿病学会学術集会(ADA2017)が開催された。
今回最も注目されたのは、SGLT2阻害薬カナグリフロジン(商品名カナグル)の心血管安全性を評価した大規模臨床試験「
CANVASプログラム」の発表だ。
エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)に次いで心血管(CV)イベントリスクの有意な減少を示したことで、
CVリスク減少作用はSGLT2阻害薬に共通した「クラス効果」である可能性が強まった
第一選択薬に一歩近づいたといえるが、一方で
下肢切断の増加が判明し、新たな懸念材料となった。


主要評価項目であるMACE(複合CVイベント)アウトカムのハザード比は、カナグリフロジン群で0.86だった。
CANVASプログラムの主任研究者が主要評価項目のグラフを示して話し始めると、7500席もある大会場を埋めた聴衆から大きな拍手が沸いた。


CANVASプログラムとは、カナグリフロジンの心血管安全性の評価を目的に、米食品医薬品局(FDA)の要請で行われた大規模なランダム化比較試験。
CVイベントのリスクが高い2型糖尿病患者を、標準的な薬物治療にカナグリフロジンを上乗せする群と、プラセボを上乗せする群にランダムに割り付けた。
未承認の用量設定群(300mg/日)があったため日本は参加していないが、世界30カ国667施設から登録された計1万142例の患者を、中央値で3.6年追跡した。

私的コメント
「CVイベントのリスクが高い2型糖尿病患者」の定義はどのようなものでしょうか。 

主要評価項目である心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合CVイベント(MACE)の発生率は、カナグリフロジン群がプラセボ群に比べ14%低下し、両群間に有意差を認めた。


主要評価項目を構成する心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、また主要な副次評価項目である総死亡については、有意ではなかったももの、カナグリフロジン群でイベントリスクが減る傾向は一貫していた。
さらに、心不全による入院は33%、主要な腎アウトカムである微量アルブミン尿の進展も27%、それぞれカナグリフロジン群で大幅にリスクが低下していた。


私的コメント
心不全を除外した検討もされているのでしょうか。
 

過去にロシグリタゾン(日本未発売)で心筋梗塞の増加が指摘され、実際に欧州では同薬の発売が中止された。
この問題を契機に米FDAは、新規の糖尿病治療薬に対し心血管安全性の評価を求めるようになった。
その臨床試験で、実薬群のCVリスクの有意な減少を初めて報告したのが、同じSGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンを被験薬としたEMPA-REG OUTCOME試験だ。


CANVASプログラムの中心的メンバーの一人は、「2つの試験は対象患者など多くの条件が異なり、直接比べることは時に有害ですらある」と限界を強調しながらも、「EMPA-REG OUTCOMEの結果とCANVASプログラムの結果は、多くのアウトカムがほぼ同様な傾向を示している」と指摘。
心不全入院や腎アウトカムを含めたCVイベントのリスク減少はSGLT2阻害薬のクラス効果と考えられることを示唆した。


2つの試験が同様な傾向を示したことで、CVイベントのリスク減少作用はSGLT2阻害薬のクラス効果である可能性が高まった。


欧米で使われているSGLT2阻害薬は、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン(商品名フォシーガ)の3種類。
前2者は、CVリスクの減少を示すことができた。
最後に残ったダパグリフロジンの心血管安全性を評価する
DECLARE-TIMI 58試験は、2019年にも結果が明らかになる。


DECLARE-TIMI 58は、CVDの既往がないが高リスクの患者1万例と、CVDの既往がある7000例の2型糖尿病患者を対象にした、これまでで最も大規模な試験だ。
ここでも同様な結果となれば、CVイベントのリスク減少作用はSGLT2阻害薬のクラス効果であるという評価が確立し、糖尿病治療ガイドラインも大きく書き換えられることになるだろう。

<番外編>

ストレスホルモンが冠動脈石灰化に関係か

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0629509097/

(MT2017.6.29)

・ストレスホルモンであるコルチゾル高値と”幸せホルモン"の別名があるドパミン低値は、いずれも冠動脈石灰化(CAC)と独立した関係を示すことが、米国のグループによりAm J Cardiol(2017; 119: 1963-1971)に発表された。

・この関係は男性と女性の両方で見られ、性差は認められなかった。




<きょうの一曲>

Jacqueline du Pre & Daniel Barenboim - Elgar Cello Concerto

https://www.youtube.com/watch?v=OPhkZW_jwc0





<きょうの一枚の絵>



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伊東賢「初夏」油彩20F

http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2017/07/11-2.html




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高齢者のアスピリン常用、予想以上の出血 PPI非併用例で

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0628509036/

英国の研究グループは、英国の急性心血管イベントに関する住民対象研究Oxford Vascular Studyの10年間の追跡データを解析した結果、虚血性血管イベントの既往を有する75歳以上のアスピリン常用者がプロトンポンプ阻害薬(PPI)をルーチンで併用しない場合は、障害または死亡に至る大出血のリスクが予想以上に高くなるとLancet(2017年6月13日オンライン版)に発表した。


上部消化管出血による障害・死亡リスクが75歳未満の10倍

研究グループは、Oxford Vascular Studyにおいて2002~12年に一過性脳虚血発作または脳梗塞(2,072例)あるいは心筋梗塞(1,094例)を初発後、主にアスピリンによる抗血小板療法を受けた計3,166例(50%がベースラインで75歳以上)を2013年まで追跡した。
その結果、1万3,509人・年の追跡期間中に405例の初発出血イベントが発生し、そのうち162例(40%)が上部消化管出血であった。

 
大出血を除く出血のリスクは年齢と無関係で、大出血に関しても70歳未満では年齢に伴うリスク上昇は認められなかった。
しかし、70歳を超えると大出血リスクが急激に上昇し、75歳未満と比較した75歳以上の大出血のハザード比(HR)は3.10(95%CI 2.27~4.24、P<0.0001)であった。
特に上部消化管大出血のリスク上昇が顕著で、障害または死亡に至る上部消化管大出血のリスクが大幅に上昇した。

 
75歳以上の上部消化管大出血は、62%が障害または死亡に至るもので(75歳未満では25%)、障害または死亡に至る頭蓋内出血より大幅に多く、絶対リスクは1,000人・年当たり9.15であった。


PPI併用はわずか3割、併用を推奨すべき

一方、虚血性血管イベント発生後1年の時点でPPIを使用していた患者は33%にすぎなかった。
5年間で障害または死亡に至る上部消化管出血を1例減らすためのPPIの治療必要数は、65歳未満では338と算出されたのに対して、85歳以上では25に低下した。

 
以上の結果から、研究グループの代表は「ルーチンでPPIを併用せずにアスピリンによる抗血小板療法を受けている75歳以上の患者は、75歳未満に比べて長期的な大出血リスクが高く、特に障害または死亡に至る上部消化管出血のリスクが大幅に上昇する。今後の二次予防ガイドラインではPPI併用を推奨すべき」と結論付けている。
ただし、「今回の解析対象はアスピリン75mg腸溶錠の使用者が大部分を占めており、この結果は用量・剤形の異なるアスピリンや他の抗血小板薬の使用者には当てはまらない可能性がある。また、PPIの長期使用による副作用は考慮しなかった」と指摘している。

 
同誌の付随論評では「今回の研究結果を踏まえると、75歳以上の患者では長期の抗血小板療法によるベネフィットとリスクの関係を3~5年ごとに評価すべきだ。また、今回の結果は、抗血小板療法を受けている75歳以上または消化管出血の既往を有する患者におけるPPI併用の必要性を裏付けるものだ。抗血小板療法を受けている患者ではPPIが十分に使用されていないが、その理由はおそらく上部消化管出血という転帰が過小評価されているからだろう」と述べている。

私的コメント
「抗血小板療法を受けている75歳以上または消化管出血の既往を有する患者におけるPPI併用の必要性を裏付けるものだ」・・・ということは、アスピリン以外の抗血小板療法にもPPI併用ということでしょうか。 



抗血小板薬へのPPI併用

抗血小板薬へのPPI併用,消化管出血高リスク者へは推奨 米3学会が新しいエキスパートコンセンサスを発表

https://medical-tribune.co.jp/mtpronews/1011/1011031.html

米国心臓病学会財団(ACCF),米国消化器病学会(ACG),米国心臓協会(AHA)は11月8日,上部消化管(GI)出血リスクが高い者がチエノピリジン系抗血小板薬を使用する際,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用を勧めるエキスパートコンセンサスを発表した。2008年のコンセンサス後,両薬の併用による有害作用が報告され,臨床現場に混乱が生じていたが, 上部GI出血のリスクが高い場合,ベネフィットが潜在リスクを上回るとの判断を下した格好だ。

GI出血の既往者にPPI併用を推奨。上部GI出血リスクが複数ある場合〔高齢,抗凝固薬やステロイド,アスピリンを含む非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の同時使用,H.pylori菌感染〕にはPPI併用を妥当とする。ただし,上部GI出血のリスクが低い場合,ルーチンの使用を推奨しない。


循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_hori_h.pdf

2008 年には,クロピドグレルと PPI の併用が,心血管イ ベントを増加させ予後に悪影響を与えるとの報告が多く みられたが,2009 年以降は,併用による予後への悪影 響については否定的なデータが多く報告されている.二 重盲検ランダム無作為化試験の結果はただ1つ COGENT 試験 543)のみで,この試験では心血管死,非致死性心筋 梗塞,冠動脈バイパス術,経皮的冠動脈形成術,虚血性 脳卒中の複合エンドポイントが設定されているが,ハザ ード比は 1.02(95%信頼区間 0.70 ~ 1.51)であり,PPI

(オメプラゾール)併用はこれらの心血管イベントを増 加させていないことが確認された.

2009年11月17日には米国FDAから,クロピドグレ ルと PPI(オメプラゾール)併用によりクロピドグレル の抗血小板効果が減弱するとの警告がなされた 544).  現時点でのエビデンスでは,クロピドグレルと PPI(オ メプラゾール)併用では ex vivo で評価された抗血小板 効果を減弱すると考えられる.しかし,その抗血小板効 果減弱作用が,心血管イベント増加にまで関与するかに ついては否定的なデータが集まりつつあるが,まだエビ デンスは十分ではないと思われる.


タケルダ配合錠の効能・効果

次記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る):狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)、冠動脈バイパス術<CABG>施行後あるいは経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行後。


私的コメント;
保険病名として
胃潰瘍の病名は必要なのでしょうか。


参考 
各薬剤薬価の対比

バイアスピリン       5.6円

タケプロン錠15mg    80.6円    (ジェネリック 31.5円)          プラビックス75mgのジェネリックとほぼ同薬価。

タケルダ              80.6円

プラビックス75mg  201.2円    (ジェネリック 90.9円)

コンプラビン配合錠   265.6円    (クロピドグレル75gとアスピリン100mg)     どうしてこんな高薬価になるんだろうか。





<きょうの一曲>

Beethoven:Cello Sonata No.3/Yo-Yo Ma & Emanuel Ax

https://www.youtube.com/watch?v=X9pivx91mVk



きょうの一枚の絵>

ken_ito002

伊東賢  「初夏の高原」

https://www.nichido-garo.co.jp/artist/ken_ito.html


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HRTが動脈硬化の進展を抑制か  死亡リスクも低下、米・後ろ向きコホート研究

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0327506804/

更年期障害の症状を改善するためにホルモン補充療法(HRT)を受けている女性では、HRTを受けていない女性に比べて死亡リスクが低く、冠動脈石灰化スコアで評価したプラーク蓄積も少ないことが米国の閉経後女性約4,000例を対象とした後ろ向きコホート研究で示された。
米国の研究グループが第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC 2017、3.17~19、ワシントンD.C.)で発表した。


HRTによる利益と害が議論の的に

HRTによる健康への影響をめぐっては、骨粗鬆症リスクの低減や心血管マーカーの改善といった有益性に関する報告がある一方で、がんや脳卒中などのリスク上昇に関連するとした害についても指摘があり、数十年来にわたり議論が続いていた。
そこで、彼らは今回、閉経後女性を対象とした大規模コホート研究を実施し、HRTが冠動脈石灰化と死亡リスクに及ぼす影響について後ろ向きに検討した。

 
解析対象は、1998~2012年に同氏らの施設でCT検査を受け、冠動脈石灰化スコアを測定した無症候の閉経後女性患者4,286例(平均年齢62.4歳)。
41%がCT検査時にHRTを受けていた。
HRT施行率は1998年の60%から2012年には23%まで低下していた。
CT検査時の平均年齢はHRT非施行群の60歳に対してHRT施行群では64歳と有意に高齢だった。


非施行群に比べ死亡リスク30%減

平均8.4年の追跡期間中に6.3%が死亡した。
死亡率はHRT非施行群の6.8%に対してHRT施行群では5.8%と低く、年齢、冠動脈石灰化スコア、心血管危険因子(糖尿病、高血圧、高コレステロール血症など)で調整後の死亡リスクは30%低下した。
また、HRT非施行群に比べてHRT施行群では冠動脈石灰化スコアが0となる割合が高く、同スコアが399以上となる割合は低い(ことが示された。

 
この研究グループは「年齢層別、冠動脈石灰化レベル別といった全サブグループにおいて、HRTは動脈硬化の進展を抑制し、死亡リスクを低下させることが示された」と結論。
ただし、「HRTによるベネフィットが期待できない患者群、あるいは害が予想される患者群を同定するための前向き研究やランダム化比較試験を実施する必要がある」との見解を示している。



<関連サイト>

男性ホルモン補充療法で冠動脈プラーク増加

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0316506740/?adlpo_rcc=1

血清テストステロン低値の高齢男性に対するテストステロン療法により冠動脈の非石灰化プラークが増加することを示す試験結果が、米国のグループによりJAMA(2017; 317: 708-716)に発表された。

 
テストステロン療法と心血管リスクとの関係は明らかにされていない。
同グループは、テストステロン低値の高齢男性への同療法は冠動脈の非石灰化プラークの進行を抑制するという仮説を検証した。

 
対象は2回の測定による平均血清テストステロン値が275ng/dL未満で、性腺機能低下症が疑われる症状を呈する65歳以上の男性170例。
若年男性の正常テストステロン値を維持できるように用量を調整したテストステロンジェル群に88例、プラセボジェル群に82例をランダムに割り付けた。
使用期間は1年間。主要評価項目は、冠動脈CTで評価した非石灰化プラーク容積の変化とした。

 
試験を完遂した138例を解析対象とした。平均年齢は71.2歳だった。
138例中70例(50.7%)には、登録時の冠動脈石灰化スコア(Agatstonスコア)300超の重度アテローム硬化症が認められた。

 
解析の結果、1年間の非石灰化プラーク容積の増加はテストステロン群が有意に大きく、プラセボ群と比較した増加の推定差は+41mm
であった。テストステロン群では全プラーク容積も有意な増加を示した


1年後の冠動脈石灰化スコアはプラセボ群がわずかに上昇したのに対し、テストステロン群ではわずかに低下した。



心筋梗塞後のED薬使用で死亡リスク減?
https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0325506799/

初回心筋梗塞後の男性において、勃起障害(ED)治療薬であるPDE-5阻害薬の使用が全死亡および心不全による入院のリスク低下に関連することが、スウェーデンのコホート研究で示された。
第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC 2017、3月17~19日、ワシントンD.C.)で発表された。
、詳細はHeart(2017年3月9日オンライン版)にも掲載。


初回心筋梗塞患者4万例を3年間追跡

EDは、健康な男性において心血管疾患リスク上昇との関連が指摘されている。
しかし、心筋梗塞後のED治療と心血管アウトカムや死亡リスクとの関連を検討した研究はなかった。

 
今回、スウェーデン国内の全病院の診療記録を収録したデータベースを用いた後ろ向き研究で検証した。
解析対象は、2007~13年に初回心筋梗塞で入院した80歳未満の男性で、血行再建術の施行およびED〔PDE-5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)またはアルプロスタジルの処方歴と定義〕の既往がない4万3,145例とした。


PDE-5阻害薬の処方回数増えると死亡リスクもさらに低下

初回心筋梗塞後、平均3.3年の追跡期間中に7%がED治療薬(PDE-5阻害薬92%、アルプロスタジル8%)を処方されていた。
糖尿病、心不全および脳卒中などの心血管リスク因子で調整後の全死亡リスクは、ED治療薬の非処方群に比べて処方群で33%低下していた。
ただし、アルプロスタジル処方と死亡リスクとの間に関連は認められなかった。

 
また心不全による入院リスクも、ED治療薬の非処方群に比べ、処方群で40%低下していた。
さらに、ED治療薬のうちPDE-5阻害薬の処方回数が1回、2~5回、6回以上だった群では、アルプロスタジル処方群と比べ死亡リスクがそれぞれ34%、53%、81%低下することが示された。


「心筋梗塞後のPDE-5阻害薬使用は安全」

今回の研究結果について、研究代表者は「後ろ向き研究であるため、因果関係を示すものではない。PDE-5阻害薬を必要とする男性は性的に活発であると考えられるため、全般的に健康なライフスタイルを送っている可能性もある」と慎重な解釈を求めた。
その一方で「サンプルサイズが不十分であるため慎重に結果を解釈する必要はあるが、初回心筋梗塞後にPDE-5阻害薬を処方された男性では、用量依存性とみられる死亡リスクの低下が示された」として、初回心筋梗塞後の男性に対する同薬の使用は安全なだけでなく、有益である可能性もあるとの見解を示した。


さらに、これまでの研究では健康な男性でED治療薬と心血管疾患リスクとの関連が指摘されていたのに対し、今回は心血管への好ましい影響が示唆された点について「PDE-5阻害薬は当初、狭心症治療薬として開発された。また、先行研究ではPDE-5阻害薬の使用が左室負荷を軽減する左室の血圧低下に関連することが示されており、こうした作用が今回の結果に寄与している可能性がある」と考察している。




 

<診察室の独り言>

和歌山県の薬メーカーがアセトアミノフェン(AA)や抗てんかん薬のゾニサミドの製造で、使用原料を「医薬医療機器総合機構(PMDA)」に無届けで使用原料を変更していたというニュース。

チェック機構(PMDA)の杜撰かつ薬メーカーの大胆さが浮き彫りにされた。

しかし、PMDAは厳密にはチェック機構ではなく変更届の受領機関のようだ。

要するに少なくとも日本では監視体制がお粗末なのだ。


「承認薬の安全性を担保するため、製造方法や使用原料を勝手に変更することは医薬品医療機器法で禁じられており、無届けでの変更は同法に違反する」と新聞には書かれていた。
いかにも問題が発生してからの事後処理の感がある。 

海外の有名ブランドのセラ◯は、発売後間もなく使用期限が1年以内の製品が流通していたことがあった。
あくまでも噂だが、南米(?)で大量に作り置きしたものが流通したという。 
また、配合剤としてのアムロジピンなどは、どのジェネリックが使用されているのかは担当MRに訊いてもわからない。
もちろん添付文書にも記載されていない。
MRに知らされていないのか箝口令が敷かれているのかも分からない。
消費者は当然知る権利があるだろうし、処方する医師の側も無関心ではいられないことなのに・・・。 





<きょうの一曲>

John Coltrane and Johnny Hartman - My One and Only love

https://www.youtube.com/watch?v=b4KOtSkiFKo 



<きょうの一枚の絵> 

fantastic_paintingyujin_koyamajapan

小山右人 「水面翔る(みなもかける)」

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SGLT2阻害薬が真価を発揮しうる患者像示す 持続血糖モニターによる検討

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0626509064/

SGLT2阻害薬にはさまざまな治療効果が期待できるが、その適切な使用法や対象患者については現在も検討が重ねられている。
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の西村理明氏は、持続血糖モニター(CGM)を用いて同薬の血糖改善効果を検証し、高い有効性が得られる可能性のある患者を第60回日本糖尿病学会(2017.5.18~20)で示した。


低炭水化物食の摂取下では糖尿病ケトアシドーシスのリスク上昇

西村氏はこれまで、日本人2型糖尿病患者を対象とした検討で、SGLT2阻害薬が患者の平均血糖値を低下させ、その血糖変動を全体的に下方へシフトすることを、CGMを用いて示してきた

 
また、これらの検討のうち、ルセオグリフロジンを使用した症例の中から、同意を得られた18例に対しプラセボまたは同薬を投与して7日目、8日目にそれぞれ通常の糖尿病食(炭水化物の割合が55%)、低炭水化物食(同割合が25%)を摂取してもらった状態でCGMを実施した。

 
その結果、低炭水化物食摂取下のプラセボ投与群では、食後を中心に血糖値は改善したものの、夜間はあまり改善せず、通常の糖尿病食および低炭水化物食摂取下のルセオグリフロジン投与群では24時間を通して改善が見られた。
ルセオグリフロジン投与群における尿糖排泄量はいずれの食事摂取下でもほぼ同等であったという。

 
しかし、糖尿病ケトアシドーシスの指標となる
血中βヒドロキシ酪酸濃度を見ると、低炭水化物食摂取下のルセオグリフロジン投与群ではCGMの計測を開始した直後から平均値が約200~400μmol/Lと、他の群より高いレベルで推移し、最も高い例では3,030μmol/Lにまで達した。


これらの結果を踏まえ、「過度の炭水化物制限下でSGLT2阻害薬を投与すると糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高まることに留意する必要がある」と指摘した。

私的コメント
当然といえば当然の結果です。 


食後高血糖非改善群に対する脂肪肝、血糖値などの改善に期待

さらに、同検討の症例を食後血糖値が低下した食後高血糖改善群(改善群)と低下しなかった食後高血糖非改善群(非改善群)に分けて解析したところ、1日当たりの累積尿糖排泄量や血清インスリン濃度の日内変動については両群で同様だったが、血漿グルカゴン濃度は改善群に比べ非改善群で著明に上昇していた。


非改善群について、「血漿グルカゴン濃度が著明に上昇し、糖新生が亢進していたと考えられる。今回の検討では短期間の投与であったことから改善が見られなかったが、こういった症例に対して数カ月~半年程度継続してSGLT2阻害薬を使用すれば、脂肪肝、血糖値などの改善が期待できるのではないか」との見解を示した。

 
これまでCGMを活用し、糖尿病治療における低血糖リスクを抑制することの重要性を強調してきたという同氏は「低血糖が発生しにくいとされるSGLT2阻害薬に関する知見をさらに得た上で、他の薬剤とのより望ましい組み合わせを模索していきたい」と述べた。


私的コメント
良質な血糖コントロールが心血管イベントをどれだけ下げるか、言い方をかえれば
血糖コントロールの質が心血管イベントの発生頻度にどれだけ関与するのかというエビデンスの検証が根本的な問題ではないでしょうか。
それには費用対効果やNNTも当然含まれます。 


当然のことですが糖尿病治療の目的(本質)は合併症の予防です。
周知のように、従来から糖尿病
の三大合併症として神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症が知られています。
循環器専門医としては、どうして心血管や脳血管などの大血管障害が含まれていないのか少し考えると不思議に思います。
これはひょっとして、糖尿病コントロールによっては大血管障害は克服できないという先人の「先見の明」だったのでしょうか。
SGLT2阻害薬の登場により、この大血管障害への介入が俄かにクローズアップされて来た感があります。
この経口糖尿病薬の効果は、
EMPA-REG OUTCOME 試験で短期間でみられたことから抗動脈硬化効果とは異なる機序のようです。
糖尿病専門医、循環器専門医ともどもが最も注目すべき経口糖尿病薬に躍り出ました。



 

<きょうの一曲>

You Are Too Beautiful - John Coltrane with Johnny Hartman

https://www.youtube.com/watch?v=KCEl4FGVR7I 



<きょうの一枚の絵>


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村田省蔵「湖畔新緑」

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m138119871




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わが国の糖尿病の実像が明るみに  大規模臨床試験J-DOIT3の結果公表時期は?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0623509054/

(MT2017.6.23)
糖尿病の病態や治療効果は国内外で異なっているため、日本人糖尿病患者への治療をより適切に行うためには、わが国における大規模臨床試験で、糖尿病やその合併症の実像を克明に捉える必要がある。
国立国際医療研究センター糖尿病研究センター長の植木浩二郎氏は、糖尿病に関する大規模臨床試験J-DOIT3の解析結果の一部を第60回日本糖尿病学会(2017.518~20)で報告し、最終的な解析結果の公表時期についても明らかにした。


強化療法群での血圧、脂質、血糖値は先行研究と同程度に改善

J-DOIT3は日本人糖尿病患者への治療による、心血管合併症の抑制効果について調査する大規模臨床試験で、2006年から始まり、日本全国81の医療施設が参加し、高血圧ないし脂質異常症のある2型糖尿病患者2,542例を対象として登録。


私的コメント
2,542例という症例数はどうなんでしょうか?
単純計算で1施設30症例という症例数となります。
「高血圧ないし脂質異常症のある2型糖尿病患者」という条件を満たす症例は山の数ほどあるはずです。

対象を、日本糖尿病学会が定める管理目標値であるHbA1c 6.9%未満、血圧130/80mmHg未満、LDL-C 120mg/dL未満を達成する従来療法群、HbA1c 6.2%未満、血圧120/75mmHg未満、LDL-C 80mg/dL未満の管理目標を達成する強化療法群に均等に分け、2016年3月まで介入を実施した上で、大血管合併症および全死亡率を比較した。


その結果、強化療法群のHbA1cは平均でおよそ6.8%、収縮期血圧123mmHg、拡張期血圧71mmHg、LDL-C 85mg/dLとなり、先行の大規模臨床試験の結果と同等ないしはさらに良好な各因子の改善が認められたという。


死亡数、血管合併症の発生数など示す

主要評価項目である全死亡の発生数は両群合わせて97例、心疾患は100例(うち心筋梗塞16例)、脳血管疾患は57例(うち脳梗塞47例)で見られ、副次評価項目の下肢血管障害は29例だったが、下肢切断に至った例はなく、腎症は453例だったが、透析に至った例は5例、網膜症は1,100例だったが、失明に至った例は1例のみであった。


これらの結果に関して、植木氏は「わが国の糖尿病患者は、
心疾患と脳血管疾患というおおまかな定義で見ると前者の発症者が多いが、定義が明確な心筋梗塞と脳梗塞で比較すると後者の発症者が多いという特徴があることが確認された。また、重篤な最小(正しくは細小)血管障害はほとんど見られないことも示された」と説明した。

 
さらに、重篤な副作用の発生率は従来療法群、強化療法群ともに非常に低く、特に重篤な低血糖の発生率については、海外の糖尿病に関する大規模臨床試験の結果と比較すると顕著に低く、わが国の糖尿病治療における安全性が明示された。


最終的な解析結果の発表は9月の欧州糖尿病学会で

J-DOIT3の解析結果について、植木氏は「欧米の研究に比べて心血管死が非常に少なく、腎症の進展も低率であるなどの特徴がうかがえる。この試験で得られた知見は、糖尿病の診療ガイドラインにも反映されるだろう」との見方を示し、現在、同試験における対象症例の長期的な予後を検討するため、5年にわたる追跡研究を実施していることも付言した。

 
なお、J-DOIT3の最終的な解析結果は、今年(2017)9月に開かれる第53回欧州糖尿病学会で発表される。


私的コメント

糖尿病に関しては、諸外国のデータを鵜呑みにしてはいけないということが浮き彫りになりました。
そういった意味ではJ-DOIT3の意義は大きいものと思われます。
脳血管疾患のうち脳梗塞が大半を占めることも再認識出来ました。
(たとえばですが、糖尿病合併高血圧症と高血圧合併糖尿病で大規模臨床試験を行うと、
脳梗塞と脳出血の割合がはたして変わるでしょうか) 



<きょうの一曲>

Bach Swinging, Jacques Loussier & Bobby McFerrin

https://www.youtube.com/watch?v=q71LjwZ4XXs



<きょうの一枚の絵> 

20100819212304d5a

安彦文平(1969~) 「花と野菜」 

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尿酸値と関連するアウトカムは?/BMJ

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/44137

これまでに200件超の検討(システマティックレビュー、メタ解析、メンデル無作為化試験)で、尿酸値と136個のヘルスアウトカムの関連が報告されていたが、尿酸値との明確な関連のエビデンスが存在するのは、痛風と腎結石だけだという。
英国の研究グループが明らかにしたもので、「可能な限りのエビデンスを入手したが、高尿酸血症に関連した臨床での現行の推奨変更を支持するものはなかった」とまとめている。
(BMJ誌 2017.6.7)


観察研究、無作為化試験、メンデル無作為化試験のエビデンスを精査

これまでに観察研究では同関連について、心血管および代謝性疾患のリスク増大や神経系の疾患リスクの低下などが示唆されているが、確証はない。
また、尿酸値降下の臨床試験で、キサンチンオキシダーゼの阻害が血圧を降下し腎機能を改善することが示唆され、尿酸値が全身性炎症に関係するキサンチンオキシダーゼ活性などの因子の簡易なマーカーとなり得るか、議論が続いていた。


研究グループは、尿酸値と多様なヘルスアウトカムの関連について、観察研究、無作為化試験およびメンデル無作為化試験からのエビデンスを複合レビューする検討を行った。
適格基準論文は、尿酸値とヘルスアウトカムの関連を調べたシステマティックレビュー&メタ解析の報告、尿酸値降下治療に関連してヘルスアウトカムを調査した無作為化試験のメタ解析の報告、尿酸値とヘルスアウトカムの因果関係を探索したメンデル無作為化試験の報告とした。


痛風と腎結石以外の関連エビデンスは示されず

検索の結果、観察研究論文57本(システマティックレビュー15件、メタ解析144件)、無作為化試験のメタ解析論文8本、メンデル無作為化試験36本が適格基準を満たした。


全体で、136の特色あるヘルスアウトカムが報告されていた。


観察研究のメタ解析で報告されたアウトカム76個(心血管13、糖尿病関連9、腎障害7、認知障害11、がん6、全死因・特異的死亡22、その他8)のうち、16個がp<10-6であった。
無作為化試験のメタ解析で報告されたアウトカム20個(腎障害10、内皮機能2、死亡4、その他4)では、8個がp<0.001であった。
メンデル無作為化試験の報告アウトカム56個(身体計測変数9、心血管15、代謝異常5、腎障害6、認知障害5、代謝産物11、全死因・特異的死亡3、その他2)では、4個がp<0.01であった。


概して試験間の不均一性の差が大きく(観察研究のメタ解析80%、無作為化試験のメタ解析は45%)、観察研究のメタ解析42件(55%)と無作為化試験のメタ解析7件(35%)のエビデンスは、試験効果が小さくまたはバイアスが過剰に有意であった。


観察研究のメタ解析からの関連性(5つの関連:尿酸値高値と心不全、高血圧、血糖障害または糖尿病、慢性腎臓病[CKD]、冠動脈性心疾患死のリスクの増大)については、非常に示唆的であるとの理由で、根拠に乏しいものと分類された。


無作為化試験のアウトカムでは1個のみ(尿酸値降下治療で腎結石の再発リスクが低下)がp<0.001を示し、95%予測区間にゼロ値を含まず、大きな不均一性およびバイアスもみられなかった。


またメンデル無作為化試験のアウトカムでも1個のみ(尿酸値高値は痛風リスクを増大)で、確たるエビデンスがみられた。


メタ解析の所見を比較した検討において、高血圧とCKDは、観察研究のメタ解析ではエビデンスがあることが示された。
無作為化試験のメタ解析では、いずれも不完全もしくは代替アウトカムでエビデンスがあることが示されたが、メンデル無作為化試験については統計的に有意なエビデンスは示されなかった。


英文抄録

Serum uric acid levels and multiple health outcomes: umbrella review of evidence from observational studies, randomised controlled trials, and Mendelian randomisation studies.

Xue Li, et al.

BMJ (Clinical research ed.). 2017 Jun 07;357;j2376. doi: 10.1136/bmj.j2376.

http://pmc.carenet.com/?pmid=28592419&keiro=journal






<きょうの一曲>

Johnny Hartman - The Nearness Of You

https://www.youtube.com/watch?v=w1T3s5QY-WI



<きょうの一枚の絵> 


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寺久保文宣(1964~) 「枇杷の実のあるシンフォニア」

http://nekoarena.blog31.fc2.com/blog-entry-732.html?sp 





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SGLT2阻害薬でのリスク低下、CV既往によらず

CVDの既往の有無で層別した解析結果、CVD-REAL研究より

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201706/551717.html

(MT 2017.6.5)
欧米の実臨床における医療データベースを解析したCVD-REAL研究から、心血管疾患(CVD)の既往の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬投与による総死亡や心不全入院リスクの低減効果は一貫して認められたと、第77回米国糖尿病学会学術集会(ADA2017、6.9~13、サンディエゴ)で米国の研究グループが報告した。


CVD-REALは、米、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、英の6カ国の診療報酬請求、医療記録、国家レジストリーのデータなどを用いて、実臨床におけるSGLT2阻害薬のCVイベント抑制効果を検証した観察研究。


主解析の主要評価項目は心不全による入院、副次評価項目は総死亡、総死亡と心不全入院の複合だが、今回は死亡に関するデータが得られなかったドイツを除く5カ国のデータを用いて、まず総死亡、次いで心不全入院、総死亡と心不全入院の複合について、CVDの有無による層別解析を行った。
CVDは、心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈再灌流療法の施行、末梢動脈疾患、脳卒中/一過性脳虚血発作、心不全とした。


データベースから、妊娠糖尿病を除く18歳以上の2型糖尿病患者で、新規にSGLT2阻害薬の投与が開始された患者(16万4501例)、およびSGLT2阻害薬以外の糖尿病治療薬(注射剤含む)の投与が開始された患者(120万2230例)を抽出。
これに傾向スコアマッチングを行って、両群それぞれ15万3078例の集団を設定した。
SGLT2阻害薬群では1万9529例、他の糖尿病治療薬群では1万9764例にCVDの既往があった。


両群の患者背景に大きな差はなく、年齢57歳、女性比率44.3%、CVD既往13%などで、糖尿病治療薬として79%にメトホルミン、39%にSU薬、33%にDPP-4阻害薬、19%にGLP-1作動薬、29%にインスリンが投与されていた。
他の併用薬は降圧薬80%、スタチン68%などだった。


死亡率はCVD既往者で100人・年当たり(以下同様)2.4、非既往者で0.6だった。
CVD既往者での死亡率を薬剤別にみると、SGLT2阻害薬群1.4、他の糖尿病治療薬群3.5だった。


CVD既往者の死亡は3万153例中569例で、薬剤別の総死亡の発生リスクはSGLT2阻害薬群の方が他の糖尿病治療薬群より53%、有意減少していた。
CVD非既往者での死亡は18万5469例中765例で、SGLT2阻害薬群の方が発生リスクは46%、有意減少していた。


心不全入院についても傾向は同様で、CVD既往者3万9293例中706例が心不全で入院、その発生リスクはSGLT2阻害薬群の方が31%、有意に低下していた。
CVD非既往者では26万6863例244例で、その発生リスクはSGLT2阻害薬群の方が55%、有意に低下していた。


発表者は「SGLT2阻害薬による死亡や心不全入院のリスク減少は、CVDの有無や国による違いは認められなかった。
幅広い背景因子を持つ2型糖尿病患者で、同薬投与による利益が期待できる」とまとめた。


得られたリスク減少は大幅だったが、CVD-REALはデータベースを用いた観察研究であり、追跡期間も7~8カ月間(中央値)と短い。
その間の糖尿病治療薬の新規処方開始とイベントとの関連ということであり、解釈にはおのずと限界がある。


現在進行中のダパグリフロジンの心血管安全性を評価するランダム化比較試験DECLARE-TIMI 58では、CVD一次予防患者1万例と二次予防患者7000例が登録されている。
CVDの既往の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬は2型糖尿病患者の予後を改善しCVイベントの抑制も可能なのか。
その最終的な解答は、2019年とされているDECLARE-TIMI 58の結果を待つ必要がありそうだ。



<きょうの一曲>

Carly Simon -- You're So Vain

https://www.youtube.com/watch?v=qNqXh9sZwoU





<きょうの一枚の絵> 

201008192141560ff-1

和田直樹(1969~) 「Crescendo」

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高齢患者の糖尿病腎症の危険因子に新知見 前向き観察研究・Nagano Study 2

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0621509026/

(MT2017.6.21)

高齢の糖尿病患者では、腎機能障害が死亡や糖尿病関連イベントの独立した危険因子とされているが、その管理法は必ずしも明らかでない。
信州大学の研究グループは、現在進行中の高齢2型糖尿病患者における前向き観察研究Nagano Study 2の断面研究結果について、第60回日本糖尿病学会(5月18~20日)で報告。
高齢患者の糖尿病腎症の危険因子として、血糖変動が新たに浮上したと発表した。


腎機能低下の助長が指摘される尿酸値とも関連

今回の研究は、高齢2型糖尿病患者における糖尿病腎症の管理に必要な危険因子を明らかにする目的で、前向き観察研究の初回登録データを用いた断面研究として実施された。

 
同科の医師が1年以上診療を継続している20歳以上の2型糖尿病患者(担がん例または5年以内のがん既往例を除く)で、2012年8月~13年7月に登録された271例のうち、65歳以上の131例を対象とした。
性、年齢、網膜症、収縮期血圧値、尿酸値、HDLコレステロール(HDL-C)値、食後血糖値、脳血管障害を独立変数として、2期以上の糖尿病腎症との関連を多重ロジスティック回帰分析で検討した。

 
その結果、網膜症、収縮期血圧値、食後血糖値をはじめ、腎機能低下との関連が指摘されている尿酸値も糖尿病腎症の独立した危険因子として抽出された。


腎機能低下の進展抑制に糖尿病の包括的管理目標値の是正が関連

さらに、尿中アルブミン排泄率とeGFRの関連因子を、重回帰分析でそれぞれ検討したところ、尿中アルブミン排泄率との正の相関が認められたのは、糖尿病罹病期間、収縮期血圧値、食後トリグリセライド値、空腹時血中Cペプチド、インスリン製剤の使用であった。

 
またeGFRでは、ヘモグロビン(Hb)値のみと正の相関が示された一方、糖尿病罹病年数、尿酸値、グリコアルブミン値(GA)/HbA1c値、尿中アルブミン排泄率と負の相関関係にあることが分かった。

 
今回の結果について発表者は、これらの関連因子のうち、血糖変動の増大を反映するとされるGA/HbA1c値に言及し、同値の上昇が高齢の2型糖尿病患者で腎機能低下と有意に相関したことは新たな知見だと解説した



<番外編>

酒強い人、痛風リスク2倍 飲まなくても危険

https://www.m3.com/news/general/539603?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170621&dcf_doctor=true&mc.l=230395087&eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d

・酒に強いタイプの遺伝子を持つ人は、たとえ酒を飲まなかったとしても、痛風になるリスクが酒に弱い人より2倍近く高いとの研究成果が英科学誌に発表された。

・この遺伝子は体内でアルコールの分解に関わる「ALDH2」で、人により酒に強い型と弱い型がある。

酒に強い型の人は、弱い人より2・27倍痛風を発症しやすい結果となった。

・飲酒による発症の影響を取り除くため、月に1回以下しか飲まない人同士で比べても、酒に強い型の人は1・93倍発症しやすかった。

この型の人は尿酸ができやすい可能性があるという。

・アルコールを分解する別の遺伝子「ADH1B」も加えて分析したところ、遺伝子が二つとも酒に強い型の人はリスクが2・78倍になると計算された。

日本人の半数近くが両遺伝子とも強い型とみられる。

(今まで日本人はこの遺伝子が弱いと理解していました)



<きょうの一曲>

Lionel Hampton - Recado

https://www.youtube.com/watch?v=VTjd0h0nDHM


<きょうの一枚の絵> 


20100819213830702

川畑太(1964~) 「風の記憶」

http://nekoarena.blog31.fc2.com/blog-entry-732.html?sp 





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質異常症治療薬が糖尿病網膜症リスクを低減? JDCP study、糖尿病網膜症の関連因子を解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0620509018/

日本における糖尿病合併症およびその危険因子に関する全国前向きコホート研究JDCP studyの追跡調査が最終段階に差しかかっている。JDCP study網膜症ワーキンググループの川崎良氏(山形大学大学院公衆衛生学講座准教授)は、同研究で糖尿病網膜症合併に関連する因子として、脂質異常症治療薬が投与された糖尿病患者では糖尿病網膜症合併率が低いなどのベースラインデータの解析結果を第60回日本糖尿病学会(5月18~20日)で発表した


5,852例が解析対象に

JDCP studyは、日本における糖尿病患者の合併症の実態を明らかにするとともに、糖尿病の管理・治療による合併症抑制効果を評価し、それらの結果を糖尿病診療ガイドラインに提言することを目的とした、全国多施設前向きコホート研究である。
合併症における関連学会である日本腎臓学会、日本糖尿病眼学会、日本歯周病学会とも連携し、共同研究を行う体制が構築されている。

 
対象は、全国の大学病院、基幹病院、診療所に通院中の40歳以上75歳未満の1型および2型糖尿病患者で2007~09年に登録された6,338例。そのうち糖尿病網膜症に関する十分な調査情報を有する5,852例が解析対象となった。
なお、糖尿病網膜症は非増殖網膜症(単純網膜症および増殖前網膜症)とした。


病型で共通する因子も

非増殖網膜症の合併は1型糖尿病患者363例中22.8%に認められた。
また、非増殖網膜症合併に有意に関連する因子について多変量ロジスティック解析を行った結果、1型糖尿病患者では糖尿病罹病期間、収縮期血圧、喫煙が挙げられた。

 
2型糖尿病患者5,489例における非増殖網膜症合併は27.6%であった。
同症合併の有意な関連因子として、糖尿病罹病期間、収縮期血圧の他に、経口糖尿病薬(SU薬、ビグアナイド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、グリニド薬)や降圧薬の併用数の多さが挙げられた。

 
その一方で、脂質異常症治療薬(スタチン薬、フィブラート薬)については、その併用数が多い2型糖尿病患者ほど非増殖網膜症の合併が有意に低かった。
その点を踏まえ、川崎氏は「脂質異常症治療薬の投与が2型糖尿病患者の糖尿病網膜症の合併リスクを低下させるのか、JDCP studyの追跡調査で検討する必要があると考えられる」と述べた。



<きょうの一曲>

Zoot Sims Recado Bossa Nova (1962)

https://www.youtube.com/watch?v=HGoPvNTiXcM




<きょうの一枚の絵>

nichido_08130

ニコル・ボッテ ハイビスカスII」 ミクストメディア

http://www.art-index.net/art_exhibitions/2008/11/post_283.html



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1型糖尿病にもメトホルミン CVDリスクが長期に低下―REMOVAL試験

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0616509006/index.html
(MT 2017.6.15) 

英国の研究グループは、成人1型糖尿病患者に対する心血管疾患(CVD)リスク低減を目的としたメトホルミン投与の効果を検証するREMOVAL試験の結果、同薬は長期的に有効である可能性が示唆されたと、第77回米国糖尿病学会(ADA 2017、6..9~13、サンディエゴ)で発表、Lancet Diabetes Endocrinolに同時掲載した。


高CVDリスクの患者が対象

海外では既に過体重の1型糖尿病患者に対して血糖および体重の管理を目的としたメトホルミン投与が行われており、少なくとも短期的にはインスリン投与量の減少につながることが示されている。
しかし、この効果が長期的に継続するか、2型糖尿病の場合と同様の心血管保護作用を1型糖尿病患者でも期待できるかは明らかではなかった。

 
今回報告されたのは、2011年12月~14年1月に英国、オーストラリア、カナダ、デンマーク、オランダの5カ国23施設が参加した二重盲検プラセボ対照試験。
対象は40歳以上の1型糖尿病患者で、罹病期間が5年以上かつCVDリスクが高い428例。
高CVDリスクは
①BMI 27以上
②HbA1c 8.0%超
③CVD
④CVDの強い家族歴
⑤喫煙者
⑥微量アルブミン尿
⑦推算糸球体濾過量(eGFR)90mL/分/1.73m
2未満
⑧高血圧
⑨脂質異常症
⑩糖尿病罹病期間20年超
―の10項目中3項目以上に該当する場合と定義した。

 
対象をメトホルミン群(1,000mg /回、1日2回)219例、またはプラセボ群209例にランダムに割り付け、3年間のメトホルミン投与によるベースラインからの各種評価項目の変化を検討した。

 
主要評価項目は頸動脈内膜中膜肥厚度(cIMT)の進展とし、測定は年1回行った。
副次評価項目はHbA1c、LDL-C、eGFR、微量アルブミン尿および網膜症の新規発症、体重、インスリン投与量、血管内皮機能とした。
さらに、遠位壁の最大cIMT、低血糖の頻度などを三次評価項目とした。

 
対象の平均年齢は55.5歳、平均罹病期間33.8年、平均HbA1c 8.05%、平均BMI 28.5。34%がインスリンポンプ療法を受けていた。
平均血圧は130/72mmHg、LDL-Cは85 mg/dL、患者の73%が降圧薬を、82%がスタチンを服用していた。


最大cIMT進展を抑制、LDL-Cを低下

主要評価項目であるcIMTの進展は、メトホルミン群ではプラセボ群と比べ有意な抑制は示されなかった。
しかし、三次評価項目として設定した最大cIMTの進展はメトホルミン群で有意に抑制されていた。


副次評価項目についてはHbA1cが3カ月後にメトホルミン群で有意に低下していたが、3年後はそれ以上の低下は示されなかった。
体重
とLDL-Cはメトホルミン群で3年後に有意に低下、eGFRは有意に上昇していた。
インスリン必要量の減少
は有意ではなかった。
血管内皮機能、微量アルブミン尿または網膜症の新規発症へのメトホルミンの影響は見られなかった。

 
安全性プロファイルについては、早期中止がメトホルミン群59例(27%)、プラセボ群26例(12%)で認められ、主に消化管有害事象によるものだった。メトホルミン群における低血糖の増加は見られなかった。
実薬群の5例、プラセボ群の2例が試験期間中に死亡したが、試験における投薬との関連は認められなかった。


薬剤が直接に動脈硬化を抑制か

今回の結果からアテローム性硬化の進行が、メトホルミン群で有意に抑制されることが示唆されたが、HbA1c低下作用が短期間しか確認できなかったことを考えると、アテローム性硬化の進行抑制効果は血糖管理によるものではなく、白血球の作用の阻害、血管内皮機能の改善、終末糖化産物(AGE)生成の抑制などメトホルミンの直接的作用によるものと考えられる。

 
また、試験参加者の80%以上がベースラインでスタチンを使用していたにもかかわらずLDL-Cはメトホルミン群で有意に低下しており、体重減少と相まってアテローム性硬化の抑制に一定の役割を果たしていると考えられた。

 
メトホルミン投与開始後のeGFRの上昇については、その臨床的意義を今後慎重に検討する必要があるとしている。

 
メトホルミン群で体重減少とインスリン投与量減少だけでなくLDL-C低下およびアテローム性硬化の進行抑制が確認された。
今後、メトホルミンが心血管イベントに及ぼす長期的効果のエビデンスを明らかにする必要はあるが、2型糖尿病の場合と同様、1型糖尿病でも生涯にわたる心疾患リスク因子低減のためにメトホルミンが有用かもしれない。


共変量解析(ANCOVA)によりベースラインの値で調整した変化値



<私的コメント>
1型糖尿病へのメトホルミン投与は国内では認可されていません。

 

<番外編>

血中β2ミクログロブリンが脳梗塞と関係

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0619508981/

・血中β2ミクログロブリン(B2MG)高値が脳梗塞のリスクと関係することを示す研究結果が、米・Brigham and Women's HospitalのグループによりNeurology(2017; 88: 2176-2182)に発表された。



<きょうの一曲>
Béla Bartók - Romanian Folk Dances for String Orchestra Sz.56 BB 68
https://www.youtube.com/watch?v=Z50Ooqv1GFg



<きょうの一枚の絵> 

taisei_sato004-thumb-130xauto-318

佐藤泰生 「セーヌ ポンヌフ」

http://www.nichido-garo.co.jp/artist/taisei_sato.html




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これでSGLT2阻害薬の心腎保護効果は確定 2件目の心血管アウトカム試験CANVAS Program

研究の背景:1件目のEMPA-REG OUTCOMEの結果は世界を驚かせた

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0616509004/

(MT2017.6.16)

EMPA-REG OUTCOMEは、世界初のSGLT2阻害薬による心血管アウトカム試験であり、中央値3年の試験で、3ポイント複合心血管イベント(3ポイント MACE;心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のみならず、総死亡も抑制したことで世界を驚かせた。

 
それから1年半が経過し、SGLT2阻害薬の2本目の心血管アウトカム試験であるCANVAS
※1およびCANVAS-R※2がCANVAS Programとして米国糖尿病学会(ADA2017、6月9~13日)で報告され、N Engl J Medに同時掲載された。
EMPA-REG OUTCOMEと異なり、心血管イベント抑制効果についての事前のプレスリリースがなされておらず、あまり良い結果ではないかもしれないとの予測もあったが、ものの見事に心血管イベントを抑制していた。
しかし、多くの点でEMPA-REG OUTCOMEとは異なっていた。


研究のポイント1:2つの試験を合わせて結果報告

米国では、新規糖尿病治療薬は市販前に心血管イベントへの影響が既存の糖尿病治療に対して非劣性であることを証明しなければならない。カナグリフロジンも同様であり、市販前に心血管イベントへの影響を検証するために実施された第Ⅱ相ランダム化比較試験(RCT)がCANVASである。
一方、米国での2013年3月の承認および市販の後、心血管イベントおよび腎臓関連イベントへのカナグリフロジンの影響を検証するために実施された第Ⅲ相RCTがCANVAS-Rである。

 
今回の報告は、当初の予定通りにこの2件の試験を合わせたCANVAS Programの結果として発表されたものである。

 
CANVAS では2009年12月~11年3月に、CANVAS-Rでは2014年1月~15年5月に、30カ国667施設において患者登録が行われた。
登録基準は、
①推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m
2以上
②HbA1c 7.0%以上10.5%以下
―のいずれにも合致し、かつ
①30歳以上で心血管イベントの既往がある
②50歳以上で5つの心血管危険因子のうち、2つ以上を有する
―のいずれかに合致する2型糖尿病患者。
5つの心血管危険因子とは、罹病年数10年以上、降圧薬内服下で収縮期血圧140mmHg以上、喫煙者、アルブミン尿、HDL-C 38.7mg/dL未満。

 
登録された患者は、CANVASでは
①プラセボ群
②カナグリフロジン100mg群
③カナグリフロジン300mg群―の3群に1:1:1で、
CANVAS-Rでは
①プラセボ群
②カナグリフロジン100mg群(ただし、300mgへの用量調節が許容されていた)
―の2群に1:1で、それぞれランダムに割り付けられた。

 
CANVAS-R単独での一次評価項目はアルブミン尿の進展であるが、CANVAS単独およびCANVAS Programの一次評価項目は3ポイント MACEであり、二次評価項目は総死亡、心血管死、アルブミン尿の進展、心不全による入院などであった。

 
元来の統計学的解析は非劣性試験として行われたが、非劣性が示された後には優越性の解析も行われた。
なお、今回の解析ではカナグリフロジン群は100mgと300mgを合算して解析が行われた。


研究のポイント2:心血管・腎アウトカムともに有意に抑制

CANVASにおいては7,692例がスクリーニング対象となり、4,330例がランダム化の対象となり、3例がそこから漏れて、プラセボ群1,441例、カナグリフロジン100mg群1,445例、カナグリフロジン300mg群1,441例に少なくとも1回以上の薬剤投与がなされた。

 
CANVAS-Rにおいては7,800例がスクリーニング対象となり、5,812例がランダム化の対象となり、プラセボ群2,906例、カナグリフロジン群2,906例に薬剤が投与された。

 
その結果、カナグリフロジン群5,795例、プラセボ群4,347例が解析の対象とされた(おそらくCANVASで投薬の漏れた3例もカナグリフロジン群に入っているものと思われる)。

 
この1万142例は平均年齢63.3±8.3歳、女性3,633例(35.8%)、白人7,944例(78.3%)、糖尿病罹病年数13.5±7.8年、HbA1c 8.2±0.9%という集団であった。

 
平均188.2週、中央値126.1週の観察期間中、カナグリフロジン群の方がHbA1cは0.58%有意に低く、体重は1.60kg有意に軽く、収縮期血圧は3.93mmHg、拡張期血圧は1.39mmHg有意に低かった(いずれも平均値)。
また、HDL-Cは平均2.05mg/dL高かったが、LDL-Cも平均4.68mg/dL高く、L/H比は両群間で差異はなかった。

 
その上で、一次評価項目である3ポイント MACEの発生率を見ると、カナグリフロジン群では1,000人・年当たり26.9、プラセボ群では同31.5とカナグリフロジン群で有意に抑制されていた。


この効果はさまざまなサブグループ解析で(例えばCANVASとCANVAS-Rで分けてみても)同様な効果が認められ、嬉しいことにeGFR 30 mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満のサブグループでも有効であった(HR 0.70)。

 
ただ、残念ながら心血管疾患既往のない人でのHRは0.98で(有意でなく)、既往のある人での0.82よりも効果は小さかった。
また、興味深いことに、65歳未満よりも65歳以上で有効性が高かったことはEMPA-REG OUTCOMEと同様だが、同試験と異なり、アジア人よりも白人や黒人で有効性が高く、BMIも30未満よりも30以上で有効性が高かった。

 
また、EMPA-REG OUTCOMEでは3ポイント MACEの中でも心血管死の抑制が強く表れ(HR 0.62)、非致死性脳卒中(同 1.24)や非致死性心筋梗塞(同 0.87)の抑制効果はさほどではなかったが、CANVAS Programにおいては、心血管死(同0.87)、非致死性脳卒中(同0.90)、非致死性心筋梗塞(同0.85)に大きな差異はなかった。

 
EMPA-REG OUTCOMEでは総死亡率の低減効果が見られていたが(HR 0.68)、CANVAS Programでは総死亡のHRは0.87とカナグリフロジン群で低かったものの、ぎりぎり統計学的には有意ではなかった。
一方、心不全による入院はカナグリフロジン群で有意に抑制されていた(HR 0.67)。

 
さらに、EMPA-REG OUTCOMEでは、SGLT2阻害薬による腎保護効果が示されたが、CANVAS Programにおいてもアルブミン尿の進展はカナグリフロジン群で抑制された(1,000人・年当たりカナグリフロジン群89.4 vs. プラセボ群128.7、HR 0.73)。
また、アルブミン尿の消退もカナグリフロジン群で多く生じた(同293.4 vs. 187.5 HR1.70)。
 

研究のポイント3:アンプテーションと骨折が増加

このように、心血管イベントや腎アウトカムについては(一部、統計学的な有意差はないが)良好な結果が得られたCANVAS Programであるが、一方で残念な結果があったことも事実である。それはアンプテーション(下肢・足趾切断)と骨折である。

 
全ての重篤な有害作用については1,000人・年当たりカナグリフロジン群104.3、プラセボ群120.0とカナグリフロジン群の方が有意に少なかった。
しかし、アンプテーションが1,000人・年当たりカナグリフロジン群6.3、プラセボ群3.4でHR 1.97(P<0.001)とカナグリフロジン群で有意に多く、骨折も同15.4、11.9でHR1.26(P=0.02)とカナグリフロジン群で有意に多かった。


山田 悟 先生の考察:現時点で骨折やアンプテーションを恐れて使用を控える必要はない

2015年以降、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬による心血管イベント予防効果が報告されるようになり、糖尿病治療薬では大血管疾患の予防効果は得難いとの印象が払拭されつつあった。
今回のCANVAS ProgramによりSGLT2阻害薬も長時間作用型GLP-1受容体作動薬と同様、クラスエフェクトとして心血管疾患のイベント予防効果を期待できることとなった。
また、腎アウトカム予防効果も確定的であろう。

 
しかし、EMPA-REG OUTCOMEと異なり、CANVAS Programにおいてはアンプテーションと骨折が増えていた。
EMPA-REG OUTCOMEではアンプテーションの記載はなく、骨折については全く差異がない(エンパグリフロジン群3.8%、プラセボ群3.9%)。
EMPA-REG OUTCOMEとCANVAS Programで共通に増えていた有害事象は性器感染症程度である。
この2件の試験の差異が何に由来するのかを現時点で理論立てて説明することは不可能である。

 
ただ、ちなみにわが国におけるカナグル錠の副作用報告(2014年9月3日~17年4月30日)を製薬企業の公式サイトで見ると、上腕骨骨折が1例のみ記載されており、アンプテーションの報告はない(一方、腎盂腎炎は13件)。
一方、ジャディアンス錠の副作用報告(2016年2月23日現在)では、骨折やアンプテーションの報告はない(ただし、発売時期が遅かったためか腎盂腎炎も1件しか報告されていない)。
よって、わが国ではいずれの副作用も極めてまれなものであるとはいえよう。

 
また、ADA2017でのThomas Jefferson大学のJabbourらの報告(1263-P)によれば、ダパグリフロジンの第Ⅱ相、第Ⅲ相臨床試験の統合解析において、ダパグリフロジン群とプラセボ群を比較すると、骨折(0.3% vs. 0.7%)、アンプテーション(0.1% vs. 0.2%)の発症は、いずれも増えていなかったとのことである。

 
その意味で、現時点で骨折やアンプテーションを恐れてSGLT2阻害薬の使用を控える必要はないと思う。
しかし、今後わが国でのSGLT2阻害薬使用下における骨折・アンプテーションについての情報収集が大切になろう。
また、ダパグリフロジンのDECLARE-TIMI58の結果が待ち遠しいところである。
 

※1 CANagliflozin cardioVascular Assessment Study

※2 CANagliflozin cardioVascular Assessment Study-Renal




<番外編>

スタチン療法でTAVR後の生存率が改善

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0617508982/

・ストロングスタチンの投与が経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)後の生存率の改善と関係することを示すデータが、米・Cleveland Clinic FoundationなどのグループによりAm J Cardiol(2017; 119: 1832-1838)に発表された。




 

<きょうの一曲>

J.S.Bach Piano Concerto in D Minor Polina Osetinskaya Anton Gakke

https://www.youtube.com/watch?v=osg_WmeLxQk&t=99s



<きょうの一枚の絵>

isigaki1_360

石垣定哉  「はな馬」

http://u55.jp/isigaki1.html 





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高齢心不全患者の治療に関する指針を発表

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201610/548558.html?ref=RL2

日本心不全学会は2016年10月7日、今後の心不全治療の指針として『高齢心不全患者の治療に関するステートメント』を発表した。
ステートメントでは、高齢心不全患者であっても積極的に治療すべき症例が存在することを再確認する一方、積極的治療によってQOLが悪化する症例も存在するとしてQOL重視の治療の意義を強調、さらには終末期を意識した多職種による緩和ケアなどの導入も提言した。日本心不全学会として初めて発刊する、診療に関する本格的な提言でる。
第一線で診療に当たる医師、医療従事者をはじめ多くの人々によって、質の高い高齢者心不全診療の実践のために活用されることが望まれる。


心不全患者の爆発的な増加(心不全パンデミック)が現実のものとなりつつある中、今後さらに高齢化する社会において、しかも限られた医療資源のなかで、医療人はこれら高齢者心不全をどのように理解し、いかに対処すべきなのか――。
ステートメントは、こうした問い掛けに始まり、専門学会としての「答え」を提言という形で集約している。
内容は「高齢者心不全の診断と臨床的・社会的評価」「高齢心不全患者に対する急性期・救急対応」「高齢心不全患者に対する終末期医療の指針」など7つのテーマごとにまとめられ、それぞれにおいて学会としての考え方が提示されている。


同学会は2016年10月7日、ステートメントの全文を学会のウェブサイトで公表。
さらに同日から札幌市内で始まった第20回日本心不全学会学術集会において、特別企画を開催し学会員間での議論を深めるなど、ステートメントの普及と浸透に乗り出している。


策定委員会はステートメントで扱う高齢者を後期高齢者(75歳以上)と定義し、これに相応するエビデンスを検索・収集・解析した。
その結果、我が国の高齢者心不全の特徴は、
(1)コモン・ディジーズであり、その絶対数がさらに増加してゆく、
(2)根治が望めない進行性かつ致死性の悪性疾患である、
(3)その大半が心疾患以外の併存症を有し、個人差が顕著である
――の3点に要約された。
その上で、このような高齢心不全患者を診るためには、基幹病院の専門医とかかりつけ医あるいは多職種によるチーム管理システムが必須である。
延命以外の治療目標がしばしば重要となり、個人や家族の希望に沿うことができるよう早期から終末期への準備を始めておくことが求められる。


今回のステートメントの意義は大きく2つある。
1つは、高齢心不全患者でも積極的に治療するとよい場合もある、という方向性を再確認したこと。もう1つは、合併症が多く終末期が近い高齢心不全患者では、積極的治療がかえってQOLを落とすため、治療の差し控え、あるいは終末期では緩和ケアなどをチーム医療で考慮するという方向性が示された点だ。
後者が盛り込まれたことの意義は大きい。


<関連サイト>

高齢者の心不全治療に指針

http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/66522727.html





<番外編>

米7人に1人が慢性腎臓病 CDC発表

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0615508991/

・米国では3,000万人、成人の7人に1人、糖尿病患者の3人に1人、高血圧患者の5人に1人がCKDに罹患していると推定された。

・しかし、早期の患者(ステージ1~2)の96%、腎機能が高度に低下しているが人工透析を施行していない患者(ステージ4)の48%は自身がCKDであることを認識していない。

・CKD罹患率は女性の方が男性よりも高いが、末期腎不全(ESRD)に進展する割合は男性の方が多い。

・新規にESRDと診断される原因は、18歳以上では糖尿病が最も多く、次いで高血圧、13~17歳では糸球体腎炎が最も多かった。




 

<きょうの一曲>

Frederic Chopin Fantaisie Impromptu in C sharp minor, Op 66

https://www.youtube.com/watch?v=A6cbCWzHXkg


<きょうの一枚の絵>
exhibition_archive_1201_08

佐藤泰生「花」2006年

http://www.nichido-museum.or.jp/exhibition_archive_1202.html

プライマリPCIのDoor-to-Balloon時間遅延の予測因子は 日本のPCI施設レジストリの患者データを分析

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201706/551709.html

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)管理の指標となるプライマリPCIのDoor-to-Balloon(DTB)時間の年次推移とDTB時間遅延の予測因子を検討した結果が、Circ J誌5月25日号に掲載された。
対象患者の約半数はDTB時間90分以内に達しておらず、2008~13年の間に有意な増減傾向は認められなかった。
DTB時間遅延の予測因子としては、末梢動脈疾患、血行再建術歴、時間外の病院到着、年齢75歳超などが挙げられた。


STEMI患者のプライマリPCIにおけるDTB時間の短縮は、心血管アウトカムの改善に寄与するとされ、臨床ガイドラインではDTB時間を90分以内にすることが推奨されている
DTB時間の短縮に成功している欧米諸国もあるが、日本を含む非西欧諸国では、患者特性やPCI実施可能施設の状況が異なる。
そこでSTEMI治療に関する日本の現状を把握し、DTB時間遅延に関連する因子を検討するため、大規模多施設PCIレジストリを用いた分析を行った。


PCI患者を前向きに登録している慶應大学関連病院多施設心血管レジストリ(JCD-KiCS)を利用し、2008年10月から2013年12月に同レジストリに登録されたSTEMI患者で、症状発生から12時間以内にプライマリPCIを施行した2428例のデータを分析対象とした。
DTB時間は、PCI施設到着時から責任血管への最初のデバイス使用時(バルーン拡張、血栓除去など)までの時間と定義した。
時間外到着は、平日午後6時から午前8時または週末か祝日に来院した場合と定義した。


主要評価項目は、DTB時間の年次推移と院内死亡(全死因死亡)率とした。
PCI実施件数により、大規模施設(年間200件以上)と小規模施設(年間200件未満)に分類した。
DTB時間90分を境にして患者を2群に分け、DTB時間遅延の独立した予測因子を検討した。


DTB時間の中央値は90分で、46.2%は90分を超えていた。
DTB時間の年次推移については、2008~9年の85分から、2013年は90分にやや増加したものの統計的には有意ではなかった。
期間中の院内死亡は141例(6.2%)で、死亡率の推移に大きな変化はなかった。


末梢動脈疾患を有する患者はDTB時間が長くなる傾向があった。
慢性腎疾患、心筋梗塞、血行再建術(PCI/CABG)歴のある患者もDTB時間が長い傾向があった。
一方、年間200件以上の大規模施設でPCIを受けた患者はDTB時間が短く、傘下のクリニックからの紹介患者も同様だった。
部位別では、左前下行枝は90分以下群に多く、大動脈内バルーンポンプ(IABP)の使用と左回旋枝は90分超群に多かった。


多変量解析の結果、DTB時間遅延の予測因子は、末梢動脈疾患、血行再建術歴、時間外到着、年齢75歳超、施設到着時に心不全、IABPまたは体外式膜型人工肺の使用だった。
一方、大規模施設、傘下クリニックからの紹介、左前下行枝は、DTB時間短縮との関連が認められた。
特に、大規模施設でのPCIは、DTB時間遅延を低減する最も強い予測因子だった。


症状発生から12時間以内にPCIを受けたSTEMI患者数は、大規模施設で1946例、小規模施設で337例だった。
DTB時間中央値の粗分析では、大規模施設は86分、小規模施設は105.5分だった。
小規模施設におけるDTB時間90分以下の平均達成率は37.1%だった。

 

著者は、患者の約半数のDTB時間が90分を超えており、DTB時間遅延には複数の要因があったとし、PCIを行う実臨床や患者の特性を把握することは、ガイドラインやEBMに沿った治療が行われているかを評価するために必要だ、と述べている。


DTB時間短縮に向けて著者は、高齢患者や併存疾患に加え、時間外PCIのパフォーマンスなど修正可能な因子に注目するとともに、医療リソースの配分、システム改善、疾患管理の重要性を指摘している。


英文抄録

Barriers Associated With Door-to-Balloon Delay in Contemporary Japanese Practice

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/81/6/81_CJ-16-0905/_article


<番外編>

糖尿病患者の疲労感に「前日の血糖値」が関与

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0615508933/

・日中の疲労感には睡眠の質の低下に加えて前夜の高血糖や血糖日内変動幅が関与している可能性が示された。

・成人の2型糖尿病患者では、就寝前の血糖値が高いときや、睡眠の質が悪いときほど翌日起床時の疲労感が強く、さらに、前日の血糖日内変動が大きく、高血糖曝露時間が長いときや、就寝前の疲労感が強いときほど、日中の疲労感が強くなると考えられる。


・起床時や日中の疲労感を軽減するには、夜間の血糖コントロールを良好に保つことに加え、就寝前に前日の疲労を取り除き、睡眠の環境を整えるなど、行動要因の改善を図ることも有用な方策である





<きょうの一曲>

Dave Brubeck Live in 66

https://www.youtube.com/watch?v=fgvCVi9b7Qo





<きょうの一枚の絵>

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田中佐知男  「潮騒」

http://www.atelier340.com




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SGLT2阻害薬の心保護に新機序? 心血管ストレスのバイオマーカーの変化を解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0613508953/

SGLT2阻害薬の心血管アウトカム試験では、心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のリスク低下が認められている。
しかし、SGLT2阻害薬がなぜ心血管イベントのリスクを低下させるのかは、まだ明確な結論に至っていない。
米国の研究グループは、カナグリフロジンの長期投与試験における心血管ストレスのバイオマーカーに着目した解析結果を報告。
同薬が、主に心不全のマーカーとなるN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)や、心筋細胞傷害のマーカーとなる高感度トロポニン(hs Tn)Ⅰの上昇を緩和させたことを、第77回米国糖尿病学会(ADA2017、2017.6.9~13、サンディエゴ)で紹介した。


NT-proBNP、hs TnⅠ、可溶性ST2、ガレクチン-3を測定

SGLT2阻害薬は尿糖の排泄を促進することによって血糖値を低下させるが、血糖値の低下だけでは説明しきれない多様な影響が関与していると推測されている。

 
今回探索的なpost hoc解析を行ったのは、血糖降下薬で未治療または一定の血糖降下薬で治療したにもかかわらず血糖コントロール不良(HbA1c≧7.0%、≦10.0%)の2型糖尿病患者(55~80歳)を対象として、カナグリフロジンの104週にわたる長期の有効性および安全性をプラセボと比較した試験である。

 
同試験はランダム化二重盲検試験として実施されており、26週間のコア期間(714例)と78週間の延長期間(624例)の計104週間において、カナグリフロジン100mgまたは300mgとプラセボを比較した。
心筋梗塞の既往、不安定狭心症、冠血行再建術の既往、スクリーニング前3カ月以内の脳血管イベント、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅲ~Ⅳ度の症状、コントロール不良の高血圧のいずれかがある患者は除外されており、心血管疾患のリスクは比較的低い患者が対象とされていた。

 
保存血清を利用し、ベースライン、26週後、52週後、104週後のNT-proBNPやhs TnⅠの他、組織線維化のマーカーである可溶性(s)インターロイキン1受容体ファミリー(ST2)およびガレクチン-3を測定し、その推移を解析した。

 
なお、全714例中プラセボ群216例とカナグリフロジン群450例の計666例(93.3%)において、ベースラインおよび追跡中1回以上の保存血清が利用可能であった。
プラセボ群とカナグリフロジン群のベースラインの背景因子は同等であり、平均年齢はそれぞれ63.2歳、64.0歳、平均HbA1c は7.8%、7.7%、平均BMI は31.9、31.4、平均罹病期間は11.3歳、12.0歳などであった。


NT-proBNPおよび高感度トロポニンⅠの上昇を抑制

バイオマーカーを解析した結果、プラセボ群のNT-proBNPおよびhs TnⅠは2年間で上昇した一方、カナグリフロジン群ではその上昇が抑制されていた。
しかし、sST2は両群とも大きな変化は示さなかった。ガレクチン-3に関しては、26週後および52週後にカナグリフロジン群で上昇が見られたが、104週後までは持続しなかった。


この結果について、Januzzi氏らは「カナグリフロジンは有害な心血管アウトカムに関連するNT-proBNPやhs TnⅠの低減に関連していることが高齢2型糖尿病患者で示唆された。
この結果は、SGLT2阻害薬に心保護作用が期待されていることと一貫していた」とまとめた。
前述の通り、同試験は心血管リスクの比較的低い患者が対象とされており、よりリスクの高い患者のバイオマーカーを評価することで、SGLT2阻害薬の心保護作用のメカニズムに対する理解が、さらに明確になると期待されるという。


<私的コメント>

利尿剤の場合にも心血管ストレスのバイオマーカーは改善するような気もしますがどうなんでしょうか。

新機序」というほどのものなのかどうか、そのあたりが理解出来ませんでした。



<きょうの一曲>

André Rieu - Ballade pour Adeline

https://www.youtube.com/watch?v=qMuKw1NYpjs




<きょうの一枚の絵> 

6608_xl2 

小野竹喬 奥の細道句抄絵より 「あかあかと日は雑面もあきの風」

http://www.oida-art.com/buy/detail/6608.html


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エンパはHbA1cに関係なく心血管死を抑制 EMPA-REG OUTCOME試験のpost hoc解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0613508956/

EMPA-REG OUTCOME試験から、HbA1cカテゴリーで患者を層別化したpost hoc解析結果が報告された。
主解析で標準治療に比べて38%の心血管死亡の減少をもたらしたエンパグリフロジン群の優越性は、
ベースラインHbA1cやHbA1c低下量で分けた全ての層で一貫して認められたという。
米・Yale University School of Medicineの研究グループが第77回米国糖尿病学会(ADA2017、2017.6.9~13、サンディエゴ)で報告した。


ベースライン時のHbA1c値や治療中のHbA1c変化で患者を層別化

2015年に発表されたEMPA-REG OUTCOME試験は、心血管疾患の既往があるハイリスクな2型糖尿病患者を対象に、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンを用いた血糖降下療法による心血管イベント抑制作用を検討した大規模臨床試験である。
7,000例を超える患者に対する約3年の追跡により、エンパグリフロジン群における心血管死亡は標準治療を行ったプラセボ群より38%減少し、血糖降下療法に伴う死亡の減少が初めて示された。

 
同試験のコホートでは、患者の98%が既に標準的な血糖降下療法を受けていたにもかかわらず、ベースライン時のHbA1c平均値は8%を超えており、9.0%の患者が2割を占めていた。
また、治療後のHbA1cは、エンパグリフロジン群全体では低下していたが、4割弱の患者は不変あるいは微増を来すなど、個々の患者の反応はさまざまであった。

 
そこで今回、エンパグリフロジンの心血管死亡抑制作用とHbA1cの関連性をさらに検討すべく、
①ベースライン時のHbA1c値に基づき患者を4つに分けた層別解析、
②ベースライン時から最終評価時までのHbA1c低下量に基づき患者を2分した層別解析、
③ベースライン時と試験中の血糖コントロール状況の変化(ベースライン時も試験中もコントロール良好、ベースライン時は不良であったが試験中に良好に変わった、など)について補正した全体解析、
④ベースライン時から12週目までのHbA1c低下量に基づき患者を2群に分けた12週目以降のイベント発生率に関する層別解析
ーという4つのpost hoc解析を行った。
 

エンパグリフロジンによる心血管死亡抑制とHbA1cは独立

その結果、ベースライン時のHbA1c値で4つ(7.0%未満、7.0~8.0%未満、8.0~9.0%未満、9.0%以上)に分けた層別解析では、いずれのグループでもエンパグリフロジン群の心血管死亡発生率がプラセボ群を下回っており、グループ間に有意差は認められなかった。

 
同様に、ベースライン時から最終評価時までのHbA1c低下量が0.3%未満の例と0.3%以上の例に分けた解析でも、両グループに有意な違いは見られなかった。


また、血糖コントロール状況の変化について加味した全体解析でも、結果は主解析とほぼ同一であった。

 
12週目までのHbA1c変化量で2つに分けた解析では、3通りのHbA1cカットオフ値(0.5%、0.3%、中央値)を設けて解析がなされたが、いずれの場合も12週目以降のイベント発生率に有意差は認められなかった。

 
以上の結果から、研究グループは「EMPA-REG OUTCOME試験の主解析で認められたエンパグリフロジン群の心血管死亡抑制作用は、ベースライン時のHbA1c値の高低や治療に伴うHbA1c低下量の多寡にかかわらず一貫していることが確認された」と結論した。
つまり、エンパグリフロジンの心血管死亡抑制作用はHbA1cとは独立しており、血糖コントロールの状況にかかわらず一定の心血管死亡抑制作用が見込まれる薬剤であると考えられるという。
またエンパグリフロジン投与によりさらなるHbA1c値の低下が得られなかった場合でも、心血管死亡抑制作用については期待できると示唆される」とした。


私的コメント
非常に興味深い研究結果だと思いました。 
最近では、この心血管死抑制はクラス効果だと考えられています。
SGLT2阻害薬は血糖降下剤というよりは、血糖降下作用のある心血管死抑制剤と表現した方がよいのかも知れません。
極論をいえば、むしろ血糖降下作用がないほうがよいのかも知れません。
ここで知りたいことが2つあります。
一つは、EMPA-REG OUTCOME試験ないしはサブ解析で利尿薬併用の有無での検討がされているかということです。
そしてもう一つは、より少ない用量、すなわち血糖降下作用がきわめて弱い用量での心血管死抑制効果がどうかということです。
血糖降下作用がほとんどない用量を非糖尿病患者に使用したデータも期待したいと思います。
さて、今回の結果が画期的なのは血糖コントロールそのもののことです。
厳格な血糖コントロールがよくないという考えはようやく普及して来たところですが、心血管死抑制に関してSGLT2以外の血糖降下剤の存在価値は否定されたことになります。
さらにいえば、その目的としての血糖コントロール自体も妖しくなって来ました。
糖尿病専門家は、この「不都合な事実」に対してどのようにコメントするのか楽しみです。

 



<きょうの一曲>

John Coltrane and Johnny Hartman - My One and Only love

https://www.youtube.com/watch?v=b4KOtSkiFKo



<きょうの一枚の絵>


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小野竹喬  奥の細道句抄絵より 田一枚植ゑて立ち去る柳かな

http://www.oida-art.com/buy/detail/6604.html 




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正常血糖、前糖尿病にかかわらず厳格降圧は有益 SPRINT試験の事後解析結果

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201706/551662.html

収縮期血圧(SBP)120mmHg未満を目標とした厳格降圧により心血管イベントの有意な減少を報告したSPRINT試験の事後解析として、ベースラインの糖代謝による層別解析の結果が明らかになった。
厳格降圧によるリスク減少は、正常血糖群(早朝空腹時血糖[FBS]<100mg/dLと定義)17%、前糖尿病群(FBS≧100mg/dLと定義)31%で、前糖尿病群では有意なリスク減少を示したが、降圧と糖代謝の交互作用は有意ではなく、厳格降圧の利益は正常血糖群と前糖尿病群で同等だったと判断された。
(第77回米国糖尿病学会学術集会(ADA2017、2017.6.9~13、サンディエゴ)


SPRINTの対象は、50歳以上で心血管疾患のリスクが1つ以上あるSBP130~180mmHgの患者(9361例)。
これを自動診察室血圧測定(AOBP)で120mmHg未満を目標とする厳格降圧群(4678例)と140mmHgを目標とする標準降圧群(4683例)に無作為に割り付け、中央値で3.26年追跡した。
主要評価項目(心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、心血管死亡の複合)は厳格降圧群で243例(1.65%/年)、標準降圧群で319例(2.19%/年)に発生、厳格降圧群で相対リスクは25%、有意に減少した(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[95%CI]:0.64-0.89、P<0.001)。


SPRINTでは、脳卒中の既往者、腎機能高度低下者とともに糖尿病患者も除外された。
2型糖尿病患者を対象に厳格降圧と標準降圧を比較したACCORD-BP試験が既に行われていたためだが、ACCORD-BPでは厳格降圧群で有意なリスク低下が認められず、SPRINTとの違いが糖尿病患者におけるエビデンスの解釈を難しくしていた。


正常血糖群(5425例)の平均FBSは90.6±6.5mg/dLで、厳格降圧群(2721例)と標準降圧群(2704例)の患者背景はほぼ同等だった。
主要評価項目の複合心血管イベントは標準降圧群174例(2.1%/年)、厳格降圧群142例(1.7%/年)に発生、標準降圧群に比べた厳格降圧群のHRは0.83だった(95%CI:0.66-1.03)。


前糖尿病群(3891例)の平均SBPは110.2±12.5mg/dLで、厳格降圧群(1941例)と標準降圧群(1957例)の患者背景はほぼ同等だった。複合心血管イベントの発生は標準降圧群144例(2.3%/年)、厳格降圧群101例(1.6%/年)で、厳格降圧群のHRは0.69(95%CI:0.53-0.89)となり、リスク減少は有意だった。


前糖尿病群の方が厳格降圧群と標準降圧群の累積発生率の曲線の分離も明確で、厳格降圧の利益をより期待できそうな結果となった。
だが、降圧と糖代謝についての交互作用の検定結果は有意ではなく(P=0.30)、正常血糖、前糖尿病にかかわらず厳格降圧の利益は同等だった。


<きょうの一曲>

Ann Burton - It Never Entered My Mind (1969)

https://www.youtube.com/watch?v=Qd0_9_vUUPs




<きょうの一枚の絵>

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小野竹喬  奥の細道句抄絵より 「まゆはきを俤にして紅粉の花」

http://www.oida-art.com/buy/detail/6611.html




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SGLT2阻害薬のCVリスク低下は同系薬に共通 観察研究CVD-REALの結果が論文に

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/dmns/lecture/201706/551581.html

SGLT2阻害薬が投与された2型糖尿病患者は、SGLT2阻害薬以外の血糖降下薬が投与された患者と比べ、心不全による入院や死亡のリスクが低いことが示された。
今年3月の米国心臓病学会学術集会(ACC.17)で発表されたCVD-REALの論文が、
(Circulation誌オンライン版 2017.5.18)


EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管疾患(CVD)を有する2型糖尿病患者にエンパグリフロジンを投与したところ、血糖降下だけでは説明できない、心不全による入院や心血管死亡の減少が認められた。
そこで、このような効果が実臨床でも見られるのか、SGLT2阻害薬のクラス効果なのか、CVDリスクが低い患者ではどうかといった疑問を解明するため、欧米6カ国を対象とした観察研究が行われた。


解析には、米、独、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、英の診療報酬請求、一次診療記録、入院記録、国家レジストリーのデータを使用した。
各データセットから、SGLT2阻害薬としてカナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、およびSGLT2阻害薬以外の血糖降下薬(注射薬を含む)の投与を開始した、18歳以上の2型糖尿病患者を抽出した。


投与開始時期は、2012年11月(英)~2013年7月(スウェーデン)とした。
投与開始日から、投与終了、診療やデータベースからの脱落、最終データ収集日、イベント発生日、追跡打ち切り日(米国2015年9月~スウェーデン2016年11月)のいずれかに達するまで、患者を追跡した。


主要評価項目は心不全による入院とした。副次評価項目は総死亡、および心不全による入院と総死亡の複合とした。
ただし独では死亡データを入手できなかったため、死亡に関連する評価は行わなかった。


SGLT2阻害薬投与患者とSGLT2阻害薬以外の血糖降下薬投与患者を、傾向スコアを用いて1対1でマッチさせた。
Cox比例ハザードモデルにより、両群のイベント発生率のハザード比(HR)を国別に推定した後、統合解析を行った。


傾向スコアによるマッチング前は、SGLT2阻害薬群はより若く、慢性腎疾患やCVD合併は少ないが、細小血管障害は多い傾向があった。また、SGLT2阻害薬以外の血糖降下薬を投与されている割合が高かった。


心不全による入院の解析対象として、傾向マッチングにより両群15万4528例が特定された。
平均年齢57歳、女性比率44%、CVD既往13%だった。
SGLT2阻害薬の総曝露時間に占める割合は、カナグリフロジン53%、ダパグリフロジン42%、エンパグリフロジン5%だった。


心不全による入院は、19万164人・年の追跡で961例発生した(発生率:0.51/100人・年)。
平均追跡期間はSGLT2阻害薬群239日、その他の血糖降下薬群211日だった。SGLT2阻害薬群はその他の血糖降下薬群より、心不全による入院のリスクが低かった。


総死亡の解析対象として、両群10万7811例が特定された。
SGLT2阻害薬の総曝露時間に占める割合は、カナグリフロジン42%、ダパグリフロジン51%、エンパグリフロジン7%だった。
総死亡は15万3990人・年の追跡で1334例発生した(発生率:0.87/100人・年)。
平均追跡期間はSGLT2阻害薬群271日、その他の血糖降下薬群251日だった。
総死亡のリスクも、SGLT2阻害薬群の方が有意に低かった。


心不全による入院と総死亡の複合リスクも、SGLT2阻害薬群で低かった。
SGLT2阻害薬群で主要評価項目および副次評価項目のリスクが低い傾向は、全ての国で一貫して見られた。


著者らは、医療システムや、主に使用されているSGLT2阻害薬の差(米カナグリフロジン、欧州ダパグリフロジン)にもかかわらず、どの国でもSGLT2阻害薬群でリスクが低かったことから、EMPA-REG OUTCOMEで見られた心血管保護効果はSGLT2阻害薬のクラス効果であることが示唆されると述べた。
また、解析対象者の8割以上でCVDの既往がないことから、SGLT2阻害薬は心血管リスクが低い患者にも有益である可能性があるとした。


英文抄録

Lower Risk of Heart Failure and Death in Patients Initiated on SGLT-2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs: The CVD-REAL Study.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28522450/




関連サイト

SGLT2阻害薬の心保護作用は同系薬で共通 医療記録の解析でも心不全入院が39%減、CVD-REAL研究

・米国の研究グループは欧米6カ国の医療記録データベースを解析。

EMPA-REG OUTCOMEで認められた利益はSGLT2阻害薬に一貫して認められるクラス効果である可能性が高いと、第66回米国心臓病学会学術集会(2017.3.17~19、ワシントンDC)で報告した。

・米国、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、英国、ドイツの6カ国の医療記録データベースから抽出した18歳以上の2型糖尿病患者で、糖尿病治療薬を使用しており、1年間以上の記録がある症例。1型糖尿病および妊娠糖尿病は除外した。

・治療脱落例などを除いたon treatment解析における心不全入院は、SGLT2阻害薬群で有意に低値だった。

・総死亡のon treatment解析ではSGLT2阻害薬群で有意に低値だった。

心不全入院と総死亡の複合もSGLT2阻害薬群で有意に低値だった。

・欧州と米国で使われているSGLT2阻害薬の内訳はかなり異なっていたが、心不全入院および総死亡の抑制は国によらず同等に観察されたことから、EMPAで認められた利益はSGLT2阻害薬のクラス効果と考えられる。

また心血管疾患の既往率が低い実臨床でも、心血管疾患の既往者を対象としたEMPA-REG OUTCOMEと同等のリスク減少が期待できる可能性がある


<番外編>

非心臓手術時のスタチンに益あり

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0228506566/

・非心臓手術時のスタチン投与により術後30日間の全死亡と合併症が減少すると、米・University of California, San FranciscoのグループがJAMA Intern Med(2017; 177: 231-242)に発表した。

・スタチン投与群は中枢神経系と血栓症を除く、その他全ての合併症リスクが低かった。



<きょうの一曲>

Rodgers & Hart, It Never Entered My Mind

https://www.youtube.com/watch?v=KUfQ7-fwn7o




<きょうの一枚の絵>

 6606_xl2
小野竹喬  奥の細道句抄絵より 「暑き日を海にいれたり最上川」

http://www.oida-art.com/buy/detail/6606.html


松尾芭蕉の「おくのほそ道」に収録される十句がそのまま作品名になった、小野竹喬晩年の大作「奥の細道句抄絵」の本画を元にした木版画。

小野竹喬は同シリーズを描くため、事情の許す限り現地に出向いて取材を続け、作品発表までにおよそ三年を費やしました。(文化勲章受章)


 


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保存期CKDの腎性貧血治療薬 長期使用成績を報告

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0609508885/

(MT 2017.6.9)
海外での大規模臨床試験の結果から、保存期慢性腎臓病(CKD)患者におけるヘモグロビン(Hb)濃度13g/dL以上の維持が、心血管疾患(CVD)の発症リスクを増加させる懸念が浮上し、論議を呼んでいる。
では、日本人CKD患者の腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤(ESA)長期使用下における安全性と有効性に影響を及ぼす要因は何か、CVDの発症状況はどうか。
東京大学腎臓・内分泌内科の田中哲洋氏らは、こうした課題を検証すべく、持続型ESA/ダルベポエチンアルファ(DA)の特定使用成績調査
DREAM-J
を実施し、解析結果を第60回日本腎臓学会(JSN 2017、5月26~28日)で報告した。


DREAM-J:Darbepoetin Alfa for Renal Anemia Management in Japan、「ネスプ
®注射液プラシリンジ特定使用成績調査 保存期慢性腎臓病患者における腎性貧血」


保存期CKD患者5,400例超を最大3年間追跡

CKDでは比較的早期から、エリスロポエチン産生能低下による腎性貧血が発症する。
腎性貧血はCKDの独立した進行因子であり、心不全の増悪因子でもあることから、腎性貧血の早期発見およびESAなどによる積極的な治療が推奨されている。

 
しかし、海外で実施されたCHOIR、CREATE、TREATなどの臨床試験で、13g/dL以上の高Hb濃度を目指す治療がCVDイベント発症リスクを上昇させることが示され、波紋を広げた。

 
今回、演者らが実施したDREAM-Jの対象は、腎性貧血に対しDAが投与された保存期CKD患者5,594例。
2010年8月~15年6月に、DA投与開始後最大3年間追跡した。
解析対象は安全性評価5,547例、有効性評価5,430例。
全体で65歳以上の高齢者が77.7%、DA投与前Hb濃度11g/dL未満が84.7%、DA投与前推算糸球体濾過量(eGFR)<30mL/分/1.73m
2が78.1%を占めた。


CVD発症は2.0% 発現時Hb濃度は低値

平均1.8年の追跡の結果、副作用発現率は7.1%(394例)、有害事象発現率は44.4%(2,462例)であった。
副作用の内訳はCVD 2.0%(109例)、悪性腫瘍0.6%(35例)、
高血圧0.7%(40例)、血圧上昇0.6%(36例)、その他に添付文書に未記載の副作用として心不全0.4%(22例)、死亡0.2%(12例)など。主な副作用が高血圧や血圧上昇である傾向は、国内・海外の臨床試験と同様であった。

私的コメント
副作用の内訳としてCVD、悪性腫瘍、高血圧などが挙げられていますがDAの副作用とする根拠は、はたしてあるのでしょうか。
(高血圧や血圧上昇は既知の副作用のようですが) 

 
Hb濃度の測定値がある症例におけるCVD有害事象の発現率は12.5%で、発現時Hb濃度との関連を見ると、
①10g/dL未満        7.1%
②10g/dL以上11g/dL未満   3.4%
③11g/dL以上12g/dL未満       2.0%
④12g/dL以上13g/dL未満       1.0%
⑤13g/dL以上                        0.2%
と、CVD有害事象高発現時のHb濃度はむしろ低値であった。
CVD有害事象の主な項目別に見ても、同様の結果が確認された。

私的コメント
「CVD有害事象高発現時のHb濃度はむしろ低値であった」の「むしろ」の意味するところが理解出来ませんでした。

 

高齢、CVD既往、DA投与前eGFR低値などがCVD発症と関連

次いで、CVD有害事象発現に関連する因子を同定するため、Cox比例ハザード解析を実施した。
その結果、高齢(65歳以上)、CVD既往歴、糖尿病合併、輸血あり、DA投与前eGFR低値(<30 mL/分/1.73m
2)、投与前尿蛋白、週当たりのDA投与量中央値17.2μg以上、抗血栓薬併用が、CVD有害事象発現リスクを上昇させる因子であることが明らかになった。

私的コメント
抗血栓薬併用は、それなりのハイリスクの症例に処方されているわけですから当然とも言えます。
「CVD有害事象発現リスクを上昇させる因子」というには若干抵抗があります。 

Hb濃度とeGFRの推移を見ると、Hb濃度はDA投与開始後4週時に10.0g/dLに到達し、156週時まで約3年にわたって10.0~10.6g/dLの間で安定的に維持されていた。
一方、eGFRはDA投与開始前の<18.7mL/分/1.73m
2からDA投与開始後156週時には17.9mL/分/1.73m2とほぼ横ばいであった。
DA投与頻度については、DA投与開始時および3年時に「3~5週に1回投与」の患者の頻度が最も高く、その他の時点では「5週以上に1回投与」の頻度が高かった。
 

DA投与開始後3カ月時のHb濃度11g/dL以上で腎複合イベント減少

さらに、DAを3カ月以上投与し、かつDA投与後3カ月以内に腎複合イベント(eGFR 50%減少、透析導入、腎移植のいずれか)が未発生の症例を対象に、腎複合イベントの発生について検討した。

 
その結果、
DA投与後3カ月時のHb濃度を11g/dL以上に維持できていることが、腎複合イベントの発生リスクを下げる因子であることが示された。

 
腎複合イベント発生の生存時間解析を行ったところ、
DA投与開始後3カ月時のHb濃度11g/dL以上の群では、同未満群に比べて累積腎生存率が有意に高かった


今回のDREAM-Jの結果を踏まえ、演者は「DAの適切な用量調整により、ガイドラインで推奨されている目標Hb濃度11g/dL以上に早期到達し長期に維持できた症例では、腎機能低下の抑制が示された」と結論付けた。


なお、質疑応答では、「今回の解析は実臨床の使用実態調査であり、CVD発症や腎機能低下のリスクの高かったHb濃度11g/dL未満群で目標Hb濃度が低かった可能性がある他、11g/dL以上を目指したが達成できなかった、ESA抵抗性を有する患者群が含まれていた可能性もあるのではないか」との見解を示した。


私的コメント
ESA抵抗性という表現もしっくり来ません。
もともと腎性貧血ではなくDAの適応症例ではなかった可能性があるからです。

 

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糖尿病性腎症早期に腎イベントは予測可能か

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0608508873/

金沢大学大学院腎臓内科学教授の和田隆志氏は、第60回日本腎臓学会(JSN 2017、5月26~28日)のシンポジウム「糖尿病性腎症の診療の進歩(日本糖尿病学会との合同企画)」で、「糖尿病性腎症の早期に認められる特徴的な糸球体病理所見により腎イベントが予測可能」と発表した。


結節性病変やメサンギウム融解が腎イベントと関連

同教授らは、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班として、腎生検で診断された糖尿病性腎症患者600例を対象に、糖尿病性腎症に特徴的な病理所見について検討した。

 
その結果、糖尿病性腎症患者の糸球体ではびまん性病変、結節性病変、基底膜二重化、滲出性病変、メサンギウム融解、糸球体門部小血管増生などの特徴的所見が確認された。
糸球体門部小血管増生とは、糸球体極に輸入細動脈、輸出細動脈とは異なる小血管の増生が見られるもので、小血管には硝子化を伴うことが特徴とされる。

 
これらの病理所見が最初に観察される臨床病期はそれぞれ異なり、びまん性病変や糸球体門部小血管増生は正常アルブミン尿である腎症前期(第1期)から認められた。
第1期における発現頻度はびまん性病変では78%に及んだが、門部小血管増生では22%と比較的低率だった。基底膜二重化は第1期または早期腎症期(第2期)から、滲出性病変は第2期から観察され、第2期で認められる頻度はそれぞれ43%、18%だった。

 
また、糸球体の病理所見と予後との関係を見ると、第1期に認められるびまん性病変、滲出性病変、結節性病変、メサンギウム融解といった所見は腎イベントと関連していた。結節性病変、メサンギウム融解に関しては、第2期で初めて認められる場合にも腎イベントとの関連が認められた。
さらに、顕性腎症期(第3期)に観察された結節性病変、基底膜二重化、滲出性病変およびメサンギウム融解については、全死亡との関連が認められ、間質の病理所見も予後と関係することが分かり、第3期の間質線維化や間質細胞浸潤は腎イベントと関連すると考えられたという。

私的コメント
記事中の「表」が参考になります。
「腎生検」という言葉自体を久し振りに聞き(見)ました
「糖尿病性腎症早期」とは臨床上で罹病後どのくらいで出現するものなのでしょうか。
そして治療介入によりどの程度進行が阻止・抑制できるものでしょうか。
なにより薬物介入には具体的にどのような手だてがあるのかが知りたいところです。




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β遮断薬で糖尿病患者の心血管リスク上昇

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0606508853/

(MT 2017.6.6)
国立国際医療研究センターの研究グループは、1万例超の2型糖尿病患者を対象に実施されたAction to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)試験のデータを解析した結果、β遮断薬の使用が糖尿病患者の心血管リスクを上昇させることが示されたとHypertension(2017年5月30日オンライン版)に発表した。


標準療法群でのリスク上昇が顕著

ACCORD試験では、40~79歳でHbA1c値7.5%以上の2型糖尿病患者1万251例を、強化療法群(HbA1c目標値6.0%未満)または標準療法群(HbA1c目標値7.0~7.9%)にランダムに割り付けて治療した。
今回、同試験データから傾向スコアマッチングにより抽出したβ遮断薬の使用者および非使用者(ともに2,527例、平均年齢62.9歳、最長7年間追跡 )を対象に、糖尿病患者におけるβ遮断薬使用の影響を検討した。
主要評価項目は試験期間中の心血管イベント(非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、非致死性脳卒中、心血管死)の初発とした。

 
Cox比例ハザードモデルによる解析の結果、β遮断薬の使用者は非使用者に比べて心血管イベント発生率が有意に高かった。
特に標準療法群ではその差が大きく、標準療法群のβ遮断薬使用者は心血管イベント発生率が最も高かった。

 
冠動脈性心疾患または心不全を合併する糖尿病患者に限定した解析でも、β遮断薬の使用者は非使用者に比べて心血管イベント発生率が有意に高かった。


重症低血糖の増加が一因に

医療的介入を必要とする重症低血糖(血糖値50mg/dL未満)の発生率に関しても、β遮断薬の使用者では非使用者に比べて有意に高かった。
強化療法群ではその差が大きかったが、標準療法群では有意差が認められなかった。

 
以上の結果から、同グループは「糖尿病患者におけるβ遮断薬の使用は心血管リスクを上昇させ、このリスク上昇は心疾患を合併する糖尿病患者でも同様に認められる。β遮断薬使用者における重症低血糖の増加がその一因になっている」と結論付けた。
ただし、「標準療法群では使用者と非使用者との間で重症低血糖発生率に有意差が認められなかったことから、重症低血糖の増加だけでは心血管リスク上昇を説明できない。正確な理由は不明だが、重症ではない低血糖のリスク上昇、低血糖の期間延長、β遮断薬使用による体重増加などが関与した可能性もある」と付言し、今後の研究で詳しいメカニズムを解明する必要があるとしている。

 
近年の研究で、β遮断薬は重症低血糖に伴う重症高血圧や低カリウム血症などを予防・抑制し、重症低血糖に関連する不整脈および死亡を減少させる可能性があることが示されている。
しかし、β遮断薬には重症低血糖を引き起こすリスクがあるので、糖尿病患者にとってβ遮断薬は必ずしも有効であるとはいえない。
今後、より高レベルのエビデンスが得られた場合には、β遮断薬の適応を再考する必要があるかもしれない。




<きょうの一曲>

Keep Holding On By Avril Lavigne

https://www.youtube.com/watch?v=ozEtXTTPIAE


きょうの一枚の絵> 

c-20150603-tuning-3f-8fk8fac

田中 佐知男  tuning 3F

http://g-wakabayashi.com/artist/tanakasachio.html 


 


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腎臓専門医への患者紹介のタイミング 「透析導入6カ月以上前」の早期は妥当か?

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0606508864/

腎臓専門医への患者紹介のタイミングは、ガイドライン(GL)に記載されている「透析導入が必要となる6カ月以上前」が妥当か否かー。
大阪急性期・総合医療センター腎臓・高血圧内科主任部長の林晃正氏は、第60回日本腎臓学会(JSN 2017、5月26~28日)のシンポジウム「腎代替療法へのスムーズな移行とより良好な予後のために」(日本透析医学会合同企画)で、2件のコホート研究の結果を報告した。


全死亡リスクは早期紹介で有意に低下

腎臓専門医による慢性腎臓病(CKD)保存期の管理は、患者の透析導入までの期間を延長し、透析導入後の予後改善に寄与すると考えられている。
腎臓専門医による治療介入時期については、2013年の「維持血液透析ガイドライン:血液透析導入」で、「透析導入が必要となる6カ月以上前より、腎不全症候が出ないように診療を行うことは、透析導入後の生命予後の観点から望ましい」と記載されている。

 
これまでの国内外の検討で、透析導入の6カ月以上前に腎臓専門医に紹介された患者は、6カ月未満の患者に比べ、全死亡率が低いことが示されている。
しかし、6カ月以上前の腎臓専門医への紹介が死亡リスクの低下に寄与するのは、透析導入後早期に限られる可能性があることに加え、透析患者の主要な死因である心不全などの循環器疾患による死亡についての報告は少ない。

 
そこで、腎臓専門医への紹介時期が透析導入後の全死亡および心血管疾患(CVD)死に及ぼす影響について、2件のコホート研究により検討された。
 

1件目は、2001~09年に大阪府南部に位置する市立泉佐野病院(現・りんくう総合医療センター)腎臓内科と近隣5病院で行ったコホート研究。
対象は、6施設で透析を導入した682例のうち解析が可能だった604例。
透析導入の6カ月以上前の早期に腎臓専門医に紹介された患者258例(Early Referral;ER群)と6カ月未満の晩期に紹介された患者346例(Late Referral;LR群)に分けて検討した。
全体の患者背景は日本の一般的な透析患者と同様だったが、両群で比較すると、LR群は緊急導入および尿毒症や体液過剰による導入が高率であった。

31.1カ月間(中央値)観察し、予後についてKaplan-Meier法を用いて両群を比較したところ、全死亡はER群で有意に高かった
CVD死については有意な群間差は認められなかった。

私的コメント
全死亡はER群で有意に「高かった」→「低かった」?
記事中の図では少なくともそう見えます。
ここは重要な点ですが、どうなんでしょうか。 

 


感染症による早期死亡が抑制される可能性も

全死亡のリスク因子について単変量および多変量Cox比例ハザード解析を行ったところ、腎臓専門医への紹介時期は単変量解析では有意なリスク因子であったが、多変量解析では有意な因子ではなかった。
ただし、透析導入後12カ月以内の早期死亡に限定すると、紹介時期は多変量解析でハザード比(HR)1.974(95%CI 1.120~3.478、P=0.019)と有意なリスク因子となることが分かった。
早期死亡に関しては、紹介時期が透析導入の6カ月前、12カ月前、18カ月前、24カ月前のいずれにおいても死亡率が低下しており、
透析導入の少なくとも6カ月前に腎臓専門医に紹介することは妥当と考えられた

 
死因を見ると、LR群で多かった感染症による早期死亡がER群では少なく、晩期死亡では両群ともCVD死が最も多かった。
これらの結果から、林氏は「
6カ月以上前の紹介は感染症による早期死亡を抑制している可能性がある」と指摘した。
 

早期紹介による全死亡抑制効果は限定的 

専門医の的確な透析導入の見極めが鍵

2件目は、2006~15年に大阪府立急性期・総合医療センター(現・大阪急性期・総合医療センタ-)で透析導入し1,131例のうち、解析が可能であった875例(ER群:654例、LR群:221例)を対象としたコホート研究。
比較的最近の症例が多く、また同センターが病診連携に積極的だったことから、ER群が約75%を占めたという。

 

40カ月間(中央値)観察し、両群の予後について検討した結果、Kaplan-Meier法では1件目のコホート研究と同様に、全死亡においてER群の予後が良好であった。
さらに、CVD死に関してもER群で有意に少なかった。
一方、全死亡ならびにCVD死のリスク因子に関する単変量および多変量Cox回帰ハザード解析では、やはり腎臓専門医への紹介時期はリスク因子として同定されなかった

 

さらに、透析導入の6カ月以上前の腎臓専門医への紹介による全死亡率低下が透析導入後どのくらいの期間持続するかを検討したところ、6、12、18、24、および30カ月後のいずれの時点においても、全死亡率はLR群に比べてER群で低値であった。

 
以上の結果から、林氏は「腎臓専門医への早期紹介の効果には限界があるものの、透析導入後24~30カ月程度の比較的早期の死亡リスクを低下させる可能性がある」と結論。
早期の死亡リスクを低下させる理由については、腎臓専門医による的確な透析導入タイミングの見極めを挙げた。
一方、CVD死を減少させるには「透析導入前の腎臓専門医によるさらなる長期の管理が必要である可能性、あるいは現状の管理方法ではリスクを減少できない可能性が考えられる」との見解を示した。




<きょうの一曲>

7 Classical Pianists I've Come To Admire On YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=MEIIXLpOdnw




<きょうの一枚の絵>
okudaakihito-piga-runimukausakamiti400

奥田明人 ピガールに下る坂道 15号

      

絵を描くときは無心になって

絵は人が寂しい時に心を癒し満たします。

絵は心の食事です。

私の絵で良い気持ちになるような絵を描きたい


それが私の使命(ミッション)です。    


             (奥田明人)

http://g-wakabayashi.com/cn16/okuda.html




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AACEの新脂質ガイドラインが“極大”CVDリスク区分を設定

http://www.carenet.com/medscape/cardiology/000394.html

2つの内分泌系学会が、循環器系学会による推奨から抜け出し、LDLコレステロールの「目標値」を復活させ“極大リスク(extreme risk)”という新区分を初めて含む、新たな脂質管理ガイドラインを発表した。
現在、同群にはLDLコレステロール55mg/dL未満が推奨されている。


米国臨床内分泌学会(AACE)および米国内分泌学会(ACE)によるこの最新ガイドラインは、4月号のEndocrine Practice誌に掲載され、5月4日に2017年AACE年次学術臨床会議のワークショップにおいて議論された。

新たに得られているデータはすべて同じことを示している。
それは、最初のLDLコレステロール値にかかわらず、LDLコレステロール値は低ければ低いほど良い、ということである。

それらのエビデンスによって、AACEおよびACEは、LDLコレステロールの目標値を削除し、代わりに1次予防、2次予防の患者4群に対し異なる強度のスタチン療法を推奨するという、賛否両論ある米国心臓協会/米国心臓病学会(AHA/ACC)による2013年のガイドラインとは異なる方向性に至った。

AHA/ACCガイドラインとは対照的に、AACE/ACEは現在、心血管イベントに対し極大リスク、超高リスク、高リスクおよび中等度リスク、低リスクである人に、それぞれ55mg/dL未満、70mg/dL未満、100mg/dL未満、130mg/dL未満というLDLコレステロール目標値を推奨している。

「目標値は、非常に有用なものである。患者と医師双方にとって強い動機となる。HbA1cには目標値があり、血圧にも目標値がある。なぜLDLコレステロールの目標値があってはいけないのだろうか? 低ければ低いほど良いという強固なエビデンスが存在するのだから」とある関係者はコメントしている。

まさに、LDLコレステロールの目標値はAACE/ACEの過去のガイドラインの重要な特徴であり、実際のところAACE/ACEはこれまでにLDLコレステロール目標値を除外したことは1度もない。

しかし、ACC/AHAによるガイドラインの、ある共同執筆者はACC/AHAの方式を擁護した。

「(AACE/ACEが)LDLコレステロールやその他の脂質の目標値を存続させ続けているのは残念なことだ。LDLコレステロール値は低いほうが良いのかもしれない、しかしどのような患者が、どうやって目標値に到達するかが重要なのである。LDLコレステロールの閾値を使用し、実際のベネフィットの見込みを考慮することは、コレステロール低下療法を個別化するための、より良い方法である」


5種類のCVDリスク区分に対する目標値

AACE/ACEのガイドラインでは、患者は以下の5種類のアテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)リスク区分に分類されている。


極大リスク群の目標値:LDLコレステロール値55mg/dL未満、非HDLコレステロール値80mg/dL未満、アポリポ蛋白B(apoB)値70mg/dL未満

LDLコレステロール値70mg/dL未満を達成後の患者で、不安定狭心症を含む進行性アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)がある

糖尿病、ステージ3または4の慢性腎臓疾患(CKD)、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(HeFH)を有する患者で、確定診断済みの臨床的心血管疾患がある

早発性ASCVDの既往がある(男性では55歳未満、女性では65歳未満)


超高リスク群の目標値:LDLコレステロール値70mg/dL未満、非HDLコレステロール値80mg/dL未満、apoB値80mg/dL未満

急性冠症候群、冠動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患が確定診断済みであるか、あるいはそれらによる最近の入院歴があり、10年リスクが20%超である

糖尿病あるいはステージ3または4のCKDを有し、1つ以上のリスク因子がある

HeFHを有する


高リスク群の目標値:LDLコレステロール値100mg/dL未満、非HDLコレステロール値130mg/dL未満、apoB値90mg/dL未満

2つ以上のリスク因子を有し、10年リスクが10~20%である

糖尿病あるいはステージ3または4のCKDを有し、他のリスク因子がない


中等度リスク群の目標値:高リスク群と同じ

2つ以上のリスク因子を有し、10年リスクが10%未満である


低リスク群の目標値:LDLコレステロール値130mg/dL未満、非HDLコレステロール値160mg/dL未満、apoB値は目標値なし

リスク因子がない


AACE/ACEガイドラインでは、イベントに対する10年リスク値を計算するには、Framinghamリスク評価ツール、アテローム動脈硬化症多民族研究(MESA)の冠動脈石灰化による10年ASCVDリスク計算法、高感度CRP(hs-CRP)および早発性ASCVDの家族歴を含むReynoldsリスクスコア、2型糖尿病患者に対するUnited Kingdom Prospective Diabetes試験(UKPDS)リスクエンジンという、4種類の確立されたリスク計算法のいずれかを使用することが推奨されている。
 

FOURIER試験は「場外ホームラン」だった

2014年のImproved Reduction of Outcomes: Vytorin Efficacy International試験(IMPROVE-IT試験)は、超高リスク群や極大リスク群に対する極端に厳しい脂質管理によるベネフィットを明らかにした、「思いがけない発見」であったが、その試験よりも前にそのことを示唆するメタ解析がいくつか存在していた。

そのようなメタ解析には、2010年のCholesterol Treatment Trialists' Collaborationや、2014年のスタチンに関する8つの前向き無作為化試験のメタ解析が含まれ、その両方が、LDLコレステロール値を50mg/dL、もしくはそれよりもさらに低い値に低下させることのベネフィットを示している。

そして最近、Further Cardiovascular Outcomes Research With PCSK9 Inhibition in Subjects With Elevated Risk(FOURIER)試験において、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬であるevolocumab(商品名:Repatha、Amgen)をスタチンと併用した場合、LDLコレステロール値を平均30mg/dLに低下させることにより、主要心血管イベントを減少させた(しかし心血管死や全死因死亡は減少させなかった)ことが今年の3月に明らかになったばかりである。

「IMPROVE IT試験が明確にこのことを突きとめて皆に知らしめ、FOURIER試験が、われわれのガイドラインを重要な方法で完全に証明した」とJellinger氏は集まった記者らにコメントし、さらに同氏はFOURIER試験を「場外ホームラン」であると捉えているが、「満塁ホームラン」となるのは死亡率の差を示す長期データが得られたときであろう。

ezetimibe(商品名:Zetia、Merck)あるいはPCSK9モノクローナル抗体を併用することでさらにリスクが徐々に減少していくが、異なるLDLコレステロール目標値を用いたtitrationを比較した試験は存在しない。

LDLコレステロールの目標値は、本グループが述べているエビデンスに基づいていないだけでなく、目標値に向けたtitrationでは、個別の患者のベネフィットの可能性を考慮できなくなってしまう。
 

費用に見合うか?

AACE/ACEのガイドラインには、さまざまな脂質低下戦略の費用対効果に関する議論が含まれている。

一般に、中等度リスクから高リスクの人やLDLコレステロール値が非常に高い(190mg/dL以上)人において、スタチンはASCVDイベントの1次予防と2次予防の両方について費用対効果が高いことが証明されている

LDLコレステロール目標値を達成できない人においてスタチン療法とezetimibeを併用した場合の、米国での費用対効果はまだ評価されていないものの、カナダの試験と英国の試験では、ezetimibeはとくにジェネリック医薬品を使用することによって費用対効果が良好となる可能性があることが示唆されている

私的コメント
「ezetimibeはとくにジェネリック医薬品を使用することによって・・・」の「使用」は、
スタチン療法との「併用」を意味しているのでしょうか?

 

新たに定義された極大リスク群におけるCVイベントの年間発生率は10~14%であり、5年間では45~50%に上昇する。

併用療法は、極大リスク群の患者において、とくに費用対効果が高いことが証明されるのではないかと考えられている。
(患者に)どのくらいの費用がかかるかをみてほしい。
患者の生命を救うには多額の費用がかかり、患者を生かし続けるにはおそらくさらに多くの費用がかかる。


しかしながら、異なった見方もある。

開始時に65mg/dL未満でないかぎり、大多数の患者はezetimibeを併用してもLDLコレステロール値55mg/dL未満を達成しない。
1件のイベントを予防するために、100例を超える患者を5年間治療する必要があるだろう。
PCKS9モノクローナル抗体を追加することでさらに多くのイベントを予防することができるかもしれないが、どのようなリスクレベルの患者においても、現行の価格でこれらの薬剤はいかなるレベルの費用対効果に見合うことは示されていない。


私的コメント
日本での薬価の決定過程も不透明ですが、諸外国での薬価はどのように決まるのでしょうか?
薬価が下がれば「費用対効果」の議論も当然ヒートアップせずにすみます。
 

英文抄録

New AACE Lipid Guidelines Establish 'Extreme' CVD Risk Category

http://www.medscape.com/viewarticle/879577





<番外編>

心不全で脳卒中リスクが上昇

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0604508823/

心不全は短期および長期の脳卒中全サブタイプのリスク上昇に関係すると、デンマークのグループがStrokeの(2017; 48: 1161-1168)に発表した。

・脳梗塞、ICH、SAHともに有意に高かった。

また、心不全発症31日~30年後の脳卒中RRは脳梗塞、ICH8、SAHのいずれも有意に高かった。



<きょうの一曲>

7 Classical Pianists I've Come To Admire On YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=MEIIXLpOdnw




<きょうの一枚の絵>


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村田省蔵  れんげつつじ咲く乗鞍高原

http://seikougarou.co.jp/item/2160.html






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推奨目標以下への降圧で心疾患・全死亡リスク減 42試験、14万4,220例をメタ解析

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0605508844/

米国の研究グループは、42件の臨床試験に参加した降圧治療中の高血圧患者における収縮期血圧(SBP)低下と心疾患および総死亡リスクの関係をメタ解析で検証。
推奨されているSBP目標値よりさらに低いレベルへの低下が、心疾患や全死亡のリスク減少と有意に関連していたとJAMA Cardiologyで報告した。


Systolic Blood Pressure Reduction and Risk of Cardiovascular Disease and Mortality: A Systematic Review and Network Meta-analysis.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28564682



MEDLINEとEMBASEを検索

SBPの最適な目標値が明らかになれば、高血圧を原因とする疾患や早死の予防など広範囲に恩恵をもたらすと考えられるが、最適な目標値は明確でない。
2013年12月に発表された米国高血圧合同委員会第8次報告(JNC-8)で、60歳未満、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)患者で130mmHgから140mmHgに、60歳以上では150mmHg未満へと緩和されたものの、議論が続いている。


今回の研究グループは、MEDLINEとEMBASEに2015年12月までに掲載された論文の中から、ランダム化比較試験(RCT)で成人高血圧患者を降圧薬と対照、あるいは治療目標にランダムに割り付けた臨床試験を検索、さらにそれらの論文の参考文献を手動で検索した。その結果、到達SBPの平均値の差が比較群間で5mmHg以上、追跡期間6カ月以上、各治療群100例以上などの組み入れ基準に42件の試験、14万4,220例が合致。ネットワークメタ解析の手法を用いて、試験中の各治療群の到達SBPの平均値に基づき5mmHgごとに10のカテゴリーに区分し、臨床評価項目との関連を調べた。主要評価項目は心血管疾患(CVD)、全死亡とした。


SBP120~124mmHgの治療群で27~29%の減少

解析の結果、到達SBPの平均値とCVD、全死亡はほぼ線形の関連を示した。
最もリスクが低かったのはいずれも到達SBPの平均値120~124mmHgのカテゴリーだった。
130~134mmHg、140~144mmHg、150~154mmHg、160mmHg以上に対する主要CVDのハザード比(95%CI)は順に0.71 (0.60~0.83)、0.58(0.48~0.72)、0.46(0.34~0.63)、0.36(0.26~0.51)、同様に全死亡のハザード比は0.73(0.58~0.93)、0.59 (0.45~0.77)、0.51(0.36~0.71)、0.47(0.32~0.67)だった。
到達SBPの平均値120~124mmHgのカテゴリーは、130~134mmHgとの比較でもCVDが29%、全死亡が27%減少していた。

 
CVD死、脳卒中、冠動脈疾患(CHD)についても、到達SBPの平均値との間に線形の関連が認められた。CVD死と冠動脈疾患(CHD)では120~124mmHgが、脳卒中では120mmHg未満が最も低リスクだった。


SPRINT試験とも一致、ガイドラインの見直しが必要

研究の限界として、各カテゴリーにサンプルサイズが小さい治療群を含む点がある。
一例を挙げると120mmHg未満は3試験7,333人だった。
一方で、多様な人口と多くの試験を含む研究であることが、結果の一般化の可能性を高めているとも考察している。

 
同研究は、より厳格な降圧療法によってCVDや死亡が有意に減少するとしたことを示した2015年のS