毎日沢山の熱いコメント、本当にありがとうございます。一つ一つの言葉は非常に厳しいですが、その根底にはやはり皆さんのチームに対する愛情、真摯な想いが流れていることを感じています。

そんな中、インターネット版「中国新聞」に掲載されたこの記事。

【球炎】優勝する気はあるのか(中国新聞)


この記事には本当に驚きました。

広島の地元紙である「中国新聞」はいわば球団の広報のようなもの。

その「中国新聞」がシーズンのこんな早い時期に、しかも球団生え抜きの首脳陣に対して批判記事を掲載するのは異例のことです。県外の自分が驚く位なので、この新聞に長らく接してきている地元の方々の驚きはもっと大きなものでしょう。


さて、ここにこんな数字があります。

 2009  得点  失点
 3,4月  3.13  3.91    
 5月   3.39  3.30 

 2010
 3,4月  3.37  4.55
 5月   4.32  5.27


これは今シーズンと昨シーズンにおける5月時点の得失点(一試合平均)をまとめたもの。5月の数字を見ると得点は去年より1点近く伸びていますが、失点はなんと2点近く悪くなっています。
原因は言わずもがな「投壊」。

防御率だけを比較すると

 昨年:3.05
 今年:4.59


これはルイス、大竹の離脱だけでは説明がつかないほどの悪化です。(ルイスは去年顔面麻痺で4/17から一ヶ月ほど離脱しています。大竹の離脱はありますが、前田健太の成績向上を考えると極大の影響ではありません。)
つまり、ルイス、大竹、前田健太以外の投手について、全体的に成績が落ちているということです。これが仮にカープの投手陣が全員老齢化していて、個々の能力の劣化に因るものであればここまで首脳陣が叩かれることはなかったでしょう。しかし、カープの投手陣は去年ある程度の実績を残し、更にこれからの成長が期待されている若手が多いという状況。そんな彼らの力を伸ばしきれず、むしろ劣化させてしまっているという状況が、数多くのファンから怨嗟の声が挙がっている要因でしょう。もちろん、前田健太を見れば他の選手が伸びないのは「個々の責任」という言い方も出来ますが、全員が前田健太のような才能があればそもそもコーチは不要です。コーチの本当の役割は、出来る選手も出来ない選手もとにかく今持っている力を可能な限り引き出してあげること(具体的には、役割分担をはっきりとさせたブルペンワーク、先発編成)。そして、結果を求め過ぎず、数年先を見た育成をすること(具体的には懲罰的な降格、日和見的な一軍登録&テストは行わない)。特に若手の多いカープにとって、コーチにこの能力がないとお話になりません。
ここまでの成績、そして数字だけでなく試合での各選手の投球内容を見る限り、キャンプから野村監督に投手陣の全権を委任されていた大野さんにその能力が備わっているとは、残念ながら思えない結果が出てしまっています。そして、途中から投手陣への介入を宣言した野村監督にも当然ファンの怒りが降り注ぐ結果になっています。

もちろんファンの皆さんからは監督の采配面の問題点も指摘されていますが、個人的にはやはり投手陣の整備の問題が一番大きいと感じています。



さて、中国新聞の記事に書かれている「首脳陣」とは現場の指揮官たる野村監督、そして大野ヘッドコーチら現場の指導者達を指しています。

「投壊」の直接的な責任が「首脳陣」にあるのは先程述べた通りで、間違いはないと思います。



ただ、私はそのもっと根本的な要因に日々憤りを感じています。


それはカープという球団の「体質」です。

「球団」という言葉を使ってしまうと、地道に現場を支える裏方さん達を含めてしまうので、もっと語弊の無い形で言うと「フロント」の「体質」です。


かれこれ20年近く優勝から遠ざかり、Aクラスですら、もう13年も遠ざかっています。

ここまで長期の低迷が続くということは、もはや前線で戦っている現場の指揮官や選手個々に問題があるのではなく、「フロント」に問題があるのは間違いありません。
「フロント」に球団の戦力を維持するための長期的な戦略、ビジョンが欠如しているんです。


では具体的にどこに問題があるのか?


大きくは3点。


1つ目はFA全盛時代にその波に真っ向から逆らってしまったこと。

巨人や阪神のように他チームの4番やエースを引き抜きまくれ、とは言いませんが、せめて自前で育てた選手の流出は全力で防いで欲しかった。(特に金本については本人が相当な歩み寄りを見せていたにもかかわらず、頑なにFA否定の姿勢を貫いてしまったことは残念でなりませんでした。その後、黒田の時に初めて宣言残留を認める方針に転換しましたが、時既に遅しでした。)
FA完全否定という方針は、他球団が両手に剣を構えて向かってくるところを、カープだけ素手で戦っているようなものでした。せめて自前の剣(FA宣言残留)だけは必死で守って欲しかった。自他共に認める育成球団だっただけに、自前で育てた選手をもっと大切にして欲しかったです。



2つ目は満足のいく補強を怠ったこと。

この点についてはFA全盛・逆指名時代のあおりをまともに喰らってしまった感も否めませんが、補強に割く資金が他球団に比べてあまりにも劣っていたという事実は、チーム弱体化の大きな要因の一つです。また、昨年のルイス流出については、家族の問題が一番でしたが、サラリー面での問題も一部で報道されています。



3つ目は監督・コーチに外からの血を積極的に入れようとしなかったこと。またその一方で自前の優秀な人材を他球団に流出させてしまったこと。そして中長期的な計画を持って監督・コーチ人材を育成しなかったこと。

世にある数多くの企業を見ていると、同族経営の企業は例外なく内部から腐っていきます。どんなに優秀な人材がいても、同族という地位は必ず甘え、なれ合い、油断を引き起こします。そして、それらは時間をかけて組織を腐らせていきます。最も悲劇なのはその被害を被るのは経営陣ではなく、社員達(選手達)であるということ。前時代、旧時代的な考え方に潰されていった若鯉達も少なからずいたことでしょう。
また、球団の内紛を原因として高橋慶彦を始めとした優秀な人材を他球団に流出させてしまっています。更に、中長期的な育成計画の欠如。これに関しては今回の野村謙二郎が代表例。現役引退後ろくにコーチ経験のないような人材を何の計画性もなくいきなりトップに据えてしまいました。

特に最近、現場の指揮官たる野村監督と大野ヘッドコーチが総叩きにあっているのを見ていると、上に挙げた3点目の要因を考えて、ある意味この2人も被害者だな、と感じています。

野村監督については、数年の野球解説者と春先のたった数週間程度のコーチ留学経験のみで、いきなり現場のトップに据えてしまう人事。普通の企業では考えられない人事です。(彼は現場の指揮官として光る部分も見せてくれているだけに、もっと順序を踏んで指導者として育てて欲しかったと感じています。)
一方、大野コーチについては、達川政権時代(投手陣崩壊で1年で引責辞任)、そして北京五輪の実績(メダル逃しは投手陣の整備不足も一因と言われています)から、ご本人には申し訳ないのですが、コーチ能力の限界がある程度見えていました。そんな人材を、恐らく現役時代の実績、名声、そして五輪代表コーチというレッテルだけで登用してしまいました。

もちろん、監督とコーチの就任を承諾した以上、2人にも当然責任はあるわけですが、そもそもそんな人事をした球団フロントに、根本的な問題があると感じています。



今回の「中国新聞」の記事は今まで禁断とされていた領域にメスを入れたものでした。
今のカープに不満を抱える多くのファンにとって胸のすく記事だったことでしょう。
しかし、本当の意味でカープが変わるためにメスを入れなければならないのは、現場首脳陣、選手ではなく、もっと奥深い球団の体質にあるのではないか、そう感じています。



そして、一番悲しい現実は、その「体質」を変える直接的な権利を第三者が持ち合わせていないこと。

企業であれば、経営が悪化すれば株主は株主総会で経営陣に直接その責を問い、場合によっては解任に追い込むことも出来ます。

政党であれば、満足のいく政治が出来ていなければ、有権者がその党に投票せず、議席を失っていくことになります。

また、企業がスポンサーについている一般的な球団であれば、成績が悪化すれば企業側がフロントの刷新を望むケースもあります。そう、今年の横浜のように。

しかし、カープという球団にはそういった直接的な「球団を変える権利」を第三者が持ち合わせていません。

第三者であるファンはただ悲しい思いで球団の行く末を見つめ、何か出来たとしても球場で小さな抗議ボードを掲げる、球団に抗議のメールを送る等といった間接的な行動しか出来ません。一番悲しい現実はそこにあります。

ただ、ファンにも我慢の限界があります。
このまま本当に球団が変わらないと、近いうちにファンから何らかの大きなうねりが起こり始めるのでは?そう感じています。

20年近く優勝から遠ざかり、13年Bクラスという現実。

ファンに言われる前に、球団はその事実を謙虚に、真摯に受け止め、自ら行動に動いて欲しい。そう願っています。



今回のエントリは、今年だけでなくもうかれこれ10年以上感じていることで、私が書くまでもなく、多くのファンの方が感じていることかと思います。
ただ、私が危惧しているのは、今年の低迷について、野村監督、大野コーチの引責を隠れ蓑にして、球団の体質の本当の意味での問題がうやむやになってしまうことです。
そんな想いからシーズン途中のこんな時期ではありますが、中国新聞の記事に触発され、今回のエントリを書きました。



10年以上続くカープの低迷、そして今年の惨状、それらの本当の要因は何か? みなさんはどうお考えですか?



追記 : 
随分と騒々しい内容を書いてしまいましたが、シーズン中の今、ファンに出来ることは、現場で戦っている選手、コーチ、監督、裏方さん達を応援すること。良いプレー、良い采配、良い運用には素直に拍手。そして、納得いかないプレー、采配、起用については愛情を持って叱咤すること。それだけです。
この気持ちだけはぶらさずに、シーズン終了までチームを見守っていきたいと思います。