Cartan's Blog

あまり日本で紹介される機会の少ない欧米・アジア・アフリカなど海外のICTの事情を紹介したいと思います.特に興味ある話題は,NFC,スマートフォン,海外オペレータ動向などです.ご連絡は,cartan0216@gmail.com へお願いいたします.

NOKIA

Appleが,2012年Q4のアメリカ携帯電話の出荷台数でSamsungを抜いてNo.1に

米Strategy Analyticsは,アメリカ携帯電話出荷台数の調査報告を発表しました.2012年Q4は,AppleがSamsungを抜いてNo.1となりました.同社の公式ブログから
Apple Becomes Largest Mobile Phone Vendor in United States in Q4 2012

アメリカの携帯電話市場(スマートフォン+フィーチャーフォン)を見ると,2012年Q1~Q3の合計で,前年同期比16%の縮小でした.理由としては,経済不安やモバイルオペレータの買い替えに対するサポート縮小などが考えられます.Q4は,やや持ち直して3.6%の増加となりましたが,年間では10.7%の減少です.
USMobilephoneShipment
ベンダ別にみると,Q4は,Appleが1,770万台でSamsungの1,680万台を抑えて,No.1となりました.Samsungは,2008年からアメリカ携帯電話市場でNo.1を保持しており,Appleがトップになるのは,これが初めてです.

AppleがSamsungを逆転した要因として,2012年9月にiPhone5を販売したことが考えられますが,何と言っても大きいのは,アメリカの新規購入でスマートフォンが占める割合が高くなったことです.Samsungは,これからGalaxyの新機種を出すといわれており,2013年の巻き返しを図っています.
USMobilephoneShare
こちらは,ベンダ別のシェアをまとめたものです.3位のLGは,690万台から470万台,シェアも13.7%から9.0%へと落としていますが,Optimus G 4G LTE Androidスマートフォンを新たに市場に出して,シェア獲得を狙っています.

Strategy Analyticsは,世界全体の携帯電話出荷台数&シェアも発表しているので,アメリカ市場と比較してみます.
(3)MobilePhoneShipment
(4)MobilePhoneShare
2012年全体でみると,携帯電話出荷台数は15億7,500万台で,アメリカは1億6,690万台なので,アメリカは世界全体の10%強を占めています.トップはSamsungで,シェア25.2%は,3位のAppleの8.6%に対して3倍近くなっています.これは,出荷台数の大半を占める新興国では,フィーチャーフォンの需要が高いこと,Samsungがフィーチャーフォンで強いことを示しています.

2位にNokiaがいますが,新興国では,まだ強いブランド力を持っているようです.ただし,今後は,新興国でもスマートフォン需要が増えると見られているので,1年後はシェアがどのように変わっているかが楽しみです.

2012年の世界スマートフォン出荷台数は42.7%の増加だが,携帯電電話全体は横ばいの1.9%増

米StrategyAnalyticsが,世界の2012年携帯電話・スマートフォン市場のまとめを発表しました.同社のプレスから
[世界スマートフォン市場]
Strategy Analytics: Global Smartphone Shipments Reach a Record 700 Million Units in 2012
[世界携帯電話市場]
Strategy Analytics: Global Mobile Phone Shipments Reach 1.6 Billion Units in 2012

世界の携帯電話の動向として,スマートフォンの出荷台数は前年比47.2%と大幅に増えていますが,フィーチャーフォンを加えた携帯電話全体は横ばいの1.9%増となっています.以下,詳細を述べます.
(1)SmatphoneShipment
(2)SmatphoneShare
表1と表2は,スマートフォンの出荷台数とシェアです.市場全体で,2011年の4億9,000万台から2012年は7億台と42.7%増加しました.市場を牽引しているのはSamsungで,9,700万台から2億1,300万台と大幅に台数を増やしただけでなく,シェアも19.9%から30.4%と伸ばしています.

2位のAppleは,9,300万台から1億3,600万台と台数を増やしていますが,シェアは19.0%から19.4%と横ばいです.Appleは,北米を中心に先進国では強いのですが,新興国でのシェア獲得が課題となっています.Samsungがハイエンドからミドル・ローエンドまで,幅広い価格帯をサポートしているのに対して,Appleの1機種で全世界をカバーする戦略の限界が見えてきています.Appleは1/23に2012/Q4決算を発表しましたが,販売台数がアナリスト予測に届かず,10%以上も株価が下落しました.中国・アフリカなど新興国への拡大が期待されるところです.

Nokiaは,第3をキープしましたが,販売台数は7,730万台から3,500万台と半減.シェアも15.8%から5.0%と1/3になっています.SymbianからWidnows Phoneへの移行に苦しんでいます.
(3)MobilePhoneShipment

(4)MobilePhoneShare
表3,表4は,携帯電話(スマートフォン+フィーチャーフォン)全体の出荷台数とベンダ別のシェアです.スマートフォンの出荷台数が大幅に伸びているのにもかかわらず,携帯電話全体では15億4,600万台から15億7,500万台と横ばいです.

Samsungは,携帯電話出荷台数でも第1位で,3億2,700万台から3億9,600万台と市場全体が横ばいの中で,確実に台数を伸ばしています.Nokiaは,2位をキープしていますが,4億1,700万台から3億3,600万台と減らしています.減少分の8,150万台の内訳をみると,スマートフォンが4,230万台,フィーチャーフォンが3,920万台で,スマートフォンの影響が大きく出ています.3位には中国のZTEが入っています.

2013年はどんな動きとなるか,Samsungのトップが継続するのか,Appleの廉価版iPhoneはでるのか,NokiaのWindows Phone移行が進むのか,動向を注目します.

Samsungが,曲がるディスプレイをCESで発表

Samsungは,1/8からラスベガスで開催されるCESに,フレキシブルディスプレイをデモ展示します.CNETの記事から.
Samsung preps 5.5-inch flexible phone screen for CES demo

フレキシブルディスプレイを出品するのは,Samsung Electronicsの子会社である Samsung Display です.
Samsung-flexible-AMOLED-display_CES
展示予定のディスプレイは,1280*720ピクセルのHDレゾリューションで,サイズは5.5インチなので,スマートフォン向けとなります.開発チームは,並行して55インチのTV向けも展示する予定です.

ディスプレイの形状の制限がなくなれば,スマートフォンのデザインにも自由度が増すので,従来の名刺型以外にも,様々なデザインのスマートフォンが出てくるかもしれません.

Samsungは,フレキシブルディスプレイの開発に継続して取り組んでおり,CES2011にも4.5インチWGAサイズのものが出品されていました.今回は,一回り大きくなり,解像度も増えています.

フレキシブルスクリーンに注目しているのはSamsungだけではなく,Nokiaは昨年にフレキシブルスクリーンを使ったスマートフォンの試作を発表しています.
Nokia_flexible_UI_20111026_003_610x488
製品化がいつ頃になるか楽しみです.

Samsungが2012年携帯電話・スマートフォンの両方で出荷数No.1に

調査会社IHS iSuppliは,Samsungが2012年携帯電話・スマートフォンの両方で,シェアNo.1になるという市場予測が発表されました.同社のプレスから
Samsung Displaces Nokia as Top Cellphone Brand in 2012 and Takes Decisive Smartphone Lead Over Apple

Nokiaが1998年から14年間守り続けた世界全体の携帯電話シェアNo.1の座は,2012年にSamsungに移ります.Samsungのシェアは,2011年の24%から2012年は29%へと5%の上昇,反対にNokiaは,30%から24%へと6%減少して順位が入れ替わりました.
CellphoneShare
トップが入れ替わった最大の理由は,スマートフォン市場の拡大です.2012年のスマートフォン市場の伸びが35.5%だったのに対して,携帯電話全体では1%の増加にすぎず,フィーチャフォン市場は,むしろ縮退していることになります.携帯電話全体でスマートフォンが占める割合も,2011年の35%から47%へと増加して,スマートフォン市場を確保することが最重要となっています.

Samsungは,「素早い追随者(fast follower)」として,スマートフォン市場を獲得しました.Samsungは,年間1ダース以上のスマートフォン新機種を発表して,ローエンドからフラグシップまで,全てのセグメントの確保を目指しています.スマートフォンデザイン,ユーザニーズなどを迅速にキャッチして,市場のニーズに素早く対応するのが強みです.Appleの1機種でハイエンドにターゲットを絞る戦術とは対照的です.
SmartphoneShare
次の表はスマートフォンシェアをまとめたもので,こちらもSamsungがトップです.

comSourceのアメリカのスマートフォン市場シェア(2012年8~10月)と比較すると,Appleのシェアがかなり落ちています.期間が異なるので厳密な比較ではありませんが,アメリカでは34%,世界全体では20%です.これは,アメリカ以外では,ローエンドスマートフォン市場が大きく,Samsungは,幅広いラインナップを提供することで,先進国以外の市場を握っていることが分かります.

IHSは,スマートフォンシフトは更に続いて,2013年の携帯電話に占めるスマートフォンの割合は,56%になると予想しています.Samsung のシェアが更に大きくなるのか,あるいは,SamsungがNokiaを追い抜いたように,新しい新興国ベンダがSamsungを追いかけるのか楽しみです.

China Mobileが,Nokiaから最初のWindows Phone "Lumia 920T" を採用,Appleへのあて馬か?

中国China Mobileは,Nokiaと提携して,Windows Phone 8のフラグシップモデルLumia 920Tの販売を開始します.この提携がNokiaの業績復活に結び付くか,China Mobileの導入の意図は何でしょうか.
Nokia Partners with China Mobile to Launch the Lumia 920T, the First TD-SCDMA Windows Phone

Lumia 920は,Wndows Phone 8 を搭載したNokiaのフラグシップモデルです.China Mobileは,契約者数7億人の世界最大のモバイルオペレータですが,TDS-CDMAという中国独自の3G方式を採用しているために,一般のWCDMAやCDMA2000の携帯電話をそのまま使うことができません.

今回の発表は,Nokiaが,China MobileのTDS-CDMAネットワークに対応したLumia 920Tを提供すると言うもので,Lumia 920Tは,China Mobileが最小に採用するWindows Phone 8スマートフォンになります.
Lumia920T
Nokiaは,SymbianからWindows Phoneへのプラットフォーム切り替えが遅れて,業績が低迷しており,2012年Q3の決算発表では,スマートフォン出荷台数は1680万台で前年同期から38%減少,デバイス&サービス部門の売り上げも25%でした.

今回のChina Mobileとの提携発表により,Nokiaの株価は8%上昇しました.

しかし,これが,Nokiaの業績回復に結び付くかについては,厳しい見方がでています.WSJは,中国市場でNokiaがQ3に販売したLumiaスマートフォンは50万台,その中でフラグシップ機は10万台程度.China Mobileとの契約ができても,ハイエンド機の販売台数は10-20万台程度であり,Lumiaスマートフォンの世界全体の販売台数は,2013年で3,000-3,500万台になるだというBernstein Researchの予想を紹介しています.

ZDNewsは,China MobileがNokiaスマートフォンを導入するのは,Apple対抗ではないかと分析しています.

China Mobile のライバルであるChina UnicomとChina Telecomは,12月にiPhone 5の販売を開始します.China Mobileも以前からAppleとの交渉を続けていますが,2つの問題があり,導入の合意にたどりつきません.一つは,China MobileがTDS-CDMAネットワークを採用しているために,China Mobile専用機が必要となること.もう一つがAppleがiPhoneを導入するオペレータに,多額の補助金を付けることを要求していることです.

China Mobile CEOのLi Yue氏は,ビジネスモデルの違いが,導入の課題だと述べています.Lumia 920Tは4599元(約6万円)で,補助金なし,契約なしで販売されます.

Lumia 920TがNokia業績回復のきっかけとなるか,China MobileはiPhone5を導入するのか,今後の動きが楽しみです.
記事検索
プロフィール

Cartan

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ