上杉隆氏が池田信夫氏が書いたブログの記事が名誉毀損であるとし、池田氏も同様に上杉氏によるテレビでの発言が名誉毀損であるとして、互いに訴えていた損賠訴訟の判決が、3月16日、東京地裁で出されました。

ここで判決の情報を公開することは、のちに自分が言及していく問題に注目を集めるためのあざとい行為だと思う人がいるかもしれません。それは必ずしも否定しません。この裁判に注目している多くの人々、とりわけ言論の自由の問題に関心のある人々に知ってもらいたい案件があるからです。しかし私は12月22日の口頭弁論の傍聴にも行きましたし、ツイートで報告したりしませんでしたが、判決の傍聴にも行きました。ジャーナリストをめぐるウェブ上のトラブルとして、人並み以上には関心をもっていました。

地裁判決後、上杉さんは全面勝訴、池田さんはほぼ勝訴とそれぞれ判決への自己評価をツイッターで表明しています。しかし判決文を公開する様子は見られません。私は上杉さんのブログを読んでいましたが、判決後に更新されたブログで、希望者には判決文のPDFファイルを配布するという告知がありました。

そこで上杉隆事務所のフォームに判決文のファイルを希望する旨を書き込み、投稿しました。ただそのとき判決文は公共の財産であるから公開しようと思うが問題があるならあらかじめ説明して欲しいこと、また自分は上杉さんと『報道災害』の共著のある烏賀陽弘道氏から事実無根の誹謗中傷を受けている身だということの2点を書き添えました。

その後しばし待っていましたが、判決文が送られてくる様子がないので、東京地裁に出向いて裁判記録を閲覧し、それなりに関心をもっている人もいて需要もあるだろうと、判決の主要部分を書き写しました。裁判の判決文は公共物であるので、プライバシーなどに関わらない限り、公開可能だと考えます。お二人とも何かありましたら、認知できるように言及していただけたらと思います。

これからアップするのは3段階の構造になっている判決文のうち、第1の「主文」と、それに続く事実及び理由のうち、第2の「事案の概要」の最初の一部、そして第3の「当裁判所の判断」の全部、A4で11ページ分ほどです。 第2の「事案の概要」は裁判での双方の言い分で、争いのない部分とある部分を分けて列挙した箇所で10ページほどあり、ここは省略しています。本来の判決文と、数字の書き方が半角か全角かの細かな違いがあることは、ご容赦いただけたらと思います。句読点が多めですが、それはこの判決文の個性です。判決は以下のような3段階の構造をもつものです。

主文

事実及び理由

第1 請求

1本訴

2反訴

第2 事案の概要

1前提事実(争いがないか、後掲証拠及び弁論の全趣旨より認められる。)

2争点及びこれに関する当事者の主張

第3 当裁判所の判断