この車内補充券が発売された時期より古い規程になりますが、平成13年4月の旅客連絡運輸基準規程別表によれば、秩父鉄道との連絡運輸範囲は八王子までで、横浜線は含まれておらず誤発売となります。
それでは、誤発売に伴う会社間の清算はどうするのでしょうか?難しいことはなく、淡々と清算するだけです。
発行時期不詳の資料ですが、JR北海道の連絡清算マニュアルによれば、「北海道旅客鉄道と連絡契約を締結していない他旅客会社管内の私鉄の乗車券類は基本的に発売できない」としながら、「マルス端末等で発売操作すると発券となものもあるので、連絡清算を行わなければならない。」と述べています。※1
特に伊豆急行との清算については「連絡清算の契約を結んでいないが、マルスで発券出来るため支払いは行う、この場合伊豆急行に直接支払うのでは無く東日本旅客鉄道会社に支払う。」と定めています。
JR北海道が幹事会社となる会社線は、この当時北海道ちほく高原鉄道、東日本海フェリーがありましたが、逆にJR他社での発売が確認できた場合、JR北海道で清算するマニュアルになっていました。
旅客連絡運輸基準規程第9条では、旅客会社(JR)と連絡会社(社線)との協議について、同規程付表1で定める連絡担当旅客会社(幹事会社)を介して行うことにしています。清算もこの取扱方を踏襲したものと言えるでしょう。
(通知、協議等の発受者及びその方法)連絡運輸範囲が定められている理由について考察すれば、(1)駅や車掌に運賃表を予め持たせておく必要があること、(2)特に社線側が使用する乗車券類の様式について、予め通達できる範囲に限度があること、(3)会社間の清算が煩瑣になることが挙げられます。
第9条 この規程に定めるところによつて、当社と連絡会社との間に行う協議、通知等は、その内容により次の各号により行うものとする。
(1) 当社と当社管内の連絡会社との協議、通知等については、当社の営業部長又は支社長と連絡会社の代表者との間で行うものとする。ただし、当社の駅長において行うものは、連絡会社の駅長との間で行うものとする。
(2) 当社と当社以外の旅客会社の管内の連絡会社との協議については、付表1に定める区分により、連絡担当旅客会社に対して営業部長が行う。(後略)
付表1 省略
現在は機械化により運賃計算に支障をきたす例は大変少なくなったと言えます。しかしながら、連絡運輸範囲については、依然として赤表紙の内容を係員が把握するのに頼っているのが現状です。個人的には(2)や(3)について大きく逸脱しない範囲であれば、連絡運輸範囲について厳密に捉える意義は薄くなったと考えます。
(参考)
旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸基準規程別表(平成13年4月1日現行) 東日本旅客鉄道株式会社
連絡清算マニュアル 北海道旅客鉄道株式会社 営業部企画課 審査・清算
※ JR北海道の資料では「清算」としているため、違和感はありますが「清算」で用語を統一してあります。
※1 原文ママ