以前小生が長野県のある山村に旅行しました時に、大変興味のある出来事を耳にしましたのでお知らせしましょう。

山村の旅館で一人旅の徒然から夕食后ビールなどを持ってこさせて、仲居とさしつさされつ種々と世間話に興じておりました。仲居の話では彼女は未亡人で子供無し、四十五才で顔立ちも整い、まあ豊満な美人というほどの所でしたが、次第に酔いが回りまして、女だてらに横坐りになって、まるでどっちがお客か段々判らなくなりそうな様子となりました。



他に宿泊客も無いらしく、今夜はお客は私一人ということで、酒のさかななんかを帳場も通さず持って来たりして、楽しくやっておりましたが、そのうち大分御馳走になったから面白い打明け話をしてあげるということになりました。その話をかいつまんで少しお話ししましょう。



彼女が二十七才の時、今は亡くなった夫との間に三角関係になっていた女がいたとのことです。彼女も夫とは恋愛時代のことで、お互いに大変悩み、しばしば二者択一を夫に迫ったのですが仲々ラチがあきません。彼女の方は山奥の家の娘でやはり旅館の下働き、その女の方は酒場の女給とのことでした。



かれこれ一年余りモタモタしているうちに、業をにやしたか、その女の方から彼女の許に一通の手紙が舞いこみました。

さて親展としてあるその書状の内容は、早く云えば果たし状で、場所、日時を定めて一騎打ちで勝負をつけ、勝った方が男を独占するとしたいが宜しいかということでした。未婚とは云え彼女の方も、既に夫とは肉体関係を持っておりましたし、勿論応諾の返書を書き記したそうです。



丁度秋も深まった頃で、年に一度の大祭も終わった山の中腹の神社内の神舞殿を無断借用することに話がきまりました。



決闘の日は十月二十六日、午後十時頃、月明かりの参道を登って行きました。手には毛布を一枚丸めて小脇に抱え、寂しい山道ですが興奮しきっている為でしょうか、少しも恐ろしくなかったとのことです。



丁度十時半に到着して暫く待っておりますと、コト、コトと山道を登る下駄の音、ああ来たなと思うと覚悟はしていても、思わずゾクッと武者震いのような身体の震えが起こって困りました。



神舞殿には格子戸が打ってありますが、一箇所、小さい潜り戸の通り口が仕切ってあります。その敷き石に坐っておりますと、やはり毛布を持った若い女が進んできます。相手の女は都子といって二十六才、彼女は倫子云うそうです。



神舞殿の前で倫子も都子も堂々と立ちはだかりました。

「一人でしょうね」

「そうよ、一人よ」

「やる気、それともあやまるの」

「モチロンやる気ヨ。堂々とね」



それではと二人が神舞殿にはいります。内は真っ暗かと思ったのに、月夜のせいもあるのを格子の間から洩れる月の光で、かなり明るいのです。八畳は充分あるでしょう。床は硬い桧板で、掃除したばかりですので、あまりほこりもありません。



その中央に毛布を敷きました。そして二女とも格闘の身仕度にかかりました、といっても要するに二人とも一糸も纏わね素っ裸かになった訳です。櫛、こうがいの類は全部脱して、髪は後ろで束ねました。チラチラと見え隠れする格子間をすかして見える都子の体格は実に豊満、しかし郁子の方だって発育ぶりでは引けをとらないグラマーぶりです。組打ち勝負でと、とりきめただけあって、お互い体力には自信満々という二女でした。



さて潜り戸を内から閉め切り、この神舞殿の内で、郁子と倫子の二人妻が女の肉体を賭けて決闘するという訳です。二人きりですから行司もありません。レフリーもいない。しかも彼女達の取りきめた勝負のルールは、兎に角どっちか一方が女としての止めを完全に刺されるまで相争うということだそうです。一体どうなったら女としての止めになるのかハッキリしませんが、彼女の言葉では、

「まあ、お互い憎み切っている女が素っ裸かで対決するんだもんね。女の急所の責め合いになるのは当然でしょう。どっちかの女が駄目になるかで極るのよ」

と云うことでした。



毛布の中央で倫子と郁子は、背中合わせで立ちました。それから一、二、三歩と離れてサッと振り返りました。同時に郁子のクルリと回る髪の毛がサッと横にナビいたのを、ハッキリ覚えているとのことです。



ムンズと取っ組んでモリモリ押し合い、押し合いです。何しろ素っ裸で掴む所がないのですから、すぐ手を回して首を抱きこみ、髪をグイグイ引き合って、体をしゃにむにブッツケ合います。もつれて揉み合っているうちに、郁子がイキナリ倫子の乳房を襲って来ました。揉まれてグニグニされて、ギュッ、ギュッと搾られます。

「畜生ッ」

と倫子も掴もうとしますが、仲々取れません。しかし郁子も大乳房でとても防ぎきれません。指をジリジリ入れて、ガッとシボって激しい乳房相撲です。爪は削ってありますが、乳首をプリップリッと摘んでコネ回し合っての熱闘です。



揉み合いながら倫子は脚を飛ばして都子の支え脚に掛けました。ギリギリと締めつけて倒そうとします。しかし都子の足も強く、倒れる所か逆に倫子の支え脚に脚を絡ませて来ました。



今にもギクリといいそうに、白い脚を絡みジッと締め合いあった二人は、動かなくなりました。もう汗ミドロです。

「ウアッ」

「ギャオッッ」

悲鳴が流れて絡みついた二つの女体は、ドスンとばかり一つになって倒れました。

倒れても足はシッカと絡んだまま、二女はゴロゴロ転がり合って、上になり下になりして必死で争います。



倫子の方が上になって、都子の首をギュッと腕で捲いて締めました。

首を捲かれても都子は仲々負けません。ジッと首をすくめ顎を引いて強烈な締めを耐えながら、イキナリ倫子の下半身を襲って来ました。



二転、三転、床をトドロと響かせての寝業の勝負は互角のまま、いつしか二女は横臥位で太腿と太腿とを絡み合わせ、急所への攻防となっておりました。



都子の厚い女腹が上から圧しかぶさって来ますと、まるで重しにかかった漬物のように身動きできません。体の前面を密着させ、ユスリ合わせ、手の効きを有利にし合う決死の揉み合いです。



のたうつ髪は結び目もとけてザンバラとなり、紐のようにねじれた足は空を蹴り、腰ごと、尻ごとに反り反ってあがいて伸縮し合います。



何度かの上下の回転の後、都子の首がグッと伸びたと思うと倫子の胸にかぶさって来ました。ジーンとする胸底をえぐる苦痛が彼女の全身を貫きます。もう駄目と思ったそうですが、都子が止め刺そうと大きく回った瞬間に、彼女の乳房がブルンと無防備で飛び出しました。そこに倫子は全身をはねつけて、ガツと噛みついたのです。



ヒドイ嚙み合いでした。痛さのため、二人とも動けなくなったのか、格子戸の隅で絡みあったまま死闘を繰り返します。



意識が薄れそうになりながらもギリギリと噛んで放しません。都子も倫子も時々苦悶の声を洩らしながら勝負を続けます。



その際受けた創というのを見せて貰いましたが、左乳首の上下にかなりの創で、乳首は横にクビレ込んでヒドイひきつれになっておりまして、当時の死闘の凄絶さが偲ばれるものでした。



こうして彼女達は、お互いの左乳首に嚙みつきながら、空いた二本の手を使って倫子の言葉による“女同士の三所攻め”にはいっていったそうです。



噛んで、引っ掻いて、突き上げて、掴みこねる、この体力をフルに使った女体急所の各部分への相責めは実に長い時間に亘って続けられ、体中の血が荒れ狂って、どうにも判らなくなってきたそうです。



転がりに転がって責め合ったまま格子戸の隅につまったところで都子が大きく一声あげると凄じい猛攻をしかけて来ました。倫子は戸に押しつけられて体をブッツけられガクガクしておりましたが、キューッと来るような頭の芯まで透る痛さに、もう駄目だッと目の前が暗くなって行きかかりました。しかし倫子は死物狂いの反撃も十二分に都子の急所に極まっております。



男の顔を薄れかかる意識の内に浮かべながら、“ここが勝負だ。ここが我慢のしどころだ”と心に云いきかせて相手の猛撃をジッと耐えながら、都子の女体を満身の力を指にかけて責めつけます。



身体中を、ピインとする様な激痛が貫きます。しかし都子の女体も苦悶にのたうっております。女の意地をかけた我慢比べです。相手を負かすか負かされるか、生きるか死ぬかの攻め合いが続くのです。



もう危ない、もう駄目よッという苦悶を男への愛を胸にこめて耐えておりますが、とてももう我慢も限界です。やられるなら相討ちでと死力を振って攻撃に出ました。

都子も激しく応じて来ました。目の前に火花が散って体中が煮えたぎって思わず腰が伸びます。両女が中腰で動かなくなりました。一刻、二刻、・・・・その時です。



都子の女体が、急にガクッとしたかと思うと、口を離して、はねのけようとします。

「しめた」と思うと急に力が出て、都子の上からのしかかりました。



もがきにもがくのを抑えつけて攻撃にかかります。顔を都子の胸に埋めておりますが、その耳もとで、

「マッ参ったッ。降参ョ。ウアッ」

という都子の悲鳴が響きます。



しかし、もう離すもんですかと充分に痛めつけにかかりました。死物狂いの力で突き離されましたが、しかしすぐに絡みついて行きました。その時の苦悶に満ちた絶望的な都子の表情が夜目にも白く浮かびまして、格子戸に手をかけてモタれるように脚と腹をきしめている姿が目に焼きついたとのことです。



そのあと背後から抱きついて首と胴を締めあげ、更に足を首にまきつけて絞め圧えました。うつ伏せになった都子の後髪を掴んで締めて行ったそうです。



バタついていた足がグンナリして尻をピクピクさせる半死半生の都子。それを再びヒックリ返して、倫子の恨み思い知れと充分に止めを刺してやったとのことでした。



その後、創は間もなく治ったとのことでしたが、都子の女としての機能は充分ではないようになったそうです。それ以来、倫子と男は晴れて夫婦になったということです。



その夜すっかり酔った倫子のために、小生は介抱はさせられるやら、床はとらせられるやら大変な目にあいましたが、兎に角、女というものは実に徹底的は勝負をするものと思いました。大体都子が降参した時、勝負はついていたのだから中止しないのかと訊ねますと、

「生娘じゃあるまいし、一人の男を張り合った女同士が納得ずくで勝負したのよ。どっちかの女が奪られるか奪るかしなきゃ納りがつかないわ。だから立合いをつけない勝負にしたのヨ。まだ充分相手に余力があるうち別けられたのじゃハッキリしなものね。あの相責めで都子がもう十秒も続けば、倫子の方が参っちゃうのョ。そうすれば都子はきっと同じことをするでしょう。またそうしないとハッキリしないものネ」

と云うことでした。



夜叉になった美女二人が、女の命を賭けて対決する凄絶さは、その残酷さと共に実に妖艶なものでありましょう。その後も何か見聞すことがありましたら、また筆をとることに致しましょう。



終わり


 


女闘女さんのブログから知った小説です。私のストライクなので、転載しました。