寒い!近年の日本はやたら寒い。スノーボードという楽しみが無ければ正直冬はいらん、、と思うくらいに。早く暖かくなってほしいな〜。もしくは暖かいところに行きたいな〜。
先日、アスペンで行われたX-GAMES。ソチを賑わせた日本の若武者達が今回も盛り上げてくれたね〜。TBSでは番組も組まれるくらいで、正直夏もやってくれや〜と思ったりするけど、やはり五輪の影響は大きいと思う。今季はスノーボード関連のグッズやギアの売り上げも好調のようで、特にキッズ世代はかなりアツいとあちこちから好調を伺わせる声が聞こえてくる。実際ゲレンデでも子ども達がスノーボードを楽しむ姿は以前より増えたと思うし、平野歩夢、平岡卓、角野友基らに加え先日、スロープスタイルの世界選手権で優勝した鬼塚雅ちゃんらの、とにかく「若い世代」の活躍が大きく影響してると断言できる。
コンペティション(大会)での結果というのは競技を知らない人にとっても非常にわかりやすい「評価」になる。しかしこれまで日本のアクションスポーツシーンにおいてはプロライダー達が世界の壁の高さから何度も何度も跳ね返されてきた過去もあり、「日本人は大会では勝てない」=「必死になって結果でない大会に出るより自分が楽しければいいじゃん」という、ひとつの逃げ思想がスノーボードだけじゃなく業界全体に蔓延してたように思う。
プロの定義と言うのは業界によって異なるけど、大会も出ずに身内的なスポンサー(というかはサポーター)に身を固めてるのはプロでもなんでもない。このシーンでプロと呼ばれてる人は大会なりショーなりでの収入の他に、スポンサーからの収入を得て生活が出来て(ここが重要!)、はじめてプロと呼べるものだと思う。すなわち、そうした営業努力もしないライダーは自己満足の中でやってるだけであって、「自称、プロライダー」でしかないと思う。クリエイティブの世界でもよく似た話はありますけど。
話がズレたが、大会で上位に入賞するため、あるいは高得点を取るためにひたすら回る、難しいワザだけをメイクする。選手も当然命をかけてやってるんだろうけど、それが「かっこいい」か「かっこ悪い」かというと、そのシーンにいる人程、後者の評価になるだろう。
スノーボードという競技が五輪種目に採用されたのは98年の長野大会からで、俺個人的にもやっぱこの頃といえばファビアン・ローラーなんかが出てくるたびに、その圧倒的な高さとワザに度肝を抜かれるも「なんか違うな〜」と。テリエ・ハーコンセンやジェイミー・リンのようなスタイリッシュなスノーボーダーの方が圧倒的にかっこ良く感じたものだ。
FMXも然り、2002年にマイク・メッツガーがX-GAMESでバックフリップを初めてメイクした時は世界中が度肝を抜かれたのも束の間、世界中のFMXライダーがクルクル回り出してビデオのパートもフリップばっかりで正直退屈な時期があった。アクションスポーツは一種の麻薬みたいなもので、ビデオでもライブでも観てる側の感覚は麻痺してくる。でもコンペティションに出るライダーからすれば回らなければ入賞も出来なくなってしまった時代だから、FMXはここで大きく方向性が分かれた。回るライダーと回らないライダー。じゃあ、回らないライダーはどうして自分をアピールするのかと言えば「スタイル」を磨く。スタイルというのは覚えようとして覚えれるものでもないし、そのライダーから溢れた目に見えるようで見えないぼんやりしたもの。そういうものは絶対評価ではないから、そこで消えていったライダーも多かった。
今のRed Bull X-Fightersのように「スタイル」も大きく評価されるのは、ジャッジにそういう理解のある人がいるから成り立つわけで、その競技を知らない人たちがジャッジングした場合、どうしても難易度が先行してしまうのは仕方の無いことなのかもしれない。大会によって「難易度」か「スタイル」か、ジャッジ基準のバランスが取れない現実もある。だからスノーボードで例えれば、五輪よりX-GAMESのほうに価値を見いだす選手が多いというのはそういうことだ。どちらが正解という話でもないんやけど、難易度とスタイルのバランスが取れたコンペティションというのはショーよりも観ていて絶対面白い。
数年前、ある海外ライダーの興味深い話を聞いた。そのライダーはFMXで常にトップの成績を収めててるのに、フリップ系の機械のような技ばかりするから周りの評価はそんなに高くなかった。人的にはすごくいいやつなのに「スタイル」が無い、、、と言われてしまう典型的なライダーだった。
この頃はFMXバブルとも言うべき、X-GAMESを筆頭にGravity GamesやDew Tourなど、ビッグコンテスト(賞金が高い大会)がシーズンを通して開催されていた。彼はトップライダーなので当然それらの表彰台に常に登っているライダーだったけど、なぜそこまでして、危険な思いもして、大会ばかりに出るのか?そもそもアメリカって大会ばかりやってるけど、デモやショーはあるのか?
そんな何気ない質問を投げかけると彼はこう言った。
「もちろんあるよ。しかも結構大きなスポンサーのつくショーがね。でもそこに出るには大会で実績が無いと出ることが出来ないんだ。大会で上位に入るからこそ名前を覚えてもらう。名前を覚えてもらってスポンサーが目を付ける。そして大会以外の仕事が増えるんだ。だから僕たちは今は大会に出続けるだけじゃなく結果も出さなくちゃいけない」
なんかずっと抱えてたモヤモヤが晴れた気がした。
大会に出て結果を出してスポンサーを獲得する。それが彼らの収入源になることを思えばプロとして当たり前のことやけど、こういう考え方を当時の日本人選手がどれだけ持っていただろう。スケボーやBMX、スノーボード、サーフィンとこれまで多くの日本人選手も世界に挑戦してきたが、海外勢との圧倒的な技術力の差で跳ね返されてきた、こうした実績を知る今の世代が「どうせ挑戦しても勝てないし…」的な空気を作ってきたのだと推測するが、先人達の挑戦にもっと何かを感じてほしい。要はどれだけ本気になって掴みにいってるかだと思う。そこから獲得したスポンサーは、その先、選手にとってもいいパートナーになるはずだ。
大会に勝つための技術と、シーンから認められるスタイル。なかなか難しい話だけど、今回X-GAMES Super Pipeで二年連続ゴールドメダルに輝いたダニー・デービスはそれを実践した結果の優勝だと思う。観ていてカッコいいライディングだった。
今ではFMXのX-GAMESゴールドメダリスト東野をはじめ、先に挙げた若きスノーボーダーたちと大会でも結果を出す日本人選手がかなり増えてきた。彼らはそういう壁を越えてきたごく一部の選手かもしれない。しかし、その見返りとしてプロ選手としての人生を謳歌している。この先は彼らがどう選手としてそのシーンの格好良さを発信していけるかどうかが本当の意味でのプロ選手としての役割になる。
こういう大きな大会で日本人が注目を浴びるのはとてもいいことだし、これに続く若い子達にも期待したい。ただ、難しいワザだけをガンガンするのではなく、本当の意味でかっこいい選手がシーンを牽引していくことがリアルな方向へと向かっていくんだと強く思います。
X-GAMESのハーフパイプのスタートエリアには元OAKLEYのマサの姿も!昨夏のオースティンも一緒やったね〜。なんかこれ見て今年のオースティンも行く気になってきた(笑)。