こんばんは。サイクロンです。
いつもCCPインフォブログを見ていただきありがとうございます。

 弊社エース造型師のサンダーロードスタイル笠井さんから
キン肉バスターとマッスルスパークの製作手記が届きましたので掲載させて戴きます。
今回初開示の記事もありますので是非お楽しみください!


キン肉バスター、スパーク製作手記
サンダーロードスタイル 笠井
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フィギュア王限定の特別カラー版もそろそろお届けされたところで、CCP初の
技フィギュア、キン肉バスターと技フィギュアについての話。
今回、発売するまで説明は控えましょうと言ってた部分をご紹介と、関連する技
シリーズ第2弾マッスルスパークについて。
長いんで覚悟しといてください。




まずバスターについて。



キン肉バスターはいろいろなシーンで使われた技ですが、今回は超人オリンピッ
ク決勝の対ウォーズマン戦時の技を立体化してます。

◆画像buster1
buster1



当然このコマのイメージを維持したいわけですが、

現実の人体組み合わせだとこうなります。
ウォーズマン側の首、つまり顔は上を向く。

◆画像buster2
buster2

でも、ここはウォーズマンの顔を見せなきゃダメなわけです。


それを見せたいアニメでの表現だと

◆画像buster3
buster3

スグル右腕部分、肉体を消失させて描かれてます。
これは瞬間だから許されるディフォルメですね。
表現が整合性に勝る。

割とリアルに解釈したのがこちら。

◆画像buster4
buster4

気持ちはわかりますが、原作コマの感じとは違う表現です。


では原作コマの何がポイントか。


そもそもマンガという表現そのものがディフォルメの産物です。
話の流れの中、迫力を増すための表現中、様々な「誇張」や「省略」があるわけ
です。
そうした誇張表現がコマにインパクトを与え、マンガをマンガたらしめる。

しかしCCPらしい人体の正しいバランスを保とうとすれば、当然ディフォルメ
を殺し、そのまま技をかけているシーンの勢いも死んでしまう。
人体バランスの正しさ優先、答え合わせ優先でやると、技の迫力が全然足りなく
なる。

けれども立体である限り、あらゆる角度から見られちゃうわけでこっち側から成
立しても、逆から見たらウソついて曲がっててバランス悪くてギクシャクして
ちゃまずい。
だから整合性はなきゃまずい。

さあ、勢いを失わないまま、整合性を保つサジ加減は???って話なわけです。

◆画像buster5
buster5


無表情なウォーズマンもそうですが、その顔を伺うようなスグルの目線がまた印
象的です。

この時の試合経過を考えると、バスターの破壊力に確信を持つつつスグルは
ウォーズマンにすでに友情を感じており、粉砕するつもりで仕掛けたわけではな
いことがわかります。

それでも勝負を決めなきゃいけない。最大の技を仕掛けたものの「死ねー!」で
はなく「どうだウォーズマン!」なわけです。

そりゃそうだろ、と思うでしょうが、相手を殺してやると思って仕掛けた技の
シーンであれば、殺気を造型したいと思います。
それはキャラクターの意志であり、描くべき物語の一部です。

そうじゃないなら、技を受けきれるのか、という心配込みの技として描かれてい
るのであれば、そこは大事にしなきゃいけないポイントです。

俺が担当する技フィギュアであれば、ただのキャラの組み合わせじゃなくその技
を放った、受けた2人の超人が描かれたコマに込められた「意志」を形にしたい
と考えてます。

その意味で、じゃあこの技のキモはどこなのか。
何をもって決着とするだけのポイントがあったのか。

当然答えは原作コマにあります。

首ですね。



ウォーズマン敗北の決定打は、首への加撃だったと判断して間違いないでしょ
う。
原作のこのコマは、2色カラーで描かれており掲載時は反転処理となってます
が、首位置の衝撃表現は印象的。

キン肉バスターは股裂きと首折り、背骨砕きの複合技ですがここでエフェクトが
かけられているのは首への攻撃のみ。
原稿段階で、赤ベタ塗り。ここだ!って感じです。
問題は、理屈がそうだとしてもCCPが得意とする理想的な人体バランスでこの
顔の位置と体の状態では成立しないということ。
最初に説明したようにウォーズマンの首は上を向いて、原作コマのようにはなら
ない。

◆画像buster6
buster6

ここは2人の対照的な顔が並んでこその名シーンです。
ウォーズマンの顔が見えないんじゃそもそも話にならない。

ではどう調整するか?

原作をよく考えると首への強烈な加撃が決定打だったのであれば頸骨ユニットが
衝撃で外れるくらいのダメージがあったはず。
だったら造型的に攻めるポイント、原作感を成立させ、立体で破綻させずに、イ
メージをキープさせるのは首へのダメージ。

というわけで、実際にウォーズマンの原型はここまで首にダメージを入れ、技を
成立させました。
◆画像buster7
buster7

◆画像buster8
buster8

実際、この攻めっぷりはフィギュアとして一見したところでなかなかわからない
と思います。

でもただ組み合わせたんじゃなく、それくらい考えて作ってますよ、という話。

◆画像buster9
buster9



というバスター造形の経験に基づき



続いて、スパークについて。



で、先日CCPに行ったらちょっと不満が噴出してますという話。

◆画像spark1
spark1

なにが、ってスグルの握り手について。

俺はWF展示段階で手は未完成だし、作り直すと言ってました。

WF発表前の段階でダイナマイトと話していたのは、未完成の握り手については
指が食い込むくらいのガツっと握った形でというリクエストを聞いてます。

聞いてましたが、俺はその段階でそうはならないと考えてました。

というのも、これはKINスーツのマッスルスパークだからです。

KINスーツのスパークは表紙やアイコン的に使用されてますがまずそもそもが
劇中で使用された技ということ。

2人の超人が描かれたコマに込められた「意志」を形にしたいと考えてると書き
ましたが、その意味でも劇中にあるのとないのじゃえらい違いが生まれます。


状況的にはビビンバへの仕打ちに対して、怒りに燃えたスグルがまずオメガマン
相手にスパークをかけます。
これはカメハメから残り52の関節技を授けられ、地獄卍からのスパークという
感情むき出しの流れで、オメガマンを仕留める。
この時フェニックスはリングサイドでスグルの成長を評価してます。

しかし、ここで神々はフェニックスの潜在能力を覚醒させます。
目撃したミートをして怪物と戦慄させるほどのエネルギーを溢れさせ完全にスグ
ルと同格、もしくはそれ以上の存在になるわけです。

一方スグルは心臓病の悪化に時間の制限を感じはじめ、委員長を怒鳴りつけるほ
ど真剣になって追い込まれている。

身に着けたとはいえ、まだ付け焼刃ともいえるカメハメ直伝の関節技でそれでも
フェニックスを攻めまくるスグルですが、そんなタイミングでフェニックスは王
家の証たるフェイスフラッシュを使用。

スグルの動揺たるや推して知るべし。

そこでのマッスルスパークがこの、KINスーツでのスパークです。

仕掛けた瞬間、スグルはフェニックスの余裕に気づきさらに、軟体になることで
スパークを破れる!とまで言われる。

そしてこのスパークは破られます。


これがKINスーツのスパーク。

◆画像spark2
spark2

技を外すのはマリポーサの柔軟さですが、それ以前にこの技の段階で優位になっ
てるのは実はフェニックスなわけです。
余裕で破れる技を仕掛けられているだけで、たとえ威力があったとしても、この
スパークでは倒されない自信がある。
これがその時のフェニックス。


スグルはアタルから受け取ったスパークのポイントを意識して右足は最後まで集
中を維持してたかもしれない。
というか目線はフェニックスの顔に向いており、相手の顔色を伺ってたのは明ら
か。

しかしそこに隙が生じる。

右足のホールドに集中して、手のホールドがおろそかになり(普通の超人なら外
せなかったとしても、この時のフェニックスには5王子の能力が宿り、柔軟さだ
けでなく強力も備わってる。のであれば集中を欠く手のクラッチを切るのは容
易)その結果、スパークは
外されてしまうわけです。


俺はこの技を作る場合、戦闘服でないのであれば、このシーンはスグルとフェ
ニックスの能力が拮抗するシーンと考えてました。
力と力、技と技がぶつかりあい、まさに王位を奪い合うシーン。

だからフェニックスに表情にも絶望を宿して造形してません。
戦う意志、技を破る意志を込めて作ってます。

スグルの手もそう。アタル譲りの足のホールドに集中するあまり甘くなってし
まった手首のホールド。これは最初から考えてましたがスケジュール的にイベン
トに間に合わず、WF発表時には仮の死んだ手で組み合わせてました。


実はこの手首のホールドはいろいろ説明するとスグルの悩みの変遷がわかるくら
いやり方が変わってます。練習段階からネメシス戦まで見てもここにその時のス
グルの感情がある、くらいのポイントなんですよね。
バカみたいにクソ握りしているわけじゃないんですが、今回はその比較説明は省
きます。

◆画像spark3
spark3

で、最終的に、彩色が発表された時ダイナマイトの説明で爪痕がみたいな事を書
かれて、感情的に爪立てたみたいなんじゃなく、スグル渾身のホールドのわずか
なスキをフェニックスが引き切るみたいな感じなんすが・・・と
言ったわけです。

でも一見してそれがわからないようであれば、俺の失敗。

じゃ誰が見てもわかりやすい握り手も作っておきますか。
でもこの手も残して欲しいんですけど、という話になりまして。

商品としての最大公約数を狙う場合、シーンに思い入れや解釈がなくアイコンと
して欲しがる場合も多いし、大多数のユーザーはそうであるはず。
だったら別に、もう1個手首を付ければいいだけなんで、チャチャっと作ります
が、最初のこの手の表現こそ、スパークのせめぎあいの意味なわけでこれはこれ
で残してもらえるなら別にいいす。

という話をしたら、ちゃんと書いて、という話になって公式アナウンスに近い形
でこうやって書いてますって話。


というわけで誰でもわかるホールド手首、つまり原型発表時に近い造形と差し替
えられる形にする予定。

◆画像spark4
spark4

一切決まってないけど、もし7000万パワーの戦闘服スパークが出ることに
なったらKINスーツの握り手の意味が明確に出ると思うので、絶対残してもら
います。
そん時に比べて見て初めて、さすがなるほどサンダーはよく考えて作ってた
ねーってなる未来が見えるけどまあいいぜ。戦闘服の話はまだ出てないから、取
らぬ狸の皮スパーク。


大してキン肉マンに思い入れもない思い付きの屁みたいな不満に対応するのはま
さに無駄でしかなく、サンダー造型だと持ち上げるのであれば手首の解釈まで
あってのサンダー造型だ!っつーのをダイナマイトも尊重してくれてて、基本は
このままでいいと言ってくれてました。

しかし注文取った時と造型が違うのはなんかショック、という人もいるのも理解
できます。

じっくり原型を見てくれて、仮の手首でもしっくり来たから注文してくれたとい
うのもおかしくない。
なので、原型段階で注文してくれた人の為にも、初期発表イメージに近い握り手
を出しますのでご安心を。

以上手記より
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笠井さんありがとうございます!

 今回の製作手記は原型師である笠井さんの製作意図と熱い思いを掲載させて戴きました。自分も背景となる製作意図や過程と
結果を知ることができる貴重な資料だと感じています。笠井さんありがとうございます。
 
 キン肉マンは40周年になる人気大型コンテンツです。40年の月日はとても長く、もはや三世代にもなるキン肉マンのファンの皆様の印象は多種多様でそれを切り取ってフィギュアにすることはもはや1つの造型ではできないのでは私は考えてます。
 メーカーとして。CCPとしてはそれでもフィギュア製作においてなるべく多くのお客様に最大公約数としての作品の評価を追い求めて行かなければならないと考えています。もしかしたら、お客様の多種多様なニーズを満たすためには選択肢を増やすことも大事なことかも知れません。

 自分はキン肉マンにおいて先生はそんな40年にもなる作品をもはや作品はファンのものであると述べてそれを執筆に生かしておられ、40年経っても色褪せない素晴らしい作品を手掛けられており本当にすごいなと感じています。

今も色褪せない素晴らしい作品を手掛ける事ができ、
作品と先生に感謝です。

                                                  以上