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風玄の場違いな大声に周囲の視線は一斉にコチラ側に向かった。風玄が指さしたその少年は隣にいる友人と思わしき子供とお揃いの水色の傘をきょろきょろと揺らし周囲を見渡した後、二人揃って視線を向けてくるのだが。その並んだ顔を見て雪音は言葉を詰まらせる。
高校進学と同時に八代邸を離れてから3年程顔を合わせていなかったが、その二人は間違いなく幼少期に共に育ち、遊んだ麗亜と海音だった。
16歳を境に雪音の身長は伸び、今は180cmに届きそうな程だし、声や口調、そして髪型だって大きく変化し今の容姿を見ても気がつかれる事はほぼ無いだろう。
「……雪音?ねぇ!海音!雪音がいる!!ほらほら!見える?」
「…んっと。…あ?!本当だ雪音くんだ!!隣のお兄様が呼んでるみたいだし、行ってみよ!」
二人の声も少し大人になり変化していたが、まだ幼さが残り良く通るので今の言葉もしっかりと聞こえ、雪音は大きく溜息を零す。風玄に至っては「知り合いかよ?!」とまた声を上げはしゃぎ二人を両手で手招きし席へと案内してしまい。突然訪れた危機に雪音は頭痛を覚えていた。
「やっぱり…雪音だよね?すっごい大人っぽくなってるし、背も大きいし!違う人かなって少し思ったけどすぐ分かった!ねぇ、俺雪音に何回も手紙出してるのにさ、ぜんっぜん返事もくれないし!」
「ご無沙汰しております、麗亜様。手紙は全て読ませて頂いておりますが、自分のようなものがお返事を出すべきでは無いと判断し大切に保管しております。しかし、どうしてこのような場所に?」