***

そんな事は麗亜がする必要は無いと髪を撫でながら、結局あまり厳しく罰を与える事は自分には出来なかったなと苦笑し、こんな時伊織ならば麗亜が泣いても冷静に反省の色が伺えるまで膝からは下ろさないだろうと思うのだがこれ以上考える必要は無いだろう。

今後、自分にはこういった機会が訪れる事は恐らく無いのだから。








***






セキュリティカメラが二人の姿を確認すると屋敷の門が自動で開かれるので普段と同じように扉まで歩いて向かうのだが、麗亜は伊織や先週帰ってきたばかりの尊と顔を合わせるのが気まずいし、怖くて雪音の背に隠れてしまいたかったが、雪音はきっとそれ以上に今複雑な心境であるのは明白なので自分ばかり逃げては駄目だと憂鬱ながら腕を伸ばして扉を開いた。


「…あの…ただいま……っ…?!うっ…!?」


扉を開けるのとほぼ同時に視界が暗くなり、何が起きたのだろうと混乱するのだが麗亜はすぐに状況を把握した。
この香水の香りと腕や身体の感触は尊で。帰って早々雪音と共に腕に抱きしめられてしまっているようだった。


「全く…お前って子は。雪音に会いたいと願っていたのは麗亜だけでは無いと分からなかったのか?どうして早く相談しなかった。」


「おとうさまっ…くるしーっ…!!これじゃ話せないってばっ…!」


「…尊様、ご無沙汰しております。麗亜様が仰るように、これではお話出来ませんので一度離して頂けませんか。」