2016年05月29日

 参議院選挙は7月10日に予定されている。これに合わせて、衆参同時選挙があるかどうかが、ずっと話題にのぼっていた。3月の時点では、衆参同時選挙は既定のスケジュールのように語られていたが、これを一気に変えたのが熊本地震であった。4月14日ー16日の熊本地震はその後も余震がたくさん起きた。余震がなかなか収まらないこともあり、衆議院解散による総選挙はまずないのではないかとみられた。
 私も、余震が続く中での解散総選挙は避難者にも被災自治体にも大きな負担になる。選挙費用も嵩むわけで、さすがに安倍首相は解散の切り札は切らないだろうと予想した。しかし同時に、この見方が広がると準備の進んでいない野党、特に民進党は準備を進めることがなくなり、いわゆる「寝たふり解散」の効果が出ることも指摘した。その効果も把握しながらも安倍首相は解散しないと予想したのであるが、状況は変わりつつある。最後の最後までわからない状態になっている。
 まず、1ヶ月を越したくらいから余震が少なくなっていることである。また他に大きな話題になるニュースが多く出たこともある。伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問があり、またスポーツでは錦織選手の活躍、野球、バレーボール、大相撲などもニュースになった。その分、熊本地震のメディアカバーが少なくなり、5月初旬くらいまであった震災後の緊張感が国民から薄れたことがある。まだ避難所で被災者が厳しい生活を送っているのであるが、メディアから伝わる空気は大きく変わった。
 そしてここにきて、民進党の岡田代表が消費税の引き上げの2年延期を提案。それを安倍首相はあっさりと飲んだばかりか2年半の延期を発表した。こうなると自民党の政策と民進党の政策の差は何なのか分からない。しかも安倍首相は伊勢志摩サミットで、世界経済の低迷を避けることを合意させた。うまりアベノミクスの失敗によるものではなく、世界経済の不調から増税を延期するという理由付けを得たことになる。
 この消費税増税の引き伸ばしに、 麻生財務相や谷垣幹事長が解散総選挙で国民に問うことを提言した。安倍首相は解散総選挙を行う「大義」を得たことになる。これがどこまで与党内の「ヤラセ」なのかわからない。とにかく結果として、解散総選挙を行う環境ができたのである。
  野党は安倍首相に内閣不信任案を出す可能性がある。参議院選挙を前にして安倍内閣に強い姿勢で臨む必要がある。しかしこれは諸刃の刃で、内閣不信任案が出されるなら、衆議院解散総選挙の「大義」を得ることになる。しかし、野党がこれだけ騒いでおいて、内閣不信任案を出さないとなると、弱腰のスタンスを見せることになる、かなり難しいところだ。
 最後の最も重要なポイントは安倍首相が総選挙に打って出たとき、結果はどうなるかという予想である。個人的には選挙をここまで頻繁にするのは決して良くないと思っている。そうした個人的な気持ちとは別に結果を予想してみよう。同時選挙を行うと20〜30議席を自民党は衆議院の議席を減らすという予想をする人も多いが、私は、現在の議席とほぼ同じくらいの勝利になるとみている。なによりも、民進党の準備ができていない。自民党と公明党は前回選挙の大勝もあり、小選挙区のほぼすべてに現職を擁立できる。つまりいつでも選挙OKなのだ。民進党はまだ候補者のいない選挙区がかなりある。しかも、熊本地震、伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問などすべてで、安倍首相のメディア露出が多く、民進党など野党はほとんど報道されていない。この状態で一気に衆参同時選挙となると自民党がかなり有利な展開となる。
 今、衆議院総選挙を行い、勝利するなら、安倍首相は3〜4年をかけて、憲法改正を実現する時間的な余裕を持つことになる。憲法改正は安倍首相にとって非常にプライオリティの高いテーマ。最大の目標といってもいいかもしれない。今の状況下なら、批判があろうとも衆議院解散をして同時選挙とするなら、憲法改正に大きく近づくことになる。この可能性を否定することができなくなった。
 熊本地震で被災し、避難所で暮らしている人も多くいる。震災で機能不全の役所もある。2年ごとに衆議院選挙をするのにも大きな問題があると思っている。政治家は選挙のために活動するのではなく、いい政治のために活動をして欲しいと思っている。ただこれは個人の意見に過ぎない。
 分析をすると、 消えたはずの解散が蘇ってくる可能性もかなりありそうだ。

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2016年05月28日

 1)新たな時代の流れ

 広島市・長崎市に原爆が投下されてから70余年の年月が流れた。米ソ冷戦の終焉時には、核兵器廃絶への展望もみえるかと思えたが、世界で紛争は相次ぎ、核拡散という点でも、インド、パキスタン、北朝鮮と広がりをみせるようになってしまった。核兵器廃絶の夢はさらに遠のくという感じがしている。
 5月27日にアメリカ・オバマ大統領は広島への歴史的な訪問を行った。素晴らしい。しかし、彼はどのように核兵器のない世界を実現するのかについては語っていない。多くの人が、核兵器のない世界は理想であっても、理想以上のものではないと感じている。私は、核兵器のない世界を実現するための具体的な過程として、ヒロシマ・ナガサキプロセスを提案している。

 この10年の間、世界平和を考える上で心強い大きな流れが感じられるようになった。まず、対人地雷禁止条約がNGOやミドルパワーと呼ばれる国々の力で成立した。この運動は、1991年にアメリカのNGOであるアメリカベトナム退役軍人財団とドイツのNGO・メディアインターナショナルが対人地雷全面禁止に向けてキャンペーンを立ち上げることで合意したことにはじまる。その後、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)が創設され、国際的な運動として展開されている。1996年にはカナダのオタワで対人地雷全面禁止にむけた国際会議が開催され、979月には対人地雷禁止条約の起草会議がオスロで開かれ、条文が作成された。同年12月にオタワにて署名され、99年に発効している。運動のはじめには、まず無理と思われた対人地雷の禁止条約がNGOなどの力で実現されたのは、まさに驚きであった。

 その後、クラスター爆弾禁止条約においても同様なプロセスによって、実現された。クラスター爆弾は子爆弾に不発弾が多く、それが、一般市民に対する被害につながり、悪魔の爆弾とさえ呼ばれていた。2006年ノルウェー政府はクラスター爆弾禁止に向けて動き出し、20072月にはクラスター爆弾禁止に関する国際会議を開催、有志国46ヶ国によるオスロ宣言が採択された。対人地雷禁止条約と同様に国際NGOが活発に運動を支え、国際世論が形成されてきた。NGOに加え、国際赤十字や、ミドルパワーと呼ばれる中堅諸国もこのオスロプロセスに参加していく。今年の530日、ダブリンで行なわれた国際会議の結果、有志国111ヶ国の全会一致で禁止条約案が採択された。

 アメリカやロシアなど軍事大国に軍縮の主導権を預けていたのでは、平和・軍縮への道を切り拓くことはほとんどできなかった。今回のオタワプロセスやオスロプロセスは、ミドルパワーやNGOが中心となって、軍事大国を包囲する形で国際条約の実現が可能になったのだ。軍事国主導の軍縮交渉から、地球市民主導の軍縮プロセスの設定へと時代は大きく変化している。

 核軍縮に関しても、様々な動きがある。特に注目すべきなのは、キッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官、ペリー元国防長官、ナン元上院軍事委員会委員長などの「現実主義者」たちが核廃絶の必要性を唱えだしたことだ。核廃絶は、ヒロシマ・ナガサキの究極の願いとしても、それは「達しえぬ夢」とさえ考える人は少なくなかった。しかし、その「理想」を米ソ冷戦時代の軍事・外交のリアリストたちが支持してきたのは驚くべきことである。核を保有するメリットが低下する一方で、核が拡散するリスクが増大してきたということだろう。「理想主義」の立場であろうと、「現実主義」の立場であろうと、結論としては、核兵器と人類は共存できない、ということで一致してきたのだ。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルでキッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官、ペリー元国防長官、ナン元上院軍事委員会委員長は、「核兵器のない世界」を2度にわたって呼び掛けた。キッシンジャー氏とシュルツ氏は共和党、ペリー氏とナン氏は民主党だ。まさに党派を超えての訴えであった。これに対して、オルブライト元国務長官、ベーカー元国務長官、ブレジンスキー元大統領補佐官、クリストファー元国務長官、パウエル前国務長官といった人まで賛同したのである。時代は大きく変化しつつある。核の大国「アメリカ」の現実主義者の中にさえ、核兵器の危険性をしっかりと認識し、廃絶の必要性を訴える時代になったのだ。

 こうした動きに、旧ソ連共産党書記長で大統領も務めたゴルバチョフ氏も賛同を表明した。まさに米ソ冷戦時代の主役たちが核兵器廃絶を唱えはじめた。

 オバマ大統領の広島訪問をこの脈絡から捉えることができる。私は、大統領を退任してからのオバマ氏の活動に期待している。核廃絶への道が大きく拓けてきた。こうした時代背景をもとに、ヒロシマ・ナガサキが具体的なロードマップを提唱し、国際NGOとの連携を図るならば、「夢にすぎない」と思われた核廃絶が、現実のものとして展開されるはずだ。もちろん、容易に実現できるわけではない。中長期的な展開も視野に入れつつ、一歩づつ国際条約を現実化させていく「プロセス」が重要なのだ。

 私は、20087月にベルギー・ルーベン市で開催された国際平和研究学会総会にて、核廃絶にむけたプロセスを展開していく「ヒロシマ・ナガサキプロセス」を提唱し、多くの平和研究者に賛同と支持を得ることができた。あれからもう9年が経った。いまこそ、ヒロシマ・ナガサキプロセスの展開が重要だ。核兵器廃絶にむけた「ヒロシマ・ナガサキプロセス」の骨格を簡単に紹介する。

2)これまでの動き

A)核兵器禁止条約へのプロセス

 最近になって、核兵器廃絶にむけた国際条約を作ろうとする動きが活発化している。モデル核兵器禁止条約とも呼ばれる核兵器禁止条約(Convention on the Prohibition of the Development, Testing, Production, Stockpiling, Transfer, Use and Threat of Use of Nuclear Weapons and on their Elimination)の動きは注目される。19964月、「モデル核兵器禁止条約」は、核兵器の廃絶を求める各国の法律家、科学者、軍縮の専門家、医師及び活動家らが参加する3つの国際NGOから構成されるコンソーシアムによって起草された。20074月、コスタリカ・マレーシア両政府の共同提案として正式に国連に提出されたが、未だに、未採択である。

 このモデル核兵器禁止条約は、開発(development)、実験(testing) 、製造(production)、備蓄(stockpiling)、移譲(transfer)、使用(use)、威嚇としての使用(threat of use)にわたって、 核の取り扱いを禁止するものである。まさに「モデル」というべき理想型が書かれている。それだけに、意味は大きいのだが、現実的にはすぐに採択される可能性は高いとはいえない。ここに至るまでの「プロセス」が必要となる。

 この「モデル核兵器禁止条約」を起草する動きにおいても、国際NGOは重要な役割を果たしている。拡散に反対する国際科学技術者ネットワーク(International Network of Engineers and Scientists Against Proliferation)、拡散に反対する国際科学技術者ネットワーク(International Association of Lawyers Against Nuclear Arms)、核戦争防止国際医師会議(International Physicians for the Prevention of Nuclear War)は、中心的な役割を果たしている。

 また、広島市を中心とした平和市長会議も様々な提案をしている。平和市長会議は被爆75周年にあたる2020年までの核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」を展開している。2020ビジョンの中核は、核不拡散条約(NPT)をさらに推し進め、核保有国を巻き込んだ形で、核兵器廃絶を目指そうというものだ。核兵器廃絶までのスケジュールは、2010年を目標とする核兵器禁止条約の発効、2020年を目標とする全ての核兵器の解体となっている。ただ、広島市長も代り、今ではこうした具体的な提案もあまり聞かれなくなっている。

 2020ビジョンは、スイスのジュネーブで開催されたNPT再検討会議準備委員会において、2020年までの核兵器廃絶の道筋を示す「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を発表した。この「ヒロシマ・ナガサキ議定書」は「核不拡散条約(NPT)締約国の同条約第6条に基づく核軍縮交渉義務の履行を促進するとともに、核兵器の使用と威嚇の違法性を示した1996 年の国際司法裁判所の勧告的意見に基づく全ての国の核軍縮義務の履行を促進するため、全ての局面で核軍縮に取り組む包括的な方策の確立を希求」すると主張する。つまり核兵器拡散条約の核軍縮交渉義務をしっかりと履行することによって、核保有国の核軍縮をすすめ、核兵器廃絶への道を目指すというものだ。

 こうした核廃絶への国際的な枠組みが活発化することは大変に好ましいことである。しかし、残念ながら現実には、モデル核兵器禁止条約も2020ビジョンも、国際世論を動かし、大きなうねりを作るまでには至っていない。こうした流れを踏まえながら、具体的な行動目標を設定し、核廃絶までのロードマップを「対人地雷禁止条約」や「クラスター爆弾禁止条約」を実現した方式で実現していこうというのがヒロシマ・ナガサキプロセスである。

B)非核兵器地帯条約の動き

 これまでに署名された非核兵器地帯条約には、南極の軍事利用の禁止、南緯60度以南の地域におけるすべての核爆発及び放射性廃棄物の処分の禁止を定めた南極条約のほかに次の5つがある。

 1967年に署名され、1968年に発行しているトラテロルコ条約は中南米33カ国が締約国となっている画期的なものである。議定書は、「核兵器国が域内において非核化の義務に違反する行為を助長しないこと、締約国に対し核兵器の使用または威嚇を行わないことを規定している。この条約が特にモデルとして注目されるのは、すべての核兵器国が批准しているということだ。

 1966年から始まったフランスによる南太平洋地域における核実験を背景に、この地域において核実験反対の気運が高まった。1975年に国連総会にて、南太平洋における非核地帯設置を支持する決議が採択された。それから11年後の1986年にこのラロトンガ条約は発効している。ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオの3カ国を除く太平洋諸島フォーラム加盟の13カ国が締約している。議定書は、「核兵器国による締約国に対する核兵器の使用および使用の威嚇を禁止し、また、域内(公海を含む)における核実験を禁止する」とうたっている。ロシア、中国、イギリス、フランスは批准しているが、アメリカは署名のみで批准はしていない。

 バンコク条約は1995年にASEAN首脳会議において東南アジア10ヶ国の首脳により署名され、973月に発効したものだ。議定書は、「核兵器国による域内(締約国の領域、大陸棚及び排他的経済水域)における核兵器の使用および使用の威嚇を禁止し、また、核兵器国が条約を尊重し、条約・議定書の違反行為に寄与しないことを規定する」としているが、核保有国はすべて署名していない。

 ペリパンダ条約は、1991年に南アフリカが核兵器を放棄したことから具体化し、1996年にアフリカ諸国42カ国によって署名されたものである。現在の批准国は25カ国であり、条約の発効要件の28カ国には達していない。フランス、中国、イギリスは批准しているが、アメリカとロシアは署名のみだ。

 セメイ条約(中央アジア非核兵器地帯条約)は、中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)を対象にした条約である。200698日、カザフスタン・セミパラチンスクにおいて条約は署名された。現在のところウズベキスタンとキルギスが批准しているが、未発効。核保有国はまだ署名していない。

 こうした条約の動きのほかに、モンゴルは1992年国連総会にて、オチルバト大統領が「モンゴル非核兵器地位宣言」を発表した。1998年には国連総会は宣言を歓迎する「非核地位に関する決議」を採択している。

 これらの動きは、核兵器禁止条約と矛盾するものではなく、むしろ相互に補完・強化していくものといえる。問題は、これから非核地帯を作る必要のある地域、例えば、東アジアやヨーロッパなどにはすでに核兵器保有国が含まれており、交渉が難航する可能性が高いということだ。そういう点では、モンゴルの単独での非核兵器地位宣言は興味深いものがある。こうした「単独」の行動も含めて、国際的な連帯の中で動きを加速するという視点が大切といえる。

3)ヒロシマ・ナガサキプロセス

 ヒロシマ・ナガサキプロセスは、核兵器廃絶を目指すためのいくつかの国際条約の制定を行う。被爆者団体を含む国際NGOや非核保有国が中心となって、核兵器を禁止する総合的なプロセスの構想である。

A)核兵器使用・威嚇禁止条約の制定

 最も理解を得やすい国際条約の制定を目指すことからはじめる。これまでにも国連総会においては、核兵器使用禁止決議は採択されてきている。1994年から2007年までの14年間は、連続で、核兵器廃絶に関する決議が提案され、賛成多数で採択されてきている。日本の態度は残念ながら、核大国アメリカへの配慮を優先している。日本が提出した決議には賛成するが、それ以外の具体的な内容を含んだ核兵器使用禁止決議には棄権するというスタンスをとることが多い。日本が提出する決議は、アメリカも賛同できるように極めて抽象的な表現で核兵器廃絶を求めるものとなっている。しかしこの抽象的な決議案にさえ、アメリカ政権は核兵器の先制使用をもありうるという立場から、反対票を投じるようになっている。

 これまでの動きとの違いは、核兵器使用禁止決議ではなく、核兵器使用・威嚇禁止条約の制定を目指すということだ。すべての国、特に核保有国が参加することとならなくても構わない、という姿勢で、国際条約として、核兵器の使用と威嚇の禁止を宣言するのである。1994年に国連総会が「核兵器の使用・威嚇は国際法上許されるか」と意見を求めたことを受けて、967月に国際司法裁判所は勧告的意見をまとめている。それによれば「一般に、武力紛争に適用される国際法とりわけ人道法の原則や規則に違反する」とするとしている。ただし、これには「国家の存続が危機にあるような自衛の極限状況においては確定的な結論は出せない」との留保もつけている。留保はあるものの、現時点においても「核兵器の使用・威嚇は国際法上許されない」という解釈が成り立つ。しかし、それを国際条約として明確にすることは大きな意義がある。

 この核兵器使用・威嚇禁止条約の制定までの道のりを、対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約の時と同じように、国際NGOやミドルパワー諸国の主導のもとに実現していくのである。国際世論の高まりとともに、「核兵器の使用・威嚇の違法性」をアピールすることができる。核兵器の使用・威嚇した場合には、国際社会から厳しい批判と叱責を受け、国際社会の一員としての立場を失うということが明らかになるのだ。核兵器保有国のすべてが、すぐにこの条約に署名し、批准するとは考えられない。しかし、非核保有国の多くが、国際NGOの後押しのもとに批准し、国際的な規範作りを行うことは、核兵器の使用や威嚇による活用を大きく制限することに繋がる。核兵器の価値を下げて、次のステップへと導きやすくする。

B)核兵器開発禁止条約の制定

 次のステップは、核兵器の開発を禁止する条約を制定することである。

 核兵器の開発には核実験が重要な役割を果たすことから、これまでに核実験を禁止するための努力がなされ、一定の効果をあげてきた。包括的核実験禁止条約は、あらゆる空間(宇宙空間、大気圏内、水中、地下)における核実験の実施、核爆発を禁止している。これは、部分的核実験禁止条約において禁止されていなかった地下核実験をも禁止対象としている。しかし、核保有国は、当条約採択後も禁止されていない爆発を伴わない臨界前核実験を繰り返し、核実験そのものの停止は未だ行われていない。核兵器の開発は続けられているのだ。

 核兵器開発禁止条約は、臨界前核実験を含めて、核弾頭の性能の向上を図る行為を禁止する。つまり、現時点で保有している核兵器以上のものを作ることが禁止されるということになる。核兵器のフリーズ状態を作ることを目指すのである。

 制定までの過程は、核兵器使用・威嚇禁止条約の制定の時と同様に、国際NGOや非核保有国の主導によって、実現することを目指します。

C)核兵器廃絶条約の制定

 最終段階は、まさに核兵器を保有すること自体を禁止する国際条約を制定することだ。上記のステップを一つ一つ積み重ねることによって、現時点では不可能に思えるこの最終段階に到達することができる。

D)地球的非核地帯条約

 これまでの非核地帯条約や構想は、ある一定のゾーン(地帯)を対象にしてそのゾーン全体を非核化することを目指す。そのゾーンにおける核兵器の開発・製造、実験、保有や使用、域内の輸送や持ち込みを禁止するとともに、核保有国が非核地帯への核兵器による攻撃や攻撃の威嚇を禁止することを要求する。

 すでにこうした非核地帯条約は成立しているが、核保有国が含まれているような地帯では、実現させることが困難になっている。モンゴルは1国で「モンゴル非核兵器地位宣言」をしている。

 地球的非核地帯条約は、世界のどこの国でも条約に参加でき、その参加国の領土の合算を非核地帯とみなすというものだ。核兵器の問題で重要なヨーロッパの非核兵器保有国や東アジアや南アジアの非核兵器保有国などが非核地帯運動にグローバルな形で参画できる。平和運動においても、NGOの活動においても重要なドイツや北欧諸国、カナダなどが一体となって、核保有国に対抗することができる。もちろん、日本もこの運動の中心的な国として加わることができるのだ。既存の非核兵器地帯条約に加盟している国々と連結させるなら、地球規模の広大なゾーンを非核兵器地帯とすることができる。

 この運動を、核兵器使用・威嚇禁止条約⇒核兵器開発禁止条約⇒核兵器廃絶条約の流れと組み合わせることによって、核兵器廃絶の流れをつくることが可能になる。

 この総合的な過程がヒロシマ・ナガサキプロセスである。この構想は、基本的に非核保有国と国際NGOを中心として展開することを念頭に置いている。もしこれにオバマ大統領が加わるなら、現実味を帯びてくる。私は、オバマ大統領の在任期間に大きな変化が起こるとは思っていない。しかし、広島を訪れたオバマ氏は、大統領退任後に大きな力となってくれるはずだ。
 今こそ、ヒロシマ・ナガサキプロセスの展開を強く訴えたい。 

 

 

 



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2016年05月27日

 ペルー大統領選が佳境を迎えている。アルベルト・フジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏とクチンスキ元首相が激しい選挙戦を展開している。ケイコ・フジモリ氏の優勢が伝えられている。選挙を6月5日に控え、フジモリ氏がクチンスキ氏との差をやや広げつつある。最新の世論調査はペルーの世論調査会社CPIが5月26日に公表したもの。それによれば、フジモリ氏の支持率は46%であるのに対して、クチンスキ氏の支持率は38.9%にとどまっている。7.1ポイントの差がついている。9.6%は白票や無効票を投じるとしている。またまだどちらに投票するかを決めていない人は5.5%いるという。
 注目されているのは、1回目の投票で3位につけていたメンドサ氏の票の行方である。フジモリ氏やクチンスキ氏がオープン経済を目指すのに対して、メンドサ氏は貧困層の救済や福祉の充実をプライオリティにおく左派である。政策の視点からすれば、メンドサ支持者がクチンスキ支持にそのまま回るとは思えない。ただ、ペルーの選挙では、フジモリ派と反フジモリ派に分かれており、クチンスキ支持に回る人も多いようだ。しかし、10%近い人が白票や無効票を投じるとしている。フジモリ氏は嫌だけど、だからといってクチンスキ氏にも入れたくない、という人がかなりいることは確かである。フジモリ氏を支持する人は熱い選挙活動を続けており、結局、ケイコ・フジモリ大統領の誕生となりそうである。クチンスキ氏は実務経験が豊富であり、安定しているとみられるものの、新鮮さはない。年齢も77歳で、5年の大統領任期を終えるときには82歳となる。若いケイコ氏の躍動感と対照的である。
 では、ケイコ・フジモリ新大統領が誕生するとして、どのような展開になるのであろうか。特に日本との関係ではどうなるのだろうか。
1.開かれた市場政策
 ペルーは素晴らしい資源を持ちながら、経済的にはかなり低空飛行をしてきた。いかに外国資本も入れながら、開発を進めることができるのか。ペルー大統領にはトップセールスマンとしての役割も求められる。欧米との関係や中国との関係は変わらず重要であるが、日本の資本も本格的に介入する可能性がある。ペルーはTPPに入っている。日本がTPPに参入するなら、日本とペルー間の貿易はさらに活発化することが期待される。鉱石資源や水産資源など日本にとって魅力的な資源をペルーは持っている。また観光資源も素晴らしい。これが本格化するなら、在日の日経ペルー人は日本・ペルー間の橋渡しの役割を果たすことができる。
2.治安の安定
 父アルベルト・フジモリ元大統領の評価は分かれる。しかし、私はアルベルト・フジモリ氏は社会活動が麻痺するほど酷かった治安を安定させた大統領であり、現在のペルーは彼の功績によるところは大きいと考えている。ケイコ・フジモリ氏も治安の安定には最大といっていいほどの力を注ぐようである。この治安の安定が、外国資本がより積極的に入ってくることや観光産業が栄えるための条件といっていい。日本人が行きたい世界遺産のトップはマチュピチュで、5位にナスカが入っている。治安が安定すれば日本人を含めたさらに多くの外国人がペルーを訪れることになるだろう。
3.環境
 ペルーの鉱山の開発は環境汚染を引き起こしている。水銀などによる土壌、水質汚染は深刻になっている。こうした問題への対策が賄賂によって、しっかりと取られてこなかったので、大きな問題となっている。日本もカドミウムや水銀汚染などで60年代、70年代初頭に苦しんだ経験を持つ。イタイタイ病や水俣病などを経験してきた。それだけに環境対策の技術は世界のトップクラスと言える。ペルーにとって環境対策は非常に大きな課題である。日本の技術を活用することは一つのポイントだ。
 こうした展開をするためにも、ケイコ氏は反フジモリ派との調和をどうするかが重要である。
 まずは、6月5日の選挙の結果を見守りたい。新たなペルーの展開を期待する。


 

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2016年05月26日

 舛添要一東京都知事の一連の不正、あるいは不適切な政治資金の使用や公用車の私的使用、高額な海外出張費問題などが話題になっている。次々と問題が提起されてきているが、決定的なものではなく、今後、どのような展開になるのかははっきりしない。都知事の辞任要求を叫ぶ声も大きいが、舛添知事に辞任する気配はなく、弁護士に調査を委託した。時間がかかるのは必至であり、また、舛添知事が委託した弁護士の調査結果として、辞任しか考えられない、という結論となる可能性はまずない。「反省しながら」もこのまま都知事を続けるということになる。
 後は、都議会が不信任案を突きつけるか、裁判などで公民権を失うかなどによる辞任しかない。今のままでは、都知事はレームダック状態であり、都政にも悪影響となることは間違いないが、オリンピックも絡み、状況の展開は不明瞭である。
 一気に舛添知事が追い詰められ、6月1日に辞任届を提出し、7月10日に参議院との同時選挙というシナリオを語る人もいたが、舛添知事が弁護士に調査を委託し、時間がかかることになり、このシナリオは消えた。今すぐに辞任されると、次の候補者選びの時間も確保できず、また問題のある人が選出される可能性もある。今となってはいきなりの辞任の可能性はない。伊勢志摩サミット、参議院選挙、そしてリオ・オリンピックとビッグイベントが続くので、今の山を乗り越えると、舛添バッシングもかなり静かになると考えられる。これまでのような厳しいバッシングが続くことはないだろう。
 これから決定的な不祥事が明らかにならない限りは、早期の辞任はないといえる。
 最も可能性があると考えられるのが、来年の都議選との同時選挙である。都議選は2017年6月に予定されている。その直前に議会が知事の不信任案を可決するなら、議会解散を打つ意味がなくなる。議会はリスクなしに不信任決議を行うことができる。選挙にもお金がかかるのであるが、都知事選と都議会選の同時選挙であれば、かなり節約することができる。来年6月に新都知事が決まれば、東京オリンピックはその新都知事の下での開催になる。3年という準備期間があるし、新議会とともに新たな東京都の構想を作ることができる。問題は、適当な候補者の擁立である。まあ、選挙まで1年があるとすると、それまでに準備ができる。テレビキャスターや公職を持っている人も、来年3月を目処に対応をすればいいのであり、かなり有望な候補者が出る可能性が高くなる。
 この機会を逃すと、舛添知事の任期満了、つまり2018年2月までは舛添知事のままでいくということになるだろう。舛添氏は再出馬するかもしれないが、ここまで都民の信頼を失った中では新しい知事が誕生することになる可能性が高い。おそらく任期満了まで待つことなく、来年の都議会選に合わせての同時選挙となるのではないだろうか。今年の冬あたりから候補者選びが水面下で活発化するのではないかと考えられる。

cdim at 17:27コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 
 オバマ大統領が5月27日に広島を訪問する。1945年に広島に核兵器を投下し、広島を生き地獄の町にしてから71年。現職のアメリカ大統領が初めて、広島を訪れる。
 広島の平和公園にある慰霊碑の石碑前面には、「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれている。この「過ち」の主語は誰か、がいつも問題になる。浜井信三広島市長(当時)は「この碑の前にぬかずく11人が過失の責任の一端をにない、犠牲者にわび、再び過ちを繰返さぬように深く心に誓うことのみが、ただ1つの平和への道であり、犠牲者へのこよなき手向けとなる」と述べている。すべての人が過ちの責任を負い、過ちを起こさないように誓う、というのだ。そしてこの言葉は、この発想をうけて、被爆者である雑賀忠義広島大学教授(当時)が撰文・揮毫したものといわれる。
 現在、広島の被爆者に「加害者」としてのアメリカを憎み、謝罪や弁償を求める人は少ない。今回のオバマ大統領の広島訪問に関しても、被爆者の9割が歓迎しているといる世論調査も出ている。20万人とも言われる市民の命を奪い、生き残った人にも生き地獄の苦しみを与えた原子爆弾。その原子爆弾を投下した国をこうも簡単に許した被爆者。しっかりと考えてみる必要はある。
 「過ち」を犯したのは誰か、という問いへの議論は複雑になる。戦争の原因について議論をしていくと非常に厄介な論争に入り込む。私が問いただしたいのは、「過ちは繰返しませんから」という言葉だ。100歩、1万歩譲って、アメリカの広島・長崎への原爆投下は、「民主主義を守るため」であり「犠牲者を増やさないため」であったとしよう。しかし、アメリカは翌年にはすぐに核実験を始め、核軍拡競争へと突っ走っている。その後、核兵器大国、軍事大国として世界に君臨し、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争など多くの戦争、紛争に直接的、間接的に関わり、多くの犠牲者を生んでいる。確かに長崎以降には核兵器を直接使用したことはないが、多くの核実験で被曝者を生み出したし、キューバ危機の時のように核兵器の使用の可能性に触れたこともある。到底、「過ちは繰返しませぬから」という言葉のような言動ではない。
 戦後の軍拡路線を見る限り、そして戦争への関わりを見る限り、アメリカが「正義と民主主義」の国であり、「世界平和を守る警察」とは思えない。アメリカは明らかに過ちを犯してきたし、さらに犯そうとしている。
 オバマ大統領個人をみてみよう。オバマ大統領は、大統領就任直後、有名になったラハでの演説で「核兵器のない世界」のために努力することを約束し、ノーベル平和賞まで受賞した。オバマ大統領への期待は高まった。しかし、大統領就任期間の7年余の間に、核軍縮、核廃絶にむけた特別な業績は見当たらない。あえて言えるとするなら、今回の広島訪問くらいである。プラハに始まって広島に終わるというオバマ大統領の核廃絶への行動だが、肝心のプラハから広島の間の実践は欠けている。

 私はそれでもいい、と思っている。オバマ大統領が広島に来て、被爆の実相を見てくれることは次のステップに繋がるのではないかと期待しているのだ。オバマ大統領はまだ54歳。この夏で55歳になる。大統領をやめてからの人生が長いのだ。現職大統領では様々な規制も抵抗もあり、できなかったことを退職後に行うことが可能なのである。カーター元大統領も現職の時よりも退職してからの活動の方が印象に残っている。
 これからの残された大統領在任期間でできることは非常に限られている。 しかし、退職以後に核兵器廃絶のために大いに活動をしてほしいと願っている。今回の広島訪問はその活動の原点になるのではないかと期待している。
 私が提案し続けているのは、ヒロシマ・ナガサキプロセスである。対人地雷禁止条約を実現したオタワプロセスやクラスター爆弾禁止条約を実現したオスロプロセスのように、核兵器を禁止していくためのヒロシマ・ナガサキプロセスの実現である。まずは、核兵器先制使用禁止条約の 実現である。こうした具体的な目標を持って、一つ一つ着実に非核の世界の実現を目指すことが重要だ。
 オバマ大統領が広島でどのような発言をするか。しかしそれ以上に、今後、オバマ大統領がどのような活動をしていくのか。熱く見守りたい。

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2016年05月25日

 舛添要一東京都知事の政治資金などの使用が社会的に大きなニュースになっている。現在話題になっているものはそれほど大きな額ではないが、首をかしげたくなるような使い方があり、問題はある。様々な「セコイ」手口が話題となっている。
 舛添知事だけではない。政治家の多くは様々な不適切な「やりくり」をしている。 政治家や政治家の秘書にその手口を聞いてみた。政治家や秘書の間では、とりたてて記事にするような特別な話ではないのだろう。というか、記事にしてもらうと困ることなのかもしれない。一般的にはかなり興味深いので、まとめてみる。
1)国会議員のJR無料パス
 国会議員はJRの無料パスをもらうことができる。これは選択制で、月に4度の往復航空券などにすることもできる。東京から選挙区まで距離があったりすると航空券を選択することもできる。ここではJR無料パスについて考えてみよう。目的を問われることはまずないので、家族旅行やある議員のように不倫旅行に使うことも可能だ。ただ、議員はすべての活動が政治活動、と言い切る人もいるわけで、これを判断するのは難しい。ただ、明らかに問題なるケースがある。講演などで地方に行く時、無料パスを使いながら、交通費をもらうというケースがあるという。自由席の場合、後からの検証は無理であるが、グリーン車や指定席では、国会にある「国会議員指定席・寝台申込書」に記入して提出しなければならない。つまり本気で調べると、二重取りが問題になる可能性がある。同伴者の分をうかす場合とそのまま現金を貰う場合とあるようだ。講演依頼がある議員はちょっとびくびくしているという。
2)「文書交通通信滞在費」
 これは制度的な問題だ。地方議員なども以前は政務調査費に領収書などは必要はなかったが、最近はほとんどの場合に必要になった。それによって、様々な問題が明らかになっている。しかし、国会議員の「文書交通通信滞在費」は毎月100万円というかなりの高額でありながら、領収書の提出義務も、報告義務もない。税金がかからないので、まさに第二の歳費といえる。これに報告義務が課せられることになるかどうか。国会議員はこの点はできるだけ触れられることなく、制度の維持を望んでいるようだ。
3)Suicaなどの交通プリペイドカード
 これは政治家、政治家秘書にとって、かなり重要なものになっているようだ。Suicaなどは交通のプリペイドカードとして登場したが、今の時代では、コンビニ、スーパー、家電量販店、書店、カフェなどでも使える。つまり使い方によっては相当に多くのものを買うことに活用できる。それが、チャージすると交通費の領収書のようになるのだから、政治家の事務所は重宝しているという。スーパーで食料品を買うとさすがに政治活動に使ったとは言えないが、suicaなどのチャージのレシートなら、問題ないという。これにメスが入ると厳しい、と秘書たちは言う。
4)プリペイドカード
 民進党の議員のケースで有名になったのがガソリンプリペイドカード。一種の金券であり、お金に戻すこともできるし、ガソリンは多くの人が使うものであるから、それを私的に使うことも可能だ。レシートとしてはガソリンのプリペイドカードであればかなり受け入れやすい。
 バスなどのプリペイドカードを買って、それを現金に戻すという方法もあるようだが、限界がある。あまり多額を使うと怪しまれる。
5)文房具店などのレシート
 文房具は消耗品費として落としやすいもの。実際に必要なものはかなり限定されるので、文房具店などのレシートを集めるとそれなりの額になる。
6)事務所費
 家がある場合にはそこを事務所としてかなりの額を計上することができる。これはかなり実質的なものになる。舛添知事もこの手は使っていた。どのように使ったのかについてはそれほど厳しいチェックは入らない。とにかく形が整っていることが大切になる。
7)親しい支援者などの会社の活用
 これもかなり行われているようだ。広告代理店、デザイン、イベント、印刷などの会社に委託し、かなりの部分を戻す手法である。相当に親しい人の企業でなければ、危ない手法である。
 こうした点に注目されると政治家の事務所の多くは厳しいという。多くの政治家の事務所の台所はかなり厳しく、上記のような不適切な作業をしながらやりくりしているようだ。お金のかからない選挙制度を本気で作ることも必要だ。ただ、こうした手法はある意味、「セコイ」手法。本当のワルの政治家はもっと大きな不正を「合法的に」やってしまうという。本当に政治、そして社会を歪めているのは後者の政治家である。「セコイ」政治家の「セコイ」不正だけでなく、もっと大きな不正にいかにメスを入れるか。マスコミはもっとそちらに力を注ぐ必要があるようではある。


cdim at 19:45コメント(1)トラックバック(0) 
 中国の環境の悪化は大きく報道されているが、今、それとともに重要なのは中国政府が打ち出す環境改善のための仕組みづくりである。今、制度が大きく変わろうとしている。この変化をしっかりととらえなければ、日系企業も足元を救われかねない。

 これまで何度か中国の環境問題について記事を書いてきているが、それらは大きな反響があった。

「環境政策で大変貌を遂げつつある中国〜日本企業にとって大チャンスが到来」http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160424-00056994/ 

中国で日本企業主導の産学連携プラットフォーム発足
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20160523-00057967/

 「ピンチこそがチャンス」をそのまま地で行く日系企業の取り組みが関心を集めたのであろう。

 ところがその反面、中国進出している日系企業の中にはこの大きな荒波に対処できず大変な状況にある企業もあるようである。今まで通りのやり方では、波に乗るのも難しいし、避けるのも難しいというところだろう。

 中国の環境規制がどれほど厳しさを増しているかを調べてみると、イメージとは異なる実態がでてくる。インターネットなどで公開されている情報源からでも、意外なほど容易に「日本ではほとんど話題になっていない重大な事実」が浮き彫りになった。

 実はこの事実、日本の新聞各社、メディアが取り上げたなら、格好のコンプライアンス違反として注目を浴びる話題になることと思う。

上海環境



http://www.sepb.gov.cn/fa/cms/shhj/shhj2060/index.shtml

上海市環境保護局 行政処罰情報のページより

 

 上記HPを見てもらいたい。中国特有の簡体字の表示なので見慣れない方には難しいかもしれないが、20156月から毎月の行政処罰の情報が載せられている。

 ここで言う「行政処罰」とは、以下の環境関連の法規や条例に違反し、操業停止や罰金処罰を受けたということであり、リストには企業名とその法廷代表人の名前が公開されている。

中華人民共和国固体廃物汚染環境防治法

中華人民共和国水汚染防治法

中華人民共和国大気汚染防治法

建設項目環境保護管理条例

オゾン層消耗物質管理条例

上海市環境保護条例

上海市大気汚染防治条例

 いわゆる「水十条」と「大気十条」に定められた法執行がそのまま行われていると言うことの証左である。

 ここで注目すべきは、現地に進出し生産拠点を持つ日系企業はどうなのだろうかと言うことである。日系企業はどの企業も環境に気を遣い、全社を挙げて環境経営、省エネ推進していると自負しているようであるが、悪い意味での「郷に入っては郷に従う」式の経営をしてしまってる企業も存在するようである。

 例えば上記HP20157月分を見てもらいたい。日本の上場企業である日工株式会社、株式会社椿本チェイン、そして8月にはなんと三井化学株式会社の現地子会社の名前とその法廷代表人の名前が記載されている。

 今年に入って1月には、株式会社クレハの上海現地子会社も名前が挙がっている。

 大変残念だが去年の6月からこれまでに約20社の日本企業の現地子会社が環境問題の対処が悪いと言うことで行政処罰を受けてしまっているのである。

 当然現地の企業も多く存在する中の20社であるためそれほど大きな割合では無いが、環境経営を旨とする日本の上場企業までもが悪い意味での「現地化」してしまっていたことに正直ショックを隠せない。日系企業は優れた環境技術を持っていて、環境問題を起こさない、というイメージが崩れていく。

 果たして、ここに名前が挙がってしまっている現地法人の法廷代表人の方はこの事実をご存じなのだろうか。

 これまでにも中国における環境対策の重要性とそのリスクを訴えてきたが、日系企業といえどもこの対応には大きな課題を抱えていることがこれを見ても明らかである。

 では、何故このようなことになってしまっているのだろうか。

 簡単に言えば、「現地化」の失敗である。

 どの企業も外国で生産を行い、販売を行い、サービスを提供するなどのビジネスを行うにあたっては、現地のスタッフを教育しできるだけ日本からの駐在員を減らすことで、コスト削減を進める事を目指しているはずであり、それを「現地化」と言いながら推進してきたことは間違いないであろう。

 ところがその結果、「人」は現地のスタッフに入れ替わってはいるだろうが企業の理念や経営方針は置き去りになったまま、人だけが変わるという現地化が進んでしまったことがこのような行政処罰を受けてしまう元凶であると私は見ている。特に政治体制も文化も違う中国ではなおさらである。

 つまり、現地の悪習慣(商業賄賂や役人の腐敗、不作為)に飲み込まれ、「現地スタッフに任せています」という如何にも「現地化を達成している」という風な日本人駐在員の無責任の連鎖がこのような結果をもたらしてしまったと言うことなのである。

 では、日系企業のこの汚名をどう返上すべきなのだろうか?

 一般的に日系企業はこのような問題に直面した場合、本社より特別の監査チームを送り出し問題の調査と原因の追及、そして改善案を提案することが多いが、それにより根本的な問題が解決することはほとんど無い。なぜならば、現地の問題は表面化した部分よりももっと奥深くにその原因の核が存在しており、表面をなでただけで分かるようなものでは無いからだ。現地の総経理や経営陣からしたらそんな形だけの監査はありがた迷惑の何物でも無い。その根本原因を理解もせず、できもしないことをやれと言われてもというのが本音だろう。

 結論から先に言うと、日本の本社から送ってくる監査団に任せるよりも、現地の事情をよく知りこれらの諸問題の根源がどこにあるかを十分に知り尽くした第三者の専門家集団に監査を任せ、何らのしがらみの無い立場からの辛辣な意見を聞くことから始めるべきであろう。本社の監査団にとっては目から鱗のような現実が迫ってくることは間違いない。

 だからこそ、先にコラムで紹介した同済国際グリーン産業創新センターの様な日系企業の事情をも知り尽くした第三者の専門集団が発足したことは大歓迎すべき事だと思う。日本式のしがらみや系列、またはグループなどと言う枠にとらわれず何が正しいかを愚直に追求してこそ、中国が直面している環境やエネルギー、至っては労働環境衛生などの多くの問題を解決する道が開けることになるであろう。

 中国はこれからますます環境規制を強めていくだろう。昨日のルールが今日には通用しないという状況も生まれている。現地での対応も必要だ。同済国際グリーン産業創新センターなどを上手に活用して日系企業のリスク回避が進むことを願ってやまない。環境技術で世界でトップクラスはずの日系企業が中国で環境問題で問題となることはぜひとも避けたい。

 同済国際グリーン産業創新センター ホームページ:http://tgii.center/

       Emailinfo@tigiic.com

 

 

  



cdim at 16:05コメント(1)トラックバック(0) 

2016年05月23日

 中国は驚異的な経済発展と引換えに、環境の悪化という大きな負の遺産を抱えることになった。よく日本の1960年代と比較されるが、日本の「公害」よりもはるかにスケールが大きく、深刻である。ただ、日本が問題を克服した技術と社会システムの改良は中国も効果があり、日本の支援・協力が期待される時代となりつつある。

 2015年より環境汚染の深刻さ、そして改革開放以降の右肩上がりの経済発展の行き詰まり感などが表面化してきたことにより、中国政府は大きく環境改善の方へ舵を取り始めた。そんな今の中国に於いて、この状況は日本企業にとっての「追い風」とも言えるし「向かい風」であるととらえることができよう。

 「追い風」面とは、これまで日系企業が培ってきた環境や省エネに関するノウハウや知見、そして蓄積された高度な技術とその管理手法が大きく日の目を見るときが来たということだ。中国経済が右肩上がりの時には環境の汚染よりも経済的指数の上昇だけが注目の的であり、日本発の環境技術や省エネの技術には誰も目もくれなかった。しかし、経済発展と引き替えに自らが生活を営む環境が自分の首を締め付ける状況になったとたん、どこかに解決方法が無いのかと探し出すのが中国的な対処法である。

 そんなとき、海を越えた島国の日本にその技術やノウハウがあることを改めて実感しているのが今日の中国政府であり、中国のビジネスマン達なのである。

 つまり、彼らが今のどから手が出るほど欲しがっているものこそが、日本の持つ技術とノウハウと持続性を約束する管理手法なのである。これこそ正に日系企業への追い風と言わずなんと言おうか。

 では、「向かい風」とは何だろうか?

 これまで日系企業も世界の工場である中国の安い人件費と曖昧な法執行体制の旨みを享受してきたが、ここに来て反腐敗運動と連動した厳しい法執行により企業経営に大きな負担を強いてくると言うことを意味するのである。

 つまり、これまでは曖昧な対応で許された水、大気、土壌への汚染対策が、本来のあるべき姿に戻り始めた結果、日系企業の管理者達に取って大きな新しい課題として重くのしかかる状況となったのだ。ここ数年労務問題が厳しさを増し、これまでのように生産さえしていれば成り立った状況から一転、環境へも配慮した高度な管理体制を要求される状況となるのであるから駐在員責任者達も別次元の管理能力を要求されることになった訳だ。非常に曖昧でルーズな制度から一気に欧米や日本の規制以上に厳しいルールが適応されることも想定しなければならない。

 まさしく「新常態」、中国は今大きな転換期に来ていることは誰の目にも明らかであろう。新たな対応が必要なのだ。

 そんな中、いち早くこの状況をチャンスと捉え新体制に向けて組織作りを始めた日系企業連合がある。

 20151225日、JETRO上海代表処が旗振りを行い、JETRO、同済大学緑色建築及新能源研究中心、上海同済科技園有限公司の三方合同の支援の下、新しい産学プラットフォームが設立された。

 このプラットフォームは名を同済国際グリーン産業創新センター(以下「同済センター」)と命名され、同済大学緑色建築及新能源研究中心、同済国家大学科技園有限公司、そして運営の主体として日資企業節能環保推進研究会が参加する形で日中初の実質的産学連携組織として発足した。

 センターのウェブサイト(http://tgii.center/)によると、それぞれの組織と活動目的は以下のように記されている。

 ● 同済大学緑色建築及新能源研究中心は2003年に設立され、同済大学土木、建築、計画、HVAC、熱エネルギーは、材料、環境工学などの優位性学科及び研究資源を一体に融合して学科を交差する研究プラットフォーム。

 ● 同済科技園は、全国で唯一の国家級の優秀な大学科技園と国家級の優秀な科学技術企業孵化器を擁する園区を管理しており、「創業苗圃—孵化器—加速器—産業クラスター」の4位一体の企業サービス体係により、省エネ・環境保護などのハイテク分野の中小企業の発展を推進する役割を果たす企業体である。

 ● 日資企業節能環保推進研究会は、中国にて省エネ・環境分野で活躍している日本企業により構成された組織であり、メンバー企業の省エネ・環境技術と経験をAll-Japan体制で、中国にワンストップサービスとして提供し、中国の省エネ・環境保護産業の発展を促進することが目的である。

 この同済センターの運営を任されている日資企業節能環保推進研究会のメンバーに取材したところ、センターが設立されたのは、「新常態」中国に於いて日資企業が迎えるであろうリスクとチャンスの両方に対し準備するためのものであるという回答が返ってきた。

 つまり、先に挙げた向かい風と追い風の両方に日系企業が一丸となって連携し上手に対応することで、この歴史的チャンスを逃さないようにしたいという事が目的なのだそうだ。

 環境規制が厳しくなり、法的にも技術的にもしっかりと対応していくべきなのだが、たとえガバナンスに優れる日系企業といえども、一朝一夕には対応できないことも多い。よって、同済センターがその受け皿となることで、大きなリスクを回避できる手法を提供できる様になる。中国独特の政治・経済・文化環境への対応も必要とされる。

 且つこれまで話題にはなれど、なかなかビジネス的に成功するに至らなかった環境技術や省エネ技術の浸透戦略を組み直し、日系企業が持つ素晴らしいノウハウや技術を中国で必要としている自治体や組織、そして企業に浸透させていく為の支援体制を整えるという素晴らしい一石二鳥のアイデアなのである。

 これまで日本の企業群は、どうしても中国の変化の波に乗りきれずビジネスチャンスを逃すことが多かったが、このような斬新な取り組みでリスクを回避しつつもビジネスとして大きな実績を残してくれることを期待してやまない。中国も本気モードに入っている。それくらい環境問題は深刻化しているのだ。しっかりとリスクを認識し、回避することができなるなら、これまでとは異なったレベルでのチャンスが到来したと言える。

 中国政府の動きと昨今の時代の流れを上手に読んだ素晴らしい取り組みと言わざるを得ない。これからの動きに目が離せない。日中関係はここ数年の間、非常に冷え込んできた。環境問題への取り組みによって新たな関係が構築できる可能性が生まれてきた。

    

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2016年05月21日

 7月の参議院選挙を前にして、青年会議所のみなさんを中心にして各地で公開討論会が準備されている。公開討論会が日本で始められてから20年が経った。リンカーン・フォーラムが中心になって、公開討論会を企画し、実施してきた。最初は、公開討論会への理解は立候補予定者から得ることができない時が多かった。「公職選挙法に違反する」「他陣営のまわしものだろう」「選挙は遊びじゃないんだ」などといった批判を浴びながらの立ち上げであった。その当時は今よりもずっと、選挙は利権の争いであった。公開討論会が選挙に有利か、不利かという視点だけで参加・不参加を考える陣営が多く、立候補予定者がそろうのは至難の技であった。実際に、公開討論会の事務局に嫌がらせもあった。選挙の前に政策の討論をするというのは「当然」と考えられるが、最初の頃は、公開討論会の事務局に「夜道を気を付けろ」といった圧力まであった。
 しかし、徐々に公開討論会は社会的に認められるようになり、選挙ごとに公開討論会が開催されるところも多くなった。日本青年会議所のみなさんが、積極的に公開討論会を推進してくれるようになったことも大きなポイントであった。彼らの実践力と地域への貢献をしたいという情熱は最近の公開討論会を支えている。今は、青年会議所が公開討論会を主催し、リンカーン・フォーラムが後援・支援をしていく形ができあがっている。
 公開討論会を実施する上で重要なのは、1.立候補予定者に参加してもらうこと、2.会場設定などの運営、3.宣伝等による集客、4.中立・公平で議論を展開させるコーディネータ、である。いずれも思っているよりも大変な作業である。意外と難しいのが集客。選挙の前には立候補予定者の出陣式などがある。A氏の陣営は3000人の出陣式、B氏の陣営は3500人の出陣式、C氏は2000人の出陣式であったという情報が伝わってくる。自分の応援する人がどのような政策を訴えのかを聞きたいに違いないと考えた。当然、500人くらいの有権者は集まると期待していても、実際には100人以下になることもあった。「政策なんてどうでもいい。重要なのは候補者に恩を売り、政治家との縁を強めるための選挙応援」ということなのだろう。これはおかしいのであるが、このおかしい状況を変えるためにも多くの人に公開討論会に来てもらい、新たな政治の流れを作ることが必要である。一般的にはやはりクチコミ宣伝が最も効果があるようだ。民主主義ではこうした地道なクチコミが重要なのであろう。
 今回のコーディネータ養成講習会は、コーディネータの技術を向上させるものである。よくテレビの討論会などでは相手を罵倒するような政治討論会がある。他者が話している時に無理やり割り込んだり、ヤジを飛ばしたりするときもある。しかし、選挙前の公開討論会ではそういうイメージとは全く異なる雰囲気で進む。時間を明確に決め、政策がしっかりと述べることができる機会の提供ということだ。選挙前なので、誰もがかなり神経質になっている。だから、特定の人に肩入れするような質問をしないことは当然、重要だ。
 ただそれだけではあまりに議論が面白くない。私が気をつけているのは、できるだけ議論を1.具体的に誘導すること、2.各政策に住民をどのように巻き込むか、3.住民への情報提供をどのようにするのか、4.町をどのようにしたいのか、大きな青写真があるのか、の視点から聞いていくことだ。公開討論会では、「教育を充実させます」「住民に優しい町にします」「福祉の町にします」「子育ての優しい町にします」…などという耳障りのいい言葉が出る。しかし、具体的な政策が全く話されないことが多いのだ。
 実際に、具体的に聞いていくとほとんど具体的な政策がないと考えられるような候補者が多い。かなり驚かされる。政治家の質が問われてるが、こうした具体的な政策を構想し、住民とともに実践することができる政治家が必要なのだ。そのためには、最も重要なのは住民自体が、具体的な政策を構想でき、政治家を動かし、自らが政策を展開できるようになることである。政治を政治家だけに任せていたから、だめな政治になってしまった。政治を国民・市民が取り戻すことが求められている。
 そのためにも、来る参議院選挙ではできるだけ多くの選挙区で公開討論会を実施してほしい。そしてできるだけ多くの有権者にその公開討論会を聴きに行って欲しい。
 参議院選挙だけでなく、自治体選挙でも常に開催され、住民が自分の住む町や社会に関心を持つこと。ここから新たな社会づくり、政治文化の形成ができるのではないかと思う。

 

cdim at 14:01コメント(0)トラックバック(0)社会 

2016年05月19日

 消費税率を10%に引き上げるのが延ばされる可能性がある。安倍晋三首相と民進党の岡田克也代表らによる党首討論があり、岡田代表は来年4月に予定される消費税率10%への引き上げに対して、消費が弱い現状では先送りすることを提言している。消費税率の引き上げについては、民主党政権時代には民主党がそのプランを出した経緯もあり、政権与党と野党の立場の違いで政策が異なるという印象もある。
 確かに目先の景気のためには消費税の引き上げは延ばしたほうがいいとわかる。しかし同時に、財源の確保も緊急の課題だ。こうした時にはたいていたばこ税の引き上げが議論されてきた。欧米の国では日本よりもたばこの価格がはるかに高く設定されているところも多くなっている。オーストラリアでは1箱2000円〜3000円にまで上がっている。もちろん非常に高い税率によるものである。日本のたばこはまだ安い、といわれており、たばこ税の引き上げもまた議論になるであろう。
 それとともに、議論されながら実施されてこなかったパチンコ税が具体化する可能性がある。パチンコ業界の売上は年間20兆円ともいわれる。それをもとに、1%の課税で2000億円の税収が生まれるという試算がある。ただ今考えられているパチンコ税は、お客の得る払い戻し金にかかるもの。実際にはそれよりは少なくなる。それでもかなりの額にはなる。
 仮に5%のパチンコ税を課すとするとかなり実質的な税収の確保につながる。今、パチンコ業界に対する批判の声は高くなっている。パチンコ業界も真っ向から反対の声をあげにくい状況がある。今、考えられているパチンコ税の仕組みであれば、お客が得るお金(3店方式によるものなので、パチンコ店からではなく景品売買所から得るお金に対するもの)に税金がかけられることになる。パチンコ屋の税金は増えないように見えるが、実際にはお客が減少することになり、お客が有利になるような仕組みを考えなければならなくなる。
 パチンコ業界には昨年あたりから非常に厳しい規制の適応が行われている。実際に厳しく適応すればパチンコ業界がなくなるとも考えられる。3店方式というのもいわば抜け道を考えたもの。その抜け道を閉ざされると、パチンコの仕組みが成り立たなくなるのである。
 パチンコ税の導入とともに、パチンコが産業として継続できる保証を得る、ということもありうる。パチンコ税はかなり現実味を帯びてきた。ギャンブルに対する厳しい社会の目もある。消費税の引き上げを延ばす代りに、パチンコ税の導入というのもありうる選択肢となった。


cdim at 09:42コメント(1)トラックバック(0) 

2016年05月18日

 舛添要一東京都知事への批判記事、批判報道が止まらない。次々と新たな嫌疑がかけられている状態で、舛添知事の擁護の声はほとんど聞かれない。2年前の都知事選で圧勝した時の雰囲気は一変している。議員や職員からもあまり好かれていなかったようで、バッシングが続く。法的な問題としては額が小さく、モラル的にはもだにがあっても、果たして辞任にまで進むのかどうかは不明である。
 5月13日の記者会見で説明があった疑惑の他に新たな疑惑が次々と報道されている。ヤフオクで美術品やラルフローレンの紺色ブレザーとスカートを政治資金から購入した疑惑も浮上している。週刊文春webでは、「新党改革から約400万円の政党交付金を“ネコババ”」した疑惑を報じている。前妻の片山さつき議員は、結婚時のDVや愛人発覚などを語っている。舛添バッシングのネタが次々とでている。
 今後の展開はこうした新たな報道がどれだけ出るかにかかっているといえる。基本的にポスト舛添知事の適当な人がいないということが問題になる。任期満了での選挙なら対抗馬の準備もできますが、いきなりとなると選択肢が小さくなる。前回も猪瀬知事の辞任による選挙であり、舛添氏の擁立も慌てて行った経緯がある。猪瀬知事、舛添知事に不祥事があり、次の知事にもまた問題があるとなるとさすがにオリンピック前にはダメージが大きい。次の知事はオリンピックまでは問題が起こらない人になってもらう必要がある。適任者がはっきりしない状態での辞任はできるなら避けたいところだ。
 今後は決定的な疑惑が証明されるか、議会の対応が注目される。都議会は100条委員会の設置、辞職勧告決議、問責決議、不信任決議などを行うことができる。ただこの中で、実行力があるのは不信任決議だけ。知事に対する厳しい態度の表明として、百条委員会の設置や辞職勧告決議等がされる可能性がある。しかしこの場合は舛添知事が居座ると決めるならそのまま居座ることができる。不信任決議が可決されると、辞任か議会の解散のどちらかを選択しなければならない。さすがに、自らの問題で議会の解散はできないだろうから、辞任せざるを得ないだろう。その上でもう一度立候補するか、しないかは、選択できるが、今の状況をみれば、もう一度立候補しても当選するのは困難である。こうした可決には都議会の最大会派である自民党会派の賛成が必要となる。つまり適当な次の候補者が見つからない限り、舛添知事を批判するパフォーマンスはあっても不信任決議まではいかないと考えるのが妥当である。
 このままの状態であれば、今から伊勢志摩サミットがあり、それから参議院選挙になるので、マスコミの話題は舛添知事ネタから離れてくる。決定的な新たな嫌疑がでなければ、逃げ切りということになるだろう。20日に予定されている舛添知事の会見で、知事が真摯に謝罪するということになれば、そのままうやむやのうちに続投ということになる可能性が高い。
 ポイントは次の知事の有力候補者の問題である。今の状況からすれば自民党が中心となっての候補者選びになるであろうが、オリンピックを控えた知事選になるのだから、他の政党も納得できる人材であることが望まれる。
 現在、ポスト舛添として挙がっているのは、橋下徹氏、東国原英夫氏、小池百合子氏、石原伸晃氏、下村博文氏などである。小泉進次郎氏や橋本聖子氏なども名前があがる。さすがに片山さつき氏は舛添氏との関係からあまりに微妙で、ありえないだろう。下村氏は元文科省大臣であり、オリンピックに関しても座りがいいのだが、大臣を辞任した経緯もあり、もう少し時間をおきたいところ。橋下氏は当選する可能性が高いものの、「荒れる都議会」を引き起こしかねない。自民党が橋下氏でまとまるのも難しそう。小泉進次郎氏という選択肢は本人がやる気があるかどうか。本人が手を挙げたら一気に最有力候補になるだろう。
 まずは20日の舛添氏の記者会見が重要である。巷で噂される6月1日辞任、7月10日参議院同時選挙となれば、新知事がリオオリンピックに行くことになる。その場合、新知事候補は誰になるのか。かなりのドタバタ劇になりそうである。


cdim at 18:35コメント(1)トラックバック(0) 
 イギリスには大英帝国の時の輝きはない。しかし、それでもイギリスは金融の世界の中心として君臨し、金融資本主義のもとで、かなりの繁栄を再度作り上げてきた。金融資本主義のもとでは貧富の差が増大し、貧困層の問題はあるものの、全体としては経済的にも政治的にも世界の中で一定の影響力を持つ状況を維持することができた。
 金融以外の産業はかなり厳しい。かつては産業革命の中心であり、世界の工場とまで称せられた。しかし、徐々に製造業は衰退し、アメリカ、ドイツ、日本、そして最近では中国、韓国などにとってかわられた。今では製造業はダイソンなどの一部の企業や軍事産業以外は見る影もない状況である。
 しかしそれでもやってこれたのは、英語という国際語を国語として持ち、エリート教育のもとに優秀なリーダーを持ち、国際外交の中心の一つであったことなどが大きい。それとともに最も重要だったのは金融業である。製造業で稼ぐよりもその製造業に投資をして稼ぐほうが率がいい社会になった。お金を集める仕組みを作り、その金を投資したり、「活用」することによって稼いでいくパターンが確立されてきた。情報産業との連携で新時代の産業構造を作ることができたのである。
 そのイギリスが大きな転機を迎えている。危機といってもいい。
 まず第一にEUの離脱問題である。移民・難民問題によってヨーロッパは揺れいている。イギリスでも「ヒト」の流れをコントロールするためにもEU離脱が現実的に議論されるようになった。しかし、もし本当にイギリスがEU離脱をすることになったら、経済的な打撃はかなり大きいとみられる。特に金融業界においては少なからずの打撃がある。パナマ文書問題が出てこないうちはイギリスは単独でもやっていけると予想されたのだろう。しかし、今、パナマ文書問題が明らかになり、イギリス王室領が持つタックスヘイブンのあり方が大きく変わるなら、打撃は大きい。
 イギリスには多くのタックスヘイブンがある。現在問題となっているカリブ海のケイマンなどの世界の英国領の島嶼国がタックスヘイブンとして活動をしている。王室属領であるジャージー、ガーンジー、英領バージン、マン島などよく知られたタックスヘイブンがあり、世界からお金が集まってくる仕組みができている。イギリスは第二次世界大戦以降、急速に衰退していく。スペインの後に「太陽の沈まない国」の称号を得た大英帝国は、次々と領土を失っていく。しかし、さすがに大英帝国。覇権を失った島嶼国をシティーのオフショア金融と結びつけることで地下経済を作り上げ、巨額の資金を集めたのである。資金があれば、それを活用することによってさらに大きなお金を得ることが出来るのが資本主義社会だ。
 さらにイギリスはシンガポール、キプロス、バヌアツなどのイギリス連邦加盟国や香港などの旧植民地などとタックスヘイブンの連携を図り、巨大な金融システムを構築した。
 中国を中心とするアジア・インフラ投資銀行にヨーロッパとして最初に参画の名乗りをあげたのはイギリス。イギリスはアメリカと同盟というイメージで、意外に受け止められた。そこで重要だったのは香港とタックスヘイブンの連携であった。イギリス=香港=中国を結びつける金融システムが必要であった。パナマ文書問題で中国の企業や人の名が多く出てくるのもこの連携を示すものと言える。
 このタックスヘイブンがこれまでのようには使えなくなる可能性が高い。イギリスに集まってきていたお金が世界に分散する可能性が高く、イギリスの優位性が失われてくるだろう。これとEU離脱とが一緒になったら、イギリスは世界のイギリスの立場を失うだろう。ヨーロッパを捨てても、香港=中国=タックスヘイブンの連携を模索していたイギリスの戦略は大きく見直しを迫られている。一歩間違えれば、イギリスは大変な不況に入り込むと予想される。


cdim at 14:59コメント(0)トラックバック(0) 
 社民党が民進党に合流するかどうかが話題になっていました。吉田忠智党首が党会合で合流について選択肢として議題にし、また民進党の岡田代表に打診をしたことから具体的な話として捉えられました。しかし、民進党との参議院選前の合流は、社民党は断念するようです。民進党の岡田代表も参議院選挙までの合流には時間がなさすぎるということで、難色を示していました。
 一つには政策の違いが指摘されています。社民党は、かなり明確に消費税反対、安保法制反対、原発反対んどといって姿勢を明らかにしています。民進党は、党内でかなり意見は分かれており、こうした問題には是々非々の姿勢で臨むという状態です。ただ、今の民進党と社民党とでは政策の合意を目指すというにはあまりに体力差があります。基本的に社民党が民進党に吸収されるかどうかの話。社民党にはとやかく言えるほどの勢力は残っていません。そのある意味、完全吸収合併が嫌だということでしょう。このままでは、社民党が消滅するのは時間の問題になりました。
 社民党は政党要件をもう3年間は満たすことができます。一般には国会議員の5人が必要ですから、この参議院選挙で2人の参議院議員の議席を守ることができなければ、政党要件を失いそうなものですが、次のきてきもあります。

所属国会議員が1人以上、かつ、次のいずれかの選挙における全国を通じた得票率が2%以上のもの

○ 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙又は比例代表選挙)

○ 前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)

○ 前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)


 社民党は3年前の参議院通常選挙で比例区で2%を超える得票率を得ていますから、国会議員が1名以上いるなら、少なくとももう3年間は政党要件を満たします。また今回の参議院選挙では改選組が吉田忠智党首に福島瑞穂副党首。斜陽の社民党ですがなんとか比例で2%以上の得票が可能かというところです。そうであれば、またさらに3年、つまり6年間、政党要件を満たすことになります。2〜3名になろうとも政党要件を満たし、政党交付金を受けながらほそぼそと政治活動を続けることができます。ただ今回の参議院選挙で2%以上をとるのはぎりぎりのところといえます。党勢が落ち続けていますから、ひょっとしたら2%を切ることも想定内です。
 たとえもう6年の間なんとか政党要件を満たし続けたとしても、この状態が意味があるのかどうかは、考える必要があります。
 支持層が完全に高齢化しています。発言力も低下しています。本当に自分たちの主張を政治に生かしたいのなら別の方向の方がはるかによさそうです。機会を逸した今となっては小さくても続けれるところまで続け、消滅しても致し方ない、という発想なのかもしれません。
 今回の成り行きをみると、微妙な内部の争いがあるように思われます。改選となるのは参院比例区選出の吉田氏と福島瑞穂副党首。2013年参院選では、獲得議席が1議席にとどまっていましたから、2議席を獲得し、両者ともに再選の可能性はほとんどありません。 となるとおそらく1議席。全前回の結果を見ても、当選するのは福島議員となりそうです。このままいけば吉田議員は落選の可能性が高いのです。
 民進党ととの合流となれば、民進党は比例区に二人を入れる可能性は低いでしょう。それでなくても競争があるところに知名度のある二人、特に福島議員を入れ込むのは他の民進党の比例候補者の承諾を得れません。おそらく福島議員には選挙区での出馬要請となるでしょう。選挙区での当選は簡単にはいきません。
 つまり、今回の民進党への合流の可否をめぐっては、かなり現実的に吉田党首と福島副党首の今後の議席の可能性についての争いもあったと考えられます。
 今となってはどのようにしても社民党の再生は考えにくい状況です。最後まで力はてるまで行けるところまで行く、というのも確かに社民党らしいかもしれません。私としては、自分たちの主張をどれだけ本当に政治の中に生かすことができるか、を視点にして行動してもらいたかったとは思います。
 小選挙区制を作って、二大政党化を促進した選挙制度の問題があります。それには私は大反対ですが、作ってしまったものはしょうがない。簡単には変えることができません。当分は、自民党+公明党が絶対的多数でそれに対抗する野党民進党、それより小さいけど主張が明確な共産党という図式が続くのでしょう。あれ、これって、戦後長く続いた与党自民党と野党社会党の関係とほぼ同じですね。もっと現実的で実践的な野党は出てこないのでしょうか。

cdim at 12:24コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年05月14日

 ブラジルでルセフ大統領の弾劾裁判開始が決定し、ルセフ氏の大統領職務が停止しました。テメル副大統領が暫定大統領となり、暫定政権が結成されました。リオ・オリンピックの時には正規の大統領が不在となることがほぼ確定し、不安と思う人もいます。
 しかし、ルセフ大統領の国民の支持は低迷しており、ブラジルの不況もあり、国民の不満は爆発寸前でした。株価もずっと落ちる傾向にありました。しかし、ルセフ大統領の大統領職務が停止し、新たな体制となることに対して、少なくとも今の段階では金融市場も好感で受け止めています。国民もとりあえずは様子見というところです。
 テメル暫定大統領も問題を理解していて、財政健全化と景気の回復を最優先課題としています。ブラジルのインフラ整備はまだまだ不十分で、景気の低迷が続くと、社会システムが根底から崩れていきます。資源の価格が高騰し、ブラジルはかつてないほどの好景気に恵まれました。そこにワールドカップとオリンピックが一気にやってきたのですから、ブラジルは未来の国としてもてはやされました。海外からの資本も流入され、一気に先進国への仲間入りを目論みました。しかし、資源の価格が暴落し始め、中国経済が停滞するとブラジルの経済は一気に急下降を辿ります。3〜4年前までの好景気が嘘のように厳しい状況が続いています。
 国民の不満も爆発寸前であり、ワールドカップの前には大規模の反政府デモが起こりました。私は状況はワールドカップの時よりもはるかに悪化していることから、オリンピック前には反政府デモで社会的混乱が起きるのではないかと案じていました。
 しかしとりあえず、ルセフ大統領の職務停止と新たな暫定大統領が誕生したことで、淡い期待感があります。経済が立ち直らないことにはすべてがうまくいきません。金融市場の期待感がどこまで持つか。オリンピックまで82日ですから、なんとか期待感は持つのではないかと予想されます。
 しかし、このシナリオにも二つのリスクがあります。
 まず、ルセフ大統領側が静かに弾劾裁判を見守るだけかということです。上院の弾劾裁判開始を決める投票では、55名が賛成、22名が反対でした。弾劾裁判で大統領罷免に必要な票数は54。非常に高い確率で大統領は罷免されるのです。この状態を指をくわえて見守るだけとは考えられません。反テメル集会を組織したり、てメル氏の問題を明らかにしたりする可能性があります。
 第二のリスクは、まさにテメル暫定大統領の問題です。国営石油公社ペトロブラスを巡る違法献金事件に関して、テメル氏にも捜査が及ぶ可能性があります。テメル氏も同じ穴の貉。嫌疑が及ぶと新たな問題となります。2014年の大統領選ではルセフ氏とテメル氏の陣営が違法献金を選挙資金に流用した疑いが浮上しています。ブラジルの政財界による不正が、次々と明らかにされる中で、テメル氏が疑惑に耐えることができるか、がポイントになります。さすがに、オリンピック前まではテメル暫定大統領の決定的な不正が明らかになることはないのではないかとは思います。そうなったら、ブラジルは混乱に陥ります。
 ただその混乱の可能性があることは確かです。政財界の主だったところが絡んでいます。様々な陣営が情報のリークを行う可能性もあります。そちらの争いの方がオリンピックよりもプライオリティが置かれることになるでしょう。ここまでくるとオリンピック延期はないでしょうが、混乱の中でのオリンピックの可能性はあります。

cdim at 17:05コメント(0)トラックバック(0) 

2016年05月13日

 舛添要一東京都知事は現在、様々な案件で厳しい立場に置かれています。ファーストクラスの使用やスイートルームの宿泊などでの高額な海外出張費、湯河原町の別荘への公用車による週末通い、会議費として家族旅行の疑惑など、次々と問題が噴出しています。
  5月12日にはBSフジプライムニュースでインタビューを受け、13日には合同記者会見を行いました。プライムニュースでのインタビューでは「精査する」「調査する」の多発で、相当に批判をよびました。13日の記者会見での発表や質問に対する答えもかなり問題がありそうです。これで収まるというよりも、むしろ問題化する可能性もあります。ただ、舛添氏が問題としている部分については政治資金収支報告書を修正して、返金するということですから、法的にさらに問題が深まることはないかもしれません。微妙な状態です。
 合同会見の時に出たポイントをまとめてみましょう。
1.家族が泊まっている部屋での「会議」で会議費として計上
 千葉県木更津市のホテルの宿泊代を会議費としていた計上していたのですが、やはりその部屋は家族も一緒に泊まっている部屋です。たとえ1〜2時間会議をしてもその費用すべてが政治活動費だというのは明らかに無理があります。高額な部屋代ですからおそらく食事もついていたのでしょう。家族が宿泊し、食事をしたのですから、たとえその部屋を部分的に会議に使用したとしても「会議費」とするのは厳しいです。舛添知事は重要な会議をしたのだから政治活動費とするのは当然と思うが、誤解を招くのですべて返金すると主張しています。しかし前提の認識はあまりに無理があります。「差し迫っているのでその時しか時間がなかった」と繰り返し主張されますが、そこは問題ありません。問題なのは家族の宿泊の費用を会議費として計上したことです。感覚がズレていることをはっきりさせたことになります。
2.何人の会議か、誰との会議か、全く情報がない
 「精査」という割には、結局はスタッフの記憶を辿ったというだけです。木更津市のホテルの部屋での会議は何人で行ったのかさえ明らかにされません。なんの証拠もない状態です。レストランなどでも全く情報がありません。これでは「精査」もなにも関係ないもの。なんの証拠もないものをただ単に信じろ、という主張になります。せめて領収書かレシートのコピーは提出する必要があります。また会議をしたという証拠になるような秘書の日程表とか、参加者の日程表とかも必要でしょう。何一つ証明するものがないままに、「精査」によりこの結果になったと主張されても説得力はありません。舛添知事と事務所を信じるしかないのです。
3.家族との食事にも秘書がついているのか?
 舛添知事の説明で分かりにくかったのが、二つの箱のたとえです。秘書に20〜30万円を渡していて、そこから支払っていたので、公私混同のミスが起きた、ということでした。この20〜30万円は個人のお金なのか、政治資金からのお金なのか?お金の流れはどのようになっていたのかがよく分りません。家族だけでの食事の時も秘書はスタンバイしていて支払いをするのでしょうか。極めてわかりづらい仕組み、そして説明です。
4.回転寿司店で政治活動の打ち合わせ?
 回転寿司店での政治的会議は極めて想像しにくいものです。回る寿司をとりつつ話すのはあまり一般的とは思えません。回転寿司店では隣りにも人がいます。あれだけ高級ホテルのスイートルームでなければミーティングができないというくらいプライバシーを気にする人です。回転寿司店で政治活動というのも信じがたいところです。
 今回の記者会見で説明はしたものの、中途半端な説明、謝罪にとどまったので、舛添知事バッシングが収まることはないでしょう。おそらくこ舛添知事への反発はさらに強まることになるでしょう。しかし、知事の進退に関わるほどの決定的なものとはいえません。問題は、週刊文春などのマスコミが次の疑惑を報じるかどうか、になるでしょう。
 リオオリンピックではルセフ大統領が不在で、暫定大統領のもとでの開催になりそうです。リオオリンピックを引き継ぐ東京都の知事が代理となる可能性さえあります。折しも、東京オリンピック招致において、不正送金疑惑も湧き上がりました。注視が必要です。

cdim at 13:04コメント(0)トラックバック(0) 

2016年05月12日

 社民党が7月の参院選前の解党と民進党への合流を検討していることが日本経済新聞などで報じられています。吉田忠智党首が5月12日午前の常任幹事会で提案したものです。民進党の岡田克也代表に合流を打診していますから、相当に具体的になっています。
 いうまでもなく、社民党は日本社会党の流れを組む政党で、野党の中心になるといわれた政党です。歴代党首には首相にもなった村山富市氏や衆議院議長になった土井たか子氏らの名があり、それなりの存在感がありました。一時は、土井たか子氏、福島瑞穂氏、辻元清美氏ら活動的な女性を中心としたイメージのある政党として影響力がありました。しかし、徐々に議員数は減っていき、辻元氏らは民主党に移籍していきました。選挙ごとに議員数を減らし、政党としての体をなさないくらいにまでなりました。
 現在の国会議員はわずかに5名。衆議院議員は、沖縄2区の照屋寛徳氏と比例九州の吉川元の2人です。参議院議員は、今年改選の福島瑞穂氏と吉田忠智氏、2019年改選の又市征治氏の3人です。参議院議員はすべて比例の当選です。
 まずはこの夏の参議院選挙で、福島瑞穂氏と吉田忠智氏の二人が改選選挙です。吉田氏が党首で、福島氏が副党首です。どちらも落選するわけには行かない状況ですが、今の社民党で2議席の確保はほぼ無理です。なんとか1議席を確保できるかどうかというのが今の党勢。社民党の支持者が非常に高齢化していて、毎年、勢力が落ちています。選挙でも民主党の事務所では高齢の男性が数人活動しているという感じです。護憲や原発反対なら、もう少し若い世代を惹きつけることができそうですが、若い活動家はほとんどいません。知名度から福島氏だけが当選するというのが一般的な予想ですが、一議席も取れないという可能性さえある状態です。党首の落選だけでもダメージですが、党首と副党首の落選となると、政党の存続ができるかどうかの事態になります。
 衆議院選挙もあるかもしれません。しかし現有の2議席が確保できる保証はありません。3年後の参議院選挙では又市氏が改選ですが、現在、71歳。選挙時には74歳になります。出馬するかどうかも微妙な年齢になります。
 このように考えると、すでに社民党は終末を迎えつつあるといっていいでしょう。民進党への合流は生き残るための最後の手といえます。
 どうしてもっと早い段階、つまり党勢がある時に合流しなかったのか、と思っています。衆議院の小選挙区制のもとでは、小党は不利ということは分かったこと。せめて20〜30名の議席があるときに民主党に合流していたらそれなりの存在感を示すことができたでしょう。政治は現実を変えなければなりません。民主党の中でリベラル派と一緒に一勢力を持っていたら、影響力はあったでしょう。おそらく様々な人間関係や「意地」もあったのでしょうが、結局それが、力を失わせることになりました。
 民主党の岡田代表は野党の連携を主張していますから、おそらく社民党が合流を希望するなら受け入れることになるのでしょう。福島氏には知名度を活かして、候補者がまだ不在の選挙区で立候補して欲しいところでしょう。
 それにしても遅すぎた決断と言えます。



cdim at 18:21コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 
 パチンコの歴史はかなりあり、1930年に最初の店舗ができたといいます。第二次世界大戦の前後で空白があるものの、80年を超える歴史があるのです。ギャンブルであり、ギャンブルでないという特殊な形態を維持してここまでの一大産業となったのですから、すごいと言えます。戦後、パチンコ業界は順調に成長してきましたが、最近、逆風が吹いています。
  パチンコ依存症の問題が顕在化しています。パチンコにより人生が狂わされた人はたくさんいます。幼児の車内放置の問題もありました。最気には不正改造も問題視されています。業界に対する締め付けはさらに強まると考えられます。そもそも「3店方式」という分かったような分からないような独特の仕組みでギャンブルでない、と言い張ってきたのに無理があります。厳しくルールを適応すれば、パチンコはシステムの根底から問題になりうるのです。特別課税の可能性もあります。パチンコ業界から北朝鮮への送金の問題もありましたから、さらに厳しくなるでしょう。
 これとは別に若者のパチンコ離れがあります。こちらも大きな打撃です。いくつかの要因があります。
 まず、スマホやインターネットのゲームの普及です。ほとんどお金がかからないで時間をつぶす方法が一般化したのです。SNSなどの普及もあります。一日中、スマホで過ごすという若者もいるようになっています。次々と新しいゲームも出ますので、ハマってしまえばパチンコをする暇がなくなります。なによりも、パチンコのようにお金もかかりません。
 若年層が自由に使えるお金が少なくなっていることもポイントの一つです。学生も以前よりも生活は厳しくなっています。パチンコで数千円を使うよりも、もっと現実的な食事などに使わなければなりません。若い時にパチンコを覚えて、ずっと一生、パチンコと付き合うというスタイルがなくなっています。
 大学は以前よりも講義の出席も厳しく、昔のように講義をサボってパチンコに耽けるという学生は少なくなりました。
 今の若者は生まれてきてずっと日本が不景気な時期にいます。1990年にバブル経済が弾けてから、日本経済はずっと停滞したまま。今の若者はかなり現実的、保守的で賭け事をあまりやらないのです。挑戦するより、じっと地道な生活を続ける、というスタイルになっています。バブル時期のフィーバー文化はありません。パチンコで一攫千金ではなく、3000円でスマホの1ヶ月分を支払って、後は無料ソフトやSNSで楽しむ、というスタイルを好むのです。
 パチンコ人口はどんどんと減っています。パチンコ店は一人あたりの収益を伸ばそうとして、不正に大当たりの確率を高め、小当たりの確率を低めました。依存性になりやすい形にしたのです。実際に、パチンコ人口は減っても、一人あたりの消費額(遊技料)はかなり上がっています。これがさらにパチンコの問題を深刻化させることになっています。
 今の客層はますます高齢化しています。そこそこ裕福な高齢者がお金をつぎ込みましたが、だんだんとそうした層は少なくなっています。その高齢者もインターネットやスマホで時間を潰すようになっています。ビジネスは確実に縮小のスパイラルにあります。
 パチンコ人口が減ると、パチンコは悪、というイメージがつきやすくなります。喫煙者が減ると喫煙は悪、というイメージが強くなるのとよく似ています。広告も規制されるようになりました。広告が少なくなれば、マスコミは一気に反対キャンペーンをやります。今は、広告料を確保するためにパチンコの批判はマスコミではほとんどありませんが、潮目が変わるのはもうすぐと考えられます。パチンコは完全に斜陽の産業となっています。いかに遊技性を高め、ギャンブル性を抑えながら新たな客層をつかむことができるのか。今のままだと、数年で「パチンコ不要論」が強く叫ばれ、法的なルール変更もありえるでしょう。パチンコ業界はこのまま廃れていくのか、新たな道を見出すことができるのか。はっきりしていることは今の道の延長には未来はないということです。
  

cdim at 15:18コメント(0)トラックバック(0) 

2016年05月11日

 アメリカ大統領選の予備選挙では、民主党はヒラリー・クリントン氏、共和党はドナルド・トランプ氏でほぼ決まりました。ヒラリー・クリントン氏はこのステージになってもサンダース氏に負けることも多く、勢いはありません。しかし、トランプ氏を嫌がる人も多く、クリントン対トランプとなったら、クリントン氏が勝利し、史上初の女性アメリカ大統領が誕生すると見られています。共和党の主流は嫌々ながらトランプ氏に乗ろうかどうかとまだ迷っている状態。一丸となって大統領選を戦うということはないでしょう。宗教的保守やいわゆる資本家グループがトランプ氏の支持にに躊躇する状況では勝ち目は薄いと言わざるを得ません。アメリカの中南米や中東などからの移民の割合は大きくなっており、彼らの多くは民主党を支持しています。クリントン氏対トランプ氏となるとクリントン氏がかなり有利な戦いになるとみるのが普通です。クリントン氏はあまり人気がないので、共和党からまともな候補者が出てきていたら厳しい選挙となったでしょうが、トランプ氏が相手であれば、勝つ可能性が高いのです。
 しかし、クリントン氏にはアキレス腱があります。いわゆるメール問題です。国務長官在任中の公務に私的な電子メールアカウントを使っていた問題で、クリントン前国務長官の側近が、連邦捜査局(FBI)の事情聴取を受けたことが報道されています。クリントン氏も「向こう数週間」で事情聴取を受けるようです。
 まだメール問題は終わっていないのですね。「HUFFPOST POLITICS」(2016年1月29日付)では、政府はヒラリー・クリントンのeメールの中に最高機密情報を発見していることが報じられています。どのような内容か、クリントン氏自らが送ったのかどうかは分かりせん。しかし、かなり深刻な嫌疑がかけられている可能性があります。アメリカ大統領選挙の予備選の最中に、有力大統領候補者を事情聴取しようというのですからかなりの問題があると考えるのが当然でしょう。
 ポイントはどのレベルの機密情報がクリントン氏の個人サーバーにあったのか、それが盗まれたりして実害があったのか、クリントン氏はその重要性を理解していたのか、などです。かなり長い調査が行われており、いまだに終わっていないのですから、いきなり問題が顕在化する可能性があります。はたしてクリントン氏は大統領候補として耐えれるのかどうか。

 法的な大きな問題にならなくても、かなりのダメージを受ける可能性はあります。クリントン氏はサンダース氏にも圧勝しているわけではありません。むしろ勢いはサンダース氏にあると思われるくらいです。もし早い段階でメール問題が顕在化すると、民主党の候補者としてまさかのサンダース氏指名ということもありえます。メール問題がどれくらい深刻なのかは、今のところFBIなどが把握しているだけでしょう。クリントン氏はリスクを抱えたまま大統領選に向かわなければならないのです。
 クリントン氏対トランプ氏となった場合にも、このアキレス腱によってトランプ氏に有利になる可能性があります。 今回の大統領選挙は「想定外」の展開ばかりです。
 もちろんトランプ氏をなんとか止めようという人も多いのですから、トランプ氏にも「場外からのダメージ」がくる可能性があります。トランプ氏の暴言はこれまではむしろ面白いとプラスに取られるところもありましたが、アメリカ社会では差別発言として厳しく追及されるようなものも入っています。普通なら命取りになる発言もあります。大統領の有力候補になったのですから、過去もすべて洗われる可能性があります。致命的な問題がでてきてもおかしくはありません。有力大統領候補はこれまでは、国会議員や知事などベテランの政治家で、いわゆる「身体検査」は相当に行われた人です。しかしトランプ氏は民間からの候補者です。今から細かく「身体検査」が行われるのです。
 本当に何が起こるかわからない大統領選挙になりました。 

cdim at 19:17コメント(1)トラックバック(0) 
 1か月前までは7月10日の衆参同時選挙は既定の予定のように話されていましたが、状況が一変しました。熊本地震です。参議院選挙を単独で行うのと衆参同時選挙となるのでは負担が大きく異なります。衆議院議員の任期は4年ですからまだまだ時間はあります。それをあえて解散して総選挙とするにはタイミングが悪いと考えられます。熊本、大分など九州ではまだ余震が続いています。震度1以上の地震の回数は1300回を超えました。まだ余震の数は増えています。6月になれば梅雨に入り、緩んだ地盤などが崩れる危険性も増えます。なによりも多くの家がダメージを受けていますから、避難所で過ごさなければならない人も数多くいます。熊本や大分の自治体では復旧や避難者の救援に力を注ぐのは当然のことであり、選挙の作業はできるだけ減らしたいのです。投票場となるはずの公民館や体育館などには避難者がいますから、それをどうするかということも考えなければなりません。選挙費用もかかります。できるだけそうしたお金は救済に回すべきだという暗黙の了解もあります。
 このように考えると、6月1日に衆議院を解散して7月10日に衆参同時選挙とするのは「ほとんどありえない」と考えるのが普通です。実際に、熊本地震が起きるまでは、衆議院議員も選挙モードに入りつつありました。民主党と維新の党の合流による民進党の結成も、衆参同時選挙を想定してのこと。参議院選挙だけなら時期をずらすこともありえたでしょう。熊本地震が起きてからは衆参同時選挙の話がほとんどなくなりました。参議院選挙だけが話題になっています。
 自民党と連立を組む公明党も熊本地震の直前には衆参同時選挙を容認するような発言がありましたが、今ではそれも聞こえてきません。公明党の場合には選挙態勢を組むということがありますから、選挙の日程はあらかじめ想定しておく必要があります。4月がぎりぎりだったのですが、今はもう5月。今から衆参同時選挙というのは容認できないと思えます。 
 しかし、このような状態だからこそ、「寝たふり解散総選挙」の可能性が囁かれています。民進党はまだ参議院選挙でさえ候補者の擁立がしっかりと出来ていない状態です。衆議院選挙に対しては候補者のいない選挙区もかなりあります。他方、自民党は前の選挙で大勝ちしていますから、小選挙区のほとんどに現役議員がいます。小選挙区の勝ち組、比例の復活組、それに公明党に譲る選挙区とするとほとんどの選挙区で候補者がいる状態です。「寝たふり解散総選挙」となると完全に与党が有利な展開になります。有力候補者は自民党候補者だけという選挙区もかなり出るでしょう。
 伊勢志摩サミットが5月末に開かれ、オバマ大統領はその直後に安倍首相とともに広島に行きます。メディアは安倍首相や自民党幹部ばかりを報道することになります。安倍首相の改憲や安保法制などのイメージもオバマ大統領と一緒に広島に行くことで和らぎます。熊本地震のことを考えなければ同時選挙の絶好の機会ともなったのです。
 私は衆参同時選挙はまずないと思っています。とはいうものの安倍政権にとっては絶好のチャンスであることは確かです。5月末までに余震がかなり止まることと交通網やライフラインがとりあえず復旧するということになれば、「災害に強い社会づくり」「強い経済」などのスローガンを掲げていきなりの衆参同時選挙という確率も0ではありません。安倍首相も衆議院解散は考えていないとはいうもののやらないとは言っていません。微妙な言葉使いです。自民党の内部では衆参同時選挙に備えるようにという指示があるようです。一般論としていつでも対応できるように、ということなのか、かなり現実的に同時選挙があるということなのか、分りません。 
 今でも衆議院は自民党は絶対的多数です。自民党、公明党、おおさか維新の会、保守系無所属、野党議員の中で憲法改正支持者などを足すと、今の状況でも衆議院は3分の2をクリアします。参議院選挙に集中して、改憲派を3分の2以上獲得するという戦略を取る可能性の方が高いと思っています。
 個人的には選挙の前にしっかりとした議論があって、国民も論点を考える時間があるのが重要だと思っています。ですから「寝たふり解散」には強く反対です。そもそも解散総選挙はしないほうがいい、つまり任期いっぱいまで議員活動をするのがいいと思っています。
 しかし、こうした論点とはまったく別次元で政治は動きます。衆参同時選挙は限りなくない、と思いながらも、0%とはいえない状況です。 

cdim at 15:53コメント(0)トラックバック(0) 
 舛添要一東京都知事に関する追及記事が止まりません。海外出張でのファーストクラスの使用、一流ホテルのスイートルームの宿泊、公用車でほぼ毎週のように神奈川県湯河原町の別荘に通っていたことなどが明らかになり、相当なバッシングを受けている状態です。
 さらに文春が政治資金によって家族旅行をしていたことを報道しました。週刊文春によると、舛添氏の政治団体の一つである「グローバルネットワーク研究会」の収支報告書の精査から、「舛添氏は201313日に、千葉県木更津市のホテル『龍宮城スパホテル三日月』における『会議費用』として、237,755円を計上している。翌年も12日にやはり『会議費用』として、133,345円を計上、その金額は、あわせて371,100円となっている。 」というのです。実際に会議を開催した形跡はなく、家族での宿泊であったといいます。
 高額な海外出張費や湯河原町の別荘への公用車での通いは、基本的にはモラル的な問題でした。庶民感覚とかけ離れているというのが中心的なポイントでしたが、今回の問題は、モラル的にも問題ですが、政治資金規正法違反の可能性があるもので、法的な問題にもなりえます。額は大きいとは言えませんが、法的問題となるとこれまで以上のダメージがある可能性があります。
 額は小さいと言いながらも、個人的な感覚としてはかなり大きいものです。「千葉県木更津市のホテル『龍宮城スパホテル三日月』における『会議費用』として、237,755円」とありますが、これは一家族一泊の値段です。家族旅行としての宿泊であれば相当に贅沢なものです。こうした高級ホテルでは特別な価格ではありませんが、一般の人はなかなか泊まれるものではありません。翌年の133,345円も安いとはいえません。もちろんご自身のお金ということであればとやかく言う筋合いのものではありませんが、政治資金からの支出となれば問題となります。
 文春はホテルサイドの話として会議は行われていないとしていますが、実際にどこかの部屋で行われていたかどうかがポイントになります。全く行われていなかったとすると、やはり問題化する可能性が高いでしょう。記載ミスというのも2年続けてとなると説得力に欠けます。一般的には意図的な不正と捉えられても仕方ありません。舛添知事は定例記者会見で説明すると言っていますからその説明を聞くことが重要です。これまでの舛添知事の対応をみていると、これが根も葉もないことであれば即座に否定していたでしょうから、問題としては深刻であると推察されます。
 報道された一連の舛添氏の問題は、確かに東京都の財政規模からするとかなり小さいものではあります。人によっては、東京都の仕事をしっかりとやってくれるならこうした小さな問題は不問にしてもいい、と主張しています。しかし、私が気になったのはその後の対応にもありました。高額な海外出張や公用車での神奈川県湯河原町の別荘通いなどの問題が明らかになったとき、「全く問題ない」「東京都知事の格の問題」などといった弁明を繰り返し、最初は謝罪もそうしたことを辞めることも言っていませんでした。一流ホテルのスイートルームに泊まらなかければ知事としての仕事に差し支えるという主張は説得力を持っていません。逆にこういう感覚のせいじかなのだという印象を強めてしまいました。
 今回の「会議/家族旅行」にいたっては、知事の仕事につなげて弁明するのは極めて厳しいでしょう。家族あっての知事の仕事とも言えなくはないですが、一般的には通用しません。
 まだ知事選には2年近くありますから、モラル的な問題に関しては逃げ切れば次の選挙の時までには騒動は鎮静しているでしょう。ただ、今回の件で法律違反となると簡単にクリアできない可能性もあります。それとともに今問われているのは都知事、政治家としての資質の問題です。高額な海外出張費に関してはこれまでにも何度か問題視されてきました。その声を無視して現在があります。相当に強いバッシングは続くことと予想されます。
 このように不祥事の暴露が続くと、次があるかどうかが問題となります。舛添知事を引きずり降ろそうという何らかの意志・力が働いているのかもしれません。こうなるとまた1〜2週間後に次の暴露があるのかもしれません。
 舛添知事が先手を打って、謝罪とともに半年位の報酬の50%減などといった自己処罰を科すことができるかどうか。舛添氏の性格的な問題については前妻の片山さつき氏などもかなりの問題があったことを発言しています。政治家の資質は、政策の実施能力だけではありません。住民の立場に立った感覚と住民からの信頼も重要な資質です。東大から国会議員、大臣、東京都知事というエリート的な経歴が逆にマイナスの評価になることもありえるのです。次の暴露記事があれば、本当に政治生命に関わることになる可能性がでてきます。 

cdim at 09:39コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年05月10日

 ブラジルは今、政治的な混乱の中にいます。ただ、おおよその方向性が定まったので、皆、「変化」を待っているという感じになっています。ブラジルの国家会計を粉飾した疑いでルセフ大統領が弾劾裁判を受けるかどうかを決める議案が論議されています。すでに下院で採決され、11日頃に上院本会議で過半数の賛成があれば、弾劾裁判は開始されます。上院の議席数は81で、すでに賛成議員は40を超えているとみられていて、賛成多数による承認は間違いない状況です。
 ただ、政治権力争いは激しく行われていて、不確定要素があります。下院の議長代行のマラニャン氏が先月に行われた下院の採決は手続きに不備があり、「無効だ」と発表しました。突然の発表です。マラニャン氏は4月の投票では党議拘束に縛られて自由に投票できない議員がいたことを「不備」と言っているようですが、党議拘束があるのは普通のこと。これが理由で投票のやり直しをするというのは考えにくいところです。上院のレナン議長は審議の差し戻しには応じないとしています。しかし、このままマラニャン下院暫定議長が差し戻し要求を続け、レナン上院議長が受け付けないとなると、最終的な判断は最高裁に持ち込まれることになります。予定通りに進まない可能性もあります。また最高裁も政治的圧力があると、かなり無理と思われる差し戻し要求が認められる可能性もあります。そうなればまた時間がかかります。オリンピックまでは弾劾裁判が始まらないようにする戦略かもしれません。
 上院での採決になれば、まず弾劾裁判が始まります。そうなれば、ルセフ氏は最大180日間の停職となり、テメル副大統領が弾劾裁判までは暫定大統領となります。予定通りに進めば、リオオリンピックはテメル暫定大統領のもとで開催されることになります。
 さらに上院で最高裁長官を裁判長とする弾劾法廷が設置され、審理がおこなわれます。上院議員の3分の2以上の賛成(54人)で弾劾が成立します。この場合にはテメル副大統領が2018年まで大統領を務めることになります。
 しかし、この通りに進むかどうか微妙です。下院に差し戻しとなった場合には、かなり時間がかかる可能性があります。
 私は、オリンピックが近づくと大規模デモが頻発するのではないかと予想していました。ワールドカップの時には5月あたりには反政府の大規模集会が開かれていました。それ以上の混乱になると予想していたのですが、この大統領弾劾裁判をめぐる動きがあるので、まずは状況を見守るという感じのようです。ただ、下院に差し戻しなどの事態となり、先行きが不明となったら、一気に大規模デモが組織される可能性があります。時間稼ぎで、ルセフ大統領がリオオリンピックで挨拶をすることになれば、反発はさらに高まります。オリンピックの開催そのものにも影響があるかもしれません。ですから、弾劾裁判の承認が上院でされ、テメル副大統領が暫定大統領となるパターンと決議が下院に戻され、先行き不明になるパターンの二つのシナリオを考えておく必要があります。
 国民も市場も政治の変化を望んでいます。弾劾裁判が承認されそうだということで、株価はやや戻っていましたが、下院に差し戻しの可能性が出たことにより、株価は落ち込んでいます。政治の変化が遅らされたら、反政府大集会が開かれ、オリンピックどころではなくなるかも知れません。国民にとってオリンピックより生活の方が大切になっています。
 テメル暫定大統領でオリンピックとなる場合でも、治安の問題と交通の問題は深刻なようです。経済はすぐには持ち直しません。治安は相当に悪くなっており、オリンピックまでに安全な国にしようという政府の目論見は崩れています。政府にも自治体にも予算はなくなっており、交通アクセスの整備は全く不十分なようです。予行演習となるべきイベントもできておらず、ぶっつけ本番。相当な混乱がありそうです。
 ブラジルは確かに混乱しています。経済も最悪に近くなっていますし、治安も悪化しています。しかし、ブラジルの潜在力は確かです。早い定年や高い公務員の年金など改革すべき点は多々あります。しかし、それを実行できれば、未来の国としての力があります。資源も豊富です。日系人も多くいます。日本は、こうしたブラジルの不安定な時こそ、しっかりと協力をして次のステージにともに進むことが重要です。

cdim at 19:15コメント(0)トラックバック(0) 
 アメリカ大統領選で、共和党の候補者となることがほぼ決まったドナルド・トランプ氏の発言はこれまでの「常識」を覆すものが含まれており、多くの人に驚きと不安を与えています。私が気になるのは「海外駐留米軍」の駐屯国に対し防衛費の追加分担を求め、それができないのなら撤退も辞さないという主張です。
 トランプ氏がどのような世界秩序を考えているのかは不明です。おそらく何もなく、思いつきを喋っているという見方もあります。基本路線は「アメリカのことだけを考えて、他の国のことはどうでもいい」ということなのでしょうが、「海外駐留米軍」を撤退するのがアメリカのためになるのかどうか、同盟国が勝手に軍事強化するのがアメリカのためになるのかどうか、アメリカが同盟国への「支配権」を弱めることがアメリカのためになるのかどうか。こうしたことをあまり考えることなく、どんどんと発言をしていきます。問題は、本当にトランプ氏が大統領になったら、しゃべったことを実践するかもしれないということです。確かに議会の承認なども必要ですから大統領が勝手に外交をするわけではありませんが、かなりのことはできます。もし本当にトランプ政策が実施されたら世界は相当に混乱します。特に東アジア。中国、韓国、日本、北朝鮮、ロシアなどはトランプ氏の方向でかなり影響を受けます。
1.軍事化する東アジア
 トランプ氏の主張の一つは、自分のことは自分で守れ、です。アメリカは日本や韓国は同盟国の中に入れながら、アメリカの軍事・外交戦略の一端を担わせるというものでした。過度に軍事化させることなく、コントロールするというものです。トランプ氏は、北朝鮮から韓国を守るのであれば金を出せ、そうでなければ撤退するから自分で守れと韓国に主張します。日本にも同様です。中国や北朝鮮などから日本を守る気はない、守ってほしいなら金をだせ、嫌なら自分で守れ、というスタンスです。日本も韓国も核兵器保有をしてもいいとまで言っています。すでに中国、北朝鮮は核兵器を保有していますから、アメリカがこうしたスタンスに変わるなら、韓国は各兵器を保有する選択肢を真剣に考えるでしょう。そうなると日本さえわからない。単独防衛となると軍事予算もさらに必要になるでしょう。中国、韓国、北朝鮮、日本、台湾、ロシアが軍拡競争をする可能性がでてきます。極めて危ない状況になる可能性があります。自民党もこのようなオプションは考えていなかったでしょうが、現実となると、単独軍事化路線を主張するタカ派が活気づく可能性はあります。
2.中国ブロック対反中国ブロック
 東アジアだけでなく、東南アジア、南アジアもアメリカの撤退の影響を受けます。アメリカが良くも悪くも世界の警察、アジアの警察の役割を担ってきました。軍事大国となった中国が自由に覇権を拡大することができなかったのですが、アメリカが頼りにならないとなったら、アメリカ以外の国で軍事同盟ネットワークを作る必要が出ます。現在の日本の集団的安全保障の議論は基本的にアメリカとの関係が中心ですが、アメリカ抜きの集団的安全保障の議論が出てくるでしょう。アジア全体が中国ブロックと反中国ブロックに分断され、不安定化する可能性があります。
3.アメリカの影響力の低下
 総合的にアメリカの世界的な影響力は低下していきます。パックスアメリカーナのもとに、軍事だけでなく、経済・政治・社会・文化のアメリカ支配がありました。「アメリカはアメリカの利益だけを考える」という姿勢は実際にはアメリカの利益にならないこともあります。トランプ氏はTPPにも反対です。一種の保護主義政策とみていいのでしょう。これはアメリカ経済にプラスよりも大きいマイナスをもたらす可能性があります。
 このように考えると、トランプ氏の政策はアメリカにとっても大きな問題があるとは思います。しかしそれでもその方向性に進むと決断があればそうなるのかもしれません。想定していなかった事態です。
 折しも、日本では憲法改正と集団的安全保障の問題が議題になっています。トランプ氏の「自分で防衛しろ」という方向性の明示は、日本のタカ派でさえ想定していなかった日本軍事化への後押しになるかもしれません。これだけ不安定な東アジアで、アメリカ抜きで防衛しろと言われたら、軍事化と東南アジアの諸国らとの集団的安全保障の枠組みを形成するという主張は支持を得る可能性が高いでしょう。
 トランプ大統領の誕生はない、と思います。しかし私を含めて多くの人はトランプ氏が共和党候補者になることはない、と言い切っていました。 それがあれよあれよという間に、候補者になりそうです。あれよあれよという間にアメリカ大統領になる可能性も否定できなくなりました。東アジアにとっては悪夢の展開になる可能性があります。

cdim at 16:29コメント(3)トラックバック(0) 

2016年05月01日

 民主党と維新の党が合流し、「民進党」が誕生したのが3月28日でした。あれから1ヶ月以上が経ちます。民進党の立ち上げの前後ではメディアの露出もかなりありました。民主党の時よりも多少は支持率がアップか、というところでしたが、最近はメディアの露出も減り、厳しい状況になっています。注目された衆議院北海道6区補選でも、「逆転か」と期待されましたが、結局は多少差をつけられての敗北。京都3区の補選では、自民党が不戦敗を選択しましたので、勝ちましたが、これは当然という感じです。微妙な船出となりました。
 熊本地震も一つの要因です。こうした災害時には与党の対応が中心になります。安倍首相の動きが報道される一方で、野党はなかなか具体的な動きになりません。少なくとも報道されません。有事の時の与党、という状況になりました。これからは、伊勢志摩サミットがあります。そうなるとますます、メディアでは自民党が中心となります。民進党の存在感が早くも薄れつつあります。
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は4月23、24両日に合同世論調査を実施しています。この傾向が裏付けられています。民進党の支持率は、結党直前の前回調査(3月19、20両日実施)を5.5ポイント下回る7.3%となりました。新党の結党前よりも低くなっているというのは衝撃的です。その時点の支持率でさえ、自民党からは大きく離されています。2月20、21両日に実施した前々回の調査では、民進党の母体の民主党は支持率が9.7%、維新の党は1.4%でしたから、両方を足すと、11.1%です。現在の民進党の支持率7.3%がいかに低い数字かわかります。「ご祝儀相場」がほとんどないままに、低迷してしまったという感じです。
 他方、安倍内閣の支持率は、49.4%と高い水準です。ちなみに自民党の支持率は39.0%で、前回より2.3ポイント上がっています。
 これからさらに差が広がる可能性さえある行事スケジュールです。きたる参議院選挙は非常に厳しい戦いとなりそうです。民進党の参議院の改選議席数は、無所属となっている旧維新の党の参議院議員を入れると、47議席です。3年前の前回の参議院選挙では獲得した議席数は17ですから、今の状態だと47議席を守ることはまず不可能です。前回の17議席にどれくらい上乗せできるか、というところです。
 1人区での共産党との選挙協力が模索されています。1人区で勝つことは今の状況を考えると非常に難しく、数える程しかできないでしょう。共産党との選挙協力は、2人以上の選挙区での党の戦い方を難しくしかねませんし、比例区での勢いを削ぐこともあります。なにより、反自民、反安倍政権では一致して主張できても、実際にどのような政策を掲げるかという時にスムーズにはできなくなります。民進党と共産党とでは安全保障、消費税、TPPなどでかなり主張が異なります。しっかりとした方向性を出すことなく、参議院戦を戦うことになると、相当な敗北をきす可能性もあります。
 この状態ではおそらく参議院選挙では民進党は議席を大幅に減らすでしょう。それはもう仕方ないとして、次に繋がる民進党の方向性を明らかにして、自民党に対抗できるだけの代替政策案を出して欲しいと願っています。民進党がこれからの日本をどうしようとしているのか。それがはっきりしないまま、淡い期待のもと、民主党は政権をとり、そして失敗しました。有権者にはその記憶がまだはっきりと残っています。民主党が民進党と名を変えようともすぐには消えないものです。それだけに、次の次の国政選挙でしっかりと戦えるような体制をつくってほしいと思います。

cdim at 21:04コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年04月30日

 韓国の朴槿恵大統領の支持率が急激に下がり、まさにレームダック状況に陥りつつあります。任期はまだ1年10ヶ月ありますが、すでにポスト朴大統領の議論が始まりつつあります。4月13日のせんきょでの与党セヌリ党の敗北がそれまでの有力候補者の構図を大きく変えています。来年からは本格的な選挙戦に入りますが、ダークホースが浮上する可能性もあります。日本の制度とは全く異なり、5年任期の大統領制。日本のように1年ごとに首相が交代するということはありません。それだけに誰が次の大統領になるかは非常に重要です。朴大統領の外交政策などの影響を日本は相当に受けました。日本にとっても次の大統領の性格や方向性は大きな意味を持ちます。
 これまで有力候補とされてきたのは、セヌリ党代表であった金武星(キム・ムソン)氏ですが、せんきょでセヌリ党が敗北しました。かなり厳しい状況です。前ソウル市長の呉世勲(オ・セフン)氏や前京畿道知事の金文洙(キム・ムンス)氏も有力視されていましたが、選挙で敗れています。大統領選への道も絶たれたと思われます。
 共に民主党では、文在寅(ムン・ジェイン)元党代表や党非常対策委員会代表として今回の選挙を指揮した金鍾仁(キム・ジョンイン)氏などが注目されます。
 国民の党共同代表の安哲秀(アン・チョルス)氏は4月の選挙で躍進を勝ち取ったこともあり、さらに支持を伸ばすのではないかと期待されています。
 ただ、4月選挙で、与党も野党も内部的混乱もあり、絶対的候補者が分からなくなっていることも確かのようです。その中では、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長を推す声もつよい状態です。親朴派であり、朴派からの支援を得ることができます。知名度も抜群です。国際的にはそれほど高く評価されていないものの、国連事務総長の経験は外交上、優位に立てます。世界の有力リーダーとのネットワークは韓国にとっての財産です。ただ、かなり複雑になっている韓国の政治情勢をまとめることができるのかどうか。反朴勢力や野党が潘基文を良しとするかどうかも、微妙なところです。
 私が最も注目しているのは、羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)議員です。朴大統領は選挙に強いと言われてきましたが、最近は支持率も低下しており、セヌリ党は新たな顔を求めています。羅卿ウォン議員は美しい議員としても知られており、これからのセヌリ党の顔として期待されています。反朴派といえる存在です。あと1年10ヶ月というのはこうしたダークホースが支持を伸ばすのにはちょうどいい期間と言えるかもしれません。
 韓国の政界は人間関係、地縁・結縁などが複雑に絡み合います。日本の政治もそうですがさらにそうした面がパワーアップされているような感じです。政策としては、経済の立て直しに力を持ちそうな人が選ばれそうですが、誰が経済をよくしてくれるのか、わからないです。
 誰が次期大統領として抜け出してくるのか。できれば日韓関係の改善にもプライオリティを置く大統領になってほしいと願っています。日韓関係が崩れてからあまりに長い。そろそろ関係回復をしなければ、東アジアの混乱時に対応が困難になります。朴大統領誕生の時には期待感がありましたが、日韓関係においてはその後はさらに悪化。次の5年がどのような政権になるのかどうか。

cdim at 16:17コメント(1)トラックバック(0)国際 

2016年04月29日

 舛添要一・東京都知事に批判が集中しています。現在の主な問題は、高い海外出張費と週末のほとんどを公用車で神奈川・湯河原の別荘に出かけていることです。議論のポイントがたくさんあります。整理してみましょう。
1.海外出張費
*ファーストクラスが必要か?
 主要な県や政令指定都市では知事や市長、副知事や副市長など特別職ははファーストクラス、局長級はビジネスクラスの利用が認められる条例を持っています。舛添都知事は派手ですが、他の県や政令指定都市の長もこれまでファーストクラスを使っている人がいました。石原元都知事も、猪瀬前都知事もファーストクラスを利用していました。東京都だけではありません。表面に出ないだけです。条例上は問題ないのです。しかし、最近は知事や市長の多くは自粛していて、ビジネスクラスであったり、小さな自治体ではエコノミークラスを使います。リーダーがファーストクラスを使えば、その下の職員の多くはビジネスクラスを使います。一人だけの問題ではなく、全体の費用があがることにつながります。
*ホテルはスイーツが必要か?
 舛添氏の泊まった部屋が非常に高いことも問題視されています。ロンドンやパリでは1泊20万円程度、アメリカでは1泊15万円程度です。確かにロンドン、パリ、ニューヨークのホテル代は高いです。それに舛添知事の主張のように時期によっても価格は異なります。それでも5〜6万円で5ツ星のホテルに泊まれます。スイーツである必要性に関しては、突然のお客さんなどとの会合に使えるというものでした。このケースはまずありえません。知事が泊まっている部屋で会合を持つというのは一般的とは思えません。そうしたホテルにはレストランやバーなどもあります。そうしたところではダメな特別な人が知事の部屋をあてにしてくるとは思えません。大阪府や大阪市は欧米では1泊2万9000円と規定しているようです。さすがに今は2万9000円だとロケーションがあまりよくないかもしれません。
*空港での貴賓室は必要か?
 舛添知事の一行は空港の貴賓室を3回借りており、これが約165万円となっています。その理由はセキュリティーとスムーズな出入国のためといいますが、これも贅沢としかいいようがありません。ビジネスクラス以上であれば、特別ラウンジもあるはず。これだけのお金を払って貴賓室を借りるというのは驚きです。
*あれこれで全体の費用が高い
 舛添知事の海外出張は知事就任後2年間で8回出かけていて、総費用は21305万円、1回の平均が2663万円となっています。無駄な費用は全くない、という主張ですが、これはやはり尋常ではありません。石原元知事や猪瀬前知事も贅沢出張として批判されていましたが、1回の平均はそれを超えます。
*これで行財政改革ができるのか?
 知事が多少贅沢しようとも、仕事ができるのならそれは些末のこと、という議論があります。しかし、お金はいくらでもあるのではなく、削減もしていくことが必要です。実際に東京都でも福祉や医療予算は膨らみますから、削減の意識が必要とされます。教育予算はやや削減されています。行政のトップがスイーツに泊まっていては、行財政改革に説得力がなくなります。つまり、些末のことでは済まされないのです。
2.神奈川県の湯河原町の別荘の件
*公用車で行くべきか?
 舛添氏は幾つかの論点からこれが正当であると主張しています。A)別荘は事務所として使っていて、公務も行っている。B)別荘には広い風呂があり、激務の知事の健康管理の点から重要である。C)公用車はうんて飲酒などに秘密保持を要求でき、公務を行うことができる。ただ、これを言い出すと、知事など政治家にとってはすべては公務の範囲になります。自宅でも公務をやっている政治家は多いはず。全てが「公」という主張になれば、公私の区別は意味がなくなります。話の前提が崩れてしまいます。
 これは極論です。知事や市長はすべての生活が「公務」とするという共通認識はできていません。やはり線引きは必要でしょう。
*地震などの災害時に対応できるのか?
 毎週のように別荘に泊まるとなるとその位置も重要です。湯河原町は神奈川県の端。東京都からはかなり距離があります。普通の時には確かに1時間半の移動時間でしょう。しかし、重要な災害時はどうか、です。湯河原から東京都庁への道はかなり限定されます。大地震で高速道路が不通になったら、相当な時間がかかると考えられます。一般道は車で溢れているでしょうし、それらも不通の部分があるでしょう。とても1時間半で帰れるとは思えません。毎週のように、というのが問題視されます。
*危機管理は?
 毎週のように別荘に行くとなると、知事の安全も確保する必要があります。神奈川県ですが、神奈川県警に依頼するわけにもいかないでしょう。東京都知事の発言はかなり論議を呼びます。安全の確保はどのようになっていたのでしょうか。今回の件で別荘も有名になりました。ますます危険度が高まりました。
3.対応について
 舛添知事は今回の一連の件が明らかになっても、それは当然であるという姿勢を崩していません。笑顔で対応されているのはさすが、とも思えます。しかし、やはり住民感覚とはかけ離れていることは確かです。「全く問題ありません」と居直られると、やはり反発をうみます。「王様気取り」「殿様気取り」という印象がついたら、都政をスムーズに行うのはかなり難しくなったと言えます。今回の件は、法的な問題よりも庶民感覚との乖離というレベルのものです。真摯に対応されたらここまで問題化していなかったかもしれません。ファーストクラスに乗ってスイートに泊まり、毎週、公用車で神奈川県の別荘に行っていたとなると、普通の人からすれば、「お殿様気分」という批判的感情が湧き上がります。それを「一切問題ありません」と言い切られると、ますます批判的になるのです。税金を使う仕事です。住民の感情にも思いがなければ、失格です。

cdim at 22:29コメント(0)トラックバック(0)社会 

2016年04月27日

 イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票は6月23日に予定されています。もうすぐです。離脱派と残留派がかなり竸っていますが、多くの予想はこれまで最後は残留派が勝つだろうというものでした。4月26日のロイターは、ICMが実施した世論調査で英国の欧州連合(EU)離脱の支持率が46%となり、残留の44%を上回ったことを伝えています。離脱の方が支持率で上回ったのです。イギリスがEUを離脱するシナリオが現実的になってきています。
 イギリスは以前は工業国でしたが、最近は第三次産業、つまり金融、小売業、観光業などが主力産業となっています。特に金融業。ロンドンは世界最大級の金融街です。金融資本主義とも言われる現代の資本主義。投資による利益を得てきました。イギリスはいくつもタックスヘイブンを持っていることも有利性があります。世界の資金が集まり、投資によってさらに資金を大きくしてきました。工業力が落ちながらも、イギリスが繁栄を続けているのには金融業の役割が大きいのです。EUに入っていることは金融業にはプラスです。逆にいえば、EUから離脱することはかなりの打撃があると予想されます。
 観光業にもマイナスです。EU圏内で人、金、物が自由に動くのが経済的なメリットです。イギリスも観光立国の一つ。多くの観光資源を持っています。世界中から旅行者がやってきますが、数からすればやはりEU内からの旅行者が多いのです。小売業においても自由な物と人の流れがあることは重要なポイントです。
 工業力が落ちているといっても、イギリスの中部地域にはBMW、フォード、ゼネラル・モーターズ、ホンダ、日産、トヨタ、フォルクスワーデンなどの自動車メーカーの工場もあります。イギリスはこうした自動車産業のヨーロッパ戦略の拠点の一つです。しかし、EUから離脱すると、自動車メーカーにとってのメリットがかなり消えます。EUに残っているとEU内の国々への輸出にも有利ですし、EU内からの部品の輸入にも有利です。また、あまり注目されませんが、イギリスは航空宇宙産業と軍事産業が非常に強いのです。こうした産業にとってもEUに残る方がプラスでしょう。
 また、特に小売業、観光業、ものづくりなどでは、労働力の確保も重要な課題です。EU内からの労働者の移動は大きな意味があります。
 経済的にはEUに留まる方がいいと考えられます。
 ではなぜ、離脱派が増えているのでしょうか。
 最も大きな要因は、移民や難民の増加です。こうした労働者の増加は企業にとってはプラスですが、労働者にとっては、労働機会が奪われるという見方にになります。テロなどの不安もEU離脱派を増やしています。雇用と治安が大きなポイントになっています。
 はたして、EUから離脱すれば治安がよくなるかとなるとそれほど簡単な問題ではありません。しかし、感情的にはEUから離脱することが外国人の流入を防ぐことにつながると感じている人が多いようです。
 日本はこの国民投票を見守るしかありません。日本とイギリスは歴史的にも関係は深く、お互いにイメージもいいものがあります。金融業や自動車産業では直接的な関係も強いです。イギリスにはEUに残ってもらい、経済的にも強いイギリスとしていて欲しいという気があります。
 仮にイギリスがEUから離脱することになったらどうか。イギリスはおそらくアジア戦略をさらに考える必要が出るでしょう。日英関係をさらに強めて、新たなビジネスパートナーを作ることも選択肢としてあります。イギリスは香港などとの関係もありますから、日本よりも中国を中心として考えるかどうか。
 イギリスがEUに残ろうと、去ろうと、新たな日英関係を築いていく機会になるかと思います。日英関係を軸にヨーロッパ戦略、アジア戦略、アフリカ戦略を模索することが可能です。 

cdim at 23:51コメント(0)トラックバック(0)国際 

2016年04月26日

 熊本地震の被災地への輸送支援として、在日アメリカ軍は輸送機MV22オスプレイを使いました。ジョン・ドーラン司令官は声明で、「日米同盟と日米の友情を際立たせる活動だった」と言っています。被害日本大震災の時のいわゆる「トモダチ作戦」の延長とも言えます。発表によれば熊本県南阿蘇村などに届けられた食料や水などの支援物資は計約36トンに上りました。オスプレイは2機態勢で、19日のみ4機出動しました。
 これには賛否両論があります。まずはとにかく、困っている地域に物資を輸送し、被災者を助けたことはしっかりと評価すべきだということです。36トンの物資はすごく大きいわけではないにしても、小さいわけではありません。特に孤立していた阿蘇村などへの物資輸送は大きな意味を持ちました。
 しかし、本当にオスプレイが適当であったのかどうか、は議論の余地があります。オスプレイの導入に対して議論があっただけに、オスプレイの実績作りのための政治的配慮があったのではないかという否定的なみ方があります。
 私は、政治的な意味は当然としてあったと思います。「軍」が動くとき、ただ単に「ともだち」としての利他的な目的で動くことはありません。必ず、なんらかの意味があってのこと。ポイントはその「政治的な配慮」が結果として救援に意味があったかどうか。私は当たり前の意見ですが、意味があったと思います。道路が封鎖されていて孤立状態のところに物資が運ばれることは大きな意味があります。まずはこの点は確認しましょう。
 また議論の一つに、アメリカ軍からの申し出なのか、日本政府からの依頼なのかということがあります。琉球新報(2016年4月5日付)は以下のように報じています。
『19日付の米軍サイト「dvids」は空輸支援活動は「日本政府の要請に基づき提供している」と明記している。17日付の米軍準機関紙「星条旗」電子版も「日本政府が土曜(16日)に米国務省に支援を願い出た」とする米政府当局者の説明を掲載している。

 一方、同じ17日の朝、安倍晋三首相は米軍の空輸支援について「申し出があるが、今直ちに支援が必要だという状況ではない」と報道陣に説明し、支援は米側の申し出によるものとの認識を示していた。中谷元・防衛相は18日の国会答弁で「米側から協力申し出があった」としており、日米の説明に食い違いがある。』
 どちらが先に話をしたのかは、この場合にはあまり大きな問題ではありません。両政府にとって、オスプレイの価値を示すことは意味があります。話になれば、両政府とも合意したといことでしょう。
 ただ、オスプレイが本当に適当な運輸手段であったのかどうかは、政治的な意図とは別に考えておきたいところです。
 オスプレイは、ヘリのように垂直離着陸や空中停止することも、飛行機のように水平に高速飛行することも可能です。時速も約500キロもでますし、航続距離は約3900キロメートルで、他の物資輸送のヘリコプターよりもはるかに早く、遠くまで運べます。ヘりとプロペラ機のイイとこ取りといった優れた軍事輸送機です。
 ただこの特性が活かされるには、輸送距離が長く、なおかつ物資輸送の場が厳しい場所であるなどの想定が必要です。軍事的にはそうしたケースはありますから、この優れた輸送機は意味があります。ポイントは今回の地震においてこの能力が必要であったかです。岩国から熊本へは300キロくらいの距離です。輸送用ヘリであれば、北九州からでいいので、150キロ位の距離でいいのです。とすれば、自衛隊が保有しているCH47で十分です。
 輸送できる貨物量もCH47は優秀です。自衛隊はCH47を多く保有しています。輸送量も条件によりますが、今回のような場合であれば、オスプレイよりも優位性があったと考えられます。
 実際に、4月18日から23日までの2機ー4機の輸送での36トンの輸送物資量はCH47使った場合より優位性があったとは言えないでしょう。日本国内の物資輸送であれば、自衛隊が保有するヘリで十分です。
 滑走路のある飛行場も使えるようになると、輸送用プロペラ機が優位性を持ちます。速度、輸送量、燃費などで輸送用プロペラ機は重宝されます。
 オスプレイは、ヘりとプロペラ機の両方の特性を持った素晴らしい機能を持っています。しかしその機能は特定の条件下において発揮されるものです。フィリピンの大型台風やネパール地震などではその機能が発揮されました。
 今回のケースはかなり微妙です。ただ、政治的な思惑があるからこそ、そこまでの支援が可能であったといことも確か。企業なども支援をしていますが、それも企業のイメージアップと重ねてのこと。純粋に利他的に支援する企業はほとんどありません。まずはアメリカ軍への感謝です。しかし同時に今後においてはより効果的な支援をどのようにするかは、しっかりと議論しておく必要があります。
 自衛隊が保有している輸送ヘリの性能には素晴らしいものがあります。非常に多くの輸送ヘリを持っています。それを非常時にしっかりと活用できる体制づくりも求められます。
 被災地への物資輸送にオスプレイを使ったことに関しての議論は熱いものがあります。 賛成する人も反対する人もかなりの激論を交わしています。冷静に被災者救済のためにどう考え、何をすべきか。はじめから肯定したり、否定したりするのではなく、被災者救援のための冷静な考察が求められます。 



cdim at 21:37コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月25日

 衆議院京都3区補選が、4月24日に投開票されました。民進党の前職泉健太氏が、おおさか維新の会新人で元党職員森夏枝氏ら5新人を破り、当選しました。この選挙は、宮崎謙介前衆院議員(自民党離党)の不倫が発覚し、彼の議員辞職に伴う補選です。その頃は衆議院解散総選挙を参議院選挙に重ねて行ういわゆる衆参同時選挙も話題になっていました。もしそうなるなら、当選しても実際の任期はわずか2〜3ヶ月。自民党は宮崎氏の問題を受け「謹慎する」と擁立を見送りました。ということで結果はほぼ見えていました。
 ポイントはおおさか維新の会の森夏枝氏がどこまで泉氏に迫ることができるか、でした。結果は、泉氏が6万5051票を獲得したのに対して、おおさか維新の会の森氏は2万710票。トリプル以上の大差での惨敗です。
 これだけおおさか維新の会の森氏の票が伸びなかったのは、主として2つの要因があります。
 まず、政党の名前です。「おおさか」とあると、やはり他の地域の人は「なんで?」という思いがでます。当然です。おおさか維新の会は、「おおさか」は地域からの変革をシンボルとしての意味がある、と主張しますが、大阪府、大阪市がそこまで地方自治のモデルとして成功した事例という共通認識はまだありません。ヒロシマやナガサキが平和のシンボルとなるほどの認知はされていません。名古屋市長の河村氏も日本維新の党には参加したい旨を表明しましたが、おおさか維新の会となると、なぜ名古屋市長がおおさかに?とみられることから躊躇しています。維新の党に残った議員のほとんどは選挙区が大阪ではない人です。やはりネーミングは重要です。
 このままおおさか維新の会で貫くのかどうか。大阪府や兵庫県などではこれでも良さそうです。実際に現有議員もほとんどが関西圏。ただ今回の選挙で明らかになったのは、京都でもだめだ、ということです。これから憲法改正などの問題にも発言していくのに、大阪・兵庫のほぼ完全なローカルパーティのままでいいのかどうか。名称変更は現実的な課題となっています。維新の党が民主党とともに民進党を結成し、なくなりました。一案は、日本維新の党にもどることでしょう。草の根維新の党とか、新たな名称で心機一転勝負するというのもありです。略称、草維(そうい)というのは創意とイメージがだぶるので、プラスになるかと思っています。
 もうひとつのポイントはやはり橋下徹氏の位置づけです。よしにつけ、悪しきにつけ、「 維新の会」は橋下氏の政党というイメージでした。支持者の多くは、橋下氏の破壊力に期待したものです。その橋下氏の位置づけがぼやけてはかなり難しい展開です。橋下氏がこれからこの政党をどのようにしようとするのか、です。
 今の中央集権の仕組みの中では地域だけを変えることは部分的にしかできません。基本的に国政との連携が必要になります。党の名称も全国展開できやすいものにし、もう一度橋下氏が中心に戻り、改革の方向性を明らかにすることができるかどうか。やるのなら参議院選の前、つまり今でしょう。
 今回の京都補選の惨敗を受けて、何らかの変化があるかどうか。注目されます。 

cdim at 11:41コメント(1)トラックバック(0) 

2016年04月24日

 注目された衆院北海道5区で自民党新人の和田義明氏が当選を確実としました。予想よりも早い段階での当確ですから、ある程度の差があるものと推察されます。今回の選挙でのポイントは、民進党と共産党との連合がどれくらい意味を持つか、でした。選挙前は和田氏の圧勝という予想でしたから、敗れたといえ、民進、共産、社民、生活4党が推す無所属新人の池田真紀氏は健闘したといえます。
 自民党は選挙前に大臣や自民党議員の不祥事や失言が相次ぎました。安倍政権下、大臣の不祥事や失言はかつてに比べれば少なかったのですが、ここ数ヶ月はかなり続きました。自民党に逆風が吹き、圧勝と思われていたのが急に接戦になりました。池田氏の笑顔と苦労した人生エピソードも好感度を高めたようです。
 和田氏の勝利の要因を考えてみましょう。
1.なんといっても今の自民党は強い
 政党支持率などを見れば容易に分かることですが、一騎打ちになったときにはよほどのことがなければ自民党=公明党の連合は非常に強いです。今回のような自民党のミスが続かなければかなりの確率で一人区では勝てるということです。
2.熊本地震の影響 
 今回の選挙ではやはり影響はあったと思われます。非常時にはやはり与党自民党は強いのです。安倍首相のメディア露出は高まります。他方、野党の動きはほとんど報道されません。選挙についての報道も少なくなり、池田氏がほしかった浮動票の風は起こらなかったのです。また震災の支援において自衛隊が重要な働きをしています。また米軍も支援に入りました。野党連合は安保法案反対でまとまったもの。戦いにくい状況になりました。
3.自民党が本気になった
 町村氏の弔い選挙でもあり、自民党には余裕があったのですが、途中の世論調査で接戦が分かりました。ここで敗れることになれば、安倍政権への不信の流れができる可能性があります。新党民進党を勢いづかせて、参議院選挙でも悪い影響となります。自民党のドブ板選挙の本気度が高まり、これが結果にも結びついたと言えます。
4.民進党と共産党の連合の難しさ
 民主党と維新の党が合併したあとには、大きな野党としては民進党と共産党になります。生活の党や社民党は本当に小さな政党になりました。つまり民進党と共産党の相性の問題が試された選挙です。確かに成果もあったと思われますが、難しさも改めて明らかになりました。民進党の中には、第二自民党的な要素があります。 実際に自民党とあまり大きな政策の違いのない議員も入っています。完全な保守と言える議員が入っています。支援者の中にも保守的な人も入っています。しかし共産党は完全に違った方向性を持っています。この二つが一緒に選挙をすることは単純に足し算にはなりません。かなりの引き算もあるのです。主要な課題での政策も異なります。民進党がもっとリベラルな党と変貌していき、共産党が保守的な政策にも「現実的」として妥協していく姿勢ができるようにならなければ、選挙での成果はなかなかでないように思えます。
 岡田民進党と志位共産党にとって今回の選挙は今後の展開をうらなう上で重要なものでした。結果としては、いい点も悪い点も両方あり、判断に苦しむというところです。
 これで、今後は熊本や大分での震災の支援が続き、伊勢志摩サミットとなります。オバマ大統領の広島訪問があったら、一気に参議院選挙となります。それまでに民進党と共産党は歩み寄りができるのか。民進党内には共産党との協力に消極的な人もかなりいます。微妙な状況です。

cdim at 23:55コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

 423日の記事「中国の土壌汚染はなぜ起こるのか〜各地で健康被害が顕在化」にて中国の土壌の汚染原因が、企業側の工場廃水の不法投棄にあると推測しましたが、それについて中国現地にて活動する友人達が実際に経験していることを教えてもらいました。

 以下で、その一部を紹介したい。                                                           

 

1. リーグ法律事務所 パートナー弁護士 殷氏

殷氏は日本での生活も長く、日本語が達者であり弁護士として長く中国国内に進出している日系企業のサポート役を担っていますが、大変貴重な実例を挙げてくれました。

 

■ 刑事事件:J社に科された「環境汚染罪」

○ 状況:J会社の倉庫に危険廃棄物(廃活性炭)が保管されていた。

一部分を規定に従って処理し、政府検査に対応。大部分を処理資質のない企業に販売……不法投棄(売買契約を結ぶ)

○ 判決:罰金+有期懲役

○ 結果:J会社---共同犯罪、罰金。J会社の直接責任者---有期懲役1年と罰金

 

■ 陝西M社に対する「巨額罰金」(日単位処罰)

○ 状況:陝西M社が汚染物超過して排出

○ 経緯:当地政府から改善命令と罰金20万元(約350万円)を科された。しかし、現場担当者がM社社長(総経理)へ正しく伝達せず放置。

○ 結果:改善命令に従わなかったため、放置していた日数の79日間分として、罰金が1580万元(27600万円)まで急増。

 

■ 民事裁判:民間農園が山東F社を起訴

○ 状況:F社のアルミニウム製品生産工場が民間のさくらんぼ園に隣接。農園オーナーはさくらんぼ園が環境汚染を受け、減産になったとして、賠償金500万元(8750万円)を要求

○ 結果:F社が70%の賠償責任を負うという判決が下る。

理由:公証部門による検証記録、検査報告等の証拠が一致した。F社の汚染物排出が国又は地方の排出基準に適合すると証明されても、権利侵害民事責任を問える。

 

2. STECO社 清水董事長 (日系で唯一、省エネ環境サービス機構として政府より批准を受けた企業)

上海にて11年企業を経営し、つぶさに現場を見てきた日本人の一人。

仕事の関係上多くの実情を見聞きしている。彼より生の声を聞くことができた。

 

「中国の変化のスピードは凄まじく、その変化に追従できていない日系企業が多すぎる。環境の悪化は改革開放以降の経済発展に伴う副作用であると実感している中国政府の深刻さと厳しい要求を理解できてない場合、今後大きなリスクとして日系企業を襲ってくるであろう。未だにコンサルという名ばかりの似非専門家に任せて安心している責任者が多いが、環境やエネルギー関係の対策は素人では正しい対策ができないばかりか、新環境保護法により強化された責任追及の厳罰化により企業の経営に大きな影響を与えることは必至。最悪は日本人の責任者の拘留というところにまで至るだろう。今後は、特に環境対策については自社内にリスクを残さず、政府の認定を受けた第三方機構などに業務を委託してリスク分散すべきだ。多くの企業は自社内のみの検証しかしていない為、現在の環境基準に則して操業をしているのかさえ正しく把握できていない。企業が抱える環境対応リスクは深刻である。ここ最近は、環境DD(デューデリジェンス)の相談を受ける事が多くなったが、まずは自社内にどのような環境リスクが潜んでいるのかを第三方機構などに依頼し、正確な情報を把握して事業運営を行うべきである。」

 

 このような具体的な話こそが真実に近いと考えられます。

 巷には「中国危険論」の様な話が多いのですが、察するに「中国の変化の大きさとスピードについて行けない企業」の悪い失敗例が大きく取り上げられ、中国でのビジネスは危険だと単純に語られているに過ぎないと思えます。中国の変化の大きさとスピードについていくだけの情報戦略が求められているのです。

 

 ここにNRI(野村総合研究所)が纏めた一冊の本「2020年の中国」(2016331日発行)があります。最後の纏め部分には以下の様な記述があります。

 

『中国の「新常態」を政局の転機、経済の低迷、成長の減速及び産業の難局として受け止める日本企業も少なくない。一種の危機意識としてそれも妥当だといえるが、現実を直視してみると、それとは異なる見方もできる。

これまでに述べてきたように、新中国の60年余りの歴史の中で、3回にわたって起こった大転機では、いずれも社会全体の改革・進歩が著しく進展し、産業全体にも大きな発展が見られた。また、大転換が起きた後は、いずれも比較的安定した期間に入り、大きな方向性はブレてはいない。

すなわち、過去の“新常態”は必ずしも「激変」を意味するものではなく、常にその後の「安定」につ ながっている。』

 

 なるほどこの「新常態」は今後の安定に繋がるチャンスだと言うのです。そして、更に日系企業にとっては以下の様なメリットがあると纏めています。

 

『これは日本企業にとって二つの大きな意味を持つ。
 一つは先行きが「見える」ということである。<割愛> 毎年の経済成長率が具体的に何%になるかということよりも、今後の中長期的な成長の方向性や趨勢をきちんと認識できることが、企業にとってより大切なことではないだろうか。
 もう一つは「読める」ということである。すなわち、「新常態」下の中国は、日本企業にとって従来に比べて理解しやすいものになるということである。成長のスピードよりも品質にこだわる傾向は、 日本のこれまでの成長軌跡に合致している部分も多く、日本企業にとっては自らの経験をもとに 中国の先を「読める」部分が出てくるはずだ。中国の政策動向や制度の行方が読みやすくなるだけでなく、社会ニーズ、とりわけ中国消費者のニーズを読めることがきわめて重要であろう。』

 

 そして最後は以下の文章で締めくくっています。

『日本が高度成長から成熟成長へ移行する構造において、日本企業はあらゆる産業分野でさまざまな革新・進歩を遂げ、ノウハウを蓄積してきたが、特に高度な産業分野にそのノウハウが凝縮された。しかし、そのような高度なノウハウはこれまでの中国の産業発展段階に必ずしも適したものとは限らなかった。簡単にいえば、両者のレベルには差がありすぎた。「新常態」下の中国では、日本企業のノウハウが優位性を発揮する場が必ず生まれるはずである。 日本企業には、「新常態」を危機ではなく、新たな安定発展期間ととらえ、自信と誇りを持ってその潮流の一歩先を攻め、新たに生み出される「機会」をつかんでいく気概が期待される。』

 

 詰まるところ、やっと日系企業が活躍できる「正しい土俵」が造成されたと言うことなのでしょう。これまでは日中間の様々な大きな「違い」や「誤解」に翻弄されてきた日系企業でしたが、やっとその時代が過ぎ去り、まさしく日系企業にとっても「新常態」が訪れたとみるべきなのではないでしょうか。

 

 そんな中、前回紹介した中国江蘇省常州市の常州外国語学校で発生した土壌汚染問題はその後の調査でより大きな問題があったことが発覚し始めています。この問題の背景には、単なる民間企業の行き過ぎた汚染物放置だけが問題ではなく、官も絡んだ腐敗不正の結果であったことが明らかになりつつあります。確かにどんなに企業側が悪徳でも、それを防ぐ行政の監査や調査もさることながら排出認可などの防御策があったはずなのです。しかしそれらが機能しなかった背景には大きな問題が潜んでいると見るべきです。

 

 「新常態」を語るとき、以前と何が大きく変わったのかと問われれば、それはITとインターネットの発達で、中国も「嘘が通用しない社会」に近づいてきたと言う答えになるでしょう。つまりこれまでの「権力」絶対社会からその構造変化が起きてきた、つまり大きな社会革命が起きている結果です。改革開放後の経済成長は著しかったのですが、その副作用としての汚染と汚職の蔓延、そしてこれが新常態を揺るがす大きなリスクであることを中国政府が最もよく分かっているのです。まさしく、NRIの著書が言うところの「見える」、「読める」が可能となった時代的背景なのです。

 

 しかし、これらの大きな社会的課題をどうやって解決していくのか。意外と思うかもしれないが、その鍵は実のところ日本が握っています。これまでの発展過程で環境をお座なりにし、関心を持ってこなかったためエネルギーや環境対策について、中国国内は上から下まで全くの素人集団となってしまっているからなのです。日本の技術やノウハウこそ、今まさに中国がのどから手が出るほど欲しがっているものです。今こそ、日本企業が活躍できるチャンスといえます。

 

 最後に、以上の事実から見えてくる「新常態」開拓の為の秘訣を紹介しましょう。これらのポイントを押さえて置くことが今後の中国ビジネス勝利の鍵となります。

 

1. これまでの中国観を捨て去れ。今はもう全く違った社会である。ただし事が通用する社会になった。

2. 日中ビジネスの今後は全て売り手市場。当然日本が売り手である。買ってもらうのではなく、売ってあげるとき。

3. 日本の真のポテンシャル、素晴らしさ、優秀さをもっと積極アピールすべき。もっともっと知ってもらう必要がある。実体験で日本の良さを知ったら後戻りはできない。


 中国は今、大きく変化しようとしています。その変化は痛みを伴うものかもしれません。大変化は確実に起きます。そしてその変化は日本の企業にとってはチャンスとなるものなのです。しっかりとした情報とネットワークを持って、このチャンスを生かすことが必要です。

 



cdim at 20:09コメント(0)トラックバック(0)国際 
 海外からの旅行客は近年、うなぎのぼりに増えてきました。九州は地理的な優位性もあり、アジア戦略を繰り広げ、韓国や中国、台湾からの旅行客を多く獲得してきました。2015年の九州における外国人入国者数は277万6,648人であり、過去最高であった前年の167万5,231人から65.7%の増加でした。驚くほどの増加率です。
 福岡港には海外のクルーズ船の寄港が増えていますし、福岡空港は、ソウル、釜山、上海、香港、台北、シンガポール、ホーチミン、マニラ、ホノルルなどを結びます。
 最も多いのは韓国からの旅行者。その他、中国や台湾などから団体客も多く訪れます。まず、福岡に入り、そこから、大分や長崎、熊本、鹿児島などを回るルートが出来上がりました。九州新幹線は平成16年に新八代〜鹿児島中央間、平成23年に博多〜新八代間が開業しました。九州の高速道路も整備され、非常に便利になりました。それにつれて、熊本や大分への外国人旅行者の数も増えてきました。なんといっても魅力の一つは素晴らしい温泉。別府温泉、湯布院、黒川温泉など日本でも著名な温泉があります。文化・歴史も充実していますし、食文化も優れていて、九州フードファンも多くいます。
 これからさらに外国人観光客が増えると予想されていたこの時期に、熊本地震が起きました。熊本地震という名称がつけられていますが、大分県でも被災地があり、湯布院などは直接的な被害を受けています。また観光という点では福岡などにもかなり旅行者のキャンセルがあり、今後、どのくらいの影響があるかが不明です。
 今もまだ、余震が続いており、地震がおさまっているわけではありません。しばらくの間は、観光客を積極的に呼び込む体制にはならないでしょう。しかし、熊本県や大分県などにおいては観光は主力産業の一つです。復興するには、観光産業の落ち込みをできるだけ防ぎ、観光客の回復をはかる必要があります。
 まだ報道からの情報しかわかりませんが、熊本や大分の観光地や温泉地では、深刻な被害を受けたところもありますが、被害が限定的で、すでに営業を再開しているところもあるようです。
 外国人観光客は消費額も大きく、地域経済への貢献度は高いとみられています。外国人旅行者の数が相当に落ち込みそうです。東日本大震災の時には福島原発事故が起きており、放射能被害への懸念から回復に時間がかかりました。今回は原発事故は起きていませんから、地震がおさまれば、やり方によって、かなり早い段階で旅行客が戻ってくることも可能でしょう。復興のためにも、復興のシンボルとしても、観光地の活性化は重要なテーマになります。
 今、次々と交通網も回復しつつあります。ゴールデンウイークを前にして、熊本空港が一部、復旧しています。また九州新幹線も再開しました。九州自動車道や九州中央道も、全面開通とはならなくてもかなりの部分が復旧しています。熊本港のフェリーも動き始めているようですから、かなり物資と人の動きができるようになりました。
 まず重要なのは、正確な情報の提供です。メディアはニュース性を売るという性格から、厳しい状況を中心に報道し続けます。海外メディアは報道の十分な時間があるわけではありませんから、特に被害の厳しいところの映像を流します。被害が少なかった観光地やすでに営業を再開しているところのニュースはほとんど報じられません。まずは各観光地で全体像の情報を正確にインターネットなどで提供することが重要です。英語、韓国語、中国語などによる情報提供も大切です。どのようになっているのかわからない海外の地に観光に行くことはありません。
 また、観光地が活気を取り戻すためにも、過度の「自粛」はかえって復興を遅らせることになります。おそらくもう少しすると、観光客を受け入れる体制の整った観光地も増えてくるでしょう。余震がおさまったら、むしろ観光地に足をのばして、活気を取り戻させることも復興支援の一つになります。そして問題がなければ、それをSNSなどで情報を提供すること。観光地の復興は、シンボル的な意味も持ちます。 地域全体を復興させるための勢いをつけるためにも、閑散とした観光地ではなく、笑顔のある観光地となることが重要です。
 ゴールデンウイークはあまりに近すぎるかもしれませんが、夏休みには旅行者、特に海外からの旅行者も回復できるような支援と活動が望まれます。 

cdim at 15:22コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月23日

 中国の大気汚染は目立つのでよく話題になりますが、さらに深刻なのが土壌汚染です。土の中に染み込んだ化学物質は長い年月をかけて地下水に入り、農産物を汚染し、身体にも大きな悪影響を与えます。それを除去するには巨額の資金と長い年月がかかります。ほぼ不可能と考えられるような状態に陥っています。
 読売新聞(2016年4月18日付)が以下の汚染による影響を伝えています。

 「上海紙・東方早報などによると、中国江蘇省常州市の常州外国語学校(中学・高校)で、昨年9月に新校舎に移転後、生徒493人に皮膚炎などの異常が見つかった。

 湿疹や気管支炎を訴える生徒もいるほか、白血病のような深刻な症状も出ている。隣接する化学工場跡地の土壌汚染が影響した疑いが強まり、同市当局が調査している。

 化学工場跡地では地下水から基準値の約9万4800倍のクロロベンゼン、土壌からも約7万8900倍の同物質が検出された。工場の元従業員によると、作業の手間を省くために廃水を工場外に流したり、廃棄物を地中に埋めたりしたという。

 中国は土壌汚染が深刻で、汚染物質を排出する企業690社の敷地や周辺で行った調査では、調査地点の36%で基準値を超える汚染物質が見つかっている。 」
 非常に酷い状態です。これが特別というよりも氷山の一角と見たほうがいいでしょう。中国ではこれから長期にわたって、土壌汚染による健康被害が増えると予想されています。
 中国の環境保護省は全国的な土壌検査の結果を発表しています。それによると、国土の3分の2に当たる約630万平方キロメートルのうち、約16%の土地と耕作地の約19%で基準値を上回る汚染が確認されたことを明らかにしています。中国は広大な国です。そのかなりの部分で汚染が確認されていることは信じがたいことです。工場跡地には、予想できないくらい酷い汚染があります。カドミウムやヒ素、クロム、鉛などの重金属が土地に含まれています。どうしてこのような事態になったのでしょうか。
 いくつものパターン、要因があります。
 まず、工場排水をほとんど浄化しないで、川などに垂れ流しにしていました。中国の川は日本のように急流でないので、重金属は川に淀み、時間をかけてまわりの土地を汚染していきます。
 汚染した川の水をそのまま農業用水として使うなら、農耕地はあっという間に汚染されます。工場排水をそのまま農業用水として使うこともあるようです。
 政府は川などへ工場排水をそのまま流すことを規制し始めました。費用のかかる浄水装置をつけなければなりません。そこで考案されたのが、土地に高圧力をかけて工場排水を流し込む手法です。高圧をかければ土地の中に工場排水が入っていきます。これがかなりの場所で行われているといいます。そうなると工場の土地は凄まじい汚染土壌となります。常州外国語学校の建っている工場跡地が大変なレベルでの重金属汚染土壌であることもこうしたことが原因であるのではないかと推察できます。
 それはやがては地下水に入ります。中国では地下水が非常に重要な水資源です。農業用水としても使われます。こうした過程を経て、広大な土地が汚染されているのです。
 土壌汚染が自然に回復するには数百〜1000年の時間がかかるといわれます。人間が生きている時間よりも長いのです。これを解消するには、土地を入れ替えたり、土壌を洗浄するなどしなければなりません。ただここまで広大だと、どこから手をつければいいのか、ということになります。地下水が汚染されていくと、中国は使える水が足らなくなります。地下水の絶対量も減り続けています。その質がさらに悪化すると、工業においても農業においても、人々の生活においても大きな問題となります。
 日本の土壌浄化の技術や水の浄化技術は優れたものがあります。あまりに広大な汚染なので、どこまで浄化できるのかはわかりませんが、そうした技術を活用することは重要です。さらに汚染させないことが何よりも必要です。




cdim at 20:33コメント(0)トラックバック(0) 
 アメリカのオバマ大統領が、伊勢志摩サミットの閉会の直後の5月27日に広島を訪問する方針を固めたことが報道されています。微妙だと思っていましたが、ここまで報道されればまず、広島訪問は固いとみられます。
 オバマ大統領は就任直後にプラハで有名なプラハ演説を行いました。オバマ大統領はプラハで核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として米国が先頭に立ち、核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意を明言したのです。オバマ大統領への期待感も高い時期でした。このプラハ演説と「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけは、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞に繋がりました。ノーベル平和賞は、それまでの実績で評価されるものですから相当に異例なことでした。
 確かにオバマ大統領は、アメリカ大統領としてはハト派的な政策志向を持っています。しかし、その後に核兵器軍縮について目立った成果を挙げたわけではありません。ロシアのプーチン大統領がかなりタカ派的であることや、イスラム国のテロに対抗するということから強硬スタンスを見せる必要があったことも影響しているでしょう。
 オバマ大統領の任期の最後になって、広島への訪問となり、まさに「プラハで始まり、広島で終わる」という感じになりました。アメリカでは大統領選の予備選が行われています。本選に入ったら、民主党からの大統領であるオバマ氏が広島に訪問するのはかなり厳しくなります。現役の大統領として広島に訪問するタイミングとしては、伊勢志摩サミットの前後しかなかったといえます。
 なにはともあれ、現役のアメリカ大統領が広島を訪問することは非常に大きな意味があります。オバマ大統領はまだ54歳。これからの「元大統領」としての活動期間も長いものがあります。広島・長崎を訪問して、被爆の実相に触れて、大統領としては中途半端であった核軍縮の活動に力を入れてもらえるなら素晴らしい展開になると思います。えてして、政治家は現役の時よりもリタイアしてからの方が重要な仕事をすることもあります。
 本当にわずかな時間の滞在になるのでしょう。献花して、原爆資料館を回り、ヒロシマ演説をして、すぐに岩国から専用ヘリで東京ということなのでしょう。それでも大きな意義です。
 核軍縮については、日本がイニシアティブをとるべきポジションにいます。日本政府はこれまでずっと抽象的な表現では核兵器廃絶を訴えてきました。国連でもこのレベルであれば提案をしてきました。しかし、具体的な内容となるとアメリカへの「配慮」もあり、消極的でした。今回のオバマ大統領の広島訪問が、日本政府の姿勢にも変化をもたらすことを期待しています。
 東アジアには、中国、北朝鮮、ロシアと核保有国がいます。韓国も核保有について議論をしています。もちろん世界一の核保有国アメリカは日本や韓国と同盟関係を持っています。この地域は核の危険地域とも言えます。真剣に核軍縮を訴え、行動すべき時だと思っています。 

cdim at 07:37コメント(1)トラックバック(0)平和 
 舛添要一東京都知事の海外出張の経費が話題となっています。かなり高いです。
2014年2月のロシア・ソチへの2泊5日の冬季オリンピック視察では、8人で3148万円。
2014年4月の中国・北京への2泊3日の友好都市訪問では、9人で1094万円。
2014年7月の韓国・ソウルへの2泊3日の友好都市訪問では、11人で1006万円。
2014年9月のロシア・トムスクへの4泊6日のアジア大都市ネット出席では、12人で2363万円。
2014年9月の韓国・仁川への2泊3日のアジア大会出席では、15人で1024万円。
2014年10〜11月のロンドンとベルリンの5泊7日の12年オリンピック会場視察では、20人で6975万円。
2015年10月の韓国・ソウルへの1泊2日のフォーラム出席では、11人で644万円。
2015年10月のパリとロンドンへの5泊7日のラグビーワールドカップ視察では、20人で5041万円。

 今、問題となっているのは、2016年4月のアメリカへの出張です。往復にはファーストクラスで運賃は約225万円かかっています。知事のホテル代は1泊約15万円です。ロンドンやパリではホテル代は1泊20万円程度だったそうです。確かに、ニューヨークなどのホテルは高いですが、15万円も必要かどうか。ファーストクラスが必要かどうか。
 舛添知事は、急な要人の訪問の備えて、高級ホテルのスイーツルームが必要だと主張しています。また、東京都のトップが海外出張するにはそれなりのホテルに泊まり、航空機では上のクラスの席に座るのが必要だと言っているようです。
 これはあまりに使いすぎという感じがします。欧米では多くの場合、自治体のトップの海外出張の費用は非常に制限されます。友好都市、姉妹都市提携の調査をしたことがありますが、日本の政治家が非常に贅沢な出張をするのに対して、対応する自治体からはかなりは自費でやってきます。市長もエコノミークラスです。それでは申し訳ないということで、日本の自治体側が日本への訪問の場合にはビジネスクラスのチケットと高級ホテルを提供することもありました。日本の自治体に呼ばれると素晴らしい経験ができると、喜ばれていました。逆に言えば、日本がなんと贅沢をしてきたか、です。アメリカの自治体なども厳しいチェックがあり、海外出張自体もかなり限定されます。ファーストクラスで出張は非常に難しいです。ビジネスクラスも。税金で海外出張は厳しいチェックと制限があるのです。
 スウェーデンに留学していたとき、市のトップから相談を受けたことがあります。「日本の自治体から会議の招待を受け、ぜひとも参加したい。しかし、自治体が出してくれることはまずないので、自費で行かなければならない。自分の車は古いのでその会議まで修理が必要なければなんとか行けるのだが。。。」ということでした。招待した日本の自治体の市長はファーストクラスでやってきて、もちろん高級ホテルに泊まっていました。当然、自治体の予算です。あまりの政治文化の差に驚かされました。
 最近はさすがに日本の自治体も海外出張にはかなりの制限があります。それでもまだこうした贅沢海外出張があるのですね。
 舛添知事は、無駄なことはしていない、と言っていますが、自治体の海外出張文化がまだおかしいままだということだと思います。 ビジネスクラスでもかなりの贅沢。ファーストクラスでなければならないことはないはずです。ホテルも東京都の設定している上限があるなら、その差額は個人で払っていいはずです。安くして、少しでも倹約しようという姿勢が見えなければ、都民や市民もついてこないはず。
 自治体の長の風格は、泊まるホテルや航空機のクラスで決まるものではないはずです。世界で最も貧しい大統領といわれたウルグアイのムヒカ元大統領とまではいいません。それはまずマネができません。ただ、住民感覚は政治家は持つべきだと思います。 

cdim at 01:06コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年04月22日

 私は昨年の9月から衆参同時選挙の可能性について書いてきました。その当時は半信半疑の人が多かったのですが、今年に入ってから同時選挙の可能性がクローズアップされてきました。衆議院議員もかなり浮き足立ってきて、3月くらいには衆参同時選挙ありきでの動きも見え始めました。私も衆参同時選挙はほぼ確信するに至っていました。
 しかし、熊本地震により状況が一変しています。震災によって、安倍首相の動きは報道されるものの。野党の動きはほとんどニュースになりません。ですから見方によっては自民党がさらに有利になっています。伊勢志摩サミットからすぐに衆参同時選挙になったらおそらく大勝すると予想されます。
 しかし、九州の多くの自治体は地震によって選挙どころではありません。国政選挙において自治体が果たさなければならない仕事はかなりあります。自治体職員もかり出されます。それでなくても人手が足りない状況にさらに人手をとることになるとさすがに、これは「人の道」から外れているというもの。被災地では投票所となるはずの体育館や集会所は避難所と化しています。多くの家屋が崩壊、あるいは崩壊の危機にある状態では、選挙どころではありません。九州から離れて、「疎開」している人もいます。
 参議院選挙はやらなければならないでしょう。同時選挙になるから仕事量が倍になるわけではありませんが、それでも負担は増えます。それをできるだけ減らして、少しでも復興を早くするようにするのが政治のあり方として当然だと思います。また選挙自体が費用がかかります。できれば参議院選挙も遅らせたいところですが、これは仕方ないかもしれません。
 参議院選挙では直近の2回のケースをみると、かかる費用は500億円を少し切る程度です。衆議院選挙はそれよりもかかります。2012年の衆議院選挙では650億円が使われたと報じられています。産経ニュースでは800億円となっています。衆参同時選挙となると単純に足し算にはならないにしても、おそらく800億円〜1000億円がかかるのではないかと見られます。衆参同時選挙とすると300億円〜500億円がさらにかかることになります。当然のことながら、その費用を復興に使うべきだという意見がでます。
 費用だけではありません。衆参同時選挙のために自治体職員や関係者の時間が使われるなら、被災地では復興が遅れます。また6月に衆議院解散となってからは衆議院議員も選挙にかかりっきり。政治の空白が生まれます。一ヶ月半の間、大きな決定はできなくなります。
 こうなると、衆参同時選挙が与党に有利だ、不利だ、といった論理で、選挙を決めてはなりません。来年でも再来年でも衆議院選挙はいいではないか、という主張が正当性を持ちます。まだ余震がある状態。6月7月に問題が解決しているわけではありません。少なくとも衆議院解散総選挙までは時間を持つべきです。
 さすがに安倍内閣もこうした主張には耳を貸すでしょう。貸してほしい。衆参同時選挙はない、と思います。
 では時期はいつになるか。かなり難しいです。衆議院は自民党、公明党、おおさか維新の会で3分の2を超えます。無理をすることもありません。解散しなければ、2018年12月まで選挙なしでもいいのです。消費税アップを来年に行い、ほとぼりがさめた頃に解散総選挙、というのもありです。2018年初夏まで衆議院解散総選挙なし、という可能性も出てきました。
 まずは参議院選挙の結果を見ましょう。自民党が勝つのは間違いないでしょうが、どのくらいの勝ちになるか。それによって安倍内閣の寿命が決まります。
 

cdim at 22:01コメント(2)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年04月19日

 日本に対する好感度や信頼度についての興味深い調査結果が出ています。公益財団法人新聞通信調査会が、2016 年 1 月に「諸外国における対日メディア世論調査」として実施したものです。調査は、アメリカ・イギリス・フランス・中国・韓国・タイの6カ国において、各国約 1,000 人の回答を得ました。アメリカ・イギリス・フランス・韓国は電話調査、中国・タイは面接調査で行っています。

 その中の結果のいくつかを見てみましょう。

*「あなたは、次の国々についてどう思っていますか。」
1.とても好感が持てる
2.やや好感がもてる
3.あまり好感が持てない
4.全く好感が持てない

アメリカが好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位イギリス(85.7%)、2位フランス(81.0%)、3位日本(78.6%)、4位タイ(57.7%)、5位中国(42.1%)、6位韓国(39.5%)
イギリスが好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位フランス(80.2%)、2位アメリカ(79.4%)、3位日本(69.7%)、4位タイ(62.5%)、5位中国(49.6%)、6位韓国(30.5%)
フランスが好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位イギリス(79.8%)、2位アメリカ(76.0%)、3位日本(73.2%)、4位タイ(59.7%)、5位韓国(49.8%)、6位中国(44.5%)
中国が好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位フランス(82.3%)、2位イギリス(82.6%)、3位韓国(74.8%)、4位タイ(61.9%)、5位アメリカ(57.5%)、6位日本(27.8%)
韓国が好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位アメリカ(79.8%)、2位イギリス(71.3%)、3位フランス(70.1%)、4位中国(55.6%)、5位タイ(48.3%)、6位日本(32.3%)
タイが好感が持てる(「とても好感が持てる」「やや好感が持てる」の合計)と答えた割合
1位日本(90.8%)、2位イギリス(85.6%)、3位アメリカ(79.4%)、4位フランス(76.2%)、5位韓国(66.8%)、6位中国(51.5%) 

 日本に対しての好感度では、タイは非常に高く、アメリカ、イギリス、フランスにおいてもかなり高いことが分かります。欧米3カ国では3位ではあるものの、上位3カ国はいずれも高い数値です。タイに至っては90%を超えています。問題は、中国と韓国での数値の低さです。どちらにおいても最下位の数値で、30%前後ですから、非常に低いです。隣国といわれる中国と韓国で、好感度がここまで低いのはやはり問題です。関係の改善が望まれます。
 中国と韓国が他国からの好感度が低いのも注目されます。アメリカ、イギリス、フランス、タイにおいて、中国と韓国は、5位と6位を分け合っています。 
 中国において、アメリカの好感度が低いのも注目です。アメリカは好感度がかなり高い方ですが、中国においてのみ、好感度が5位となっています。

日本の信頼度についての質問をみてみましょう。
*「あなたは、日本を信頼できる国だと思いますか。」

アメリカ
1.とても信頼できる(23.1%)
2.やや信頼できる(49.9%)
3.あまり信頼できない(15.0%)
4.全く信頼できない(7.2%)
5.わからない(4.9%) 

 

イギリス
1.とても信頼できる(28.7%)
2.やや信頼できる(48.3%)
3.あまり信頼できない(10.7%)
4.全く信頼できない(4.4%)
5.わからない(8.0%) 

フランス
1.とても信頼できる(31.8%)
2.やや信頼できる(42.5%)
3.あまり信頼できない(15.1%)
4.全く信頼できない(7.1%)
5.わからない(3.6%)  

中国
1.とても信頼できる(2.8%)
2.やや信頼できる(14.8%)
3.あまり信頼できない(35.6%)
4.全く信頼できない(46.1%)
5.わからない(0.7%)  

韓国
1.とても信頼できる(1.9%)
2.やや信頼できる(15.3%)
3.あまり信頼できない(41.6%)
4.全く信頼できない(39.5%)
5.わからない(1.8%)   

タイ
1.とても信頼できる(23.8%)
2.やや信頼できる(68.7%)
3.あまり信頼できない(6.4%)
4.全く信頼できない(0.7%)
5.わからない(0.4%)   


 日本に対する信頼度をみると、アメリカ、イギリス、フランス、タイでは非常に信頼度が高いことが分かります。タイではとても信頼できるとやや信頼できるを合計すると、実に92.5%になります。相当に高い信頼を得ています。対照的なのが、中国と韓国です。両国ともに、とても信頼できるとやや信頼できるを合計しても2割に満たない状態です。逆に、両国ともに、あまり信頼できないと全く信頼できないを合計すると8割を超えます。
 非常に明確な傾向です。中国、韓国では日本は好かれておらず、信頼もされていないということです。一方、アメリカ、イギリス、フランス、タイでは、日本は好感度も高く、信頼度も高いという結果になっているのです。東アジアの政治状況は不安定です。それだけに、日本が中国、韓国といい関係にないということは、リスクでもあり、またお互いに大きなマイナスです。いかにこの関係を改善していくことができるのか。お互いに「好き嫌い」を超えて、考えていくべき時にあると思っています。 



cdim at 22:51コメント(0)トラックバック(0)社会 
 熊本地震においてもエコノミークラス症候群が問題となっています。エコノミークラス症候群というネーミングの是非はここでは特に触れないでおきましょう。このエコノミークラス症候群は、静脈に血栓が生じ、静脈での狭窄・閉塞・炎症が生ずるものです。車中泊していた熊本市の50代女性が死亡したことが報じられています。また他にもエコノミークラス症候群の症状で病院に搬送された人がいます。その患者のほとんどは、避難のため車中泊していたといいます。

 この主な原因は長時間同じ姿勢で居続けることとされます。長時間のフライト、特にエコノミークラスでは同じ姿勢で居続けることが多く、この症状が出やすいのです。車中泊においても同様に動くことがあまりできません。同じような症状が出ることがあります。
 注目すべきデータがあります。現在報じられている情報では、「死亡した患者も含む17人の男女の内訳は、女性15人、男性2人」(熊本日日新聞4月18日付)とあります。圧倒的に女性がこの症状を発症しています。
 この症状は、血栓が生じるものですから、水分の摂取が大きく影響します。血液の水分が少なくなると固まりやすくなります。水分をしっかりとり、身体を動かすことがエコノミークラス症候群を防ぐために重要だと言われます。女性にこの症状が多く出るのは、多分にトイレとの関係があります。震災時には断水もあり、水洗トイレが使えなくなるケースがでます。また避難者が集まると、トイレが全く足りなくなります。特に女性トイレはなかなか空かず、長蛇の列で待たなければなりません。こうした非常時には男性は木陰などで「小」は済ませることができるのに対して、やはり女性は簡単にはいきません。昔は「ぼっちゃんトイレ」、つまり汲み取り式トイレもありましたが、最近はほとんどありません。断水になれば、ほとんど使えなくなるのです。
 使えるトイレも多くの人が集中し、水も十分ではないのですぐに汚くなります。最近はウオシュレット式トイレも一般化し、トイレは非常に綺麗になりました。これに慣れていると、できるだけトイレの回数を減らす、つまり水を飲まないようにするのです。コンビニも閉まっているところもありますし、こうした非常時ではトイレの清掃までなかなか手が回りません。トイレが詰まったら修理屋がすぐに来てくれるわけでもありません。車中泊している女性にとってはどのようにトイレに行けるかが大きな問題となっているのです。
 簡単に解決する問題ではありませんが、私は生活水の確保が重要なポイントになると思っています。断水があっても、便を流すことができれば、水洗トイレはなんとか使えます。飲み水となるペットボトルの水を使うわけにはいきません。それも非常に貴重なものです。泥水や汚水を簡易に生活水にまで浄化し、トイレや掃除に使えるようにすることが重要です。私は友人らと泥水や汚水を簡単に手動で浄化するシステムを開発してきましたが、まだ一般的な製品として普及するところまでは出来ていません。残念です。健康のためにはたくさんの水が必要です。
 トイレの整備と生活水の確保。これが震災時に非常に重要なポイントとなっています。水を飲めと言われても、そうするとトイレに行きたくなります。トイレに行けないなら、水を飲まないという選択になるのです。水洗トイレがどこにでもある、という状態に慣れてしまいました。非常時に備えたトイレのあり方を考える必要があります。 

cdim at 22:12コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月18日

 リオデジャネイロ・オリンピックまであと108日。しかしその国家事業オリンピックの開会式にブラジルのトップとして臨席するのは誰なのか、わからない状態になりました。ブラジルの政情はますます混乱してきています。政界だけでなく、社会全体の混乱につながる可能性もあります。そうなった場合にはオリンピックの開催自体も問題になるかもしれません。そこまでいかなくても、スムーズなオリンピックの運営には大きな支障をきたすことになりそうです。オリンピックを間近に控え、ありえないような展開になっています。
 ブラジル下院本会議は4月17日、ルセフ大統領に対する弾劾決議案を賛成多数で採択しました。ルセフ大統領は連立政権を組んでいましたので、下院で弾劾決議案が採択されることはないと見られていました。採択に必要な賛成票は定数513の3分の2の342票以上です。しかし、ルセフ大統領への風当たりは強くなり、情勢が一変しました。ルセフ大統領は、汚職疑惑の捜査対象となっていたルラ元大統領を入閣させ、状況の改善を図りました。しかしこれがむしろ逆効果。民衆の反発を呼び、ブラジル最大政党のブラジル民主運動党(PMDB)などが、連立政権から離脱しました。それによって、弾劾決議案に3分の2以上の賛成票となったのです。

 上院はさらに野党勢力が強く、上院本会議での採択を経て弾劾裁判が開かれることになりそうです。そうなると大統領は職務を最大180日間停止されます。この期間中に始まる弾劾裁判で、定数の3分の2に当たる54人が賛成すれば、大統領は失職することになります。
 上院で弾劾裁判を開くか否かの採決が5月上旬にあると報道されています。そうなるとすでにオリンピックまでは90日を切っていることになります。そこで弾劾決議案が採択されるなら、ルセフ大統領がリオ・オリンピックで大統領席に座っていることはなくなります。
 職務停止中はテメル副大統領が暫定大統領に就くことになっています。弾劾が成立した場合もルセフ氏の残り任期である2018年末までテメル氏が大統領職にとどまることになっています。しかし、ここでわからない要素があるのです。テメル副大統領にも弾劾手続きが始まっています。テメル氏と同じブラジル最大政党の民主運動党に属するクーニャ下院議長は、テメル氏の弾劾手続きに消極的な姿勢を示していますから、弾劾決議案の採択にはならないでしょうが、ルセフ大統領政権下のテメル副大統領の責任も問われる可能性はあります。ルセフ大統領側はテメル副大統領と対立しつつあります。泥仕合に発展する可能性もあります。
 そうなると、ブラジルはリーダーが不明瞭な国となる可能性があるのです。2018年末となればまだ2年以上あります。相当に厳しい状況が予想されます。
 ブラジルの潜在力は確かであり、投資家はテメル副大統領が早い段階でルセフ大統領に代わるポジションをスムーズに得ることを期待しています。そうなれば株価も上がるとみられています。ルセフ大統領の弾劾手続きが始まった時には、こうした予想もあり、実際に株価も上がりました。しかし、どうもブラジルの政治情勢はそんなに簡単にはいかないようです。
 ルセフ大統領側は必死の抵抗をしそうです。オリンピックなんか二の次、という感じの激しい泥仕合が始まりそうです。これは社会情勢の混乱も引き起こしかねません。オリンピックに備えて、ブラジルの治安は随分良くなったと報道されいていましたが、今は逆戻りになりつつあります。国や自治体の予算がショートし、公務員のサービスが破綻しつつあります。
 オリンピックの開催自体が危ぶまれています。延期の可能性もあります。おそらく予定どうりに開催されることにはなるのでしょうが、運営は相当な混乱が予想されます。ひょっとしたら、ひょっとして、「延期」という可能性も否定はできない状況です。 

cdim at 20:57コメント(2)トラックバック(0)国際 
 衆議院北海道5区補欠選挙は24日投開票です。つまりこの1週間しか残されていません。かなりの接戦が予想されています。
 この補欠選挙は町村氏の死去に伴うものです。これまでの選挙状況をみれば、自民党候補者が圧勝するものと思われていました。しかし、自民党の大臣や国会議員の失言なども続き、自民党公認の和田義明氏と無所属の池田真紀氏の差が縮まり、自民党候補の和田氏の圧勝のシナリオではなくなりました。追い上げる池田氏、受け身の和田氏の構図になり、池田氏の勢いが目立つようになっていました。ちょうど、民主党と維新の党などが合流して民進党を結成しました。民進党のメディアの露出はかなりありました。民進党も期待値が高かったわけではありませんが、それでもこれだけ注目されたことは最近はあまりなかったこと。それに自民党議員らの失言や不祥事が重なったことも池田氏の追い上げに繋がりました。
 しかし、今の自民党と民進党との力の差は歴然としています。自民党に気の緩みがあれば逆転の可能性も高くなったでしょうが、接戦になったという報道で自民党がかなり動きました。やはり一騎打ちの勝負となると自民党の方が有利です。イメージ的には民進党の山尾志桜里政調会長の「ガソリン代」問題も追い上げる民進党の足を引っ張っています。自民党議員らの問題も多いのですが、政治家全体に問題があるという感じに映るようになったようです。
 そして、熊本震災が起きました。九州と北海道ですからかなり遠いのですが、影響はかなりあるとみられます。安倍晋三首相が熊本地震への対応を優先し、17日に予定していた衆院北海道5区補欠選挙の応援を見送りました。確かに政府の要人は熊本震災の対応を優先しなければなりませんから、選挙区へ直接行くのは少なくなるでしょう。しかし、メディアのニュースではほとんどが震災の状況が取り上げられます。選挙のニュースが少なくなっています。そして震災関連のニュースではやはり政府の姿勢が映し出され、安倍首相などが登場します。こういう非常時には野党の存在感は少なくともメディアの中では薄れます。
 民進党などとしたら北海道5区補欠選挙のニュースがどんどんと取り上げられ、追い上げをしていき、逆転を狙う算段だったでしょうが、状況は変わっています。
 今回の選挙では野党は、安全保障関連法廃止の一点で共闘しています。しかし、震災という緊急事態の時には自衛隊やアメリカ軍も重要な位置づけになります。TPPなどが前面にでる選挙になればわかりやすいのでしょうが、かつての民主党政権はTPPを先導しました。今でも民進党のTPPに対する姿勢は微妙な状態です。少なくとも選挙の争点にはなっていないのです。共産党は明確に反対の意思表示をしていますが。。
 こうなると接戦には違いありませんが、自民党候補者がやや有利な展開になりつつあると言えそうです。ただ、選挙の展開はちょっとしたことで大きく変化することがあります。選挙の前日に結果が動く、とまでいわれるもの。どのようになるのか、まだまだわかりません。投開票まで1週間を切っています。このままの状態であれば、和田氏がやや有利という状態で、選挙を迎えそうです。各メディアの世論調査ではほぼ横一線となっているものが多いようです。


cdim at 20:17コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 
 熊本を中心とした九州大震災は多くの避難者を生んでいます。熊本、大分両県で19万人以上が公共施設などに避難しています。19万人となると、食料や水、毛布などの確保だけでも大変です。特に食料や水は消耗品ですから、毎日、供給が必要になります。
 問題となっているのはその物資の輸送の方法です。鉄道の多くが不通となっています。道路も高速道路はほぼアウトで、一般道路の一部が使える状態です。いろいろなところで遮断されているようで、大量に物資の輸送ができる状況にはありません。空路も今のところほぼ使えない状態です。
 避難者だけでなく、一般の人も食糧などは必要ですし、断水のあるところでは水の供給も必要です。幹線道路が復旧するまでは、他のルートでの物資輸送が必要です。
 まず考えられるのは、自衛隊のヘリコプターによる物資輸送です。ヘリコプターのイメージからはあまり多くの 物資を運ぶことができないと思いがちですが、大型ヘリコプターはかなりの物資を輸送することができます。自衛隊は、CH47Jなど多くの物資輸送が可能なヘリコプターを保有しています。「専守防衛」の方針もあり、日本の物資輸送可能な大型ヘリコプターの保有数は世界的にもトップクラスです。問題はそれを受け入れる側の体制もあります。コストもかなりかかりますから、緊急時にはよくても、常態的に長期にわたっての供給は難しいところです。CH47Jが運べる貨物量は約11トン。1人が1日に必要な食糧(米やおかずなど)を500グラムとして計算すると、約2万人強の食料を運べます。最大量の11トンは無理でしょうし、もっと小さいヘリコプターであれば、その10分の1から5分の1しか運べません。空輸は大量に運ぶのには無理があることは確かです。
 いま、オスプレイの使用も考えられています。確かにオスプレイの最大貨物輸送量は大きいのですが、それには長い滑走路が必要です。垂直上昇となると4.5tしか荷物を運べません。それほど有利なわけではないのです。論議となったオスプレイの活躍の場をみせる、という感が強そうです。
 私が今の状況で最も有力と思っているのが、海路での輸送です。国土交通省によると、熊本港では、埠頭(ふとう)に向かう道路に約40センチの段差が生じ、車が埠頭へ乗り入れられない状況となっています。このことから、フェリーも4月17日までは運休しています。しかし道路の復旧などに比べて早い復旧が可能です。熊本港は有明海の浅瀬のために大型船は入港できませんでした。しかし2013年には、国により岸壁と合わせた係留施設総延長が240mとなり、クルーズ客船等の大型船の着岸が可能になっています。かなりの貨物輸送が可能です。船による貨物輸送は大量に安価にできます。海路を中心に物資の輸送が可能なように整えることが最も効率が良さそうです。
 もう少しすると、ボランティアも大量に熊本に入ってきます。限られた道路が混み合うことも予想されます。海路による輸送をどれだけ本格化できるか。ここも重要なポイントとなりそうです。 



cdim at 12:15コメント(1)トラックバック(0)社会 

2016年04月17日

 コンビニは私たちの日常生活の中の一部となったといっていいでしょう。街で喉が渇いた時も、小腹が減った時も、トイレに行きたい時もまずは、コンビニを探します。都会では5分も歩けばどれかのコンビニにたどり着けるような状態です。
 自治体とコンビニが災害時支援協定を結ぶようになっています。これは心強い。コンビニには、生活に必要なほとんどのものが揃っています。しかも至る所にあるのです。コンビニは地域の被災状況の情報提供の場になります。また帰宅困難者への地図や情報提供の場になります。水道水の提供をします。もちろん、商品を買うことができます。トイレの使用もできます。これで大丈夫、という感じになりますが、実際には様々な限界もあります。コンビニは決して災害に強いわけではありません。
 今回の熊本での大震災では、以下のように報道されています。
 「16日午後5時時点で、ローソンは熊本県内141店のうち約80店、ファミリーマートは163店のうち約80店がそれぞれ営業を停止。営業を続ける店では、食品を中心に品薄の状態になっているという。ローソンは17日午前、バナナ600房とオレンジ1000個をトラックで熊本県内に届ける予定だ。」(読売新聞4月16日)
 まずここで、重要なことがわかります。熊本県内の約半分のコンビニは営業を停止しているのです。おそらく新現地に近いところ、つまり被害の大きいところでは営業停止の割合は高いのではないかと推察されます。店長も店員も被災者です。自宅が崩壊しているかもしれません。公務員の場合には、自らも被災者であっても、住民のために救援活動を行いますが、そうしたことを彼らにどれだけ求めることが出来るでしょうか。また店の一部が壊れたり、商品があちこちに飛び散ったりしています。重要な問題は停電になっていた時には、本部からの指示は上手く届きませんし、レジなどもストップします。業務用の自家発電を持っている店はあまりないようですので、停電した時には暗闇の中で値段もよくわからずに商品を渡し、適当なお金をもらわなければならないようです。これはアルバイトにはほとんどできないことでしょう。店長もどこまでそうしたことをする権限があるかどうか。強盗が入ってきたらどう対応するのか。日常とは全く異なる状況になります。
 また停電の場合には、冷凍食品や要冷蔵食品の取り扱いは難しくなります。特に夏場であれば、どうすればいいのか、微妙です。停電が数時間あった場合、そうした商品を売っていいのかどうか。平時であれば完全にアウトでしょうが、この非常時にはどう判断すべきか。
 また、コンビニにはほとんど「在庫」をおいていません。狭い空間でできるだけ効率よく商売する形をとりますから、「在庫」は極力少なくしています。補給がなければあっという間に商品はなくなります。特に水やすぐに食べることができる食品、懐中電灯や乾電池などはすぐになくなります。商品補給があることが前提になっていますから、それがなければ、開店休業状態になります。
 水道水の提供も水道が機能していることを前提にしています。こうした大震災では断水はよくあることです。水がなければ、今の水洗トイレは使えなくなります。
 地域の被災状況提供も、停電していれば、店長や店員も確かな情報を持っていない状態になります。そもそもそうしたサービスを提供するスタッフの確保が困難になっているかもしれません。
 つまりコンビニが災害支援のセンターとして機能するには大きな限界があることは確かです。しかしそうした課題があるにせよ、コンビニが災害時に果たす役割は小さくはありません。期待は大きい。
 私は災害時に機能するコンビニとなるように、さらに改善を加えていただきたいと思っています。店全体の自家発電をつけようとすれば、150万円前後がかかります。だからあきらめているコンビニが多いのです。しかし簡易型の自家発電であれば、10万円程度でおけます。これで、これが2台くらいあれば、レジを動かしたり、電話・ファックス・コンピュータなどの作動などができます。また、断水時のトイレには、非常用トイレ袋を備えるなどして、水を流さなくても大丈夫なようにすることが必要でしょう。
 コンビニがさらに進化して、災害時の救済センター的な役割が担えるようになって欲しいと願っています。もちろん費用もかかります。全国のコンビニには災害時の募金箱が置けます。 私はそのお金を使ってもいいので、災害に強く、災害時に頼りになるコンビになって欲しいと思っています。

cdim at 18:50コメント(0)トラックバック(0)社会 
 熊本を中心とした九州大震災は、震度5を越える地震が次々と起き、被害が広がっています。テレビは特別ニュース番組を組んで、現在の被災地の状況を伝えています。厳しい状況が報道されています。
 現状では、空路、陸路(道路、鉄道)のいずれも熊本の被災地に入るのはかなり難しいところです。ボランティアで被災者を助けたいという人はたくさんいますが、今の状況で限られたルートを満たすのはマイナスの方が大きいです。しかも個人が入るとその人の食糧や水なども必要になります。時期を考慮して、準備を十分にして被災地に入らないとむしろ負担になってしまうということを考える必要があります。
 一般に震災復興には4つのステージがあるといわれます。時期は災害の大きさや質によってケースごとに変わります。
1.救急救命期 1〜2週間
 震災が起こってすぐは、まずは救急救命の作業が優先されます。現地の住民や専門家が中心となります。下敷きになっている被災者を救ったり、避難した人を安全に保護することなどが必要になります。避難所、医療、水、食事、衣服、毛布、トイレなどが必要になります。この時期はまずは短期的な視点からの救済活動が中心になります。まさに、今はこの救急救命期にあたるといえます。
2.中期救援期 1〜2週間から数ヵ月
 1〜2週間はまさに「生きるための避難」ですから不十分な支援の中での救済になります。いかし、時間が経ってくると、ライフラインを確保しながらの救援が必要になります。この時期に他地域からのボランティアの活動が重要になります。大震災の場合には非常にたくさんの人がかなりの期間にわたって食料などの提供やよりよい避難所などを必要とします。生活のクオリティも重視されます。特に最近は高齢者の被災者が多くなっていますから、健康を維持することも考えなければなりません。ボランティアも中核的ボランティアが中心になり、個人ボランティアがその指導の下に動くというシステムを作らなければなりません。
3.復旧期 2〜3ヶ月から半年、1年くらい
 仮設住宅を建設するとか、被災住居を修復するなどして、まずは被災者の住居を作ることがまず求められます。そうした被災者の生活資金の確保も必要です。また住み慣れた地域とは異なる地域での生活もありえますので、そうした時には新たな人間関係の構築も重要な課題です。
4.復興期 半年・1年〜5年くらい
 地域における産業を蘇らせることも重要なことです。外からの援助だけでなく、自活できる経済・社会構造を作っていくことが必要です。ケースによっては経済、社会構造が完全に崩壊してしまっている場合もあります。それをまた作り直すには国や自治体、地域住民の協力が重要です。
 外部からのボランティアが必要となるのは2の中期救援期です。1週間くらいすると緊急事態から生活のクオリティを求める時期になります。ボランティアも相当に必要になります。救急期の簡易なものだけではなく、持続的な仕組みづくりが必要です。ボランティアの人も準備が必要です。しっかりとした情報の入手も必要です。その意味でも、1〜2週間後に自治体が指導するボランティア組織やしっかりとしたボランティア団体のもとに、必要なものを確認して入ることが求められます。もう少しするとこうした情報も明確になってくるでしょう。個人で動くのではなく、あくまでもチームプレーでの役割分担を受け持つことが必要です。
 今は、なんといっても状況があまりに変化していますし、情報も錯綜します。当面、専門家集団にまかせながら、貢献できる準備をする時期といえます。効率よく、助け合える社会システムを作っていきたいものです。

cdim at 15:22コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月15日

 朴大統領が就任してから3年強が経ちました。朴大統領の主要政策はほとんどうまくいっていません。「運」もあります。韓国がバブル的経済のもとに高度成長した直後の就任です。そのバブル経済の時の無理を引き受ける時にちょうど就任したのです。国民からの期待は高いものの、実際は厳しい環境下での政権運営をしなければなりませんでした。しかし、朴大統領も大国となった韓国のイメージでの政治運営をして、結局これが、状況をさらに悪化させることになりました。まだ任期は2年弱あります。
 しかし、その2年弱の任期で「歴史的業績」をあげるには非常に大きいハンディとなる選挙での与党の大敗でした。最低限、現状維持、できれば少なくとも過半数の議席を得るというのが「歴史的業績」の条件でもありました。与党セヌリ党から公認を得ることができず無所属で立候補し当選した議員のなかから7人が復党。それを足しても、130議席に届かない状態です。完全な大敗です。
 朴大統領が目指したのは以下のものと言えます。
1.経済大国としての発展
2.生活大国としての発展
3.中国との関係強化
4.北朝鮮への太陽政策からの新たな展開
5.反日政策
6.アメリカと距離を置いた関係 
  このほとんどがうまくいっていません。1と2はセットといっていいでしょう。韓国のこの20年の発展はすばらしいものでした。1988年にソウルオリンピックを開催した頃は、まだ非常に不安定な国というイメージでした。1990年代に入り、徐々に経済発展の速度をあげ、アジア通貨危機などを経験するものの、低迷する日本を尻目に、韓国は奇跡の経済発展を実現しました。しかし、この経済発展は、海外からの投資をもとに比較的安かった労働力と相対的に高いレベルの人材能力・技術力で成し遂げたものでした。自己資金比率は低く、いわばバブル経済的な側面もありました。円高ウォン安という状況もプラスに働きました。ちょうど、朴政権に入った頃に歪みが問題化したとえいます。労働力も高くなり、強い労働組合との関係もあり、企業は不況に適応ささせることが困難になりました。安い中国製品と技術力の日本製品との間で、厳しい状況に置かれつつあります。企業の多くにかつての勢いがなくなり、日本が経験した「失われた20年」をこれから経験するのではないかと言われる状態になっています。
 中国との関係強化は、朴政権の目玉とも言えました。経済発展も中国との関係から伸ばそうという意図がありました。しかし、肝心の中国経済が低迷しはじめ、中国への傾倒はむしろマイナスの部分が大きくなりつつあります。北朝鮮をめぐっては中国の方針とずれる部分も出てきました。蜜月時代が終わりつつあると言っていい状態です。
 北朝鮮に対しては太陽政策的な宥和外交を行ってきました。「信頼のプロセス政策」という朴大統領の北朝鮮外交は、南北の対話と信頼をベースにするものでした。しかし、朴大統領の期待を裏切るような形で金正恩第一書記は核実験やミサイル実験を実行します。そして朴大統領を敵視するメッセージを出し始めます。結局、宥和路線は頓挫します。朴大統領は南北対話において歴史的な成果をつくろうとしたと思われますが、これはほぼ失敗です。相手が悪かったといえるでしょうか。
 反日政策はほぼ一貫していました。中国の反日と歩調を合わせるような形で、いわゆる「歴史問題」や慰安婦問題で日本を攻め続けました。国際的にも日本への批判を公言しました。これは韓国にとっても日本にとってもナイーブな問題です。簡単に解決する問題ではありません。この反日政策が長引くと、さすがに日本は韓国に距離を置くようになり、企業も撤退し始めます。政冷経熱といわれましたが、政治の冷え込みも長期に渡ると、経済にも影響します。ワールドカップを共催し、日本では韓流ブームまで起きた頃が思い出せないくらいの変わりようです。しかし、この状態からの脱却として安倍首相と朴大統領は慰安婦問題で合意を交わしました。ただこれも思ったようには進んでいません。
 中国寄りの外交は、アメリカからの不信も引き起こします。アメリカにとって韓国は米韓相互防衛条約を持つ米韓同盟の関係のはずです。将来の敵国ともなりうる中国との関係を強めることは、アメリカにとっても好ましいものではありません。歴史的にも朝鮮半島は中国の支配下にあった時もあります。朴大統領の中国に傾倒する外交は見直しを迫られました。
 いうならば、すべての方向がうまくいかないか、根本的な見直しを迫られています。残された時間は2年弱。しかも来年には大統領選が本格化しますから思い切ったことはできません。そこに今回の選挙での敗北。しかしせっかくの大統領のポジションですから歴史的な業績は築きたいはずです。
 できることはかなり狭まりました。経済政策でまとまった政策は打ち出せないでしょう。さらに混迷すると考えられます。できるとすれば外交です。しかし、建設的なことは今のレームダック状況ではできません。
 そうなると私は、北朝鮮への厳しい外交政策と日本への厳しい外交政策の可能性が高くなったのではないかと思います。 徹底的に金正恩第一書記と安倍首相を批判し、韓国の愛国心を沸き立たせるという方向です。残された2年間は思い通りには政策展開はできません。建設的な政策ではなく、破壊的な政策しかできないのではないかと危惧します。何も大したことをせずに、フェードアウトするという性格でもなさそうです。破壊的政策が韓国をさらに追い詰めることに繋がらないことを祈ります。できれば最後に建設的な政策展開ができればいいのですが。。。 
 最後の花道は冬季オリンピックです。今の状況だとこれにも黄色信号は点っています。花道となるかどうか、です。 

cdim at 10:48コメント(0)トラックバック(0)国際 

2016年04月14日

 田母神俊雄氏は、元航空幕僚長であり、いわゆるタカ派の論客として知られた人です。ズバズバと厳しい主張をし、それでいてユーモア溢れる話をしますから、人気があります。
 その田母神氏は2014年2月の東京都知事選後に、運動員に選挙運動に対する報酬を支払ったとして公職選挙法違反容疑で逮捕されました。衝撃的なニュースです。具体的には運動員買収が問題となっています。田母神氏は、「都知事選後の14年3月中旬ごろ、東京都内の事務所で、事務を統括し選挙運動をしたことへの報酬として島本元事務局長に200万円を支払ったほか、島本元事務局長らと共謀し、同3月中旬〜5月上旬、同事務所などで運動員だった5人に対し、投票を呼びかけて練り歩いたことなどに対する報酬として、現金計280万円を供与した」(毎日新聞4月14日)ことが容疑として浮かび上がっています。公職選挙法は選挙の運動員への謝礼は禁止しています。
 田母神氏は4月13日のツイッターで「本日、田母神は逮捕されるようです。何とも理不尽さを感じますが、国家権力にはかないません。暫く発信できなくなります。」と書き込んでいます。
 ここでこの個別案件に入り込む気はありません。資金の私的流用も疑われていることもありますし、事実の解明が待たれます。
 私が気になっているのは、この公職選挙法の「理不尽さ」です。公職選挙法によると、選挙管理委員会に登録されたうぐいす嬢ともいわれる車上運動員や事務運動員らに対する法定の範囲内での報酬支払いだけが認められています。重要なのは、選挙運動員には報酬・アルバイト料を支払うことはできないということです。選挙運動はボランティアですべきものであり、報酬を支払うことはもってのほかです。「ありがとう」「ご苦労様」ということで食事を提供するのもアウトですし、お菓子や飲みものも微妙な制限があります。まんじゅうはよくて、ケーキはだめとか、手作りクッキーはOKで、店で買ったクッキーはアウトとか選挙管理委員会によっても微妙に異なる判断がありそうな線引きがあります。インスタントコーヒーはOKで、ドリップコーヒーはだめ、という指導を受けた人もいるようです。
 実はこの複雑なルールはいわゆる選挙の素人は、本当に理解に苦しむものです。選挙はプロがやらなければやけどをすると言われます。手伝ってくださった人に食事だけでも、というのが素人の人情的な感覚。しかしこれが命取りにもなります。「選挙はボランティア」というのです。
 ただ、現実はどうなのでしょうか。選挙事務所に行くと、多くの「ボランティア」がいることがあります。企業から「派遣」されてきている「ボランティア」企業戦士もいます。労働組合から派遣されている「ボランティア」スタッフもいます。その他、宗教団体や業界団体などから送り込まれている「ボランティア」がいます。企業からの「ボランティア」は本当に仕事としてハチマキをして頑張っていました。
 これは本当にボランティアと言えるのでしょうか。結局、候補者が当選したら公共事業の発注や情報提供などのひも付きがあります。あるいは政策誘導があります。むしろ政治とカネや権力を結びつける仕組みとなっています。
 選挙に行く人さえ少なくなっている現代において、政策に感銘を受けたということで平日に仕事を休んで、ボランティアで選挙の手伝いに来てくれる人をどれだけ期待することができるのか。完全な「ボランティア」は非常に少ないでしょう。ひも付き「ボランティア」が政治を歪めてきたとも言えます。むしろ、時給1000円で選挙活動をしてもらったほうが、あとくされない、という感じです。
 今回の田母神氏の件を擁護する気はありません。しかし、なんとも現実離れした公職選挙法に「理不尽さ」は感じます。こんな法律を持った国を私は知りません。プロはもっと大きなお金を「合法的」に動かします。素人が入ったら火傷をするという選挙制度にはなにか釈然としないものを感じます。

cdim at 19:18コメント(0)トラックバック(0)政治・公開討論会・選挙 

2016年04月13日

 野球賭博に、バトミントン選手の賭博行為など、ギャンブルに関する話題が続いています。パチンコもパチンコ依存症による生活の崩壊や駐車場の車に幼児を放置するなどの事件があり、厳しい目が向けれつつあります。これからどうなることか、展開は不明です。
 こうした事件が起きると、そうしたギャンブルにはまった人に厳しい非難の声があがります。当然といえば当然です。彼らのギャンブル好きによって多くの人が苦しみ、犠牲になっています。
 なぜ、人間はギャンブルをするのでしょうか。これは私は人間のDNAと関連があると思っています。人類は、時代ごとに大きな環境の変化がありながらも、生き延び、繁栄をしてきました。ずっと同じ場所で同じことをやっているだけでは、おそらく生き延びることはできなかったのです。氷河期には餌を探しに、新たな土地で勝負をかけなければならなかったでしょう。ある時には海を渡ることも必要であったでしょう。山を越え、谷を渡り、未知の地へのベンチャーが求められたです。まさにギャンブルです。当然のことながら成功ばかりではありません。むしろ多数の人がその過程で死に絶えてしまいました。しかしそのギャンブルに挑み、成功した人が新たな繁栄の基礎を築いたのです。ギャンブルなしに人類の繁栄はなかったとも言えます。よく「人生はギャンブルだ」といいます。人類は人生においてギャンブルをするからこそ、現在の繁栄があるとも言えるのです。
 かつて北欧のバイキングたちが、ドイツ、フランスにとどまらずイギリスなどに向かった歴史。ヨーロッパ人が「新大陸」を求めて、命をかけてアメリカ大陸へと向かった歴史。そしてそのアメリカで、フロンティア精神をもって「ゴールド」を求めて、西へ西へと向かった歴史。これらはまさにギャンブルそのものといえます。失敗したら命をなくし、成功したら大金持ちになったのです。
 ギャンブルをしてこそ、生き延び、発展してきた人類。だから、人類にはギャンブルのDNAがしっかりと組み込まれているのです。ギャンブルをして成功した時の喜びを求めるようになっているといってもいいでしょう。
 話を戻しましょう。いわゆる賭博行為にハマっている人を擁護するわけではありません。ここで言いたいのは、それくらい人間はギャンブルにハマりやすい動物だということです。
 だからこそ、現代の社会では、ギャンブルには社会的な規制をしっかりと設ける必要があります。ギャンブルが出来やすい社会を作るなら、かなりの確率でギャンブル依存症になる人はでてくるのです。賭博的な遊技は社会がコントロールできるようにしなければならないのです。安易にギャンブルに関われないようにする工夫やギャンブル依存症になった人はギャンブルの場に行けないようにする仕組みなどを本気で考えるべきでしょう。ギャンブル依存症から立ち直るプログラムづくりも大切です。すべてを個人の責任にするだけではだめなのです。
 人間はギャンブルをする動物です。ギャンブルが好きな動物です。だからこそ、厳しいルール作りと規制が必要なのです。ギャンブルを放置している社会にも、大きな責任があります。


cdim at 22:06コメント(0)トラックバック(0)社会 

2016年04月12日

 ここしばらくギャンブル問題がメディアを賑わしています。今、問題となっているのは違法賭博・ギャンブル。ただ日本には合法ギャンブルがたくさんあります。それにハマっているギャンブル依存症の人もたくさんいます。それらは「合法」ですからあまり問題にならないだけ。非常に多くの人が、多くの家族がギャンブルによって人生を狂わさせらていることを認識する必要があります。
 まずは、野球賭博。読売ジャイアンツの選手が野球賭博に関わっていたことが判明しました。昨年105日、福田聡志投手が野球賭博に関与していたことが分かり、その後、笠原将生投手、松本竜也投手の関与も明らかになりました。そして高木京介投手も関与が最近分かり、4名の選手が制裁を受けました。まさかの出来事でした。
 さらに驚かされたのは、バドミントン選手の賭博行為です。バドミントン男子世界ランク4位の桃田賢斗選手と元五輪代表の田児賢一選手が違法な闇カジノ店で賭博をしていたことが発覚したのです。日本バドミントンの歴史で初めてのメダルが期待された桃田選手。男子も女子も好調で、いわゆるアベック表彰台、あわよくばアベック金メダルなども期待された中での不祥事発覚でした。
 今、世界的に、スポーツ選手の八百長、賭博への関わりが問題となっています。そうした領域にはマフィア、暴力団といった反社会勢力が関わっている可能性が高く、結局、人生を棒に振るスポーツ選手もでてきます。大きな社会問題です。
 現在、日本ではパチンコをどのようにするのか、カジノを合法化するのか、が議論されています。パチンコは形式上はギャンブルではなく遊技(ゲーム)といわれます。しかし、実態はほぼ完全なギャンブル。得ることができたパチンコ玉は特殊景品と交換されます。特殊景品はパチンコ店外に設置されている各都道府県の公安委員会に古物商の許可を受けた景品買取所に売却することを前提とする景品のことです。かつては、ボールペン・ライター石・ペンダント・メダルなど換金性の薄いものが渡されてきましたが、最近は金製品など換金性の高いものに変わっています。とはいうものの、実際にはほとんど同じこと。それらの景品を3店方式というシステムの中で、お金にします。たくさんのパチンコ玉を得れれば、たくさんの特殊景品を得ることができ、それに相当する現金をもらえるのです。誰も、大量のボールペンや大量の金製品がほしいのではありません。現金が欲しいのです。
 パチンコによってギャンブル依存症になる人はたくさんいます。パチンコは実質ギャンブルでありながら民営のスタイルをとっている業界です。これには大きな批判の声があります。3店方式が厳しくみられるようになれば、ギャンブルとしてのパチンコはほぼ衰退してしまいます。パチンコ業界は廃止のリスクを抱えながらの営業です。そこにこの一連のギャンブル事件。パチンコ業界に大逆風が吹いています。
 カジノも日本で合法化するかどうか、微妙なところです。パチンコが庶民の「ギャンブル」であるのに対して、カジノは金持ちの「ギャンブル」と言われます。個人的には、生活保護を受けるような人もハマるパチンコの方が罪深いとは思いますが、カジノでも不幸になる人はたくさんいます。そうした微妙なギャンブルに話題となった一連のギャンブル事件は相当にマイナスの影響をもたらしました。
 公営ならいいのか、という議論も活発化しています。日本の公営ギャンブルには競馬、競艇、競輪などがあります。最近は、自治体などが運営するこうした公営ギャンブルも以前のようには収益をあげることができず、廃止の動きもあります。それらにも強い逆風が吹き荒れていると言えます。
 これだけギャンブル依存症の人が問題化している中では、依存症の人が入れないような仕組みづくりや、そもそもギャンブルをなくしていく方向などが議論される必要がありそうです。これだけ依存症の人が多いのです。法的にも再考の余地があります。



cdim at 21:43コメント(0)トラックバック(0)社会 
 衆院2補選が告示されました。北海道5区と京都3区です。注目はなんといっても北海道5区。京都3区は自民党が宮崎元議員の不倫問題での補選ですから、不戦敗を選択しました。またすぐに衆議院解散総選挙がありますから、その時に有力候補をたてよう、ということでしょう。
 北海道5区の補選は昨年死去した町村信孝・前衆院議長の選挙区です。その町村氏の次女の夫である和田義明氏の圧勝と見られていましたが、これがかなりいい勝負になっています。和田氏は自民党公認で、公明党、日本のこころを大切にする党が推薦し、地域政党新党大地が強力という絶対的に有利な布陣で臨みました。北海道で強い新党大地まで協力となれば、まず問題ないというはずでしたが、自民党の大臣や議員の不祥事・失言なども重なり、一転、苦戦となっています。
 立候補しているのは自民公認で公明党などが推薦の和田義明氏と無所属で民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちが推薦する池田真紀氏。池田氏は大敗するとみられていましたが、今のところ庶民的な雰囲気などもプラスに働いています。人生の苦労がむしろ評価されて互角に近い戦いを進めています。
 今回の補選は、7月の衆参同時選挙の前哨戦と位置づけられています。和田氏が敗れることになれば、衆議院解散総選挙は延期になるという声さえあります。それだけ注目されることになりました。
 この補選は北海道5区で行われています。票を動かす最大の政策テーマは、憲法改正や消費税ではなくTPP(環太平洋パートナーシップ協定)といえるでしょう。TPPの承認を求める議案を審議する衆議院の特別委員会で、西川委員長の議事運営を巡って与野党が対立しました。自民党が提出したTPPの資料は酖匹蠅世蕕院にも関わらず、西川氏はTPPの本の出版をしようとしていて、かなりの情報が公開される予定だったというのです。国会は空転中です。しかもTPP交渉に当たった自民党の甘利前経済再生担当大臣の事務所がUR(都市再生機構)と補償交渉をしていた建設会社から現金を受け取っていた問題も浮上してきました。
 北海道は農業・畜産業・酪農業・漁業の地域です。TPPには敏感に反応します。TPP問題は海外の加盟国との交渉に移り、日本国内での議論はそろそろ終わりかとみられていました。しかしここに来て、またTPP問題が重要な政策議題として浮上してきたのです。
 東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、TPPに関しては、自由貿易をさらに推進して、日本からの輸出を増やすべきという主張から、賛成派が多数を占めます。しかし、北海道においては、やはりTPPに対する不信感も強いと思われます。TPPが選挙の争点となったとき、和田氏は厳しい立場に追いやられます。今でも、和田氏がやや優勢には変わりないでしょう。しかし最後の最後で逆転もありえる選挙にはなっています。
 注目の投開票日は4月24日です。 

cdim at 20:21コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月11日

 ペルー大統領選が投開票されました。まだすべての開票が終わっているわけではありません。開票率61%現在で、ケイコ・フジモリ氏は39%、元首相のペドロ・クチンスキ氏は24%、急進左派のベロニカ・メンドサ国会議員は17%で3位となっています。出口調査でもこの順序でしたから、フジモリ氏とクチンスキ氏の決選投票となる予定です。決選投票は6月5日。今から2か月弱あります。
 フジモリ氏とクチンスキ氏の政治的スタンスは似ています。どちらも経済重視で、開かれたペルーを目指します。メンドサ氏は弱者支援の福祉型社会を目指します。フジモリ氏対メンドサ氏となった場合には、さすがにクチンスキ氏の支援者はこぞってメンドサ氏支持に回ることができず、フジモリ氏有利と見られていました。しかし、フジモリ氏対クチンスキ氏となると、政策的に大きな差がありません。メンドサ氏の支援者はクチンスキ氏に投票する確率が高く、たいへんな接戦になることが予想されます。元大統領のアルベルト・フジモリ氏の影が影響します。つまり、決選投票はフジモリ一族を受け入れるグループ対否定するグループの戦いとなるのです。
 アルベルト・フジモリ氏の評価は本当に分かれます。ペルーを混乱から救い、ペルーの発展の礎を作ったとみる人と強権的な独裁者とみる人にはっきりと分かれます。ペルーの世論を二分するのです。
 単独ではケイコ・フジモリ氏が圧倒的に強い。大統領選と同日に実施された議会選でも、ケイコ氏が党首の「フエルサ・ポプラル党」が勝利しそうです。まだ最終結果がでていませんが、単独で半数の65に迫るといいます。こうした流れからするとケイコ氏が強いのですが、問題は落選した候補者の支持者がどう動くか、です。景子氏は4割前後の票をとっていますから、もう10ポイント強の票を足せばいいのです。メンドサ氏を支持する左派は政策的にクチンスキ氏とはかなり距離があります。ケイコ氏が弱者対策などで、メンドサ氏の支持者の一部をとりこめることができれば、過半数を超えることができます。

 クチンスキ氏の問題点の一つは年齢です。77歳です。ケイコ氏の父であるアルベルト・フジモリ氏と同じ年齢です。さすがに浮動票を多く取れる感じではありません。そして、アルベルト・フジモリ氏は病院に入院しており、かつての豪腕ぶりのイメージはなくなっています。彼の在任期間は2000年11月までですから、もう16年が経とうとしています。若い世代にはその頃のイメージはもうないといっていいでしょう。
 これからの2か月は非常に重要です。反フジモリ一族というだけで、単純に足し算ができるわけでもありません。ケイコ氏がどれだけ父アルベルト氏の強権的なイメージを払拭することができるのか。小差で、ケイコ・フジモリ大統領が誕生する可能性の方が高いと思っています。ペルーで最初の女性大統領の誕生になります。ただこの2か月でフジモリ一族に対する攻撃もかなりあると考えられます。どこまでそれを凌ぐことができるのか。最大の武器はケイコ氏の笑顔のようです。


cdim at 23:00コメント(0)トラックバック(0)国際 
 海外での日本企業による鉄道ビジネスが活気づいてきました。インドでの高速鉄道の受注は今後の展開に大きなプラスになっています。インド西部の主要都市ムンバイと北西部の都市アーメダバード間、約500キロにおける高速鉄道敷設を日本の新幹線システムを活用して整備することが決まっています。日本の鉄道技術は世界的にも最高水準と言われても、これを輸出することはまだまだ限定的です。2007年に台湾新幹線を受注してからの2件目の案件です。フランス、スペインなどヨーロッパの国々と中国との競争になっています。今後、インド、アメリカ、インドネシア、タイ、ブラジル、アフリカ諸国、中東諸国などで大きな成長が見込めます。
 20世紀はまぎれもなく車時代でした。車時代が終わるわけではありませんが、人口が多くなれば限界があります。大量公共輸送機関がどうしても必要になります。鉄道⇒車という感覚でしたが、鉄道⇒車⇒鉄道という新たな流れが出てきています。
 車の限界はなんといっても渋滞です。世界的に産業構造が農業から工業・商業へと移り、人口集中型社会ができています。大都市はますます大都市化していっています。インドはまだ人口が増え続けている国でもあり、車が増えれば、渋滞はひどい状態になっています。朝・夕のラッシュアワーでは車は動かない状態です。ブラジルの渋滞も凄まじい。4月11日付けMEGABRAZILはサンパウロの記録的な渋滞を報道しています。交通工学公社によると、4818時、サンパウロ市内で総距離にして289キロの渋滞が確認されたといいます。2004年に記録を取り始めて以来、歴代最悪の渋滞は201452319時の344キロだといいます。

 人口が増えたり、1家に2台、3台の車の保有となれば、状況はさらに悪化します。車では解決されません。また車の増加は大気汚染の問題やCO2排出の問題を引き起こします。鉄道は、輸送機関としてはエネルギー効率がよく、こうした問題の解消に役立ちます。つまりこれから発展する国にとっては、鉄道の整備は不可欠なものになるのです。
 鉄道ビジネスは作るときだけでなく、長期にわたっての整備点検のビジネスも入ります。車両のリニューアルに関しても最初に受注した企業がまた受ける可能性も高くなります。また日本が持っているダイヤシステムや清掃などのソフトの部分も提供できます。総合的なビジネスが展開できる可能性があります。
 新幹線などの高速鉄道だけでなく、地下鉄も重要なビジネスチャンスです。
インド・デリーを走る地下鉄デリー・メトロには日本からのODA供与があり、日本の建設技術も投入されています。ODAの提供だけでなく、ビジネスとしてこれから展開していくことが必要です。インドの交通渋滞の解消には、主要都市を結ぶ高速鉄道と大都市での地下鉄の展開が求められます。

 東芝はこれからインドで鉄道車両向け電気品を生産していきます。価格を抑えることが求められるので、現地生産も目指していくようです。インドは成長する国です。ここでの成功は、中東などでの展開に繋がります。
 住友商事、三菱重工業、日立製作所はタイ国鉄からバンコク市の都市鉄道工事を受注しています。タイも車社会の限界に近づいている国です。

 鉄道は1トンの荷物を1キロ運ぶ際に排出される二酸化炭素量でみると、車の輸送の約8分の1とされます。鉄道がさらに必要とされるのは間違いありません。ヨーロッパ、中国との競争に勝てるのか。ソフトも含めた総合的なサービス提供が鍵となりそうです。 

cdim at 11:36コメント(0)トラックバック(0) 

2016年04月10日

 中国人観光客の爆買いが話題になっていますが、これが注目されたのは2014年。つまりまだ、2〜3年くらいしかない極めて新しい現象です。中国人観光客は一人あたり消費額が約30万円、買い物額が約17万円と言われます。(観光庁「訪日外国人動向調査」2015年4月〜6月)すごい数字です。中国人観光客はどんどんと増えていますからこの傾向が続くと、日本の百貨店やドラッグストアなどは大いに潤います。廃れていた南部鉄器などもこの中国人の爆買いによって、息を吹き返しました。問題は、これがいつまで続くのか、です。
 中国は人口が多く、これからさらに新たな観光客が来ることや中国の税制の問題、さらには中国での商品の信頼の問題があるので、この爆買いは長期にわたって続くと見る人もいます。低迷を続けていた百貨店などは中国人観光客の免税品の爆買いが救世主となっています。長期にわたるとみて、外国人向けの売り場を大幅に増やしているところもあります。
 まだ2〜3年しか経っていないこの爆買い現象ですが、すでに変化が起きています。まず、一人あたりの購買額が減っています。2〜3割減っていると言われます。そして高級品をたくさん買う傾向が薄れ、日常品を買うようになっています。南部鉄器は、これで湯を沸かすとお茶が美味しいと言われ、本物志向の中国人観光客に飛ぶように売れました。5万円くらいの価格設定だったのが、需要と供給のバランスも崩れ、10万円、20万円のものが売れまくったのです。しかし、徐々にこのブームも収まりつつあり、店によっては在庫を抱えそうです。ここ1〜2年が異常であったといえます。
 爆買いに不利な要因が出てきています。
 まずはなんといっても中国経済の低迷です。中国経済は凄まじいばかりの発展を遂げましたが、バブル的要素もかなりありました。中流階級も増えてきて、これが訪日観光客の多くになっています。彼らの資金の中には不動産なども含まれます。大都市では不動産がどんどんと値上がりし、億を越える価値のマンションを所有する人も珍しくありません。そうした資産を担保に相当なお金を得ることができたのです。そうした経済構造が崩れつつあります。株価も下がる中では、やはり使える資金も限られてきます。中国人が「特別」という時代はさりつつあります。
 円高も進んでいます。アベノミクスの成果かどうかは別にして、安倍内閣になってから円安が進みました。外国人旅行者からすれば、「日本のものは安い」と映りました。しかし、2014年後半から2015年前半くらいまでは1元が20円くらいだったのが、今は17円位になっています。消費を落とします。
 また中国政府は、海外で購入した商品を国内に持ち込む際に課す関税を引き上げました。中国財務省などによると、対象は、入国する個人の荷物や郵便物に対する関税で、これまでの4段階(10〜50%)から3段階(15〜60%)に変更しました。海外での消費を減らそうという中国政府の意図でしょう。
 中国の輸入品にはいくつもの税金がかけられます。「関税」「増値税」「贅沢品などにかかる税」の3つの税です。だから海外に行って持ち帰る方が安くなるという構図でした。しかし、海外で購入して持ち込むものにも関税がかなりかけられるとなると、そのメリットは減少します。わざわざ海外にまで行って買い物をするまでもなくなるのです。
 また一時期の心理的な開放感も爆買いを引き起こす要因でした。それが徐々に薄れてきます。これは中国人旅行者が「普通」になるということです。おそらく異常なまでの爆買いがなくなり、普通の観光客の買い物になっていくのです。爆買いという言葉もかなり早くなくなると思います。来年くらいにはもうなくなっているかもしれません。
 ただ、訪日観光客の数はまだ増え続けるでしょう。中国からの観光客数も減るとは思えません。全体としては、外国人の観光客対策は必要でしょうが、ここ2〜3年の爆買いを想定していてはだめだと思われます。

cdim at 17:15コメント(0)トラックバック(0) 
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