2009年09月21日 12:49

2020年までに二酸化炭素排出量を1990年比25%減

 鳩山民主党は、2020年までに二酸化炭素排出量を1990年比25%減とすることを約束しています。ヨーロッパ諸国からは日本の提案は、多少の驚きもありながら、極めて好意的に受け止められています。日本の排出量は世界全体の約4%です。問題のアメリカと中国はいずれも約20%と突出しており、世界的な協働が求められます。アメリカは京都議定書を離脱し、途上国である中国は排出削減が義務付けられておらず、ヨーロッパと日本が対応しているというのも極めて異常な状況です。

 鳩山首相は、国連気候変動ハイレベル会合で、「25%減」に加え、途上国の温暖化対策を資金と技術で支援する「鳩山イニシアチブ」を提唱するといいます。先進国が野心的な目標を掲げ率先して取り組む姿勢を示し、資金や技術で途上国の参加を促すというのです。確かに日本が世界を環境面でリードするのは小気味よいものです。

 問題は今の日本にそれだけの余力があるのか、ということです。特に2020年までに二酸化炭素排出量を1990年比25%減の約束は素晴らしいものであっても、具体的に一体どうするのか、ということがまだわかりません。政権与党でない場合には、そうしたことを要求しても、実際には水割りされた形で具体的な約束となりますが、政権与党となった今は、この約束はそのまま国際的な約束となります。1990年以降も、日本の排出する二酸化炭素量は増え続けています。温室効果ガスインベントリオフィスによると1990年に二酸化炭素換算1,143,000,000トンであったのが、2007年には1,304,000,000トンとなっています。減らすどころか14%の増です。鳩山政権の約束はこれを2020年までに857,250,000トンとするというのです。つまり現時点の状態からすると35%減を実現しなくてはならないということです。

 高速道路の土日祝日1000円化によって、二酸化炭素の排出量も大きく増えたといわれます。サービスエリア、パーキングエリアは車でいっぱいの状態で、夏にはクーラーをかけながらの車中泊の車が多くなり、アイドリング問題も深刻になっています。民主党は高速道路無料化をマニフェストにあげています。これによってさらに問題は深刻化するでしょう。

 一対どういう具体策を掲げるのか。実現できないものであれば、日本は国際的に立場を失います。環境対策は歓迎しながらも、各国も本当に鳩山政権のいうことは信頼できるものか、と半信半疑の状態です。

 これまでの数字とのあまりの差の大きさに私も本当にできるのだろうか、と不安の方が大きい状態。もっと具体的に政策をあげて、どのようなインパクトがライフスタイルや経済活動に及ぼすのか、明確にする必要もあります。

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コメント一覧

1. Posted by 加藤孝雄   2009年09月22日 09:52
 信濃三郎下流域での直径3尺に及ぶ花火玉の打ち上げは実に見事・新幹線は鉄橋上で数分臨時停車だが、本邦の疲弊した国家運営には過大な目標はいわゆる生物資源科学部のざれ歌「のつぼに嵌る」が如くの未来予測を含む。以上。
2. Posted by 山元 学   2009年09月22日 22:47
>>鳩山民主党は、2020年までに二酸化炭素排出量を1990年比25%減とすることを約束しています。

お・・・おそろしい。
日本はさらに世界中からの笑いものになってます。
日本が世界の4%だからどんなに頑張っても25%低下で世界の1%減
アメリカと中国は二酸化炭素出し放題だから全く意味がありません。
意味のないことをするのは何故かといつも思ってしまう。

その理由は・・・

? 国民が思考力を失っている
? 安易なパフォーマンスはとりあえずはやりやすい
? 実は実現できてもできなくてどうってこと無いことを発案者自身が知っている
? 国民は、ワンフレーズに弱いから票を獲得できる

国民はなめられすぎではないでしょうか?
環境省と環境学者の利権獲得の執念が今はすさまじい。
それに政治家が目をつけて乗り込む。
官僚は出世目指して環境政策を着々と執行する。

二酸化炭素なんて・・・0.04%なのです。
しかも

二酸化炭素濃度↑→気温上昇

なんてのは1950〜1970代において否定された事実です。

確定事実?
気候変動に二酸化炭素は関係なし

?を否定するならなぜ1950〜1970年代に気温が下がっていたのかを明確に説明しなければなりません。







3. Posted by 加藤孝雄   2009年09月23日 11:17
 一部の地球物理学者の間では、1955年ごろに「小氷期」の到来兆候があったが、第二次大戦以後の復興が整い世界的な工業勃興期に大気中に排出された廃熱が地球寒冷化を押しとどめたとーーー。
 かっては利用負荷の廃熱も回収がなされ、温熱エネルギーなり電気エネルギーとして、いわゆる公害源とされていた一部を解消している。以上。
4. Posted by 児玉克哉   2009年09月23日 11:42
二酸化炭素増加が温暖化に影響していることは確かだと思います。問題はそのスケールです。地球の温暖化・寒冷化には温室ガスの問題よりも太陽の活動の度合いの方が大きく影響しているといわれます。1990年代半ば―現在までが太陽の黒点の多く出る時期にあたり、これから減少期になる、といわれます。その理論からすると、これからむしろ寒冷化に備えなくてはならないのだ、と。自然が相手だと、根本的な前提を設けることも難しいことですね。
しかし、いずれにしても、人間の活動による排出物は自然に大きな悪影響を与えていることは確かです。何もしなくていい、とは思えません。ただどれくらい緊急で、どれくらいコストをかけてやるべきか、はなかなか難しい部分があります。

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Profile

児玉克哉

社会貢献推進機構理事長、国際社会科学評議会副会長、国際平和研究学会事務局長、三重大学副学長・人文学部教授などを歴任し、現職。専門は地域社会学、市民社会論、NGO論、国際平和論、マーケティング調査など。国際平和研究学会事務局長〔2000-04年〕として、世界の平和研究の中心的役割を担い、2010年より再度、事務局長就任。また2006年エジプトで開催されたISSC総会にてユネスコに本部を置く国際社会科学評議会の副会長に選出され、2010年からは理事。グローバルな視点から社会科学の発展に寄与している。公開討論会を勧めるリンカーンフォーラム幹事を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。三重県地方自治研究センター副理事長など、自治体問題や地域問題にも取り組む。核兵器廃絶へのプロセスをうたう「ヒロシマ・ナガサキプロセス」を提案し、世界的な運動を繰り広げている。また地産地消から「志産志消」の発想への転換を提言し、その運動の展開も図っている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。
【学歴】広島新庄高校を卒業ののち、広島大学教育学部英語教育研究科を卒業。同大総合科学部大学院修士課程を修了後、スウェーデン・ルンド大学に留学。社会学博士号を取得。

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