2009年02月08日

北海道警察v.s.北海道新聞 第26回(20091.2)第14回口頭弁論 被告高田昌幸記者(元道新デスク)の証言 どうして名誉棄損になるのか、私には理解できない<下>

第26回(20091.2)第14回口頭弁論 被告高田昌幸記者(元道新デスク)の証言 どうして名誉棄損になるのか、私には理解できない<上>の続き


<午後2時50分、原告側反対尋問が開始>


斎藤弁護士 旬報社の本の作成方法について伺う。4人の対談を行い、その後整理したということだが、4人の発言はそれぞれ、根拠を示しながらしたものだ、と宮崎氏(「警察幹部を逮捕せよ」の共同執筆者で補助参加人の宮崎学)は言っている。資料を示しながらということなら、どんな資料を出していたのか。

高田 新聞報道やその他諸々の全般的な資料を広げていた。

斎藤弁護士 では、叱責の場面での発言はどんな資料を示したのか。

高田 明確な記憶はない。午後いっぱい対談をやっており、5時間以上もかかっている。いちいち覚えてない。

斎藤弁護士 では、それについての資料は持っているのか。

高田 当時のやりとりは12月末の段階でペーパーにまとめている。

斎藤弁護士 では、なぜそれを証拠提出しないのか。

高田 その必要はないと、代理人も私も判断しただけのことだ。

斎藤弁護士 ではどこに保管しているのか。

高田 佐藤記者のパソコンの中だ。

斎藤弁護士 座談会の際、叱責の件について「こういう風に何人もの警官から聞いた」などと話したか。

高田 記憶にない。

斎藤弁護士 この場面について、なぜ、いきなり(今回の証言で)詳細な話を主張し始めたのか。

高田 情報源をどうやって守るべきか考えてきた上でのことだ。本日までの裁判の流れから、ここまでなら出せる、と判断した。

斎藤弁護士 本のゲラ刷りを見る段階で、それらの話はしたか。

高田 記憶にない。

竹田裁判長 ゲラ刷りの段階でこの話についてはどう確認したのか。

高田 詳しく覚えていないが、この話について(載せる載せないの)議論はなかった。

斎藤弁護士 対談の時、この話の内容の真実性については話したのか。

高田 記憶にない。

斎藤弁護士 内容の真偽も検証せず、鵜呑みして、大谷(「警察幹部を逮捕せよ」の共同執筆者で補助参加人)、宮崎両氏が相づちを打っていたのではないか。

高田 それは評価の問題なので、何とも言えない。

斎藤弁護士 これは些細なエピソードに過ぎない、といいながら20数人に取材したのは本当か。

高田 この件ばかりではなく、それ以外の裏金の話を取材していた。このエピソードはその過程で「ついで」に聞いていた情報だ。

斎藤弁護士 これは掲載すれば名誉棄損にかかわるから、慎重に取材したのではないのか。

高田 情報集めを指示した意図はそういうことではない。ただ、その後5〜10日にわたって断続的に情報がだらだら入ってきた。

斎藤弁護士 不正経理報道の中で道幹部(元道警釧路本部長原田宏二のこと?)が告発したことに対する道警の動揺を紹介するために原告が叱られた件を紹介した、ということか。

高田 そういう評価もできるでしょう。

竹田裁判長 どういう意図で、この件に関する発言を残したかは分からないか?

高田 ハイ。分かりません。ただ、道警の内部の動揺を示すエピソードであるとは思いました。

斎藤弁護士 この本にある「帯」にある「詐欺、横領、犯罪集団」とはどういう意味か?

高田 言葉通りでしょ。(傍聴席失笑)

斎藤弁護士 これは原告の名誉を毀損する目的でそう書いたんじゃないのか。

高田 全く知りません。そもそも、「帯」の文言に私はかかわっていない。内容の記述も原告の名誉を毀損する目的・意図はなかった。

竹田裁判長 ゲラの段階で「帯」は見なかったのか。

高田 ゲラの段階で「帯」を初めて見た。ただ、止める理由はないと思ったし、そもそも、本のタイトルに関与できる立場ではなかった。

斎藤弁護士 本のタイトルも知らずに対談したのか。

高田 タイトルを決めるのは編集者の権限だという認識です。

斎藤弁護士 この「犯罪者」とはだれを指すのか。

高田 道警の組織そのものだ。特定の個人を指弾するのではなく、組織として連綿と裏金づくりが続いてきたということだ。原告は不幸にして、たまたま組織の中の責任ある役職にいたに過ぎないという認識だ。

斎藤弁護士 講談社の文庫本の「帯」はかかわっていないか。

高田 「見本本」の段階で始めてみた。

竹田裁判長 原告さん、なんで本の「帯」についてしつこく聞いているのか、その意味が分からない。そもそも、本訴訟の争点は3つのエピソードについてでしょ。「帯」の話にそこまでひたすら聞くほどの関連性があるとは思えない。

斎藤弁護士 では質問を変える。この文庫本に原告の写真(正確には佐々木が写っている写真。佐々木が主役のものもあれば、そうでないものもある)を4枚も載せた意図は?

高田 編集者の判断だ。

斎藤弁護士 4枚も載るのは問題だとなぜ思わなかったか。

高田 この裏金報道の記録として重要だとは思った。

斎藤弁護士 でも4枚は多い。しかも一枚は1ページまるまるだ。やりすぎではないか。

高田 それは読者が判断することだ。

斎藤弁護士 訴訟前に道新から原告に送った回答書について、中原と佐藤に話を聞いたと言うが、佐藤は「確認を求められた」と証言している。話を聞かれたとは言ってないが。

高田 確認も求めたし、その前に話も聞いている。

斎藤弁護士 しかし、佐藤は調査を受けてないとも言っている。

高田 調査というかどうかはともかく、私は話を聞いている。

斎藤弁護士 「理解してよ」を聞いた場所が議論になっている。回答書では「25日会」で間違いないと言っていたのに、「キャップ懇」になった。

高田 回答書を投函した前か後かはともかく、文書内容については確認作業を行っている。下書きを書いた段階で、その前に出した文書とほぼ同じなのでこれじゃいかんだろと、(当時の報道本部長の)Yさんが(25日会を)書き加えた。

斎藤弁護士 「分かるでしょ、理解してよ」は誰から報告を受けていたのか。

高田 佐藤からは懇親会で聞いた、という話や自宅で聞いたという報告も受けた。懇親会はどの懇親会だったかは明確な記憶はない。宴会はいろいろあるし、情報も錯綜していた。

斎藤弁護士 25日会に総務部長が出ないと思ったことはなかったか。

高田 普通なら出ないが、彼は出席することがあった。

斎藤弁護士 この文書のやりとりで出てくる「旧知の記者」とは。

高田 佐藤だ。その場であったばかり、というのではなく、道警(記者クラブの)サブ(キャップ)のころから面識があった。そういう意味だ。

斎藤弁護士 新しい佐藤陳述書に付いていた、本部長室周辺の図面の中で、(点線○付近に)何かおいてあった記憶は?

高田 なにぶん、私にとっては遠い記憶なので…。

斎藤弁護士 原告が芦刈さんから叱られた事実を必要十分な方法で確認したというが。

高田 佐藤からの報告で十分確認できている。1つだけではない。いろんな報告を受けている。

斎藤弁護士 情報源について、佐藤から何人の名前を聞いているか。

高田 人数については覚えていない。ただ、直接見聞きした人の名前や人数はわかるが、ここでは言えない。人数を示すことも情報源の特定につながるからだ。

斎藤弁護士 原告は総務と警務の人に聞き取り調査をし、いずれも「取材を受けていない」といっている。情報源の秘匿にはあたらないでしょ。ここにいる人以外から聞いているのか。

高田 お答えできない。

斎藤弁護士 佐藤から話を聞いた際の聞き取りメモはどうしたか。

高田 なくしたか捨てたか。いろんな情報が錯綜し、整理する段階で捨ててしまったのかもしれない。

斎藤弁護士 録音テープは?

高田 答えられない。

斎藤弁護士 叱責の場所を明らかにせよと、何度も言ってきたのに、今まで示さなかったのはなぜか。

高田 提訴前の段階で考えたのは、それを明かせば情報源の特定につながると思った。佐々木さんはOBとはいえ、組織に影響力を持っているのだから。大切なソースの不利益になることはしたくなかった。

斎藤弁護士 でも、今になってここまで示した。情報源の秘匿もくそもないでしょ。

高田 裁判の進行具合を見て、ここまでなら大丈夫、と判断したまでだ。

斎藤弁護士 原告は総務、警務の人に調査して、だれも「取材を受けていない」と答えていることが明らかだ。例えば、総務のIさんになぜ、取材しなかったのか。

高田 佐藤でないので分からない。

斎藤弁護士 Yさん(元道警生活安全部長)の「裏金告白」記事について。これの取材者は?

高田 言えない。

斎藤弁護士 Aさんでしょ。

高田 そうです。

斎藤弁護士 YさんがAさんと雑談しただけなのに、それを一問一答にした。

高田 いいえ。Aの質問にY氏がそう答えたことを書いた記事だ。

斎藤弁護士 記事を載せる際、A記者が「そんな記事は載せないでくれ」と泣いて抗議した事実があったでしょ。(傍聴席の一部から失笑が漏れる)

高田 そんな事実はまったくありません。(「まったく」に強いアクセント)

斎藤弁護士 この記事に顔写真を載せた理由は?

馬場弁護士(道新代理人) 異議。関連性がない。

斎藤弁護士 ジャーナリストとしての姿勢を聞くだけだ(この間、やりとりがいくつかあった)。

竹田裁判長 写真を載せる判断をしたか。

高田 整理部から写真を載せたいとリクエストがあったが、私はいらないと言った。最終的に判断したのは整理部だ。

斎藤弁護士 この記事には年齢がない。通常、この手の記事ではあるでしょ。

高田 今考えると、載せた方が良かったかな、とは思う。なぜ載せなかったかは記憶にない。

斎藤弁護士 なぜ、Yさんの記事を(日本新聞)協会賞応募の中に入れなかったのか。
(「道警裏金問題」取材班は、「北海道警察の裏金疑惑を追及した一連の報道」を評価され、平成16年度の日本新聞協会賞を受賞している。)

高田 単に締め切りに間に合わなかっただけのことだ。提出する冊子を製本する時間も必要だった。

大谷補助参加人 そうだ。こんな時期の記事を入れていたら、締め切りに間に合わないんだよ。

斎藤弁護士 Y氏から電話があったと思うが、何を話したか。

高田 記事が出て困っている、といっていた。いろんな人から文句を言われ、脅迫されている、取材のやり方が卑怯だともいい、身の危険を感じていると話していた。
なので、私は「それなら警察に相談されてはいかがか」と答えた(傍聴席爆笑)。

斎藤弁護士 Sさん(元道警函館方面本部長)の記事(「道警機能不全、総務部長なり手なし」記事のこと〜この記事はS氏の名前はおろか、彼の役職名も出てない)で道新は内部調査をしましたね。

高田 私は承知していない。少なくともSさんの件で話は聞かれていない。

斎藤弁護士 Sさんに対して(原告の)佐藤さんは謝罪しましたよね。

高田 私が受けた報告では、(Sさんが)記事の表現で気分を害したので、それについて謝ったという話だ。その後、Sさんからの抗議は一切ない。

斎藤弁護士 「泳がせ捜査失敗」記事について伺う。これは道警、函館税関に対してどう取材したのか。

高田 答えられない。情報源の特定に結びつくおそれがある。また、この記事は合法的な捜査ではなく、違法捜査の疑いが濃い、という記事だ。

斎藤弁護士 道警などからのコメントは取ったのか。

高田 電話でコメントは取っている。

斎藤弁護士 それは公的なコメントなのか。

高田 何をもって公的というのか(意味が分からない)。

斎藤弁護士 あなたが公的なコメントがないと記事にしないと証言しているから聞いているんです。

高田 きちんと確認を取っている。
(その他、やりとりが錯綜したがメモしきれず)

斎藤弁護士 その記事のお詫び記事で*****しているが。(メモ取りきれず)

高田 おわび記事が出た当時はすでに異動しており、記事に対して判断できる立場ではなかった。

斎藤弁護士 新聞記者がねつ造記事を書くことは許されることか。

高田 許されません。

<以上、原告側からの尋問終了。ここからは裁判所からの尋問>

鈴木裁判官 「叱責された」について。これまでの話を聞くと、取材もしっかりされているのに、どうして「らしい」「ようだ」とぼかした表現を使ったのか。

高田 本人からその事実を聞けていなかった、ということもある。

鈴木裁判官 事実なら断定形で書いてもよかったのでは?

高田 そういう判断もあろうかと思いますが、当時はそうはしませんでした。

竹田裁判長 「叱責」の中身について、それを目的とした取材以外の取材を通じてつかんでいったということですか?

高田 ハイ。叱責について否定するコメントはありませんでした。

竹田裁判長 主要な部分は4人が一致したというが、直接見聞きした人もいるのか。

高田 4人の中には直接見聞きした人もいる。ただし、全員がそうではない。

<以上で裁判所からの尋問終了>


竹田裁判長 で、確認ですが、原告さんから佐藤さんの追加の陳述書についての弾劾尋問はないということでよろしいですね。ハイ。さて、佐藤さんへの補充尋問ですが、陳述書で補充された部分以外の尋問はないということであれば、裁判所の職権でこの尋問はしないことに決します。
さて、原告さんからまた、甲号証が後出ということで出てましたが、その立証趣旨を追加説明してください。要は佐藤さんの陳述書の添付図面でここが違うよ、ということですね。

斎藤弁護士 違っている点を明らかにし、その他は認否しないということです。これについては追って陳述書で補充します。

竹田裁判長 はい。では、双方とも、これまでの経過を含めた主張整理の書面をご準備ください。また、追加の書証は早めに提出を。ここで多少やりとりあり)

竹田裁判長 では次回期日は来年2月23日午前11時からこの法廷で。最終準備書面は前の週の頭までにお出しください。
被告側代理人 次回結審か。

竹田裁判長 その予定です。

 次回は、平成21年2月23日 午前11時から第15回口頭弁論(最終)

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北海道警察v.s.北海道新聞 第26回(20091.2)第14回口頭弁論 被告高田昌幸記者(元道新デスク)の証言 どうして名誉棄損になるのか、私には理解できない<上>

第26回(20091.2)第14回口頭弁論 被告高田昌幸記者(元道新デスク)の証言 どうして名誉棄損になるのか、私には理解できない<上>

 第14回口頭弁論が、平成20年12月15日 午後1時30分から札幌地裁第5号法廷で開かれた。
 当日は、被告の高田昌幸が証言台に立った。
 高田は、道警裏金疑惑発覚当時、道新編集局報道本部デスクで道警裏金問題取材班の中核メンバーだった。
 当日の特別傍聴席には、いつもの道新幹部が4人、旬報社木内社長等、一般傍聴席は64席中埋まったのは50ほど。
 傍聴者の中には、いつもの道警OB10数人の顔が見えた。
 報道席には道新、毎日、共同の各社の記者。

 原告席には、原告佐々木友善とその代理人の斎藤隆広弁護士が着席した。
 被告席には、道新代理人馬場、見野両弁護士、被告佐藤、高田の代理人清水弁護士、講談社代理人山中弁護士、と旬報社代理人徳住弁護士、補助参加人の代理人市川、安田、喜多村弁護士、そして被告の高田昌幸、佐藤一、補助参加人で原告の大谷昭宏が着席した(文中敬称略)。


 開廷後、原告側から甲第109号証(書籍 「警察幹部を逮捕せよ」の帯)、意見書1通を提出された。
 また、被告佐藤から陳述書1通が提出された。
 この内容は、前回までの尋問で「道警本部長芦刈勝治が、佐々木友善を叱責したとする記述」の取材内容について、間接情報以外の取材をしていないかのように取られる可能性があったため、改めて「直接見聞きした人からも取材している」と証言する内容。
 また、この陳述書を出す経緯について説明するため、被告佐藤一の証人尋問の申請も行った。

竹田裁判長 で、原告さんは(佐藤の)陳述書について反対尋問はしないの?

斎藤弁護士 そもそも、主尋問も必要ないと思っている。もし、主尋問を行うのであれば反対尋問は行いたい。ただし、その尋問の準備をしてきてないので、行うなら次回期日でお願いしたい。

竹田裁判長 いや、要はこの陳述書の内容について原告さんが弾劾したい、という思いをお持ちなのなら、尋問をやろうと思ったのですが…。被告さんの尋問内容はこの陳述書の中身を若干補充する、という内容ですね? ご主張は陳述内容を超えることは?

清水弁護士 ハイ。主張は陳述内容でつきています。

竹田裁判長 であれば、原告さんが弾劾の必要なし、とおっしゃってる以上、尋問の必要はないかなと思うのですが。

清水弁護士 いや、今日の高田尋問の中で佐藤証言との整合性が微妙な部分が出てくるので、そこをはっきりさせたいんですが。

竹田裁判長 それは高田尋問の中で補ってください。では高田さん、前へ。

<午後1時39分 高田記者、前に出て宣誓>
 主尋問開始。まずは、被告代理人清水弁護士が事前に提出された高田の陳述書の内容の確認を行う。

清水弁護士 2003年11月から始まった道警裏金報道の中心的な立場だったということだが、報道にあたってどういう方針で臨んだか。

高田 端緒は旭川中央署の問題だったが、裏金作りは道警全体で行われていることを明らかにし、それを道警に公の場で認めさせること。これが目標だった。

清水弁護士 当時、ほかの県警などでも裏金報道が行われていたが。

高田 ほかの県警などで報道があったが、いずれも一方的に書きっぱなしで終わっているのが実情だった。警察は裏金を認めたわけではなかった。そうではなく、警察組織として公に認めさせることが最も重要と考えた。

清水弁護士 テレビ朝日のスクープの日の夕方、記者が会社に上がってきたと言うことだが、その段階で方針を立てたのか。

高田 ハイ。すでに会社に上がってきていた記者に対し、その話をしたし、即座に情報を集めろと指示をした。記者は全道各地に走り、会った多くの警察官が裏金について話してくれた。しゃべらない人もいたが「オレに聞くな」「関係を壊したくない。組織の問題だから上に聞け」という人もいた。

清水弁護士 本には裏金のつくり方を詳細に書いている。これは12月の段階で分かっていたことか。

高田 ハイ。相当数の警察官が、裏金についてその作り方まで話してくれた。11月28日の段階で裏金作りの骨格部分はほぼ、取れたので、あとはその肉付けだけだった。

清水弁護士 「わかるでしょ」発言についての報告は受けていたか。

高田 佐藤からも中原(取材班の記者)からも報告は受けていた。「また言ってましたよ」と何度も報告を受けていた。

清水弁護士 11月下旬から12月上旬にかけ、(当時の道警総務部長の)佐々木から記者たちはどんな説明を受けていたか。

高田 裏金はない。ただ、実名を書けない捜査協力者もいる。だから偽名領収書を使うことはある。情報源を守らないといけないから理解できるだろう、という内容だった。

清水弁護士 これはニュースか。

高田 いいえ。これは裏金問題を否定する流れのものと見ていた。

清水弁護士 文庫本(追及・北海道警「裏金」疑惑)P343の中で佐々木氏の議会答弁の記述の後に、「わかるでしょ、理解してよ」発言を思い出した、というシーンを入れたが、これはどうしてか。

高田 佐々木さんが裏金の存在を否定し、記者に対し「偽名領収書を書かなければならない事情があるんだ」と説明してから3カ月後、旭川中央署の裏金作りを認めざるを得なかった。さらに道警はその後、全道での裏金作りを認めていくことになるが、その当時の構図を思い起こすために書き込んだ。それを下手な書き方だった、といわれればそれまでだが。

清水弁護士 「調査と答弁しないで」記事について。記者が道庁幹部に取材して書いた、ということだが、これは2人以上にあたって書いた?

高田 佐々木さんと話をした2人とその周辺にいた人から話を聞いている。ちょうど、ウチの紙面で「裏金作りは道警ぐるみ」という記事を書いたばかりで、道に調査されると本当に裏金があるので困る、という状況だった。その話は信じられると考えた。それまでウチの報道を無視し続けてきた道警がようやく、動いたと思った。

清水弁護士 その記事の「道警ぐるみか?」の「か」とは?

高田 見出しの取り方の問題で、実際にはほぼ間違いない、というレベルまでの取材はしていたが、道警が認めないので、その余地を入れるという判断なのではないかと思う。(自分は見出しに関与できる立場ではなかった)

清水弁護士 その「調査と答弁しないで」記事で、道庁側から「誤報だ」と抗議されたことは?

高田 一切ありません。

清水弁護士 その記事の取材の際の(佐藤)記者からの報告は2回あったのか。

高田 ハイ。一度目はケータイ(電話)で報告があった。内容は、玄関で佐々木氏と話した。道庁側に電話したことは認めたが、「調査と答弁しないで」なんて言ってないと。この報告が遅い時間で、朝刊には間に合わないと判断し、朝刊は見送るが夕刊以降は約束できない、と通告するように指示した。また、せっかく自宅で会えたのだから、ビールでも持っていって、普段役所では聞けない裏金の話を聞いてこいと指示した。そして、深夜遅くに会社に上がってきて2度目の報告を受けた。「また(偽名領収書は協力者保護のために必要などと)言ってましたよ」といっていた。

清水弁護士 その記事が夕刊に出た後、何か報告はあったか。

高田 ハイ。私は本社6階にいたのだが、どうやらその夕刊を読んだ芦刈本部長から佐々木氏が叱られたようだ、との報告があった。佐藤が最初につかんだ情報は、伝聞情報だった。

清水弁護士 その話はあり得ると思ったか。

高田 ハイ。本来は水面下でやるべき交渉事が表に出たこと、さらにもう一つ考えたのが、佐々木氏が芦刈本部長に「佐藤から昨夜、こんな取材を受けたが、その記事は差し止めた」と報告していたのではないかと。これは推測ですが。

清水弁護士 報告を受けた後、何か指示をしたか。

高田 もっと情報を集めるよう、言った。もちろん、叱責だけでなく、ほかの裏金に関する情報についても聞け、という雰囲気で指示したと思う。

清水弁護士 その後も報告はあったか。

高田 何度もあった。それで「本当に叱られた」と思った。ただ、この話は裏金本体の話ではなく、枝葉のエピソードに過ぎないと考えた。

清水弁護士 ではなぜ、この話を本に入れたのか。

高田 理由は2つある。1つは紙幅の問題。新聞は制限があるが、本は新聞よりも余裕があったので入れられた。もう一つは道警がいかに裏金を隠し続けようとしたかをきちんと伝えたかったことがある。記者はこの叱責の現場を直接見聞きした人から話を聞いており、この中には裏金問題の本筋について話してくれた人も入っていた。なので叱責については事実だと考えた。

清水弁護士 情報源の名前は聞いたか。

高田 主たる人の名前は聞いているし、叱責された場所も聞いている。本部長室の部屋の前だ。私も裏金報道が始まる前に本部長室に行ったことがあるので、ああ、あそこかとおぼろげに記憶している。

清水弁護士 叱責の場面に他の人はいたか。

高田 何人もいたと聞いている。ほかの部課からきた決裁待ちの人もいたという。叱りつけた文言については、何通りかの話を聞いたが、いずれも「下手」という言葉は共通していた。

清水弁護士 これまで、この話について詳しく話していなかったが、なぜ今になって詳しく説明したのか。

高田 これは難しい問題がある。実際、この話の情報源の中には裏金問題本筋でも情報源になっている方もいて、どこまで話して良いか分からなかったので、(裁判では)相当抑えた説明をしていた。しかし裁判が進む中で、ここまでなら話しても大丈夫、ネタ元を守れると判断した。

清水弁護士 「いやいや、どこまでやられるかと思ったよ」発言について。これはどこで報告を受けたか。

高田 本社2階の取材ルームで、文庫本の執筆をしていたときに聞いた。「これは使えるエピソードだ」と考え、パソコンに打ち込んでメモした。佐々木氏は普段、温厚な人だと聞いていたが、裏金問題で厳しい対応もせねばならなかった。それから解放され、ホッとしたのだろうと思った。「もちろん笑顔だった」というのもその流れだ。

清水弁護士 ところで「調査と答弁しないで」記事で、M広報課長が抗議に来たのか。
(原告佐々木が作成したとされる文書によると、平成15年12月19日、当時の道警総務部長佐々木と広報課長Mが道新本社を訪れ、社の応接において、当時の道新編集局報道本部長Tと高田報道本部次長(デスク)の2人に抗議したとなっている。)

高田 「抗議をしたい」というので対応したが、どんな抗議なのかと思ったら、夜回りという取材手法が卑怯だとか、書かないと言ったのに書いたのは後ろから斬り付けるようなものだと言っていた。「誤報だ」とは一切言わなかった。もし、誤報であるとの抗議なら、どこがどう間違っているのかを示してほしい、文書を出してほしいと言ったが、(佐々木らは)「誤報であるというつもりはないし、文書も出さない」と言った。何でわざわざ来たのか、よく分からなかった。当時の上司であるTさんから「彼らは何で来たと思う?」と聞かれたので、「おそらく、組織内部に『道新に抗議した』という実績を作りたかったのではないか。最大の目的はTさんの名刺をもらうことですよ」と答えた。

清水弁護士 佐々木氏は訴訟前に抗議文を出してきているが、これに対応したか。

高田 なんでこれが名誉棄損になるのか、理解できないと思った。この本は一個人に対する誹謗ではないのだが、なぜそう受け止めるのか、わからなかった。

清水弁護士 佐々木氏は抗議文で3つの要求をしている。これはあなた個人で決着をつけることが可能なことか。

高田 いずれもできません。まず一つ目の「謝罪」は、私は会社員であり、会社の業務として行ったことだから、当然会社の判断が必要。二つ目の「謝罪広告掲載」というのは、拒否がかかるので当然、個人ではまかないきれない。3つ目の「本の販売差し止め、回収」は全くできっこない。個人でできないことを要求してくるのは、単なる嫌がらせか意趣返しではないかと感じた。

清水弁護士 これに対する回答書は誰かに見せたか。

高田 佐藤と中原に見せた。確認を取ったが、中原も佐藤も時期こそ違えど、佐々木さんから理解を求められた、という部分は一貫していた。道警の裏金作りは、会計課に300本の印鑑を用意し、電話帳を使って領収書を作るなどの話も具体的に聞いていた。なのに、佐々木氏はこの抗議文を防波堤として、そのうらに逃げ込もうとしている、と思った。

清水弁護士 その後、佐々木氏から個人宛に文書が届いたか。

高田 私宛にはありません。

<ここで清水弁護士の主尋問終了。補助参加代理人市川弁護士の尋問開始>

市川弁護士 旬報社の本の出版経過だが、これは旬報社の方から打診があったということか。

高田 ハイ。先方からの提案段階から、座談会をやることは決まっていた。

市川弁護士 ゲラのチェックはどうやっていたか。

高田 道新側の発言を中心に全体をチェックした。発言の取捨選択は旬報社で主にやった。こちらからもいくつか意見は言ったが、その内容はあまり記憶にない。少なくとも、「叱責」のくだりについて入れる入れないの議論になったことはなかった。
市川弁護士 原告が出してきた証拠によると、道新内部の人が「ねつ造記事だ」といっているようだが。

高田 今回証拠を見て初めて知った。

市川弁護士 「泳がせ捜査失敗」記事について社内調査は行われたのか。

高田 ハイ。その調査の現場にもいた。その調査の結論は記事に出ているとおりです。(自分の思いとは異なりますが)

市川弁護士 なぜ、会社は調査委員会を作ったのか。

高田 私にはその経緯はよく分からない。ただ、調査を受けた体験から言わせてもらえば、それは(最初から)謝罪ありきだったのではないかと思う。

市川弁護士 では、会社として佐々木氏が今回訴えた事実について調査した事実はあるか。

高田 佐々木さんの問題について、会社から調査を受けた事実はない。会社からは「この話は大したことがないから放置する」と言っていた。言ったのはH(後の編集局報道本部長)だ。私にそんなことを言っておきながら、その裏では佐々木氏にこんな事を言っているとは、驚きだった。「泳がせ捜査失敗」記事の調査でも「情報が道警に筒抜けになるおそれがあるので、答えられない」としか言ってない。
  (高田が証言している「裏では・・・」は、原告佐々木が平成20年6月に提出した佐々木とHとのやり取りを記録したとされる「面談記録」〜甲第84号証〜にある。)

<ほかに補助参加代理人の安田弁護士が、道警の本部長室と総務部周辺の図面〜佐藤の陳述書に添付〜についていくつかの確認を行った。ここで10分間休憩>


第26回(20091.2)第14回口頭弁論 被告高田昌幸記者(元道新デスク)の証言 どうして名誉棄損になるのか、私には理解できない<下>に続く

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北海道警察v.s.北海道新聞 第25回(2008.12.13)第13回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言 私は道新のK社長・S編集局長・H報道本部長に脅された<下>

第25回(2008.12.13)第13回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言 私は道新のK社長・S編集局長・H報道本部長に脅された<上>の続き

<ここから被告旬報社と被告講談社の代理人弁護士が尋問>
冒頭、原告代理人齋藤弁護士がクレーム。

斎藤弁護士 もう、原告は5時間以上も聞かれている。まだ聞くのか。

被告側 あんたがいちいち止めるから、時間がかかるんだ。

旬報社弁護士 15分ずつ聞くというのは前回認められている。

竹田裁判長 じゃ、なるべく簡潔にお願いします。

旬報社弁護士 この本の表紙や帯について聞きます。あなたは、知人の話を元に、表紙の帯についても名誉毀損だと言うが、どうしてか。

佐々木 私は当時、道警幹部であり、「幹部を逮捕せよ」というタイトルはまさに、私を逮捕しろということになる。帯には「犯罪集団」などの文言が踊り、幹部である私を指している。

旬報社弁護士 これまでこの本のタイトルや帯について旬報社に抗議したことは?

佐々木 ない。

旬報社弁護士 本のタイトルは、その本がもっとも言いたいことを抽象的に示しているだけのもの、とは思いませんか?

佐々木 思わない。第一、私の知る限りにおいて、(道警裏金問題で)私的流用はなかったと聞いている。それでは犯罪にならない。それに、この本には私の写真も入っている。

旬報社弁護士 じゃあ、なぜこの事実について訴えなかったのか。前回、あなたは主尋問で知人から「あなたの人格が疑われる」とまで言われていると証言しているが、であれば直接訴える理由になるはずだ。

佐々木 表紙や帯は私を名指ししていない。なので、名指しされている部分について訴えた。表紙や帯で傷つけられたのは間違いない。

旬報社弁護士 この表紙や帯について、道警が抗議や訴訟をしたか。

佐々木 記憶にないが、なかったと思う。

旬報社弁護士 さて、旬報社の本にも「調査と答弁しないで」の経緯が出ている。あなたはこれも事実無根のねつ造だと言うが、あなたの言い分ならこれも名誉毀損でしょ。なぜここを訴えなかったのか。

佐々木 これを訴えると、道新の12月12日夕刊記事も訴えないといけない。しかし、私はその記事を訴えていないのだから、今回も訴えなかった。
旬報社 この本が出てから2年もたって訴えているのに? 時間の経過は同じでしょ。むしろ、こっちの方が名誉毀損性は高いはずだ。

佐々木 この記事については、小見出しで私の言い分も合わせて取り上げているので、訴えるのはどうかと思った。

旬報社弁護士 「下手を打ったな」との発言は、単に本部長がやり方がまずかったねと指摘しているにすぎない。あなたの人格には関わらないでしょ。

佐々木 なかったことを書いたわけで。

旬報社弁護士 「らしい」といってます。伝聞の噂ですよ。

佐々木 噂で記事を書かれては困る。そんなのでは記事を書く資格はない。

旬報社弁護士 それではこの表現がどのように、あなたの人格否定になるのか。

佐々木 私の事務処理や対応が稚拙だったとして、その程度の男だとおとしめている。それで道警No.1がNo.2を叱りつけた、という話であり、これは名誉に関わる。

旬報社弁護士 実際に怒られたことはあるか。

佐々木 ない。

旬報社弁護士 あなたは記事化の前に確認すればいい、というが、たとえば旬報社がこの本を出すときに本部長に電話して「こういう話があるんですが、本当ですか」と聞けば、きちんと答える、なんてことがあるのか。

佐々木 きちんと取材意図を伝えてくれれば、実際に答えてくれると思う。そういうシステムになっている。

旬報社弁護士 一般道民が同じことを聞いても答えるのか。

佐々木 何でもかんでも、ということにはならない。こういう本を出版するが、つきましてはこの事実を確認したい、と伝えてくれれば、秘書を通じてちゃんとつないで答えてくれると思う。

旬報社弁護士 本が出てから2年間、あなたは一切抗議もしなかったし、訴えもしなかった。提訴の頃には本屋にほとんど出回らなくなっている。そこまで提訴しなかったのはあなたの落ち度ではないか。

佐々木 初めて本を読んでこれはおかしいと思い、最初の抗議文を出している。その後、道新と文書のやりとりをしていて時間がかかった。

講談社弁護士 道警は旭川中央署の問題発覚当初、裏金の存在を全面否定していたが、その後の調査で認めるに至ったわけだが、(在任中の)3月12日の中間報告で裏金の存在を認めたでしょ。

佐々木 結論、ということではなかった。

講談社弁護士 しかし、偽名領収書については認めている。

佐々木 可能性が高いと言うことだ。

講談社弁護士 調査を続行しているが、その後もさらに何か出てくるか、心配だったのでは?

佐々木 ハイ。

講談社弁護士 あなたは副署長や署長の経験あるが、実名でない領収書があることは知っていたんでしょ。いつから知ってた?

佐々木 はっきり覚えてはいないが、30歳くらいの時に知った。

講談社弁護士 偽名領収書を作ったことはあるか。

佐々木 協力者が実名を書かなかったことがある。

講談社弁護士 偽名領収書について聞かれたことはあるか。

佐々木 問題発覚後、記者に聞かれたことはあるが、それ以前はない。

講談社弁護士 発覚当初、道警会計課のコメントを見て「領収書の偽造はない」という認識を持ったということですか。

佐々木 いいえ、捜査協力者が自分の名前を書けない、ということはよくある。身の安全を守るためだ。

講談社弁護士 それは偽造ではないのか。

斎藤弁護士 異議。それは法律論として間違っている。

竹田裁判長 偽造というのは架空名義など、偽りの内容のものを作ることだ。仮名であれば名義を偽ったことにはならない。

講談社弁護士 では、電話帳を使って架空名義の領収書を作るのは偽造にならないのか。

佐々木 なると思う。

講談社弁護士 じゃあ、最初の見解と違うじゃないか。

佐々木 中間報告の時点では偽造領収書があるとの認識にはなかった。仮名のものだけだと思っていた。

講談社弁護士 テレ朝で出た資料について「出所不明だから受け取れない」といったことはないか。

佐々木 ない。

講談社弁護士 しかし、監査委員に出した意見陳述では「コピー資料は出所不明であり、受け取れない」と言っている。

佐々木 それは言っている。

講談社弁護士 あなたは昔から偽名領収書があることを知っていたのなら、どうしてそのように説明しなかったのか。情報源秘匿のためといえば理解を示してもらえたと思うか。

斎藤弁護士 争点事実とまったく関係ないでしょ。意味がない。撤回してください。

竹田裁判長 思ったかどうか。

佐々木 その時によって事情が変わる。判断が変わることもある。

講談社弁護士 芦刈は架空名義の領収書の存在を知っていたか。

佐々木 分かりません。

講談社弁護士 あなたは公安委員会の席で芦刈さんの横で、偽名領収書の存在について説明したが、芦刈さんは驚いていたか。

佐々木 そこまでは見ていない。

講談社弁護士 もし、偽名を知らなかったら、相当驚いたと思うが。

佐々木 同じ方向を向いていたので。

講談社弁護士 公安委員会からの帰り道で、立ち話でその件についてやりとりしなかったか。
佐々木 覚えていない。

講談社弁護士 「調査と答弁しないで」記事の際、3度取材を受けていますが、面談メモと手帳の記述の取材時間が違っている。

佐々木 これは私の何らかの勘違いだ。手帳はたいてい、出来事があってすぐ書くが、翌日に書くこともある。

講談社弁護士 その取材の際、報償費の話はしたか。

佐々木 したが、領収書の話は出なかった。

講談社弁護士 監査委員の監査報告について読んでない、というが新聞では見なかったか。

佐々木 さっと読んだがあまり記憶にない。まったく読んでないわけではない。

講談社弁護士 裏金問題で、あなたも被害弁済をしているが、いくら?

斎藤弁護士 本件と関係ないし、前回も同じ質問をしている。

講談社弁護士 金額については答えていない。その額は裏金づくりの認識の有無を確かめるための重要な論点だ。

竹田裁判長 前回は答えたくないといっているが。それでいいのね。

佐々木 ハイ。

講談社弁護士 芦刈さんがいくら払ったか知ってるか。

佐々木 聞いていない。

講談社弁護士 手帳の記述で本部長室にいった時間があるのとないのがあるが。

佐々木 書き忘れか、必要がなかったか。どちらかだ。

講談社弁護士 事細かに書く習慣があるといっていたが。

佐々木 書かないこともあった。

<ここで、被告佐藤、高田の代理人清水弁護士が「数分補充質問」を求め、認められる。最初に本部長室周辺の状況についてやりとりした。また「謝罪広告」の記述について、記入部分が誰のものかをやりとりした>

清水弁護士 Sさん(道新編集局長)と謝罪広告の原稿を作った際、面談メモは作らなかったのか。

佐々木 ハイ。録音もしてなかったので。

清水弁護士 Sさんの陳述書の内容は正しいということでいいのか。

佐々木 そういわれても、記憶がはっきりしない。

清水弁護士 この話がまとまるはずだったのに、まとまらなかったのは「圧力」「脅し」のためと言うが。

佐々木 謝罪文を作っているときに脅されたわけではない。

清水弁護士 原田さん(元道警釧路方面本部長で、原告佐々木が道警総務課調査官当時の総務課長)が出した陳述書で、総務課の裏金の使い方、調査官クラスで2万円など、あなたを名指ししていろいろ書いている。裏金の受け取りや金庫番の前での出来事などだ。これは事実か。

佐々木 これはホントにあったこととなかったことの両方が書かれている。調査官として毎月2万もらってなかった。現金を受け取ったことはあるが、それが裏金との認識はなかった。

清水弁護士 この記述は名誉毀損になりませんか。

竹田裁判長 出された証拠の名誉毀損性を聞いてどうするの?

清水弁護士 この人の名誉毀損に関する感じ方を問いたい。

佐々木 なにぶん、20年以上も前の話ですので…。

竹田裁判長 あなたも端的に答えて。もういいですか。

<ここから原告代理人の斎藤弁護士からの最終尋問>

斎藤弁護士 あなたは訴訟前、道新のSさん(編集局長)、Hさん(報道本部長)に……。

佐々木 向こうから面談の申し入れがあった。

斎藤弁護士 前回、あなたはS氏から訴訟の断念を求められ、強要され、その結果、計4回の面談をしたと言ったが、面談の目的は何だと思ったか。

佐々木 今となってみれば、私を脅して、強要して、提訴断念を狙ったものと思う。私は会うことを求められたとき、それを断っていた。でも「会ってくれ」と。会ってHさんは「調査します」と約束した。そのあと、文書でも約束するからと。実際に手紙で約束を書いて送ってきました。約束したわけだから、その調査の中身について、報告しなきゃならないと思う。どんな調査を行い、結果はどうであったか―。約束した以上、知らせる義務はある。しかし、提訴に至るまで、何も示さない。もし、調査をしていれば、関係者に聞かなくてはならない。私や芦刈さんにも確認しなくてはならない。しかし、そのような調査はない。従って、約束しておきながら、結果の報告もない。そうなると、私を強要して、提訴を断念させることが目的であったと思った。調査するつもりもなかったと思う。

斎藤弁護士 平成18年2月7日にHさんと面談した時に、何と言われたか。

佐々木 提訴すれば、無駄な時間、エネルギー、金、労力がかかると言われた。

斎藤弁護士 SさんとHさんからは何と言われたか。

佐々木 リタイヤ後のあなたの静かな生活が阻害されると言われた。

斎藤弁護士 平成(聴き取り不能)年2月23日は?

佐々木 道新の戦略として、取材源の秘匿で対抗する。道警の職員を法廷に呼んで、裏金について次々に聞くぞ、と言われた。さらに、Sさんは「私は異動する。しかし、佐々木さんは動かない。一審では終わらないぞ。それから、私は法廷に出ることはない。しかし、

佐々木さんはずっと出るぞ、すごい負担になる」と。

斎藤弁護士 平成18年4月10日は2人と面談しているが…。

佐々木 裁判のことであなたの体面を保てるのか、と。

斎藤弁護士 警察官人生への影響については?

佐々木 こだわることが、あなたの警察官人生の集大成としてふさわしいの、と。退職後の静かな人生が阻害されるといったようなことを…。

斎藤弁護士 Sさんは「我々にしても行き着くところまで行かなくてはならない」と言われた?

佐々木 裁判、それに報道を通して、あらゆる手段で対抗するとの脅迫と受け止めた。

斎藤弁護士 訴訟を起こさせない、それは「捏造」と分かったから…?…「泳がせ捜査」の記事が「事実でない」と会見で言ったことについては?

佐々木 「泳がせ(捜査)」を訴訟で援用するなら、あなたを道新が提訴するかもしれない、という意味合いのことを言われた。

斎藤弁護士 同じ日の面談では……。

佐々木 裁判では言った、言わないになる。白黒つかない、と。それは記録に残している。そのような類のことを100回以上、の文言で言われて、テープに録音している。記録もしている。

斎藤弁護士 あなたには誰か付き添ったのか。

佐々木 私は1人。

斎藤弁護士 道新は。

佐々木 最初はHさん1人。途中から、脅迫した時から、SさんとHさんと2人になった。

斎藤弁護士 どのように畏怖したのか。

佐々木 脅しを……提訴したならば、報道記事とか裁判の中で嫌がらせや圧力を受けるだろうと感じた。さらに感じたのは、会見の際に「提訴する」と言われて、私が提訴されたらどうすればいいか。金、時間…悩んだし、それからもう1つは、かつての同僚たちを次々に法廷に呼び出して、裏金について話さなきゃない。裏金を法廷で再現する―との脅し。これを考え、おそれおののいた。

斎藤弁護士 そのとき、4回目の交渉をしたのか。

佐々木 脅しに屈して、4回目の交渉をした。

斎藤弁護士 Sさんの陳述書で和解に関する書面。4回目に、あなたがこの文書を持参したのか。

佐々木 脅しに屈した結果だ。提訴は大変だと。それなら、和解するほかないと。私の言い分も向こうに認めさせたうえで、と思った。

斎藤弁護士 「…名誉を著しく害し…」の部分か。

佐々木 Sさんが書いて…。

斎藤弁護士 Sさんが自ら記載したのか。

佐々木 そうです。当時、道新は名誉を毀損したことを、認めていた。会う時に「すべて決着しよう」と。Sさんも全権を持って臨むと。Sさんが約束あったにもかかわらず、「持ち帰りたい」と。自分では判断できない、社長と検討するということだと思う。

斎藤弁護士 K社長が知っているということ?

佐々木 最終的に、社長の最終決断を仰がなくてはならないだろうと、いうことだと思う。

斎藤弁護士 脅しは社長の指示だということか。

佐々木 はい。そうです。

斎藤弁護士 なぜ、あなたは提訴したのか。

佐々木 持ち帰って、その夜、帰宅してよくよく考えて、翻意した。なぜなら、脅しに屈して提訴を断念すれば、私の正義感が許さない。社会正義からも、あってはならないと強く思ったからです。

<原告と道新編集局長S等とのやり取りについては、原告が提出した面談記録(甲第84号証)及び道新編集局長Sの陳述書に基づき「(続)新聞が警察に屈した日 暴露された裏工作?の記録(1〜4)」で詳しく述べたので参照していただきたい。>

<最後に、さらに道新代理人馬場弁護士から追加の尋問があったが省略する。>

 午後4時25分終了。
 次回は12月15日午後1時半から、被告道新高田昌幸記者の尋問予定。








cefh at 20:50コメント(0)トラックバック(0)北海道警察v.s.北海道新聞 

北海道警察v.s.北海道新聞 第25回(2008.12.13)第13回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言 私は道新のK社長・S編集局長・H報道本部長に脅された<上>

 第13回口頭弁論が平成20年12月1日午後1時30分から、札幌地裁8階2号法廷で開かれた。
 当日は、前回に引き続き道警の裏金疑惑発覚当時、道警総務部長だった原告の佐々木友善が証言台に立った。
 当日は、前回よりさらに傍聴希望者が少なく、一般傍聴席は抽選にならなかった。
 特別傍聴席に道新幹部ら、報道記者を除く30人ほどが一般傍聴席。
 傍聴者の中には、いつもの道警OB10人前後が顔を見せた。
 原告席には、原告佐々木友善、その代理人斎藤隆広弁護士が着席した。
 被告側には、道新代理人馬場、見野両弁護士、被告佐藤、高田の代理人清水弁護士、講談社代理人山中弁護士と旬報社代理人徳住、佐藤弁護士、補助参加人大谷昭宏と宮崎学の代理人市川、安田、喜多村弁護士、そして被告の佐藤一が着席した(文中敬称略)。

 定刻午後1時30分、竹田光広裁判長、田口紀子裁判官(右陪席)、鈴木清志裁判官(左陪席)が着席し、弁論が始まった。

<最初は、補助参加人の代理人市川弁護士の尋問>

市川弁護士 あなたは道警総務部長として、旭川中央署の問題について道庁とどのような意見交換をしていたか。

佐々木 直接的にどうこう、というものはほとんどなかった。まったく道側とやりとりしなかったわけではなく、まあ、1,2度やりとりがあったかもしれないが、意見交換というほどのレベルではない。

市川弁護士 あなたはこの問題については道との間では窓口だった。何らかの話はしたはずだ。何を話したのか。

佐々木 窓口は私だけではない。まあ、道側と顔を合わすことはあったので、話をすることはあった。たとえば、この問題が議会の日程にどう影響するのか、などだ。

市川弁護士 当時の道警は「不正はなかった。再調査をする必要なし」との意向だった。それを道に伝えなかったか。

佐々木 そのことをわざわざ伝えた記憶はない。ただ、議会などの際には顔を合わせているので、何かを話してないとは言い切れない。何を話したかの内容は記憶にない。

市川弁護士 道警のその意志をなぜ伝えなかったのか。

佐々木 特に理由はないと思う。

市川弁護士 その道警の「不正経理はなかった」との強い姿勢を前提に考えると、道警の強い意志を道側に伝えることがなぜ、不誠実ということになるのか。

斎藤弁護士(原告代理人) 異議。仮定を前提にした質問だ。
佐々木 そういうことを言ってないのに、言ったことになっている。それがおかしい。

市川弁護士 読者に悪い印象を与えるというより、なかったことをあったということを問題にしているのか。

佐々木 その通り。

市川弁護士 不正経理はなかった、との結論はいつの段階で出したのか。

佐々木 平成15年11月28日午後3時半ごろから、道警本部で芦刈本部長が記者会見をしている。そこで「不正経理はない」と全面否定している。そこまでに結論を出している。

市川弁護士 その結論は本部長、総務部長以外のメンバーも入っていての結論か。

佐々木 ハイ。総務課長、会計課長、それにその人たちを補佐する人たちも入っていての結論だ。

市川弁護士 そのメンバーの中で署長経験者、副署長経験者は。

佐々木 総務課長が経験者だった。ほかはちょっと分からない。

市川弁護士 メンバーの中で偽名領収書について知っていたと発言した人は?

佐々木 いなかった。

市川弁護士 激励慰労会に出席したことがある人は?

斎藤弁護士 異議。争点事実に関係ありません。

竹田裁判長 立証趣旨は?

市川弁護士 不正はない、との結論を出した当時の状況の確認だ。

竹田裁判長 であれば、簡単に端的に聞いて。原告も端的に答えて。

市川弁護士 では、公安二課次席時代、不正経理を見聞きしたか。

斎藤弁護士 異議。関係ないでしょ。

市川弁護士 原告が裏金をどれだけ知っていたかを聞くためだ。

佐々木 記憶にない。

市川弁護士 異動の度に上司の席で餞別を受け取ったことはあるか。

斎藤弁護士 異議。まったく無関係でしょ。

竹田裁判長 裏金に関する認識の有無の確認ということでしょ。簡単に答えて。

佐々木 餞別は友人や先輩、後輩からもらったことはある。上司の席に呼ばれてというのは記憶にない。

市川弁護士 で、激励慰労会に出たことは?

斎藤弁護士 異議。関係ない。立証趣旨は。

市川弁護士 慰労会に出席したかどうか確認しないと、裏金について虚偽をいっているかどうか確認できない。

竹田裁判長 間接事実の確認です。(斎藤弁護士は)いちいち止めないで。

佐々木 出席したことはある。

市川弁護士 平成16年3月12日の道議会総務委員会で旭川中央署問題での中間報告をしており、それまでの姿勢と一転して、旭川中央署で事実と異なる領収書を作成していたことを認めた。どの時点でそのように判断を変えたのか。

佐々木 判断を変えた時期までは覚えていない。

市川弁護士 総務課長らを交えて議論し、誤りを認めたのか。

佐々木 そういうことだ。

市川弁護士 その時の芦刈本部長とのやりとりは?

佐々木 具体的には覚えていない。担当者から報告を受けてそれを本部長に伝えたということはなく、担当者の報告を二人で一緒に聞いていた。

市川弁護士 その日に会見もしており、「組織的な問題だった」との発言もある

佐々木 具体的な文言は覚えていない。

市川弁護士 その会見の前に芦刈本部長にどんな進言をしていたか。

佐々木 とりとめて進言することなどなかった。

市川弁護士 しかし、従来の方針をがらりと変えたわけですよね。

佐々木 担当者の報告を受ける中で、お互いの認識が少しずつ変わっていった。

市川弁護士 その後、どのような調査を行ったか。

佐々木 中間報告では触れなかったことを引き続き調べた。それと前後して、道警内で予算執行調査委員会を作って調査進めることになったと記憶している。調査委で職員ら関係者から聞き取りをしようということになった。

市川弁護士 旭川中央署問題では道監査委員の監査も行われた。その際の意見陳述であなたは「不正は一切ない。予算は適正に執行されている」といったにもかかわらず、監査結果は不正が認められた。あなたは旭川中央署問題の監査に関心がなかったというが、その監査結果如何では今回の件以上にあなたにとって不名誉なことになるではないか。

斎藤弁護士 異議。議論をふっかけています。

竹田裁判長 いちいち止めないで。簡潔に答えて。

佐々木 そうは思いません。

市川弁護士 再度確認するが、道に「再調査することはない」と伝えることのどこが稚拙な対応なのか。

佐々木 不正はないといっているのに、そんなことを言うということは「実は不正があるのではないか」と疑念を抱かせることになりかねないでしょ。

市川弁護士 不正はない、といっていたものが「あった」に変わった。これについてはどう思ったか。

佐々木 調査が進むにつれて認識が改まっていった。やむを得ないことだと思う。

市川弁護士 稲葉事件に絡む「泳がせ捜査失敗」記事について、あなたは銃器対策課にいたことは? 稲葉事件の捜査を担当したことは?

佐々木 いずれもありません。

市川弁護士 この「泳がせ捜査失敗」は道警などへの公文書開示で「ない」といわれたことを論拠にねつ造というが、これは法的な裏付けのある泳がせ捜査はなかった、ということか。

佐々木 公的にもそうでないものもだ。道新側から聞いた話では、佐藤記者もそれを示せなかったという。

竹田裁判長 道新の人から聞いたということ?

佐々木 それも一つです。この件について道警と道新は事細かに文書のやりとりをしており、道警もこの件について細かく調査していることを示し、そのような泳がせ捜査はなかったと結論づけている。道新側はきちんとした反論を返さなかった。

市川弁護士 S氏(道新編集局長)と交わそうとした「謝罪文」で、「少なくとも法的裏付けのある組織的な泳がせ捜査はなかったと推認される」としているが、これでは不十分ということか。

佐々木 ハイ。道警は法的裏付けがない(違法)捜査もなかったという結論を出している。道警がこう言うからには、道新のその記事はねつ造といわざるを得ない。

<ここから、補助参加人の代理人安田弁護士の尋問>

安田弁護士 「調査と答弁しないで」記事中にあなたの言葉で「これは共産党だけが問題にしている」などの文言があるが、この発言はなかったか。

佐々木 ありません。

安田弁護士 取材の中で、この(旭川中央署)問題について電話連絡したことを認めたか。

佐々木 認めていません。この問題ではないが、別のことで連絡を取らないことはなかったが。まったく電話しなかったわけではない。

竹田裁判長 いや、記事のような文脈で読むと勘違いされると言いたいんでしょ。もう分かりましたから、簡潔に答えて。

安田弁護士 では、あなたのコメントで「そんなことは言ってない。本部長が話したとおり、予算は適正に執行されている」というのは?

佐々木 そういう趣旨のことは話したかもしれない。

安田弁護士 この記事を読んでどう思ったか。

佐々木 何でこんなことを書くのか。事実無根のことを書かれたわけだから。これでは道新は信用できないと思った。

安田弁護士 この記事を読むと、あたかもあなたが隠蔽工作をはかろうとしたように読めるということか。

佐々木 ハイ。

安田弁護士 しかし、記事では「複数の道幹部は認めている」としている。道幹部がウソをついているとは思わなかったのか。

佐々木 そもそもでたらめ記事ですから。

安田弁護士 どの幹部がしゃべったのか、調査したか。情報源は確認すべきじゃなかったか。

佐々木 しなかった。でたらめ記事を元にしていちいちそんなことをやってられない。忙殺していた部分もある。まあ、この記事は私のコメントも出ているし、小見出しで取っているから、まあいいか、とも思った。バカらしくて相手にしてられなかったし、立場がある人にでたらめ記事についてぶつけるのも失礼な話だし、そんなことを記者に言う人がいるとも思えなかった。

安田弁護士 この記事について抗議はしたのか。

佐々木 した。記事が12月12日夕刊だったが、19日に抗議した。

安田弁護士 調査もせずに抗議ですか。抗議の中身は?

斎藤弁護士 異議。もう答えたでしょ。それに時間もだいぶんオーバーしている。

安田弁護士 抗議の中身は答えてない。時間がオーバーしたのは、あんたがいちいち止めるからだ。裁判所はよく指導してほしい。
(この傍聴記録ではかなり省略しているが、再三にわたって斎藤弁護士が異議を出している。以下も「異議」はほとんど省略した。)

竹田裁判長 双方落ち着いて。冷静に。あまり繰り返しの質問をしないで。で、抗議の具体的中身はなんだったの?

佐々木 こういう記事はないんじゃないか、という内容の抗議だ。ありもしないことを書くなんて。しかもこっちは取材に対し「あり得ない」と言ってるのにだ。都合、3回も来た際、中身をきちんと説明したのに。(被告の)佐藤も一度引き下がっておきながら、結局書くなんて取材手法も問題視した。当時はねつ造記事とは言ってなかった。

安田弁護士 訂正は求めたのか。

佐々木 求めなかった。

安田弁護士 名誉が傷ついたと思わなかったか。

佐々木 覚えていない。
<ここで、道警9階の総務部、本部長室周辺の構造などについてやりとり。いくつかやりとりし、安田弁護士が9階の見取り図を書かせようとするが、斎藤弁護士が「安全保障上、道警本部長室周辺の図面を書かせるなんてナンセンス」と言い放つなど、やや紛糾。結局、佐々木氏は「道警本部長室やその前、9階の廊下でのやりとりは総務課には聞こえない」と強弁を繰り返す>

安田弁護士 旬報社の本で、あなたが道新にした抗議の内容が出ている。それによると、あなたが抗議したのは「取材手法についてだ」という。先ほどの話と違うが、なぜ、問題にしなかったのか。

佐々木 これもウソです。そんな抗議はしていない。

安田弁護士 そうでしょうか。あなたは今まで一度も口にしていない。主尋問でも一切言わなかった。私に言われてようやく言っている。

佐々木 一つずつ示して聞いてくれないと分からない。

竹田裁判長 なぜ、問題にしなかったかを端的に答えて。

佐々木 ここだけを取り上げて名誉毀損と言うのもどうかと思った。でも、できることなら削除してほしい。

安田弁護士 しかし、この部分は文脈の流れから言っても、あなたの言う「ねつ造記事」の傍証としても使えるわけでしょ。

佐々木 ウソを書いているとは思ったが、名誉毀損と言うほどでもないと思った。

第25回(2008.12.13)第13回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言 私は道新のK社長・S編集局長・H報道本部長に脅された<下>に続く

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2009.2.8(日) 道警は積丹岳遭難救助失敗の責任を明らかにせよ−失われた命に謝罪もない メディアは何故追及しないのか

積丹岳遭難救助をめぐる新聞各社の報道

◎ 平成21年2月2日付けの北海道新聞

 第1社会面のトップには「積丹岳の遭難男性 救助中、ソリ滑落不明 結んだ樹木折れる」という見出しの記事が載った。記事の内容は、次のようなものである。
 31日に積丹岳(1,255メートル)に入山した男性が 行方不明になった遭難事故で、捜索に当たっていた道警機動隊員5人が1日正午、山頂付近の稜線上に藤原さんが倒れているのを発見した。
 しかし、男性を救助中に周辺の雪が崩れ、男性と機動隊員3人が、滑落。
 機動隊員が男性をソリに乗せて急斜面を引き上げていたが、一時樹木にソリをくくりつけた際、樹木が折れてソリが斜面を滑り落ち、男性の行方が分からなくなった。
 この男性は、2日午前7時40分に道警ヘリによって発見され、札幌市内の病院に搬送されたが死亡が確認された。

 2月2日の北海道新聞夕刊記事では、次のように伝えている。
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/144525.php

 道警によると、男性は札幌市豊平区平岸1の5、会社員藤原隆一さん(38)。
 2日の朝の捜索で、藤原さんは標高千メートルの南側斜面で、ソリに乗った状態で見つかった。
 1日の捜索で道警機動隊員5人は、同日正午、山頂付近に藤原さんが倒れているのを発見。隊員が藤原さんを抱きかかえて移動したが、足元の雪が崩れ、隊員3人とともに約200メートル滑落した。
 滑落後の同午後1時ごろ、隊員は藤原さんをソリに収容。
 3人で約1時間かけ、40度の急斜面を50メートル引き上げた。
 その後、他の隊員と交代するため、一時、ソリを樹木にくくりつけた際、樹木が折れ、藤原さんが二度目の滑落をして行方不明となった。
 このため、隊員は1日夕に捜索を一時、中断した。
 滑落については当初、藤原さんが雪に穴を掘ってビバークしており、そこからの救助作業中に発生したとみられていたが、道警の隊員への聞き取りで、2度の滑落など詳細な状況が判明した。

◎同2月2日付け 読売新聞
 北海道積丹町(しゃこたんちょう)の積丹岳(1,255メートル)でスノーボード中に遭難した札幌市豊平区の会社員藤原隆一さん(38)を(頂上付近の尾根筋で倒れているのを)1日正午頃、道警の山岳救助隊が発見。藤原さんの意識がもうろうとしていたため、5人の隊員が交代で抱きかかえて下山していたところ、藤原さんと3人の隊員が雪庇(せっぴ)を踏み抜き、約200メートル下に滑落した。
 3人の隊員は自力ではい上がったが、藤原さんが自力で歩けなかったため、残りの隊員が藤原さんを救助用のソリに乗せて急斜面を約50メートル引き上げた。
 ところが、隊員交代のため、ソリを近くの樹木に縛って固定したところ、樹木が折れてソリが滑り落ち、藤原さんは再び行方不明となった。

◎同2月2日付けの朝日新聞
 余市署によると、遭難したのは札幌市豊平区、会社員藤原隆一さん(38)。スノーボードをするため積丹岳に入り、仲間と下山中の1月31日午後3時半ごろ、山頂付近ではぐれた。藤原さんはその後、雪洞を掘り、簡易テントを使ってビバーク(露営)していると無線で伝えてきたが、道警の救助隊5人が1日正午ごろ、稜線上で倒れているところを発見、救助を進めたが、突然、雪庇が崩れたという。

◎同2月2日付けの毎日新聞
 救助隊は1日正午ごろ、山頂付近で雪穴に簡易テントを張ってビバークしていた藤原さんを発見。藤原さんは寒さのため意識がもうろうとしていたが、無線で現地遭難対策本部に無事を連絡し、一緒に下山を始めた矢先に滑落したという。

 各社の記事では、北海道新聞が救助に当たったのは道警機動隊としているが、ほかの各社とも救助隊あるいは山岳救助隊としている。
 また、最初に発見されたときの藤原さんの状況は、毎日新聞がビバーク中に発見されたとしているが、ほかの各社は稜線上あるいは尾根筋で倒れていたのを発見されたとしている。
 各社の記事で共通しているのは、
当時は、風速20〜30メートルの吹雪で視界は5〜6メートル、気温零下20度の悪天候だった。
救助隊が発見したときは、藤原さんは生存していた。
救助隊員が藤原さんと下山中に3人の隊員とともに藤原さんが滑落した。
救助隊員が約200メートル滑落した藤原さんを救助用のソリに乗せて急斜面を約50メートル引き上げたが、隊員交代のためソリを近くの樹木に縛って固定したところ、樹木が折れてソリが滑り落ち、藤原さんは再び行方不明となった。
翌2日午前7時40分に道警ヘリによって発見され、札幌市内の病院に搬送されたが死亡が確認された。

各社の記事で明らかになっていない事項

 北海道新聞は、道警の話として「現場の厳しい状況の中でやむを得ない判断だったと思うが、検証の必要はあるのかもしれない」と伝えている。
 毎日新聞は、道警地域部の佐々木茂信管理官の話として「救助のため厳しい現場で最善を尽くした」とのコメントを伝えた。
 さらに、読売新聞は救助中に滑落事故が起きたことについて、道警の話として「限られた人数の中で、やむを得ない判断だった」と伝えている。
 新聞各社の報道には、道警の救助活動に問題があったのではないか、とする指摘はない。
 これらの記事は、警察発表や警察に対する取材を通じて得た情報に基づくものだろう。
 山岳遭難という特殊な現場での取材のため、取材源が限定されるという事情はあるにしても、道警の救助活動に問題がなかったとするには、少なくても、次のような問題を明らかにしたうえで判断されなければならない。
 読者の立場からも、現時点で知りたいことはたくさんある。
この救助活動を指揮した所属と責任者
失われた命に対する道警の謝罪
最悪の条件下で発見した藤原さんを収容し直ちに下山させた判断の根拠
滑落した藤原さんをソリで引き上げる判断の根拠
藤原さんの死因と死亡推定時刻
道警の救助活動に対する藤原さんの遺族の考えや悲しみ

道警の山岳遭難救助活動の仕組み

 今回の遭難は、スノーボーダーの遭難で山岳遭難とは言えないのかもしれないが、登山と同じように自然を対象とする危険をともなうスポーツであることや積丹岳(1,255メートル)の頂上付近で発生しているとところから、山岳遭難と考えても問題はないだろう。
 山岳遭難での遭難者の救助活動は天候や地形等が極めて厳しい条件下で行われることが多く、特に、北海道の場合には冬山での遭難が多いため、条件はさらに厳しくなる。
 そのため、北海道警察(以下「道警」)には、山岳における遭難者の捜索及び救助(以下「救助活動」という。)に当たることを任務とする山岳遭難救助隊を道警本部地域部と各方面本部に設置している(北海道警察山岳遭難救助隊規程)。
 山岳遭難救助隊(以下「救助隊」)は、地域部の地域企画課(方面本部では地域課)に置かれ、隊長は地域企画課長(方面本部は地域課長)である。
 隊員は、山岳遭難救助養成講習会の課程を修了した者、登山及び遭難救助技術に習熟している者のなかから警察本部長が指定するが、普段は、機動隊や警察署等で別の仕事をしている。
 警察署長は、管内で山岳遭難事故が発生し必要と認めるときは、救助隊の出動を警察本部長又は方面本部長に要請することとされ、救助隊は警察本部長(方面本部長)の命令で出動する。
 通常は、警察のほか地元自治体、消防、地元山岳会、自衛隊等と現地遭難対策本部が設置されることが多い。
 報道によると、今回も現地遭難対策本部が置かれていたようだ。
 出動した救助隊の指揮は、派遣先の警察署長が行うこととされているが、警察署長は救助隊長に、逐一状況を報告しながら救助活動を進めることになる。
 従って、救助活動は道警が組織として進めることになる。
 このケースの場合は、現地余市警察署長が、救助隊長の道警本部地域部地域企画課長に、状況を逐一報告しながら、その指揮を受けて派遣された救助隊員を指揮して救助活動に当たったことになる。
 隊員は平素から体力気力の練成に努め、山岳遭難救助技術の習熟に努めることとされているが、救助活動等に当たっては、進んで指揮者の掌握下に入り救助組織の一員としての活動に徹し、困難な条件下においても、常に冷静沈着に行動することや山岳における行動には、細心の注意を払い、受傷事故の防止に努めることが求められている。
 北海道警察山岳遭難救助隊規程では、特に、二次遭難の回避に関する規定はないが、危険な条件下で行われる山岳遭難の救助活動では、遭難者の安全かつ迅速な救助と救助隊員の安全を確保するという難しい判断が求められるのは当然である。

山岳遭難の責任と救助活動の検証

 山岳遭難で死傷者が出たとき、登山の引率者等に参加者の安全を守る注意義務があったとして、刑事責任(業務上過失致死傷等)や民事責任(損害賠償責任)を追及されたケースも多い。
 最近の北海道の山岳遭難に関わる刑事事件としては、次の3件がある。
平成14年7月 北海道大雪山系のトムラウシ山(2,141メートル)で、登山客の女性が死亡した遭難事故で、旭川東警察署が登山ガイドの男性(当時48 歳)を遭難事故を未然に防ぐ注意義務を怠ったとして業務上過失致死の疑いで送致、登山ガイドの男性(当時48歳)に有罪判決(禁固8月 執行猶予3年)
◆(神14年6月 十勝岳(2,077メートル)で、登山中の千葉県の男性(当時65歳)が凍死した遭難事故で、登山ツアーの添乗員(当時53歳)とガイド(当時56歳)を吹雪模様の悪天候なのに、登山を続けたことなどから刑事責任があるとして、富良野警察署が業務上過失致死の疑いで書類送致(起訴猶予)
 平成11年9月 羊蹄山(1898メートル)の山頂付近で、ツアー登山に参加した京都府の女性2人が道に迷って凍死した遭難事故で、倶知安警察署は、安全確保を怠ったとして業務上過失致死の疑いで添乗員の男性(当時54歳)を書類送致、添乗員の男性(当時54歳)に有罪判決(禁固2年執行猶予3年)

 確かに、吹雪の中をスノーボードで滑るのは無謀とも言える危険な行為だ。
 積丹岳では平成19年3月にも、スノーモービルの愛好者が雪崩に巻き込まれて4人が死亡するという事故が起きている。
 藤原さんは、報道によると簡易テントを持ってビバークしていたとあるから、それなりの装備は持っていたのだろう。
 藤原さんは、当時の天候状況からビバークする方が安全だと判断していたことがうかがわれる。
 しかし、救助隊は一刻も早く藤原さんを救出しようとした。
 警察は遭難者から救助を求められた以上、遭難者を救助し安全な場所に保護する義務がある。救助する以上、どんなことがあっても藤原さんを無事に下山させなければならない。
 果たして、その判断は正しかったのだろうか。
 道警では、山岳遭難救助の高度な知識・能力を持った救助隊員を養成し特別の訓練も行っているとしている。
 登山ガイドや添乗員でさえ、案内の途中で過失があればその刑事責任が追及されている。
 警察の救助隊には、山岳遭難救助のプロとして高度の注意義務が求められる。
 山岳遭難の救助活動が失敗して遭難者が死亡したときには、救助活動に問題がなかったどうかをつぶさに検証し、問題があればその責任を明らかにすべきである。
 警察の救助活動が不問に付されるのはおかしい。
 他者の責任を追及する以上、自らにも厳しくあるのは当然であろう。
 あるアルピニスト(アルプスに登れるような高度な技術を持った登山者)は、常に山岳遭難は防げる、と言っている。
 冬山の稜線上あるいは尾根筋は、風が強く雪庇ができやすい最も危険な場所で、風速20〜30メートルの吹雪、視界は5〜6メートルでは雪庇も確認できない。そうした条件下で移動するのは極めて危険だという。
 ここでいう「雪庇」とは、雪のかぶった山の尾根、山頂などに、風が一方方向に吹き、風下方向にできる雪の塊である。
 ある冬山登山の指導書では、次のように注意を喚起している。
 稜線では、雪庇にも気をつけなくてはいけません。雪庇が崩れ、ストンと落っこちないようにしてください。雪庇に乗らないようにするには、稜線の項稜から距離を置くことが必要です。
 それと、雪庇は風の強いところで発達するので、風上側の雪は薄いのがふつうです。当然、露岩やハイマツが出ていることも多いので、歩きにくいのですがとりあえずは安全地帯です。

 救助隊員は、雪庇を踏み抜き、ソリの確保の方法の失敗と2回のミスを犯している。
 今回のケースでは、救助隊も遭難者と一緒にビバークすべきだった。
 遭難者に応急手当をし、食料を与え、テントを張り、視界が良くなるのを待つべきだった。
 雪庇のある稜線を吹雪の中で動くのは自殺行為だ。
 あえて救助に着手した理由は何処にあったのか。指揮官はどんな判断をしたのか。
 考えられるのは、救助隊がビバークに必要な装備等もなく、冬山登山の経験もないのではないか、という点だ。

 ビバークとは、不時露営のこと。簡単に言えば、小屋やキャンプ地ではない場所で一夜を過ごすことで、はじめから適当な場所でビバークする予定だった場合(予期された不時露営=フォーカストビバーク)と、次の小屋に辿り着けなかった場合など、予定していなかったビバーク(=フォーストビバーク)があります。いずれにしても、どんな装備を持っているかによってビバークの快適度(というか、安全度かも)は全然違ってきますから、何があっても一晩持ちこたえられるだけの装備は持っておくべきでしょう。(登山用語集)

 ビバークしている遭難者を天候の回復を待って時間をかけて救出に成功した事例もある。
 平成19年3月に、留萌管内増毛町の暑寒別岳(1,491メートル)を下山中の男子学生部員(当時24歳)が、12日午後7時ごろ、「悪天候のため、ビバークする」と携帯電話で知らせてきて以降、連絡がとれないと、留萌警察署に届け出があった。
 留萌警察署や増毛町の遭難対策協議会が13日午後から捜索を開始し、13日午後3時ごろ、山の8、9合目付近で男子学生を発見したが、吹雪模様のため捜索隊の接近が難しく、同日午後6時でいったん救助活動を打ち切った。
 翌14日早朝から捜索を再開し、14日正午ごろ、標高1,250メートル付近で、捜索していた道警山岳救助隊が男子学生を発見、無事保護した(当時の北海道新聞から)。

 今回の積丹岳のケースでは、救助隊員が遭難者とともに200メートルも滑落した後、遭難者をソリに乗せて斜度40度の急斜面を登ったとのことだが、いったい何のために登ったのかも不明だ。
 救助隊員が疲労し他の隊員を待っている間に担架が落ちたとあるが、救助隊員がかなり危険な状況になっていたことが伺われる。
 二次遭難も予想される危険な状態にあったと思われる。そこに至るまで、指揮官はどんな指示をしていたのか疑問だ。
 おそらく、救助隊員は遭難者が滑落したことで、パニック状態に陥ったのではないだろうか。遭難者を見失って何とか発見しようと必死だったに違いない。
 ここで救助隊員だけを非難するつもりはない。
 救助活動の指揮に当たっていた余市警察署長をはじめ、道警本部の地域部の幹部の責任は重い。

 いずにしてもこの山岳遭難の救出失敗については、救助活動の内容を時系列的に何があったかを追っていき、現地遭難対策本部の体制、警察の救助活動の体制、ビバーク等の装備の準備状況、救助隊員の冬山遭難救助の経験・能力、指揮に当たった幹部の指揮内容、遭難者と現地遭難対策本部との無線等の交信記録、救助隊と現地遭難対策本部あるいは余市警察署との無線等交信記録、遭難者の遺族へ対する説明内容等をつぶさに検証する必要がある。
 そして、道警はその結果を速やかに公表すべきである。
 その結果により、過失の有無に拘わらず、救助活動を指揮した幹部をはじめ関係者を業務上過失致死の疑いで検察庁に送致するべきである。
 現場で救助活動に当たった救助隊員には厳しいかもしれないが、人の命が失われている以上、救助活動の過失の有無を第三者機関の判断に委ねるのは大切なことである。
 そのことが、また、救助隊員の能力と技術の向上にもつながる。
 そして、救助隊の名誉回復にもつながる。
 くさいものに蓋をするのは、最も下策である。

北海道新聞への照会と回答

 今回の新聞各社の記事では、いったん警察の救助隊が遭難者を発見しながら救助に失敗しただけに大きく取り上げられた。
 しかし、各社とも警察の責任問題に触れてはいなかった。
 そこで、北海道最大のメディアである北海道新聞(以下「道新」)にそのことを照会してみた。そのやり取りの要旨を公開する。

◎ 読者センターへの照会と回答
原田:2月2日の朝刊の積丹岳の遭難の記事のことでお尋ねしたい。道新の記事によると道警の機動隊が遭難者を発見したときに「倒れていた」とありますが、毎日新聞等では「ビバークしていた」となっています。どちらが事実なのか知りたかったのですが。

道新:昨日の夕刊でも、道警の機動員が稜線上で倒れていたのを発見したとなっています。

原田:そちらでは分からないのですね。分かりました。では、道警の機動隊員5人はとありますが、これは道警の(山岳遭難)救助隊員と同じなのでしょうか。

道新:違います。記事によると救助隊員とはなってないですよね。

原田:この救助には問題はなかったのでしょうか。道警側の話として「現場の厳しい状況からやむを得ない判断だった。検証の必要があるかもしれない」となっていますが、本当に問題がなかったと今の段階で道新としてはお考えなのですか。

道新:何とも言えない。自分で取材したのでないので。

原田:疑問は、遭難した人はその時生きていましたよね。仮にビバークしていたとしたら、ビバークしていた人を猛吹雪の視界が5メートルしかない中で移動させるのは無理だと思うのですが。素人の考えですが、救助隊にビバークの装備があったのかどうかも分かりませんが、そこでビバークして天候の回復を待つてから救助すべきではないかと思うのですが。もっと、慎重な判断が必要だったのではないかと思うのですが。二重遭難になるおそれもありましたね。警察官も。

道新:実際に二重遭難になっています。滑落してますから。

原田:現場にいった人は無線機を持っていますよね。本部に報告しているのでしょう。道警の指揮していた人たちはどんな判断だったのですか。そのへんは新聞では書いていませんよね。
 現場に行った機動隊の人たちは大変な状況だったと思うのです。山岳遭難救助にどの程度の能力があったかは分かりませんが、最終的には失敗でしょう。1人の人が亡くなった。その責任は何処にあったのでしょうか。

道新:生存したまま帰還させられなかったという意味で(失敗でしょう)。

原田:道新の記事にはそうした観点で書かれていないので読者として疑問を持ったのです。この点について社として回答を頂けますか。

道新:頂いたご意見は今後の取材に参考にさせていただきますが、個別のご質問には回答していません。
  こうしたやり取りがあったが、結局,読者センターから記事を書いたという編集局報道本部へ電話が回された。報道本部の記者の方に疑問な点について、道新としての回答をいただきと伝えた。

◎北海道新聞編集局報道本部の回答
道新:お問い合わせについて、お答えします。
 1つは、最初に亡くなられた藤原さんを道警の機動隊員が発見したときの状況ですが、「稜線上に倒れていた」としたのは、1日の夜の道警の一連の取材のなかでの道警の説明でそうなっている。実は、前日の31日に本人がまだ生きていて携帯で連絡が取れていて、ビバークしていると伝えきていたという情報があった。 他の社のことは分かりませんが、道新としては1日付けの朝刊の記事を書く段階では「稜線に倒れていた」という情報の確度が最も高いとの判断で書いています。

原田:何故、お尋ねしたかというと、ビバークしているのと倒れていたのでは状況が違うし、救助隊が動けないのならビバークしなければなりませんよね。そんなことを考えたものですから。

道新:道警の機動隊員5人となっていますが、山に関してできる人だったのかという趣旨のご質問だったようですが、こちらで改めて確認しましたら、道警の機動隊員の中に山岳救助に強い人、詳しい人、訓練を受けた人がいて、今回の5人は全員そうだったそうです。道警としては経験も含めて、適当な人を現場に出したということのようです。
原田:道警には山岳遭難救助隊というのがありますが、それとは違うということなのですか。

道新:5人の通常の所属について確認した訳ではありませんが、普段の勤務は機動隊にいて、こうした事案が発生したときに、山岳救助のできる人ということで現場に行ったと聞いています。組織上は機動隊員ということです。

原田:分かりました。

道新:それと、結果的に藤原さんを生存という形で救助できなかったことについて、道新としての見解についてご質問がありましたが、道新として取材する限りでは、あの天候、風が強く、吹雪も厳しくて、現場が40度の急斜面という条件下では、現段階では、道警としてもできる救助行為としては、それ相当のことをきちんとやったと判断しています。ただ、結果的に救助に出たのに生存した状態で救助収容できなかったということについては、今後、取材をしていって新たな要素が出てくれば何らか形で報道することはあるかもしれません。それはあくまで取材の結果としてです。

原田:非常に悪条件の下で、実際に機動隊員も一緒に滑落しています。非常に危険な状態の中でソリに乗せて負傷者を移動させるのはとっても危険だと山の専門家も言っています。現実に2次遭難を起こしています。極めて判断が甘かったのではないか、無理をしすぎたのではないかと思っているのです。
 現場に行った人は大変だったと思います。間違ったら自分で命を落とす可能性がありました。機動隊の人たちからよくけが人や死者が出なかったなと思います。
 私は機動隊の人を非難するつもりはありません。現場で苦労したはずです。大変だったと思います。これを指揮した人が道警にはいるはずです。私は、その人たちがどういう考えで指揮をしたのかを知りたいのです。つまり、機動隊員は勝手に救助に行ったわけでもないでしょう。上の方が行けと指示しているはずです。  
 彼らが、単独行動するはずはなく、天候状態や病人の状況を逐一無線で報告していたはずです。それに対して「こうしろ」という指示を誰かがしていたはずです。そうした指揮した人間の判断がちゃんとしていたのかどうかを検証して欲しいんです。
 そうでないと現場で働いた人が、今回はたまたま、確かに二次遭難の被害は出なかったが、結果的に救助に向かった人は亡くなる。隊員は遭難しかかる。最悪の事態だった。救助としては失敗でしょう。
 失敗したことについて、そのことについて道警はどう考えているのだと。そのことをどう検証するのだと。亡くなった人の遺族のことも考えて下さいよ。確かに、遊びに行ったのかもしれないけれども、助かったかもしれない命が助からなかったじゃないですか。現実の問題として。
 警察に対しては厳しい言い方かもしれないが、きちっと検証すべきだと思います。
 検証した結果をメディアとしてはオープンにする必要があると思います。

道新: そこについては、おっしゃる意味はよく分かりますけど、ここからは一般論ですが、結果として助けられなかったことについて、そのことについてイコール、一概に別に道警の肩を持つわけでは一切ありませんが、道新のスタンスは、今後さらに取材した上で必要があれば記事を書きますが、いろんな厳しい状況の中で結果的に救助できなかったことを、そこの部分だけを・・・。

原田: 私はそんなことを言っているのではありません。検証することを道警に求めて下さいよ、ということを言っているのです。指揮したのは誰か、その判断は正しかったのか、警察としてきちっと検証するべきだ。メディアとして警察にそのことを求めて下さいよと言っているのです。
 その結果をちゃんと読者の皆さんに、道警が検証をやって結果的こういう判断だった。それで道警にミスはないと言えるんだったら、そういうことを含め説明すればいい。少なくても、メディアの使命が権力の監視だとおっしゃっているじゃないですか。警察の執行務に少しでも問題があるかもしれないと思ったら検証することを求めるべきでしょう。

道新:ご意見の趣旨は分かりました。読者センターからの引き継ぎに問題があったのかもしれませんが、道新としてこの件について取材を続けますし、取材をして必要があれば書きます。

原田:ほかにも納得していない読者もいると思いますよ。そんないい加減なことではなくて、道新の記事の中にも道警は「検証の必要があるかもしれない」と言っているのですから、道新として道警に検証するように求めて、検証の結果を読者に知らせて下さい。
道新:お話しの趣旨は分かりました。
(以上)

cefh at 16:33コメント(0)トラックバック(0)警察関連news 

2008年10月23日

北海道警察v.s.北海道新聞 第24回(20.10.19) 第12回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言「私は道警の裏金作りを知らなかった」<下>

 前回<上>で、原告佐々木が竹田裁判長から「あなたは現役時代、道警が裏金作りをやっていたという認識を持っていたのか」と聞かれて、佐々木は「そういう認識は持っていませんでした」と答えたことを紹介した。

 平成15年11月末に発覚した道警の裏金疑惑について、当時総務部長のポストにいた原告佐々木が初めて「道警の裏金づくりを知らなかった」と公式の場で証言した。
 この問題では、平成20年7月14日の第10回口頭弁論で、道警の裏金疑惑が発覚時、北海道警察の最高責任者として、その対応にあたった元道警本部長の芦刈勝治が証言台に立ち、市川弁護士から「最終的に道警は不正経理があったことは認めるが、最初の報道の時点では本当に知らなかったのか」と質問され、芦刈は「ハイ。当時の議会答弁の時は(不正経理の存在について)露ほども知らなかった。今となってはお恥ずかしい限りだ」と答えている。
 芦刈が「お恥ずかしい限り」と述べたように、当時芦刈の直属の部下であった原告佐々木も「お恥ずかしい限り」の証言をした。
 この2人の証言は、道警の裏金疑惑に関して、北海道監査委員が指摘した内容とも、元道警釧路方面本部長原田宏二の証言とも異なる。
 真実を述べると宣誓した2人の証言の真偽は裁判官の判断に任されるが、以下の清水弁護士の反対尋問にどう答えるかが注目された(文中敬称略)。

<午後3時35分 被告佐藤・高田の代理人の清水弁護士の原告佐々木に対する反対尋問が始まる。まず原告の経歴の確認。>

清水弁護士 定年後、再就職に当たって就職活動はされましたか?
佐々木 してません。

清水弁護士 ではなぜ、自動車安全運転センターの所長になれたんでしょうか。

佐々木 私が長年、警察の仕事に携わったのでその経験を生かされる、ということで、東京の本部から辞令をいただいた。

清水弁護士 あなたの前の人はなんという人?

佐々木 私の前はMさんで、元道警の人。最後の所属は…忘れました。
(註:「M」とは、道警の裏金疑惑発覚のきっかけとなった旭川中央署の元署長)

清水弁護士 勤務はどういう状況?

佐々木 土日祝日を除く毎日勤務してました。勤務時間は8:45−17:30。タイムカードはありませんでした。

清水弁護士 仕事の内容は?

佐々木 えー、全国の人が北海道で起こした交通事故が云々(いや、センターの仕事でなく、あなた自身の仕事ですが)…それは、センター全体を取り仕切ることで…日々、さまざまな決裁や指示といった管理運営業務です。

清水弁護士 入ったその日の4月1日からそんな仕事ができるのか。

佐々木 そりゃあまあ、最初は慣れるまであれですが…細々とした仕事はあります。

清水弁護士 あなたの受けた精神的苦痛について伺います。退職後の平穏な人生を乱されたとかいろいろとご主張ですが、今回問題にしている2冊の本を読むまでは平穏だったんですね。

佐々木 ハイ。

清水弁護士 では、その2冊の本を読んだのはいつのこと?

佐々木 その年の9月ごろだ。

清水弁護士 それまでは見ることもなかったの?

佐々木 出版されたのは知っていた。

清水弁護士 この本を読んだ人が「あなたのことを書いている」といってきたことがあったのか。

佐々木 ある人が本の当該部分をコピーして持ってきた。7月ごろだったと思う。

清水弁護士 それを読んでどう思った?

佐々木 とんでもないことが書いてあると思った。

清水弁護士 でも9月まで読まなかったと。関心がなかったのではないか?

佐々木 多忙だったので、9月までなってしまった。

清水弁護士 文庫本の記述はいつ読んだの?

佐々木 8月下旬か9月だったと思う。やはり、ある人にコピーを見せてもらった。マスコミの人だったか、警察官の人だったか、そこは覚えていない。その時は叱責のことを書いたページのみだった。

清水弁護士 文庫本そのものを読んだのは?

佐々木 9月だった。2冊とも9月に読んだ。

清水弁護士 で、精神的に傷ついたということですか。忙しかったというけど、コピーを読んだ時点では相談も動きもしなかった。

佐々木 まあ、全部読んでなかったし。

清水弁護士 でも、あなたの主張だと、全体の読み方だろうと、その部分だろうとねつ造はねつ造なんでしょ?

佐々木 ハイ。…でもその時は特に相談しなかった。

清水弁護士 家族はどう? 私はこういった名誉毀損事件の原告側に回ることが多いのだが、その経験から言わせてもらうと、なぜか家族の感情について、ご主張がないと思ったのだが。

佐々木 家族が読んでいるかどうかについてはわからない。

清水弁護士 家族から「この記述は不名誉だ」と言われたことは?

佐々木 聞いてはいない。

清水弁護士 弁護士に相談したのはいつごろ?

佐々木 平成18年5月に提訴しているが…、その前の道新とやりとりしていたときは、弁護士のべの字もなかった。

清水弁護士 あなたが実現したかったことは、本の発刊停止と回収だったのか。

佐々木 当時もそのようなことはあった。

清水弁護士 これら2冊の本を出しているのは旬報社と講談社なんだけど、旬報社に抗議したのはいつ?

佐々木 いや、旬報社にも講談社にも抗議はしていない。

清水弁護士 そういう場合、普通は出版元に抗議をするのが筋なんですけどねぇ。

佐々木 法律の専門家であればそう思ったかもしれないが、私はそうではないので、私の頭の中では著者の道新がでたらめを書いたというのが先に立った。係争するとなればそこまで思い及んだかもしれないが。

清水弁護士 でも、本を売ってもうけているのは出版社ですよ。

斎藤弁護士 異議。議論をふっかけています。あと、たたみかけるようにして(質問を)やるのはやめてください。

清水弁護士 何を言っている。たたみかけてやるのが反対尋問でしょうが。

竹田裁判長 お伺いしますが、なぜ出版社に抗議に行かなかったの?

佐々木 そこまで考えが及ばなかった。書いたところの道新に行くのが筋だと思った。

清水弁護士 12月3日の公安委員会で、あなたは偽名領収書の存在について説明している。なぜその場で説明したのか。

佐々木 公安委員の理解を助けるためだ。

清水弁護士 先ほど馬場弁護士の質問に対し、「自分の判断で言った」という趣旨のことを話している。ところで、警察の裏金っていうのは道警の前にあちこちで問題になっているわけで、そんなときにあなたの判断でそんなことを話してもいいんですか?

佐々木 ハイ。別に注意されたこともないです。

清水弁護士 警視庁で銃器対策課と赤坂署の問題が裁判になっているが、それを知らないで言ったのか。

佐々木 その2つの裁判は知らなかった。

清水弁護士 この公安委員会発言の記事では、当時の取材時のやりとりも出ている。

佐々木 おいそれと協力者が現れてくれるとは限らない。少しの金で組織を裏切ってくれる人などほとんどいない。もっと謝礼があってもいいとは思っていた。

清水弁護士 そのころ、記者の前でも「本名なんて書けるわけがない」とか言ってないですか。

佐々木 それは断じていってない。芦刈本部長が会見で否定して数日しか経ってないのに。

清水弁護士 本部長による叱責の件で伺う。その前提となる記事(調査と答弁しないで、記事)で、あなたのコメントが出ているが、この内容からすると、あなたから電話をしてはいないが、道庁側と話はしたんじゃないのか?

佐々木 向こうからかかってきたことも、こっちからかけたこともない。

清水弁護士 この記事は、複数の道幹部から話を聞いたと書いており、本では「副知事」とまで書いている。副知事や道の幹部に「なんで道新にそんなことを言ったのか」と確認したか。

佐々木 していない。

清水弁護士 準備書面の主張によると、芦刈氏に「道新がこういう話を書いてしまうかもしれない」とあなたが話したようだが、芦刈氏は「事前には聞いてない。新聞を見て、あっと思った」といっている。

佐々木 芦刈さんが勘違いされて証言されたのだと思う。それに、「あっと思った」という証言は最後の方で取り消されていますよね。

斎藤弁護士 尋問調書の後ろの方で、「覚えていない」と修正されている。(この辺、ちょっとやりとり)

清水弁護士 「いやいや、どこまでやられるかと思ったよ」発言について。「昼食を食堂で取ることはない」という人の陳述書を出されていますが、その人はいちいち、あなたの昼食をチェックしていたのか?

佐々木 いいえ。

清水弁護士 あなた、現職に気を遣わせたくないっていいながら、13人から陳述書を取っている。どういう風に頼んだのか。あなたが聞き取ってまとめたのか?

佐々木 その人たち本人に書いてもらっている。たとえば食堂の件については、私がそこを利用しないことを自分が知っている、とわかるように書いてくれと頼んだ。本人に書いてもらっており、直しは一度もしていない。

清水弁護士 今回出された甲第100号証だけど、この内容を見ると道新側に同調的な意見は一つもなかった。

佐々木 ハイ。

清水弁護士 この関係で、依頼文を作ったことはあったのか。

佐々木 いえ。すべて口頭です。

清水弁護士 この回答者の中には現職警察官も入っていますが、民事不介入の原則から回答を断った人はいなかった?

佐々木 そういう断り方はなかった。

清水弁護士 実名で出ている人もいるが、了解は取ったのか

佐々木 ハイ。

清水弁護士 甲第100号証はどこで作成したの? 勤務時間?

佐々木 昼はセンターで作業をし、夜は自宅で。勤務時間中に聞いたのもあるし、そうでないのもある。

清水弁護士 勤務中なので、と断った人はいなかった?

佐々木 いませんでした。

清水弁護士 同じ調査を(被告の)佐藤と高田がやったとしたら、彼らは調査に応じたと思いますか。

佐々木 わかりません。

清水弁護士 高知県では監査委員の監査で捜査員に事情を聞く際、上司などの警察官の同席を認めませんでした。なぜかわかりますか?

佐々木 さあ、あちらの判断ではないか。

清水弁護士 まあいい。今回の調査対象は、あなたがOBになったとはいえ、あなたより立場が下の人ばかりでしょ。協力できない、なんて言えないのではないか。

佐々木 言えると思う。協力できないという気持ちがあれば。

清水弁護士 あなたは退職するまで、裏金に関与しなかったし、知らなかったという。しかし、あなたの元上司の原田さんは不正はあったと指摘しているし、監査結果も道警の内部調査も不正を認めた。自分の勤務地も含まれているのに、関心がなくて監査結果などを読んでないというのは不自然ではないか。

佐々木 読んでないし、読む機会がなかった。

清水弁護士 組織的な裏金作りが認定されたということは、あなたは道警という組織に騙されていたことになる。

佐々木 そのような認識はありません。

清水弁護士 実は元から裏金を熟知していたから、騙されていたと思わないんでしょ。

佐々木 そんなことはない。

清水弁護士 でも、裏金の返還については特段抗議することもなく、支払ったということは、その決定を受け入れたっていうことでしょ。私は40年以上も道警に勤めてきて、こんなことになるなんて、という忸怩たる思いでもあったのか。

佐々木 道警は組織も大きいし、いろいろあるだろうし、結論が出た以上はそれに文句は言わないものです。

清水弁護士 あなたのようなまじめな人が、なぜ道警に抗議しなかったのか。

佐々木 その調査結果が出た以上は仕方がないから。

清水弁護士 でもあなたは再三にわたって「不正はない」といっている。組織に言わされ続けたんでしょ。

佐々木 そんなことはない。

清水弁護士 甲第84号証だが、この隠し録音の多くは勤務中だ。これは休みを取ったのか。

佐々木 取れなかった。

清水弁護士 休みでもない勤務中に、勤務先で、自分の私的な交渉をするのは許されるの?

佐々木 来客の応対はここでやっていたので、ある程度自由な裁量で話をすることができた。

<午後4時50分清水弁護士の反対尋問終了、以上はある程度抜粋>
<補助参加人による佐々木に対する反対尋問質問と被告高田昌幸の尋問は次回以降に>

<終了前に次のようなやり取りがあった>

竹田裁判長 今回の(尋問)を踏まえて、重複がないようによろしく。

安田弁護士 重ならないのはもちろん、違う確度からの質問をさせていただくつもりだ。

竹田裁判長 わかりましたが、端的に、インパクトのある質問をお願いします。

講談社代理人弁護士 えー、講談社ですが、予定に入っていませんでしたが、これまでの経緯をふまえ、15分ほど反対尋問をさせてほしい。インパクトはないですが。

旬報社代理人弁護士 旬報社も同じく15分ほどお願いしたい。

斎藤弁護士 証言時間からいって原告の負担が大きくなりすぎている。配慮をお願いしたい。

竹田裁判長 本人が訴訟を提起されているわけだし、言いたいことを主張しているわけだから、ある程度の反対尋問を受けるのはやむを得ない。

馬場弁護士 ところで、訴訟費用の負担の関係もあり、高田さんにこの場で宣誓だけさせてもらえないか。

竹田裁判長 いや、今回はもともと、裁判所から出頭呼び出しもかけていますし、出頭記録にも残りますし。それにしても、反対尋問もそれなりにありそうなので、2期日取った方が安全でしょうかねぇ。

市川弁護士 賛成です。

竹田裁判長 いや、だからといっていくら時間をかけてもいいというものではないんですよ。で、高田さんはいかがですか?

高田被告 まったく問題ありません。

竹田裁判長 ではそうしましょう。高田さんは次々回にしましょうか。ご都合はいかがです?
(普通、期日指定は代理人弁護士の都合を優先する。いきなり被告本人に聞くのは異例といえる)

次回(13回口頭弁論)は12月1日午後1時半から
原告佐々木に対する反対尋問の続き、補助参加人の講談社、旬報社の反対尋問、裁判所の最終尋問

次々回(14回口頭弁論)は12月15日午後1時半から
被告高田昌幸の尋問(高田が出廷可能な場合)

cefh at 00:01コメント(0)トラックバック(0)北海道警察v.s.北海道新聞 

2008年10月22日

北海道警察v.s.北海道新聞 第23回(20.9.27) 第12回口頭弁論 原告佐々木友善(元道警総務部長)の証言「私は道警の裏金作りを知らなかった」<上>

 第12回口頭弁論が平成20年9月29日午後1時30分から、札幌地裁8階5号法廷で開かれた。当日は、前回に引き続き道警の裏金疑惑発覚当時、道警総務部長だった原告の佐々木友善が証言台に立った。前回より傍聴希望者が少なく、一般傍聴席60は抽選にならなかった。

 特別傍聴席に道新幹部ら、報道記者を除く40人ほどが一般傍聴席。
 傍聴者の中にはいつもの道警OBに混じって、原告佐々木の後任の元道警総務部長等の新顔のOBが見える。総数7〜8人。

 原告席には、原告佐々木友善、その代理人斎藤隆広弁護士が着席した。
 被告側には、道新代理人馬場、見野両弁護士、講談社と旬報社代理人弁護士、補助参加人大谷昭宏と宮崎学の代理人市川、安田、喜多村弁護士、そして被告の高田昌幸と佐藤一が着席した。

 定刻午後1時30分、竹田光広裁判長、田口紀子裁判官(右陪席)、鈴木清志裁判官(左陪席)が着席し、弁論が始まった。(以下文中敬称略)

 まず、原告側から甲第98〜108号証を提出。(当日に甲第109号証も追加)(甲第100号証は、佐々木が前回の佐藤尋問後に、当時の道警総務課員全員、警務部幹部に「叱責の事実を見聞きしたかどうか」を聞き取り調査したリスト。回答内容を実名入りで記載。ほかに提出したのは佐々木の部下の陳述書等)
 一方、被告道新が準備書面8を陳述。内容はおおむね以下の通りである。

 「・・・佐々木の隠し撮りテープを起こした『甲第84号証』と、実際の録音を比較検証したところ、甲第84号証は記述の誤りや、重要なやりとりを『聞き取り不能』とするなど正確さを欠き、恣意的に作られたものである。信用できない。」

 また、被告道新が乙イ第37〜44号証(新聞記事)を提出、補助参加人が丙第29号証(緊急出版企画書=「警察幹部を逮捕せよ〜」について)を提出した。

<尋問前のやりとり>
 この日の証人尋問をめぐり、裁判長と被告弁護団内で以下のようなやり取りがあった。
 ロンドン駐在の高田の出廷経費節減?のためか、高田尋問を前倒しようとする道新代理人と当初の予定通り佐々木に対する徹底した反対尋問を主張する高田の代理人とが法廷内で火花を散らした。
 被告弁護団内でのそれぞれの代理人のこの訴訟に関する思惑の違いが垣間見える場面であった。

竹田裁判長 さて、今回は佐々木さんの主尋問の続きだが、順番について確認したい。高田さんの尋問が佐々木さんの後でいい、ということでよいか。

馬場弁護士 主尋問の終わったのちに、場合によっては高田をやってもらってもかまわない。

清水弁護士 いや、(佐々木の)反対尋問が終わってから、高田をやってください。

竹田裁判長 主尋問の内容によっては、高田さんがこの次に積み残しになることもありうると、前回も言ったが、そのときは「佐々木さん終了後」ということで聞いてたんで、その予定だったんだが。

馬場弁護士 いや、道新としては1日で高田さんを…

清水弁護士 1日でとかそういう問題ではなく、こちらとしては反対尋問もしっかりやりたいし、高田さんについても同様だ。今日一杯で何が何でも終わらせることは求めない。当初の予定通りお願いしたい。

竹田裁判長 では予定通りで。

清水弁護士 ところで、今回原告から甲第100号証が出てきた。この尋問を決める際に被告道新側は想定していなかったので、尋問時間がのびることを了承いただきたい。

竹田裁判長 もちろん、尋問時間を縛るつもりはない。ただ、高田さんにもう一度ご足労いただく可能性は高まるが、それはご承知おきを。

馬場弁護士 道新としましては、原告本人の反対尋問を後に回し、高田さんを先にやってもらいたいのだが。

清水弁護士 …(うんざりした表情で)それはやめてください。当初の予定通りということでお願いします。本人の了解も得ています。

高田(被告) 私はもう一度出てくることになっても結構ですので、予定通りお願いします。

竹田裁判長 高田さん本人もそう言ってますので、予定通りで。では主尋問を再開します。佐々木さん、前へ。

<午後1時40分 佐々木主尋問 再開>

斎藤弁護士 被告佐藤は、自動車安全運転センターで原告と会った際、机の上にパソコンはなかったといっているが、

佐々木 そもそも、彼は一度もセンターに来たことがない。パソコンは平成16年4月の着任当初から机においてあった。

斎藤弁護士 今回出した証拠に、パソコンの保証書やパソコンを設置した写真を出したが、平成16年4月からこの状態だったということか。

佐々木 ハイ。

斎藤弁護士 では、被告佐藤が「机の上には何もなかった」と言っているのは?

佐々木 虚偽の証言です。
(註:保証書が2001年のものであり、写真が後から撮影されたものであるなら、2004年4月にパソコンを設置したことを裏付ける証拠とはならないのでは?)

斎藤弁護士 ところで、自動車安全運転センターの受付の中には誰でも自由に出入りできますか。

佐々木 自由に入れない。センターは交通違反などの個人情報が大量に管理されており、職員の許可なしでは出入りさせていない。たとえ、記者クラブの人間でも同様だ。また、カウンターからは所長席を視認できないので、自分がいるかどうか、確認することはできない。
(註:甲第84号証では、道警記者クラブキャップKが何度も出入りしている。この内容はそれと矛盾しているのでは?)

斎藤弁護士 佐藤は「叱責」について20人からその話を聞き、ウチ4人は核心部分が一致していたと言っているが。

佐々木 全くの虚偽だ。私は当時の総務課全員と警務課の幹部の合わせて32人から事情を聞いた。佐藤氏と面識があったのは8人だけで、佐藤から「叱責」について取材を受けた人物は1人もいなかった。また、叱責の状況を見聞きした人もいなかったし、叱責について誰かから聞いたことがある人もいなかった。このことを甲100号証にまとめたが、以上により、佐藤氏の証言が虚偽であることが確認できた。また、調査に応じてくれた人からは「叱責なんて話は本で初めて知った話だ」「創作か空想の話ではないか」という人もいた。

斎藤弁護士 佐藤氏は、当時芦刈氏やあなたには、そのことについて取材できない状況だった、といっているが。

佐々木 そんなことはない。芦刈氏は月に1度の定例会見のほか、毎月のキャップ懇もあり、特にキャップ懇では酒を酌み交わすわけだから、ざっくばらんに聞けたのではないか。また定例会見の終了時にちょっと聞くこともできた。年末の懇親会や異動時の懇親会も含め、叱責とされる時から出版時点まで14回はその機会があり、裏を取るチャンスは十分にあった。また、私も平成16年3月までは道警に勤務しており、接触の機会は十分にあったし、4月以降も道警本庁舎の1階にある自動車安全運転センターにいるのだから、確認の機会はあったはずだ。佐藤さんは、センターの私のところに何度も会いに来たといっているが、まあこれは虚偽なんだけど、その訪問時に叱責の事実を確認しなかったというのはおかしな主張だと思う。

斎藤弁護士 もし、あなたがその事実の問い合わせを受けたら、どうしたか。

佐々木 もちろん、きちんと対応したと思う。自分の名誉に関することなので。

斎藤弁護士 「わかるでしょ、理解してよ」について尋ねる。当時は偽名領収書について、記者たちに理解を求めなければならない状況だったのか。

佐々木 そんなことはない。当時、仮名領収書についてはまだ、議論になっていなかった。仮名領収書について問題になったのは、2月4日の記事以降のこと。なのに、時間軸をさかのぼり、遡及的に話を作ったのだと思う。また、「わかるでしょ」発言は11月28日のキャップ懇での話だったと思うが、この日は15:00から定例会見があり、そこで本部長が全面的に否定している。その話に反して私が「仮名領収書はある」といったら、大騒ぎになったと思う。

斎藤弁護士 本には「本名なんか書けないでしょ」との発言も紹介されているが。

佐々木 先ほども言ったとおり、こんなことを話すなんてあり得ない。それにその日のキャップ懇は数分で退席しているので、こんなに話し込むことはないだろう。この記述は虚偽だ。

斎藤弁護士 その発言の日付を巡って、原告は再三にわたって道新側に「明らかにせよ」と要求しているが、未だにはっきり明かさない。

佐々木 あり得ないことだと思う。これは事実でないからだ。

斎藤弁護士 発言時に周りを囲んでいた記者を思い出せないといっているが。

佐々木 それはうそだと思う。彼らは記者クラブのブースで毎日顔を合わせている。覚えてないなんておかしい。

斎藤弁護士 佐藤氏は「公の場での発言がないと書かない」といっているが。

佐々木 それは筋が通っていない。当時の道新は「知ったら直ちに記事に」の方針だった。たとえばYさんの話やSさんの話などもそうだ。公の場でもないし、 S氏の場合はコメントなしでそのまま書いている。(註 Yは元道警生活安全部長、Sは元道警函館方面本部長)

斎藤弁護士 退職後の「いやいやどこまでやられるか」発言だが、ホントにこんなことを言ったのか。

佐々木 私は佐藤に以前、だまし討ちのような目に遭い、信用のおけない記者だと思っていた。口も聞かないようにしていた。

斎藤弁護士 だまし討ちとは?

佐々木 平成15年12月の「調査と答弁しないで発言」記事の件で私の家に3度、訪れて取材に来たことがあった。私は「そんなことは言ってない。一方的に記事にするのではなく、きちんと検証しろ」といった。2回目に来たときに「記事にする」といったが、3度目に来たときに佐藤は「先ほどの話を会社に連絡したところ、そういうことなら記事にできない、ということになった。それを知らせに来た」という。缶ビール6本とイカさきのつまみも持ってきた。「江戸屋の珍味」と袋に書かれていたと思う。朝刊には載らなかったので安心したが、夕刊に掲載され、騙されたと思った。その後も自宅を訪ねてきたが、妻を通じて面談を断った。それ以来、佐藤さんとは話していない。

斎藤弁護士 佐藤は「道新は今回の件について内部調査はしていない」と言っているが。

佐々木 虚偽の証言だ。道新幹部のHは私に対し、「調査委員会を作った」といっていたし、裁判を起こして勝ったとしてそれでどうするの、とも言われた。H は「出来レースの裁判をやろう」と持ちかけてきた。1−2本はねつ造記事であることを認めるが残りは事実とする結論作って、裁判を和解にしましょうと。本来は4つともねつ造なのだが、そういう提案を受けた。また、道新幹部のSは、この社内調査で取材源の秘匿は認められない。従って我々は取材源を押さえているといっていた。つまり、調査していないなんてことはないと。道新記者Kも「泳がせ記事」とあわせて調査委員会を立ち上げた、調査の結果、泳がせもこの件もねつ造とわかったと言っていた。

斎藤弁護士 「下手を打つ」というのは警察業界の隠語か?

佐々木 42年間、警察に勤めたが、警察内部でそんな言葉は聞いたことがない。隠語としては存在しない。

斎藤弁護士 最後に道新に言いたいことをどうぞ。

佐々木 これだけ証拠がそろっている。潔く誤りを認め、毎日新聞が7月にやったように、読者にわびて出直してほしい。この記事に関する私の抗議に対し、4 年間も不誠実な、人をバカにしたような対応をし続けてきた。記事の次の新たな人権侵害を受けてるんです。善処をしていただきたい。

<午後2時12分、齋藤弁護士の主尋問終了 休憩なしで反対尋問開始>

馬場弁護士 まず、基本的なことを。裏金問題の端緒になった捜査用報償費の支出手続きについて伺う。平成16年1月14日の監査委員会であなたはその手続きを丙3、4号証のとおり陳述しているが、その通りか。
佐々木 そういう説明した記憶はあるが、それは今回の裁判の4争点に関係ないと思うのだが。

馬場弁護士 その内容を発言した記憶はあるのか。

佐々木 発言はしました。

馬場弁護士 では、裏金作りの仕組みについて伺う。

斎藤弁護士 裏金作りの仕組みと本件の争点とはどう関連するのか。

馬場弁護士 この本のテーマは裏金作りに関するものだ。

斎藤弁護士 関連性はないものと思料するが。

竹田裁判長 関連のある範囲で聞いていただくのはいいですが、この場で裏金作りの有無を問いただしても、それは争点からずれるわけで。ただ、一連の佐々木さんの発言の有無に関する背景事情についての質問であれば、それは止めません。どうぞ。

馬場弁護士 じゃあ、裏金の有無は聞きません。で、説明してほしいんですが、裏金というのは架空の支出をたて、報償費の前渡金保管者である副署長が支出することになるんですな。つまり、裏金は署長や副署長の決裁が必要になるし、現場の捜査員や会計職員も関与していたわけですな。

佐々木 支出についてはその通り。今の話ですが、平成16年1月の段階での話ですよね。こうやって裏金作るかという質問ですが、その当時、私は裏金を作っているんだという前提でこの説明をしていない。その後、道警は調査委員会を作って調査してますが、その結論が出る前に私は退職した。従って、道警の裏金の調査については私は知ることが出来ないことになったんです。なので、体験として(裏金について)話すことは出来ない。

馬場弁護士 この裏金報道はテレ朝のスクープから始まり、当初は道警が全面否認していたが、3月の道議会で道警は裏金の存在を認めましたね。

佐々木 3月は中間報告をしたものであり、まだ引き続き調査を続行していた。結論は退職後の8月に出たものだ。

馬場弁護士 でも、その中間報告で、旭川中央署の裏金については認めている。道議会の総務委員会での出来事として報じられた記事内容からも明らかだ。

佐々木 これはまだ、引き続き調査中であり、実際に裏金があったと認めたかどうか言い切れない段階だったと記憶している。この記事の見出しには疑問があると思う。

馬場弁護士 では、この記事について抗議はしたか。道警としては見過ごせない問題だろう。

佐々木 まあ、当時そういう疑惑で動いているわけで、抗議している場合ではなかった。

馬場弁護士 監査委員会の意見陳述では、不正は一切ないし、捜査用報償費の執行は適正であり、問題の文書は出所不明であるなどとし、調査の必要はないといっているが。

佐々木 正しくは記憶していないが、そういう趣旨のことは言った。

馬場弁護士 その後、道警は裏金作りを認める発表をしている。全組織的にやっていた、と認めたわけだが。

佐々木 そのような報道があったのは覚えている。しかし、それは私が退職してからだいぶんたってからの話だったし、あまり覚えていない。調査結果の詳細について私は知る立場にもない。
(この間、裏金の監査結果についての質問が長々と続いたが省略。)

馬場弁護士 でも、あなたは署長や副署長の経験があるでしょ。あなた自身も裏金作りに関与していませんでしたか?

佐々木 その点は今回の裁判の争点事実と関係ないと思いますが。
竹田裁判長 あなたは現役時代、道警が裏金作りをやっていたという認識を持っていたのかどうかを聞いているんですよ。

佐々木 そういう認識は持っていませんでした。

馬場弁護士 道の監査結果は読んだか。

佐々木 そういう記事は読んだが、詳しい内容は承知していない。

馬場弁護士 元いた職場の出来事でしょ。自分も携わっていた調査だ。関心を持っていて当然だと思うが。

佐々木 私がさまざまな記事を読んだ範囲では、監査結果そのものを見た記憶はない。

馬場弁護士 監査報告によると、あなたが副署長、署長をやっていた職場で、あなたの在任中に不正支出をしているんですよ。それでもあなたは、裏金作りに関与していた認識はないのか?

佐々木 ハイ。

馬場弁護士 報告書では、全組織で幹部が関与する形で裏金を作ってたっていう趣旨のことが書いてあるんですが、それでも知らなかったというの?

佐々木 はい。

馬場弁護士 道警総務課時代、あなたの上司で原田さんがいたと思うが、原田さんはこの裁判で、「総務課時代も裏金を作っており、佐々木さんにも渡してた」との陳述書をあげている。

佐々木 その陳述書をウソと言う気はないが、そんな金を預かっているという認識はなかった。もう20年以上も前の話だ。

馬場弁護士 餞別やヤミ手当を受け取っていたともあるが。

斎藤弁護士 裁判長、まったく争点事実と関連がありません。

竹田裁判長 原告が裏金作りに関与したっていう認識がないといっているから、じゃあホントですかということで聞いているのだと思います。確かに本件争点の発言内容に関わる背景事情ではあるけども、もうちょっと端的に聞いてください。

安田弁護士 裁判長。原告は20−30年前で忘れたといっているのだから、具体的な事実を当てて記憶を喚起する、というのは尋問の手法の一つとして認められるべきと思いますが。

竹田裁判長 それはわかっている。その上で端的に聞いてくださいということです。

馬場弁護士 裏金がどう使われたか、などについても報告書が上がっているが、こういう風に使うのは元警察官としてどう思うのか。横領とか詐欺になるとか思わなかったか。 (斎藤が「ちょっとそれは」というジェスチャー)いや、これは道警が犯罪的なことをやってるかどうか…。

竹田裁判長 いや、裁判所は発言当時の背景事情として知っておく必要があると認めたから、端的に聞いてといったわけで、それに対する本人の評価は本件とは関わりがないと思っている。

安田弁護士 いや、評価を聞いているのではなく、裏金作りをしていた認識がないというのであれば、それは犯罪行為だし、相当関心を持っていたはずだということを聞きたいわけですよ。

竹田裁判長 そういうことであれば、そのように端的に聞いてください。

旬報社弁護士 前回、旬報社の帯などについて原告から侮辱的だなどの主張が出ていたので、これは聞いていただきたいと思います。

斎藤弁護士 裁判長、今の話…。

安田弁護士 これは証人(原告)がしっかり質問に答えないからこういう問題が起きる。代理人はしっかり指導していただきたい。

竹田裁判長 えーっと整理します。前回の帯の話と、裏金について認識していたかどうか、認識していたとしたらどの程度か、ということに関して、裏金作りがどれだけ重大だったかを聞かれるのは反対質問としていい。でも、前回こんなこといわれたから、聞き返すというのは違うのでよろしく。端的に答えられるように聞いてください。思った答えが出ないからといって、端的に答えてないことにはならない。

馬場弁護士 これは道警の裏金問題という大きなテーマを扱った本だ。それに比べれば本人が名誉毀損されたという摘示事実など取るに足りないことだ。相対的な価値が下がると…。

竹田裁判長 むしろ、比較対象でおっしゃるなら、裏金があったという話は別途主張していただければよろしいし、そもそも客観事実として裏金の存在は出ている。むしろ佐々木さん本人の認識として、わかってた上でいろいろやんなきゃいけない立場だったんじゃないのか、と聞きたいのなら、端的にそう聞いてくださいよ。

馬場弁護士 元警察官として、道警の出した報告書や監査報告書の内容について見るとき、それは犯罪行為と認識しませんか?

佐々木 一般論であればそういうことになる。個々のケースによるが。

馬場弁護士 検挙する対象にもなりうるか?

佐々木 ケースバイケースだ。

馬場弁護士 あなたは現場の捜査官もやっていたが、Sに金を渡したことは?

佐々木 若いときに現場にいたが、Sという言葉は使わなかった。謝礼を協力者に渡したことは何度かある。

馬場弁護士 さっきのと関連するが、道警は発覚当初否認し、その後認めることになった。なんであなたの在任中は認めなかったの?

斎藤弁護士 質問の趣旨がわからないんですが。

竹田裁判長 端的に聞くと、3月の中間報告の段階で「どうも組織的関与はありそうだ」と話出ているが、「実際には個別具体的な関与についてはなお、調査が必要です」と、いうような話が、あなたがやめる前の時点でその程度の認識はあったか。

佐々木 裁判長がおっしゃった通りです。

馬場弁護士 すると、結果的にあなたは本部長にウソをつかせたことになり、社会的信用度を低下させたことになりますな。

斎藤弁護士 本件とどういう関係があるのか。
(やりとり若干あり)

竹田裁判長 要は芦刈は当初、全面否認したんだけど、最終的には認めたわけだ。それによりつらい立場になるだろうなとか、社会的信用度は失墜したことになるなとか、どういう風に感じたか。

佐々木 つらい立場になるだろうな、とは思った。

馬場弁護士 やめたとはいえ、あなたも道警No.2だったわけだから、同じように信用を失墜したんじゃないのか。

斎藤弁護士 今のはまったく…。

竹田裁判長 あなたご自身の認識としてはどうですか?という話です。やめたあとも、そういうことに関与してきたと言われたわけですから。

佐々木 残念なことだなぁというだけ。

馬場弁護士 道警は幹部OBも含めて9億円ちょっとを返還している。あなたも返還したでしょう。

佐々木 金を返したかどうかは争点と関係ないと思いますが。

竹田裁判長 出したのかどうか。

佐々木 出しましたが、金額は言えません。

馬場弁護士 でも、自分が裏金をやった認識がないのなら、拒否してもよかったのではないか。

佐々木 組織として決めた対応なので、それに逆らって払わない、ということにはならない。これだけを出してください、といわれ、その通り返還した。

馬場弁護士 争点事実について聞きますが、「わかるでしょ理解してよ」について。あなたは12月3日に公安委員会で「本名かけない」と言ってますね。

佐々木 本名を書かない場合がある、と言った。

馬場弁護士 公安委員会では本部長発言がほとんどだが、その発言は組織に相談した上で行ったものか。

佐々木 いえ、相談はしていません。

馬場弁護士 つまり、そういうことがあるという認識は持っていたわけですな。なら、記者にも同じことを言うこともあるでしょう。

佐々木 いえ、言ってない。聞かれたら、そう答えたかもしれないが。当時はそういう発言はしていない。

馬場弁護士 11月28日のキャップ懇で10分足らずで退席したというが。

佐々木 当時、「割れ窓理論」の実践について参院内閣委員会から調査に入りたいといわれ、その準備に忙しかった。その調査は12月15日ごろに予定していたが、道議会などもありなかなか時間がとれなかったので、キャップ懇も短時間で失礼した。

馬場弁護士 裏金を管理するなど、裏金問題の中心人物は副署長といってもいい。あなたも副署長を経験しているが。

佐々木 そのような認識はなかった。

馬場弁護士 裏金作りに関与しない人は出世できないんですよね。

佐々木 そんな認識はない。

馬場弁護士 訴訟前に道新幹部のSと話し合いを持っている。4度目の面談についてSは陳述書を出しており、あなたと交わした文書を出しているが、これは当時のまま間違いないか。

佐々木 はい。(加筆などもなく)当時のままだ。

馬場弁護士 この文書を交わして示談する気はホントにあったのか。

佐々木 当初は示談する気はあったと思う。

馬場弁護士 じゃあ、どうして翌日にそれを撤回したのか。

佐々木 Sと道新幹部Hと話したのだが、大変な脅しをかけられた。それに一時的に屈した。裁判をやったら大変なことになる。できれば話し合いで自分の主張を取り入れた形で決着したいと願っていた。しかし、そういう脅しを受け、うちに帰って考え直した。

馬場弁護士 誰かに相談した結果、結論が変わったのか。

佐々木 いえ、誰にも相談せず、自分で決めた。

馬場弁護士 これがどうして、あなたの名誉毀損になるのか、疑問がある。一言で言うとどういう理屈なの?

佐々木 前後の文脈や総合的な部分を見て、こんなんじゃ我慢できないなと考えた。しかもありもしない話をねつ造して、だ。私の立場で、この記述が事実であれば受け入れるが、これは事実じゃない。

馬場弁護士 裏金問題で当初、否定した道警本部長の社会的地位や名誉は地に堕ちたも同然でしょ。

佐々木 私がそれを評価する立場にありません。

馬場弁護士 それとの関係で叱責されたとの記述だが、読んだ読者もそれに比べればこの事実は取るに足りないことだ、と受け止めるのではないですか。

佐々木 思いません。

<午後3時25分馬場弁護士の反対尋問終了 10分間休憩>
午後3時35分から被告佐藤・高田の代理人の清水弁護士の反対尋問が始まったが、その内容は、次回<下>に掲載する。

cefh at 23:52コメント(0)トラックバック(0)北海道警察v.s.北海道新聞 

第2回 寮生活 

 「お控えなすって、手前生国と発しますは○○でござんす。・・・・」んっ、んっ?なんだ、なんだ、この部屋は!忘れもしない入校間もない寮内での出来事である。
 社会を知らない警察官の卵同志が、これから一年間教育される北海道警察学校の寮の中で、ヤクザ者顔負けの喧嘩の始まりである。
 原因は、机を揺すった、揺すらないの他愛のないことである。
 一つの机を四人で使用するため、一人が消しゴムを使うと机全体がグラグラと揺れるのであり、それも結構な揺れなのである。
 八人部屋は、いつしか八本足の蛸に例えて「タコ部屋」と呼ばれるようになっていた。
 こんな口論の末、いきなり机の上に上がっての仁義切りである。
 仁義を切ったのは、北海道の帯広出身者、頭に血を昇らせていきり立ち対抗したのは、私と同じ函館出身者である。どうなることかと唖然としていると、仲を取り持ったのは元自衛官の年長者であった。
 ヤクザ者の世界ならいざ知らず、みんな高校卒業、あるいは数年民間企業で働いて来た者達の集まりである。いきなり血の気の多い若者の虚勢の張り合いでビックリする自分。
 しかし目立つのは、やはり元自衛官。
 なぜか彼らは礼儀作法が抜きん出ていたし、話し方が大人であった。
 こうして大変ながらも警察官教育のスタートが始まった。
 起床から就寝まで規則に縛られ通しの団体生活の中にも、正義感に燃えた若かりし頃の自分や同期生の懐かしい顔が思い浮かぶ。
 振り返れば辛くもあり、そしてまた楽しい思い出の一年間であった。

 余談であるが、この仁義を切った男は一年後、北海道の東側に位置する釧路警察署に配置となったが、非番日に繁華街に飲みにでかけヤクザ者と喧嘩になった。
 相手をボコボコに殴り倒し、制服のお巡りさんが現場に駆け付けたときにはトンズラしていた。
 逃走していたのである。白のエナメル靴を履き、額の両脇に剃りを入れて繁華街を闊歩していたのだからヤクザ者顔負けの容貌である。
 翌日は何食わぬ顔で制服を着て勤務していたというから更に驚きである。
 風の便りでは、この一件は被疑者不明の傷害事件で処理されたらしい。
 同期生には、こんな強者もいたのであるが、今では懐かしい昔話である。

 寮は、アメリカの進駐軍が使用した建物である。
 建物の大小はあるが、概ね八人部屋が四室、四人部屋が四室の計四八人が入れる寮になっていた。
 トイレは洋式であったため、私は前と後の使用方法が分からない全くのトイレオンチであった。
 クラスは五組まであり、ぎゅうぎゅう詰めで寮に押しこめられた約二八〇人の新米巡査は、警察官大量生産時代の象徴でもあった。
 風呂といえば機動隊と共同使用であるため、五〇人も入れば洗い場も身動きができないくらい狭い。
 浴槽はまさに大根の洗い場の様相を呈していた。
 ましてや大先輩の機動隊員が、でかい顔をして洗い場を占領している。
 一年間の入浴は、蛙の行水だったと今でも思う。
 そのため小遣いに余裕のあった時は、銭湯でささやかな贅沢に浸りながら心身共にリフレッシュするのが唯一の楽しみでもあった。

 日課は起床に始まり、布団たたみ、掃除、朝の点呼・警察体操・駆け足、朝食である。
 納豆と塩辛が朝食の定番であったが好き嫌いは言っていられない。
 私は納豆と塩辛が大の苦手であったが、卒業までには驚くことに好物に変身していた。
 学生が持ち回りで食事当番をしたが、ごはん・みそ汁等の粗食でも構わなかった。
 食欲旺盛な仲間たちは、とにかく喰わなければ体がもたないとの思いで嫌いなものも無理して胃袋に詰め込んだ。
 授業は、九〇分で四時限、午後の四時ころから情操教育・クラブ活動など。
 夜の点呼は、真冬でも外に整列である。特に冬の点呼は防寒外套は脛までくる長さのものを着用する。
 外出は、入校後一か月は禁止であった。閉鎖的な警察体質の最たるものだった。
 外出解禁日の外の空気の美味いこと、美味いこと。加えて女性がひときわ綺麗に見える。
 それもそうだ。学校生活で女性を見るのは売店のおばさん・炊事のおばさん・寮の周りにあった官舎に住む教官のお嬢さんくらいのものだった。
 未成年であった私は、高校一年生の時にタバコを覚えていたため、この外出時には目まいがするほど喫煙に没頭した。学校側に知れれば始末書を取られ警告一回となる。
 ずる賢い私は、授業の合間の休憩時には成人者の喫煙場所に近づいて雑談を聞いている振りをして、いわゆる受動喫煙、副煙を思いっきり吸ってニコチン切れ対策を講じていた。
 夜は夜で、部屋長が寝静まった頃合いを見計らい、同じワルの同期生とともに窓を開けてこっそり喫煙であった。寮の外周を巡回パトロールする教官から「誰だ、窓を開けているのは!早く寝ろ!」と怒鳴られること、しばしばであった。
 幸いにも自分達の部屋は寮の二階にあり、加えて寮は夜間になれば内側から施錠するため教官といえども寮には入れない構造になっていたため悪ガキの喫煙溜まり場と化していた。

cefh at 23:42コメント(0)トラックバック(0)くにおの警察日記 

2008.10.22(水) 「つくられる自白〜志布志の悲劇〜」映画会と鼎談(開催結果)

 10月18日(土)に札幌市教育文化会館で「市民の目フォーラム北海道」の主催による映画会と鼎談(ていだん)が開催され市民約150人が参加した。

 この映画は、鹿児島県志布志(しぶし)市で起きた鹿児島県議選に絡んでのえん罪事件(通称「志布志事件」)のドキュメンタリー映画「つくられる自白−志布志の悲劇−」(日弁連制作)である。
 上映後は、中山信一さん、市川守弘弁護士、「市民の目フォーラム北海道」代表原田宏二らによる公開座談会を開催した。
 途中から中山さんの妻で一緒に逮捕された中山シゲ子さんにも参加して貰った。
 中山さんは、妻と別々に長期拘置された当時を振り返り「刑事に『1回認めたら妻を出してやる』と言われ、妻の体調が心配で1度だけ認めてしまったが、すぐ否認した」などと語ったほか、「買収相手や妻は認めている。認めないと離婚すると言っている」といった虚偽の事実で脅かされたり、暴力団組長と同じ留置室に勾留されて嫌がらせを受けたことなども明らかにした。

 また、「市民の目フォーラム北海道」の原田代表は、次のように語っている。
 「今回の鼎談では、中山さんご夫妻に出来るだけ話して頂くようにしました。この志布志事件については、12月17日と来年1月13日に、さっぽろ自由学校「遊」で「冤罪〜なぜ起こるのか」と題して話す予定です。誰でも参加出来ますので聞きに来て下さい。」

(さっぽろ自由学校「遊」のURLは、http://www.sapporoyu.org/

 鼎談の様子は、本日に動画でアップロードした。

 一方、このイベントに参加した市民から意見が寄せられたので、原文のまま紹介したい。
市民A
 『可視化、可視化』という言葉が出てきたが、何のことかわからなかった。
 でも、内容はとても良かった。
 自分のことのように感じた。
 この事件は13人が逮捕で支援する人が出てきたが、ひっそりと生きていて、交際も少ない人だったらこのようにはならず、きっと、有罪のままだったろうと思うと恐い。

市民B
 大変重大で信じられないようなズサンな事件で、詳しく知ることが出来てとても良かったです。
 一つ気になったのが、任意でない任意同行や代用カンゴクなど、今回の事件を超えて全体の問題である。
 えん罪の温床となるような制度の中で、現場の警察官の本音はどのようなものなのか、元当事者である原田さんは、当時どのように感じて働いておられたのかという点を少しうかがいたかった、と感じました。

市民C
 大変勉強になりました。
 我々としては、最初の原因が知ることが出来れば、なお現実的なものになると思っています。

市民D
 本日の鼎談の内容を文字にまとめられたものが作られたら良いと思う。
 同じくこの様子を映像にまとめたものが出来たら良いと思う。
 「つくられる自白」が、映像として希望する者が入手できたら良いと思う。ありがとうございました。

cefh at 23:36コメント(0)トラックバック(0)CEFHの活動 

2008年10月07日

北海道警察v.s.北海道新聞 第22回(20.9.27) 続・新聞が警察に屈した日 暴露された裏工作?の記録(12)

道警との不正常な関係とは何か

 道警は道新による一連の裏金問題追及キャンペーンをきっかけに、取材班だけではなく、道警全体で道新記者の日常の取材活動に対して、様々な嫌がらせを展開したとされる。
 Sは、その陳述書の中で、「道警との極めて厳しい関係は続いており、道内各地の警察取材を担当する現場では、事実上の取材拒否に遭うなど苦戦を余儀なくされていました」と取材現場の当時の状況に触れ「道警との不正常な関係を長く引きずることは、取材の現場の精神的な負担を重くし、日常の紙面にも悪影響を及ぼすことから懸念を抱いておりました。」と述べている。
 私たち読者にとって、良く分からないのは「道警との厳しい関係」あるいは「不正常な関係」とは何かということだ。
 逆に言うと「道警との良好な関係」あるいは「正常な関係」とは何かということだ。

 新聞記者と警察との関係は、持ちつ持たれつの"信頼関係"という意味なのか。
 それとも、新聞の基本的な使命であるとされる"権力の監視"という緊張関係という意味なのか。新聞記者と警察の関係が"権力の監視"という緊張関係という意味であるなら、むしろ、取材班による一連の裏金問題追及キャンペーンは、それまでの道新と道警との持ちつ持たれつの「不正常な関係」を「警察と新聞があるべき本来の関係」、つまりに"権力の監視"という緊張関係に戻ったということではないのか。

 もう一つ良く分からないことがある。
 佐々木は平成16年3月31日に道警総務部長のポストを最後に退職している。
 道警OBとなった佐々木と対談を重ねることが「道警との不正常な関係」の改善にどうして繋がるのか、Sの陳述書を読んだだけでは良く理解できない。
 まさか、佐々木が道新の読者だったからではあるまい。
 道新編集局報道本部長という報道現場の中枢のポストに就任したHが、何故、その直後に卑屈ともいえる態度で佐々木と交渉を開始したのか、そして道新のナンバー3で道新編集局の最高責任者であったSまでが、何故、裏交渉に乗り出したのか。
 Sは佐々木との面談を4回も繰り返し、必死に裁判を回避しようと試み、最後には、社内外からの批判を覚悟しながら「謝罪文」まで書いている。
 何故、そこまでやらなければならなかったのか。
 Sが裏交渉に乗り出したのは、平成18年2月3日、佐々木から道警記者クラブキャップKを介して、「裁判になれば道新との裏交渉の経過などを表沙汰にする」と告げられたからか。
 何とか佐々木の抗議等を内々に収め、訴訟を回避したい道新とっては、裏交渉まで暴露されてはかなわない。
 何のことはない、裏交渉は佐々木にさらなる弱みをプレゼントしたことになる。
 あわてた道新側はなんとか提訴を回避しなければと編集局の最高責任者Sが乗り出したというわけだろう。


道新上層部が、毅然と対応できなかった事情

 道新は平成17年8月ころ、突如、それまでの方針を一変させ、道警との関係改善に乗り出した。同時に、元総務部長だった佐々木との裏交渉も始まる。
 甲84号証で明らかにされている道新上層部の佐々木に対するあまりも弱腰な対応には驚くが、道新には道警や佐々木に対して毅然とした態度を取れなかった事情があったはずだ。

 平成15年11月末に発覚した道警の裏金疑惑は次々と全国に波及した。
 警察に対する国民の不信感はかってないほど広がった。
 こうした動きを止めなければ治安にも影響する。
 警察庁にはそうした危機感を持ったに違いない。
 そのためには、震源地になった北海道での動きを止めなければならない。
 道議会の7回に及ぶ100条委員会設置決議案の否決、圧縮された道監査委員の確認監査の結果、それに対する知事の判断と評価、検察庁による道警幹部の不起訴処分、等々をみていると全てがそこに行き着く。
 そうした動きにとって邪魔になったのは道新、とりわけ道新取材班の一連の裏金問題追及キャンペーン一である。

 その道新は内部に弱点を抱えていた。それは道新の度重なる幹部の金にまつわる不祥事だ。

 まず、平成16年9月に道新社室蘭支社の営業部元次長が広告売上金着服事件で道警に逮捕された。
 この事件では、この元次長の暴力団との関係も取りざたされ、広告売り上げ金による裏金づくりが内部の"公然の秘密"となっていた可能性があると指摘された。(読売新聞)
 当時の経営企画室長は、「横領した金をプールして使うような組織性はなく、元次長の個人的な問題」と組織的な"裏金づくり"について否定した。
 道警は、この事件で道新のK代表取締役社長を取調べている。
 K社長がどんな取調べを受けたのかはわからない。
 当時の道新社経営企画室によると、K社長は、元次長らの社内処分の根拠や着服金の弁済計画のほか、再発防止策などを説明したとされる(北海道新聞)が、筆者はこの時期の道新最高責任者K社長の取調べに道警のある種の意図を感じる。

 このころは道警の裏金疑惑の報道キャンペーンはまだ続いていた。
 そのほぼ2ヶ月後の11月22日に道警芦刈本部長が道議会総務委員会で内部調査の最終結果を報告している。
 道新のK社長としては道警の裏金疑惑を追及の真っ最中に、室蘭支社の幹部が巨額横領事件で逮捕され、しかも裏金の存在まで取り沙汰されるのは、取材班の裏金問題追及キャンペーンに冷水を浴びせかけられたのも同然であった。
 K社長は、道警の捜査の矛先がどこまで及ぶのかと肝を冷やしたに違いない。

 暴露された裏工作?の記録(2)でも紹介したが、甲第84号証の平成18年2月1日の佐々木と道新道警記者クラブキャップKと面談記録の中にも、佐々木が「室蘭も裏金あったべさ」と問いかけている記述がある。

 道新社室蘭支社の営業部元次長による広告売上金着服事件で、同社のK社長がこの件で道警の取調べを受けたのは、平成16年9月28日、佐々木が道新に対して、最初に「書籍掲載記述に対する謝罪等要求書」を出したのは平成16年10月29日である。
 タイミングはピッタリである。

 道新は、平成17年3月から7月にかけて取材班を解体する。本件被告の高田昌幸(報道本部次長)、佐藤一(道警記者クラブキャップ)、中原洋之輔(同サブキャップ)など取材班の主要メンバーを異動させた。編集局報道本部長Yも交替した。
 それぞれの後任には、甲第84号証に登場する"道警との関係改善派"とみられるH、T、K等が就いた。これらの人事には、社内人事ということの性質上、K社長の意向が働いていたと考えるのが自然だろう。
 一方道警側は、平成17年8月に裏金疑惑発覚時の芦刈道警本部長が転出、後任に警察庁刑事局長の樋口本部長が着任した。
 この人事は、警察庁の裏金疑惑で大揺した道警の立て直しを急ぐ狙いがあったとみられる。11月には、道警は一連の裏金問題にかかわる国費、道費の不適正支出の約9億6000万円の返還を終了した。12月にはいると業務上横領容疑などで告発された道警幹部7人(うち退職2)を札幌地検が不起訴処分にした。
 道議会では、野党提出の100条委員会設置決議案が7度目の否決をされた。
 発覚から2年近くを経て、道警の裏金疑惑は、肝心な部分を闇に隠したまま次第に収束に向かっていた。
 このころから道警の道新への攻勢が始まった。

 8月に着任したばかりの樋口道警本部長が道警記者クラブキャップKを介して、関係を改善するなら「泳がせ捜査失敗記事」の問題を解決するのが先決だと道新側に伝えた「取材メモ」があることは既に説明した
 平成17年8月25日には、編集局報道本部長Hと佐々木の第1回目の面談が始まっている。
 佐々木は、その陳述書(平成20年6月13日)の中で、「報道本部長がY氏からH氏に代わった時点で、道新の態度には変化がみられ、私に関する記事の問題についての真相を究明するかのように感じられた時期もありました」と述べている。

 さらに、そのほぼ3ヶ月後に道新の息の根を止めるような事件が発覚する。
 道新東京支社の元部長の広告営業費の私的流用問題である。
 この問題では、道新の事後処理をめぐってマスコミ各社から「道新は事件を隠蔽しようとした」等と厳しい批判を受けている。
 これを道警が見逃すはずがなかった。

 平成17年11月17日、当時の道警広報課長が道新側に「役員室等道新にガサを入れる」などと揺さぶりをかけた。(平成17年11月17日付、18日付「広告横領事件関連取材メモ」作成者道警記者クラブキャップK)
 この問題には、その事後処理をめぐって、社長以下役員が絡んでいた。(これらの問題で対外的な対応に当たっていたのが、当時道新経営企画室にいて、甲第84号証に度々登場する後の道新編集局報道本部長のHである。)

 このことについてはすでに詳しく述べたのでここでは省略する。
 いずれにしても、役員室にガサを入れるとの揺さぶりに、K社長以下の役員は震え上がったに違いない。道新は、平成18年1月14日、「泳がせ捜査失敗記事」に関して「お詫び記事」を掲載した。道新が道警の恫喝に屈した日である。

 佐々木は、「広告横領事件関連取材メモ」の日付の前日の平成17年11月16日付の「道新取締役会による社員の詐欺事件隠蔽決定に関する質問状」なる文書を道新に送っている。
 道新が平成18年1月14日、お詫び記事を掲載するや、佐々木は1月18日付「捏造疑惑記事の一部についての調査結果及びその他の捏造記事等の調査状況の説明要求状」なる文書を送りつけている。
 このように、道新に対する道警と佐々木の動きはピッタリと一致している。
 つまり、道警と道警OB佐々木との二人三脚による道新潰し作戦の裏部分を担当したのが佐々木だとみることが可能だ。
 そうなると道新上層部が、道警だけではなく、道警OB佐々木に対しても毅然とした対応ができなかった事情がはっきりする。
 ましてや、総務部長といえば道警の広報対策の最高責任者だ。
 道新上層部にとっては、佐々木は単なる道警OBではなかった。

 佐々木が、最初に「書籍掲載記述に対する謝罪等要求書」なる文書を道新宛に送ったのは平成16年10月29日のことだとされる。その中で、佐々木は書籍の回収・廃棄等を要求しながら出版元の講談社と旬報社には、一度も抗議や要求等を行っていない。付け加えるなら、本件訴訟で指摘された2册の書籍の4カ所の「捏造記事」は、いずれも北海道新聞の記事として報道されたものではない。

 そして、佐々木が指摘する北海道新聞に掲載された「泳がせ捜査失敗記事」をはじめ「内容虚偽あるいはその疑いの極めて濃い記事」のいずれもが、佐々木自身とは直接関係のない記事である。
 つまり、道新にとって佐々木は交渉相手ですらなかったのだ。

 Sが陳述書の最後に、「この訴訟は『名誉殿損』を口実とした道新全体に対する意趣返しに他ならないと考えます。」と述べているが、気がつくのがあまりにも遅すぎた。
 佐々木が道新等を提訴した後も、平成18年6月に函館支社販売部次長と本社事業局員の業務上横領事件が発覚、道新は2人を懲戒解雇処分にしたが、被害を弁済しているとして、刑事告発をしなかった。

 これだけ、金にまつわる不祥事が続くと新聞社として、他を批判する記事を書くことは憚られる。道警や佐々木につけ込まれるのも無理はない。


道新上層部は、取材班の記者たちを守ったか

 Sはその陳述書の中で、「道新は平成15年11月から北海道警察のいわゆる裏金問題について追及キャンペーン展開し、それは翌16年の日本新聞協会賞を受賞するなどジャーナリズムとしての大きな成果を挙げた」としている。
 これらの成果は取材班の記者たちによるものだ。

 Sは平成18年2月23日の2回目の佐々木の面談記録の中で、「どう考えても我々はやっぱり前提として、記者を信用しているということがありますので〜中略〜裏金報道の中で〜中略〜社会的に評価されているわけです。その事実についても、我々としても誇りに思っているわけです。」と述べている。

 にもかかわらず、道新上層部は、「大きな成果を挙げた」取材班の記者たちに対して、佐々木との交渉を開始することさえ秘匿し、本件被告とされた高田・佐藤をはじめ取材班の記者たちを蚊帳の外に置いた。
 そして、甲第84号証の内容の真偽等について、未だに記者たちに説明もしていないという。道新上層部のこうした対応が、道新内部に亀裂を生み、そこを佐々木に巧みにつけ込まれた。

 Sは陳述書の中で、「記者たちが訴訟の当事者になることは避けたいと強く思っておりました」と述べているが、彼らは訴訟を恐れてはいなかったし、今でも恐れてはいない。
 当初は道警の訴訟があっても受けて立つというのが、社としての基本方針でもあったはずだ。

 Sはその陳述書中で、「一連の道警裏金追及キャンペーンを通じて道警、OBから寄せられる抗議に関して、時間をかけても言い分をきちんと聴き、逐次報告するように指示しておりました」と述べている。
 これは道警やそのOBから寄せられる抗議に限らず、一般読者からの抗議についても当然のことだろう。しかし、佐々木の抗議等は先に述べたように、そもそも、本来道新が受けて立つ筋合いのものでない。
 そのうえ、甲第84号証を読む限り、佐々木は面談の過程でも、道新の人事を批判し、原告高田を犯罪者呼ばわりにしたり、道新の内部調査の在り方についても、まるで、道警の監察官が警察官の不祥事を調査するような方法を取るよう求めるなど、明らかに常軌を逸している。

 道新の「読者と道新委員会」T委員長(弁護士)は、度重なる佐々木の質問状に対し「司法の場で記事の誤りを主張し、道新側が反論すればよい」と回答したとされる。
 道新上層部は、どうしたこうした主張をできなかったのか、道新上層部の一連の対応は、かえって、佐々木に道新の弱腰を印象づけ、つけ込まれることになった。

 Sはその陳述書の中で、「甲第84号証に名前の出る記者たちや私とは、長時間に及ぶ対話が何度も成り立っていたわけであります。原告に迎合的な発言がされたことも否定できません」と述べている。
 甲第84号証に「名前の出る記者たち」が佐々木に語ったとされていることが事実なら、それは「迎合的な発言」の範疇をはるかに超えている。
 佐々木に道新の内部情報を漏らし、仲間を誹謗中傷し、仲間を売っている。
 売ったのは仲間だけではない。ジャーナリストとしての魂も売った。

 そして、最後には編集局長Sと報道本部長H等の「和解派」と佐々木に提訴を勧める報道本部次長Tと道警記者クラブキャップKの「提訴派」に分裂している。

 このほかに、こうした動きに反発する「旧取材班」のグループも存在する。
 こうした道新の内部分裂は、結局、佐々木に付け入る隙を与えた。
 佐々木が、あえて甲第84号証で道新との裏交渉を暴露したのも、裁判を有利に進めるという目的のほか、道新の内部分裂を煽る目的もあるはずだ。


甘すぎる道新上層部の判断

 Sはその陳述書の中で、「北海道警察本部の総務部長という要職に就いていた人物が、わだかまりの解消を目指して会談を設定した新聞社の幹部らに対し、このような手段を弄するとは思いもよりませんでした。」と述べている。

 週刊新潮にも報じられた平成18年2月23日の佐々木とSとの面談で佐々木に道新の「公式顧問」に就任する用要請した、とされる問題についても、Sはその陳述書の中で、そうしたやり取りがあったことを認めながら、「冗談にすぎないのは明らかです」と述べている。
 こうしたSの反論を聞いていると、道新上層部の佐々木や警察という権力機関に対する認識の甘さを感じざるを得ない。

 まず第一に、道新上層部は、道警裏金疑惑が発覚した当時、佐々木が取材班に対してどのような対応をしたかは充分承知していたはずである。道警の内部調査結果がどんなものであったか、道警が道民に対して何を誤魔化したかも承知していたはずだ。
 当時、佐々木が総務部長としての立場上、そうした対応をせざるを得なかったとしても、佐々木は退職後の現在も佐々木個人としての裏金疑惑への関与についてなんの説明もしていない。

 実名で裏金を告発した原田宏二や齋藤邦雄とは全く違うのだ。
 佐々木の陳述書(平成20年6月13日)に見られるように、原告佐々木は、道新による一連の道警裏金問題キャンペーンを「反道警キャンペーン」と捉えている。
 警察の裏金システムを報道機関として批判的な立場で報道することを「反道警」と捉える。こうした捉え方は、一般読者の感覚からはかけ離れたものである。

 これは警察、特に、警備・公安警察が革新団体などによる警察に対する批判を「反権力闘争」と位置づける考え方を彷彿させる。
 警察予算の執行に関して情報開示を請求する市民オンブズマンの活動を警備・公安警察が視察対象にしていることも紛れもない事実である。
 道警は一連の裏金問題キャンペーンで輝かしい成果を挙げ、社会的な評価を得た道新をそのままにしておくことはできないのだ。
 佐々木も指摘しているように「道新は社会の害〜とんでもない会社」であることを道民の前に明らかにする必要があったのだ。
 道新上層部は、佐々木が「総務部長という要職に就いていた人物」という評価に惑わされ、長く警備・公安部門に席を置き、その道のエキスパートだったことを忘れていたのではないか。

 道新上層部は衣の下の鎧が見えなかったのだ。

 甲第84号証によれば、佐々木に提訴を勧めたとされる報道本部次長Tと道警記者クラブキャップKの「提訴派」の記者たちにしても、おそらく佐々木に取り込まれたとは思ってはいないだろう。
 道新の記者に限らず、新聞記者は警察の記者クラブを通じて警察という組織と接する。そして、相手をする警察官のほとんどは刑事部門、生活安全部門、交通部門の警察官である。
 つまり、新聞記者の多くは警備・公安警察を取材経験は皆無に近い。
 従って警備・公安警察の実態をほとんど知らない。警備・公安警察の最も重要な仕事は情報収集活動だ。はっきり言えば、スパイの獲得作業である。対象組織の構成員等をあらゆる手段を使って取り込む。金、酒、女、社会的地位等々人間の弱点を巧みに操って、迷う相手には大義名分を吹き込む。国のため、世のため、会社のため等々。

 刑事部門、生活安全部門等でもS(スパイ)を使う。
 だが、決定的に違うのは、目的達成のためには手段を選ばず、不要となればいとも簡単に切り捨てることだ。相手の信頼を裏切って、密かに録音テープに会話をとることなどに、なんの痛痒も感じるはずがない。
 むしろ当たり前のこととされる。
 元沖縄県警公安警察官島袋修による「公安警察スパイ養成所」(宝島社)を読んでみるといい。警備・公安警察が、何を考えていたかが判るはずだ。


出来レース裁判などできるわけがない

 甲第84号証を読んだだけでは、原告佐々木と被告の道新が、どんな見通しを持って訴訟に臨んでいるのかは分からない。
 双方が訴訟のどこかの段階で和解を企図していたとしたら、その思惑は最初から破たんする。ここにも道新上層部の甘さが露呈している。
 道警からの「泳がせ捜査失敗記事」の抗議に対して、「お詫び記事」を掲載したり、佐々木の提訴を回避しようとするS等道新上層部の姿勢に反発する高田・佐藤が、会社側の指示に従わないであろうことは予想されたことではあったはずだ。
 甲第84号証のやり取りの中にもそれを窺わせる記述もある。
 道新は、出来れば高田・佐藤を被告から外したかったのではないか。
 しかし、原告佐々木は、高田、佐藤を被告として提訴した。
 被告となった高田昌幸と佐藤一の2人は、道新の顧問弁護士以外に東京の清水勉弁護士を代理人として選んだ。
 清水は警視庁の裏金疑惑訴訟を担当するなど、警察問題やジャーナリズム問題でも辣腕ぶりを発揮している弁護士だ。
 被告とされた高田・佐藤が記事の捏造を認めるはずもなく、謝罪するはずもなかった。
和解の可能性は全くなかった。
 もう一つは、「警察幹部を逮捕せよ!泥沼の裏金作り」の共著者であるジャーナリストの大谷昭宏と作家の宮崎学が訴訟に補助参加し、さらに佐々木を逆提訴したことである。
 そして2人は代理人にはご存知の東京の安田好弘弁護士、喜田村洋一弁護士、札幌の市川守弘弁護士を選んだ。
 さらに大谷と宮崎は、佐々木が提訴に当たって、記者会見で「警察幹部を逮捕せよ!泥沼の裏金作り」を捏造だとしたことについて、名誉毀損で佐々木を逆提訴したのである。
 ホームページでその大谷昭宏は、その理由につてこう書いている。
 その一部を引用させていただく。

【引用開始】
 共著であるにも関わらず佐々木氏は私と宮崎は訴外として提訴から外して、道新の記者と、記者が所属する北海道新聞だけを提訴してきたのである。
 私たちの知らないところで、われわれの共著である著書に「ウソを書いている」とやられたんじゃたまらない。
 ジャーナリストにとっては死活問題である。
 しかも訴状では、出版物の廃棄、回収まで求めている。これは現代版の焚書に等しい。
 そこで私と宮崎は訴えられてもいないのに、被告として裁判に躍り出る補助参加を札幌地裁に申し立てたのである。
 私たちが弁護団から聞いた情報によると、道新は、ここにきて、社内で独自の調査、聞き取りを開始するようなのだ。
 裁判が進行中であり、なおかつ第1回の口頭弁論を見ても、自社に極めて有利な情勢が見てとれるのに、なぜ、いま社内調査なのか。
 その下心は取材の正当性を立証することではなく、社内で調査した結果、この本の出版には不適切な部分があった、と勝手にデッチ上げ、和解の名目で道警と手打ちを図る。
 争えば自分が勝ってしまうので、その前に道警に恥をかかさないように、自分から転んでしまう。卑劣で卑屈、土下座根性が丸見えの手法を取りだしたようなのだ。
 そんな地べたにひれ伏して、土を嘗めているような連中に、われわれの裁判を左右されてはたまらない。
 そこで、私たちはいち早く名誉棄損で佐々木氏を提訴、旬報社の書籍では共同の被告であるわれわれが提訴、係争中の事件に対して、道新経営陣の了解なき行動は許さないと歯止めをかけておく必要がある。
 そのためには佐々木氏を提訴することが急務だと判断したのだ。(2006年10月3日)
【引用終了】

 さすがに、道新上層部も「地べたにひれ伏して土を嘗めている連中」と言われて大谷に抗議したようだが、甲第84号証のS等の佐々木への対応をみる限りでは、佐々木に「出来レース裁判」を持ちかけるなど、大谷の指摘はあながち的外れでもなさそうだ。

 筆者は、昨今の道新の報道をみると、道新が警察だけではなく行政の不祥事等の問題に対して、消極姿勢が目につくと感じている。

 例えば、平成18年10月の滝川市の小6女児自殺事件をめぐる問題では読売新聞が、平成19年6月のミートホープ社の偽装牛ミンチ事件では朝日新聞が先行報道し、何故か地元紙道新は遅れを取った。
 いずれの事件も道新は早くに情報を得ていたはずだ。

 平成19年9月の函館市の暴力団員と警察官の銃撃戦では、その15時間前にJR函館駅で暴力団員が乗客にけん銃を突き付けた事件で、道警函館方面本部が適切な初動捜査を展開しなかったため銃撃戦が発生、警察官が暴力団員を射殺した。
 明らかに警察の初動捜査に問題があったのにかかわらず、道新をはじめ各報道機関は報道しなかった。

 このことについては、いずれも、このホームページで指摘したが、最初の2つは大きな社会問題にまで発展した事件である。
 もし、道新が道警の取材妨害や佐々木の執拗な抗議に懲りて、こうした行政機関や警察の不祥事や不手際に関する報道に消極姿勢を取っているとしたら問題だ。
 長年の道新読者の一人として、こうした指摘が筆者の思い過ごしであることを願うばかりである。


警察OBに名誉があるのか


 平成15年11月末に発覚した道警の裏金疑惑は、たちまち全国に波及し警察庁はその火消しに躍起になった。その甲斐もあってか、その全貌は国民の前に明らかにされないまま幕が引かれた。
 現在、訴訟などで火種が残っているのは、宮城、愛媛などごく一部である。道警の裏金疑惑も全貌は明らかにされないまま風化しようとしている。
 佐々木の提訴は、はからずも4年前に発覚した道警の裏金疑惑を鮮明に思い起こさせることになった。
 そして、甲第84号証は、これまで明らかにされなかった道新と佐々木との裏交渉を暴露することになった。

 そこには、道警の裏金疑惑を追及した道新取材班とは、全く違う別の道新の顔があった。
 甲第84号証は、膨大な文書だったこともあり、このシリーズで紹介したのはその一部を抜粋するに止まったが、筆者(原田宏二)はその全文を読むにつれて、あの平成16年2月10日の記者会見、3月6日の道議会総務委員会での参考人質疑でのあの重い気持ちを思い起こさざるを得なかった。
 自分が長年にわたり道警に在籍し、どっぷりと浸かった裏金システム、その行為は時効になったとはいえ犯罪であった。
 例え、それを謝罪し、金を返還したとしてもその罪は消えない。
 我々、特に道警のそれなりの立場にいた幹部に本当に名誉などといったものがあるのだろうか。もし、ないとすればどんな償いをすべきなのか。

 次回は、第12回口頭弁論(平成20年9月29日予定)の模様を紹介する。

cefh at 22:14コメント(0)トラックバック(0)北海道警察v.s.北海道新聞 
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