地球一周クエスト

平成自転車地球一周浪漫譚。2019年2月21日より開始。

2019年06月

 昨日犬に噛まれた左腕の傷、大した怪我ではなかったのだが、狂犬病についてあれこれ調べた結果、フランスは日本のような狂犬病撲滅国ではないそうで、念のため病院で診てもらい、必要ならワクチンを打ってもらうことに。


 海外旅行保険に入っといてよかった。入ってなかったら出費を恐れて二の足を踏んでしまう。フランスは狂犬病流行地域というわけでもないので、罹患リスクそんなに高いとは思えないし、「たぶん大丈夫じゃね」とタカをくくって2〜3週間後に発症し、「フランスを自転車で旅行中の日本人男性、犬にかまれ狂犬病で死亡」といった感じでニュースになるところだった。


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 とはいってもフランスの医療設備はどうなってて、どこの何科に行けば良いのかすらわからず、とりあえず町の外れにある少し大きな病院へ行く。受付で傷を見せて犬に噛まれた旨を英語まじりのフランス語とジェスチャーで伝えると、何と緊急外来を案内される。


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 緊急外来の窓口で改めて事情を説明すると、英語が話せる看護師がやってきて、事の経緯を伝える。保険に入っているか確認され、予めスマホにダウンロードしておいたASSETS社のPDF保険証を見せる。たまたまフランスの保険会社だったため、話が早く済んだ。領収書をもらって後で請求すると聞いていたのだが、どうやら病院の方で直接請求してくれるらしい。


 治療室に案内され、待つこと数十分。


 医師が現れ、事の経過を説明。噛んだ犬の飼い主の特徴とかも聞いていた。私のような被害者を出さないためにも、飼い主の名前と連絡先くらいは聞いておくべきだったかもしれない。あの時はフランスで狂犬病リスクがあるとは思わず、「こんなのかすり傷だ、舐めときゃ治るだろwww」とか考えてたからそのまま素通りしてしまった。


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 血液検査を実施し、ワクチンではなく抗生物質を処方してもらうことに。どうやら何度も病院に通ってワクチンを打つ必要はなさそうで安心した。初回の接種に加え、3日後、1週間後、2週間後、1カ月後と計5回打たなきゃいけないという話を聞いてたから、めんどくさすぎて病院行くのやめようか考えてたくらい。そして2〜3週間後に発症し(以下略)。


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 病院を出て駐輪場に行ったら、サイコン(サイクルコンピュータの略。走行距離とかスピードとか測る機械)がパクられていることが発覚。フランスの治安が良いからと油断した結果がこれだよ!


 しかし、前輪のフォークに付けといた電波送信機はなぜか無事というね。これも一緒にパクらないと、サイコンとかただの時計に過ぎないのだが。


 病院でかなり時間くってキャンプ場に着いた頃にはすでに午後7時半。まあ安いキャンプ場だし、もう一泊してくかな。


 2019年6月21日。走行13kmくらい。シノンの町のキャンプ場にてテント泊。


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 シノン城。ロワール地方では最も古い城で、5世紀頃からその原型があったというが、16世紀のユグノー戦争に続き1789年のフランス革命で城の大部分が破壊されてしまったらしい。


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 中に入るには10ユーロ。


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 ガイド用のタブレットを借りる。


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 城内のところどころにある端末(?)にデータを読み込ませると、当時の様子を再現したCGが表示され、ドラクエみたいに色々調べたり、お宝をゲットすることもできる。


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 1429年にジャンヌダルクが当時のシノン城城主シャルル7世を訪ね、挙兵してイングランドの支配からフランスを解放するよう訴え、そして実際に援軍を得て勝利したと言われており、中にはジャンヌの肖像画や彫刻などが飾られていた。


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 大砲。600kgもあるらしい。


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 良い眺め。王の気分。


 午後は昨日噛まれた腕の傷を見せに病院へ行く。長くなるのでまた次の記事で。

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 最近腹の調子が芳しくなく、1日数回トイレに行かねばならない。公衆トイレを見かけることはあまりなく、野糞するための隠れ場所を探さなければならないのが大変面倒くさい。

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 そんな中、腹の調子が悪い私に救いの手を差し伸べるかのごとく現る公園のトイレ。

 しかし! 扉は無慈悲にも施錠されていた。

 それは便意に苛まれるトイレ難民を嘲笑う悪魔の罠であった……


 漏れるッ――!


 もはや万事休すの私は、トイレの裏の茂みに緊急避難。事なきを得たのであった。

 私と同じく悪魔の罠に引っかかったのか、トイレットペーパーが辺りに散乱していた。せめて埋めようよ……


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 道中の町にあった城壁。
 フランスの最も美しい村シリーズ以外にも、道中にこういう古い建造物が残されている。素晴らしい。

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 ひさしぶりに見つけたサイクリングロード。しかし目的地とは別の場所に連れて行かれることもあるので、地図で確認することを忘れない。

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 サイクリングロードのど真ん中を4〜5匹の犬を連れて歩いてるおばさんがいた。

 後ろを走る私に気づき、急いで犬の手綱を引いて道路脇に避難するのだが、たったひとりのしかも女性の細腕で制御しきれなかったのか、2匹の犬が私に向かってきた。


 飼い犬だし、人慣れしてるだろうし、じゃれついてきただけだろう。


 ――その考えの甘さが、命取りとなった。


 左腕に走る鋭い痛み。

 2匹のうちの1匹に噛まれ、肉が抉れる。


 そういや救急セットとか持ってきてなかった。


 とりあえずの処置として、腕の傷をひたすら舐める。

 ……これって間接キス?


 目の前の生物の危険度を計り損ねるとは、不覚。どうやら文明に毒されすぎて、野生の本能が退化してしまったらしい。平和ボケとはまさにこのこと。


 後で調べてわかったことだが、フランスは日本のような狂犬病撲滅国ではないらしく、飼い犬に狂犬病ワクチンを打たない飼い主も多いため、狂犬病に罹患するリスクはあるとのこと。ヨーロッパの先進国フランスだから狂犬病とか心配いらんでしょ、と、たかをくくっていたのだが、認識が甘かったようだ。


 噛まれた後はすぐ流水と石鹸で洗い流し、ウィルスの侵入を抑えなければならないらしい。ベロベロ舐めちゃったよ。吐いて捨てたけど。


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 一応町のキャンプ場に泊まる予定だったので、チェックインした後でシャワーと石鹸を使って傷口を洗ったけど、噛まれてから3時間くらい経ってたから、もしあの犬が狂犬病にかかってたらウィルスかなり侵入していると思われる。人間の唾液には殺菌効果もあるらしいけど、狂犬病ウィルスに効くかは不明。とりあえず明日病院行こう。

 2019年6月20日。走行58km。シノンの町のキャンプ場にてテント泊。

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 深夜の2時ごろ、すさまじい雷鳴に叩き起こされる。外では風が吹き荒れ、豪雨が降り注ぎ、ところどころに雷が落ちているというひどいありさまだった。風に関しては森の中にいたのでアメリカの大平原で寝ていた時のようにテントを飛ばされる恐れはなく、人間テントポールになる必要はなかったのだが、落雷が怖い。


 森の中にいるということは、木から離れるのは不可能であり、運悪く近くの木に落ちたら人生終了。救助など来るはずもなく、自転車世界一周はあっちの世界一周になる。


 こういう時は、もう念仏でも唱えながら祈るしかない。森以外の場所で野宿できれば良いのだが、少なくとも農業大国フランスでは山でも大部分が畑や牧場となっており、人のやって来なさそうな空き地や平原はレアで、森の中に隠れるしかない。


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 サン・サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会(世界遺産)。

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 中は厳かな雰囲気。

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 1ユーロ支払い、蝋燭に火を灯し、旅の無事と世界平和を祈る。
 そして万一事故に遭ったら、所持金を半分差し出すので、ここで生き返らせてください。

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 そのまま付近の公園で飯。実はまだ朝飯食ってなかった。

 風が強いせいか、砂や木の葉が飛んでくる。目玉焼き食ったらなんかジャリジャリしていた。


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 野犬 が あらわれた !

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 輪人 の なでなで !

 野犬 に ダメージ を あたえられない !


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 道中の町の教会。なぜか2つ。

 世界遺産のより豪勢な気がする。まあ向こうは年季が違うのだろうけど。


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 年季の入った飛行機。こういうの操縦して、空を自由に飛びたいな。

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 次の少し大きな町、シャテルローでは、後輪のスプロケットを外すロックリング外しなる工具を買うため、自転車屋を回る。

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 できればかさばらない柄なしのが欲しかったんだけど、まあこの際贅沢は言うまい。

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 今日も今日とてパンク。シューと盛大な音を立てて一気に空気が抜ける。

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 タイヤに開いた穴がチューブを傷つけていた模様。もうさすがに限界か、と、スペアタイヤに交換。薄いタイヤなので、パンク防止ベルトを再装着。


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 そしてタイヤを装着した後にスポーク折れに気づくという。せめてタイヤ装着前に気づいてほしかった。
 時間がないので、先日と同様スプロケットを外さずスポークを強引にねじこむ。

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 この後マックでまとめてブログの更新するつもりだったのに、大幅なタイムロス。やはり予定は未定。


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 結局夜の10時半までマックで粘り、辺りは真っ暗。


 しかしこんなこともあろうかと予め町の外に野宿場所を見つけておいた私に抜かりはない。


 2019年6月19日。走行72km。シャテルローの町の外れにある道路脇の森にて野宿。


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 毎朝の日課である後輪のニップル回しを行なっていると、スポークが一本折れていたことが発覚。今旅発のスポーク折れ。しかも交換作業のめんどい後輪。

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 後輪のスポークを交換するにはスプロケットを外した方が良いのだが、スプロケットを外すための2つの専用工具のうちのひとつ、ロックリング外しが見当たらない。持ってきたはずなのだが、どこかで無くしたのか、実は日本に置き忘れてきたのかはわからないが、とにかくない。

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 ので、仕方なく強引にスポークを曲げてねじこむ。あまりよくない方法だが、スポークが一本なくなったまま走るよりはマシだろう。あくまで暫定処置であり、どこかの町でロックリング外しを購入せねばならぬ。


 自転車のメンテや修理に関しては完全に素人で独学の身ではあるが、出発前にひと通りのパーツを付け外ししてみて構造は把握しているし、工具も必要なだけ揃えてある。……はずだったが、いつのまにか消えたロックリング外し。旅に出てから原因不明の無くし物が多くて困る。


 毎日何十kmも重たい自転車を漕いで疲労が溜まってくると、普段はやらないようなとんでもないヘマをやらかす。今回の旅では、その最たる例がアメリカでクレカをなくしたこと。しかもいつなくしたのかまったくわからない。それこそ神隠しにでも遭ったのではないかと考えたくなる。神様もクレジットカードでお買い物するのかな。


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 しかし今日も今日とて、上下移動する車をよく見るな……

 標高自体はそんなに高くないんだけど、50mの登りを20回繰り返せば1000m登ったのと同じ負荷になる。ずっとアップとダウンばかりでフラットな道がないので、峠越えを想定した進行プランで行くべきかもしれない。昨日は久しぶりに80km以上走ったけど、疲れがけっこう残ってる。

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 夕飯を済ませ、次の目的地まであと20km。このまま進むと到着が20時前後になってしまう。通り過ぎるだけなら何とかなるものの、ここではちょいと観光していきたいので、少し手前で野宿することに。朝のスポーク折れのトラブルがなければ余裕で観光できたのであり、旅とは思い通りにいかぬものだと再認識する。スケジュール通りに進んだ試しがない。

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 でもたまには草原の上に寝転がって、のんびり空を眺めるのも良い。

 2019年6月18日。走行55km。ルサック城から北に10km離れた道路脇の森にて野宿。

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