IMG_0917
 ※画像はイメージです。

 現在泊まっている安宿は4人部屋なのだが、昼間ずっと寝ていてどこに行く気配もない謎の宿泊者がひとりいる。
 一体いつ起きているのか……
 飯とかどうしているんだろう。

 まさか……闇の使徒か!?

 そして宿に来てから数日後、深夜の2時過ぎ――そう、草木も眠る丑三つ時だ――に、昼間は沈黙を保っていたベッドのカーテンの奥から「クックック……」という謎の笑い声。

 私の疑念が、確信へと変わる。
 やはりヤツの正体は闇の使徒。

 夜中に電話でくっちゃべることで我々同宿者の安眠を妨害し、ストレスを蓄積させ、醜い争いを引き起こすことで世界を暗黒へ導かんと画策しているにちがいない。

 私の他にもうひとり宿泊者がいるのだが、寝ているのか、見ぬふりしているのか、注意する気配はなし。
 孤立無援……私がひとりで悪を鎮圧するしかない。
 私がやらねば、誰がやる……!!

 滅びよ闇の使徒!!

 かくして私の奇襲……背後から不意を突いてヤツの肩を叩き、「電話をお切りください」と、丁寧に一言。
 あえて満面の笑みを浮かべて言ったつもりだったのだが、おそらく眼が笑っていなかったのだろう、彼は快く受け入れ、電話を切ってくれた。
 こうして私の平和的交渉により、第三次大戦は回避されたのである。

 なお先日宿代をせびってきたジョージア人と同一人物であり、内心さっさと出ていかね~かな~と願わずにいられない。
 さもないと一生下痢の止まらなくなる呪いをかけてやる。