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 夜――それは人も獣も闇に呑まれ、本来の攻撃性、残忍さを剥き出しにする時間。

 私は今、夜のバトゥミの街を歩いている。
 それも午前0時を過ぎた夜の中の夜――ミッドナイトだ。

 人の数は少なく、外灯に照らされた主要道路のすぐ脇には何が潜んでいるかわからぬ深淵の闇。
 うっかり迷いこんだら最後――生きては出られまい。
 そんな暗闇と静寂が支配する、昼間とは別世界のバトゥミ。

 死と隣りあわせの世界が、ここにある。

 ……などと大袈裟に書いたものの、まあ主要道路を歩いて帰る分には特に問題は感じなかった。
 なぜあえて深夜のバトゥミを徘徊しているのかというと、好奇心――などではなく、単に昼過ぎからマックで小説を書いていたら筆がノリすぎて閉店間際まで心の赴くままに粘っちまったからであり。

 やべえ、夜の街徘徊するとか怖すぎる。

 ――と、ノミの如き心臓を連続垂直跳びさせながら帰途についた、と。
 まあこんな具合なのである。

 ジョージアでは時期の調整のために3月の末くらいまで沈没するというのは以前の記事でも書いた。
 その間何をして過ごしているのか?
 自転車も漕がずに退屈しないのか?
 ……といえば、退屈はしない。

 元々趣味で小説を書くのが好きで、また本の虫でもある私は、自転車旅を続けながらも細々と執筆や読書を続けてきたので、ジョージアで沈没したらそれらに没頭するだけである。

 おそらく沈没生活を終えるまで、退屈することはないだろう。