現在泊まっている安宿は割とよく停電する。  この建物だけなのか、周囲一帯なのかはよくわからない。  停電してもすぐに復旧するということはなく、電気が戻るまでに何時間もかかったりする。  ……ので、日本にいた頃に比べると不便だな、という感は否めない。  日本は安全だし便利だし、物に溢れている。  今まで回ってきた北米やヨーロッパ、トルコなどとも比べても格段に住みやすいと思う。  が、その快適さを支えているのは、低賃金で高いパフォーマンスを求められる労働者たちなのだと考えると、手放しには喜べない。  以前何かの番組で「電気に命をかける男たち」みたいな特集が組まれていたのを、ふと思い出した。  病院などでは、電気に命を支えられている人々もいるだろう。  工場なんかは、電気が止まると莫大な損害が出るだろう。  だから、電気の安定供給は必要だ、当たり前だ!  電力を支える側の人間は自分でその仕事を選んだんだから、プロ意識を持って、命がけで、真剣にやれ!  ……こういう自分以外の誰かに理想を押しつける姿勢が、今の日本の息苦しさ、閉塞感を生んでいる気がしてならない。  電力が安定供給されないなら、それはそれで病院側も工場も自家発電装置を用意するなり、電気に依存しない環境を作りあげる工夫をするんじゃないだろうか。  電力会社で働く人々や電気工事士たちだって人間だ。  特別高い給料をもらっているわけでもないのに、他人のために命をかけさせられるなんて、本当は嫌なんじゃないだろうか。  ただそれを口にすると自分の食い扶持が危うくなるから黙っているだけで。  誰かの犠牲に期待するのではなく、皆で知恵を出して解決して、お互いもっと気楽に生きたらいいんじゃないかな~、などと、電気の泊まった宿でのんびり本を読みながら、考えたのでした。


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