地球一周クエスト

平成自転車地球一周浪漫譚。2019年2月21日より開始。

カテゴリ:欧州 > ボスニア・ヘルツェゴビナ

 フロントキャリアがまた破損していたため、仕方なく前に積んでいた食糧バッグを後ろの荷台に無理矢理積むが、いかんせん後ろが重すぎてハンドルをとられる上にすぐ荷崩れする。

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 そこで考えたのが、「キャリアがだめならハンドルに巻きつければいいじゃない」作戦。
 今まで前に積んでいた食糧バッグ(灰色のデイパック)と、後ろに積んでいた水色のドライサックを入れ替え、ドライサックをキャリアではなくハンドルにくくりつける。

 たぶん前のキャリアだけが折れるのは重量もそうだが、固定方法にも問題があるような気がしていた。
 キャリアの天板にベルトでくくりつけていたのだが、この方法だと力学的に折れた箇所に負担が集中するように思えてならず、しかもそんな状態で振り子ダンシングとかするくらいだからかなり強い負荷がかかっていたのではないか、と。

 ハンドルならたとえ10kgを超えるバッグをくくりつけてもそうやすやすと折れたりはしないだろう。
 ちょっとシフターやブレーキの操作がしにくくなるが、できなくはない。
 でもあくまで暫定処置であり、次に旅立つ時はたぶんサイドバッグの容量を増やしてハンドルにバッグをぶら下げずに済むようにすると思う。
 オルトリーブのバックローラークラシックでは正直容量不足。
 バックローラープロかオーストリッチの特大パニアを買うだろう。

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 道中頑丈そうな棒を発見したため、今まで使っていた備前国景光と交換する。
 バスターソードと名づけよう。

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 牧羊犬(または放し飼いにされている番犬?)に遭遇。
 吠えながらこちらに駆け寄ってきたため、いつものごとく得物を抜き、威圧的に構える。
 しかし今回のやつは最初こそ怯んだものの、ふたたびこちらへ吠えながら向かってくる。

 犬によっては「イスタンブールまでぶっ飛ばす」オーラが通用しない場合がある。
 そういう場合、襲いかかってくる犬をどうにかイスタンブールまでぶっ飛ばす必要がある。
 だが実際得物をフルスイングする隙なんてあんまりない。
 殺る前に殺られる。

 実戦でもっとも有効なのは「突き」なのだと実感した。

 目的はあくまで護身であり、切っ先を突きだして威嚇しながら敵を寄せつけず、それでも嚙みつこうとしてくるなら喉もとを突く。
 今回は大事に至る前に飼い主が登場し、犬を鎮圧したからよかったものの、これ得物で自衛してなかったら噛みつかれていたんじゃないだろうか。
 こんな凶暴な犬を放し飼いにしておくとか意味がわからん。
 誰かに噛みついてトラブルになったりしないのか。

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 最後の峠を越え、ヴィシェグラード(Visegrad)へ到着。
 500年ほど前に建造された橋らしい。

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 買い物を済ませて町を出、道路脇の適当な森にチェックイン。

 2019年9月25日。走行43km。Sumiceまで。

 今日は朝から雨であり、テントに閉じこもって電子書籍を読み漁る。
 こんなこともあろうかと人眼につかない森の中を野営地に選んで正解だった。
 以前の私ならボスニアの森なんて怖くて歩けなかったが、地雷注意の看板がないならまあ大丈夫だろう、と、今では高をくくっている。

 地元の人も普通に歩いてるし、野生動物が踏まずに二十何年もそのままってのは考えにくい。
 一度でも爆発が起これば、そこには必ず地雷注意の看板を立てるだろう。
 まあ考えにくいってだけでゼロじゃないんだけどね。
 あまりに小さな可能性の話なんて考えだしたらきりがないので、頭から切り離すようにしている。
 そんなこと言いだしたら旅なんてやってられまへん。

 14時すぎに一度太陽が見えるが、ここでテントを片づけて出発した瞬間を狙い撃つ気なのだろうと天候の悪魔の策謀を予測し、様子を見る。
 こういう時のために水も食料もたんまり積んでいる。

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 何より傘が昨日破損してしまったため、雨宿りが困難になってしまった。
 クロアチアではミラクルパラソルのせいでずぶ濡れになったが、今度は壊れた傘のせいでずぶ濡れになる。
 その上もう9月下旬でおまけに標高1000m地点にいるため、夜はかなり冷えこむ。
 こんな状況でずぶ濡れにでもなったら風邪ひく程度じゃ済まないかもしれない。
 このまま夜までのんびりしてよう。そうしよう。

 ボスニア入ってから平均走行距離がアメリカにいた時の半分近くまで落ちてると知り、さすがにちょっとのんびりしすぎたかなと反省……なんかするわきゃない。
 私の旅はこれでいいのだ。
 これぞゆるふわサイクリング。

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 夕食時にサイドバッグを開けたら、中でサラダ油のボトルの蓋がふっとんでいて中が油まみれという惨事。
 メタルマッチが被爆してテカテカになっているため、タオルで拭き取っても滑ってなかなか火花が出ない。
 何度も挑戦してようやく点火できたと思いきや、ガソリンバーナーも被爆してテカテカになっており、油がバーナーをコーティングしてしまったせいか、ブスブスと煙を吐いているだけでなかなか青火にならない。
 数分経ってもメラメラとゆらめく赤火のまま。
 煤に油が染みこんでフレイムリングの隙間を塞いでしまったのか。

 オルトリーブの中までテカテカ、一緒に入れておいた水やジュースのボトルもテカテカ。
 この前代未聞のA級犯罪に私の堪忍袋の尾はぷっつんし、空になったサラダ油のボトルを全力で木にたたきつけたのであった。

 2019年9月24日。走行0km。

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 ボスニア・ヘルツェゴビナに入国して以来スーパーでカット野菜を見かけなくなり、しばらく野菜を食ってなかったため、今日こそはといつものラーメンにひと手間加える。

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 野菜もりもりラーメン改。

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 出発そうそうとにかく勾配がエグいの何の。
 10%はゆうにある激坂が延々と続き、もはや漕いで登ることかなわず押し歩き。
 ステルビオ峠を駆けあがった時の情熱とこだわりはもうない。
 あの時の自分はなぜあんなにも押し歩き禁止にこだわっていたのだろうか。

 ここで全力を出しきっても、また明日同じような峠を2〜3回越えなければならず、疲れを明日に残すよりはある程度余裕をもって登った方が結果的に早く次の目的地にたどり着くのではないか、という計略を頭の中で巡らせている。
 そう、これは決してだらけているのではなく、戦略的温存なのだ。
 マラソンで最初から全力疾走する愚か者はいない。

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 10kmも進んでないが、腹が減ったため昼飯に。
 押し歩きでも、くそ重たい自転車を押して登るのは思いのほかエネルギーを消費する。
 クロアチアに入ってからあまり袋麺を見かけなくなり、サラエボのスーパーで見かけた時はここぞとばかりにまとめ買い。
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 食事中に野犬が吠えながらこちらへ向かってきたので魔剣Xをとりだし、威嚇するように地面にたたきつけた結果、真ん中あたりからポッキリとへし折れる。
 まさかのご臨終。
 これじゃ野犬や牧羊犬をイスタンブールまで飛ばすべく殴打することができない。
 戦いの最中に折れたりしなくて本当によかった。

 次はもっと丈夫そうな得物、できれば鉄パイプがほしい。
 いっそスポーツ用品店で金属バットでも買うか。
 この国で野球やってるのかは知らんけど。

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 とりあえずちょうどよさそうな代用品を発見。
 備前国景光(びぜんのくにかげみつ)と命名しよう!

 とはいえ元の魔剣Xよりはちょっと短め。
 これでは犬と戦う際にリーチが短くなるため、噛みつかれるリスクが増す。
 もっといい武器はないかと探しながらしばらく歩き続けるが、収穫はなし。
 できれば折れる可能性の低い金属製の棒がよかったのたが、ちょうといい長さと重さの棒なんてなかなか見つからない。

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 1200〜1300mくらいの峠をふたつ越え、一旦ダウンヒル。
 しかしこの後また1600mくらいの峠が待ち構えている。

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 Maps.me 上では何も表示されてないところに道路がまっすぐ伸びていた場所に何と村があった。
 てっきり牧草地か畑が広がってるのかな、と思っていたのだが。
 民家があるならちゃんと記してほしい。
 民家があるかないかって野宿場所を探すのに割と重要な情報なので。

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 40kmほど進み、道路脇の適当な空き地にチェックイン。
 何か雨降りそう。

 2019年9月22日。走行44km。Kulaまで。 

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 結局5泊もしたサラエボのキャンプ場を今日こそ出発。
 昨日やってきた4人組のチャリダーたちは今後それぞれ違う進路をとるようで、同じようなルートの人とは「また会おう」と互いの無事を祈り、別れる。
 実を言うと昨日彼らに「一緒に走らないか」と誘われたのだが、自分のペースで走りたいし、荷物が多い私は彼らの足を引っ張るかもしれないので断った。

 休みたい時に休み、腹が減ったら飯を食い、気になるものを見つけたら立ち止まり、気の済むまでそこにいて、より面白そうな道を見つけたらためらいなく予定変更。
 私がやりたいのは、そんな自由気ままなひとり旅なのだ。
 でも昨日はキャンプ場で楽しいひと時を過ごし、たまにはこういうにぎやかなのもいいな、と思った。

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 町の外れにショッピングモールがあり、中に靴屋があったので、底に穴が開いていたボロ靴を買い替える。
 お値段49ボスニアンマルク(2940円)。
 まあ日本で安めの靴を買うのと変わらない感じ。

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 昨日リアディレイラーを調整したにもかかわらずチエーンが頻繁に外れるようになり、ひょっとしてこれはリアディレイラーではなく他の原因があるのでは、と、首都サラエボにいるうちに直すべく急遽町外れの自転車屋に突撃。

 自転車屋の前で乗ってみせて症状を説明したところ、すぐにスプロケ交換を提案される。
 曰く、チェーンを新品に交換すると古いスプロケット(歯車)とかみあわなくなってトルクかけると外れやすくなるんだそう。
 特に登りでよく使う(=トルクかける)3〜4段めのギアがよく歯飛び(一時的にチェーンが外れてすぐ元に戻ること)していたので、なるほどと合点がいった。

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 というわけで即刻交換を依頼。
 工賃込みで29ボスニアンマルク(約1740円)。
 このくらいの金額で今後の山道を思いきり走れるなら安いものである。

 ついでにホイールの振れ取りまでしてもらい、至れり尽くせり。
 さすがはプロで、私が何十分かけても手も足も出なかった後輪の振れを、専用の道具を使ってあっというまに取っ払ってしまった。
 他にも何かトラブルはないか、と訊ねられ、そういえばペダルが錆びついてて取れなくなってしまった旨説明したら、私のものとは比較にならない巨大なスパナを使ってあっというまに取り外してくれた。

 やはり困った時は素人療法ではなく、自転車屋に持っていける時は持ってった方がいいね。
 自転車屋に来ていた客たちが私の自転車に興味津々で、あれこれと質問攻めにあい、ボスニアからアルバニアまで1200km走ってきたというチャリダーとも出会い、彼の走ってきたおすすめルートを教えてもらう(ただ進行方向が逆なので、行くとしたらまた今度欧州を訪れる時だと思われる)。

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 最後はみんなで記念撮影。
 キャンプ場の管理人といい、ボスニアにはノリがいい人が多いような気がする。
 アメリカやスペインを思い出すなあ。

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 自転車屋を後にし、日没までとにかく東に進むべく山を駈けあがり、適当な空き地にチェックイン。

 2019年9月21日。走行35km。サラエボから東に10km離れた山の中まで。

 昨日の走行中リアディレイラーの調子がおかしかったため、リアのシフトワイヤーの交換を急遽行う。
 しかしワイヤーを交換してもなかなか変速がうまく決まらず、小一時間奮闘したが結局完全には解決しなかった。
 1番重いギアが使えなくなってしまったが、正直使用頻度はあまり高くないので、もともと8速だったのが7速の状態でだましだまし進むことに。

 後ろのシフトワイヤーはアメリカで交換して以来で7000kmくらい走ってるから、ワイヤーがとうとうへたってきたのかと推察したのだけれど、どうやらあてが外れたようだ。
 リアディレイラー自体ずっと不調で、アメリカの自転車ショップで見てもらった時に交換を勧められたんだけれど、まあレースに出るわけじゃないし、多少変速がぎこちない程度なら問題ないかなと考えていた。

 正直あまり金に余裕がない。こないだネット銀行の残高を確認したら予想以上に減っていて、たぶんイタリアで新しいヘルメットを買ったりベネチアで豪遊したり、クロアチアのキャンプ場や観光地が予想以上に高かったことが響いてると思う。
 今後は物価の安い国が中心になるので、あまりケチケチしたくはないが、しばらく節約生活を強いられそう。

 午前11時近くになってようやく撤収作業を開始したのだが……

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 野犬?
 思わず近くに転がっている魔剣Xに手を伸ばすが、犬に敵意は見られず、尻尾を振って近づいてきたので、なでなで。

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 なでなで。
 やたら人懐っこいのでどっかの家から脱走してきた飼い犬かな、と思いきや首輪がない。
 となるとキャンプ場に泊まっていた誰かが餌づけしたのか。
 ここで私が餌を与えてしまうと、この犬は味をしめてまたやってきて他の客に食い物をせびるようになるだろう。
 かわいいんだけれど、キャンプ場の管理人にも他の客にも迷惑になると思い、なでなでしつつも餌はやらず。
 すると犬も餌がもらえないと悟ったのか、どこかへ消えた。

 しかし10分もしないうちにまたやってくる。
 かわいいんだけれど、正直撤収作業の邪魔。
 しびれを切らした私は心を鬼にし、魔剣Xで犬の横っ腹をびしと一発殴りつけるとかかわいそすぎてできるはずがない。
 あきらかに敵意を持っている犬には容赦しないが、尻尾をふって懐いてくる犬を殴打できるほど私は非情にはなれなかった。

 甘い、甘すぎる。
 その甘さが戦場では命取りとなるのだ……!

 結局12時を回っても撤収作業が半分も進んでおらず、もはや出発する気が失せ、ずるずるともう一泊することに。
 昼過ぎに管理人が現れ、さらに夕刻には4人組のチャリダーがチェックインし、夕飯がかなりにぎやかになる。
 日頃はぼっちコミュ障チャリダーの私はひとりでのんびりマイペースに飯を食いながら晩酌することが多いのだが、この日は流れでご一緒することに。

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 多国籍ハイテンションチャリダーグループに勢いだけで割って入っていける酒の力ってすごいなと改めて思った。

 2019年9月20日。走行5km。

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