僕がフェリーに乗らなくなったのは、大阪から瀬戸内を巡ってくる、クルーズフェリーに乗ってからですね。

 サービスもお食事もとても良くて、料金も安くて。しかもブランド物の焼酎も買えるし、朝ごはんの時に出てくるふりかけやら、味噌汁やらの心遣いに感心して、大満足だったんですがね。
 しかも船上のサービススタッフさんが献身的で優しくて、素晴らしかったんですよ。

 でもねえ、食事のとき、ビュッフェやお酒の注文取り、片付けなどをやってくれるウェイトレスさんがとても可愛くて、顔を覚えたんですが、気づいてみると、その後売店やら、レセプションやらどこでも彼女に会うわけです。
 つまりほとんど全てのサービスを兼任してやってらっしゃるわけですね。
 急に、彼女が可愛そうになって、その健気なサービスぶりが、逆にこちらには負担になり始めて、楽しさがしぼんでしまったんです。
 
 もちろん定員の問題もあるでしょうし、人件費の問題もあるんでしょうが、船内運営の大変さを垣間見てしまった感じで、「楽しき旅」というか「憧れの船旅」という感覚より、せつなさが先に立って。

 ちょっと書きにくいんだけど、サービス業というのは、なんだか・オブ・ザ・シーズの機械バーテンさんが批判されてますけど、人から対面で受けるところに、楽しさというかゆとりを味わえると思うんですが、あんまりにサービスが必死そうだと、女工哀史みたいな環境なんじゃないのかなあ、みたいな感じを持ってしまいますね。

 あれじゃ、働き手の確保も大変だろうと思いました。だから、というとアメリカの暴動みたいな話になってしまいますが、やっぱりフェリーも東南アジアのクルーをたくさん採用して、人手を掛けたサービスをしていただければ、随分船内の雰囲気も変わると思うんですがね。
 同じく瀬戸内を走るパンスターのフェリーには、ロシア系やら朝鮮系の中国人スタッフやらがのっていて、サービスしていまして、ビジネスホテル風ではなくて、まあ高級ではないにしろ、旅館を目指すという感じがするんです。
 
 日本の官僚は優秀ですからね。「外国人労働者は入れない」となったら、海の上で働くような船にも絶対に認めない、みたいなところがある。それに海員組合も船乗りとなると、サービス要員でも資格はともかく、諸条件について妥協しないから、かなり硬い労働条件が強いられます。
 それでなくとも若年の労働力は減っています。まあ単純作業は機械化、みたいな方向で行くとしても、サービス乗組員の確保がますます大変になるのではと思います。
 でもって、フェリーは移動手段としての役割はともかく、船上の楽しみみたいなところは求めにくくなる。

 JR九州の「7つ星」がリッチ層に受けて、大人気みたいですね。僕の友人のお医者様も体験して感動していました。だけど、結局、車両の内装のよさと、行き先で当地の高級グルメを出張させてサービスするみたいな目新しさということだけだったみたいですが、高級化することで、乗ってくる乗客の層が独特の雰囲気になって、つまり、選ばれた者のステータス(って、それだけ金が払えるだけなんでしょうけど)を感じる…、みたいなことが受ける?

 でもフェリーにも、そういうコンセプトがあってもいいと思いますけどね。瀬戸内あたりを一週間掛かけて周遊し、船にはその町一番の料亭に来てもらい、サービスしてもらう(芸者も呼びたいね)。夜は停泊して港町の歓楽街で勝手に遊んでもらう(その芸者に誘われて料亭へとかね。というのは悪乗りしすぎですが)。なんかヨーロッパのリバークルーズみたいな感じでやったらどうですかね。

 えっつ? そんならフェリーじゃなくていいじゃん。そうですね。
 はい、小型のクルーズ船でいい。でも、乗組員は乗客と同数で、外国人船員。乗船料金は1泊10万円から、とか。
 って、やっぱりわたしゃあ、豪華客船派なんかなあ。、