アルルに船は到着しました。
 僕の家の冷蔵庫のドアには、100枚近くになるのかな? いつ頃からか、クルーズで訪れた街々のマグネットを買い求め、張り付けてあります。そして、新たに加わったのがこの6枚です。

 一番下。アルルの町をガイド氏に連れられて、最初出会ったお土産物屋で、一枚3ユーロで買い求めた安いお土産ですが、多分これらのマグネットは僕の宝になるのかもしれませんね。

 「アルルの女」と勝手に名付けている女性たちの歩く姿は、もしかしたら、この町のお祭りの時の映像かもしれません。美しい写真です。
 「ゴッホが切り落とした耳は、左側でしょうか?それとも右」。ガイド氏の定番の謎カケにでもなっているのか、そう問いかけるこの有名な絵。ゴッホが耳を切り落としたのも、この町でのこと。
 はい、右ですね。というのもこの絵は鏡を見ながら描いたのだとか!この話はどこかで僕も聞いたことがありますが、このガイド氏によって、僕の耳の中に永遠に残る話になるかもしれません。

 この町には、クルーズ船が停まる公園からローヌ川を見渡せる場所に「ゴッホがここで風景を描きました」みたいなガイドパネルが至る所に残してあります。そういたるところにです。
 真ん中の写真は、ゴッホがアルルで住み、ゴーギャンものちに合流することになる「黄色い家」です。こんな家が、そのまま19世紀の街とはかくやと思わせるように出現する。僕らが歩いたのは午前中で、このここち良さそうな椅子に座ることはできませんしたし、「夜のカフェテラス」を見ることも出来ませんでした。
 クルーズ旅行に欠点があるとすれば、こうした街に留まりたいと思ってもその希望は叶わないことにあるのかもしれません。

 ですが、一番感動したのは、最初の写真、「アルルの病院の中庭」です。まさに、買い求めたマグネットの下段の絵の舞台でしたね。
 建物は絵の通りに残っているようだったし、庭園は、精神病で入院したゴッホのこころを慰めるように美しく設えてありました。
 ここに来れるなんて…。と思いましたね。

 この町は、街の奥にはフランス最大のマルシェが展開し、人々が生活の品々を買い求め、観光客はテーブルで寛ぐ。そして古い町の通りに突然現れる「ゴッホ財団」の美術館。この町にゴッホの絵はほとんど残っていないそうですが、財団ではそんなゴッホに何枚かに出会いましたし、ピカソも、ゴーギャンも。そう1枚だけでしたが広重にも出会いましたね。

 ゴッホが描いた町ーーそんな風に思いながら歩いているうちに、「いやゴッホが描いたからこそ。この町は生き残っている」んだ、みたいな感覚に襲われましたね。
 クルーズ船旅行の最大の弱点は、その町にしばらく留まっていたい。そう思っても叶わぬことです。
 アルルでは、そのことを本当に残念に思いましたですね。好くなくとも一夜ぐらいは…!

 必ず戻って来たい。今度は陸路、TGVでプロバンスに下り、思うがまま、この町で過ごしてみたい。別にゴッホを気取るわけではありませんが…。
 つまり、もう少しだけでも長生きしたいなあ、と。来年、齢70を迎えるのだけど、何年後かには。
 また、アルルへ。
 残りの人生に小さな目標が芽生えた町でした。
 

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