別に、日経新聞さんが嫌いなわけではないですし、むしろ日本を代表する経済紙として、全幅の信頼を置いているんですがね。

 「神風」ですか? 長距離フェリーが不況に悩む日本の造船業に神風となっている! しかもその理由はトラック運転手の担い手がいないために、モーダルシフトが進み、陸上輸送が海上にシフトしつつあるからだ! ですか。

 でもって、建造の例として挙げているのが、太平洋フェリーの「きたかみ」さらには、さんふらわあの4隻。はいJMU横浜のシリーズ船。ついでに長崎が200m以上級の(輸出)フェリーの受注に取り組んでいる!という状況証拠でも念頭にあるんかな?
 まるで、陸上のトラック輸送はフェリーにとって代わり、さらに輸出も加われば、不況の造船業の救世主になるかのような書きっぷりです。
 
 まあ日本造船業が崩壊に至る? なんて記事よりはいいですけどね。でも、こういうのはフェイクにもならない、いくつかのニュースを寄せ集めた作文! と、昔は言っていたですね。
 だいたいクルーズやフェリーのことを知る、このブログの読者さんだって、太平洋やさんふらわあの新造船は、ある意味ここ数年続いた高速フェリー新造ブームの最終章に近い話であることは良くご存じなわけで、モーダルシフトが日本の造船業を救う「神風」?になる、いくらなんでもなあ。
 
  でもって、この記者さん、背景を説明されるのにーー

 朝鮮戦争や中国の経済成長など、国内の製造業はこれまで特需を経験してきた。足元の人手不足も、工場の省人化につながる産業用ロボットなどの需要創出につながっている。フェリーもその一種といえる。

 えっつ?朝鮮戦争まで遡るんですか? 中国の経済成長が日本の製造業の「特需」になったんですか?
 足元の人手不足が工場の省人化に結びつく「特需」? ですか?
 トラッカーが不足しているという労働力不足の問題は、不況で仕事が足りないという「造船業」や、モーダルシフトの担い手であるフェリー業界の運航要員やサービス要員の確保には影響していないの? なんていう問題意識を持たなかったんですかね、この記者さん。

 ただフェリーの活況は恒久的ではない。大型フェリーの寿命は20~30年。内航海運各社の投資が一巡すれば、いずれ需要は縮小に向かう。

 そうそう! でもねえ。ここ数年のフェリーの就航実績まで調査して記事にしているようですが、ここ数年のフェリーの発注実績と就航時実績まで調べて記事を書けば、「いずれ需要は…」どころか、「神風」のフェリー需要は、すでに縮小に向かっているのは明らかなのにねえ。

 でもって、フェリーは日本造船業にとって「神風」になんてならずに、今造船業は工場やドックを閉鎖し、必死に次の需要を探し求めているという姿が目に入ってくるんじゃないの?
 記事がないからなの? だからといって、ここ数日間取材した話をベースに「物語」を組み立てるのはやめましょうね。記者は作家じゃないんだからね。

 そして結論は、「造船各社は収益改善を一過性のものとしないためにも、フェリーという「助け舟」があるうちに海外需要の開拓や技術革新などを急ぐ必要がある」--ですって。
 まあ「造船各社」という主語を「三菱重工」とでも書き換えれば、まあ嘘っぱちともいえないかな? 

 でもねえ、三菱にとってフェリーは「一過性」の収益改善材料でもなくて、まして「助け舟」でもない。下関は、毎年こうした「助け舟」で営々と生きて来たんです。
 精々、1隻200億円もしないフェリーが、年間数隻?で、大三菱の造船の…。
 問題は長崎だし、ずっとそれだったんですよね。
 そう、1隻500億くらいするLNG焚きROPAXを5,6隻とってくればねえ。「特需」とでも「助け舟」とでも書けばいい、とは思いますがね。

 にしても人手不足は、トラッカーさんだけに及んでいるわけではないことを、この記事は示しちゃったですね。
 そう、新聞社にも及んでいる。おっと、新聞記者は人手でなくて人材でしたね。ごめん。