それにしても、最近懐かしい船の名前をよく聞きますね。
 はい。ブレーメンです。かつてのフロンティア・スピリットですね。日本郵船が「松・竹・梅・小梅」と名付けて、1990年代の初めにスタートしたクルーズ事業。そのうちの「梅」ブランドの船がこの船ですね。

 アメリカの探検船会社サレン・リンドブラッド、ドイツのハッパグロイド、それに三菱グループ。つまり三菱重工、三菱商事、それに郵船が加わって、夏は北極、冬場は南極、春や秋には間を取ってインドネシアあたりを周遊するというコンセプトで、一番面白そうな船でしたね。
 北西航路なんて、北米の北を回ってヨーロッパから太平洋岸に出る航路を開拓したのもこの船でした。

 僕はストックホルムだったかで検船だけさせてもらったのかな? でも、神田にあったご本社には、よくお邪魔しましたね。
 そのころは、遅まきながらも海洋に進出する栄光のニッポン! というフレーズにも現実感がありましたし。世界中を旅する豪華客船クリスタルクルーズ、日本人に船旅の楽しさを紹介する飛鳥、そして極地にも行けるぞ! フロンティアスピリットですか。夢多き海の国ニッポンを疑うことはなかった。

 世界のクルーズ会社は、マス、プレミアム、ラグジュアリーに区分けされる!なんて伝統的なクルーズ事業の分類を、いまだに仰々しく解説される方もいらっしゃいますがね。
 郵船グループのクルーズは、全部ラグジュアリー分野で勝負し、クルーズの市場と目的地で仕分けするという、ある意味では、現在の大手クルーズ会社の姿を先取りした事業展開だったのかもしれませんね。事業戦略はなかなか立派なものでしたよ!

 ですが、このフロンティアは、一番最初に事業不振!で、オイローパなどで一定の市場を持っていたハッパグに移管し…。当時、日本の飛鳥はまだまだ事業不振で、クリスタルだけがなんとかいう具合で、とてもフロンティアの立て直し策を組み立てることが出来なかった。
 というか船頭が多過ぎたのかもねえ。とりわけ日本市場での集客に苦戦していましたね。

 ドイツに移ってからは良く知りませんが、時々日本にもいらしていたのかな? 
 90年代の初め、ドイツのクルーズ市場と日本のそれは、ほとんど同じ大きさで20万人弱くらい。でも、いまやドイツは100万人を大きく超えて、欧州では最大のクルーズ国になっていますが、その差はどこで着いちゃったんですかね?
 この辺は立ち止まって、研究する必要があると思うんですがね。 

 まあ確かに、ほとんど同じようなクルーズ市場規模でしたが、ドイツにはオーシャンクルーズの他にライン川クルーズみたいな内陸リバークルーズも別にあったし、造船所もしっかりしていたし…。
 なんてね。日本だって造船所もあったし、造船はしっかりしていたんですよね。
 日本では、クルーズより温泉が? いやドイツにだってバーデンバーデンみたいな温泉地はあるでしょ? 
 って、やっぱり日本人のライフスタイルにクルーズなんて合わなかった。つまりは嫌いなんですかね。「船は揺れるし」論に勝てないんですかね。
 僕らはこうした論に懸命に反論していたんですがね。クスン!

 まあいいや、これじゃあ、今日は、前置き話だけで終わっちゃうね。
 はいそのブレーメンですがね。ノルウェーのスピッツベルゲンで、シロクマと遭遇して、くまさんを鉄砲を撃っちゃって殺しちゃったのかな?
 そりゃあ乗客が襲われそうになったら、警備のクルーは、鉄砲を撃ちますわね。どうやらほぼ襲われかけていたみたいですからね。

 でもって、ネット社会では、やっぱり非難ごうごうのようで、つまりは、なんでそんな自然の残る地域ににまで出かけて行って、シロクマを殺しちゃうの? わざわざ地の果てまで遊びで行く必要があるの? みたいな自然環境保護主義者さんたちの論であって、こういう批判にはなかなか勝てないんですよね。

 まずは威嚇射撃すれば論、とか、シロクマがいないかどうか確かめて、とか、しっかりした保護、管理をしたうえで下船するとか? そんなことを下を向きながら、小さな声で反論するしかない? 感じです。
 今や、極地どころかアラスカあたりでも環境を守れ派からは、立ち入り禁止!とか、入域制限論が出ていて、地球環境とクルーズ!なんて相反する概念に、私たちは立ち止まらざるを得ない!なんてね。

 まあね。「環境に優しいクルーズ」などと言っても、所詮、遊びというかレジャーに類するクルーズだと、例えば「海上物流が途絶えたら困るでしょ」みたいな反論はし難いですからね。
 つまりはクルーズなんて止めちゃえば、もっと環境に優しいじゃん?なんて感じでね。
 「地球環境vs.人類」! 果たしてクルーズは必要か?なんていう哲学的な命題を突きつけるブレーメンのシロクマ射殺事件になっちゃった! なんてちょっと大げさかな?

 まあ日本は、もう同胞を乗せた船で地球上を荒らして歩くような仕事は縮小していますからね。アメリカやドイツみたいに海洋環境を荒らすような試みには断固反対し! 国際的環境保護運動を? ですかね。
 まあそれもいいですけどね。

 でも海洋立国ニッポンですからね。もう少しクルーズ船を動かして海の自然環境を守るという海洋思想の熟成のためにもクルーズ振興をした方がよろしいかと…。
 なんて論理はどうでも組み立てられる。

 極地に住む動物さんやアフリカで生きる動物の生態系を守るためにも、人間はもっともっと地球の隅々を探索して!
 それとも、そうした自然環境を守るためにも、大自然には立ち入ることなく、手付かずのまま残しておく方が! ですか? 

 どっちでもいいや。いずれにしても日本人がリード出来る余地はどんどん狭まっている、そんな感じだものねえ。
 我々が出来るのは、山を下りて来るヒグマやイノシシを撃ち殺すことくらいのことかな。
 それにしても暑いですね。これじゃあヒグマも人里にやってくる、よね。