初任給12万5500円。賞与年2回。昇給年1回、扶養、通勤、住居、寒冷地、乗り組み手当あり。
週休2日制で、祝日、有給休暇、特別休暇あり。さらに宿舎費無料、食事、制服等の被服費、寝具の支給または貸与ーー。
 18歳以上34歳未満でなければ応募できませんが、いかがですか?こんな条件で…。外国人に門戸を開いたら応募者は殺到する、かな?

 ええ、昨日ちょいと野暮用があったんで町役場を覗いたんですよ。目に入ったのが、自衛隊さんの募集案内のパンフレット。キャッチコピーは「平和を仕事にする」。若い兵士たちの談話も載っていて「早く一人前になり、女手一つで育ててくれた母に楽をさせてあげたくて」と泣かせるセリフも並んでいます。

 平成22年に入隊した若者のメッセージ紹介では、国を守る気概よりも、独り立ちしたいという生活感の方が強調されていますね。
 自衛官候補生の給与12万円とちょっと、というのは、少ない? いや宿舎も提供され、制服も提供されるわけですからね。これって、お小遣いみたいなもんでしょう。でもって車やトラックの免許から、飛行機の操縦、武器の試し打ちまでやらせてもらえる。

 しかも、日本の自衛隊だったら、戦場に出て行って弾を打ち合う!なんて想定はほとんどしないで済むでしょうからね。
 オイラが若いころだったら…。なんて、絶対に行かなかったろうけどね。
 いや、日本の製造現場は外国人に任せて、日本人は「平和を仕事にしましょう」ですか?

 こんなパンフがあるのは以前から知っていたんですがね、昨日なぜ取り上げて、眺めたのか?って。うん、ちょいと思うところがあって、今、大江健三郎の小説を読み始めていましてね。それで「セブンティーン」まで読み継いで来たんですが、その冒頭のシチュエーションが、自衛隊員の看護士の姉と17歳の高校生の喧嘩なんですね。

 「自衛隊がいなくなったら、外国の軍隊が上陸して来て、反撃も出来なければ、何人も日本人が殺される。それでもいいの」という論に、頭でっかちな17歳は反論できず。思い余って姉を蹴っ飛ばしてしまう。
 が、父親は、そうした17歳の行為を咎めることなく、シニカルに「これでお前は国立大学に入るために死に物狂いで勉強しないとだめになったな」「姉から学費の支援がなくなるぞ」と。

 そんなところを読んだばかりだったからです。この小説は1961年。つまり安保闘争の翌年に発表されている。前年に社会党の浅沼稲次郎を暗殺した山口二矢が17歳だったこともあって、17歳(セブンティーン)はまさに今でいえば。流行語大賞。しかも彼は、事件の一月後に獄中で自殺する。

 その後沢木耕太郎が1978年に発表した「テロルの決算」で、この17歳のテロリストの話を書くーーなんて、僕の記憶にうっすらと閉じ込められていたストーリーが蘇って来て…。
 でもねえ、一昨日東京駅の丸善で、大江健三郎の文庫本を探ったんだけど、まったく見つからず、わずか数冊が片隅に置かれていただけだったのにも驚いて。最近、本を買うのに慎重だった僕も思わず、咄嗟にレジに並んでしまったわけだけど。

 なんてどうでもいいか? でもって、主人公の17歳は、姉に論破されて、また自慰に耽る…。そういえば山口二矢の父親は現職自衛官で、暗殺事件の数日後に辞表を出したんですよね。
 
 1961年と言えば、僕は12歳か? その後、浅沼さんは大衆の面前で殺されたのに「何故、それを『暗殺』というんだろう」なんて思った? いやその後何年かして思いついたのかもしれないけど、そんな風に思ったことを思い出しますね。

 でも、当時からなんとなく左翼、で、社会党支持だった僕には、自衛隊に入隊するという人の気分、感覚は、何年たっても違和感しか感じなかったですけどね。
 でもねえ、昨夜ベッドの中で、この大江さんを読んでいて、「日本から自衛隊が無くなったら…」なんて、論破されてしまったお姉さんに、有効な反論って、いまだにできないだろうねえ。

 というより、その後社会党連立政権の村山さんが「自衛隊は合憲」とまで言ってしまって。
 あれから、もうすぐ60年経とうというのに、「日本から自衛隊がいなくなったら…」論への有効な反論はない。

 どうやらアベ政権は、今度の国会に憲法改正案を提案するのを断念したみたいですね。でも、自衛隊に入隊するなんて!みたいな常識は、ずでに非常識?
 「反戦の論理」が衰退していることだけは確かなようで。

 パリでマクロンは、民衆の反対運動の高まりに抗しきれず、増税案を撤回したというのに…。
 さて、二ッポンは……?