金太師匠のおっしゃる通りでした。私の記憶でも当時500億円程度という郵船のアイデアプライスに三菱さんが提示した見積もりは、700億円だった!と。
 で、600億という真ん中で折り合えばいいじゃないの? なんて、争いを好まない妥協派の私としては、600億円という記憶だけが…。
 なんて、交渉の当事者でもない私めにとって、こうした井戸端情報は、根拠のない噂話に過ぎないんですがね。そう聞いた時の情景を思い出しましたよ。

 まあ大雑把ですが、かの権威ある日経新聞が「飛鳥Ⅲ、600億円」と船価水準をお決めになったわけで、この価格は今後の商談にも影響する? かな? なんてことでもないだろうけど。

 ですんで、客船の船価情報をお手軽に調べようとしたんですがね、かつてのように新造船情報に船価情報は出てこないんですね、あんまり。ですんでダグラスワードさんのクルーズ本に頼ったわけですがね。
 オアシスオブザシーズ(22万総トン)が15億6千万ドル。16年の就航、5400人乗りですね。1700億円ですか? 比較するにも、あんまり現実的じゃないわ。
 でもって、飛鳥Ⅲになるべく近づけるように、そしてグレードもそこそこに!とみると
 クイーンエリザベスなんていかがですか? 2010年就航の90900総トン。6億3400万ユーロ。2000人乗りですね。建造当時のユーロレートなんか調べるのが面倒なんで、1ユーロ=140円と換算すると880億円ですか? えっつ、まだデカ過ぎ?

 でしたら、当面のライバル? ヴィキング・オーシャン・クルーズの船たちですが、47800総トン、930人乗り。16年に就航したスカイですが、なんと4億ドル。はい440億円ですね。
 まあ、本当はもっと期近に就航した船で比較したかったんですがね。でもバイキングの船は、そんなにトリッキーでもなければ、推進システムもディーゼル電気推進であって、特別な配慮をしたわけでもない。

 となると、乗客数は900人ぐらいだっけ? 総トン数も6、7万トン。つまりⅢは飛鳥Ⅱぐらいの大きさで? となれば、600億円くらいは別に高くもない。しかもLNG燃料への対応も可能なデュアルエンジンとか、まさか羽や太陽光は付けないだろうけど、600億円というのは、むしろ造船所にとっては、ちょっと厳しい船価? 多分三菱さんでも、この水準だと、本社の許可が?

 まあいいわ。日本で今走っている船の建造費は、にっぽん丸が77億円、ぱしふぃっくびいなすが、125億円、そしてかのクリスタルハーモニーは、240億円とも260億円ともされています。90年代初めの平和で牧歌的な時代の価格ですからね。
 まさか、そんな価格常識に引き摺られているの? なんてつもりはないですがね。欧州や、いや、三菱さんの船価常識からしても、600億じゃ足んないよ! かもしれんですね。

 飛鳥Ⅱと同じような価格、定員、同じような乗船料で経営プランを立てるとすると? 親会社役員会は大紛糾必至かもしれんんですね。
 解決策ですか? 
 欧米船社は船価高騰に対応して、船を大型化し定員を増やして、必然的に大衆化させざるを得ない、という経営戦略を取っていった。
 そんなことできない? というなら、少なくとも複数隻の同時発注! 同型船なら設計費だって半分になるし、資材費だって…。
 ウーン? それとも船会社の統合によるスケールメリットの追求ですか? 郵船・商船の合弁? コンテナ船部門ではONEなんて成立しているし、日本クルーズ客船を含めた3社による…。
 NMJなんて話かな? いずれにしても郵船単独ではなかなか! 
 
 そろそろ日本船社にも世界戦略が必要になりますね? 中国での建造、沖縄のクルーズ基地化、世界一周クルーズの常時催行?
 まさか、その中に、ピースボートさんは入れなくていいよねえ。
  
 今日のサービスフォト、探検船のリンドブラッドさんがウルステインに発注したとされる省エネ耐氷クルーズ船ですね。21年完成予定。どっかでみたことのある船型、X-BAWですね。
 National Geographicの船隊に加わるようですが、船価1億3500万ドルだとか!
 海洋クルーズは諦めて、こっちにしますか?


新しい船は、2020年のナショナルジオグラフィックエンデュランスの姉妹になります