昔、といっても1980年代の話ですけどね。韓国造船業取材の担当を命ぜられて、韓国に年数回ずつ行くようになったころ、友人ができますわね。先方はジャーナリストさんなんですがね。
 「日本の1000円札のデザインは…」なんて、ある日居酒屋で、結構なインテリさんに、そんなことを言われて目をシロクロさせたことを思い出しました。

 はい伊藤博文さんの肖像でしたね。このころ日本と韓国の関係の話になると、豊臣秀吉どころか「白村江の戦い」辺りから説き起こされ、伊藤さんのことも、とうとうと。そんなこと韓国人が気にしている? なんてことはほとんど気づかなかったんですがね。
「傷つけた方は忘れても、痛めつけられた方は…」なんて話になってゆく。
 
 でも、同席していた日本の先輩さんが、「伊藤博文は、(韓国人に)暗殺されたんだよね」なんて話で対抗して。今から思えば、結構緊張する場面だったのかな。
 まあ日韓友好で!みたいな結論で別れたのかな? 彼らはこういう議論が好きですからね。
 
 でもって今度、渋沢栄一さんが一万円札の顔に、ですか? 20年に一度のレイアウト変更だそうだから、僕にとっては最後の万札になるかもね。 
 ですがね、渋沢さんのことは、名前だけを知っているくらいで、あんまりなじみがなかったんですが。ある時、川崎重工の友人が「渋沢栄一は、岩崎弥太郎などと違って、日本の国のことを考えていた経営者なんだよ」なんて滔々と話し始めたのでびっくり。で、渋沢さんが第一勧銀や石川島播磨、それに川重などの創業に係わった人だったことを知って、ちょっと明治産業史を勉強してみようかな?なんて思ったりもしたんですがね。

 分かります? そのころ、川重と石播との合併交渉が進み始め、まず話は造船部門からって。それを第一勧銀出身の役員が画策し、そして結局は破談となって行く。
 そう渋沢コンツェルンは成立しない!みたいにね。

 で、破談になってから、今度は三菱重工との造船部門統合論もささやかれていて、川重側のOBさんが、「統合の相手としては…」なんて話をしてくれたんだけど…。まったく火も立たないから記事にはしなかったですけどね。
 で何年かして、例のOBさんが、渋沢栄一と岩崎弥太郎までさかのぼって、「そんなの相容れない話だったんだよ」なんて。
 
 まあ今となっては他愛もない思い出話ですがね。歴史に「もし」があったらなんて、思いますね。
 それにしても、伊藤博文の話を持ち出す韓国の友人と、渋沢栄一を持ち出した川重の友人と…。
 あんまり変わらんねえ、なんて。お札のデザイン変更のニュースを見ながら、そんな話を思い出しました。 

 というより、渋沢さんの肖像は、実はすでにお札になっているんですね。1円札だけど。いいえ、日本銀行の発行の1円札ではなくて、第一銀行が植民地下の朝鮮の紙幣として発行したようですが。
 なんかなあ。今度は韓国に行っても「渋沢栄一はいいですね」なんて言われるのかしらん? それとも、今なら「植民地統治の象徴だった」なんて言われるのかな。

 一般紙には、この紙幣のデザイン変更を巡って、「キャッシュレス時代との整合性は?」なんて、安倍のやることは…。みたいな論調も散見されますがね。 
 それなら、キャッシュレス時代になると紙幣っていらなくなるんかな? なんて、近未来のお金というか札束への展望があってそう書いているのか聞きたくなっちゃったですね。
 2050年、渋沢栄一が肖像の紙幣が廃止されることで、貨幣経済が終わる? なんて感じなのかな?

 確かに、気が付けばここ数週間、コインはともかく紙幣にはまったく触っていないなあ、なんて思いますね。そもそも札を持ってないのも理由だけどね。そういえば、今年お札を使ったのは、飲み屋の割り勘分か孫へのお年玉くらいだよ。

 だいたい、クルーズ船なんか船上決済は、とっくに、すべてクレジットカードだもん。
 というか、今やスーパーでもコンビ二でも、現金要らず。海外旅行に行くときは、まだタクシー代とかチップのために空港でユーロやドルなんかに変えるけど、精々一万円分くらいだもの。
 まあ、イギリスからフランスなんかに行くときは、本当に面倒だもんねえ。BREXIT反対!

 そうそう。それよりチップ制をやめてくれないかなあ。大体外国船だと、チップも乗船料と一緒に徴収されるけど、これも不快だよね。私がクリスタルが好きなのもノーチップであることが理由の一つだですからね。
 それでもオプショナルツアーのガイドさん辺りにチップを指し出すんだよね、アメリカ人客って。

 なんて話が飛びに飛んでるけど。
 渋沢栄一さん! に陽が当たるのは、私は悪くないと思いますけどね。
 手元にお札が回ってきたら、使わずに貯めときましょうかね。渋沢さんになったらね。

PS.  韓国は、なんでもいやなんですねえ。日本のことは。まあオラもアベッチがやることは、なんでも気に食わんけどね。