ここまで来たら…。なんてカボタージュについて研究してみたくなりました。
 なんて大袈裟な話でもないんですがね。平成18年末というから、もう12年も前になるんですが、当時の海運振興会さんが、「諸外国の海運カボタージュに関する調査」という90ページに及ぶ労作をまとめていたんですね。知らんかったですよ。

 もうこの団体は、外郭団体の統合指導もあって、日本海事センターと名を変えて…。って実質的な仕事は変わっていないんですが。でも、この時の報告書でも、諸外国の制度について、「我が国国内での調査には限界がある」なんて事実上調査を完了できなかったことを嘆いていますがね。予算不足なんかな? 
 とはいえ、カボタージュについて本格的にまとめたものとしては、最初で最後? まあ出発点的仕事だったんじゃないですか?

 とはいえ、平成が終わってしまっても、その後さらに深める作業を行った形跡はなし。
 というかカボタージュについて、今更、岩盤のような政策を変更しょうとする意欲がなくて、そのまま…。だったということでしょうかね?

 日本の場合、内航海運業者と、海外航路に携わるいわゆる海運会社というのは、同じような仕事をしているように見えて、事業形態は全く異なる。というか内航は全て国内籍船。カボがありますからね。でもって一般的に「海運会社」と呼ばれる企業は、ほとんど外国籍船しか保有・運航していない。従って法的な規制も監督も似て非なる感じで。
 若年労働力不足が言われ、外国人労働者の導入を進めようとしている日本ですが、内航海運はこのまま日本人労働者に依存して行け!というんでしょうかね?
 
 という中で、両方の事業形態のはざま、つまり内航と外航の両方の仕事を手掛けるというのが、クルーズ業界!だったわけで。
 この「新規」事業に対して、世界の標準的な規制、業法を学んで事業を構築しようとする動きは平成30年間の間、全くなかったわけですね。 

 ですが、世界とりわけEUでは、統合の進展に伴って、海運を持つ国から、カボタージュについてどうするんだ! と見直しが行われて、先に触れた「諸外国の海運カボタージュ調査」という実態に繋がる、かなり異なる法的規制が行われるようになってきているんですね。

 読んでみると、厳格にカボタージュ、つまり「国内輸送の自国船主義」を守り通そうとしているのは、日本と中国そしてアメリカかな? だけのような感じで、欧州、とりわけEU諸国は、ほぼ解禁? だった。ということを改めて知りました。
 実はキュナードなど英国船社は、QE2などでも英国籍ですが、カジノは出来るし…。ライン川クルーズのリバークルーズ船は第三国船籍だったり…。そんな証拠を沢山持っているわけじゃないんですが、実は「あれれ!どうなっているんだろ」と感じていた疑問に、とっくに答えは出ていた。

 この報告書でもフランスは、対EU諸国については、とっくにカボタージュを解禁。セーヌやローヌを走る船は、外国船でしたし。その他諸国に対しても「政府の許可で…」とありますね。つまり2国間の取り決めなど政府の裁量で動かしうる制度になっていて。
 オセアニアも事実上カボは解禁のようです。

 まあ今となって、日本がカボタージュ解禁? つまり日本にやって来る外国船の日本国内クルーズを!なんて主張するのは現実的でない。というかそんなことをすれば、日本船社は…。
 つまり「あの時…」しっかり検討するべき話だったんじゃ、と悔やんでも遅い?

 どうすればよかったの? はい、外国クルーズ会社が日本市場に注目する前に、「日本のクルーズ会社に対し外国籍クルーズ船での国内クルーズ」を解禁しておけば、違った日本クルーズ史が書かれたと思うんですがね。

 まあ欧州も「国内に競合する船会社いない場合」なんて感じで、EU以外の国についても規制外にしているようですが、日本のクルーズ会社が消滅したのち、例えば「パナマ籍船で小笠原クルーズが行われる!」なんてことになるんでしょうかね? それともクルーズ船は事実上小笠原には行けないようになる?

 はい、サントリーニからミコノスに向かうクリスタルという外国船上で、ふと、小笠原に行く日本国籍のクルーズ船が無くなったら…。
 なんて考えちゃったんですけどね。

 日本にクルーズ産業。つまり「不定期旅客船事業」なんていらないんですかね? 「生活と物流に資する」みたいな「実需」以外の仕事は、ぜいたく産業だ! なのかな。  
 安倍政権の唯一の成功例は、観光立国でしたっけ? 
 でもきっと、贅沢を売るクルーズは、観光産業じゃない?のかも