さて土曜日ですね。と軽いネタをと探したんですが、やっぱり今日は飛鳥の話に行き着いちゃうんですよね。
 でもって昨日欧州造船所の船価リストを眺めちゃったですよ。
 欧米船社との直接的な競合があるわけではないとは思うんですがね、でも欧州のクルーズ船の新造価格は、ちょいと絶望的な数字が並んでいますね。

 CNNじゃなくCIN(クルーズ・インダストリー・ニュース)が、まとめた新造船発注状況を見ると、二百数十隻あるという発注残をすべて検証するつもりはないんですが、乗客1000人前後の中型船はそんなに多くない。というかむしろ手薄? 

 つまり飛鳥がこの分野で勝負しようというのは、悪くはない? と思いましたね。
 というより、10万トン以上の大型クルーズ船や、最近発注ブームになっている10000総トン以下の探検船では、供給が増えて行きそうですからね、乗客750人くらいから1000人乗りで、勝負するしかない!
 でもってこの分野での台風の目になっているのは、つい先日ノルウェーで事故を起こしたバイキング・オーシャンの船隊ですね。

 乗客930人、数年前から頑なに同型船を造り続けて、19年以降も23年ごろまで毎年フィンカンチェリから、1隻は就航させる。この船たちの船価がなんと4億ドル。それも全船4億ドルで23年まで続くというんでちょいと信じがたいんですが。
 短期間でリバークルーズを制圧したバイキングは、海洋、それも中級市場で世界ブランドになろうという、そんな感じですね。

 対するに、リストにある船価を本当かよ! と眺めてしまったほど高いのはクリスタルクルーズ。22年から就航する67000総トンの新シリーズですが、800人乗りがなんと9億ドル! だって。
 まあ造船所は、ゲンティンが買収したm.v Werften、って、聞いたことない名前なんですがね、ウイキペディアに寄ればーー
 「2016年4月にGenting Hong Kong がWismar、Straslsund、およびRostock-Warnemünde にあるNordic Yardsから3造船所を購入」して,まずはリバークルーズ船を連続して就航させ(クリスタルリバークルーズ)、さらに探検船などを手掛けたわけですね。

 で、外洋クルーズとしてまずは、10万総トンクラスを検討、最終的に67000総トンと、まさに現在のクリスタルセレニティ級の新造に乗り出している。まあこの場合「船価」と言っても、同じグループの造船所ですからね、マーケットプライスなのかどうか、異論はあるでしょうけど。

 ですので、この2社は特異ケースかな? というんで、他に飛鳥Ⅲに近いプロジェクトとして選べるのは、まずオーシャニアクルーズ。
 22年にフィンカンチェリで就航させる67000総トンが1200人乗りで、6億6000万ドル。次いで、リージェント・セブンシーズの750人乗り。54000総トンとちょいと小ぶりですが、20年就航のリージェント・スプレンダーが4億7500万ドル。造船所はフィンカンチェリですね。

 ところが驚くのは、この船、同型船なのに23年納期の750人乗りは、5億4500万ドル。つまり3年の間に7000万ドル、15%近くも船価が上がっちゃている。
 こうしてみるとバイキングがずっと同じ船価で建造し切れるのか? ちょっと眉唾なところもありますね。いずれにしても、バイキングとクリスタルの際立ちぶりが目立ちます。

 あとはMSCのラクジャリー部門への進出として話題になった64000総トン、1000人乗り。6億ドルだそうですが、23年の就航です。これだと、まだまだ丸い数字というか、想定の数字のような気もしますがね。フィンカンチェリでの建造です。

  こうして見て来ると、飛鳥Ⅲって幾らくらいなら? という話ですがね。
 単純に1隻を造る!という話じゃなくて、いろんな条件が重なる? 日本籍船ですからね、欧州の造船所にとっては、大風呂を造ることから始まって、日本仕様という違いや、JGの規制への対応もあるだろうし、何より1隻だけの計画ということになれば、何もかもコストはこの1隻に込められる。船価は随分違うんじゃないですか?

 ロットで造れば設計費は、それこそ半減なんてことだってあるだろうし、搭載する機器や内装品でも数が集まれば…。 つまり外国船は全て、2隻以上の同型船で計画されていますよね。
 飛鳥Ⅲの建造は、それだけ難しいということかも。

 5万トン、800人乗り、飛鳥Ⅱと全く同じ規模の客船を造るとして? スクラバーなど環境対策、いやLNG二元燃料船かな? なんてことになったら、24年納期でも、9憶ドルなんてことはないにしても、7億5000万ドルと言われても驚かない数字ですね。

 この船価で20年間で償却する?
 乗客の運賃を、1泊10万円から! なら何とかなるかな? でも、それで800人も集客できるのかしらん? 
 複数隻を建造し、日本以外の新しい市場。例えば台湾とか、北米・ハワイの日系人客とか。つまり新しいマーケットに撃って出るとか? 例えばM重工の造船所をグループに取り込んで客船・フェリーヤードとして、運営することを目指すとか、いや思い切って中国で造るとか???

 新造船を発注すると言っても、飛鳥Ⅲでは、「命がけの飛躍」が必要なのかも?
 えっつ? バイキングの1隻を、リセールで取得する? 
 うんうん。手法はまだまだありますね。アンカーさんの腕の見せ所かな?