世界に冠たるーーなんて、ほんの数年前までそんな枕詞が似合った我が造船業界ですが、なんか断末魔の悲鳴が? というのはちょと言い過ぎですかね?
 
 はい今治造船が、JMUと資本提携! というより、JMUが新たに発行する株を購入してーー。出資比率は未定。って、メディアは、JFEやIHI、それにHZも少し出資している「大企業」系であるJMUさんの顔を立てて、「資本提携」と書いていますが、この記事を見る限り、今治によるJMUの飲み込み? みたいな関係にしか読めないんですけどね。

 つまり四国や広島の中堅造船所を傘下に収めてきた、今造さんが、ついに造船大手を蹴散らして、日本の造船の文字通りの支配を完了する? いやその第一歩ですかね。
 まあ東アジアの造船業。バルタンそしてコンテナ、自動車船などの貨物輸送、つまり陸でいえばトラック製造業という分野ですが、中国ではCSSC、CSICの二大巨頭が合併へ、そして韓国では現代と大宇。つまりこちらもワンツー企業が統合に向けて動いています。
 我が日本も、世界5位で、国内でも断トツのキャパを持つ今造さんが、国内第2位ですが苦戦するJMUを飲み込むという構図ですかね。
 
 「いや単なる資本提携に過ぎないし、経営を支配するような出資比率にはならないでしょう」と。まだ取材もし直していないので、このあとの造船アナリストさん達と話をすれば、そんな反応も返ってくるかもしれませんが。でも、この話で思いつく言葉は「終わりの始まり」かな? 

 いやこの30年間の日本造船史を見れば、重工系というか大手企業系の衰退と専業地方企業の勢力拡大という構図だったわけで、そんな流れが交わり、新しいフェーズを迎えたのかということでしょうか?
 なぜ? はい。

 日本の造船業というのは、製造業で世界を制した日本株式会社の輸送分野を担ってきた事業ですからね。造船が鉄を使い、その鉄をつくるために、製鉄会社が海外から鉄鉱石や石炭を輸入する。その輸入のためのバルカー、タンカーを建造する。
 何言っているの? 世界を制する自動車もあるじゃない。あまりにも簡略化のし過ぎ? かもしれませんが、戦後のそんな産業構造が日本モデルだったわけで…。それが崩れてゆく最初のステップ…?

 だいたい、最近の日本の造船所のお客様はほとんどが日本海運。一時期は輸出船でも世界一だったわけですが、今世紀に入ると造っていたのは国内船主の船ばかりでしたからね。その雄が今治造船だったわけで、まあこんな話も、時代の流れでしょうかね。バルタンの雄! バルタン星人?

 でも、すでにローカル産業として押し込まれていた造船業が、日本の産業構造が変わりゆく中で、引き続きバルタンの世界で、世界と勝負といってもねえ。

 そこなんですよね。これから海の上をどんな船が走るのかの近未来を予測しても…。
 LNGなど液化ガス輸送は有望でしょう? はい、でも今年のLNG船の新規受注はすべて韓国勢でした。
 だったら客船。2027年まで180隻が建造される? といっても全て欧州。ドイツとイタリアですからね?
 コンテナ船? まあ日本の造船所にもチャンスはまだ残っていますし、今造さんは果敢に挑戦していますが、コンテナ船は一つの造船会社に一括で発注される。これも韓国の主力製品?でしょう。
 自動車船ですかねえ。なんとか続きそうなのは?

 いや、今後とも日本への輸送量が増えて行くとは思えませんが、やっぱり商船の太宗は、バルカー、タンカー! ここでは日本勢も戦える? 
 はい。でも原油や石炭、穀物の輸入国であるのは中国です。ここが追い抜いて行くのも時間の問題…?

 なんて考えて行くと、10年、15年先の日本造船業は生き残っているんだろうか? 悲観論しか思い浮かばないですね。 
 とりわけ、船腹不足も指摘されるLNG船では、この2社、今造もJMUも立ち上げで、痛手を負っていますからね。
 これでLNG船の建造は日本からなくなる? 
 川重が中国のCOSCOと合弁で運営している2つの造船所だけに…ですか? 

 「なんとも大ざっばな未来予測だね」なんて言われそうですが、果たして、2030年の産業世界地図から日本に造船業は残っているんだろうか? なんてね。
 いや今造は10社以上の造船所群を抱えているし、JMUも全国の大型造船所を支配下に置いているし…。
 はいそうです。でもねえ、業績が開示されない今造さんは、かなり大きな船主業、つまり船のオーナー業を運営していて、この企業の内情には…。
 「果たして…、この会社は」なんていう風評も聞こえてきますし、JMUさんはNKKや日立造船らが建設したかつてのVLCC工場をそのまま引きずって行って、「果たして…」?

 日本の造船の構造改革!って、1980年代の中期からずっと言われ続けてきたんですが、その処方箋は多すぎる造船所の「集約化」論のみ。つまり供給力のコントロールばかりが強調されたんですが、「一体何を造って行くつもりなの」の論は真剣に論議されたんでしょうか?

 でもって、そのままオイルショック以前に建設した大型タンカー建造工場で世界の造船業を制したという、産業遺産だけが残る?
 はい、壊滅的と言われ国家助成もつぎ込んだ欧州造船業が、客船で奇跡的な返り咲きを果たして来たなかで、日本はずっとタンカー・バルカー! で、誇れるのは建造トン数だけでしたからね。

 まあ今造、JMUが提携すれは、日本の造船所のうち多くがグループ化され、ひとつの意思でコントロールされるようになるんでしょうね?
 ロットで発注される大型コンテナ船、LNG船のように、一定の数が期待できる分野で、JMUー今造グループが機能できるのなら、客船で再生した欧州のドラマの再現もありうるかもしれない?
 
 いずれにしても日本造船業の強さの秘密は舶用工業、つまり船の部品や資材を製造する幅広い関連工業に支えられていた、わけですが、これらの機械産業まで失われてゆくと、造船の再生は難しくなる。
 欧州造船が再生したのも舶用工業がしっかりしていたからだともいわれています。
 まだシーズは残っていたんだ、ということでしょうか。

 船を造る工業ーーそんな仕事を残す、その最低規模は? なんてところから戦略を立て直さないと。
 にしても、返す返すも、AIDAさんにやられた長崎さんのことが…。
 今や大手と言われた造船会社で、唯一健全?な 下関からでも、やり直して欲しいものですね。
 
 えっつ? 何を造る!ですか? 
 速力100ノットぐらいで走れる高速艇、燃料のまったくいらない貨物船? 海中を走る潜水タンカー…。
 海の上に都市をつくるなんて欧米人の想像力を、わが同胞は持ち得なかったわけですからね。
 未来を切り開くためには、1隻10億円くらいで造れる無人の電動「海のトラック」、くらいかなあ?海水をエネルギーにしてとかね。