日経新聞社が、フィナンシャルタイムズを買ったって! 1600億円ですか? すごいですね。
 僕たちは、欧米系メディア、とりわけ経済関連では外国情報を懸命に取りながら、仕事してきた気がします。というか、専門新聞社に在籍した者としての少さな経験から言えば、日経なんかに出る業界の記事は、大体旧聞か、ピントがずれていたりして。だいたい、スクープなんて言うと、もうとっくにIHIと川重は合併していなけりゃいけなかったりする与太記事ばかりだったけど。
 邦字紙を読むのは、世の中にニュースがどう伝わるのか? を知るための社会学的な興味(なんて生意気だねあんた!)があっただけで、そこから、私達が相手にしていた業界の話を知ることなんてほとんどなかったですよ。
 でも、フィナンシャルタイムズとかウォルストリートジャーナルとか、海事業界で言えば、ロイドリストとか、こういうのは、やっぱり専門情報としては優れていたですよね。キラキラしていたもんねえ。
 出版や新聞を軸とする情報産業が、これからどうなって行くのか、本当に興味深いですが、少なくとも日本国内の拠点で仕事してゆくというビジネスモデルで事たれり、として行くわけにはいかんでしょう。特派員も重要ですが、最近はほとんど機能していない。そこ行くと現地の新聞社、それもFTを買っちゃうというのはすごいですねえ。

 夕べ「新潮45」を読んでいたんですが、活版印刷がなくなって、ネットツールで情報がやり取りされる時代が来ているわけだけど、逆に例えば、10年前に書かれた情報の蓄積というか、検索を含めて、ストックできなくなっている、みたいな話が出ていました。確かに戦後の雑誌類なんかは意識的に個人でストックすることは可能だったんですが、ネットに出てきた20年前の情報って、ここに置いとけばいいやみたいに考えて、結局どこに行ったか、どこで読んだかわからなくなってしまう。なんて書いてありましたね。

 本当ですよ。例えば、僕が書いてきた記事も、新聞や雑誌なんかだったら、旧社に行けばなんとか手に入りますが、その間に一杯書いたブログなんて、過去ものを辿れないんですよね。だいたい今書いているこのブログも、一杯記事がたまっているけど、永遠に「船知めん太語録」なんて格好で残せるのかなあ? なんてね。まあ、こんなもの残してもしゃあないけどね。
 でも、昔ロイズリストなんかを時間かけて読んでいた時代に比べれば、今はいいよね。「日本語に変換」なんてボタンを押せば、めちゃくちゃな日本語ですが、十分理解できる文章で読めますからね。

 もちろんクリスタルの話は英悟で読みましたよ。でもねえ。ちょっと微妙な、どっちとも取れるような言い回しになってくると自信が持てなくて、日本語変換したり、郵船さんが翻訳した発表文を待ったりしましたがね。
 はい、今日も、ようやくクルーズの話ですわ。

 クリスタルの話ですが、新造船プロジェクトを、クリスタル側は「EXCLUSIVE CLASS」と書いているんですが、なんか郵船の翻訳では「クリスタル・ラグジュアリー・クラス」となっているんですね。
 まあエクスクルーシブというと排他的とか特権的! みたいな訳語がふさわしいようで、「豪華」というより、「普通の人なんか乗せないよ」みたいなニュアンスがありますよね。
 
 どっちがいいのか分かりませんが、つまりは「選ばれしもの」だけを相手にする、みたいな感じ? 乗れるのは、あんただけよ! みたいなキャッチでお金持ちの選民気分をくすぐっているんですかね。でもクリスタル側のやる気というか意気込みは、こっちの方が伝わって来ます。

 日本だと、客船といえばなんでも「豪華」、そして「豪華客船」ですからね。飛鳥でもコスタでも。それでもって、こっちが安いみたいな話になっている。イメージが貧困なんですよね。
 『中国人4000人を乗せた豪華客船が境港に入港し、乗客はドラッグストアやスーパーに殺到した』って、まったく変な話だよね? 豪華客船に乗った爆買庶民、ですか? 
 こんな言葉遣いのままで、日本のメディアがいいと考えているんなら、まあフィナンシャルタイムズを買っても…、なんていうことでもないですけどね。

 でもって、どうしましょうかね。ええ、『豪華』というステロタイプ化した表現ですよ。
 クリスタルの新しいサービスは「特権階級客船」? 「選民客船」だとユダヤ教みたいになっちゃうし、「選ばれしものの客船」かなあ?
 でもって大衆路線の大型クルーズ船は? 中国から客船が来るようになったころ「豪華客船のLCC」なんてわけの分からないキャッチを付けたテレビもあったけどね。今は、また「豪華客船」に戻っちゃった。
 まあなあ、「ラグジャリー」ですか? でもこう発音しても、外人は英語ではそんな発音はしない、という話もあるんだから、いいんだけどね。得意の日本語英悟みたいなもんだから?
 ここは一番、FTさんを傘下に収めた日経さんに「エクスクルーシブクラス」の邦語訳をしっかりお願いしたいですね。ついでに『ラグジュアリー』のほうもね。差別的でなく、ね。

 いま気が付いたんですがね。「クラス」という言葉が差別的なんだよね。って、言葉だけ変えてもしゃあないけど。
 アメリカは、わが日本国と違って、「階級」社会なんだから。