東の窓から吹き込む山からの風に促されて目覚めた。涼しい。
 昇り始めた朝日が、岬の山を越えて、窓から差し込み始めても、忘れかけていた心地よい感覚は、身体を起こさせようとしない。
 もう少し、ぐだぐだとベッドの上でまどろんでいたい。
 夏はこうして、終わってゆくのだろうか?

 なんてね。小説が書きたくなったですね。ええ、文芸春秋を買いましてね。「火花」を早速読みましたです。この月刊誌、今月は100万部刷ったそうで、しっかりブームを作った出版社の仕事ぶりを好感するとともに、改めて筆者の筆力、語彙の豊かさ、表現力に驚いたのでした。
 
 しかもこの小説の舞台は、熱海から始まり、中央線の吉祥寺あたりを彷徨し、そして池尻三宿から国道246を通って世田谷公園へと移ってゆく。ええ、私の生まれたのは、三軒茶屋近くの環七沿いですからね。しかも今住んでいるのは熱海近く。私の好きな街を舞台にした小説ですからね、親近感も覚えます。
 受賞後のインタビューで、又吉さんが小説に目覚めたきっかけとなったのは、子供のころに読んだ芥川龍之介の「トロッコ」だったそうで、あの本の舞台もまた小田原から真鶴あたりのトロッコ鉄道のエピソードですからね。うんうん。いい子だね。
 なんだかテレビで見た時の、ちょっととっつきにくい印象に比べて、応援したくなる人に思えています。
 もっとも、何であんな結末というかエピソードで締めなければいけないのか? ちょっと興覚めな読後感が残っていますが…。
 って、推理小説ならずとも結末まで書いちゃいけないだろうから、止めますが、もっと、締め方はあるんしゃないか?の気分ですけどね。

 まあいいか。
 ていうんで、小説心は、こうい力作に出会うといつも湧いてくるんですが、冒頭の文章を読んでいただければ、私の実力は分かってしまいますね。
 数行書いただけで、すぐに飽きちゃう。だめですな。これ。

 小説の題材ですか? やっぱり船旅を 題材にしたミステリーですかね。船長は頑固そうだけど男っぽく。チーフパーサの女性は、しっかりもので、目の大きなかわいい女性。初老の男性が一人旅で、この船に乗ってくる。
 でもって、殺人? 麻薬密輸? 失踪? なんだかなあ。イメージが貧困ですね。人物もステロタイプ化されていて、魅力的に感じません。
 又吉さんて、文章の端々から性格の良さがにじみ出てくるような感じで、「自伝的小説ではない」なんていっていますが、これからテレビで見かけたりすると、小説の主人公である、徳永君に見えてくるんだろうと思いますね。というか、自分の生業を小説にしているから、どうしたって作家の個性のほうが作品より目立っていますからね、なかなか抜け切るのは大変じゃないか? なんて余計なことが頭に浮かんで来ますね。
 まあデビューは出版社の思惑通りに飛び出て行きましたが、まさか他の漫才芸人のように、一発芸だけで消えてゆくなんてことには、ならないんでしょうけど。
 次は、どんな舞台の小説を読ませてくれるのか、楽しみでもありますが、ちょっと不安かな?
 
 なんてね。ああ、暇だ。でも、月刊文春ですからね。読むべき話はいくらでもある。『昭和90年』ですか? 単行本を買わずに文春まで待った理由は、他の記事が読めるからですからね。
 さあ、エアコンの下で、ぺらぺらとめくって、ほかの記事の方でも読みましょうかね。
 今週はこんな風に、グダグダとね。はい、失礼しました。