柳原良平さんが、亡くなれたようで。入院されているとは聞いていたんですが…。
 
 本当にいろいろおこころ遣いいただき、酒席もご一緒させて戴いたりしましたが、なんとも、とても楽しいお酒でしたね。

 我が家にも数点のリトグラフが残っていますので、久しぶりにじっくり眺めることにしましょう。

 私の一番好きなリトグラフは、横浜港の、だと思うんですが、夜のQE2です。船の灯りが港に流れて、色のコントラストが素晴らしい。絵の背景になっているバックの色が黒く見えるのですが、深い群青色というのか、ダークブルーというのか、しっとりとした青なんですね。昼間の青空がそのまま暗くなっていったような、夜の美しさを感じますね。
 尤も、このQE2も現役を退いて。何年経つのかなあ? 今のQEに姿、形が受け継がれているので、まだキュナードの歴史を感じ取ることができますが、やっぱりこの時代のQE2の曲線には色気を感じますね。ものすごくセクシーです。
 大体良平さんの描く船は、船体を膨らませて、立体感がある。というか。船の鋭さよりも、客船の温かさというか、豊かな包容力を感じさせるという意味で、客船の絵としては、最高だったですよね。

 ええ、日本の客船のリトグラフも何点かあるんですが、これらの船は、今に良平さんの絵の世界の中にしか残らないかもしれないですね。こうして良平さんの絵画だけで、振り返るような時代が来るんでしょうか?

  希代の客船画家を失ったことは、日本のクルーズ界にとっても残念な話ですね。
  雑誌CRUISEさんあたりで、クルーズ船絵画の作品とかエッセイの再録とか、思い出話を特集して欲しいですね。いやできたら、良平さんの客船原画、リトグラフの展覧会でも企画してもらえんでしょうかね。元社長のIさんを担ぎ出して、企画していただくとかね。老クルーズファンだけでなく、現役のサントリーファンさんも駆けつけてくれると思いますし。というか、雑誌CRUISEは、創刊から、ずっと良平さんのイラストエッセイがウリでしたからね。それを振り返る意味もある。って、余計な話だったですね。

  今年は阿川弘之さんもなくなり、日本のクルーズの応援団というか、ご意見番というか。相次いで亡くなって行きます。
 日本の船会社がクルーズに進出して行くときに、彼ら重鎮に意見を求め、まさにイメージキャラクターとしてご登場願ったわけです。そして、彼らも、根っからの船キチですからね。我々が生業とした雑誌のインタビューにしても、二つ返事でご協力戴いたのを覚えています。
 そうそう。2003年だったかな、「船キチの航跡」という単行本が出版されたんですが、当時私は、「船キチ」というタイトルは、「まずいんじゃないの」と申し上げたんですが、「良平さんがこれでいい、と言っている」というので、そのまま行きましたが、結果は大成功だったですね。まさに「船キチ」でしたからね、彼は。でもって、彼がCRUISE誌へのイラストエッセイから降板されるときに、「最近のクルーズはちゃらちゃらしていて、うるさくて面白くない」と、その理由をおっしゃっていたような。
 でもって、ほぼ同じくらいの年齢になった、僕も、「最近のクルーズは…」なんて言っているのを思って、苦笑しているところです。
  そうそう、そういえば、毎日見慣れているんで、我が家の風景に馴染んじゃって、気が付きませんでいたが、カレンダーも良平さんのイラストですね。ええ、もちろん古巣の会社が作ったものをいただいているんですが、そろそろ7.8月分をめくらないといけないんだけど…。
 このまんま取っておきますかね。時が止まるわけでもないですが、なんか、この8月を破り捨てる気にならない。

 ご冥福をお祈りします。