10月27日付 本欄に、PEROさんという方から、長文の書き込みがありました。以下はその一部です。

>例えば、MRJは飛行延期。明らかに、日米の航空法務を知らない人間がやっているとしか思えません。こういう規制行政は、守るべき所は守って、守らなくて良い所は無視する(=独自にやる)、という姿勢が必要です。ところが、”顧客指向”なんてフレーズを言い出す人間がこれに関わると、やらなくて良い所までやってしまい、赤字になってしまうのです。


 三菱重工さんの体たらくについて、同社の法務部軽視に原因があるのでは? という趣旨からの分析ですね。 
 PEROさんがおっしゃる通り、三菱さんは完全な技術者主導の会社です。というより、事務系上がりの社長さんっていらしたかなあ? 知りませんね。ライバルだったIHIだって、川崎重工だって、技術系優位ですが、時々事務系出身の社長さんが出て来るのに、この技術屋帝国のトップは、多分ほとんど技術屋さんが担って来られた。
 しかもねえ、三菱さんの場合、技術屋さんといっても、機械やら船舶やら航空機やらと、全然専門が違う人たちが、純粋培養されて育てられてくる。彼らは同じ会社の技術系統の違う人たちとの交流よりも、東大なら東大の同じ学科という学窓、長崎なら長崎といった入社事業所の同系との交流を大切にしますからね。なんていうか、案外小さな社会で生きているような気がします。
 でもってえらくなればなるほど、短期決戦! 頭にあるのは、コストダウン。ですからね、法務部とか研究開発というか、そんな部門に金を掛けなくなるんだよね。きっと。

 でも、いま三菱さんがやろうとしているドメイン制というのは、そうした事業や製品毎の垣根を取り払って、もう少し帰属意識を広げて欲しい、みたいな感覚から出発していた、と私は解釈していたんですがねえ。現況はかつての事業部制の効率的な組織が解体されて、例えば航空機や原動機部隊の人たちが船を支配しているだけで、事業部合同のメリットって生かされているのか、どうか、わかりませんよね。よりちまちまと…。
 確かに海より航空、あるいは宇宙の方が未来産業にみえますけどね、海上輸送って物流の90%以上を占めているはずですからね。技術開発の優位性が維持できない、なんて呟いているよりも、もっと革新的な技術だってあるんじゃない? つまり海だって未来産業にできると思うんですけどね。
 だって客船なんて人件費の安くない、欧州だけでしか造れていない。つまり製造業の「競争力=人件費の安さ」神話は崩れている分野なんだから…。
 って、こんなことまで書いちゃっていいのかな? 何にも知らないのに。という感じなのにね。まあ「岡目八目」という言葉もありますし、ネットって「誰でも評論家」みたいな、メディアですからね。許してください。

 それにしてもあと一週間で、11月も終わります。
 約束の12月! までに、果たして流れっぱなしの血は止められるんでしょうか? そしてPEROさんがおっしゃるような、契約における国際性の確保といった問題があるとすれば、それは教訓化できるんでしょうか?
 いや、僕の短い取材の経験でいわせてもらえれば、大体役所の技術的な規則ないし、国際基準なりって、役人が作るんじゃなくて、役人がその事業を担う大企業に依頼して作るみたいなことで、日本の契約における国際性なり、規制における優位性は大企業によって担保されてきたと思っていたんですけどね。この客船の顛末って、どんなことだったのか?三菱さんだけの問題でもないような。

 まあ、業界のリーディングカンパニーの崩壊って、なにもかもやり直しになりかねない。
 本当なら、法務とか、造船契約の標準化とか? そんなことはとっくにクリアしてきた。多分三菱の船舶さんだったら、「俺が基準だよ」と言いかねないような権威がありましたけどね。かつてはね。
 いずれにしても一番大切なのは、この船を仕上げたあと、問題点を総括しなおすことでしょうねえ。三菱さんがやらないのなら、造船を生業として続けて行こうとする、はい、造船工業会あたりでもいいんじゃないですか?
  日本造船史は新しいフェーズに入る? いや、こうして終わるのかな? 重ねて書きますが、三菱さんだけの問題ではない、ような。