なんか凄く暖かいですね。
 今日の東京の最高気温の予想は16度。こちらは東京よりだいたい1度くらい高いですから、もう春ですよ。昨日は梅が咲いているのを見つけました。
 このところの温かさと年末に入ってからの運動不足もありまして、ご近所ブラ歩き。タモリさんじゃないけど、最近テレビでも散歩番組が多いですね。って、まあ齢を取った証拠みたいな話ですが、日ごろ行かない裏道を散歩したりしていました。

 でもって、駅に行く道とは逆方向なんで、まったく行ったことがないところ。それも家からほんの5分くらいのところに、小さな小さな商店が軒を並べているのに気が付いたんです。酒屋、といっても最近では食料品のパックやお菓子なども並べている雑貨屋みたいなお店を中心に、八百屋とか、郵便局。少し前までは魚屋もあったらしんですがね。なんか急にうれしくなっちゃって。

 でもってその酒屋のオバサンと話してみたら、なんとその店「創業100年以上」とかで2度びっくり。さらにそのオバサン、インテリなんですよね。ごそごそと、A4一枚紙のプリントを渡してくれて、見ればその店が「トロッコ」の中に出てくるんです、と。とても読みやすい文章が書かれている。
 何気ない田舎の店、なのに…。と3度目のビックリでした。

 はい、もちろん芥川さんのあの「トロッコ」ですね。ええええ、小田原辺りから、熱海に向かう工事中の軽便鉄道のトロッコ列車を押す土工を手伝って、まさにこの近くまでやってきたのに、急に帰れと言われて途方に暮れて。そんな話だと、とは覚えていたのですが、その小説に出てくる「井戸端とか雑貨屋だの床屋だの明るい家の前を通り過ぎて」とは、この店のことだというのである。

 もうその雑貨屋風酒屋は、立て直され小さなスーパーのような雰囲気なので創業100年と言われても、まったくそんな感じは残していないのですが、こうして一枚のプリントを店頭で配っていて、「数年前まではこの店の前に井戸端があったんですよ」なんて解説してくれる。なんか嬉しくなりましたね。

 リタイア1年半! 思い描いていたリタイア生活とはだいぶ違っていて、年に1度のクルーズと小旅行を楽しむ、そんなことを目指していたのですが、なんかなあ。
 こんな風に冬が暖かいなら、もっとこのあたりの風光にはまって生きて行くのもいいなあ、の気持ちがしています。
 小田原あたりまで侵略して来た中国人も、さすがにこの田舎町まではやってきませんし…。

 ですが、帰宅後「トロッコ」を読み直したんですがね、どうも地理的感覚がおかしい。
 まあそのプリントにも、その店の創業者だか、何代目だかが、芥川さんと親交があって、このあたりの様子を教えたなんて書いてありましたが、地理的にはトロッコを押して日が暮れたあたりが、その雑貨屋あたりの位置関係はずなのに、小説では家まで逃げ帰り、帰り付きそうな場面、つまり小田原近くの感じの描写なんで…。
 まあどうでもいいか? 箱根駅伝を小田原に見に行って、海だけでないこの辺りのことに、少し愛着が湧いてきました。
 もう少し、ここにいましょうかね。このところの暖かさはそんな気持ちにさせてくれます。