別にどうでもいいニュースですけどね、日経新聞はいったいどうしちゃったんですかね。
『IHI、造船復活を諦めた』ですか?

 大体IHIは、JMUに造船部門を引き受けさせた以降も「造船部門」なんてあったんですかね?
 とっくに事業としては捨てていたはずなのに、この記者さんは、知多(愛知)に世界最大級のドックとクレーンがあることを見て、「IHIは、市況が良くなったら、造船を復活させるんだ!」なんて思い込みを持っていたのかな。
 でもって市況は改善しないし、LNGタンクの建造で失敗したからね。
 だから「造船復活を諦めた」んですか? とっくにそんな経営戦略は諦めていたんじゃないの?

 この記者さんおいくつなのかな? 業界に対しても、事業に対する認識もまったくおかしい。そんななかでニュースを造ろうとしている。つまりフェイクニュース、フェイクストーリーを書いて、自己満足しているとしか、思えませんね。
 これなら新聞記者も楽な商売ですよね。まったく。

 だいたい、この記事にある、次のようなコメントを、誰がおっしゃってるんですかね。実名を出せや。あるいは、こんなこと言う人をニュースソースとして大切にしているならば、すぐにでも止めた方がいいよ、付き合うのを。
 
「愛知工場は規模が大きすぎた。もう少し規模が小さければ存続できたかもしれない」。社内ではそんな嘆き節も出る。資産は巨大であればあるほど、活用できない場合に企業価値を毀損する。

 大体、先の造船設備処理で、IHIが知多の造船部門を撤退させ、播磨と呉と東京に集約したのは人員対策。つまりこれら「伝統」の三工場には就労する工員が多く、人員削減が大変だったんですよね。
 三菱や日立やNKKが、新設の大型造船所を残したのに、IHIだけがトム・クランシーが小説にもかいたこの名物造船工場・知多閉鎖に動いているんですよね。何故?

 たしかにその後の市況高騰時に、補助的に知多を動かしたこともあったんですが、とっくに知多は、IHIにとっての造船部門の主力工場ではなかった。
 IHIは、その石川島播磨重工の名から言っても分かるように、東京(石川島)と相生(播磨)と呉の完全な合併造船会社でした。
 造船部門の縮小を政府から迫られた時に、工場側の論理が優先しますからね、どこを縮小するかとなれば…。つまり企業の競争力をどうするか? よりも工場間の勢力争いが軸になったんですね。 
 ある意味不幸な会社ですわね。

 なんてね。それにしても造船所の記事を書くにしても、もうすこし日本造船業の歴史について学習してから書きなよね。天下の日経さんね。
 知多は、SPB、はい、IHIにとって誇るべき自主技術。つまりLNGタンクの国産技術ですよね。これ陸上タンクなんかではいくらか実績があるんですが、このタンク技術だけはIHIに残した。
 そのために知多を残し、LNG「船」自体はJMUの津で建造し、タンクを供給する!なんて夢を描く生産体制をとったんですよね。でも失敗した?

 だいたい横浜に残した艦艇も赤字続きで、防衛庁からの覚えも良くないし、かって「野武士集団」といわれたIHI造船部隊も、ほとんど「落ち武者」同然の状態。で、JMUのお荷物になっているくらいなんだから。
 今頃、知多を閉鎖したことを例に引いて、造船ニッポンの落日を書く? 
 もうそんなステロタイプ化した産業認識から離れなさいな! 日経さん。

 それより超大型コンテナ船のシリーズ建造に入っている、今治造船がいまどうなっているのかとか、欧州が独占状態にある客船へのチャンレンジはもう諦めたのか? そんな話を取材して下さいな。
 造船所って、ドックとクレーンと看板があればそれが造船所。というわけじゃないんだから。
 もっと取材はきちんとね。ですよ。