2006年06月29日
W杯、もう1つの見方
CH-K編集部 小池 新
サッカーワールドカップ(W杯)は決勝トーナメントがたけなわ。世界最高レベルの熱戦が続いている。試合を見ているうち、前から気になっていたことを考えてみた。
今大会に出場した32チームをながめてみる。イングランド(イギリス)、オランダ、ポルトガル、イタリア、スペイン。世界史の授業のようになってしまうが、みなヨーロッパでかつて世界に覇を唱えた強国であり、海外に進出して植民地を獲得した。
そして、ドイツ、フランスは近現代史の中で国家を膨張させ、イギリス、イタリアと並んで「帝国主義」による植民地競争をした国だ。
一方、エクアドル、コスタリカ、パラグアイ、アルゼンチン、メキシコはスペインに侵略され、植民地となった。同様にブラジルとアンゴラはポルトガルの、コートジボアールとチュニジアはフランスの、ガーナはイギリスの、それぞれ植民地だった。トリニダード・トバゴはスペイン領から戦争の結果イギリス領に。トーゴは最初ドイツ領だったが、第1次世界大戦後、イギリスとフランスに分割統治された。
こうして、世界史上の大国とその植民地だった国を数えると、それだけで19カ国に上る。これは何を意味するのだろう。
サッカーが、発祥の地であるイギリスからヨーロッパに広がったばかりでなく、それぞれの国が植民地を得た後、その植民地の人々にも伝えられたということだろうが、そこには、収奪され差別された植民地の人々の不満を和らげようという、植民者の側の意図がありはしなかっただろうか。
ボール1個と地面があればいいサッカーは「貧者のスポーツ」ともいえる。征服者から与えられたボールを追っていた植民地の子どもたちは、その後どうなったのか。沸き上がるW杯の熱気の陰に、彼らの歴史が透けて見える気がする。
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この記事へのコメント
出場32カ国中19カ国が帝国主義国か旧植民地っていうけど、世界中の国に占める旧植民地の割合を考えれば当然じゃん。
ジャマイカやオーストラリア、NZなど英連邦諸国に限ってクリケットの方が盛んだったりする。あれこそ侵略や植民地の名残だけれど、別に収奪され差別された人々の不満を和らげるためとかじゃないでしょ。
欧州列強に侵略されなかった韓国や日本で、なぜサッカーがこんなに盛り上がってるの? もっとスポーツの本質的な魅力や影響力について考えた方がいいんじゃない?
小池さん、サッカーやったことないでしょ。あなたはスポーツについて無知や音痴も甚だしいので、門外漢のW杯のこととか無理に書かない方がいいですよ。
私だったら恥ずかしくてブログで公開するなんて出来ません。
たしかにサッカーもそういう定義づけができるだろうね。
スポーツは戦争回避の世界共通の文化だ。また池田晶子さんのいう代理戦争かもしれない。
古代マヤ文明から蹴球は宗教儀礼としてあり、それはまた太陽神へ捧げる血であった。
なんであれサッカーのW杯は人間の闘争本能を完全燃焼させる現代のコロシアムなのだと言えまいか。
共同通信 配信
> 大阪市の私立塚本幼稚園(淀川区、約230人)と私立南港さくら幼稚園(住之江区、約180人)が、年長組の園児約120人に、教育勅語を暗唱させていることが1日、分かった。
園側は「幼児期から愛国心、公共心、道徳心をはぐくむためにも教育勅語の精神が必要と確信している」と説明している。
将来たのしみな子供がふえそうですね。
こういう学校が増えるとよいのですが、中学や高校にも。
NHKまでが報道するサッカー選手の引退劇。なんか変だなあ。やる、やらない、それは個人の自由であるべきだ。
ファンがいるから、応援をしてもらっていたから、そんなことに縛られるべきではない。
勝負事の世界、こいつがいなければ、などと思っていたのでは話にならない。