署名で書く記者の「ニュース日記」:マスコミ不信－別の視点から

2006年07月08日

マスコミ不信－別の視点から

ＣＨ－Ｋ編集部　小池　新

　伊藤編集部員が書いた「マスコミ不信」に、批判的な書き込みがあった。このあたりが「編集日記」が対象とする問題の中心だろう。少し違う角度から割り込んでみたい。

　秋田県の小１男児殺害事件で逮捕された女性は、凶器とされた着物の腰ひもと軍手を自宅に残していたことについて、弁護士にこう言ったという。「マスコミが取り囲んでいて、（もし捨てたら）ごみを荒らされそうで捨てられなかった」。

　そうか…と考える。マスコミの人間はごみあさりをする人種と思われているのか。結果的には犯罪を裏付ける物証が保存されたわけだが…。

　たしかに、ああした状態では、各社とも必死で、デスクは「ごみをあされ」と指示するかもしれないし、現場の記者は、言われなくてもそうするかもしれない。僕ももしあそこにいれば、絶対しないとはいえない。

　なぜマスコミの人間がごみあさりをしなければならないのか―。問題の根本にあるのはマスコミ内部の競争原理であり、その前提である横並びの感覚だ。「真実の報道のためにはごみあさりも必要だ」という「建前」を支持する人もいるかもしれないが、多くの記者の本音はこうだろう。「ごみあさりなんてしたくないけど、ほかもやってるし、ネタになるかもしれないから、仕方がない」

　では、マスコミ情報の受け手である一般の人たちは、ごみあさりと、ごみあさりの結果、出てくるかもしれない情報をどう受け止めるのだろうか。ワイドショーなどを見ている範囲では、スキャンダル的情報を面白がる人々は相当数いる。その人たちは「ごみあさりなんて」と言う一方で、そこから出た情報には強い興味を示す。

　書き込みにあったように、マスコミ不信はマスコミが自ら招いたことだ。現在のマスコミに問題が多いことは否定しない。わずかずつでも改善できないか、内部の人間が真剣に考えなければならない。しかし、それでも言わせてもらいたい。問題なのは、マスコミだけではない。

ch_k at 00:00│Comments(20)│TrackBack(0)│編集部　小池　新

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この記事へのコメント

1. Posted by とくしげ 2006年07月08日 09:58

真実を追い求めた結果の行動がごみあさりなのか。
スクープを追い求めた結果の行動がごみあさりなのか。
真実を追い求めた結果のスクープなのか。
スクープを追い求めた結果のスクープなのか。
スクープはスクープとして追わなければ得られないと考えるなら、それは純粋なパパラッチ根性ではないか。
いずれ朝日新聞のサンゴ礁問題に行き着くのではないだろうか。

スクープをスキャンダルと読み替えてもいい。

2. Posted by うへ～ 2006年07月08日 22:18

ﾏｽｺﾐ以外にも問題があるのは確かです。しかし、ﾏｽｺﾐがそれを言うのはどうなのでしょうか。
電通とﾏｽｺﾐの関係についてのどうやって解決していくのですか？

3. Posted by ﾊﾟ 2006年07月09日 11:34

たしかに小池さんが指摘される受け手のわれわれにもｽｷｬﾝﾀﾞﾙを面白がる部分はありますね。
ﾆｭｰｽをﾜｲﾄﾞｼｮｰなどで劇場化して、ある種ｴﾝﾀｰﾃｨﾒﾝﾄとして楽しむのは他人の不幸は蜜の味みたいなところがあるからです。
ﾏｽｺﾐ不信は突き詰めれば、人間不信に行き着くようです。ゴミを漁る取材陣はｽｷｬﾝﾀﾞﾙを漁る一般人にかさなるのですよ。これは社会病理的な問題を孕んでいます。
事件の犯人には許しがたいものを感じつつ、ﾏｽとしてのわれわれはもっと許しがたいことに手を染めているような錯覚に陥りますね。

4. Posted by ＦＦ 2006年07月09日 12:13

「悪いのは自分だけではない」って、それはね、本音では思ってても、表では「言っちゃあおしまい」なことですよ。

　犯罪を裏付ける物証を集めるのは、本来はマスコミの仕事ではないでしょ？（っていうか人の捨てたゴミを勝手にあさるのは、そもそもそれ自体が犯罪でっせ）。

5. Posted by みなとみらい 2006年07月10日 13:10

このサイトは比較的本音で語られている事、書き手はすばらしいとはいかないまでも、まともな人達である事を評価してます。僕は、マスコミも視聴者も、どっちもどっちと思っているので、この記者の書いている事はもっともだと思う。因みに、記者クラブやワイドショーねたに群がるのは、どうしようもないサラリーマン記者だと考えている。政権やマフィアから命がけでスクープをしたり、
宗教や戦争の中でぎりぎりの取材をするようなジャーナリストを尊敬する。しかし日本には、そんなジャーナリストは一部のフリーを除いてはいないような気がする。少なくとも、僕にはそう思える。

6. Posted by みなとみらい 2006年07月10日 14:20

正直に書くと、マスコミも視聴者もどっちもどっちだと思うし、ワイドショーには興味がない。最近はましになったかもしれないが、被害者に対する報道には問題を覚えるが、容疑者に関しては、問題もあるがケースバイケースと思っている。(報道とプライバシーの問題という意味で)
　僕が一番の問題だと思うのは、記者クラブ。そこでリークされた情報を流すマスコミ。
　記者クラブからの情報を伝えるマスコミはいらない。ゴミ集めなら、ましじゃないかなって思うけどね。

7. Posted by あ 2006年07月10日 21:48

昨年の衆院選の郵政民営化への争点一元化（というより、ほとんど与党の言い分垂れ流し）を見てもわかるように、私などは、現在のマスコミ、特にテレビ局は、政府の大政翼賛機関としか思えない。どうでもいいことを針小棒大に取り上げて、視聴者や国民の側の意識を劣化させ、肝心なことは隠す。何でもかんでも単純化して、それが、日本人特有の「一億玉砕火の玉だ」的発想に「貢献」している。議論や考える視点を提供するというよりも、与党の広報機関に成り下がってしまったのではないか。

8. Posted by 通りすがり 2006年07月11日 18:34

>わずかずつでも改善できないか、内部の人間が真剣に考えなければならない。

わずかずつでもって、マスコミの報道に対する姿勢の根幹にかかわる部分でしょ。
こんな悠長なこと言ってるから信じられないんですよ。

9. Posted by い 2006年07月11日 22:40

次は、自民党総裁選を、国民選挙的に、昨年の郵政民営化よろしく取り上げて、国民を政策論争ではなく、イメージ戦略で、篭絡して、メディアと新内閣の蜜月百日と、対北朝鮮の緊張関係を利用して、一気に、小泉内閣で積み残した法案と、憲法改正へと一気呵成に導いていくこと、その流れに、火に油を注ぐことが、マスコミに課せられた官邸からの「使命」なんでしょうね。昭和の満州事変前夜よろしく、あとは、いつ、一気に雪崩を打って売らんかなの居直った大政翼賛報道に変わることか。

10. Posted by 半日庵 2006年07月13日 00:06

>多くの記者の本音はこうだろう。

この手の記事をみるといつも感じるのは、なぜマスコミの人は身内には取材しないのだろうかということ。
私は記者経験者の推測ではなくて、その場に集まっている記者達の本音を知りたいです。だれか、集まっている記者達に取材して、皆がどう思っているのか記事にして欲しいです。

マスコミ不信の理由の一つに、説明責任を果たしていないことがあると思います。なぜ取材が必要なのか、記者達が自分の言葉で語って欲しいです。また、ごみあさりをしなくてはならない記者達の背景を取材して記事にすることで、誤解がある部分が解ければ不信は少しは和らぐでしょう。
マスコミ不信ではなく政治不信ならきっと政治家や官僚、有権者に取材して立派な記事を書く記者は沢山いると思います。しかし、マスコミ不信に関してそんな記事にお目にかかったことはありません。私は不思議でなりません。

11. Posted by とるねーど 2006年07月15日 21:07

要するに、マスコミ不信はマスコミが悪いが、視聴者も悪い、そう言いたいわけですよね。
で、具体的にはどのような対策を考えていますか？

12. Posted by ﾊﾟ印謹製 2006年07月16日 21:12

あんまり新さんを責めるなよ。ｲﾝﾃﾘぶった誰かさんより好感もてるよ。
小池新はなかなか熱血漢で汗っ掻きなひとにみえる。
情けない反省の記事もｴﾝﾄﾘしちゃうくらい自分の感情の揺れを隠さない。
弱そうにみえて強いひとだよ。涙を流しながら、記事を書ける人だよ。
小池新＼(^O^)／！

13. Posted by 村 2006年11月15日 12:51

>11. Posted by とるねーど 2006年07月15>日 21:07
要するに、マスコミ不信はマスコミが悪いが、視聴者も悪い、そう言いたいわけですよね。
で、具体的にはどのような対策を考えていますか？

対策は簡単、視聴者はテレビを捨てること。
マスコミはむずかしい。
そもそも視聴率至上主義が問題である。タダではなく有料にすること。NHKのように半強制ではなく、任意で選ぶことにする。
または情報公開の徹底など、以上

14. Posted by 匿名さん 2007年06月20日 18:33

淡路島の洲本市長はヤクザとくるんでます。